シム・ウンギョン“最初の日本映画”が公開に。「さまざまな女性像を表現したい」
実際、現場でも上田監督から詳しく渚について説明されることもなく、シム自身も作りこみ過ぎることなく、まっさらな状態で現場に赴いたという。
「準備の段階でも撮影現場でも、上田さんは“渚はとてもピュアな存在。ウンギョンさんは渚と似たものを持っているから、そのままカメラの前に立って自由に演技してくれれば、それがどんなものであっても、僕がフォローしてカメラに収めます”とおっしゃってくださいました。普段はどの作品でもきっちりと役作りをした上で現場に入るのですが、この作品に関しては自然な感じ、自由さを見せたかったんです。お芝居なのか? 素なのか? という不思議さが見せられたらいいなと思っていました」
シムはこの作品を「自然とそれに合わせて暮らす人たちの人生――人生の“儚さ”について語っている映画」と語る。そこにあるのは決してネガティブな思いばかりではない。
「映画では、絹子さんがずっと住み続けてきた大切なおうちをどうするのか?ということが描かれていますが、どんなものでも、そして人間も、生まれて、そしていつかは消えていくわけですよね。その儚さと切なさがある一方で、映画では渚という“これから”を象徴する存在がいて、彼女がこれから自分の人生を歩んでいくというメッセージも伝わってきます。