2020年4月23日 06:00
大林宣彦さん「転移よありがとう」本誌に語っていた前向き闘病
への思い……。監督が本誌に残した、約9時間にも及ぶ“魂のメッセージ”に、もう一度触れてみようーー。
「’16年8月、『花筐/HANAGATAMI』の撮影に入る前に受けた検査で、“骨に異常があるから、きちんと調べたほうがいい”と言われましてね。佐賀県唐津市の撮影現場に入って、さぁいよいよ明日から撮影だという日に、唐津赤十字病院で再検査を受けたんです。まず骨に異常があるということだったので、骨を診てもらったら、がんが見つかった。続けて大腸、胃を調べたらステージ4の肺がんだとわかった。このときは、余命半年と診断されました」
’17年8月、がん宣言の様子をそう教えてくれた大林さん。宣告は撮影が始まる前日のことだったが、大林さんは落ち込むどころか、撮影初日からなんと2日間徹夜で撮影をしたという。
「撮影後に病院に行ったら、今度はいきなり“余命3カ月”と宣告されて……。たった2日間で余命が3カ月も減るっていうのは大変なことだぞ、と思いましたよ。ですが、自分でも不思議なほどネガティブな気持ちにはいっさいならなかった。それはやはり、僕には伝えなければいけないメッセージがあるから。命懸けで撮らなければならない映画があるからなんです。