2023年12月6日 08:00
水上恒司の考える愛「愛とは決して見返りを求めないこと」
ほとんどが、未来ある若者たち。あまりにも大きな犠牲だった。
「胸が痛むような出来事だったと思うのと同時に、あの戦時下では仕方なかったのかもしれないという思いもあります。今の僕たちの暮らしは、そうした尊い犠牲の上に成り立っている。そして、日本が戦争に巻き込まれる可能性がゼロとは言えない以上、僕がいつ彼らと同じ立場になるかはまったくわからない。そういう危険と隣り合わせになりながら僕たちは生きているんだと思います。だからこそ、目の前の大事な人をもっと大切にしなきゃと思うし、行きたい場所があるなら行ったほうがいいし、やりたいことはやったほうがいい。今日1日を生きることを大切にしよう、と彰を演じながら思いました」
劇中、出撃を前にした特攻隊員たちが野球を楽しんだり。
彰が百合とかき氷を食べたり。なんでもない日常が瑞々しいタッチで描かれていく。それは、カウントダウンが迫る若者たちのささやかな青春の日々だった。
「百合とかき氷を食べながら、彰はきっと『行きたくないな』と思った気がするんですね。おいしそうにかき氷を食べる百合を見て、『この子と生きたい』と思ってしまった。特攻隊の中には、死ぬことがわかっているから楽しい思い出をつくりたくないという方もいた気がして。