2023年12月4日 10:45
【インタビュー】杉咲花、役作りは“対話”で向き合う「自分だからこそできるような関わり方を」
そして自分のようにそう感じている方も、まだその事実に触れたことのない方も、きっと世の中にいるはずで。だからこそ物語を通して自身の特権性を知ったり、区切りを付けずに考え続けていくこと、誰かと議論していく動きにつながることが大切だと感じています。
――おっしゃる通り、一過性にしないことが大事ですよね。『市子』はまさに、そうした効果を促してくれる作品かと思います。先日の28回釜山国際映画祭でワールドプレミアを迎えられましたが、現地の反応はいかがでしたか?
ご覧になった感想はまだ自分のもとに届いていないのですが、戸田監督・若葉竜也さんと一緒にお客さんに交じって観賞し、上映後には何と言えばいいのでしょう――張りつめているわけでも、感動と表せるようなものでもなく、その場にいた皆さんと“言葉に出来ない何か”を共有した感覚を味わいました。そしてなんだか恥ずかしくて、そのまま劇場から去りたくなってしまいました(笑)。
ワールドプレミア後にはQ&Aコーナーが設けられたのですが、本当に多くの観客の方々が手を挙げて質問をしてくださいました。自分自身、この作品が海を渡り、日本とは異なる歴史や文化を持った方々にどう受け止めてもらえるのだろうと気になっていたのですが、興味深く観ていただけたのかなと実感できてとても嬉しかったです。