2021年7月19日 18:00
「これはもはやコンサートではない」『ジーザス・クライスト=スーパースター in コンサート』観劇レポート
舞台上には、鉄骨で立体的に組まれた無骨な、しかし照明で鮮やかに表情を変えていくセット。工事現場の足組のようにも、ジャングルジムのようにも見えるその上に点在するバンドがおなじみのオーバーチュアを奏でる。その音楽が最高潮に盛り上がるフレーズで、まばゆい照明の中、メインキャストが勢ぞろいするカタルシス。鳥肌が立つ感覚。ここから、ロイド=ウェバーの名曲たちが、世界レベルの実力派キャストによって怒涛のように歌われていく。
ジーザス役:マイケル・K・リー撮影:渡部孝弘
ジーザス役:マイケル・K・リー撮影:渡部孝弘
ジーザス役は、韓国系アメリカ人としてブロードウェイ、また近年では韓国でも活躍するマイケル・K・リー。レザーのパンツ、白いTシャツにストールを巻いただけのシンプルな衣裳ながら、知性と品の良さを感じさせるジーザスだ。透徹な歌声は鋭くも哀切。自身の思いとは裏腹に暴走していく信者たちの中で苦悩する“人間”ジーザスの姿……しかしながらやはりほかの人とは違い“神の子”であるカリスマ性もある両面が、その歌声、立ち姿から自然と伝わる。
イスカリオテのユダ役:ラミン・カリムルー撮影:渡部孝弘
一方、ユダ役は2019年のシアターオーブ版初演でも同役を演じたラミン・カリムルーが続投。