2019年3月14日 20:00
吉田修一、実体験に基づく青春小説再び! バイトとパチンコに明け暮れ…
まさかこの作品の続編が読めるとは。吉田修一さんによる『続 横道世之介』は、青春小説『横道世之介』の数年後の話。1987年を舞台にした前作では、大学進学で上京した世之介の一年が描かれ、今作では卒業から数年後、1994年の1年間が綴られる。
「自分でも続編を書くつもりはありませんでした。でも、文芸誌『小説BOC』が創刊される際に連載を依頼され、考えていたら世之介が浮かんできてしまったんですよね(笑)」
24歳の世之介は、バイトとパチンコに通う日々を送っている。
「人生がうまくいかなかった時期を書こうと思いました。自分も、全然やることがなく、アルバイトをしながらあてもなく小説を書いていたのがこの頃だったんです」
確か著者も20代前半、世之介のように湾岸の倉庫街で働いていたはず。
「そうです。
基本的にこの小説は自分の体験や、実際に見聞きしたエピソードを集めて書いているんです」
当時の風俗をよく憶えているなと感心もするが、
「当時つけていた日記を見ながら書き進めました。その日観た映画とか、会った人について1~2行書いただけですけれど。年表には残らないようなあの時代の雰囲気が書けたかなと思いますね」