2020年11月25日 18:00
【インタビュー】アデル・エネル、もどかしさを感じるようなリズムで…『燃ゆる女の肖像』は1つの旅路
昨年の第72回カンヌ国際映画祭で脚本賞とクィア・パルム賞をW受賞した『燃ゆる女の肖像』。クィア・パルム賞とは同映画祭上映作品の中からLGBTQ+をテーマにした作品に与えられる賞で、過去には『わたしはロランス』や『キャロル』『Girl/ガール』といった傑作が受賞してきた。
本作で描かれるのは、18世紀のフランス、望まぬ結婚を控える貴族の娘エロイーズと彼女の肖像を描く女性画家マリアンヌが織りなすラブストーリー。エロイーズを演じるのは、近年のフランス映画界には欠かせない存在で、フランスにおける#MeToo運動の象徴的存在としても熱い称賛を贈られるアデル・エネルだ。
監督を務めたセリーヌ・シアマは、自身が世界的に注目されるきっかけとなった『水の中のつぼみ』(07)でタッグを組み、元パートナーでもあるエネルを念頭に本作の脚本を執筆。18世紀のブルターニュの孤島という閉ざされた場所を舞台にしながら、いまを生きる女性にもつながる数々の問題を鮮やかに革新的に描き出し、女性監督として初めてクィア・パルム賞を手にした。
シアマ監督は、撮影現場では特にエネルの意見を重視していたことを明かし、「私は“ミューズ”という概念に終止符を打ちました。