「LGBTQを問題にしたくない」北欧で注目の女性監督があえて声を上げる理由
女性活躍の場が奪われれば、才能も無駄にしてしまう
―おっしゃるように、これは女性だけの問題ではないですね。
監督女性が活躍する場が奪われると、多くの才能を無駄にしてしまう可能性もありますが、それは人材の損失にもつながっているのです。これまでもさまざまな女性たちがいろんな素晴らしいものを発明し、創作しているので、芸術でも科学でも幅広い分野で女性が活躍できれば、より豊かな社会になると思っています。映画においても、もし女性の監督や脚本家が作品を世に出さなければ、映画界は多様性を失ってしまうのではないでしょうか。だからこそ、男女平等はすべての人の人生の質を上げるために大切なものなのです。
―その通りですね。ところでまもなく公開を迎える日本に対しては、どのような印象をお持ちですか?
監督日本は「いつか行ってみたい場所リスト」のなかに入ってはいますが、まだ行ったことがありません。なので、日本については、『東京物語』から『ドライブ・マイ・カー』に至るまでさまざまな日本映画を通して見た印象ばかりです。
ただ、おそらくそれは日本の方にとってのフィンランドと同じかなと思っています。というのも、フィンランド以外の国で観られているフィンランド映画といえば、ほとんどがアキ・カウリスマキ監督の作品なので、みなさんが思い描くフィンランドもきっと彼の映画を通して知ったものではないでしょうか(笑)。