くらし情報『『ジョーカー』はスーパーヒーロー映画とハリウッドをハックした』

2019年10月11日 12:15

『ジョーカー』はスーパーヒーロー映画とハリウッドをハックした

と『キング・オブ・コメディ』(1983年)は作品の骨格そのものを形作っていて、両作品で主演を務めたデ・ニーロの本作での確信犯的起用法を含め、監督のトッド・フィリップスはスコセッシからの影響を作品にそっと忍ばせるようなそぶりさえ見せない。優れた映画は過去の映画のレファレンスから生み出されるというのは、(作り手も観客も含めた)映画好きにとって自明のことではあるが、作品の時代設定である1981年に使用されていたワーナーのオープニングロゴで始まる『ジョーカー』に関しては、それを一つ一つ指摘していくのがバカらしくなるほどすべてがあからさまにおこなわれていく。

スコセッシ作品と並んで本作の精神的な支柱となっているのは、チャールズ・チャップリンの『モダン・タイムス』(1936年)だ。同作はドナルド・トランプ的な「政界に足を踏み入れる成功したビジネスマン」の象徴として描かれているトーマス・ウェインが主賓の上映会で、そのままスクリーンに映し出され、チャップリン自身が作曲した劇中歌「スマイル」は本作のテーマソング的な役割まで担っている。1981年に『モダン・タイムス』の上映会がこんなものものしくおこなわれているのも少々奇妙だが、客席を埋めた裕福で高齢な白人たちは、主人公が工場労働の単調さから「発狂して精神病院送り」

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