くらし情報『「女」を取り巻くラベルを見つめ直すことで気づくこととは? 『それでも女をやっていく』書評』

2023年6月25日 11:10

「女」を取り巻くラベルを見つめ直すことで気づくこととは? 『それでも女をやっていく』書評

だが、その場で唾を塗って誤魔化したはずの傷は、実はまだそこに残っているのだ。砂やゴミで傷ついた車のフロントガラスが、光によって乱反射するように。

この本は、太陽光であり、対向車のライトだ。ときにやわらかく、鋭く傷を浮かび上がらせ、私たちは自分の心身についた無数の傷を再認識する。

「下ネタで笑う空気も嫌だったが、そこに多分にあった、男だけの内輪感、その内輪を盛り上げる装置として使われている外野としての自分、という状況が嫌だった。深夜終電で降り立った地元駅でドロドロの吐瀉物をうっかり踏んでしまったときの気分だった。

吐いた奴が悪いのだが、回避できずにこんな目にあっている自分という存在が悪い、という気がしてくるあれ。そんな世界への行き場がない怒りに支配された」

(本文より引用)

私は吐瀉物を踏んでも、かけられても、多分へらへらしてきた側の人間だ。
それどころか、昔の自分は隣の女性がかけられたのを見て見ぬフリをして、自分にかからないようスッとその場を立ち去ったこともある。■「女をやっていく」とは

これは私が共感した一例ではあるが、本書には「女」の人間関係の難しさや、「女」の連帯に関するエピソードも多く載っている。

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