くらし情報『精神科医・香山リカさん 北海道で僻地医療を「自分をだますのはやめました」』

2022年9月25日 06:00

精神科医・香山リカさん 北海道で僻地医療を「自分をだますのはやめました」

(撮影:吉川麻子)

(撮影:吉川麻子)



北海道・むかわ町穂別。

道の南西部、苫小牧市や室蘭市と同じ胆振地方に属するむかわ町の北部にあり、人口2千300人ほどの地区だ。

この山あいの集落の一角にある、打ちっぱなしのモダンな施設が、穂別診療所。同地区で唯一の医療機関で、地域の人はなにかあるとまず、ここに診察に訪れる。

入院患者を受け入れることもでき、保有ベッド数は19床ある。

中の処置室で、高齢の女性が診療用のベッドに横たわっていた。

「痛いよね~」

白衣にマスク、メガネをかけた女性医師が、この高齢の女性患者の耳に顔を近づけて、ささやくように話しかける。「はい」とやや遅れて患者が声を絞り出した。


女性は近接するグループホームの入居者で、転倒して眉のあたりに少し裂傷を負ったため、同スタッフに連れてこられたという。

CTスキャンで頭蓋内の出血などがないことを確認した後、医師は、患部ににじんだ血をぬぐい、ハサミを用いて慣れた手つきで、皮膚接合用のステリテープを使って処置した。

胸に「中塚」と名札がある彼女は同診療所の副所長。

「中塚尚子」は本名だが、世間では「精神科医・香山リカ(62)」のほうで通っている。

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