知的障害(知的発達症)とは?知的障害(知的発達症)とは、発達期(おおむね18歳まで)に知的機能の遅れと、適応能力の低さによって、日常生活や社会生活に困難が生じる障害のことです。知的障害(知的発達症)のある方は自己管理やコミュニケーション、学校での学習、仕事などで困りごとが起こりやすく、何らかの支援が必要になると言われています。知的障害(知的発達症)は程度によって種類が分かれており、それぞれ軽度、中度(または中等度)、重度、最重度と分類されています。知的障害(知的発達症)が生まれつき生じていたとしても程度によって気づかれる時期には違いがあり、重度の場合は発話の遅れなどにより乳幼児期に気づかれることがありますが、軽度の場合は小学校に入学して学習が本格化してから気づかれることもあります。知的障害(知的発達症)の診断は知能検査や保護者への問診、子どもの様子の観察のほか、原因となる疾患の検査などさまざまなことを通して行われます。参考:知的能力障害|MSDマニュアルプロフェッショナル版参考:知的障害(精神遅滞)|e-ヘルスネット知的障害(知的発達症)の種類は?知的障害(知的発達症)の基準は、行政や医療などによって違いがありますが、多くの場合、障害の程度によって軽度、中度(または中等度)、重度、最重度と4つの種類に分類されています。・厚生労働省の基準による知的障害(知的発達症)の程度区分厚生労働省の基準では知的障害(知的発達症)の程度を知能指数(IQ)と生活能力(適応能力)の両方を評価したうえで判定します。以下の表にあるように、知能指数(IQ)がⅠからⅣに、生活能力(適応能力)はaからdとどちらも4段階に分けられており、その兼ね合いによって程度が決まります。例えば知的指数(IQ)が軽度相当の51だとしても生活能力(適応能力)が最も困難を示すaの場合は「中度知的障害」と判定されることもあります。Upload By 発達障害のキホン引用:知的障害児(者)基礎調査:調査の結果|厚生労働省知的能力はIQ(知能指数)によって次の4つに分類されます。I :おおむね20以下II : おおむね21~35III :おおむね36~50IV :おおむね51~70適応能力は次のような判定表を用いて、a~dの4つに分類されます。・食事:一人でできる/介助があればできる/できない・用便(月経)の始末:一人でできる/介助があればできる/できない・衣服の着脱:一人でできる/介助があればできる/できない・簡単な買い物:一人でできる/介助があればできる/できない・家族との会話:通じる/少し通じる/通じないここに挙げたのは基準の一例です。療育手帳を取得する場合は各自治体で別途基準を設けていることもあります。・DSM-5-TRの基準による知的障害(知的発達症)の程度区分医学的な診断基準である『DSM-5-TR(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版改訂版』では軽度・中等度・重度・最重度と4つに区分されていますが、知能指数(IQ)での目安は明示されていません。知的機能と適応能力について、概念的領域(記憶や言語、論理的思考など)、社会的領域(対人コミュニケーションなど)、実用的領域(生活における能力など)の3つの領域の状態から重症度を特定します。参考:対象者(愛の手帳Q&A)|東京都福祉局参考:日常生活能力判定表|宝塚市知的障害(知的発達症)は遺伝する?知的障害(知的発達症)が遺伝するのか気になる方もいると思います。知的障害(知的発達症)はさまざまな要因が重なった結果生じるもので、遺伝もその一つの要因と考えられています。しかし、知的障害(知的発達症)が遺伝による場合はまれだと言われています。知的障害(知的発達症)は遺伝のほかにも、妊娠中の母体の低栄養、感染症、薬の影響、脳の異常発達、出産後の子どもの低栄養、頭部の損傷、感染症などが要因として考えられています。ただ、多くの場合には原因は特定できないとも言われています。また、先天性の遺伝子疾患、染色体疾患などがあるために知的障害(知的発達症)の症状が表れる場合もあります。なお、上記のような疾患がある場合も、必ずしも知的障害(知的発達症)があるというわけではありません。参考:知的能力障害|MSDマニュアル家庭版参考:知的能力障害|MSDマニュアルプロフェッショナル版2歳頃の知的障害(知的発達症)の症状は?軽度知的障害も分かる?知能検査は受けられる?2歳の子どもは、「おはよう」「さようなら」などの日常の挨拶をするようになったり、積み木や簡単なブロックを組み合わせて遊んだり、スプーンを使ってごはんを食べるようになったりする頃です。ただ、知的障害(知的発達症)のある子どもの場合は、以下のような様子がみられる場合があります。・人見知り、場所見知りがない(またはひどい)・発語が遅れている(またはない)・言葉の理解が遅れている・コミュニケーション能力の発達の遅れから、衝動を抑えることが難しく、癇癪を起こしやすい・意思の発達の遅れから癇癪をほとんど起こさない・積木やブロックなどが積めない・クレヨンでぐるぐるとした曲線が描けない・簡単なごっこ遊びが難しい・スプーンを使えないなどの不器用さがある・運動面・知的面含め全体的に発達の遅れがみられる※上記は一例です知的障害(知的発達症)のある子どもには以上のような様子がみられることが多いと言われていますが、軽度知的障害(軽度知的発達症)の場合は学齢期までは目立った兆候が表れないことも珍しくありません。また、子どもの発達は個人差が大きく、上記のような様子がみられたからと言って必ず知的障害とは限りません。子どもの発達について不安がある方は、自己判断せず専門機関に相談するようにしましょう。参考: 0歳児から2歳児の発達過程|東京都教育委員会参考:知的能力障害|MSDマニュアルプロフェッショナル版知能指数(IQ)を測るための検査として知能検査があります。検査の種類ごとに受けることができる年齢が異なっていますが、その中で2歳から受けることができるものもあります。代表的なものの一つは田中ビネー知能検査で、2歳から受けることが可能です。もう一つはWPPSI(ウイプシイ)知能検査で、2歳6ヶ月から受けることができます。知能検査の結果は知的障害(知的発達症)の診断や療育手帳の取得のために使用されるほか、得意や苦手な領域が分かるため子どもへの関わり方や支援の参考としても活用されます。知能検査が受けられない場合には、新版K式発達検査を受けることもあります。知能検査・発達検査は発達外来を行なっている小児科、児童精神科などの医療機関、自治体の教育支援センター、民間の実施場所などで受けることができます。参考:知能指数 / IQ(ちのうしすう)|e-ヘルスネット参考:田中ビネー知能検査 V(ファイブ)|SACCESS・BELL参考:WPPSI™-III知能検査|日本文化科学社2歳頃に表れる知的障害(知的発達症)の症状チェックリストUpload By 発達障害のキホン※発達や成長に加え症状や特性には、この時期大きな個人差があります。当てはまる反応や行動の数が多いからといって、すぐに知的障害(知的発達症)と診断されるわけではありません。発達の遅れが気になる……どこに相談をすればいい?言葉をなかなか話さないなど、子どもの発達の遅れが気になる場合の相談先を紹介します。かかりつけ医子どもの発達や育児について気になる場合は、予防接種や診察で行っているかかりつけの小児科に相談してみましょう。普段から子どもの様子を見てくれているので相談もしやすいです。保健所/保健センター保健所や保健センターは自治体ごとに設置されており、保健衛生に関する業務を行っているほか、医師や保健師などの職員が子どもの発達を含めた健康相談なども行なっています。保健センターでは子どもの定期健診も行っているため、その際に相談してみてもいいでしょう。児童相談所児童相談所は18歳未満の子どもに関するさまざまな相談を受け付けている機関です。児童福祉司、児童心理司、医師、保健師などの専門的な職員がいて、子どもの発達の遅れについても相談が可能です。また、療育手帳取得のための判定も行っています。児童家庭支援センター児童家庭支援センターは家庭と子どもの問題に関する総合的な窓口として、地域に設置されている機関です。相談・支援を担当する職員と、心理的な援助を行う職員がいて、相談対応や児童相談所と連携しての対応を行っています。児童発達支援センター児童発達支援センターは未就学児に対して、日常生活や社会生活に適応するための児童発達支援を提供している機関です。そのほかにも子どもの発達に関する相談を受け付けています。発達の遅れを相談できる窓口は以上のようなものがあります。ほかにも自治体に地域の子育て相談窓口が設置されていることもあるので、身近な相談先を探してみるといいでしょう。まとめ2歳頃になると、子どもは簡単な挨拶や積み木遊びなどをし始めます。しかし、知的障害(知的発達症)の子どもの場合は、発話や言葉の理解、手を使った動作などに遅れがみられる場合があります。ただ、子どもの発達には個人差が大きいため、このような様子がみられたからといって知的障害(知的発達症)があるとは言えません。発達の遅れが気になる方は、かかりつけ医や保健センター、児童相談所などに相談してみるといいでしょう。知能検査や発達検査を受けたいと考える場合も、医師や保健センター、児童相談所などに相談をしてみましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年03月29日障害者手帳には3種類ある「障害者手帳」とは、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類の手帳の総称です。身体障害者手帳は、身体障害者福祉法に基づき、身体の機能に一定以上の障害があると認定された方に交付される手帳です。障害の種類や程度によって1級から7級の等級が定められています。療育手帳は、知的障害(知的発達症)があると判定された方に交付される手帳です。自治体によって名称が異なる場合があり、例えば東京都や横浜市では愛の手帳、青森県や名古屋市では愛護手帳という名称で療育手帳が発行されています。知的障害の程度によって手帳の等級が判定されますが、判定基準および等級に応じた支援サービスの内容などは、各自治体によって運用が異なっています。精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害の状態にあることが認定された方に交付される手帳です。手帳の交付は精神疾患(機能障害)の状態と能力障害(活動制限)の状態から総合的に判断され、その程度によって1級から3級に等級が定められています。参考:障害者手帳|厚生労働省上記のいずれの障害者手帳も、取得することでさまざまな支援や福祉サービスをうけることができますが、手帳の等級(障害の重さの程度)などによって、その内容は変わります。このコラムでは、・障害者手帳取得のメリット、デメリット・障害者手帳がない場合に、将来受けられる支援や合理的配慮についてなど、障害者手帳についてのギモンから、将来に役立つかもしれない情報まで専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。【専門家が回答】障害者手帳取得にはメリットがある?分かりやすく解説!ここからは障害者支援制度に詳しい行政書士の渡部伸先生に、障害者手帳取得についての質問にお答えいただきます。(質問)子どもに知的障害(知的発達症)があり、「療育手帳」を取得できる可能性があると言われました。取得のメリットやデメリットを知りたいです。また、取得できないのはどういう場合でしょうか。取得できないと療育が受けられないのではないかと不安です。(回答)療育手帳を取得することには、さまざまなメリットがあります。たとえば、働く場面での選択肢が広がります。企業などで働くことを希望する際に、一般の人と同じ方法での採用が難しい場合、障害者雇用の枠で働くという可能性が生まれます。障害者雇用で働くためには、手帳があることが条件となります。またそれ以外の場面でも、医療費の助成や公共交通機関の割引、NHKや携帯電話料金などの割引、映画館などレジャー・スポーツ施設の割引、所得税など税金の控除など、多くの経済的なメリットもあります。これらは、手帳の等級や自治体などで異なる場合があります。デメリットは基本的にはありません。周囲に手帳を持っていることを知られたくない、といった心理的な負担を感じる人はいるかもしれませんが、サービスを利用するとき以外、他人に持っていることを知られることはありませんし、普段はしまっておけば大丈夫です。療育手帳が取得できるかどうかは、18歳未満の場合、児童相談所でIQや日常生活の動作などから総合的に判定されます。なお療育についてですが、療育を行っている公的機関や民間の障害児通所支援などを利用する際には、「受給者証」が必要になります。こちらは手帳とは別の制度なので、療育手帳がないと受けられないものではありません。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どもが療育手帳(愛の手帳)を取得していましたが、更新できず返納しました。発達障害がある場合、精神障害者保健福祉手帳は取得できますか?取得の目安の年齢があれば知りたいです。また、取得するとどんなメリットがあるでしょうか?(回答)発達障害がある場合は、精神障害者保健福祉手帳の対象となる可能性があります。目安の年齢は特にありません。最初に精神科を受診してから6ヶ月経過していれば申請可能です。医師の診断書など必要な書類をそろえて、役所の障害福祉窓口で申請します。精神障害者保健福祉手帳は、ほかの障害者手帳と異なり、取得後も2年ごとに更新する必要があります。メリットですが、療育手帳や身体障害者手帳と比較すると、受けられる支援は限られる場合があります。例えば、各自治体で行っている重度心身障害者への医療費助成は、重度の身体障害者手帳や療育手帳の所持者はほとんどの自治体で対象となりますが、精神障害者保健福祉手帳の所持者は1級のみ、あるいは対象外としている自治体もあります。そのほか各種の割引や減免など、手帳の等級や自治体などによって受けられるサービスもあります。障害者雇用については、2018年から精神障害者も対象となっていますので、将来の進路の選択肢が広がるという意味で、大きなメリットがあると思います。Upload By 発達障害のキホン(質問)障害者手帳がなくても、将来的に、高校や大学などの受験や、就職する際など、支援や合理的配慮を求めることはできるのでしょうか?(回答)合理的配慮とは、障害のある人が教育や就業、その他社会生活において障害のない人と平等に参加できるよう、それぞれの障害特性や困りごとに合わせて行われる配慮のことで、行政や学校・企業などの事業者には、この合理的配慮を可能な限り提供することが求められています。この合理的配慮の対象となる障害者は、障害者手帳を持っている人に限定されません。手帳がなくても、障害により日常生活に困難のある方も含まれます。受験に際して合理的配慮を求めるためには、医師の診断書や個別の教育支援計画、学校内で行ってきた支援の実績など「配慮の必要性」を示したうえで、事前に申請をする必要があります。具体的な配慮の内容としては、集中しやすいように別室受験やイヤーマフの持参、拡大文字の問題冊子の配布など、本人の困りごとに応じた支援を依頼することができます。ただし、学校などによって対応できることは異なるようです。就業の場においては、募集や採用の時点で、本人や支援者などから必要な配慮についての意思表明を行います。そのうえで本人と企業の間でどのような配慮ができるかを相談、検討し、合意したうえで配慮を行います。就業の場合は受験と異なり継続的な支援になりますので、定期的な見直し、改善が行われることになります。Upload By 発達障害のキホン障害者手帳についての関連コラムはこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年02月04日早期療育とは?療育とは、障害のある子どもや、発達の遅れや偏りのある子どもに対して行われる支援です。それぞれの子どもの発達状況や特性などに応じて今現在の困りごとの解決や将来の自立に向けて支援を行います。知的発達症やASD(自閉スペクトラム症)の子どもが早期に療育を始めることで、社会的コミュニケーションの能力などが伸びるとも言われています。参考:就学前早期の自閉症児への療育介入は、社会予後を改善させる可能性|国立成育医療研究センター3歳児健診で「要観察」。療育に通うのは早い?Q:子どもが3歳児健診で「要観察」となり、療育機関を紹介されました。まだ要観察なので療育に通うのは早いのではと悩んでいます。「早期療育」のメリットなどが知りたいです。A:子どもに合った早期療育を行うことで、子どもにとって発達を促進し、困難を減らしていく可能性が高まり、保護者にとっても子どもに合わせたかかわり方が相談できるというメリットがあります発達障害者支援法においても早期支援の重要性が示されています。診断がなくても主治医の意見書によって早期から児童発達支援が受けられるようになってきました。早期療育にも個別支援や集団支援などさまざまな形態があります。子どもの発達や特性には個人差があるので、一人ひとりの子どもに合わせたプログラムが必要です。自発的、意欲的に周囲とかかわれるような環境を作り、自信や意欲、コミュニケーション能力の向上、自己選択、自己決定などを伸ばす支援を行います。子どもに合った早期療育を行うことで、子どもにとって発達を促進し、困難を減らしていく可能性が高まり、保護者にとっても子どもに合わせたかかわり方が相談できるというメリットがあります。Upload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月27日再判定の発達検査は受けなくて良いの!?Upload By カタバミまちゃが特別支援学級の小学2年生の秋、児童相談所から電話が来て「そろそろ療育手帳の更新の時期です。再判定のために来所して発達検査を受けますか?」と聞かれました。今の等級のまま、あまり変動のなさそうなお子さんには検査受診の希望を聞いているとのことでした。更新のためには必ず発達検査が必要だと思っていたので驚いたと私が伝えると「では検査は受けるんですね」と少し素っけなく言われました。(本音を言うと行かないほうが楽なんだけど……)と思いつつ、少し迷いながら再判定の検査を受けることにしました。そして検査が終わった直後、心理士さんからの話では「今回の判定で療育手帳の等級は重度になるかもしれない」と言われました。検査中のまちゃは、テーブルの上に置いてあった物を手で払って落として喜んでいたと伝えられました。正式な判定は会議の結果にて、私たちには数週間後に知らされるとのことでした。療育手帳2度目の更新、判定はUpload By カタバミ発達検査から数週間後、わが家に封書が届いて、等級が「重度」になったと知らされました。その時、私は少しショックを受けました。実はまちゃは1番初めの手帳判定の発達検査の時に、検査直後には「中度」と言われたのに数週間後に「会議の結果、軽度になりました」と電話が来たことがありました。今回も同じように、結果はくつがえって「中度のままになるのではないか」と期待していた自分に気がついたのです。そして、療育手帳の等級が重度になると受けられる支援が増えると聞いていたので、新しい手帳を受け取りに市役所に行った時に、新たに受けられる支援の手続きも一緒に全て行ってきました。聞いていた通り中度から重度になって受けられる支援は増えました。中でも、とても助かるのが雨の日の学校の送迎です。まちゃの通う小学校には車を停車できるスペースはあるのですが、そこは駐車は禁止エリアになっています。ですので、天気が悪い日に車で送っても、まちゃは車から降りて、その停車スペースから1人で昇降口まで行くことができません。今回、療育手帳の等級が重度になったことで、その停車スペースに駐車できるようになりました。これは、大変助かるなと思っています。<参考>駐車禁止等除外標章(身体障害者等用)の申請手続き及び使用方法について(警視庁サイトより)療育手帳が重度判定になり、周りの反応はUpload By カタバミ療育手帳の更新手続きを終えてすぐ、私の姉に電話をしました。「そっか。まちゃは重度になったんだね。でも、まちゃに毎日接している人から見ると、毎日ちゃんと成長してるんだからショックだよね」と姉。「でも客観的に見たらやっぱりできないことだらけなんだよね」と私。忙しいなかでも姉は可能な限りはよく私の電話に付き合ってくれます。「でもさ、望んでも支援に繋がれない人もいることを考えたら、母親のあんたとしては複雑だろうけど、そんなに悪いことだとは言い切れないかもしれないよ」と、姉。姉は、これまで私がまちゃの療育などを頑張ってきたことも知っています。それからしばらくして実家に行くと姉から報告を受けた父から「落ち込むなよ!」と何度も言われて、手づくりだというカチカチになった干柿をたくさん持たされました。母は5年前に他界していますが、私の実家はこれまで障害のある方とほぼ全く接しないで暮らしてきているので、分からないことだらけでみんな困っていると思います。目の前のまちゃだって自分が重度になったことなんて分かっていないと思われます。そして、父から「年末に高級なお節料理を注文したけれどお前にあげるから取りにきなさい」と言われました。甘える相手がいることは本当にありがたいと思っています。手厚い支援を得てUpload By カタバミショックを受けるなら電話だけで更新を済ませて、中度のままでいれば良かったのにと思います。私は重度になって手厚い支援もほしかったのですが、心の奥底では、きちんと再判定の検査を受けて、それで中度という結果で療育手帳を更新したかったんだなと思いました。われながら分かりにくくて面倒臭い気持ちだと思います。まちゃと暮らしていくことは確かに手がかかります。ですので、手厚い支援を受けながら、成長を促して、とても時間がかかったとしてもまちゃのできることを増やして、困ることは減らすようにやっていくしかないと思っています。執筆/カタバミ(監修:新美先生より)療育手帳の再判定に関してお話をお聞かせいただきありがとうございます。療育手帳は主に知的発達症(知的障害)の方に交付される障害者手帳です。自治体により交付基準や等級なども異なるのですが、知能指数(IQ)と日常生活の困難さの基準をもとに交付の有無や等級が判定されます。一度交付されても、年齢によって数年ごとに再判定が定められており、今回お伺いしたような再判定を数年ごとに受けることになります。判定の基準となる知能指数や日常生活の困難さは、年齢相応の平均水準が年齢ごとに上がっていくので、お子さん個人で見れば数年間の間にできることが増えて確実に成長を実感していても、相対的に判定が重いものになることはあるかもしれません。カタバミさんは、お子さんの療育手帳区分が中度から重度になり、受けられる支援サービスが増えるというメリットを知りながらも、心の奥ではショックで切ない気持ちを感じているということを聞かせて下さいました。そんな中で、実家のお姉さんやお父さんがさまざまに気づかいあたたかく見守ってくださっているのは頼もしい支えですね。療育手帳はあくまでも行政上のものですから、まちゃくんがマイペースに着実に日々の生活を重ねていくことの大切さに変わりはないと受け止めて、必要な福祉サービスを使っていけるといいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月14日星河ばよさんの長男・タロくんが3歳だったころのこと。ばよさんは保育園の先生から「療育相談センターに行ってみますか?」と告げられます。保育園でのタロくんは、ほかの園児と同じ行動ができず、自分の興味のあることしかやらない、すぐに自分の世界に浸ってしまい、集中力が続かないというのです。それは暗に、タロくんが発達障害であることを示すような内容でした。ばよさんはショックを受けますが、保育園の提案を受けてから1カ月が経ち、ついにタロくんを連れて療育センターを訪れました。そして、発達検査の結果は「発達障害の特性をお持ちです」。結果を受け、保育園には加配の先生が配置されることとなり、ばよさん親子は月に1度、療育センターに通い始めます。療育センターに通い始めた当時、タロくんは保育園の年中さん。翌年には年長さんを迎えるにあたり、センターの人から「小学校入学を見据えた療育教室が始まります」との話が。どんどんと進んでいく現実に戸惑うばよさんでしたが、それでも加配の先生や療育センターの人たちのサポートにより、少しずつ前を向けるようになっていたのです。月に1度、療育センターに通う、ばよさんとタロくん。 ばよさん親子が通う療育センターでは、子どもの課題活動が終わると、臨床心理士の先生と親との面談時間が設けられています。 保育園には息子専用の席が設けられていて… 療育教室の初日。タロくんは最後まで気分がのらず、その様子を見守っていたばよさんは、どっと疲れを感じてしまうのでした。 ばよさん親子が参加を始めた療育教室。しかし、“療育教室”という取り組みに、決まったひとつの定義はないようです。自治体が運営している機関もあれば、民間が運営している施設もあり、必ずしも「小学校入学を見据えた活動」という前提があるわけではなく、教室でおこなう活動の内容もそれぞれ。 ただ、多くの場合、療育教室に通うために必要になるのが「通所受給者証」です。これは、福祉サービスを利用するために市町村から交付される証明書。医療機関から発達障害の診断を受けていない、いわゆるグレーゾーンの場合でも、療育の必要性が確認できる書類(医師の意見書など)があれば申請可能なので、気になる方は自治体に問い合わせてみてもいいかもしれません。 >>次の話 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。著者:マンガ家・イラストレーター 星河ばよ
2023年12月14日療育手帳を取得、更新するために受ける発達検査!息子を連れて行くだけでも大変だったわが家の次男Pは知的障害を伴う自閉スペクトラム症です。初めて療育手帳を取得したのは3歳の時で、当初は「軽度」と判定されました。その2年後、Pが5歳の時に手帳の更新があり、その時には「中度」と判定されました。そしてさらに3年後の今年、Pは8歳になり2回目の更新の時期がやってきました。私は、市役所で手続きをし、発達検査を受けるためにPを連れて児童相談所へ行きました。思えば初めて療育手帳の検査を受けに行った時は、Pを児童相談所へ連れて行くというだけでも大変でした。知らない場所で、知らない心理検査員さんと発達検査を受けるのはかなり難しく、大人しく座れないし、検査もやりたいことしかしないし、分離不安もあったので、私はPの側から離れることができませんでした。5歳の更新の時も同じように大変で、Pは療育園を休んだことでルーティンが崩れ、いつもと違う雰囲気に戸惑い、ずっと泣きながら検査を受けていました。Upload By みん8歳になってから受けた発達検査は、想像以上にスムーズで……しかし今回、8歳の更新の時は前回までと違い、児童相談所へ行く前に建物の写真を見せて、ここへ行くから学校はお休みするということを伝えると、すんなりと向かうことができました。到着してからも「この先生と一緒にお勉強するんだよ。その間お母さんとはバイバイします」と伝えると、心理検査員さんと2人だけで発達検査を受けることができました。私は別室で検査が終わるのを待ちながら、Pの成長を実感していました。無事に検査が終わり心理検査員さんからも「最初から最後までずっと座って集中していて、こちらの指示通りに検査を行なってくれました」と言ってもらえて本当にうれしかったです。Upload By みん障害の等級により支援内容が変わる福祉サービス。療育手帳を取得、更新するメリットは?その後、保護者である私へのヒアリングがあり、生育歴や日常生活についての質問を受け、これらを総合的に判定した結果、A(重度)判定となりました。今回の更新で等級は下がりましたが、Pは確実に成長していてスムーズに検査を受けられたことのほうがうれしかったし、中度と重度では受けられるサービスも変わってくるので、やっと正確に判定されたことにも安心しました。重度になると税金控除の減税額も変わり、旅客運賃の減額、施設の割引など、さまざまなサービスがありますが、高速道路の割引も受けられるようになったので、車で旅行やお出かけをするのが大好きなPのために、ありがたく利用させていただきたいと思っています。支援内容やサービスは自治体によって異なりますが、療育手帳を持つことでさまざまな支援を受けやすくなります。療育手帳の取得は必ずしないといけないものではないし、取るか?取らないか?は本人や家族の考え方にもよりますが、わが家の場合は取得するメリットの方が大きいと感じています。このような制度があることに感謝しながら、これからも有効活用させていただきたいと思っています。Upload By みん執筆/みん(監修:森先生より)療育手帳の判定というのは、あくまでも「支援のために総合的に判断されるもの」であって、決して「お子さんの能力そのもの」を示すものではありません。お子さんの健全な成長のために必要なサポートをしっかりと考えて、適切な支援を受けられていて素晴らしいです。保護者の方だけでなく、自治体などの専門家の方もお子さんの成長を見守ってくれていると思うと頼もしいですね。療育手帳の取得に関して、ご家庭によってさまざまな考え方がありますが、自治体がお子さんの成長のために設けているサポート制度ですので、ぜひ有効活用してみてくださいね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年12月14日星河ばよさんの長男・タロくんが3歳だったころのこと。ばよさんは保育園の先生から「療育相談センターに行ってみますか?」と告げられます。保育園でのタロくんは、ほかの園児と同じ行動ができず、自分の興味のあることしかやらない、すぐに自分の世界に浸ってしまい、集中力が続かないというのです。それは暗に、タロくんが発達障害であることを示すような内容でした。ばよさんはショックを受けますが、保育園の提案を受けてから1カ月が経ち、ついにタロくんを連れて療育センターを訪れます。そして、発達検査の結果は「発達障害の特性をお持ちです」。結果に動揺すると同時に、ばよさんは「保育園に報告したら、私自身がタロの発達障害を認めることになる……」と葛藤します。それでも勇気を振り絞って保育園に伝えると、タロくんのために加配の先生が配置されることになったのです。発達検査を受け、その結果を保育園に報告したばよさん。以来、ばよさんとタロくんは月に1度、療育センターに通うようになります。 最初のうちはやる気があるけれど… 「その場にいられるだけでもいいんです。いられない日があってもいいんです」。 臨床心理士の先生もソーシャルワーカーの方も、保育園の先生も、ばよさん親子のことをあたたかく、前向きにサポート。タロくんの発達障害をなかなか受け入れることのできなかったばよさんですが、当時を振り返り、少しずつ、でも着実に、自身の心が溶けつつあったことに気づいたのでした。 ばよさんが「皆さんが少しずつ、私の心を溶かしていってくれた」と振り返るように、何事も一歩ずつ変化していくのかもしれません。自分ゴトとして考えてみても、特に人との信頼関係は、ゆっくりと築かれていくものですよね。 不安なときは気持ちが急いでしまいますが、皆さんにも「振り返ってみれば、少しずつ変化していたのかも?」と思えるような経験があるのではないでしょうか? 小児神経専門医の松井先生によると、今回のタロくんのように、早い時期から療育をおこなうことで徐々にいろいろなことができるようになりますが、これを“早期介入”と言うそうです。発達障害においては、早期発見、早期介入が重要とされています。 >>次の話 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター 星河ばよ
2023年12月13日星河ばよさんの長男・タロくんが3歳だったころのこと。ばよさんは保育園の先生から「療育相談センターに行ってみますか?」と告げられます。保育園でのタロくんは、ほかの園児と同じ行動ができず、自分の興味のあることしかやらない、すぐに自分の世界に浸ってしまい、集中力が続かないというのです。それは暗に、タロくんが発達障害であることを示すような内容でした。ばよさんはショックを受けますが、保育園の提案を受けてから1カ月が経ち、ついにタロくんを連れて療育センターを訪れます。そして、発達検査の結果は「発達障害の特性をお持ちです」。涙を浮かべながらセンターを後にすると、同じ育児の悩みを抱えたママ友に遭遇。互いに共感し合うのもつかの間、ママ友から「センターには行かず、民間の療育施設に通ってる」と打ち明けられ、ばよさんはまたも心細くなってしまったのです。ママ友との会話のひとときを終え、帰宅したばよさん。仕事から帰ってきた夫に、検査の結果を伝えます。 発達検査の結果は出たけれど… 保育園に検査結果を伝えるということは、自分自身がタロくんの発達障害を認めることになると葛藤するばよさん。「特性にあった関わり方が重要」という療育センターのソーシャルワーカーさんの言葉を思い出し、勇気を出して、担任の先生に検査結果を伝えました。 園長先生や主任先生の態度にはデリカシーのなさを感じつつも、ばよさんは発達検査の報告を前向きに捉えることができたのでした。 一方、ばよさんは加配の先生が配置されたことに対し、申し訳なさを感じてしまいます。「自分の子どものためだけに……」と思うと、ついつい萎縮してしまうのは、親のサガなのかもしれませんが、引け目を感じる必要はありません。 保育園や幼稚園における加配制度は、国や自治体が支援する取り組みのひとつ。厚生労働省は昭和49年、つまりは50年近くも前から、加配の推進に努めてきた歴史があります。決して“自分の子どもだけ”ではなく、多くの人たちが利用してきた制度なのです。 小児神経専門医の松井先生によると、加配制度によって子どもへのよりきめ細かい保育、対応が可能になるそうですよ。 >>次の話 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター 星河ばよ
2023年12月12日星河ばよさんの長男・タロくんが3歳だったころのこと。ばよさんは保育園の先生から「療育相談センターに行ってみますか?」と告げられます。保育園でのタロくんは、ほかの園児と同じ行動ができず、自分の興味のあることしかやらない、すぐに自分の世界に浸ってしまい、集中力が続かないというのです。それは暗に、タロくんが発達障害であることを示すような内容でした。自分の息子に発達障害の可能性があるとは思いもせず、ばよさんは大きなショックを受けます。そこに追い打ちをかけるように保育園の主任先生は、ばよさんとタロくん自身が療育センターに足を運ぶのか、それともセンターの人に保育園に来てもらうのか、畳み掛けるように決断を迫ります。 ショックに打ちひしがれるばよさんは、さらに混乱してしまうのです。 家では、そんな様子はないのに… 答えの出ない理由を探してはネット検索を続け、夜になっても考えることをやめられない……。ばよさんは、枕を濡らす毎日を過ごしていたのでした。 悩みの種は違ったとしても、ばよさんと同じような経験のある人は、決して少なくないはずです。ましてや、ばよさんにとって、息子に発達障害の可能性があるとは思ってもみなかったこと。発達障害とは何なのか、療育センターとはどのような場所なのか、あらゆる情報が氾濫したネット上に答えを求めてしまうのも仕方ありません。 しかし、ひと口に「発達障害」といっても、その特性には個人差があります。また、お子さんの発達障害に気づいたり、その可能性を告げられたりするタイミングやきっかけもさまざまなようです。 先輩ママたちの経験談は、発達障害と向き合おうとする親御さんの強い味方。一方、特性には個人差があることを忘れず、医師をはじめとする専門家が監修した情報に目を通すことも大切です。 小児神経専門医の松井先生によると、軽度の発達障害のお子さんは保育園や幼稚園で「ちょっと気になる」お子さんとして見つけられることが多いそう。発達障害の可能性があると気づいた際には、療育センター・小児科・保健師さん等に相談するのが良いとのこと。療育センターで検査を受け、療育をおこなうことで、弱い部分があっても、発達が伸びていきます。また、お子さんの苦手なところ、得意なところがわかり、家族も子どもへの関わり方がより具体的になっていくことでしょう。 >>次の話※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター 星河ばよ
2023年12月08日興味の偏り、言葉が遅かった3歳の頃……自閉スペクトラム症がある長男けんとは、現在、小学2年生です。まだ発達外来を受診する前、3歳の時に療育手帳を取得しました。コロナ禍の影響で更新が1年延び、6歳の更新の時に行われた発達検査の点数が基準点を超えたため、療育手帳は対象外となり返納。そして、同じ頃に精神障害者保健福祉手帳を取得しました。なぜ、3歳の時に療育手帳を取得することにしたのか。そして実際に取得してから、どのような時に利用していたのか……など、現在にいたるまでの療育手帳にまつわる、わが家の場合のお話を書かせていただきたいと思います。Upload By ゆきみけんとが3歳になったばかりの頃、興味があったのは、数字や文字、エレベーターなど。言葉がとても遅かったので、児童館や地域の子育てサロンなどで会う同じくらいの月齢のお子さんたちとの発達の違いを感じ、私は悩んでいました。私は市が主催する、子どもの発達に悩みがある人を対象とした親子教室に通っていましたが、それとは別に児童発達支援施設というものがあることを知りました。私はその施設にも通いたいと思い、市の発達相談の窓口に連絡をしました。そして、窓口で手続きを進めていく中で紹介を受けたのが「相談事業所」です。そこは、子どもの発達に関する悩みを相談したり、地域の発達支援施設の情報を提供してくれたりするところで、けんとも契約をすることにしました。相談事業所の相談員さんに、けんとの様子を実際に見てもらいながらいろいろな話しをしていると、療育手帳を取得することを薦められました。その理由は……わが家が「転勤族だから」です。相談員さんから薦められた療育手帳の取得Upload By ゆきみ相談員さんのお話しによると、療育を受けるにあたり、療育手帳は必要ではないとのこと。しかし、地域によって療育を受けられる基準や、受けるまでの道のりが違うらしいのです。違う地域へ引っ越し、そこで療育を受けたい場合、療育手帳があると手続きがとてもスムーズにいくとのことでした。そのお話しを聞いた時、私はけんとが療育手帳を取得できると思っていませんでした。苦手なことはたくさんあるけれど、数字やパズルがとても得意で、3歳で2桁の足し算を理解しながら解けるようになってきていたので、知的障害があると思っていなかったからです。聞き取りの間、けんとの様子を見てくれていた相談員さんに「療育手帳、取得できると思いますか?」と、私が質問すると、「軽度か中度で取得できるんじゃないかと私は思います」と言われました。正直なところ私は、相談員さんの話を半信半疑のまま療育手帳を申請しました。そして、実際に発達検査を受けてみると、中度に近い軽度で取得。3歳で足し算ができることや、記憶力がいいことは、発達検査の数値と関係はないようです。発達年齢と実年齢のひらきにショックを感じ、落ち込みましたが、発達検査で分かった得意、不得意を通して、「現状を理解できた」という安心感が少し入り混じる、何とも言えない気持ちになったのを覚えています。Upload By ゆきみ療育手帳のメリット!引っ越し先でスムーズだった受給者証の手続きUpload By ゆきみついに引っ越しをする時がきました。療育を受けるに当たり必要な受給者証を、新しい居住地域の市役所に申請することに。長男けんとは療育手帳を持っていたため、市役所で提示するとすぐに申請ができました。言葉が遅い2歳の次男ゆうきも、以前の地域で療育に通っていたので、新しい地域でも受給者証の申請を行おうとしました。しかし、診断を受けておらず、療育手帳がなかったため、すぐに申請することができませんでした。次男ゆうきの場合、新しい地域で受給者証を申請するには、発達外来を予約し受診。医師に療育の必要があるという「意見書」を書いていただいて、それを市の窓口に提出する必要があったのです。新生活に加え、知人もいない中、情報もなく、新たな発達外来を探すことや、その予約を入れることはとても大変でした。けんとは療育手帳を持っていたため、申請がスムーズ。早く療育に通うことができたので、療育手帳を薦めてくださった相談員さんのお話通り! とても助かり感謝しました。6歳で療育手帳を返納、そして精神障害者保健福祉手帳を取得Upload By ゆきみコロナ禍による影響で更新時期が1年延び、6歳の時に療育手帳の更新で再び発達検査をすることに。結果は基準点を超え、療育手帳は対象外。返納となりました。わが家では、経験を積むチャレンジの一環として、水族館や博物館、公営公園、テーマパークなどレジャー施設によく行きます。その時に療育手帳を提示しての料金割引や、サービスを利用させていただいていました。そして、次の転勤で引っ越した先でもいろいろな手続きがスムーズに行くかもしれないと考え、精神障害者保健福祉手帳を申請してみることにしました。提出資料をつくるに当たって発達外来へ。主治医の先生に「取得できるかは分からないですが、申請してみましょう」と言われました。そして申請が通り、取得。現在は自閉スペクトラム症という診断を受けているので、診断書を病院で書いていただいて持っていけば、引っ越しの際、各種手続きはスムーズにいくと思います。でも、診断書は有効期限などがあるので、やはり手帳があったほうが、何かがあったときにすぐに提示できてありがたいなと感じます。療育手帳は返納となりましたが、けんとはたくさんの特性をもっています。今のところ、わが家の場合は手帳を取得して、ありがたかった経験ばかり。「取得しなければ良かった。」と思ったことは一度もありません。転勤先の地域によっては精神障害者保健福祉手帳が対象外になることもあるかもしれませんが、それまでの間、更新を希望していこうと思っています。執筆/ゆきみ(監修:室伏先生より)けんとくんが療育手帳を取得された経緯や、そのメリットについて共有くださりありがとうございます。療育手帳や精神障害者保健福祉手帳は、診断を受けたからといって必ず取得しなければならないものではないため、どうすべきか悩まれている親御さんも多いことと思いますので、とても重要なメッセージと思います。手帳は、障害者枠で配慮を受けながらの雇用を望む場合には必要になりますが、幼児期や学童期に手帳がないから療育が受けられないということは基本的にはないため、取得されていないお子さんもたくさんいらっしゃいます。いっぽうで、今回共有してくださったように転居や各種手続きの際にスムーズになる、料金割引がある、周囲の理解を得やすいなどのメリットを感じられて取得されているお子さんもたくさんいらっしゃいます。外来でご相談をお受けすることも多いのですが、「焦って取得する必要はないけれど、ご家族が心理的な抵抗などがないようであれば取得してデメリットはないと思います」とお伝えしています。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年11月29日医師の診断を受けるため、療育医療センターへUpload By プクティわが家の長男は、4歳の時に発達支援センターで知能検査を受け、精神年齢が約2歳遅れていることが分かりました。その際、IQの数値から「療育手帳」を申請することができると案内してもらいました。療育手帳を持っていると、今後いろいろと話がスムーズに進む場合が多いとのことだったので、さっそく申請することにしました。私たちの住んでいる自治体では、療育手帳の申請には「医師の診断書」の提出が必要でした。息子のことを詳しく診てもらいたかったこともあり、すぐに専門病院である療育医療センターに診察の予約をしました。しかし、発達支援センターや療育施設と同様、療育医療センターもとても混んでいるようで、診察の予約が取れたのは、最短で3ヶ月後だったのでした……。3ヶ月待ちの療育医療センター。いよいよ診察開始Upload By プクティ3ヶ月後、待ちに待った診察の日がやってきました。どのような診察が行われるのかドキドキしながら診察室へ……担当してくださったのは男の先生でした。診察室は特に普通の病院とは変わらず、ただ部屋の隅にちょっとした畳のスペースがありました。先生とのお話中、なかなかじっと座れずだらだらしている息子を見かねて、その畳のスペースでお絵描きさせてもらえることに。おかげで、息子はお絵描きに夢中になり大人しくしてくれていたので、私たちは先生とのお話に集中することができました。Upload By プクティ先生とのお話は、事前に記載しておいてほしいと言われていた息子に関する成長の記録と、知能検査の結果を元に進んでいきました。Upload By プクティ先生は非常に慣れているようで、息子の様子を少し見ただけで即座に判断していてすごく説得力がありました……。私たちが心配していた多動も集中力も心配ないとのことで、「好きなことへのめりこむ集中力があるのだから、集中できないことに関してはまだ楽しさを見いだせていないだけ。なので、周りが興味を持てるようサポートしていくことが必要」というお話でした。医師の診断結果は・・・?Upload By プクティそして診察の結果は、IQの低さや息子の様子から、ASDやADHDの疑いもなく、診断を出すとしたら知的発達症(知的障害)に該当するとのことでした。こうして診断名も分かり、診断書もいただき、無事療育手帳の申請をすることができたのでした。執筆/プクティ(監修:新美先生より)診断名決定と療育手帳取得についてのエピソードを聞かせていただきありがとうございます。療育手帳の取得の手順や基準は、都道府県によって若干異なることがあります。プクティさんの地域では、療育手帳取得のために、療育医療センターでの医師の診断が必須なんですね。プクティさんは、診察の日を「待ちに待った」と書いておられますから、息子さんについて有用なアセスメント、診断名が分かることに期待していたのですね。診断名が分かることで、息子さんについての見通しが持てたり、手帳を取得することで受けられる支援の幅が増えるなどメリットがありますよね。診断が出ること自体を不安に思ったり、手帳の取得を迷ったりする方もおられると思いますので、プクティさんのエピソードも一つの参考にしていただければと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月05日年中から始まった個別療育Upload By まるついに念願の個別療育が始まった。過去に記事にも書いたことがあるのだが、去年の夏頃から個別療育に行きたいと思い、見学を始めたのだがどこも定員がいっぱいだったり、都合の悪い時間帯1コマしか空いていなかったり……。結局、個別療育を始められたのが今年の4月からだったのだ。ちなみに、夏頃に3ヶ所ほど気になる療育施設の予約を入れて、どこも1月〜3月あたりに空きが出たと連絡がきたので、気になっている療育施設がある方は早めに見学に行って予約を取ることをおすすめしたい。現在は週1回の個別療育と月2回ほどのST(言語聴覚士)の授業を受けている。ひとり親で働きながらという事情もあり、2ヶ所も通えるのかと悩んだが、療育で他人との関わり方やルールを学び、STさんに発音や言葉の引き出しの増やし方を教えてほしいと思い親子で頑張って通っている。個別療育と集団療育の違いUpload By まるUpload By まる息子が行っていた集団療育は幼児数人でリトミックをしたり、功技台(はしごや滑り台などを組み合わせて、いろいろな運動ができる室内遊具)を使って体の動きなどをサポートして教えてくれる感じだった。集団療育だとお友達との関わり方や集団行動でのルールなどが強化できる印象があるが、まだ息子が今よりも幼かったこともあり、子どもたちがお互いにあまり興味がなく、そこまで他人との関わり方を学べる感じではなかった。個別療育はそれとは違って、息子のレベルに合わせたトレーニングをマンツーマンで細かく指導してくれる。椅子に座ってお絵描きやシール貼り、先生とゲームなどをやったり、体を動かすようにボールや平均台などを使用したりもする。ちなみにSTの授業は、基本的には椅子に座って行い、物の写真やイラストを見て名称を答えるゲーム形式のもの、発音の練習、鉛筆を使ってなぞり描きなどが主になっている。現在加配保育で保育園に通っていることもあり、集団でのルールなどは保育園で学ぶことができる。ある程度指示が入るようになってきた息子にとって、とてもいいタイミングで個別療育を受ける機会に恵まれたと思っている。息子の個別療育での様子Upload By まる現在通っている個別療育では、親は別室でモニターを見ながら療育の様子を見ることができる。1時間のうち45分が先生と息子との授業、残りの15分で保護者へ本日の授業の振り返りを行う。挨拶から始まり、絵本を読んだり先生とゲームをしたり体を動かしたりして過ごしている。その一つひとつにも息子との関わり方で勉強になるなぁと感じることが多い。例えば、絵本の読み聞かせをしながら、登場人物のおじいさんは今なにしてる?の問いかけに息子は答えることができないが、おじいさんは立ってる?座ってる?の問いかけには「座ってる!」と答えることができた。先生とゲームをした後に、今のゲーム楽しかった?悲しかった?の問いかけに「楽しかったー」と答えることができた……など、私も知らない息子の言葉を引き出してくれるのだ。おもちゃの順番の貸し借りなども「リュウちゃん使ったから次先生の番だね?貸してくれる?」の問いかけにすんなりとおもちゃを渡すなど、毎回私が『おお……こんなことできるんだ……』という発見がある。もちろん場合によって不機嫌になってしまうこともあるが、これはできるけど、これはできない、と息子の反応を注意深く見てくれて、この声かけ方法なら伝わるかなど息子に合った支援に繋げてくれているので、私は息子の成長がとても楽しみになっている。参考:施設情報執筆/まる(監修:新美先生より)個別療育の実際について詳しく教えて下さりありがとうございます。個別療育と集団療育、それぞれに目的があり、お子さんの特性や発達段階、療育以外の生活環境によってどちらが適しているかはさまざまです。個別療育では、お子さんの発達段階や興味に合わせて、マンツーマンで適した活動を行ってくれるというのがなによりいいですね。ほかのお子さんなどの刺激に左右されず、お子さんのその日のコンディションに合わせて対応してもらえるメリットもあります。個別療育では環境も関わり方も、お子さんに合わせてやっていただける分、普段見られないようなお子さんのベストパフォーマンスを見られるのもうれしいですね。普段の生活にも役に立つ、お子さんに適した環境設定や関わり方などを教えてもらえるのもいいです。保護者さんとの振り返り、相談の時間が設定してある場合、ちょっとした気になることなどを気軽に相談しやすいのもいいですね。まるさんが書いていただいたように、個別の療育で、お子さんのことをよく分かって専門的にアドバイスももらえることで、お子さんの成長をさらに楽しみに思えるのは何よりよかったと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月18日療育手帳って?発達障害娘は取得できるの?中学1年生の娘は、4歳の時に広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)と診断されました。コミュニケーション能力が低く、情報を聞き取ること、自分の考えを口に出してしゃべることが苦手な特性があります。発達障害の診断を受けている娘ですが、療育手帳は持っていません。というより、取得することができませんでした。※「療育手帳」とは、知的障害がある人に発行される障害者手帳です。自治体によっては「愛の手帳」「緑の手帳」という名前で発行されています。療育手帳を持つことで、療育や支援をはじめとしたさまざまな障害福祉サービスを受けることができます。娘は2歳から療育畑を歩いてきました。Upload By SAKURAしかし、恥ずかしながら私は、療育手帳の存在を、娘が小学生になるまで知りませんでした。放課後等デイサービスに通うために必要な「受給者証」というものが、療育手帳と似たようなものだと勘違いしていたこともあります。Upload By SAKURA小学生になると「療育手帳持ってる?」と聞かれることが増え、「あれ?持っていないとまずいものなのかな?」と思い始めました。Upload By SAKURA療育手帳の取得方法を調べてみると……療育手帳の存在をちゃんと知らなかった私は、「取れるものなら取ろうかな」とその時は軽く思いました。Upload By SAKURAあとから知ったのですが、この療育手帳の取得は、親御さんにとって、「障害を認めたことになるようで、取得を躊躇する」ということがあるようでした。Upload By SAKURA私は、グレーゾーンの時から「早く診断名がついてほしい」と思っていましたし、療育手帳の存在は、診断を受けて3、4年経ってから知りました。躊躇することはまったくなく、前向きな気持ちでした。Upload By SAKURAそれから私は、療育手帳を取るため、取得方法を調べました。しかし、知的障害がない場合、療育手帳は取得はできないということが分かりました。※療育手帳は、各自治体によって療育手帳の取得基準や、受けられるサービスが違います。Upload By SAKURAそれ以降も、療育手帳について聞かれる場面はありましたが、「娘の場合、取れないみたいです」と答えていました。その後、娘が小学6年生の時、中学に向けて発達テストを受けることになり、テスト結果と(特別支援学級の在籍に必要な)診断書をもらうため、発達外来の受診をした時、療育手帳について確認してみると……Upload By SAKURA娘は療育手帳も精神障害者保健福祉手帳も取得はできないと言われました。やっぱり……。事前に調べていたので、確認のため……という感じの質問でしたが、帰宅後、私はふと思いました。障害者手帳が取得できない=困りごとがない訳ではないのに……Upload By SAKURAじゃあ……障害者手帳を取得できない娘は……どの位置にいるのだろうか。昔……まだ娘に診断がついていないグレーゾーンの時、発達障害なのか、そうではないのかという、中途半端な位置がとても嫌でした。その時のことを思い出しました。娘は知的障害がありません。IQも通常範囲内。しかし、しゃべれば、言葉の並びがぐちゃぐちゃだし、出てこない言葉も多い。口頭の指示は、一度では絶対に聞き取ることができないし、言われたことを覚えるのもとても苦手で、すぐに忘れてしまいます。Upload By SAKURA相手の立場になって考えることが苦手で、空気が読めないため、信じられないタイミングで、とても感じが悪いことを言ってしまうこともよくあります。自分の中の感情や、思いついた言葉を頭に留めておくことができないので、叱られているのにニヤニヤしてしまったり、一人でぶつぶつと独り言を続けてしまうこともあります。Upload By SAKURA娘は発達障害ではあるけど、障害者手帳を取得する基準にない……。今まで、手帳を持っていなくて、損したことや、受けたいけど受けられない福祉サービスがあったわけではありません。しかし、娘には、苦手なこと、困りごとが多くあります。それを証明する代わりになるような手帳は、持たせてもらえないのか……と思いました。知的障害がなくても、困っていないわけではありません。どうやってもできないことがあります。娘が大きくなった時、コミュニケーション面でなにか困ったら……。Upload By SAKURAなんてことにならないか……。考えすぎかもしれませんが、言葉で説明できない娘が心配になりました。知的障害がなくても、困ってること、助けて欲しいことはあります。日常生活に支障をきたすほどのパニックがなくても、冷静に対応できるわけではありません。そのことを証明するような……それぞれの特性や、困りごとにそった手帳があるといいのになーと思います。執筆/SAKURA(監修:新美先生より)療育手帳取得にまつわる、いろいろな思いを聞かせてくださりありがとうございます。あまりいいことではないと思いますが、療育手帳や精神障害者保健福祉手帳の取得基準については、地域による違いがあったりして、なかなかコメントがしにくいところがあります。多くの自治体において、療育手帳は原則として知的障害のある方が対象ですが、地域によっては発達障害がある場合、知的障害の基準が緩和されることもあるようです。知的障害を伴わない発達障害の方の場合、コラム内の漫画にも書いてありましたが、精神障害者保健福祉手帳が取得できる場合があります。これについても地域による基準がまちまちだったり、時代によって変化してきていることもあります。発達障害特性があって、生活面で何らかのサポートが必要な場合、精神障害者保健福祉手帳は取得できる可能性は十分にあります。一般的に、義務教育年代は、障害者手帳がなくても多くの福祉サービスは、コラムにあったように受給者証があれば利用できることが多いので、必要性をそこまで感じないかもしれません。ですが義務教育年代以降、福祉サービスを利用するためには、障害者手帳が必要になる場面が多くなります。こうしたことから義務教育年代を主に担当する支援者が精神障害者保健福祉手帳の取得は重度なケースのみと認識している地域でも、成人期にはもう少し柔軟に取得できる幅が広がるということもあるかもしれません。この先義務教育年代以降、就労などにあたって、精神障害者保健福祉手帳があったほうがいいと考える場合は、改めて地域の相談窓口等に当たってみてもいいかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月04日家族の休日の過ごし方が豊かに!困りごとも解消!Upload By べっこうあめアマミ私の息子は重度知的障害として、東京都から「愛の手帳」の2度の判定を受けています。「愛の手帳」というのは東京都が交付する療育手帳の呼称で、障害の程度を示す等級は、・軽度4度・中度3度・重度2度・最重度1度となっています。「A1」「B1」などとアルファベット付きの等級名を使う地方自治体が多いことを考えると、少しめずらしいかもしれませんね。息子が初めて手帳を取得した年長の時は中度の3度でしたが、小学校入学後に再度判定を受けに行くと、重度である2度になっていました。就学前の就学相談の時点で教育委員会から「重度知的障害」と言われていたので、最初に判定を受けた時は幼かったのもあり、少し軽めに判定されたのかもしれません。手帳の等級が重くなればなるほど、受けられるサービスは手厚くなります。特に私の経験上、中度から重度に変わるところで、支援内容が大きくランクアップしたように感じました。中度の手帳を持っていた時から手帳の便利さは感じていましたが、重度判定の手帳をもらって、その存在感はより大きくなったからです。息子を含めた家族の毎日が、以前より過ごしやすくなり、困りごとの多くが解消されたと感じています。具体的に何が助かっているの?Upload By べっこうあめアマミ療育手帳を持っていると助かるとか、いろいろなメリットがあるという情報はよく出回っていますが、具体的に何がどう助かっているのか?イメージしづらい人もいると思います。なぜなら、療育手帳制度は地域差が大きいので、インターネットで調べても具体的なことは断定しづらいからです。そこで、あくまでわが家の息子が利用しているサービスや支援について、具体的にお伝えしたいと思います。実際に手帳で受けられるサービスは、分厚い冊子1冊で語られるほど種類が多く、対象者の規定も細かいです。そのため、その全てを理解し、利用するのはかなり難しいのではないかと思います。本人の年齢や家庭環境によっても必要な支援やサービスは変わるでしょう。あくまで一例ではありますが、小学生の息子がいるわが家が今、「これは助かる!」と思って利用しているサービスのみに絞ってお伝えしたいと思います。息子が、私たち親の代わりにヘルパーさんに付き添ってもらって外出する、移動支援の利用。そして、夜間の宿泊込みで息子を預かってもらう短期入所の利用。これらは手帳とは別にそれぞれ受給者証の取得も必要になりますが、非常に助かる福祉サービスです。移動支援も短期入所も施設を探すハードルが高く、利用までは時間がかかりますが、障害がある子どもの付き添いや預け先を確保しておく安心感ははかりしれません。手帳を提示すると、駐車場料金が無料になる都立公園は非常に多いです。公園以外でも、都立のレジャー施設の入場料などが同伴者含め無料になったり割引になったりします。民間のレジャー施設の入場料も手帳の提示で割引になることが多いため、休日のお出かけに手帳は必須の持ち物です。知的障害や発達障害などがある子どもとのお出かけでは、レジャー施設に行っても何かしら本人にひっかかるところがあって入れなかったり、癇癪を起こして早々に出ることになる場合もあるでしょう。しかし、入場料が無料であれば、親としても気軽に「行ってみようか」と誘えますし、無理せずサッと帰ったり、何度も入りなおしたりできるのが非常に助かります。・タクシー券の配布(重度から)※所得額などにより支給制限があります・駐車禁止等除外標章の交付(重度から)・都営地下鉄、都営バスなど都営交通の利用料が無料・有料道路の通行料金割引(ETC利用も)・JR、私鉄の旅客運賃の割引などの移動の際に使えるサービスも助かります。これらのサービスは、レジャー施設と同じように、本人の気分が乗らなければサッと移動しようというフットワークが軽くなるのがうれしいところです。駐車禁止等除外標章をもらえると、いくつかの定めに沿った場所であれば路上に車を停めておけるので、子どもの送迎などの際に助かります。東京は駐車場が少なく、学校、放課後等デイサービス、福祉施設や病院も駐車場がないところがほとんどなので、持っておくと特にありがたみを感じます。手帳を持っていると、等級に応じてさまざまな手当を申請できます。所得制限の基準などもあり、必ずしももらえるとは限りませんが、何かとお金がかかる障害児育児を金銭面で助けてくれます。自動車税や軽自動車税の減免や、所得税や住民税の障害者控除などが受けられます。どこまで受けられるかは障害の等級によりますが、手帳を取得したなら申請しておくに越したことはありません。注意!手帳は地域差が大きい&障害の程度でサービス内容が大きく変わるUpload By べっこうあめアマミここまで療育手帳について詳しく書いてきましたが、ここで書いているのは、あくまでわが家の息子の場合です。具体的には、東京都が交付する療育手帳、「愛の手帳」の2度(重度)判定で受けられる支援やサービスの中で、息子の家庭環境や状態に適応しているサービスです。そして、わが家もすべてのサービスを利用しているわけではなく、必要なものを選択して利用しています。療育手帳の運用は地方自治体に任されているため、先にもお伝えした通り、療育手帳は障害者手帳の中でも特に地域差が大きいです。そのため、すべての地域で同様のサービスが保証されてはいません。その上、障害の程度によっても状況は全く変わります。ただ、おおまかな内容は似ていると思うので、「こんなことはできるのか?」と気になることがあれば、ぜひご自分の地域の障害福祉課などにお問い合わせください。手帳がないと、障害児育児はより一層ハードモード…持っていて損はないUpload By べっこうあめアマミちなみに、はじめて息子の手帳を取得した時は、不覚にもショックで涙した私でしたが、重度判定を受けた時は特に何も出てこず、無の感情でした。しかし、「実際の障害の程度は重度なのに受けられる支援は中度」なんていう不条理な状況を脱することができたことには心底安心しました。もちろん、両手をあげてバンザイ!と言えるほど喜べるわけではありませんでしたが、今以上に障害児育児が楽になると思うと、それは喜ばしいことだったのです。とはいえ、障害の等級が重くなったことに変わりはありません。息子が重度判定を受けた日、なんともいえない複雑な空気で児童相談所をあとにした私たち。そんなモヤモヤを察した夫が、「じゃあ景気づけに焼肉行こう!」と言って空気を変えてくれたのがなんとなく救いでした。夫の一声で、家族みんな楽しくわいわいモードになり、ポジティブな気持ちで一日を締めることができました。その後の毎日も、息子が重度判定になって受けられるようになった支援を存分に使って生活しています。障害児育児は大変です。でも、手帳を持っていないとその毎日はより一層ハードモードになるでしょう。少しでも負担を減らして生きていくために、使えるものは使ったほうがいいんじゃないか、手帳は持っていて損はないものなんじゃないかというのが、私の気持ちです。執筆/べっこうあめアマミ(監修:初川先生より)療育手帳の活用法を具体的にシェアしてくださりありがとうございます。手帳取得をめぐっては葛藤を感じられる方も多いので、手帳取得の思い、判定が変化した際の思いも含めて聞かせていただき、とても参考になりました。さまざまなサービスを受けられるからぜひ取得したらとすすめられることが実際には多いのではと感じますが、アマミさんが書かれていたようにお子さんの気分が乗らない、癇癪を起こしたなどでも、心の面からしてもさっと引き上げられるというメリットがあるのですね。さまざまなところでお子さんにとって良い経験をさせてあげたいと思って外出されたり、療育や通院で必要に迫られて移動したりする際に、移動(交通費、駐車料金)や入場料などの負担が少ないのは長期的に見て、また外出しようという行動を維持しやすいですね。実際の活用法は自治体によって、障害の度合いによっても違うと思います。お住まいの自治体の障害福祉課にまずは話を聞きに行くところから情報収集していだければと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年08月23日「手帳は持っていますか?」何のことか分からずポカーン…初めて知った療育手帳の存在私が初めて療育手帳の存在を知ったのは、息子が3歳のときでした。引っ越し先の発達支援センターに、療育を受けたいと相談しに行ったところ、相談支援員の先生から、サラッと「手帳は持っていますか?」と聞かれたのです。先生は、何てことない質問の1つとして聞いただけのようでしたが、当時の私が「手帳」という言葉で連想するのは「スケジュール帳」。あまりピンとこず、ポカーンとしてしまったのを覚えています。息子は1歳半から発達相談に行っており、2歳から療育にも通っていたため、引っ越し前の自治体でも発達支援センターには何度も足を運んでいました。しかし、引っ越す前の自治体では、どこにも私に療育手帳の存在を知らせてくれる人はいなかったのです。このように対応に差があったのは、息子の年齢が幼かったこと、自治体ごとの方針の違いなど、理由はいろいろあったのだろうと思います。しかし私はその日、療育手帳にまつわる多くの福祉関係の情報を、一気に知ることができたのです。引っ越し先の自治体の発達支援センターの相談支援員さんからは、「息子さんくらいの発達の遅れだと、療育手帳がとれないことはないと思う」とはっきり言われたのを覚えています。そのくらい、息子の発達は遅れていました。しかし、すぐに療育手帳の取得を決めることもできず、とりあえず保留の状態で数ヶ月を過ごしました。Upload By べっこうあめアマミ療育手帳って何?取得するメリットは?療育手帳は、3種類ある障害者手帳の中の1つです。障害者手帳は、・身体の機能に一定以上の障害がある人が取得できる「身体障害者手帳」・知的障害のある人が取得できる「療育手帳」(名称は自治体によって違うことがあります)・一定の精神障害の状態にある人が取得できる「精神障害者保健福祉手帳」(発達障害も対象になります)の3種類あります。息子が取得を検討していたのはこのうちの「療育手帳」でした。療育手帳制度は自治体ごとに運用しているので、取得の流れや等級の判定基準、名称、受けられる支援など、地域差が大きいです。しかし、いずれにしろ、取得しているとさまざまな福祉サービスを受けられることに変わりはありません。療育手帳を持っているかどうかで線引きされてしまうので、同じくらいの困りごとを抱えていても、持っているかどうかで受けられる支援に大きな差が出てしまうのです。そのため、療育手帳を取得するメリットは大いにあると思います。療育手帳のデメリットとは?Upload By べっこうあめアマミでは、逆に療育手帳を取得するデメリットはないのでしょうか?実は、私は息子が療育手帳を取得することになかなか踏ん切りがつかず、「療育手帳の情報を得たい」と言いながら、デメリットを探しにいっていたような時期がありました。しかし、どんなに探しても、療育手帳を取得することにこれといったデメリットはなかったのです。しいて言えば、「息子の障害を認めること」。これに尽きると思います。療育手帳を持っていることは自分から言わなければ誰にも知られませんし、使わなければ提示を求められることもありません。しかし、公的に「障害者」だと証明されることに違いはないのです。ですから、手帳の取得に躊躇してしまうのは、主に気持ちの問題かと思います。息子に障害の診断が出たときが、手帳取得のきっかけになったUpload By べっこうあめアマミすぐには息子の療育手帳の取得に動き出せなかった私ですが、その年の12月、息子が4歳になったとき、きっかけになる出来事がありました。息子が、発達検査で医師から正式に、「知的障害を伴う自閉スペクトラム症」と診断されたのです。息子が1歳の終わりころから通っていた病院の主治医の診断でしたし、私も薄々、「何もないわけではないだろう」とは思っていました。しかし、まだどこかで「障害」という言葉を受け入れられない自分がいたのです。それが、白黒はっきりしてしまいました。当時はものすごく落ち込み、将来への不安で頭がいっぱいになりました。しかし、ちょうどときを同じくして、私には同じ療育に通う、息子と同じような障害がある子どもを育てるママ友ができたのです。同じ立場にある仲間と過ごす時間の中で、自然と気持ちも和らいでいきました。さらにママ友同士で話す中で、私が躊躇していた療育手帳も、意外とみんな持っているんだということも知りました。このように、私はタイミングよく人に恵まれて、幸運だったと思います。ショックが大きかった障害の診断も、「息子に知的障害があることは変わらない事実なのだから、息子のためにできるだけのことをしよう」と切り替えられるようになりました。そして、療育手帳の取得に向けて、前向きに検討しだしたのです。療育手帳が手元に届いた日、突きつけられた現実に涙「息子は障害者なんだ」Upload By べっこうあめアマミ息子に障害の診断が出てから約4ヶ月後の4月、ようやく私と息子は療育手帳の判定を受けに、児童相談所に行きました。療育手帳は、18歳未満の子どもの場合は児童相談所で発達検査や診断などを受け、取得の可否や障害等級の判定がなされます。私も児童相談所に予約を取り、指定された日に息子と一緒に出かけました。息子はその日の時点で「中等度知的障害」を示す等級で、療育手帳の交付の判定を受けました。息子に知的障害があることは、すでに知っていたことです。そのため、私もその日はそこまで落ち込まずに帰ったのですが、その後、意外な感情の起伏がありました。療育手帳はその場でもらえるわけではなく、判定を受けてしばらくしてから自宅に届きます。児童相談所に行ってしばらくたったある日、わが家にも息子の療育手帳が届きました。すると、初めて息子の顔写真が載った実物の療育手帳を見たとき、私の目からふいに涙がこぼれたのです。頭では分かっていても、実際に手にすると、「息子は障害者なんだ」という現実を突きつけられたようで、複雑な気持ちを抑えきれなくなってしまったのを覚えています。手帳の取得に後悔はゼロ!息子と私たち家族を助ける後ろ盾のような存在息子は今8歳になりました。特別支援学校に通う小学3年生です。障害の診断が出て、療育手帳の取得を決め、手元に届いた療育手帳に涙した日はもはや4年前。今の私たち家族の生活にとって、息子の療育手帳はなくてはならない存在です。療育手帳によって受けられる福祉サービスで、息子も私たち家族も、安定した生活を送ることができています。療育手帳の取得に迷ったこともありましたが、今の私がはっきり言えるのは、「療育手帳の取得に後悔はゼロ!」だということです。もし、少しでも手帳に興味がある方がいたら、まずは自治体の障害福祉課や、発達支援センターなどに問い合わせてみてください。このコラムが、誰かの困りごとを少しでも減らす後押しになったらうれしく思います。執筆/べっこうあめアマミ(監修:藤井先生より)療育手帳は、療育などの児童発達支援を受けている方の全てが取得しているわけでもないので、ご存知ない方も多くいらっしゃいます。べっこうあめアマミさんが、療育手帳について書いてくださったことで、取得に迷われている方や、知らずに福祉サービスが受けられないと困っている方にとって、後押しになったと思います。ありがとうございます。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年07月23日最初は学校の先生に指摘されゆいが発達の検査を受けたきっかけは、小学4年生のころに担任の先生にすすめられたからです。それまでの私は、ゆいが勉強や新しい環境が苦手なことを、本気で個性の範疇だと考えていました。本人には「気にすることないよ、そんなこともあるよ」と言い、成長していけば「そのうち何とかなるだろう」と呑気に構えていたのです。そんな考えでいたところ、担任の先生に発達の検査をすすめられたので、頭を殴られたような衝撃でした。まるで「母親失格」と言われたように感じてしまいました。わが子がこんなにも困っていたのに、なんで私は呑気に構えていたのでしょう。猛省しましたが今までの時間は戻ってはきません。ここから私は「何かしなきゃ」と焦ることになります。Upload By 吉田いらこそして母は「検索魔」になるそこからは、インターネットで検索を繰り返す日々でした。そのときにLITALICO発達ナビにもたどり着きました。当時の私は子どもと向き合うよりもスマホとにらめっこしていた時間の方が長かったと思います。どんな福祉制度があるのか、ほかの人たちは子どもとどのような関わり方をし、子どもはどんな進路を選んだのか。社会に出てからはどうしているのか、40代、60代になったころは…。当時夫は単身赴任中で、いつでも連絡が取れる状況とはいえ全部を私一人で背負っている感覚になっていました。「別にそこまで気にするほどではない」というスタンスの夫に対して「この人は何も分かっていない」と腹が立ち、一人ですべてを決めて突っ走っていたと思います。Upload By 吉田いらこ発達障害のセミナーを受講してみたけれどもっと知識をつけなければとインターネットで検索を続けていたところ、発達障害のある子どもを育てる保護者向けのセミナーを見つけ受講しました。検索していたとき、知的障害に関するセミナーは見つけられなかったのですが、発達障害に関するセミナーはたくさん見つけることができました(それだけ需要が多いのかもしれないと感じました)。そのセミナーでは障害にまつわる特性の具体的な対処法を学ぶのではなく、受講者(保護者)の意識改革をメインにしているようでした。育児の最終目標は何か、そこに到達するには今までの考え方をどう変えていくか…といった話が続きます。ビジネスセミナーのように目的が明確で勉強になると思ったのですが、そこで「こういう育て方だから特性が出てしまったのだ」という話題が出て、その例がまるで自分に言われているような気がして落ち込み、1回で受講をやめてしまいました。Upload By 吉田いらこわが子の障害との向き合い方、答えは身近にあったセミナーを受講しては落ち込み、「夫は分かっていない」と腹を立て、「何かしなきゃ、何かしなきゃ」といつもせき立てられるような気持ちでいました。完全に子ども本人を置いてけぼりにしていました。そんなときに私の妹に言われたことがあります。「お姉ちゃんは先回りしすぎてゆいちゃんの可能性をつぶしているような気がするよ。もっと気楽に構えてもいいんじゃない?」第三者から見ると、私が最初に自分自身が気を抜きすぎていたことを恥じて、今度は逆に縛りをきつくしすぎているように感じたようです。私は数年先のゆいの進路を見すえすぎて、通える可能性のある学校をピックアップしたり、教科をチェックしたりしていました。ゆいはまだ中学校にも通っていないのに、本人の希望は全く無視をして…。そんな私の気持ちを妹が落ち着かせてくれた気がします。それからは、現在の状況も見つつ本人と相談しながら進路を探したりしています。あのころから4年たった今も模索中ですが、これから「ちょうどいいところ」を見つけていけたらと思っています。執筆/吉田いらこ(監修:新美先生より)自分の子どもに、いきなり何らかの「診断名」がついたとき、親としてびっくりしてしまい、何かできることがないかと焦ってしまうことはありますよね。インターネットで検索を始めると、キリがないぐらいさまざまな情報にあふれていて、何がわが子にとって適切な情報なのか取捨選択が難しいこともあります。セミナーなどを受講されるとは、吉田さんはとても勉強熱心ですね。わが子のためにできることは何があるのかという強い思いがあふれています。セミナーや学習会であっても必ずしも適切な内容でないこともあるし、また講師と受講者の相性やタイミングが合わなくて、かえって苦しくなったりつらくなったりすることもあるものです。いろいろな情報を集めよう、学ぼうという姿勢はとても素晴らしいと思いますが、聞いてみてなるほどと思い、元気になれる前向きになれる情報だけを受け取っていきましょう。吉田さんが、「答えは身近にあった」と書いていただいているように、まずは診断や検査結果を一つの観点として、お子さんが何をすると元気になり、笑顔になり、何をすると大変そうにしているかなとよく見ていきながら、お子さんのことを知っている専門家(医師など)に、具体的に相談していくというのも大切にしていくとよいと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年07月10日■前回のあらすじ義父も義母もゆいの診断結果を受け入れてくれて、私は安心する。しかし、義母から「うちの家系にはそういう人はいなかった」と言われ、私は「全部自分のせいなんだ」と自分を責めてばかりいました。■私ができることは…■よし、頑張っていこうこれで療育手帳を取得した話は終わりです。現実はいろんなことがスッキリしないし、感動的なことも何もない…。これからもいろいろあると思いますがとりあえず次へ進んで行こうと思います。
2023年07月07日■前回のあらすじゆいのことを話すと、義父から「もっと早くわかってたらいろいろ対処できたんじゃないか」と言われ苦しくなる私。しかし、意外にも「できることをやっていかないと」と受け入れる姿勢を義父が示し…。■あの子は何も変わらない■うちの家系にはいない!?義両親の、ゆいへの想いに涙が出そうになる私だったが、そのあと義母が発した言葉に凍りつき…。しかし、そのときの私は「全部私のせい」と、なんの知識も根拠もなく感じていました。次回に続く「療育手帳を取得した話」(全38話)は12時更新!
2023年07月06日■前回のあらすじ夫の親族は有名大学を出ている人ばかり。義父は教育熱心で、ゆいの出産後、「絵本1万回読み聞かせのススメ」という資料を渡されたことも。しかし、私はここまで教育に熱心になろうとは思えず…。■成績が下がるのは誰のせい?■義母からフォローを受け…思い返せば、こんなこともありました。ゆいの成績が下がった頃、成績表を見た義父から「もっとちゃんと勉強させた方がいい」「落ちこぼれるのは親のせいだ」と言われたのです。義母は「気にすることはない」と言ってくれましたが、こんなエピソードがあったからこそ、義父にゆいが療育手帳を取得したことを話すのは不安で…。次回に続く「療育手帳を取得した話」(全38話)は12時更新!
2023年07月04日■前回のあらすじ義両親にもゆいの発達検査の結果を報告しようと、私は義実家を訪問。私の話を聞いた義母は「ウソでしょ?」と驚きすぐには真実を受け入れることができない様子だったが、私が怖いのは義父の反応で…。■夫の家系は優秀で…■特に義父とは温度差があり…夫側の親族は優秀な人が多く、有名大学を出ている人ばかりでした。中でも義父は教育熱心な人で、ゆいを出産後、私は義父から「絵本1万回読み聞かせのススメ」という資料を見せられたことがあり…。私は義父との間に、子育てに対する考え方について温度差を感じ、苦手意識を持っていたのでした。次回に続く「療育手帳を取得した話」(全38話)は12時更新!
2023年07月03日■前回のあらすじ療育手帳のメリットを夫に話すが、「もう少ししたら周りに追いつくかも」という夫。我が子の障がいを認めなくてはならないつらさはあるけれど、ゆいのために行動することが大事だと強い想いを伝えるが…。■長女のことを思う気持ちは同じ■普通って何!?夫から出た「普通のルートから外れて将来どうなる?」の言葉。普通のルートって何なの!?長女の将来を思う気持ちは一緒だけど、私は今のこの時期だって大事だと思う。だから「絶対今のあの子のためになるから手帳の申請をする」と、押し通すのでした。次回に続く「療育手帳を取得した話」(全38話)は12時更新!
2023年06月29日■前回のあらすじ単身赴任中の夫に、ゆいが軽度知的障がいで療育手帳の取得を勧められたことを報告。すると夫は「様子見でいいんじゃない?」と言うが、ゆいが高学年であることが引っ掛かり…。■もう少ししたら追いつく!?■長女のために私たちがすべきこと様子見にしたい気持ちはわかる。障がいを認めたくない気持ちも…。でも、私たちがそういう気持ちを乗り越えて行動できたら、ゆいが生きやすくなると思ったのです。次回に続く「療育手帳を取得した話」(全38話)は12時更新!
2023年06月28日■前回のあらすじ療育手帳の取得を勧められるも、療育手帳とは何なのかわからず混乱する私。帰り道に調べると、療育手帳は知的障がいと判定された人の手帳であることがわかり、これからどうすればいいのかと頭を抱えるのでした。■やさしくされていたら…■私じゃなかったら…私じゃなくて、もっとしっかりした人がゆいの母親だったら…。そしたらもっと早く気付いて適切な対応ができていたはず。私は自分を責めることしかできなくて…。次回に続く「療育手帳を取得した話」(全38話)は12時更新!
2023年06月26日■前回のあらすじ検査結果によると、ゆいは実年齢より2歳ほど発達の開きがあるそうで、療育手帳の取得を勧められる。これまでの対応に後悔する中、「この結果を見てどう思われますか?」と問われるが混乱して答えられず…。■ADHDや場面緘黙は?■障がいについては…?実年齢に比べ発達に開きがあることはわかったものの、私が調べて疑ったADHDや場面緘黙については児童精神科などを受診しないとわからないとのこと。では一体、療育手帳は何を証明するもので、何に使えるものなのか?調べると「知的障がいが判定された方に発行される手帳」と書かれていて、私はショックを受けながらも、これからのことをちゃんと考えねばと思うのでした。次回に続く「療育手帳を取得した話」(全38話)は12時更新!
2023年06月25日■前回のあらすじ発達検査の日。緊張した表情のゆいを見て、検査に答えられるのか不安になる。その後は保護者のヒアリング。そこには現状を伝えながらも、少しでもフォローを入れてしまう自分がいた。そして検査結果が…。■長女、緊張してる!■次は保護者のヒアリング成績が気になって勉強系の習いごとをさせていたけれど、まず検査をやるべきだったんだ…。いつか本人にやる気が出たら変わるものだと思っていたのです。検査結果を受けて意見を求められましたが、状況を受け入れるのが精一杯でした…。次回に続く「療育手帳を取得した話」(全38話)は12時更新!
2023年06月24日「仕事しないで家にずっといればいい」そう言われても…。親なきあと、私はどうなるの?私は、幼いころから衝動性が強い子どもでした。ですが当時は発達障害についての社会の理解が低かったこと、また両親も私のそんな特性に気づかなかったこともあり、ADHDの診断を受けることはありませんでした。短大を卒業し就職しましたが、仕事自体はできても環境になじめずにすぐに辞めて…を繰り返すようになりました。「なんでうまくいかないんだろう」「私ってダメなのかな」と感じる場面は日に日に増えていき、そんな中私は「こんなにうまくいかないのには、何か理由があるのかもしれない」と感じるようになりました。そんな私に同居している両親は、「仕事なんてしないで家にずっといればいい。体調が悪ければ家で寝ていればいい」と言います。ですが、そんなことを言われても、親がいなくなったら私はどうなるの?という焦り、不安、心配に押しつぶされそうな毎日でした。私は、自立をするためには働かなければならないと決意しました。「病院で診断を受け、精神障害者保健福祉手帳を取得、その後就労移行支援を受けて就業する」という目標を立て、行動を始めたのです。Upload By ユーザー体験談自分の人生を生きたい!でも、手帳取得、就労移行支援に大反対する両親私は精神科を受診し、ついにADHDの診断を受けました。そして、精神障害者保健福祉手帳を申請する段階となったときに、そのことを両親に伝えました。ところが、両親は手帳取得も就労移行支援事業所に通うことにも大反対!しかもADHDの診断も認めない!と言うのです。「おまえは障害者じゃない。精神科に通うのはやめてくれ」「手帳を取るのも自分たちがなくなってからにしてくれ。おまえくらい養うから」その言葉は、到底受け入れられるものではありませんでした。私は仕事をしたい!何より自分の人生を生きたい!人生で初めて、親に対して抵抗をしました。Upload By ユーザー体験談私に障害があると認めたくない両親に、私は手帳を取るために必死にプレゼンをしました。発達障害、特性、生きづらさについて、そしてこれらにどのような支援があるか、資料を広げて詳しく説明をしました。すると、資料を見ていた父が突然、父自身に自閉スペクトラム症の特性があるかもしれないと、つぶやいたのです。そして後日、私の精神科の受診に父も同行することになりました。話を聞いてくれた主治医は、「お父さんには自閉スペクトラム症の特性がありますね」と言いました。昔から父は、ほかの人に何か言われても全く気にしないタイプでした。私は、父にもやっぱり特性があるんだと、改めて感じました。私の手帳取得に反対するのも、この特性がかかわっているのかもしれないとも…。その後、双極性感情障害の診断も受け精神障害者保健福祉手帳を取得した私は、グループホームを検討したいと思うようになりました。そこで、主治医に意見書を書いてもらう機会があったのですが、そこには『父親に自閉スペクトラム症の特性あり。父親による決めつけなどの精神的負荷が大きく、早く別居してグループホームに入居した方がよい』と書かれていました。父はこの意見書を読み、さすがに思うところがあったようで、その後は私の障害ややることについて過度に干渉することはなくなりました。Upload By ユーザー体験談自分の人生を大切にしていきたい。いつかグループホームを検討しています昨年、家のルールについて父と対立し、「出ていけ!」と言われたためウィークリーマンションを借りて一時別居した時期がありました。その生活のなんて快適なこと!ストレスの原因は、過干渉な両親だったんだな…とつくづく感じる結果になりました。その後、高齢の両親が心配になり実家に戻ったのですが、同じ敷地内でも住む建物を別にしたので、両親との距離を取りながらなんとか暮らしています。私は、企業に勤めています。就労移行支援事業所に2年通い、就職することができました。リモートワークができる会社なので、在宅で仕事をしているのですが、その仕事時間中にも両親が私の部屋へ来ることがあり困っていました。「◎◎を買ってきて」など、業務中にできないお願いをしてくるので、やめて欲しいと何回も注意したら、最近ようやく来なくなりました。一度、ウィークリーマンションを借りて別居したことも、よいきっかけになったのかもしれません。今後は両親とよい距離感をたもちつつ、将来はグループホームを検討して、自分の人生を大切にして暮らしていきたいと思っています。Upload By ユーザー体験談イラスト/吉田いらこエピソード参考/はっちゃん(監修:鈴木先生)神経発達症(発達障がい)に対する社会の無理解やSNSによる情報が広まったことで「診断を受けないまま大人になってしまった神経発達症」の方の受診が増えています。障がいを認めたくない親御さんの元で育ったため、まだ診断のついていない方が藁をもつかむ心境で相談に来られています。たとえ母親と受診したとしても、特性の強い父親などは外来へは一緒に来ない場合も多いです。子どもの障がいを認めたくないのと、自分の特性についてとやかく言われたくないからだと思います。お子さんに対する投薬や部活などに関しても反対するケースが多くみられます。精神障害者保健福祉手帳は取得することで、さまざまな補助が得られます。私のクリニックでは、主にマル福(医療福祉費支給制度)(※)が過ぎた18歳以上の方に書いています。診断名はASD+ADHDで書くことが多いです。手帳は「障害」ですが、ご本人には「ASDは特性、ADHDは慢性疾患」だとお伝えしています。(※)茨城県において、小児・妊産婦・ひとり親家庭・重度心身障害者などの医療福祉受給対 象者の方が、医療保険で病院などにかかった場合の一部負担金相当額を公費で助成し、医療費の負担を軽減 する制度コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月22日■前回のあらすじ先生の話によると、ゆいは授業について行けない様子。先生に発達検査を勧めてもらうが、素直に受け入れられず…。すると加配の先生から長女を「普通という小さい箱に入れようとしていませんか?」と言われたのでした。■長女のためになることを■私の気のせいではないんだ…先生から、発達検査でゆいが困っていることの手がかりがわかるかもしれないと言われ…。「やっぱりゆいには何か問題があるんだ」「私の気のせいじゃないんだ」と、ショックを受けながらもそれを受け入れ、検査を受けてみようという気持ちになっていったのです。次回に続く「療育手帳を取得した話」(全38話)は12時更新!
2023年06月21日■前回のあらすじ加配の先生同席のもと、担任の先生からゆいの様子を聞くと、授業中「スイッチが切れている状態」で、授業の進度についていけていないとのこと。一体どういうことなのか…。■先生が勧めたのは…■突然のことで受け入れられない発達検査を勧められたことを、すぐに受け入れられなかったのだと思います。そして加配の先生から「お子さんを『普通』という小さい箱に入れようとしていませんか?」と言われ、私は…。次回に続く「療育手帳を取得した話」(全38話)は12時更新!
2023年06月20日■前回のあらすじゆいの人見知りが不安になった私は「何かあるのかも」と思いネットで検索をしてみると、HSC、場面緘黙は当てはまることがあるように感じる。そんなとき、担任の先生から話したいことがあると連絡があり…。■不安を抱え学校へ■そこにいたのは…ゆいのことで話したいことがあると担任の先生から呼び出された私は、何を言われるのかと緊張しながら学校へ。するとそこには、担任の先生と加配の先生がいました。そこで私は、先生から呼ばれた理由がわかった気がして…。次回に続く「療育手帳を取得した話」(全38話)は12時更新!
2023年06月18日■前回のあらすじ4年生になったゆいは、クラス替えで仲良しの友だちと別クラスになってしまう。人見知りが強いため、新しい友だちもなかなかできない日々。やがて、今まで以上にテストの点数が低くなっていき…。■検索して調べてみるが…■学校から連絡が!ゆいに何かあるのかも…。そう思った私は、ネットで調べてみることにしました。HSCは、「High Sensitive Child」の略語で「非常に繊細な子ども」という意味。大人の場合「HSP」(PはPerson)と言われ、刺激に敏感すぎて不安やストレスを抱えやすく、最近では「繊細さん」と呼ばれることも。また場面緘黙は、他の状況で話しているにもかかわらず特定の社会的状況において話すことが一貫してできない状態。私は「繊細」で、「自宅では普通に会話できても学校では極度の人見知り」というゆいの特徴を手掛かりに調べたもののハッキリせず…。そんなある日、学校からゆいのことで話したいことがあるとの連絡を受けるのでした。次回に続く「療育手帳を取得した話」(全38話)は12時更新!参考: HSP・HSCについて/The Highly Sensitive Person 場面緘黙(かんもく)とは?/NHK福祉情報サイト ハートネット
2023年06月17日猫の手貸して~育児絵日記~
うちはモフモフ暮らし
めまぐるしいけど愛おしい、空回り母ちゃんの日々