結婚、育児、仕事、昇進…のすべてで形作られる完璧な「女の幸せ」は、なぜ遠いのか。その背景を様々な角度から読み解いた書籍が『「居場所」のない男、「時間」がない女』。著者である水無田気流(みなしたきりう)さんに、「普通の幸せ」が遠い理由を聞きました。中高年層で増えている孤独死や孤立化。生涯未婚率の増加や産みたくても産めない社会的不妊。現代の日本社会が抱える問題の根源を、水無田気流さんは<男性の関係貧困>と<女性の時間貧困>にあると指摘。そのリアルな現実を、各種資料から読み解き、自身のワーク・ライフ・バランスな体験を織り交ぜながら綴ったのが、『「居場所」のない男、「時間」がない女』だ。「C.ライト・ミルズという批判理論の社会学者は、身近な事柄を社会的な背景と結びつけて考えることを『社会学的想像力』と呼び、ひとりの人間の生活と大きな歴史(的状況)は切り離せないと唱えました。私自身が仕事と育児の両立に右往左往している身なので、主観的に気がつくことも多いのですが、それを客観的にどう実証するか、加減に悩みながら書きました。その結果、誰にとっても『笑いながら読んだものの、自分を取り巻く現実と照らし合わせて考えてみたらぞっとする』というような本になったのではないかと」男性にとっても、女性にとっても、“普通の幸せ”が遠いのはなぜか。その背景がひとつひとつつまびらかにされていく。とりわけ第2部で語られる、日本女性の時間的な負担の様相は、過酷の一語。「文科省も経産省も厚労省もいい提言をするのですが、実は彼らのその根っこにあるのは、女性の時間資源を使わせてくれ、ということ。現政権のいう<すべての女性が輝く社会作り>というのは、女性に超人になれと言うようなもので、一種の無理ゲー(設定・条件が過酷すぎてクリアが困難なゲーム)なんですよ」意識の高い高学歴女子学生は『会社四季報』も読みこなし、女性が働きやすい、ファミリーフレンドリーな会社を選んで就職するなど、先を見越して考えているのに対し、「男子学生はまったく当事者感ゼロ。『僕も30を過ぎたら考えなきゃいけないのかなと思います』とか、完全に『ゆるふわ』なんです(笑)。いまの日本社会に必要なのは、男性も含めた労働と家庭生活の総合的な見直しなのですが、それは簡単には実現しないでしょう。とするなら、一生就労することを前提に、けれど超人など目指さず、自分にとっていいバランスでライフコースを決定していくのがおすすめですね」◇結婚、育児、仕事、昇進…のすべてで形作られる完璧な「女の幸せ」は、なぜ遠いのか。男女双方が抱える問題から分析。日本経済新聞出版社1300円。◇みなした・きりう詩人、社会学者。1970年、神奈川県生まれ。詩人として『音速平和』で中原中也賞、『Z境』で晩翠賞を受賞。他に『無頼化する女たち』『シングルマザーの貧困』など著書多数。※『anan』2015年7月29日号より。写真・岡本あゆみ(水無田さん)加藤 淳(本)インタビュー、文・三浦天紗子
2015年07月27日バレエの公演というと、興味は合っても敷居が高い、なんて思う人も多いのでは。そんなバレエビギナーにこそオススメしたい、3年に一度の祭典が日本にやって来る!音楽の世界では、アルバムとベスト盤のどちらがいいかという話がよく語られる。ひとりのアーティストの世界を堪能するには、冒頭からすべての流れを考えて、全体をひとつの作品として作り上げたアルバムが一番であることは確か。でも、ヒット曲ばかりで構成されたベスト盤は、誰もが楽しめて、ハズレなしの安定感がある。3年に一度おこなわれる「世界バレエフェスティバル」は、世界の超一流バレエのおいしいところだけを集めた、まさにベスト盤ともいえる公演。バレエには興味があるけれど、どのバレエ団のどんな演目を観ていいのかわからないという人にこそ、ぜひオススメなのだ。出演者に名前を連ねているのは、世界でも屈指のダンサーたち。パリ・オペラ座バレエ団をはじめ、英国ロイヤル・バレエ団、ドイツのハンブルク・バレエ団、アメリカン・バレエ・シアターといった超一流バレエ団で活躍する新旧プリンシパルばかりだといえば、その豪華さは伝わるはず。しかもそのなかには、マニュエル・ルグリやウラジーミル・マラーホフという、いまやレジェンド級の大ベテランも。それがこの日本で一堂に集結するのだからすごい。彼らが踊るのは、『白鳥の湖』や『マノン』といった古典の有名作品から現代バレエまで。オーソドックスなバレエしか知らないと「これもバレエ?」と驚くかも。肉体だけで喜びも悲しみも表現する世界レベルのバレエとはどんなものか、まずはここで堪能してほしい。◇第14回世界バレエフェスティバル8月1日(土)~13日(木)上野・東京文化会館S席2 万6000 円~ E 席8000 円NBS チケットセンターTEL:03・3791・8888www.nbs.or.jp◇技術に裏打ちされた高い表現力で魅了するディアナ・ヴィシニョーワ。◇圧倒的な華を持つダンスール・ノーブル、マチュー・ガニオ。◇パリ・オペラ座を退団したばかりの踊る美神・オレリー・デュポン。◇美しくダイナミックなバレエ界の貴公子・ウラジーミル・マラーホフ。◇圧倒的存在感を放つバレエ界のレジェンド、マニュエル・ルグリ。※『anan』2015年7月29日号より。写真・長谷川清徳文・望月リサ
2015年07月27日ウサギのような犬のような…でもそのどちらでもない、不思議な主人公が活躍する人気絵本シリーズ「リサとガスパール」。幅広い世代に親しまれ、すっかり日本に定着しつつある、“リサガス”も今年は日本語版が刊行されて15周年!そんな記念すべき年に、松屋銀座で大規模な展覧会が開かれることになりました。絵本でおなじみの原画から、日本初公開の彼らの前身ともいえるキャラクターが描かれたヒミツ(!?)の手帳まで。絵本でも背景にパリの街並みや風景がさりげなくもリアルに描かれているように、リサとガスパールはパリ生まれのパリ育ち。パリ在住のアンとゲオルグ夫妻がふたりの生みの親。15周年を迎えたことについて作者二人の感想は?「ただただ、びっくり!こんなに長く続くとは思わなかった」と、絵を担当する夫のゲオルグさん。「15年経ったいまもなお毎回ゲオルグの描く絵に驚かされる。想像を超える絵をいつもゲオルグが上げてくるんだもの」とは、ストーリーを考える妻のアンさん。二人の愛娘・サロメちゃんも15歳。二人にとって、リサとガスパールも子供のような存在?「リサは子供の頃の自分、ガスパールは自分の弟の分身なのかもしれません。いつも自分が子供に戻った気分でストーリーを考えるんです」(アンさん)今回の展示では日本にまつわる作品も多数。過去に2回来日している二人。思い出の場所は?「富士急ハイランド!リサとガスパールのテーマパークができたことがすごくクレイジー!!」(アンさん)「リサとガスパール」に富士急が登場する日も近い!?■Information松屋銀座 8Fイベントスクエア東京都中央区銀座3-6-18月5日~24日10:00~20:00(入場は閉場の30分前まで。24日のみ17:00閉場)会期中無休一般¥1,000(前売り¥700)TEL:03・3567・1211(大代表)◇絵本『リサとガスパールのであい』原画。(C)2015 Anne Gutman&Georg Hallensleben / Hachette Livre◇リサとガスパール誕生のきっかけになった「赤い手帳」が日本初公開!絵を担当するゲオルグさんが妻のアンさんにクリスマスのプレゼントとして贈った手帳。この手帳にリサとガスパールの原型となった、不思議な生き物が描かれていました。◇絵本『リサとガスパール ゆうえんちへいく』原画。シリーズ初期の代表作から、最新作『ガスパール こいをする』まで、原画約150点が一挙公開に!同作家の「ペネロペ」シリーズも同時公開。◇今回の展示のために特別に描き下ろされた作品「リサとガスパール@TOKYO STATION」が初お披露目。東京駅の駅舎をバックになんだか楽しげなリサガス。この先のストーリーも気になるところ!◇作者夫妻。夫のゲオルグさんと妻のアンさん。※『anan』2015年7月29日号より
2015年07月26日「あなたがいいならそれでいいけど」は、坂上忍さんと土田晃之さんが今週のテーマに小気味よく回答する『anan』人気連載。今週のテーマは「三低」。結婚相手に求める新しい3条件を意味する言葉で、低依存=家事や子育てを妻に任せきりにしない、低姿勢=家族にいばった態度をとらない、低リスク=リストラに遭うリスクが少ないことを指します。anan男子100人へ「“三低” を重要視する女性はアリですか?」とアンケートをとったところ、58%がアリと回答。そもそもこの3つの条件はハードルが高く、高理想といえることから、賛否両論といったところか。男性側の言い分もありそう…。土田さんのご意見はいかがでしょう。* **結婚相手に求めるものがこれなんて…、夢の中の話ですね。だいたい、これ全部、女性に都合のいい男って感じがすごくしますけど。そもそも、どんな結婚生活を思い描いているのかなー。理想は理想として持っているのはいいですけど、本気でこれを求めるのはムリな話。男側の理想を言いましょうか?美人で、料理ができて、文句ひとつ言わず家事が完璧で、子供に優しくて、絶対怒らない人がいいに決まっていますけど、そんな人いるんですかね…?同じことですよ。もちろん、絶対にいないとは言いません。でも、この理想を完璧にこなす人はいないでしょう。人間だから機嫌が悪い時もあるだろうし、疲れて何もしたくない日だってあるはず。それでいいんですよ。子育て論だって難しいんです。ダンナ側はかなり手伝っていると思っていても、ヨメ側は、あんな程度じゃ…って満足してくれない。半々でもダメで、だいたい8:2か9:1くらいの割合でやってくれた時、初めてイクメンだって認めるんですから。なんか不公平ですよね~。※『anan』2015年7月29日号より。文・神保亜紀子
2015年07月26日「コトバが足りない」「うまく説明できず、察してほしいと思ってしまう」。そんなアンアン世代に伝え方ひとつで、がらりと変わる方法をヒット作『伝え方が9割』の著者・佐々木圭一さんが教えます!今回は、女性ショップスタッフのこんなお悩み。■ニガテな上司と食事!同僚のユキも引きずりこみたい!大ピンチ!私の上司は、会社の女子会でもたびたび話題になる、クセのある上司。その上司にしつこく誘われて、断り切れず食事することに。私ひとりだとキツい!キツすぎる!そうだ。女子会仲間のユキを連れていこう。でも…「上司との食事、キツいから来てくれない?」と言っても、笑いはするだろうけど来てくれないだろうな。私だったら絶対行かない。でも、ひとりで行くのだけはいや!!!■佐々木さんの答えは…「女子会のネタづくりに行こうよ。次回のお酒が最高に美味しくなるよ!」ユキさんは、イヤな上司とは飲みたくないはずです。ですが、女子会が盛り上がる話題はつくりたいでしょう。どんなことでも、物事は一つの局面だけではありません。「相手の好きなこと」を探し出してみましょう。伝え方で突破することは、可能なのです。◇ささき・けいいちコピーライター、作詞家、上智大学非常勤講師、株式会社ウゴカス代表。アメブロ「伝え方の秘密」スタート。『伝え方が9割』ビジネス書大賞2014年総合1位、シリーズ79万部の大ヒット。待望の第2弾『伝え方が9割 2』ビジネス書史上、初版数1位で発売中。※『anan』2015年7月29日号より。写真・土佐麻理子イラスト・吉野永里子
2015年07月25日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「社会主義国」です。***資本主義国のアメリカと社会主義国のキューバは、お隣にありながら半世紀近く国交を断絶していました。ところが、ここ最近オバマ大統領が「国交を復活させましょう」と交渉を始めたことが話題になっています。これは、再来年、オバマ大統領の任期が終わるので、それまでに功績を残したいからなのでは……?と言われています。そもそも「社会主義」とは何でしょうか。資本主義国家では個人が自由に利益を追求できますよね。自由競争なので、労働量や能力に応じたお金が支払われますが、その結果、貧富の差が生まれてしまいます。貧しい人をなくし、国民が平等に豊かになるために、国民が働いた全利益を国が管理して、平等に分け与える。その仕組みの理想形が「共産主義」なんです。資本主義から共産主義方向をめざす、間の段階を「社会主義」と呼んでいます。共産主義社会では、全員が国家に勤めているようなもの。職業選択の自由が制限されるケースもあるんです。基本的に、すべての事業を国が管理し、計画的に進めていきます。国民が平等に富むことを理念にしているって、いいことのようにも聞こえますが、実情は、どんなにたくさん働こうが、手を抜こうが、お給料は一緒。すると「いいよ、テキトーで」と、働く意欲がなくなってしまうんですね。みんなが働かないので、国家事業も計画通りに進まない。国全体が富まない。また、国家が権力を持つので、独裁政治に結びついたり、官僚が賄賂で買収されて腐敗政治を引き起こしたりするんです。最大の社会主義国は、ソビエト連邦でしたが、1991年にソビエトが崩壊してロシア連邦になりました。それを機に世界の社会主義国は減ってきています。現在は、共産主義の中国、朝鮮民主主義人民共和国、ベトナム、ラオス、インドやキューバなど。いま資本主義の国では格差が問題になっていますよね。自由競争を放置していると、貧富の差が増すばかりで、国が介入しないといけないのではないかと疑問視されています。政治的には社会主義でも、経済は資本主義を導入していたり、ふたつの境目は少しずつ解け合ってきているんですね。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2015年7月29日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2015年07月25日anan読者200人超で作るanan総研のメンバーに、「身につけたいこと」をテーマにアンケートを実施。「いま、身につけたいことはありますか?」という質問には、なんと95%の人があると回答。その内容を聞いてみると、1位が英語、2位が料理という結果に。「学生時代、英語の授業をもっと真剣に聞いておけばと反省」(26歳・商社)、「母のお手伝いをしていれば、もう少し料理ができたかも」(25歳・広報)など、過去のサボり癖を悔やむ声が続出。今回、anan総研メンバーの能美黎子さん(29歳・秘書)、遠藤朋美さん(25歳・研究開発職)、武田奈々さん(24歳・PR)の3人に語り合ってもらいました。* **遠藤:二人がいま身につけたいことってどんなこと?武田:私は字をキレイに書けるようになりたい。この前、私の手書きメモを見た同僚から「まるっこくて女の子らしい字だね」と言われたの。字の子供っぽさは昔からコンプレックス。達筆な人にはすごく憧れる。能美:たしかに、字から受けるその人の印象って大きいよね。武田:この年になると結婚式でご祝儀袋に字を書いたりする機会も増えてくるじゃない。その度に習っておけばよかったな~と後悔してるよ。遠藤:黎子ちゃんは、いま資格取得に向けて勉強中なんだっけ。能美:私はいま、「メディカルハーブコーディネーター」という資格を取るために勉強中。武田:それってどんな資格?能美:日常生活におけるメディカルハーブの使い方や楽しみ方についての基礎知識を身につける検定。会社の先輩が勉強していて、私もハーブティーが大好きだから始めてみた。遠藤:ハーブなら健康にも美容にも活かせそうでいいね。能美:自分の生活が豊かになるのはもちろん、たとえば仕事で疲れている友達にはリラックス効果のあるハーブを提案したり、その人の悩みに合わせたハーバルアイテムを贈るとか、身につけた知識を活かして喜んでもらえる瞬間がすごく嬉しい。武田:それはすごく素敵だね!総研のアンケートでは「時間の余裕がない」「スケジュールが合わない」という理由で習得できないという人が多かったけど、勉強のための時間はどうやってつくってる?能美:土曜日、隔週でスクールに通ってるよ。通信教育みたいに好きな時間にできるのも魅力的だけど、私は約束しないと動かない性格だから、決められた時間に通う方が合ってるみたい。武田:朋美ちゃんは何か、身につけたいことはある?遠藤:私、実は習い事オタクで、いま華道とゴルフ、マラソンをやっているよ。すごく忙しいけど、充実していて楽しい!能美:すごいね~。どうしてそんなにアクティブになれるの?遠藤:何かを身につける以上に、楽しいことがたくさんあるからかな。友達ができたり、新しい視点で生活を楽しめるようになったり、体調が良くなったり。能美:わかる。私もチャレンジしたことで、自分がどんどん変わっていくのを実感してるよ。武田:そっか、忙しさを言い訳にしちゃダメだね。私もペン習字から、頑張ってみようかな!※『anan』2015年7月22日号より。文・中村朝紗子
2015年07月25日ギフトコンシェルジュとして、多彩なシーンに合わせた贈り物を提案する真野知子さん。今回は、「八雲茶寮(やくもさりょう)」の手延べ玉素麺を紹介してくれました。***夏真っ盛り。日本の夏を感じる食べ物といえば、やっぱりツルッとしたのど越しの素麺。大人にも子供にも馴染みのあるものは、季節のご挨拶にも人気です。だからこそ、ひと味もふた味も違うものを贈りたくなりませんか?そんな欲望を叶えてくれるのは、都会のカオスから離れ、凛とした空気と時間が流れる和食料理屋『八雲茶寮』。亭主の美意識が凝縮され、細部にまでこだわり抜いた世界観を体験できる隠れ家です。おもたせとして季節限定販売されている「玉素麺」は、籠に入った品のある装い。封を開けると、想像を超えた感動が待ち受ける。まず、手のひらに収まるほどの美しい丸曲げ状の麺が姿を見せる。まっすぐな状態の麺をイメージしていると見事に裏切られるフォルム。これは、細く、長く、丸~くご縁が繋がりますようにと、ひとつひとつ職人の丁寧な手仕事による技。その産地は長崎県島原。製麺工場のご主人自らが無農薬栽培した小麦を使い仕上げた最高級の手延べ素麺。少し生成りがかった麺を茹でると、とても艶やか。縒よりをかけながら麺を延ばすのが、驚くほど弾力のある強いコシのもとに。もちもちとした食感も特徴的。風味豊かな薬味を加えていただくのもよし、ちょっと贅沢にすっぽんスープと楽しむなんてのもよし。◇八雲茶寮東京都目黒区八雲3‐4‐7TEL:03・5731・16209:00~17:00日・祝日休茶房では季節の生菓子をはじめ、お茶、甘味、お酒が愉しめる他、朝膳(11:00LO)も。昼懐石は¥5,000~(12:00~15:30<13:30LO>、月曜休)。◇まの・ともこギフトコンシェルジュ。著書『大切な日のためのギフト・マニュアル』(マーブルブックス)好評発売中。※『anan』2015年7月29日号より。写真・清水奈緒スタイリスト・中根美和子文・真野知子
2015年07月25日年を経るごとにまた新たな一面を見せてくれる、男性ミュージシャンたち。外見から音楽性の変化まで分析し、「今だからこそ注目したい」男たちの魅力に迫ります。教えてくれたのは、音楽ライター、音楽評論家であり、音楽誌への寄稿、ライナーノーツの執筆などのほか、音楽ライター講座や大学で講師も務める岡村詩野さんと、CD、レコード、音楽アクセサリーなどを扱う店舗を都内と近郊に構えるディスクユニオンの洋楽/ロック・ポップス担当バイヤーの岩渕亜衣さんです。* **――今回は「大人のミュージシャン」についてお話しいただくわけですが、40~50代で魅力ある日本人アーティストをひとり挙げるとしたらどなたでしょうか?岩渕:私は、50歳になられたばかりの奥田民生さん。アイドル的人気を博したバンド、ユニコーンでデビューし、そのうちコミカルなイメージに変わりつつ、仕事や家庭をテーマにした等身大の曲を歌い始めましたよね。そしてソロを経て大人世代になった今、バンドを再結成して同じ仲間とユルく夢を追う姿がいいなと思います。岡村:確かに。人としての渋みや男としてのキャリアを重ねてきた自然な自分が、そのまま形になっている気がしますよね。あと、奥田さんとは違うタイプの人を挙げるとすると、菊地成孔さんと大友良英さんかな。お二人とも、注目を集めたのは40代以降という大人のミュージシャンたちです。岩渕:岩渕ああ、そうですよね。岡村:もともとのフィールドも、菊地さんはジャズ、大友さんもフリージャズやノイズと、アンダーグラウンド。そういう意味でも、常に第一線で活躍してきた方とは歩んできた道が違うんですよね。これまでの音楽的な蓄積に加え、菊地さんはお話も面白いし、文筆業など本業以外でも活躍中です。また、大友さんは『あまちゃん』の音楽を作って以降、テレビでお見かけするようにもなりました。岩渕:過去の活動を知らない方にも身近な存在になりましたよね。大友さんは昨年、夏祭りでビッグバンドを率いて「あまちゃん音頭」を演奏しているのを見ましたが、子連れの方も楽しそうでした。岡村:ロック・ポップスフィールドとは違う面白さを持っていて、幅広い知識や人生経験が作品や活動に反映されているのも、愛される理由のひとつかも。作品にも20代の方にはない奥行きがあるし。岩渕:『あまちゃん』のテーマはすごく明快な曲ですが、20代の人が作るのと、大友さんが作るのとではきっと違いますよね。ミュージシャンが魅力的な40~50代になるには、30代をどう過ごすかが重要な気がするんですよね。売れる/売れないじゃなくて、本人がどれだけ納得できる活動をしているか、いい作品を残しているかが顔に出てくると思う。岩渕:確かに。そう思うと、電気グルーヴもいい大人のミュージシャンだなあと思いますね。若さならではの衝動があった時期を経て、今はテクノを若い人にも啓蒙する存在になってきた。40代に差し掛かってからも、新たな若いファンを増やしていますし。岡村:電気といえば、昨今の、ピエール瀧さんの役者としてのブレイクも印象的ですよね。岩渕:そうそう。根っこがちゃんと音楽にあるから、活動の幅を広げてもカッコいいんですよね。――路線は違いますが、吉井和哉さんも不動の人気の持ち主です。岡村:ステージの華やかさにこだわっていらっしゃいますよね。岩渕:今もスリムだし、年を重ねても常に自分がフロントに立っているという自覚が見えますよね。◇奥田民生おくだ・たみお1965年生まれ。11月28日、広島県で「奥田民生ひとり股旅スペシャル@マツダスタジアム」を開催予定。◇菊池成孔きくち・なるよし1963 年生まれ。東京ジャズシーンをリードするミュージシャン。ラジオナビゲーターや音楽講師としても活動。◇大友良英おおとも・よしひで1959年生まれ。複数のバンドを率い、映画音楽でも国内外で高評価を得る。写真・佐藤 類◇電気グルーヴ石野卓球(右・1967年生まれ)、ピエール瀧(左・同)で構成されるテクノバンド。石野卓球はDJ/プロデューサーとしても活躍中。◇吉井和哉よしい・かずや1966年生まれ。THE YELLOW MONKEY解散後、ソロ活動を開始。3月にアルバム『STARLIGHT』をリリース。※『anan』2015年7月29日号より。文・仲野聡子
2015年07月25日独特な詞世界と音楽性でカリスマ的人気を誇るミュージシャンの岡村靖幸さん。最近は『GINZA』の対談連載で“名インタビュアー”としても活躍中。今年50歳の節目を迎える彼に聞く大人の男とは?* **――昔はどんな大人に憧れました?美食のためだけに一人旅をする人。――池波正太郎的な。そう。それが究極の大人っぽさだと思ってた。だから、僕も以前はそれに近いことはやってたんです。一人でフラッと本を一冊持って遠方まで旨い蕎麦を食べに行く、とかね。でも、最近はまったくやらないんですよ。――え、なぜですか?誰かと一緒に食べたいんです。人と一緒に食べたほうが楽しいし美味しい。そう思うようになったのはここ4~5年のこと。音楽だけに没頭せず、いろんな人と積極的に会うことで社交的になり、酒を飲めるようになったのが大きい。飲みながら食事をする楽しさを知って。酒を嗜むことを覚えて、コミュニケーションが広がったんです。――つまり、音楽以外の、インタビューや対談の仕事で他業種の人と会うことで、「大人」になった部分もあると。いろんな大人のカタチを知ることができるし、確実に自分の血肉にはなってると思う。以前、坂本龍一さんと対談したときに、大人になればなるほどエゴイスティックになれないという話をしていたのが印象に残っていて。人はみんなエゴイスティックな生き物なんですが、年齢を重ねると自分の欲の限りを尽くすことがだんだんできなくなるんです。サシの入った肉が苦手になってくるというか(笑)。単純にそれを食す体力がなくなってくるからなんですが、そういう自分を受け止めることが大人になるということなんだと。いい意味で。ピカピカに磨かれた部分だけではなく、錆びている部分に味わいを感じられるようになるのが豊かなことだと思うんです。◇おかむら・やすゆき1965年生まれ。シンガーソングライターダンサー。園子温監督『映画 みんな! エスパーだよ!』の主題歌『ラブメッセージ』は9月2日発売!◇岡村靖幸オフィシャルHPokamurayasuyuki.info※『anan』2015年7月29日号より。写真・藤原江理奈スタイリスト・島津由行ヘア&メイク・マスダ ハルミ(M-FLAGS)文・辛島いづみ
2015年07月24日15年前、RIP SLYMEのキュートなMCとして登場したILMARIさん。日本のHIP HOPシーンを賑わせながらキャリアを重ね、今や若いアーティストたちの憧れを受け、尊敬される存在に。今年6月には、40歳の節目を迎え、『楽園ベイベー』の頃から変わらないBOYSっぽい雰囲気を残しながら、大人として成熟しているところがとても魅力的!大人の男について聞いてみました!* **実はこの取材、オレでいいのかと心配だったんだけど(笑)。このテーマを聞いて、すぐに頭に浮かんだカッコいい大人たちに共通している魅力って、年齢に関係なく、ずっと少年性が残っているところなんですよね。そういう先輩がいてくれないと、オレ自身も安心できない。――えっ、安心できないとは?RIP SLYMEを始めた頃、40歳になったら絶対に(RIPを)やってないと思っていましたからね。でもカッコいい先輩たちがまだまだずっとやってくれているから、オレたちも後に続いていけていると思う。いざ40歳になってみたら、音楽活動のやり方も変わってきているし、一年一年成長しながら、年相応の作り方をしてきています。そういうことが昔は分からなかったんです。――今はもう、ILMARIさんたちが、後に続く後輩アーティストのお手本になっていると思います。そういう存在でいられるといいですね。RIP SLYMEがまだあんな感じにやっているんだから、オレたちも大丈夫だ、と年下の子たちを安心させたいです(笑)。そう考えると、40歳だからって大人にならなくてもいいのかな。でも大人って見た目じゃないですよね。経験と、何を考えてきたか、だから。40 になったから、もうこういうことはしませんとか、自分を正して変えちゃうのはどうかなぁ、と思います。家族に対しては大人でいようと思いますが、仕事面では心を広く持ち、視野を広げながら、いろんな知識を深めていきたいと思う。真面目すぎる大人にはなっていきたくないかな。◇イルマリメジャーデビュー15年目のHIPHOPユニット、RIP SLYMEのMC。7/29にトリプルA面22ndシングル『POPCORN NANCY/JUMP with chay/いつまでも』リリース。※『anan』2015年7月29日号より。写真・押尾健太郎スタイリスト・TEPPEIヘア&メイク・高草木 剛文・北條尚子
2015年07月24日去る6月22日。EXILEのオリジナルメンバー、松本利夫、USA、MAKIDAIの3人が年内でEXILEパフォーマーとしての活動を終えることを発表。この報告にファンは驚きを隠せませんでしたが、同時に、三者三様の“新たな挑戦”にも注目が集まり始めています。EXILEは、2001年8月、ボーカルのATSUSHIらを迎え、活動をスタート。いまや日本を代表する国民的グループとして成長を果たしました。その誕生からグループを牽引してきた3人は、今、何を想い、そして、その先に見据えるものとは?* **MAKIDAI:今回の発表は急に決まったわけではなく、メンバー会議で繰り返し話し合いを持っていたんです。USA:EXILEが次の段階に進化するために、今から準備しておいたほうがいいね、っていう話は常にしていました。松本:メンバーやスタッフさん含めて、新しい階段を上るためにコミュニケーションを重ね、考えを深めていった感じです。――それぞれの勇退後の方向性を聞かせてください。松本:芝居は僕にとって、ダンスと同じぐらい楽しくワクワクするもの。「演じる」ことの意味を突き詰めたいと思っています。EXILEとして培ってきた経験を注ぎこみ、劇団EXILEを自分の人生を賭けて確固たるものにしたいと思っています。その決意の証として、劇団EXILE「松組」を立ち上げます。EXILEのエンターテインメントの延長線上にある、音楽とダンスに溢れた新たなエンターテインメントを創造するため、これまで以上に全力で頑張ります。夢は大きく、劇団四季や宝塚、歌舞伎のような一つのジャンルを作ることです!MAKIDAI:EXILEのパフォーマーとして第一章から今まで活動させていただき、改めてEXILEの原点を追求していこうと思っています。原点とは「音楽を聴いて楽しんで、踊る」こと。そのために僕はDJとして、今までとは違う角度からEXILE TRIBEを盛り上げていけたらと考えています。活動の中心の場はPKCZ。DJのプレイヤーとしてだけでなく、古今東西のヒト・コト・モノをMIXしたエンターテインメントのプロデュースをしていきたいと思っています。USA:EXILE USAとしてダンスをずっと踊り続けます。中心となるパフォーマンスの場はEXILEからDANCE EARTHへ。’06年から続けているDANCE EARTHの活動を通して、EXILEのテーマ“LOVE、DREAM、HAPPINESS”を世界中の人たちに伝えていければ幸いです。音楽ユニット・DANCE EARTH PARTYでも、EXILEとは違った音楽を取り入れ、世界中のさまざまなアーティストとパーティを組み、新しいエンターテインメントを創造していきたいですね。◇松本利夫1975年生まれ、神奈川県出身。’07年、劇団EXILEの舞台を中心に俳優業をスタートし、映画やドラマに多数出演。’14 年秋、連続ドラマ初主演を果たす。ラジオMCとしても活躍中。◇EXILE USA1977年生まれ、神奈川県出身。’06年、DANCE EARTHの活動を始動し、’13年、音楽ユニット・DANCE EARTH PARTYを結成。レギュラー番組ではダンス講師も務める。◇EXILE MAKIDAI1975年生まれ、神奈川県出身。DJMAKIDAI名義でのミックスCDのリリースのほか、プロデュース集団・PKCZのメンバーとしても活動中。俳優業、司会業もこなす。※『anan』2015年7月29日号より。写真・矢吹健巳(W)スタイリスト・JUMBO(SPEED WHEELS)ヘア&メイク・千絵水野明美取材、文・紺谷宏之
2015年07月24日EXILEのオリジナルメンバーとして、精神的支柱を担ってきた松本利夫、USA、MAKIDAI の3人。青春時代のすべてをEXILEに捧げた彼らは、今年でEXILEパフォーマーとしての活動を終えます。14年間にわたる活動の中で、これまでに印象に残った出来事、そして、今、内に秘めたそれぞれの“誇り”を明かしてくれました。* **松本:いろいろあるなぁ。ひとつに絞るのは難しいですね。MAKIDAI:’07年のEVOUTIONツアーのファイナルの時、最後の曲、「One love」が鳴り響いた瞬間、会場中が緑色で染まるっていうファンの皆さんからのサプライズは印象に残ってるなぁ。感動して鳥肌がたったこと、鮮明に覚えてますね。USA:常に変化しているEXILEをファンの皆さんに受け入れてもらえるか、いつもどこかで不安があるんです。だからライブ中、多くの人の声援を聞いてはじめて、「これでよかったんだ!」って、やっと思える。思えばずっと、その繰り返しだったと思います。松本:たしかにそうだね。――ズバリ、やり切った達成感はありますか?MAKIDAI:やり切ったっていうより、「まだまだこれから!」という想いのほうが強いですね。USA:年内で、EXILEのパフォーマーとしての活動はひと区切りつけるけれど、MAKIDAIにしても自分にしても今までどおり、名前に“EXILE”を付けて活動するしね。松本:卒業でも引退でもなく新たな挑戦。「いつまでも僕らはEXILE!」っていう誇りを持って。MAKIDAI:それと、もうひとつ言えることがあるとすれば、EXILEというグループは、出会いと別れを繰り返して進化してきたんです。今回のことは、新たなEXILEを切り開く、ということにも繋がると思います。USA:形あるものに永遠はない。だからどんどん、恐れることなく形を変えていくっていうことです。松本:いいこと言うね(笑)。USA:ただ、もし僕らが世の中の力になれたことがあるとすれば、それはEXILEでの活動を通してパフォーマーという存在をみなさんに知ってもらい、その地位を確立できたことだと思っています。最初はインタビューなどでも、「ダンサーですよね?」という感じでなかなか理解してもらえなくて。でもそれを一所懸命、何年も何年もやり続けて、やっとここまでたどり着いた。その誇りはあります。自分が、というわけではなく、EXILEが、ですが(笑)。MAKIDAI:自分たちがダンスを始めた20年ぐらい前とは状況が変わり、ダンススクールがある環境になり、嬉しい限り!◇松本利夫1975年生まれ、神奈川県出身。’07年、劇団EXILEの舞台を中心に俳優業をスタートし、映画やドラマに多数出演。’14 年秋、連続ドラマ初主演を果たす。ラジオMCとしても活躍中。◇EXILE ÜSA1977年生まれ、神奈川県出身。’06年、DANCE EARTHの活動を始動し、’13年、音楽ユニット・DANCE EARTH PARTYを結成。レギュラー番組ではダンス講師も務める。◇EXILE MAKIDAI1975年生まれ、神奈川県出身。DJMAKIDAI名義でのミックスCDのリリースのほか、プロデュース集団・PKCZのメンバーとしても活動中。俳優業、司会業もこなす。※『anan』2015年7月29日号より。写真・矢吹健巳(W)スタイリスト・JUMBO(SPEED WHEELS)ヘア&メイク・千絵水野明美取材、文・紺谷宏之
2015年07月24日映画、伝統芸能、スポーツ界、ハリウッドetc…、いぶし銀の魅力を放つ男たちは、各界にいます!今回は、その道のプロが偏愛する、“大人の男”の味わい方をご紹介。年間100回以上は映画館に足を運ぶ、業界でも評判の映画マニアで、アパレルブランド『SOUP』のデザイナー安孫子千歳(あびこちとせ)さんは、実はヤクザ映画はセクシーな大人の男の宝庫だといいます。「年を重ねることで渋さや味が増し、溢れ出る大人の色気を持つ俳優さんに惹かれてしまいます。今回挙げた方以外でいえば、『極道の妻たち』の世良公則さんもその一人。かたせ梨乃さんとの濡れ場が衝撃的で、まっすぐに好きな女を手に入れようとする彼の色気は生唾もの。私の中で世良さんは他の作品のどんな役を演じても、『極妻』のイメージそのままです」安孫子さんご推薦のヤクザ映画の俳優をご紹介します!◆忠義にあつい舎弟の鑑『BROTHER』の寺島 進日本を追われアメリカに逃亡したヤクザ・山本(ビートたけし)に忠誠を尽くす舎弟・加藤(寺島進)。「ひょうきんでおっちょこちょい、でも人情深いという子分がハマリ役だった寺島さん。兄貴分の山本をひたすらに慕うが故に、映画中盤、突然兄貴のためにと自らの命を差し出した場面での、仁義に命をかけた迫真の眼差しに瞬間的にヤラれました!」(C)2000 オフィス北野/レコーデッド・ピクチャー・カンパニー◆えげつないほどの暴力性『新しき世界』のファン・ジョンミン韓国最大の犯罪組織に潜入捜査のため送り込まれた警察官イ・ジャソン(イ・ジョンジェ)は、組織幹部であるチョン・チョン(ファン・ジョンミン)の右腕として働く。「ハリウッドでリメイクが決定したばかりの話題作。ファン・ジョンミンは下品で傍若無人のマフィアのボス役。本当は警察官だと知りながら弟分を守ろうとする懐の深さに、じわじわと引き込まれました」(C)2012 NEXT ENTERTAINMENT WORLD Inc.&SANAI PICTURES Co. Ltd. All Rights Reserved.◇安孫子千歳アパレルブランド『SOUP』デザイナー。映画はDVDではなく、映画館で観ることにこだわりが。「今年の上半期で一番面白かった映画は断然『セッション』です」※『anan』2015年7月29日号より。取材、文・重信 綾古屋美枝薮内加奈
2015年07月23日世間は大人の男ブーム。若い女性たちは経験を重ねて身につけた色気と余裕、そして頼れる存在感に魅力を感じています。大人の男というと俳優を支持する声が多いですが、いぶし銀の魅力を放つ男たちは、まだまだいます!漫画家、コラムニストの辛酸なめ子さん、構成作家の勝木友香さんの二人はタモリLOVE。「“好きなものだけ好き”な背中を追いかけたくなる」(勝木さん)と語るタモリさんのその魅力をお二人が語り尽くしてくれました。◆「独自の健康法にこだわる男」辛酸なめ子さん毎日のようにテレビに出ているのにアンチエイジングなタモリ氏は、やはり健康法にこだわりが。1日1食や洗わない入浴法、両方とも福山雅治さんもやっているそうで、説得力大。超メジャーになってもストイックなのが人気を保つ秘訣です。◆「口説くのが難しい、こびない男」勝木友香さん世の中で、口説き落とすのがいちばん難しい男性がタモリさんではないでしょうか。私は同じ福岡県の出身で、いつかそれを口実に話しかけたいと思っていました。でもある日、「福岡出身です」と話しかけた芸人さんに対して「俺、そういうアピールするやつ嫌いなんだよね」とおっしゃったという話を耳にして…。作為的な“仲良くしたいです”攻撃が通用しない人だと痛感しました。ミュージカル女優さんに対して「俺、ミュージカル嫌いなんだよね」と話す姿を見たこともあるし、きっと、自分から好きになったものしか受け入れてもらえない。私がいくら美人に生まれ変わろうが、頭が良くなろうがダメでしょうね。『笑っていいとも!』に出演されていたときは毎日お顔を拝見していたので、勝手に身近な存在に感じていましたが、実は近づけない人。そして“タモリさんのカレー”“タモリさんの行きつけ”というと、みんなが“食べたい、行ってみたい!”と価値を認める人。その不思議な距離感とスター性に、惹き付けられてしまうのです。◇辛酸なめ子漫画家、コラムニスト。近著に『諸行無常のワイドショー』(ぶんか社)、『女子校育ちはなおらない』(KADOKAWAメディアファクトリー)など。幻冬舎plusにて「次元上昇日記」を連載中。◇勝木友香構成作家。『サワコの朝』(TBS系)や『浜ちゃんが!』(NTV系)、『極上空間』(BS朝日)、『なぜ?そこ?』(テレビ朝日系)など数々の人気番組を手がけている。※『anan』2015年7月29日号より。取材、文・重信 綾古屋美枝薮内加奈
2015年07月23日日本を代表する俳優・佐藤浩市さん。54歳とは思えないスラリとしたスタイルは、洗練の佇まいだ。全てを受け止めてくれそうな包容力と、どこか破天荒な印象が同居する雰囲気。その大人の魅力を大解剖。佐藤さんが考える大人の男とは。「仕事柄か、大人にならなければということをあまり考えず、この年まできてしまいました」意外にも、自嘲気味にこう切り出した佐藤さん。たとえば警察官や医師のような職業に就いている人は早く大人になるけれど、役者みたいに人の生死に直接的に関わらない仕事をしている人は、どこか大人になりきれないところがある、というのが持論。そもそも大人とは何なのか、佐藤さんなりの解釈がまた面白い。「分別があって正しい行動をとるのが大人だという考え方は、たしかにわかりやすい。でも、そういう人間なんて実際はほんの少ししかいない。要するに、まともな大人はわずかで、大部分は普通の大人と、ろくでもない大人なんです。僕はどれかって?そりゃあ、ろくでもない大人でしょ!」若い頃は、“正しい人”こそが大人だと信じて疑わなかった。しかし自分が大人と呼ばれる年齢になってみて、憧れていたのはむしろ、ろくでもない大人のほうだったということに気がついた。「そういう人たちは普段はどうしようもないんだけど、土壇場のときの底力がある。それこそが大人力だと僕は思うんです。大人力のないやつは、若い人が何かしようとすると、頭ごなしに『やめとけ!』と抑えこんでしまう。ぎりぎりまで手綱を緩めてあげられるのが大人力なんじゃないかな」◇さとう・こういち1960年生まれ。スペシャルゲストとして出演した映画『HERO』が公開中。『アンフェアthe end 』『起終点駅 ターミナル』『64 ロクヨン』の公開も控えている。スーツ¥135,000ポケットチーフ¥7,000靴¥50,000(以上ボス/ヒューゴ ボス ジャパンTEL:03・5774・7670)シャツ、ベストはスタイリスト私物※『anan』2015年7月29日号より。写真・三部正博スタイリスト・藤井享子ヘア&メイク・及川久美(六本木美容室)文・兵藤育子
2015年07月23日芝居に対しては真面目すぎるほど。でもその一方で関西人らしいユーモアも持ち合わせている、チャーミングな大人の男・堤真一さん。そんな堤さんに「大人の男」について、語ってもらいました。――今回、大人の男というテーマで取材に伺ったのですが…。大人かぁ…20歳の頃といまの自分を比べて、どんだけ大人になれているかを考えると何も変わっていない気がするんで、たまに不安になるんですけど…。――でも、若い頃は尖っていたそうですし、そういう自分を客観視できるという意味でも大人になっているのでは?当時は、必死だったんですよね。20歳過ぎて芝居に関わるようになって、何がいい芝居で何がダメな芝居なのかわからず、自分がどっちに進んでいいかわからなかった。そんななかで、どこかで聞いた理念を自分の価値観だと思い込もうとして、他を受け入れることができずに頑なになっていたんです。でも実際は、不安で怖くて、自分を守るために必死に抵抗していた気がします。そういう反骨精神が、僕の前に進むエネルギーになってもいたんですが、やっぱり年をとると、そういうエネルギーって変わってくるんですよね。――自分のなかで本当の価値観が定まってきたということではなく?というより、自分のなかにこだわりみたいなものがなくなってきたんだと思います。いままで絶対嫌だと思っていたことも受け入れられるようになって、全部がいいし、全部がスゴいって思えるようになりました。最初の頃はそのことに戸惑いもあったけれど、いまは逆に視野が広がったのかなって思っています。――きっかけは何だったんですか?やっぱり年をとったってことでしょうね。ここ5~6年くらい、気力で乗り切ろうとしても、以前のように体は頑張れなくなってきているわけです。そうなると、気持ちもノっていかなくなって、一時期は、もう芝居に対しての情熱がなくなったのかなって思って、悩んだりもしていたんです。でも最近、それが自然と楽しければいいやって思えるようになってきた。パアッと目の前が明るくなるって感じじゃないけれど、ドツボからは抜け出せたのかなって気がしてます。――読者に向けて人生の先輩からアドバイスをいただけますか。きっといろいろ迷ってる世代だと思うんです…。迷ってていいんじゃないの?って僕は思うけどな。その間は苦しいかもしれないけど、迷えるだけ選択肢があるってことは、いろんな可能性があるってことなわけでしょ。今回のドラマに「リスクはチャンスだ」ってセリフがあるんだけど、迷ったり悩んだりしている時の、人間の“変わろう”っていう力ってすごいんです。自分が大きく成長できるチャンスだと、前向きに捉えたらいいと思います。◇つつみ・しんいち1964年7月7日生まれ、兵庫県出身。主演をつとめるドラマ『リスクの神様』は、フジテレビ系毎週水曜22時より放送中。また11月末から、舞台『才原警部の終わらない明日』への出演も控えている。※『anan』2015年7月29日号より写真・天日恵美子スタイリスト・中川原 寛(CaNN)ヘア&メイク・奥山信次文・望月リサ
2015年07月23日常に映画やドラマの最前線に居続ける“モックン”こと本木雅弘さん。今年50歳を迎える彼に“大人の男”についてお話を伺いました。――本木さんが考える「大人の男」とは?それが理解できていたら、こんなふうになっていないのかな(笑)。いつも立ち位置のはっきりしない自分がいる。時代とうまく寝るのか、そむくのか。どちらにしても自分がどうあるべきかを選べる男が優秀なのだと思う。つまり、自分の実像をキチンと捉えて思いを表現できる人。それが本当の大人かもしれない。なのに私は家族に対しても自意識がはたらいて、本当の自分をさらすべきか否かって躊躇する瞬間もあるんですよ。――仕事となると、特に個人の自由にはならないし、本音も言いづらいですよね。その部分はありますね。私の場合は10代の頃から大人の中で仕事してきたし、中途半端にチヤホヤされたりしたこともあって、どこかでお調子者のところと、周りの顔色をうかがうところと、変にエキセントリックなところが共存してるんですね。簡単に言うと、めんどくさいタイプ(笑)。場の空気に沿おうとする面はあるんですが、若干ムラがあり、うまく計算ができるほどの能もない(笑)。いつも揺れてるんです。――納得のいく生き方はできている?いやいやいや。ワガママなことを言ってしまえば、やりたいことを自由にやって、最期に本気で感謝して死にたいと思っています。けど、なかなか。まだ自分は他者や運命に対して100%混じりっけなしに感謝できたことは一度もないかも。こんなこと言ったら刺されそうだけど(笑)。どこかで「感謝せねば」という意識に縛られて素直になれない。どうですか?こんなふうに自己批判ばかりして、それを糧にしていると自分を肯定している男は?だから大人になんかなれませんよ、いつまでも(笑)。――なれないのか、なりたくないのか。なりたい!なりたいです。それは子どもが「プリンセスになりたい!」というのと同じ。自分が知りえなかったものを知りたいという欲求ですね。あれっ?なんだか愚痴めいてしまいましたが、大丈夫ですか?こんな大人げない大人の男もいるもんなんです(笑)。でもね、理想の自分に近づくわずかな希望は捨てていませんから。◇もとき・まさひろ1965年12月21日生まれ。埼玉県出身。俳優。昭和天皇を演じた原田眞人監督作『日本のいちばん長い日』が8月8日公開。東野圭吾さんの原作を堤幸彦監督が映画化した『天空の蜂』は9月12日公開。ガウン¥75,000シャツ¥27,000ベスト¥35,000パンツ¥54,000(以上エンジニアド ガーメンツ/ネペンテスTEL:03・3400・7227)ブーツはスタイリスト私物。※『anan』2015年7月29日号より。写真・津留崎徹花スタイリスト・田中伸紀文・杉谷伸子
2015年07月22日昨年のスーパー歌舞伎への出演に続き、今は舞台で一人20役に挑戦している佐々木蔵之介さん。時に飄々と、また時には力強く相手を牽引するかのような、しなやかなその魅力から目が離せない。タレントでエッセイストの小島慶子さんも「中年男性の平凡な、でも時々ハッとするほどセクシーな存在感がある」と語る、佐々木さんの魅力に急接近すべく、現在公演中の舞台『マクベス』の公演直前、稽古場にお邪魔。すると、心地よい疲労感と達成感に包まれた佐々木さんがそこに居た。「20役は、しんどいですよ。稽古中はわりと孤独だったし、一人で台詞を言っても相手がいないと返ってこない、何もない状態というか。でも、本格的な稽古に入ると音響が入ったり、スコットランドから1か月半かけて舞台セットが船便で運ばれてきたり、演出家の笑顔があったり。そういうものすべてが大きな力になっています」実は今回、稽古に入る前に佐々木さんは自らスタジオを借り、いわゆる“自主練”をしていたそう。「普段、他の舞台ではまったくしないんですが、今回に限っては稽古前に少しでも台詞を入れておきたかったんです。公民館の施設を1時間1500円か2000円くらいで借りて、転々としていましたね。いっぺん、キッチンスタジオみたいな場所しか空いていない時があって、そこで稽古したこともありました。さすがに『何やっとんねん!』と自分でも思いましたけど(笑)。でも、学生の時はそうやって小さな稽古場を借りて練習したりもしていたので、久しぶりに初心に帰るような新鮮な体験ができました」佐々木さんといえば、実家は京都の造り酒屋。学生時代「家業を継ぐのに人前に出ることに慣れるため」劇団に入ったのが、俳優をはじめたきっかけという。自らの芝居のルーツが演劇にあるからこそ、舞台には人一倍の想いがある。「ドラマや映画と違って、舞台は稽古からはじめて約3か月半、毎日ずっと同じ芝居と向き合わないといけないから、持久力が必要になってきます。特に歌舞伎なんかはそうですよ。去年スーパー歌舞伎に出演させてもらった時に亀ちゃん(市川猿之助)が、『兄さん、山に登るんじゃなくて、下山するまでが公演ですよ』って。だから、今日どんなに頑張ったからといって、明日できない演技では仕方がない。そうやって最後まで一つの作品と向き合うことが、今の僕の使命だと思っています」◇ささき・くらのすけ1968年2 月4 日生まれ。京都府出身。舞台『マクベス』はパルコ劇場にて上演中。オフィシャルフォトブック『動く森―スコットランド『マクベス』紀行―』発売中。ベスト¥48,000シャツ¥39,000パンツ¥43,000(以上フランク リーダー/マッハ55リミテッドTEL:03・5413・5530)※『anan』2015年7月29日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)スタイリスト・勝見宜人(Koa Hole inc.)ヘア&メイク・西岡達也(vitamins)文・瀬尾麻美
2015年07月22日オーストラリアやイギリスでは教材に使われるほどの世界的ベストセラー『ロビンが跳ねた―ラクダと犬と砂漠 オーストラリア砂漠横断の旅』。出版されて以来、30年以上にわたって映画化が望まれてきた伝説的ノンフィクションが映画『奇跡の2000マイル』でついに実現!1975年、オーストラリア中央部の町アリス・スプリングス。都会での生活に物足りなさを感じ、人生に新たな変化を求めていた20代半ばのオーストラリア人女性ロビン・デヴィッドソンは、ある壮大な計画を胸にこの町に降り立っていた。それはなんと、たった一人で2000マイル(約3000キロ)の砂漠を徒歩で横断するというものだった。いよいよ、4頭のラクダと愛犬を連れて挑む7ヶ月にもおよぶ奇跡の冒険が始まる。その旅の過程で、ロビンが得たかけがえのないものとは……?『アリス・イン・ワンダーランド』で一躍注目を浴びたミア・ワシコウスカがロビンを体当たりで演じ、動物たちと心を通わせながら、型破りな冒険に立ち向かう勇敢な姿は感動を呼びます。そして、自然とは無縁の都会の中では感じることのできない雄大なオーストラリアの景色にも心が洗われるはずです。現代では、スマホやパソコン、SNSなど常に何かに縛られている私たちにとって、全てから隔離され、一人で砂漠に生活するロビンの様子は想像もできないかもしれませんが、全てを断ち切って自分と向き合ったからこそ見えてくる大切なものを教えてくれます。そして、強い信念と目標を持ったロビンの姿は、砂漠に光り輝く朝日のように、あなたの心にも光を差し込んでくれるはず。「平凡な人間でも何かできるはず」と語るロビンを見れば、あなたも新たな冒険に挑戦したくなるかもしれません。イベントデータ:『奇跡の2000マイル』公開表記:7月18日(土)有楽町スバル座、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー配給:ブロードメディア・スタジオ© 2013 SEE-SAW (TRACKS) HOLDINGS PTY LIMITED, A.P. FACILITIES PTY LIMITED, SCREEN AUSTRALIA, SOUTH AUSTRALIAN FILM CORPORATION, SCREEN NSW AND ADELAIDE FILM FESTIVAL
2015年07月22日アルゼンチン歴代興収NO.1の記録を塗り替え、アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされるなど、世界中を騒然とさせている話題作『人生スイッチ』がついに日本に上陸!「こんな映画みたことない!」と思わず誰もが口にしてしまう衝撃作です。6つのストーリーで描かれているのは、どこに駐車しても毎回レッカーされてしまう不運な男や結婚式で新郎の浮気相手に気付いてしまう花嫁など、ささいなきっかけで人生が思わぬ方向に進み、負の連鎖に巻き込まれていく男女の姿。触れてはいけない“人生スイッチ”を押してしまった先に、それぞれが迎えるとんでもない結末とは?本作は、製作を名乗り出た名匠ペドロ・アルモドバルが「コンマ一つも変えるな」と言うほど惚れ込んでいる若手の鬼才ダミアン・ジフロン監督のオリジナル脚本。不運の連鎖に一度転がり始めたら誰にも止められない人々の姿をブラックユーモアたっぷりに描き、予測不可能の展開は可笑しさと衝撃の連続。実生活では、決して超えてはいけない一線を映画の中だからこそ、その先の先までとことん突き進んで描いており、とにかくその結末は驚愕の一言!まるで1枚のアルバムを製作するように、同じテーマを持つ6話を1つの作品に納めたという本作ですが、それぞれが強烈なインパクトを放っており、最初から最後まで度肝を抜かれっぱなし。アルゼンチン発の味わったことのない映画体験はぜひスクリーンで!人生において、抑えきれない怒りを感じたことあっても、大抵は誰しもが心の中に抑え込んでしまうもの。しかし、“人生スイッチ”は押したら最後。くれぐれもあなたは押さないように気をつけて!イベントデータ:『人生スイッチ』公開表記:7月25日(土)ヒューマントラスト有楽町、シネマライズ 他 全国順次公開配給:ギャガ(C)2014Kramer & Sigman Films / El Deseo
2015年07月22日「ひらパー」の名で親しまれている大阪府枚方市の老舗遊園地『ひらかたパーク』は、一見するとごく普通の遊園地。ところが、実は大阪府下でも第2位の入園者数を誇る、関西屈指の人気スポットなのです。人気の理由は、どうやらひらパーが発信し続けているおもしろコンテンツにあるようです。従来、テーマパークや遊園地の目玉といえば壮大なスケールをもつアトラクションでしょう。しかし、ひらパーの目玉はなんといっても「ひらパー兄さん」がいる!驚くことに、ひらパーの園長はV6の岡田准一さんなのです。枚方出身の岡田さんは、ひらパーのイメージキャラクターである超ひらパー兄さんとして活躍し、テレビや映画でのクールな姿とは異なるなんとも愛らしいおちゃめな姿を見せてくれています。胸に「園長」と大きく書かれた白パーカーを身にまとい、「わいが超(スーパー)ひらパー兄さんでおま。」とさわやかな笑顔で告げる姿は、なんともユニーク。岡田さんは「超(スーパー)ひらパー兄さん」、「園長」と着々と出世(!?)を重ねており、その成長を見守るのも、楽しみのひとつなのです。超ひらパー兄さん関連グッズを販売したり、斬新なCMやポスターを作ったりと、常におもしろコンテンツを展開し続けるひらパー。その攻めの姿勢が、多くの支持を集めています。岡田さんの愛らしい一面が見られるポスターやグッズは、ひらかたパークのホームページで堪能することができるので、ぜひチェックを!現在は、昨年園長のクビを賭けて行われた「年間100万人達成できなかったらさようなら」ミッションを見事達成したことを受け、「園長、延長。ありがとうイヤー」を開催中。どこか懐かしいアトラクションの数々も、大人女子を楽しませてくれることでしょう。今年の夏の旅行は、関西まで足を延ばして“ひらパー”はいかが?
2015年07月22日anan読者が選んだ、いま気になってしょうがない、色気を感じる男たちが、ずらり登場する、2015年版いま目が離せない“大人の男”40人。読者へのアンケート結果をもとに、30代後半から50代前半までの、いまの「大人の男ブーム」の顔ともいえる40人の男をピックアップするこの企画。好評につき、昨年に続いて第2弾となります。経験を重ねて身につけた色気と余裕、そして頼れる存在感。これらに加えて、突然繰り出される無邪気な笑顔やチャーミングさ。大人の男ならではのこういった深く複雑な魅力は、みなさんのポートレートからも滲み出ているように思えます。今年は俳優のほかにお笑い芸人を支持する声が大きかったのも特徴です。朝番組のMC陣をはじめとした、知性とユーモアを兼ね備えた芸人たちにエロスを感じている女性が急増。空気を読みながら場を回していく力量や出演者への気遣い、そしてちょっとした軽口など、懐の深さを感じさせる言動に支持が集中しています。「色気」と「余裕」と「ユーモア」。この3つが、いまの大人の男ブームに通底するキーワードといえそうです。今回は40人の“大人の男”の中からお笑い芸人をご紹介!コメントは、anan読者が語ったその人の魅力です。◇富澤たけしさん 1974年4月30日生41歳とみざわ・たけし8/1から「サンドウィッチマンライブツアー2015」がスタート。「バラエティ番組で見て色気にノックアウトされた。低音ボイスも好き」(31歳)◇設楽 統さん 1973年4月23日生 42歳したら・おさむbananaman live 2015「LIFE is RESEARCH」が8/13~俳優座劇場で。「日村さんをいじるSぶりがいい。普段優しそうなので余計にキュン」(26歳)◇矢作 兼さん 1971年9月11日生43歳やはぎ・けん『山Pのkiss英語』(フジテレビ系)に出演中。「優しそうな雰囲気のなかに、不思議な男ぶりを感じる。メガネと髪型のバランスも最強です」(28歳)◇博多大吉さん 1971年3月10日生44歳はかた・だいきち『トーキョーライブ22時~ニチヨルまったり生放送中~』(テレビ東京系)でナナナの声を担当。「知性を感じるブラックなコメントが好き」(29歳)◇加藤浩次さん 1969年4月26日生46歳かとう・こうじ『スッキリ!!』(日本テレビ系)、『この差って何ですか?』(TBS系)でMCを担当。「オールバックの髪型がセクシーすぎる。抱いてください!」(33歳)(注)年齢は2015年7月22日時点。※『anan』2015年7月29日号より。文・重信 綾
2015年07月22日「anan」1964号7/22発売は「大人の男2015」特集。今週の表紙作成ストーリーを紹介します。長谷川博己さんの、格好つけない格好よさ。あるときは頼りなさげな若い父親。またあるときは、映画大好きぶっとび青年。そんな「役柄スイッチ」のON/OFFがはっきりしているイメージの、長谷川博己さん。撮影ではまた別のスイッチが入るのかも!?というミーハーな好奇心があったのですが、スタジオに入ってきた自然体の姿も、撮影用の衣裳でカメラの前に立っていても、決してキメようとしない良い意味でフラットな様子に驚きました。その無駄のないたたずまいが、コンクリートむきだしのスタジオに似合う事…!インタビュー時も必要以上に多くは語らず、投げられた質問に的確に答える姿勢に漂う、デキる男の色香。順風満帆の俳優人生という世間の評判に対して「いろいろと苦労もしてきたんですけどね」と苦笑する姿からにじみ出る、大人としての経験値。やはり同世代男子とは違う…いや、他の年上男性ともそもそも圧倒的に何かが違ってました。だって、ザ・シンプルな紺のVネック姿(私服)があんなに恰好いい人、そうはいません…!ちなみに、撮影日の4日前にananに配属となった新入社員の私ですが、初仕事はこの日の昼食手配。「男性スタッフが多いのでお肉もので」「蓋がプラスチックの弁当は避けたい」上司の挙げた条件を満たすお弁当をなんとか見つけ、スタジオで受け取ったときはほっとしました(立替用のお金が足りず上司に払ってもらうという凡ミスをしたものの)。帰り際に長谷川さんが見せた、撮影中とはまた違う気さくな笑顔にきゅんとしつつ、初仕事を終えたささやかな達成感を味わったのでした。(M)
2015年07月22日昨年、設立100周年を迎えた宝塚劇団の中でも“稀代のトップスター”と呼ばれる柚希礼音さん。近年の宝塚では類を見ない6年にも及ぶトップスター生活では、真矢みきさん以来2人目となる武道館コンサートを成功させ、さよなら公演の千秋楽には劇場前に史上最高の1万2000人が詰めかけた。そんな柚希さんは、退団後の動向に注目が集まるなか、アメリカショウビズ界のレジェンド、ハロルド・プリンスが手がける舞台への出演を発表。宝塚の肩書が通用しない世界にあえて踏み出す理由を聞いた。――退団後1作目に選んだのがハロルド・プリンスの舞台とは驚きました。これまでのキャリアが一切通用しない世界で勝負しようと決めた理由を教えてください。やっぱり皆さんが気にされていたことだと思いますし、私もすごく悩みました。ファンの方から考えたら、私を主役に作っていただくような作品を待っていたかもしれません。でも在団中から私を応援してくださっていた方々って、きっと新しいことに挑戦し続ける姿に共鳴してくださっていたと思うんです。もしかしたら今回の出演は無謀な挑戦で、批判を浴びるようなことになるかもしれません。でも、宝塚でのキャリアを守って生きていくより、自分自身の実力で挑んでいきたいと思ったんです。――柚希さんは、宝塚に入る前はバレエで世界を目指していらっしゃいましたよね。背が高くなりすぎたことでその道を諦めたわけですが、宝塚を経てこうして世界の舞台へ出ていくことになるというのには運命的なものを感じます。そうなんです。留学して海外の舞台に立ちたいというのは、自分のなかで一度終わった夢だったんですよね。当時一緒に踊っていた友達がバレエの世界で活躍していくなかで、自分だけ宝塚という違う道に行ったと思っていたんです。まさか自分がこんなに宝塚に没頭 するとは予測していなかったし、そこで学び、芸だけでなくいろんなことを成長させてもらい、最終的にこの道を選んでよかったと思えるまでになれたことでも十分なくらい。なのに、その先に、かつて目指したブロードウェイの話があるなんて思ってもみませんでし た。回り道したようだけど、あの時にバレエで留学していてもこんなお話はいただけなかったと思いますから。――宝塚入団当初は、きっとどこかに第二の選択肢に進んだという思いがあったのではないかと…。あったと思います。ダンスがしたくて入ったのに、お芝居も歌もやらなきゃいけないんです。宝塚ファンの時期がないから男役への憧れもなく、ましてや「愛してるよ」なんてセリフを言いたかったわけでもない。でも、そうやって客観的に見ているからこそ、「クサい」とか言われない男役を作ろうという気持ちになれたんです。上級生がやっているからやる、ではなく、あくまでも、自分が必要だと思うことをやろうと。ただ、宝塚が第一の選択肢だったと思うようになれたのは、『スカーレット・ピンパーネル』のショーヴラン(’08年上演の大ヒット作。柚希さんが2番手時代に演じた悪役で、当時、演出の小池修一郎さんから厳しい指導を受けた)を経てトップになった頃です。宝塚でよかったと思えるまでには、それくらい長い時間がかかりました。――でも結果的に、そのことが、宝塚ファンじゃない方々までも熱狂させる男役・柚希礼音に繋がったんだと思います。宝塚の男役といえばリーゼントでしょ、という従来のイメージがあるなかで、前髪を下ろしたり、短髪にしたり、いろんな挑戦をしてきました。ウィンクを飛ばしてお客様の心を掴んでいく他の男役の方を見ながら、私は2階席の後ろにまで届くパフォーマンスでお客様を魅了したいと思っていたり。宝塚ファンのための舞台ではなく、一般のミュージカルや演劇を観た時に味わえる、あの感動と同じものを伝えたかったんですよね。だから、最後の最後に、このやり方でよかったんだと思えたことが何より幸せです。昨年の100周年で、宝塚はテレビや雑誌にたくさん取り上げられましたけれど、多くの人の関心は音楽学校の整列だとか入り待ち出待ちの列のことだったんですよね。でも、本来の魅力はタカラジェンヌ全員が人生をかけてやってるというところ。単なるお嬢様劇団ではないからこそ、 宝塚ファンじゃなかった私も燃えることができたんです。フワフワした夢の世界ではないことをひとりでも多くの方に知っていただくことができたならうれしいです。下手だと言われ続けたのがよかったのかもしれません。◇ゆずき・れおん6月11日生まれ。大阪府出身。’99年に宝塚歌劇団に入団し、星組に配属。早くから新人公演で主役をつとめるなど、注目を集める。’08年には松尾芸能新人賞を受賞し、翌年、星組トップスターに就任。’15年5月に宝塚を退団。千秋楽公演は、宝塚史上最大規模の全国45か所でライブ中継され話題に。◇柚希さんの宝塚退団後1作目となる舞台『プリンス・オブ・ブロードウェイ』は10月23日~渋谷・東急シアターオーブ、11月28日~梅田芸術劇場で上演。演出は『オペラ座の怪人』などを手がけたハロルド・プリンス、共同演出&振付を『プロデューサーズ』のスーザン・ストローマンが手がけることでも話題。チケットは7月25日より一般発売開始。梅田芸術劇場 TEL:0570・077・039※『anan』2015年7月29日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・間山雄紀(M0)ヘア&メイク・CHIHARUインタビュー、文・望月リサ
2015年07月22日『anan』本誌で「今週の運勢」を連載しているサツキメイさんによる、ananニュースオリジナルの週運「今週やること、考えること」。週のスタートは、これをチェックしてから!7/22-7/2823日の昼間に太陽が、その後水星が獅子座に移動して、やっと意欲高まるサイクルが始まります。特に、今回は土星のサポートを受けた先での幕開け。「もう、あれもこれも、はいらない」「本当に「やりたいこと」をするんだ」…。そうした決意が高まるでしょう。獅子座は、もともとコダワリ屋で、妥協を好まない、「固定宮」の星座です。精神性を重んじる「火」の星座でもあるため、「潔くケリやけじめをつけて、先に進みたい」という心境になる人も多いはずです。なお、25日から、金星は9月以降まで長期逆行に、木星が獅子座に滞在するのは8月10日まで。金星は今月いっぱいは乙女座にいますが、他の配置を見ても、今週はお金や「得」が絡む話は、保留になったり、変更がありそうです。木星が象徴する、「流行」…今どきの「良さげ」なことなども、「ちょっとそろそろ厳しいんじゃない?」という気がしたら、見送る、見直す、まとめてみる…このあたりも、少し意識しながら過ごしてみてくださいね。全体的に「焦らず、自分優先、整理優先」のほうが、いいでしょう。そして今週は24日に、上弦の月を迎えます。この影響のピークは26日の夜頃まで。ここでは、「何を手放し、何を残すか、守るか」という「選択」に迫られます。この、24日から26日までが、このサイクルでの、大事なキーポイントとなるでしょう。世の中では、毎日、毎分、「素敵なもの」が現れるので、誰もが「どれも手に入れたいし、どれも手放したくない」と、いう気持ちになります。けれど、冷静に考えれば、「守りたいものが増えれば増えるだけ」その維持のために、沢山の時間やお金や労力がかかります。「つまりあなた自身の荷物がどんどん増える」ことになります。この「荷物」は人により、「やるべきこと」であったり、「対人関係」であったりするでしょう。あるいは「何かに求める条件」であるかもしれません。けれど、例えば、…友達とマメにやり取りして仲良く…充実していてやり甲斐があり稼げる仕事…いつもキレイにおしゃれにお手入れもして…素敵な恋人やパートナーとの関係…これらは、実は、「そのひとつ」を叶えるだけでも、とても大変です。もちろん、維持するのも、なかなか大変でしょう。ヘトヘトになってしまっている人も、実は多いはずです。そして、そんな中で、何よりも大事なのは、「それが本当にあなたの求めるものなのかどうか?」です。わたしたちはつい、負けたくないという気持ちや、うらやましがられたいという気持ちで、「本当は欲しくないもの、必要ではないもの」まで、手に入れなければと無理をし、そのせいで人に謝れなかったり、人を祝福できなかったり、という悪循環に陥りがちです。けれど、もし「今までそうしてきて、幸せでない」と感じているのなら、あなたが本当に望む道に向かうべきです。目指す目的地がクリアになれば、そして「これまで」への執着を断ち切ることができれば、きっとそれは、一気に「たやすく」なるはずです。過去の恨み、意地などの、あなたを「縛る」感情も、この機会にリリースしてしまいましょう。ここから、様々なことが変わって行きます。流れに乗る準備をしましょう。今週が、あなたにとっていい一週間になりますように。プロフィールサツキメイサツキメイ。1975年生まれ。東京出身。コラムニスト、占い師、占術講師、占術研究家。占術は西洋占星術とタロット。占術研究だけでなく、心理学、脳科学、文化人類学、考古学、美術史など多方面からの見解を取り入れた活動を展開している。anan本誌にて「毎週の運勢」連載中マイナビウーマンにて「サツキメイの12星座占い」連載中TWITTER:@meidiamond公式サイト:
2015年07月22日Charisma.comは、現役OLの女子2人によるラップユニット。働きながら活動を続け、念願かなって『OLest』でメジャーデビューを果たした。「平日はほぼ毎日会社が終わってから集まって活動し、土日はライブをやっています」(ゴンチ)と言うゴンチさんは精密機械会社、いつかさんは輸入雑貨の会社で事務を担当。二人は中学・高校からの仲良しだったが、ユニットを始めたいきさつは、かなりユニーク。「大学時代、ロックバンドでボーカルをやっていたんですが、メンバーに『歌というよりラップだね』と指摘されて。それでラップをやろうと思いたって、お兄さんがDJ機材を持っていて、ヒマそうだったゴンチを誘いました」(いつか)当時は女の子らしく「愛だの恋だの、浮ついた曲を歌っていた」ものの芽が出ず、社会人にしかし25歳のとき、心の内に秘めていた文句や言いたいことを曲にした「HATE」をYouTubeにアップしたところ、国内外で大反響。「この曲をきっかけに、会社やOLをテーマにした曲を書くようになりました。会社の方々も知っているので、社長に『おれ、“クズ”なんて言ってるか?』と歌詞を気にされたり(笑)。新しいアルバムは、私たちOLのアイデンティティをリアルに出す作品にしたので、いまやクビ寸前の状況です」(いつか)と、退社覚悟で完成した『OLest』は、「こんな人いるいる!」と深く頷いてしまう同僚やお局、使えない上司やアラサーOLなどを描いた歌がズラリ。とはいえ毒を盛るだけでなく、新種の応援歌としてパワーをもらえるナンバーだ。「昔はお局にやられてクソ、と思っていたけど、いま『お局ロック』を聴くと、お局さんの本当の気持ちが分かります。このアルバムでたまった不満を打破できれば嬉しいですね」(ゴンチ)「みんなが思っていることを、ハッキリ歌ってきた私たちですが、メジャーデビューにあたり、新作はビートもリリックも今まで以上に激しいです。これ以上やるとクドい!と言われそうなので、8曲入りに抑えました(笑)」(いつか)◇カリスマドットコムMCいつか(左)とDJ ゴンチ(右)によるエレクトロラップユニット。10月から始まるワンマンツアー「Nomore ZANGYO!!」では東名阪と福岡をまわる。◇Debut mini album『OLest(オレスト)』¥2,000(WARNER MUSIC JAPAN)話題のナンバー「お局ロック」など、OLワールドの裏表をテーマにした冴えわたるリリックと、エレクトロサウンドが聴きもの。全8曲。※『anan』2015年7月22日号より。写真・内山めぐみ文・北條尚子
2015年07月21日大なり小なり、誰もが持つのがフェティシズム。しかしそこに広がる世界は実に複雑だ。「それ、あるある!」と意気投合したのに、実は萌えポイントが微妙にズレていたり、「ないわー」と全否定したものの、その熱意にだけはうっすらと共感できたり。高野雀さんの『低反発リビドー』で描かれるのは、そんな十人十色の倒錯ぶりだ。自分はワキ毛フェチなのに、彼女が永久脱毛していることを知ってしまった青年のショックや、シングルマザーの女友達に「後期高齢者層が超タイプ」と言われ、理解に苦しむ女性の混乱、スーツ姿や長めの髪型など属性で恋に落ちる各人のフェチぶりを肴に盛り上がる女子会ストーリーなど、全30話のオムニバス。「大半は、私が飲み会の席で聞いたちょっとした衝撃告白がもとになっています。私は下戸なので、記憶が鮮明なんですよね。いつかこういうネタを明るく描きたいなと思っていたんです」5階建てのエレベーターなしアパート<コルダーハイツ>を舞台に、各部屋の住人やその友人たちの間で交わされる性癖話が軸になる。「最初は、各話をリンクさせようかというもくろみもあったのですが、そこにこだわりすぎてテーマが重くなると、かえって笑ってすまされなくなるかもと(笑)。どんな性嗜好も、容易には変えられないもの。一刀両断するのではなくて、『しょうがないよね』とライトにさらっと受け入れてもらえるようなテイストを意識しました」書籍化に際しては、ウェブ連載していたものの一部を描き下ろしと差し替え、各話の終わりにはすべて4コママンガを描き加えた。このおまけページと合わせ、どのエピソードも1話で2度のオチが楽しめるという豪華版だ。「描く上で自分なりの挑戦として、いくつかテクニック的な縛りをもうけました。登場人物たちのモノローグは封印し、会話のキャッチボールだけで物語が成立するようにしようとか、コマ割りを固定して、1コマ目はドアの絵から始めようとか」インタビュー時、ネームの準備のための創作ノートを見せてもらったのだが、これが驚異の綿密さ!マンションの各部屋を階層マップにした一覧表を作成。それぞれの部屋で巻き起こる物語のアウトラインが、けし粒のような小さな文字でびっしり書き込まれていた。そうして生まれた本書は、閉塞感や惰性に倦んだ女性たちの、ささやかな決意を描いた鮮烈なデビュー作『さよならガールフレンド』とはまた違った読み心地。高野さんの新たな魅力に、ぜひ触れてみて。◇アパート<コルダーハイツ>に集う人々が語るのは己の熱い性嗜好。ちょっぴりアブノーマルな世界は案外、特殊ではなくて日常と地続きだった!グランドメゾン形式で描かれるユニークなコミック。徳間書店580円。◇『低反発リビドー』(C)高野雀/NSP 2014◇たかの・すずめマンガ家。同人誌即売会「コミティア」用に制作した「さよならガールフレンド」が書籍化されデビュー。※『anan』2015年7月22日号より。写真・加藤 淳(本)インタビュー、文・三浦天紗子
2015年07月21日オネエ系映画ライター・よしひろまさみちさんの映画評。今回は、少女時代のモヤモヤを解消する『インサイド・ヘッド』です。* **大人泣きすることってそうそうあるもんじゃないのが、お仕事バリバリなanan世代女子。でもね、この映画『インサイド・ヘッド』は泣かせるわよ~。アニメなんぞで泣くもんか!という方、だまされたと思って観てごらんなさい!物語の主人公は11歳の少女ライリー。ミネソタの田舎で幸せに育ってたある日、パパの仕事の都合で大都会サンフランシスコに引っ越すのね。多感なお年ごろの彼女は、新しい環境になじめないだけじゃなくて、思春期独特の反抗期まで始まっちゃうの。そのとき、彼女の頭の中では、それまでヨロコビが取り仕切っていた感情たちが大パニック。なんせ対応したことがないことばかりが起きるもんだから、どうしてよいモノやら。しかもカナシミが暴走して突飛な行動に出たばかりに、ヨロコビとカナシミが感情コントロールの司令部から記憶の平野へ追いやられちゃって、残されたビビリ、イカリ、ムカムカだけになっちゃう。これね、子供向けのキャラクターアニメと思いきや、大人の階段を上った皆さんだったら必ず共感できる感動作なの。思春期の抑制できない感情の動きを、ものすっごくわかりやすく描いているのね。そもそも子どもって、笑ったり泣いたり怒ったりイライラしたりっていうのがシンプルじゃない。でも、考えてみて。いつのころからか、喜怒哀楽が入り交じった思い出ができたり、空気を読んで感情を抑制したりできるようになるでしょ?それって「だって大人のオンナになったから」で片付けちゃうもんだけど、じつは大人の階段を上る過程でいろんなことが起きてるのよね。たとえば、子どもは夢想空想をよりどころにしてることがあるけど、ふと気づくと、いつも夢想していたことを忘れてしまっているのよね。それがいわば、成長過程における意識・無意識の整理。人間の記憶って都合よくできてて、暮らしていくうえで必要なことだけを記憶して、必要ないとみなしたことは無意識のほうに追いやっちゃうのね。また、年ごろの反抗期っていうのも、感情の抑制がうまくいかなくなってるだけで、思い返してみると「大人げないわ~」って思えるようになるでしょ?そういったことを、ライリーちゃんの成長とともに描いているのがこの作品なの。だから、作品で描かれているディテールは置いといて、観ている人自身が自分の思春期のことを思い出しちゃう。それも不思議と具体的に思い出せるというマジックつき(そこもまた、人間の記憶の都合のいいところ)。「これは、あなたの物語」っていうキャッチコピーがついてるけど、まんざらウソじゃないってことだわよ。それもそのはず。監督曰く「僕の子育ての経験で、娘がだんだん別の人間になっていく過程をみてきたから、それをベースにしている」っていうんだもの。そりゃリアルだわ。だから、この作品はむしろ大人向き。しかも大人の女性ほど、忘れ去っていた少女時代や親不孝時代などなどを思い出しちゃうの。それどころか親御さんと一緒に観るのもいいかも。大人になったからこそ、モヤモヤしていた時代のことを親子そろって反省できる材料になるもの。こんな全世代網羅のオリジナル脚本を作りだしたピクサー、エライ!!◇『インサイド・ヘッド』(C)2015 Disney/Pixar. All Rights Reserved.◇じつは脳科学の専門家へのリサーチもバッチリしていてぬかりない。だけど、小難しいこと抜きがピクサー式。監督/ピート・ドクター声の出演/エイミー・ポーラー(竹内結子)ほか7月18日より全国ロードショー。(C)2015 Disney/Pixar. All Rights Reserved.※『anan』2015年7月22日号より。文・よしひろ まさみち(オネエ系映画ライター)
2015年07月21日今年この時期の刊行のタイミングにいちばん戸惑ったのは著者本人かもしれない。窪美澄さんの『さよなら、ニルヴァーナ』は少年犯罪の加害者、被害者と周囲の人々を追った衝撃作。読めばあの14歳の少年による神戸連続児童殺傷事件が題材であることは明らか。しかし、かなり前から温め、連載してきた作品だ。「2010年に作家デビューした頃、事件記者の経験のある編集者の方と、阪神・淡路大震災やオウムのサリン事件があった‘95年は日本の変わり目だったという話をしたんです。その方は‘97年の少年Aの事件の時に現地取材したそうで、話を聞くうちに静かな町で事件が起きるものを書きたい、と感じました」その後、東日本大震災が起きた。「津波が人や家を呑み込んでいく映像を見ているうちに、阪神・淡路大震災の2年後にあの事件が起きたんだと思って。町がひっくり返る様子を実際に見たことは、少年の心に何かしらの波紋を投げかけたのではないかと思いました。‘90年代から今に至るまでの日本を振り返ってみたい気持ちも強くなっていったんです」主要人物は複数。作家志望の女、幼い愛娘を殺された母親、捕まった少年Aを崇拝する少女、そして今は社会復帰している少年A…。「社会派小説というより、巻き込まれた人たちの感情のうねりと、彼女たちが語る彼を書くことで、少年Aとは何だったのかを浮かび上がらせようと思っていました」本書はそれぞれの家族を書いた物語でもある。なかでも少年Aが母親に連れられてカルト教団にいた過去がある設定にしたのは、「日本の‘90年代は、バブルの余韻に世の中が浮かれる中で、信仰や宗教を持って生きる人たちの気持ちもわかるよね、という風潮がありました。その感覚はカルト教団に入る人たちと表裏一体だったと思う。自分の神様を見つけようという気持ちから、少年の気持ちが転がっていくところは書いてみたかったですね」作家志望の女性だけは当事者たちから遠いところにいる印象だが、後半にその存在の意味が判明する。「少年Aを追ううちに、彼女は書く覚悟を決めていく。小説を書くのは楽しいだけじゃなくて、地獄を見ることもある。彼女のあの覚悟は、私とシンクロするところがあります」◇タイトルにある「ニルヴァーナ」はバンド名で、「涅槃」のほかに「犠牲」という意味も。カバーの人物は女の子にも見えるけれど少年。文藝春秋1500円。◇くぼ・みすみ作家。1965年、東京都生まれ。‘09年「ミクマリ」で女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞してデビュー、同作を巻頭においた『ふがいない僕は空を見た』で山本周五郎賞受賞。※『anan』2015年7月22日号より。写真・岡本あゆみ(窪さん)加藤 淳(本)インタビュー、文・瀧井朝世
2015年07月20日