実家に着く前にどっと疲れる車移動。お盆休みに入ると、私の実家に2〜3泊帰省するわが家。実家は大人にとってはそこまで遠くない"車で2〜3時間の距離"ですが、子どもにとっては長く感じるものです。子どもたちが飽きないようにDVDや歌を流したり、家から持参したぬいぐるみやおもちゃで遊んだりしますが…やはり車に小一時間も乗っていると「もう着く??まだー??」と後部座席の子どもたちが騒ぎ出します(私も後部座席に乗れればいいのですが…もともと車酔いがひどく、産後はさらに拍車がかかって今では助手席しか乗れません)。こだわり強めなASDのある息子(5歳)は、トイレとお昼休憩がてらサービスエリアに寄るときも「ここじゃない!(実家と違う)」と降車拒否します。なんとかなだめてお昼ごはんを食べに行っても、今度は車に戻ろうとすると「疲れた。もう車乗らない!」と言い出す息子(まぁ…確かに。つまらんよなぁ…車移動。でも乗らんと永遠に着かへんで…?)。ぐずる息子を遊ぶところのないサービスエリアで10~20分散歩してなだめて、なんとか車に乗り込みます(特に炎天下なお盆休み中はほんとキツい…)。Upload By 海乃けだま過去に子どもがドライブに飽きたときの対策で、何度か遊び場の付属するサービスエリアに行ったことがあるのですが、遊び疲れて帰省途中の車内で爆睡し、実家に着いてから覚醒して夜中まで起きているという"大人が瀕死になる"スケジュールとなってしまったので、あえて遊び場のないところに行くようにしています。私と子どもたち、実家に着いて真っ先にすることは…やっと実家に着いたところで、まずADHDのある娘(4歳)は、ひたすら家の中を走りまわります!!私の両親は孫たちと普段頻繁に会うことがないので、やはり実家には安全対策の甘い箇所がかなりあります。ガラス戸が自由に開閉できたり(息子は扉の開け閉めが大好きです)、仏壇の蝋燭やマッチ、お線香立て(香炉灰)が出しっぱなしだったり、手の届く高さにハサミやペーパーナイフが置いてあったり・・・。特にリビングに入る扉は閉まるときにゆっくりになる構造ではないため、子どもの力でも容易に「バタンッッ」と勢いよく閉まります。今まで幾度となく多動な娘が挟まれそうになったり、蝶番で指を挟みそうになったり…実家に着いてホッとする間もなく、私は実家の安全対策に追われます…。次にASDのある息子は、祖父母への挨拶などスルーして実家にある"あるもの"を真っ先に取りに行きます。"あるもの"…それは、小さな卓上専用ゴミ箱です(ゴミ箱かーい!)。なぜそんなにもそのゴミ箱に魅了されているのか、親の私もさっぱり分からないのですが(笑)毎度必ずそれを取りに行きます。あまりゴミ箱に触ってほしくはないので、一度、母(息子にとっては祖母)に頼んで隠しておいてもらったこともあるのですが、そしたら息子は「ここに置いてあったやつー!ない!!」とすこぶる不機嫌に。今では祖母が折れて、卓上ゴミ箱はゴミを入れずに息子用のおもちゃとして保管されています(笑)。Upload By 海乃けだま…あ、夫ですか?夫は着替えやおもちゃなど、家から持ってきた荷物を家の中に運ぶ作業を1人で任されてます(ごめんね)。ちなみに、私の両親にも、孫たちの診断については話してあるのですが…実母は良くも悪くも干渉しないタイプなので、息子の発達に遅れがあることについて伝えたときも「そう?これくらい心配ないんちゃう?」という感じでした。実際子どもたちに診断が出たことを伝えたときも「今はなんでも診断がついてしまうんやなぁ」と割とアッサリとした反応でした。実父は「そうか」という感じで、よく言えば気にしない、悪くとれば無関心なタイプです(笑)。従姉兄たちとの微笑ましい遊び…と超早朝覚醒。私たちの帰省のときには、私の姉家族と弟家族もタイミングを合わせて帰ってきます。面倒見のいい小4の姪っ子、たくさん遊んでくれる小1の甥っ子、そして娘と同い年の甥っ子…子どもたちだけで仲良く遊んでいる姿は癒されるし、親もひと息つけるし(笑)最高の時間です。「このままこの時間がずっと続けばいいのに…」と思った矢先に兄妹喧嘩は始まりますが、帰省中は夕食の用意を考えなくていいので心はかなり穏やかです(笑)。そして環境が変わっても、疲れていれば割とすぐに寝てくれるわが子たちなので、昼寝さえしなければ実家でも寝かしつけは楽なほうです。しかし問題は朝…眠りの浅い時間帯(5~6時)には必ず息子か娘のどちらかが目を覚まし、そしてその物音と声にもう1人も起きてくると言う協力プレイをしてくれます(白目)。食欲旺盛な娘は「おなかすいたー」と寝起き一番に騒ぎ始めるので、ほかの家族や祖父母を起こさないよう静かにリビングへ行き…実家に帰省しても朝ごはんは用意しなければならない私です(羽を伸ばすとは一体…)。Upload By 海乃けだま姉たちと帰省日を合わせる理由は2つ。それは・・・姉家族や弟家族と帰省日を合わせるのには理由が2つあります。1つ目はせっかくの帰省なので大人数の方が楽しいし、子どもたちも楽しみにしているし私自身も会いたいから。2つ目はASDの息子のためです。社会性の発達もゆっくりな息子ですが、人懐っこい一面もあり、特に面倒見よくたくさん遊んでくれる姉家族の従兄のことが本当に大好きです。息子が2歳くらいのまだ発語がほとんどない時期に、一度姉家族と日にちが合わずにずらして帰省したことがありました。姉家族が私たちより一足早く帰った翌日、何の前触れもなく急に息子が大泣きし出したのです。始めはなぜ泣いているのか訳も分からず、どこか打ったのか、体調が悪いのかなど心配しましたが、どこも変わったところはなく…発語のない息子の泣く理由を片っ端から考えた結果、「姉家族がいないからかもしれない!」という結論になりました(それから何度か私と子どもの3人で帰省したことがあるのですが、姉家族がいないと帰省した翌日には息子がホームシックのような状態となるため、間違いないと思っています)。息子や娘にとって大好きな場所が増えることは親としてもうれしいので、これからも大人数で賑やかな実家帰省を楽しみたいと思っています(じいじ、ばあば、まだまだ長生きしておくれよ!!笑)。Upload By 海乃けだま執筆/海乃けだま(監修:新美先生より)特性のあるお子さんとの帰省について詳しく教えて下さりありがとうございます。自分の実家への帰省でさえも、特性のあるお子さん連れだと、引っ掛かりポイントがいろいろ出てきて気が抜けないですよね。それでも、子どもたちにとっても楽しいことがいっぱいあるから連れていきたい!!対策を立てて念入りに準備していっても突発的な予期せぬ事件も起こる…そんなことの積み重ね自体がよい思い出になるのかもしれません。楽しいことでもテンションが上がりすぎて不具合が起きるとか、これは子どもなら楽しめるだろうと予想していてもハマらないとか、思いもよらないところに地雷とか…そういうのも含めて、帰省を楽しめたらいいなと、けだまさんのエピソードを読んでて感じました。ありがとうございました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年07月30日大切なわが子に障害がある可能性。祖父母や親族にはどう伝えよう…?長女のまゆみに神経発達症(発達障害)の可能性があると気づいたのは1歳ごろ。定型発達なら9~10ヶ月ごろにできるようになるはずの指差しが一向に見られないことがきっかけでした。まだ可能性の段階で祖父母世代(私から見た父母世代)の面々にこのことを伝えるべきか少し考えましたが、私はまゆみのありのままを伝えることにしました。「まゆみ、指差しがまだ出ないから何か障害がある子かもしれない」当時はどちらの親とも居住地が離れていたので、隠そうと思えばしばらくは隠せたと思います。そんな中で、たまに会いにくる孫についてそんな風に告げられて、どちらの祖父母もショックだったことでしょう。けれど、これが一番まゆみのためになりそうな選択だと思いました。もし実際に障害があった場合でもあらかじめ伝えておくことで心構えができますし、障害がなかった場合でも「あのときは心配のあまり考えすぎていたね」で済むと考えたのです。時間がかかっても、両祖父母ならまゆみのありのままを受け入れてくれるだろうという信頼もあり、祖父母世代には心配なことや1歳半健診で引っかかったことなどは全て共有しました。祖父母世代の中で、孫娘に障害がある可能性について強い拒否感を示したのが私の母でした。まゆみの発達の遅れを伝えたとき、私の母は涙を流していました。そして「でもまだ1歳だから、これから成長するから」と愛情はありながらも受け止め切れない様子の言動が多くありました。しかし、まゆみと接していく中で、きっと納得する部分があったのだと思います。時間はかかりましたが、「この子は何か障害があるかもしれないけれど、大事な孫娘ということに変わりない」という考えに至ってくれたようです。親子の関係性にもよるので何でも話すのが万人にベストとは言えませんが、わが家の場合は確証のない段階から全て話してきて良かったと思っています。2歳10ヶ月になり、まゆみに正式に自閉スペクトラム症と知的障害の診断がついたとき、母は「診断がついただけで、まゆみちゃんは昨日と何も変わらない可愛くて自由なまゆみちゃんよ」と言ってくれました。今ではまゆみの最大の理解者のひとりになっています。昔からの友達、子どもを通じて知り合ったママ友、ご近所の人には何て言おう…?祖父母への告知と同時に、日常的につき合いのある人にどう言おうかも悩んでいましたが、こちらも『ありのままの状態をオープンにする』ことにしました。困りごとや心配を話すことで何か良い情報を教えてくれるかもしれませんし、何よりまゆみのコミュニケーション不全は誰が見ても明らかだったので、そのことについて何も触れない方が不自然で憶測を招くのではと思ったためです。そんなわけで、私は診断がつく前から「この子ちょっとゆっくりなんだ」「何か障害がある子なのかも」と周囲に伝えていました。気を遣わせてしまわないように、なるべく普通のトーンでサラッと言うと、周りも「そうなんだ、何か困っていたら話してね」とそのままを受け容れてくれたように思います。診断がついた後も、昔からの友人たちとは定型発達のお子さんたちと一緒に遊ばせながらのつき合いがずっと続いています。Upload By にれまた、日ごろから挨拶する間柄のご近所さんたちにも診断がついていることを話しています。可能な限り自助努力するというのは大前提ですが、「もしまゆみちゃんが1人で出歩いていたら保護して家族に知らせてあげないと」という空気が醸成されたことは心強いまゆみのセーフティネットになっています。田舎住まいで町内のつながりが強いわが家ではこうした形になりましたが、この辺りは周囲との人間関係やお子さんの年齢・性格、お住まいの地域などによっても多少判断が変わってくるのかもしれません。ただ、子どもを通じてできたつながりのママ友は一部の人を除いて疎遠になってしまいました。これは私に原因があります。月齢の近い子どもばかりのママ友会では、「うちの子はこんなことができるようになった」という話がどうしてもメインになるので、最初のうちは「みんなすごいね、まゆみはゆっくりだからな~」と笑えていたのが、どんどん開いていく発達の差を目の当たりにして参加するのがつらくなってしまいました。仲の良かったママ友とは個人的に連絡を取り合っていますが、不参加を続けるうちにコロナ禍で集まり自体がなくなってしまい、今に至ります。きっとその場へ行けば受け入れてくれた人たちだったと思いますが、当時の私は行けばつらくなると分かっている場所へ行くことがどうしてもできませんでした。Upload By にれ一期一会の人にも公園で話しかけられた人や初めて会った人なども、友好的な素振りを感じた場合はそのままの状況を伝えています。話をしていると数分と待たずまゆみが相手のことを無視するタイミングが来るので、それに合わせて「自閉スペクトラム症のある子でして、ご挨拶ができなくてすみません」と伝えると大抵の人は理解してくれます。一番避けたいのは事実ではない憶測をされたり、まゆみのことを「変な子だな」という判断をされたままお別れになることなので、こちらから必要な情報のボールを投げた後は、どう受け取ってどう対応するかは相手側にゆだねています。びっくりされる人もいますが、ほとんどの人はそのまま受け入れてくれたり、身近な神経発達症(発達障害)の子どものエピソードなどを教えてくれる人もいたりします。Upload By にれもしまゆみの特性のことを知って離れていく人がいたら、それはそれで仕方のないことだと思います。理解してくれたらもちろんうれしいのですが、受け取り方は自由ですし、障害の話題にトラウマのある人かもしれません。どちらにしてもご縁のない人だったのでしょう。こちらに無関心な人にまでわざわざまゆみのことを宣伝しませんが、少しでも関わりを持とうとしてくれる人には「自閉スペクトラム症の子どもが地域にいる」「笑顔で、普通に暮らしている」と知ってもらうことが、こうした障害への理解を少しずつ広めることにつながっていくのではないかと思い、このようにしています。振り返って思うことまゆみの言動に表れる特性は強く、隠そうと思って隠せるものではないので結局は「どうすれば本人が生きていきやすいか」を軸に考えています。この春からまゆみは保育園に通い始めて集団の中で過ごすようになりましたが、やはりマイノリティであることはどうしようもない事実です。今後、親の手を離れて目の届かないところで過ごす時間が増えていくことを思うと、少数者であるまゆみが健やかに社会の中で育っていくには身近な人たちに理解を求めていくほかないと感じています。決して直接的な手助けを求めているわけではなく、「まゆみちゃんはこういう子なんだ」「身近にこんな子がいるんだ」と知っていてもらうだけでいいのです。それが私たち家族にとってはとても有難いことなのです。幸いわが家の現状では、ありのままを伝えることがありのままを受け容れてもらえる結果につながっているため、偏見を持たずに接してくれる周りの人たちへの感謝をこれからも忘れないようにしたいと思います。Upload By にれ執筆/にれ(監修:新美先生)お子さんに自閉スペクトラム症の特性があることについて、身近な人や周囲の人にどう話していくかについて、詳しくエピソードを聞かせてくださりありがとうございました。にれさんも記事中にも何回か言及いただいているように、カミングアウトを誰に、いつ、どういう言い方でしていくかについては、個別の状況によりまちまちで、こうするとよいという正解はないかもしれません。だからこそ、一つの例として聞かせていただけると、うちの場合はどうするかということを比較して考えやすいかと思います。ありがとうございます。まずは身近な人について、少なくともお子さんの親(配偶者)に伝えることは、ちょっと抵抗がありそうな場合であっても必須ですが、祖父母に関しては世代が違うととらえ方もさまざまであり、悩める場合もあるかもしれません。知ってもらって味方になってもらいたいので、伝えていくとよいとは思いますが、受け止めかたには個人差があります。相性の良しあしは祖父母―孫であってもあり、特性・診断名として伝えたから理解度・協力度が上がるとは限らないものだと割り切ったうえで、状況に応じて伝えていけるといいですね。さらに周囲の人(ママ友・クラスメイトの保護者など)に関して伝えるかについては、診断名は子ども本人の個人情報であるということもよく念頭に置いて、検討していただけたらいいかなと思います。にれさんの場合は、オープンに話されることによって、周囲の味方を増やしていけたことはとっても素晴らしいエピソードで参考にさせていただきたいと思いました。ありがとうございました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年07月29日発達障害兄妹の外出トラブルにはそれぞれの性格が出ていて…。息子は「動かなくなる」タイプ子どもが二人(兄と妹)いるわが家。現在大学生の兄は自閉スペクトラム症とADHD、高校生の妹は自閉スペクトラム症と場ADHD、場面緘黙があります。発達凸凹のふたりは困りごともまたそれぞれ。特に外出トラブルには特徴が出ていました。まず息子。2歳過ぎから始まったイヤイヤ期は大変でした。息子の靴の裏には吸盤がついているの?と思うくらい、あるときいきなりその場に張りついて全く動かなくなってしまうのです。その理由はというと、そのときの本人の気分次第!最後まで原因が分からないことも多々ありました。Upload By ユーザー体験談ショッピングモールでこれが起こると、予定していた買い物ができないのはもちろんのこと、周りの目も気になります。ほかの買い物客の邪魔になってはいけないと移動させようとするのですが、脱力してクネクネした息子は移動不可能。抱っこしようにも、小柄な私には体重14キロほどの息子を運ぶのは難しく、無理に持ち上げたら転びかねません。息子の頭をなでなでし、いつ終わるかなぁと溜息をつき、通る人に頭を下げて、息子をなだめたり気分が変わるように息子の気をひきそうな話をしてみたり…これを延々と続けることになります。うまくいけば15分、失敗すれば2~3時間コースです。そして一番危険なのが横断歩道!横断歩道の真ん中でこれが発動してしまうと、命にかかわります。そういうときは急いで歩道まで引きずっていくのですが、それはイヤだと全力で戻ろうとする息子。私はともかく必死で歩道に連れ戻して息子の安全確保していました。わめき叫ぶ息子の横でなんとか冷静を保ち、「お家に帰ろう?」「公園いく?」「抱っこしてあげるから泣き止もうね」と必死でなだめますが、周りからは、虐待では?という視線が容赦なく注がれます。「うるさい!」「連れて歩くな!」「しつけがなってない!」なんて言葉をかけられたことも多々あります。そして「気にしなくて大丈夫よ」と慰められたことももちろんありました。私は「騒がしくてすみません」とひたすら頭を下げ、息子が気を持ち直して歩いてくれるか、ひたすら寝落ちしてくれるのを待ちました(寝てくれないとベビーカーやカートに乗ってくれなかったので)。命に別状がなければ溜息ついて待つ、それしか手がありませんでした。こうして息子のイヤイヤ期は過ぎていったのですが、この息子の外出トラブル、実は娘も連れているのです。癇癪を起こす息子と娘、二人をみながらの外出は、本当にハードでした。Upload By ユーザー体験談「ママ!あれダメやんね?悪い人!」曲がったことが許せない娘は、不正(?)を見逃さない…!一方、娘の外出トラブルは兄とはまた別のタイプ。娘は、白黒はっきりさせたい、曲がったことは許せない性格で、普段は常にボーっとしているのに、本人として許せないことを発見したら即指摘、断固直すよう求めます。その相手が兄や父親といった身内だとまだいいのですが、知らない人だとこの注意がトラブルを招いてしまうことも…。例えば娘が3歳のころ電車に乗っていたときのことです。座席にかばんを置いている人がいました。「ママ!あれダメやんね?悪い人!」場面緘黙がある娘なのですが、こうしたときは声が大きい娘。その声に相手の方がびっくりして謝りながらかばんをどかしてくれても、娘は許せません。「キーッ」とパニック状態になってします。Upload By ユーザー体験談私は小さな声で「もう気がついたからやめてくれたねー、えらいねー」と言うも娘のパニックはおさまらず雄たけびをあげるのです。私は相手に頭をさげてお詫びすることしかできません。ちなみに一緒にいる息子も相手を指さして「あかんのにー」と注意します。私は(本当にやめてほしい…)と疲れ切りながら娘を落ち着かせ、息子には切り替えさせようと「運転席見に行こうとか…」と提案したり、黙れない2人を抱えて右往左往することになります。移動中は二人とも寝ていて欲しい…と心底願っていましたが、なかなか寝てくれず、外出するたびなにかトラブルが起こるのではといつもヒヤヒヤしていたものです。外出トラブルからほぼ卒業したいま思うことそんな外出での苦労、いまはもう卒業したといってもいいかもしれません。最近の息子は、パニックはもう起こしません。息子曰く「子どものときやり尽くした」そうです。おそらく誰よりもやらかした経験が多い息子。それでも挫けずチャレンジさせたのが良かったと思っています。高校生の娘は相も変わらずルール、法律からはみ出す行為が大嫌いです。見つけると声を出して注意をすることはなくなりましたが、イライラしてしまうそうで、外出しなければ見なくてすむからと、家で過ごすことが好きだそうです。ただ、ルールから外れているものを見つけても”事情がある場合もあるのだ”と理解できるようになりました。そして私はというと、昔の私のようにお子さんの癇癪で困っている方を見つけると、ちょっと離れた位置からしばらく眺めて、助けが必要な状態か見守るようになりました。もちろんお節介にならないように注意しつつ。もう自分は終わった、開放された!ではなく、経験したからこそ、周りの少しの言葉や態度に救われる場合があります。私も大変だったときにかけてもらった「大丈夫だよ」という言葉には、本当に心を救ってもらえましたし、いまもあたたかい言葉として胸に残っています。助け合える環境は誰にとっても大切だと感じています。この息子、娘の経験を生かして、これからは誰かの助けになっていければと思います。Upload By ユーザー体験談イラスト/吉田いらこエピソード参考/梛丹(監修:井上先生より)外出の際のパニックにはそれぞれの子どもさんによって、そのきっかけも程度も違います。お二人のお子さんを連れての外出は、その理由が分かったとしても、とても大変だったと思います。現在は先輩のお母さんとして、困っている親子をあたたかく見守り、必要な場合は手助けをしていただけるというのは、当事者にとってとてもうれしいことだと思います。先輩の親として、相談活動を行うペアレントメンターというシステムもあります。各地域ごとに養成や研修をしていると思いますので機会があれば、チャレンジしてみていただけるとよいかと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年07月28日知的障害がある子どものトイトレは長い道のりトイレトレーニング…ダウン症という障害でなくても、何らかの知的障害のあるお子さんのママさんは、トイレトレーニングを悩みに悩んで試行錯誤されている方が多いのではないでしょうか?もちろん、わが家でも長きにわたり、この問題には頭を悩ませています。(そうです、現在進行形です)ダウン症で知的障害がある息子のきいちゃんは、オシッコがトイレでできるようになったのは年長さんのとき。でもウンチが全く1回も成功しなくて、小2になってやっとトイレでウンチができるようになりました。とはいえ、まだ夜寝るときにはオムツをしていますし(そしてまだ寝ながらオシッコしています…)完全にトイトレが終わったわけではありませんが、昼間のトイレは自分一人でできるように!知的障害がある子どもは、トイレで用が足せるようにならない!?そもそも、「知的障害のある子どもはトイレで用が足せるようにならないかもしれない…」ということを知ったのは、きいちゃんがまだ0才の赤ちゃんの頃、市役所にトイレのこととは全く別の相談で伺ったときでした。そのときに対応してくださった職員の人から「知的障害がある人がお腹がすいたとき、通りすがりの誰かがごはんを与えてくれることはあっても、便を漏らしたときは誰も助けてくれない」と、言われました。「…確かに…!!」と思ったのと同時に、障害のあるきいちゃんを産んでまだ間もなく、右も左も分からない不安な私に対して、なんて冷たい言葉を吐く人なんだろう…とも思い、傷つきもしました。(しかしどういう経緯でそんな話になったのかは忘れてしまいました(笑))そして、「排泄物はトイレでするのが当たり前」だと思っていたのが当たり前でないこと、そしてわが子がトイレで用を足すことができないかもしれない事実を、そのときに知ったのです。正直、とてもショックでした。そして、地域の小学校の特別支援学級もトイレが自分でできることが、入学の一つの目安であることをそのときに、知らされました。Upload By 星きのこでもきいちゃんは当時、まだ0才の赤ちゃん。まだまだトイレトレーニングを始める年齢ではなかったので、問題はまだ先だな…と思っていました。一般的にトイレトレーニングを始める時期は、1歳半~3歳ごろと言われています。これは子どもの発達とも関係していて、1~2歳のうちは膀胱にたまると反射的に出てしまっていたオシッコが、3歳くらいになると、少しずつ膀胱にためてから、まとめて出すことができるようになるからだそう。ちなみに赤ちゃんの頃は膀胱がまだ小さいのでしょっちゅうオシッコをしますよね。ただ、子どもによって成長も違うので、トイレトレーニングを始めるタイミングは、お子さんの様子を見てから始めるといい、と言われています。Upload By 星きのこまだまだ先だと思っていたトイトレ…。だけど、あっという間に3歳!とりあえずわが家もきいちゃんがそのくらいの年齢になってから始めようと決めました。そして、まだまだ先だと思っていた3歳に、あっという間になってしまったきいちゃん。うおお…!とうとうトイレトレーニング始めるぞ…!と意気込んで、まずはトイレの絵本を数冊買ってきて、「オシッコやウンチはトイレでやるんだよ~」ということを理解してもらおうと読み聞かせしました。きいちゃんも喜んでトイレ絵本の流しボタンを「ジャー」と押して、キャッキャと喜んでいます。Upload By 星きのこいよいよトイレトレーニング開始!よし!次はいよいよトイレだ!!…とおまるに座らせても、全くオシッコのする気配がないきいちゃん。そりゃそうだ、そんなに簡単にトイレできたら苦労しないわ!と思ったのですが、まさかその苦悩が何年も続き、保育園を卒業するころになってもまだできていないとは、そのときの私は思ってもみなかったのでした…。そして、そんなきいちゃんでもオシッコを成功するようになった経緯は、また別の機会に書ければと思います。Upload By 星きのこ執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)トイトレの基本はタイミングです。何度かトイレに連れていき、たまたまできたら、思いっきり褒めてあげることが重要です。ご褒美に特別におやつをあげてもいいかもしれませんね。そして、できないときは決して怒らずスルーで大丈夫。これはおねしょ対策でも同じなんですよ。焦らず・怒らず・起こさず、が基本です。ご褒美を活用して、子どもの好ましい行動を自発的に引き出すトークン法を使ってみましょう。トイレに入れただけでもシールを貼ってポイントがたまったらご褒美をあげることで、きっとお子さんのやる気が高まりますよ。また、多動なお子さんは便座に座っていても落ち着きがないので踏ん張ることが難しい傾向があります。これを多動便秘と言います。踏み台や子ども用の便座を用意して動画や好きな絵などを見せる工夫も大事ですね。やっぱり、くつろげないとトイレはできませんので。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2023年07月28日想像力が豊かに。4歳頃の心と体の発達、社会性子どもは4歳から6歳頃にほとんどの運動機能を一通り獲得すると言われています。心の発達とも相まって、周りから何も言われなくても、朝起きて着替えてトイレに行き、ごはんを食べるなど、自立が進んでいきます。友達とは言葉を使って気持ちを表現し、その中で団結したりけんかしたり仲直りしたりを繰り返して社会生活の基礎的な力を育てていきます。こうして小学校就学を迎えます。4歳頃になると、多くの子どもは体を思ったように動かす力がつくのと同時に想像力が豊かになり、自然の中にあるものや身近なもので遊ぶようになります。友達との関係は、同じ目的をもって行動したり、ただ楽しいだけでなく、不安や葛藤など複雑な気持ちも経験します。ただ歩く・走る・手足を動かすというだけでなく、全身のバランスのとり方がうまくなり、片方の足だけで立つ・跳ぶこともできるようになります。手先は、ひもを通す、はさみを扱うなど、より器用な動きができるようになり、絵を描いたり、粘土や空き箱などを組み合わせて、想像しながら作品作りもします。また、遊びながら声をかけるなどのように、並行して同時に2つの行動ができます。手足を使い、見たり触ったりしながら、水遊び、砂遊びをしたり、花を摘み、虫を観察するなど、自然の中にあるものや身近なものに興味が出てきます。大人から見ると、危ないと思う場面もあるかもしれませんが、自由な感性に任せて遊ぶことで、色彩感覚や身体感覚を育んでいくので、心配かもしれませんが安全に気をつけて見守っていきましょう。ますます語彙は増えていき、想像力も豊かになり、現実に起きたことと絵本で見たことなどを重ね合わせたりしながら、遊びの世界を広げていきます。また、おばけやこわい夢、一人になったときの不安感など、「こわい」という感情も芽生えていきます。友達と言葉を介して同じ想像の世界を繰り広げる、ごっこ遊びを行うようになってきます。自分は周りの人にどう見られているのか、という自意識が芽生えます。その中で、周りの人に褒められたり励まされたり、共感したりしながら、人の気持ちを理解するようになっていくでしょう。友達と一緒に遊ぶことが楽しくなるのと同時に、競争する気持ちも芽生えてけんかも多くなります。「悔しい」という感情を経験しながらも、友達が言うことに従ったり、あるいは自分の言うことを受け入れてもらったりします。こうして、ただ楽しいだけでなく、一緒に遊ぶ中で複雑な面白さを覚えていく時期でもあります。自立性が育つ。5歳頃の心と体の発達、社会性5歳頃になると生活に必要な身体能力はほぼ整い、自分の身の回りのことを大人に言われなくても一通りできるようになります。友達との関わり方も複雑になっていき、ただ楽しいだけでなく、競争心が生まれ、その中で切磋琢磨しながら育っていきます。5歳頃になると、大人が行う動きのほとんどができるようになります。鬼ごっこのような一定の制限やルールの中で体を動かすような遊び方ができます。手先の動きでは、ひもを結ぶ、雑巾を絞るといった生活に必要な細かい動作ができるようになり、さらに、包丁やのこぎりなど危険性が伴う道具を大人の助けを受けながら扱うことができるようになります。自主性や自立性が育ちます。身の回りのことができる身体能力がついたことで、食べる、着替える、トイレに行く、運ぶ、片づけるなど、朝起きてから夜寝るまでの行動がほとんど一人でもできるようになります。大人に指示されなくても、だいたいの一日の流れを分かって行動できます。自分のことだけでなく、相手の気持ちになって考えたりする感受性も身につけます。人の役に立ち褒められることが嬉しく、誇りをもってお手伝いをするようになります。友達と過ごす中で、自分の気持ちを伝えたり相手の気持ちを理解したりするために言葉によるコミュニケーションが重要になっていきます。ルールを理解して集団遊びをしたり、活動したりするときにそれぞれが「役割」をもっていることを理解して行動します。そのためにはルールを守る、約束を果たすことが大事だということも学び始めます。また、すぐに大人に頼らないで、子どもたちで解決しようとする様子が見られるようにもなります。こうして、社会生活に必要な基本的な力を身につけて、これまでは個々の成長だったものから、集団の中での成長へと変化していきます。就学前に何ができるようになる?6歳頃の心と体の発達、社会性自分が思ったように体を動かし、友達とのかかわりが生活の大事な部分を占めるようになる6歳。次第に社会的、科学的なことに興味を持つようになり、世界が広がっていきます。大人に甘えながらも、外へ向かって経験を積んでいくのが6歳代です。身体機能が成熟し、さらに体力もついてくることから、活発に動きまわります。ボールを蹴りながら走ったり、跳び箱のようにいくつもの連続した動作を組み合わせるような運動ができるようになります。手の動きはさらに細やかになり、頭でイメージしたものを描いたり、思考しながらダイナミックに表現していく楽しさを覚えていきます。特別に教えなくても、自分から文字を書いたり読んだりするようになります。ニュースなどの社会的な話題や、自然現象などにも興味を持ち始め、自分の好きなジャンルの図鑑を見たりするなど、学ぶことの面白さが芽生えていく頃です。自分と自分以外の人は違う、ということを意識し始め、周りの人の特徴や個性を感じとりながら関わるようになっていきます。子ども同士の集団的な遊び方が活発になります。遊びの中で役割が生まれ、より複雑なルールを自分たちで考えます。こうして、社会生活をしていくときに大事な自主性と強調性を獲得していき、就学へとつながっていきます。参考:保育所保育指針解説書|厚生労働省参考:<参考> 0歳児から2歳児の発達過程|東京都教育委員会参考:東京都こども医療ガイド|東京都福祉保健局4歳、5歳、6歳の発達チェックリストー運動・心と言葉・社会性の目安Upload By 発達障害のキホン参考:保育所保育指針解説書|厚生労働省発達に遅れや凸凹がある?通院の目安や、保護者ができること4~6歳頃になると、自己免疫力も高まり、頻繁に高熱を出すことも減ってくるでしょう。とはいえ、インフルエンザ、ヘルパンギーナ、溶連菌、麻疹、水ぼうそう、おたふく風邪、ウイルス性/細菌性胃腸炎などの感染力が強いウイルスや細菌には注意が必要です。身体機能的には、手洗い・うがい、体を清潔にすることは自分でできる年齢になってくるので、習慣化を心がけましょう。ただし、けいれんを繰り返す、急に意識がなくなる、手足が動かない、慢性の頭痛を繰り返す、一度できたことができなくなるなどの症状がみられる場合には、かかりつけの小児科医や病院を受診してください。参考:年代別・世代別の課題(その1)|厚生労働省(7ページ)参考:保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)|こども家庭庁参考:白河市 保健福祉部こども支援課発達の遅れや、言葉や発語が遅いと感じたときは、小児科医や地域の相談窓口で相談しましょう。また、5歳の前半に5歳児健診を行なっている自治体があります。気になることを相談するチャンスとなります。5歳児健診でチェックすること5歳児健診では、保健師などの専門家による問診をしながら、子どもの体の動かし方やコミュニケーションの様子、言葉の発達の様子などをみていきます。健診では次のような項目があります。・保健師による問診・身体計測・視力検査・医師・保健師・担当保育士による診察・集団遊びや工作などをさせて、様子を観察・個別の歯科衛生士による歯科相談、栄養士による栄養相談このほかにも、保育士、保健師、臨床心理師、教諭などによる個別の相談ができます。3歳児健診では特に問題ないと言われたけれど、5歳児健診で発達障害の可能性を指摘されることがあります。また、数字や文字を読んだり書いたりができるようになってくる年齢でもあるので、教育相談の場も設けられているのが、それまでの乳幼児健診とは違う点です。正式に診断できるのは就学後ですが、学習障害の可能性を指摘されることもあります。もし、子どもの発達で気になることがあったら、また、育てにくいと感じていることがあったら、健診時に保健師さんなどに相談してみるといいでしょう。また、健診が行われていなくても気になることがあれば、まずはかかりつけの小児科や病院で相談してください。また、地域の相談窓口に行ってみると、心理や医療の専門家に相談できるので、困っていることが解決される糸口が見つかるはずです。地域の相談窓口地域の相談窓口がどこにあるかは、5歳児健診の際や自治体の役所に問い合わせましょう。主な相談窓口としては次のような場があります。健診や発達相談などを行うセンターで、健康や保育に関するさまざまな相談窓口です。引っ越したばかりなど、どこに相談していいかわからない場合にも地域医療を紹介してくれる場にもなります。保健センターと同様に公的機関ですが、子どもの発達支援に特化した窓口となります。発達相談をしたのちに、児童発達支援センターでもっと具体的な子育てについての相談などができます。就学時健診とは別に、発達が遅れていると感じられる子どもの場合、就学先をどこにするのかを、地域の教育委員会と相談していくプロセスが就学相談です。子どもの様子や状況に合わせて、通常学級なのか、通級指導教室(地域によっては特別支援教室)や特別支援学級、特別支援学校なのか、地域の選択肢の中でどこに就学するのが良いかを、面談や診察、学校見学などの機会を重ねながら決定していきます。就学時健診のように自治体からお知らせが届くものではないので、保護者が直接、教育委員会に連絡して申し込むか、保育園・幼稚園を介して申し込む必要があります。参考:軽度発達障害児に対する気づきと支援のマニュアル|平成18年度 厚生労働科学研究「軽度発達障害児の発見と対応システム およびそのマニュアル開発に関する研究」4~6歳の発達の遅れが気になる子どもへの家庭でできる関わりとは発達の遅れが気になる子どもを育てるときに、保護者としては不安があるとともに、日々の生活の中で子どもにどう接していいかわからないといった困りごとがあります。下記は代表的な3つの困ることについて、どうしたらいいかのアドバイス例になります。1. 落ち着きがない家庭で、音や光の刺激が多いようだったら、改善しましょう。大きな音でテレビがつけっぱなしだったり、長時間、場面展開の早い動画を繰り返し見ていたりしているようなら、見たい番組が終わったらスイッチオフにする習慣をつけましょう。また、音量も適切かを確認しましょう。2. 癇癪を頻繁に起こす自己主張する力よりも自己抑制する力のほうがゆっくりと発達する傾向があります。このため、4~5歳頃は、自分がしたいことがあってそれを押さえられないというギャップから強い癇癪を起すことがあります。何回も何回も、「こうすればなんとかうまくいく」という経験を積んで、見通しをもてるようになることが大切です。また、予定が見通せるように、1日のスケジュールを伝えたり、これが終わったら次に何ができるのかということを伝えたりするといいでしょう。3.指示が伝わりにくい言葉の発達に合わせて、子どもが分かる言葉遣いで伝えましょう。また、聞こえてはいても話し言葉で伝わりづらく、絵や数字など視覚から分かるようであれば、カードやメモを使う方法もあります。また、「だめ」と叱られることが、子どもにとっては大人に反応されて「面白い」と感じることになってしまうことがあります。大人が禁止すればするほど、悪いことをしたがるような場合は、叱らずにしばらく無視しておくことも効果的です。見ないようにしたり、取り合わないようにしたりするうちに、子どもは「これでは気を引くことができない」と気づくとやめます。まとめ体が自在に動かせるだけでなく、体力がついていく4~6歳代。自分の身の回りのことは自発的にできて、遊びの幅も複雑さもぐんと成長します。小学校入学も視野に入ってくる分、発達が遅れているかもと気になる面も多くなるかもしれません。その子らしさを見守りながら、周りの人や地域の相談窓口をうまく活用していくことをお勧めします。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年07月27日特別支援学級の情緒クラスを希望し小学校へ入学3歳で自閉スペクトラム症と診断を受けたけんとは、こども園に通っているときから、マイペースで集団行動が苦手。構音障害や感覚過敏もあり、さらには人とのコミュニケーションも苦手だったので、通常学級でたくさんのお子さんと一緒に過ごし、授業を受けるのは、いろいろな面で難しいだろうと思い、市が行っている就学相談へ行くことに。相談の結果、特別支援学級の情緒クラスを希望し、入学しました。Upload By ゆきみけんとが通う小学校は、比較的小規模で生徒数が少ない学校です。そのため、情緒クラスは1クラス。クラスの生徒は全員で6人でした。1年生で特別支援学級に在籍する子どもは、けんと1人。ほかのお子さんは高学年でした。入ったばかりの1年生だから学校に慣れていない…という理由もあったのか、1学期の間は、けんとが交流学級で授業を受けるときは、必ずサポートの先生が1名ついてきてくれていました。サポートの先生がすぐ隣にいて、立ち歩きをすると席に戻してくださったり、姿勢が崩れたときは直してもらったりしながら、交流学級で授業を受けていました。ところが、夏休み明けにクラスの様子が一変したのです。人員不足…6名→9名に変化した教室でUpload By ゆきみ2学期になると、転入生や、「お試し」という形で特別支援学級に参加するお子さんもいて、一気にクラスが9名になりました(そのほかに、たまに来るお子さんも数名)。しかし、担任の先生は1学期と変わらず1名、サポートの先生が1名だったので、けんとはもちろん、ほかのお子さんたち、先生方も、いつもバタバタ…。教室の中がとても賑やかに。Upload By ゆきみUpload By ゆきみほぼ全学年のお子さんがそろい、授業の進め方も変わり、親の私の目から見ても先生方の手が足りていない印象。けんとは1年生の5月ごろから、交流級のクラスメイトが優しく接してくれたことで「交流級に行きたい」と言い出し、ほとんどの授業を交流級で受けるようになっていました。しかし、夏休み明けからはサポートの先生の手が足りず、けんと1人では交流学級に授業を受けに行くのが難しいため、特別支援学級で受けることが増えました。担任の先生が、校長先生を通して市に要請をしたようで、しばらく経つと1名サポートの先生が加わり、先生方が少し落ち着いたように感じました。しかし、クラスの中は相変わらずの大賑わい。プリントなどを速攻で終わらせるけんとは、空白の時間が増えたからなのか、立ち歩きをしたり、授業中なのに勝手に違う学年の教室に遊びに行ったりしてしまうことも。人員が不足している状況なのに、さらにお手数をおかけしてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。そして、保育所等訪問支援の方からのアドバイスで、秋ごろから学校でも視覚支援を取り入れてくださり、けんとも少しだけ落ち着いて過ごせるようになりました。2年生になり環境が変わった現在…Upload By ゆきみ小学校2年生になり、お試しだったお子さんたちが正式に特別支援学級に入りました。市で決められている規定の人数があるようで、情緒クラスは2つのクラスに分かれることに。けんとのクラスは4名となり、1年生のときと比べるととても静かな教室になりました。現在は、担任の先生+サポートの先生(知的クラスを含む3クラスを掛け持ちで担当)で、クラスを見てくださっています。2年生になったけんとは、昨年度の夏以降と同様、特別支援学級で授業を受けることが多いそうです。授業によっては交流学級に行くこともあるようですが、最近けんとは静かな特別支援学級の環境を望んでいることも多いようなので、けんとが希望しなければ無理に交流学級で授業を受けなくてもいいかなと母としては思っています。集団指示が入りにくく、人の話を聞き続けるのが苦手で、立ち歩きの多いわが子の場合、1人で交流学級に行くことはできないようです。もしも本人が1年生の春ごろのように「交流学級で受けたい」となった場合は、サポートの先生についてきていただくことになります。そうなると人員は不足。わが子の希望、ほかのお子さんの希望、先生の状況…それぞれの立場で考えると、なかなか難しいことがたくさんあるのだなぁと感じる、今日このごろです。現実…希望通りの環境づくりは難しい入学したときは、年度の途中で特別支援学級の人数が増えて、環境が変わることがあるとは思ってもいませんでした。仮に人数が増えた場合は、「年度途中でもクラスが2つに分かれるのかな?」と思っていましたが、そうはならず、大人数のまま。けんとも含め、変化が苦手な子どももいますし、先生方も慣れるまでには時間がかかっていたようです。住む地域によって、システムが違うようですが、希望しているピッタリの環境をつくり出すというのは、現実では難しいのだと感じました。Upload By ゆきみお子さんや親御さんによって、それぞれどのように授業を受けたいのか、何を希望するのかは違うのかもしれませんが、先生方も頑張ってくださっている状況も目の当たりにしています。感謝の気持ちをしっかり胸にだきながら、希望がある場合は伝えていけたらと思っています。執筆/ゆきみ(監修:新美先生)公立小中学校の特別支援学級は、定員が8名となっています。年度の途中に入級するお子さんがいたり、正式な入級でなくても必要に応じて特別支援学級を利用するお子さんがいたりして、特別支援学級にいるお子さんが徐々に増えていくというのはよくありますね。特別支援学級を利用されるお子さんの、合理的配慮ニーズは一人ひとり異なっているので、定員いっぱいやそれ以上のお子さんがいると、十分な支援が行き届かないと感じることもあるかもしれません。お子さんに余裕があればその中で折り合いをつけたり、割り切ったりできるとよいですが、お子さんにとって明らかな不都合が生じているようでしたら、学校側と話し合っていくことも必要でしょう。その際、人員配置などは学校全体で考えてもらうことも必要なので、状況によっては担任、支援担任以外にも、特別支援コーディネーターの先生、教頭先生、校長先生などに相談してみるのもよいかもしれません。ゆきみさんが記事の最後におっしゃっていることはとても共感しました。ありがとうございました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年07月26日聴覚過敏、軽度の脳性麻痺の私。通常学級へ行くも困りごとは多く…私は14歳のときに、自閉スペクトラム症グレーゾーンの診断を受けました。就学前は聴覚過敏と、ごく軽度の脳性麻痺のみわかっていたという状態です。就学前健診では、・聴覚過敏の特性のため、通常学級よりも特別支援学級で授業を受ける方がリスクがあること(奇声や泣き叫ぶ声が苦手なために、むしろ授業理解が遅くなってしまうため)・目立つような知的な遅れがないこと・麻痺自体は軽度で、多少のふらつきはあっても装具なしで歩けていること・配慮を要する場面が非常にまれであることこれらの意見に両親も納得し、通常学級へ進学しました。ですが、入学後は多数の困りごとに苦しめられました。まず、聴覚過敏のため、クラスメイトの泣き叫ぶ声、奇声などが聞こえると過呼吸を起してしまいました。また、体育館など天井が高い屋内で先生がマイクを使うと、天井からの反響が耳元で残響として残ってしまい、気持ち悪くなってしまうことが何度もありました。そんなときは体育館から出ることしかできません。そして、共感性も強かったのか、周囲に理不尽な怒られ方をされている人がいると、怒られている方の心境に自らも引きずられて、過呼吸を起こすこともありました。中学3年生のとき、卒業式前の練習でやる気のない同級生が普段怒鳴ることのない先生から怒られたところ見て、先生のあまりの豹変ぶりと怒るさまをみてびっくりしてしまい、30~40分ほど過呼吸がおさまりませんでした。Upload By ユーザー体験談こうした症状にも困りましたが、一番困ったのは「見た目でわかる」特性です。私は一人で歩くことはできますが「爪先歩き」(専門用語では「尖足(せんそく)歩行」とも言います)のような特徴的な歩き方をします。特別な装具などを試した時期もありましたが、体への負担が大きかったこともあり、介助を必要とするような場面もまれだったことから、装具や杖、車椅子などは使わず、自力で歩いています。しかし、いくら「程度は軽い」と言っても、つま先歩きという見た目でわかる特性があったこともあり、クラスメイトから思ったことをストレートな物言いでぶつけられることが多くありました。「歩き方が変」、「足が不自由なのになんで同じクラスにいるの?」と聞かれることは、1年間で100回…いえ、それ以上数え切れないほど言われ、私はそのたび傷ついていました。Upload By ユーザー体験談「麻痺がどうのとか言い訳する奴…」中学校から始まったいじめそんな生活が続いて8年目、中学2年生の春のことです。「またコイツ(=私)と一緒かよ。麻痺がどうのとか言い訳する奴と…」同じ小学校だった男子のこの一言がきっかけで、別の学区で中学校から一緒になった子どもたちも巻き込んで、いじめが始まったのです。それは、言葉の暴力だけでなく、登校した私が教室に入れないようにドアをかたくなに開けないなど物理的なものもありました。私自身もいじめのストレスから聴覚過敏の症状が顕著になるとともに、周りに受け入れてもらえないことで人間不信にも陥ってしまいました。私は音楽が好きだったので、中学に入学したとき吹奏楽部に入部していました。ですが、部活動以外の学校生活でのストレスから心の余裕を失くし、部活にも行けなくなっていました。ただ、私は部活が好きでした。中学卒業後も吹奏楽を続ける条件で、親に無理を言って楽器を購入してもらったくらい、長く続けたいと思っていました。ですが、このままでは行くことができません。そこで顧問の先生に、学校に行けないときも部活には出させてほしいこと、部活に出たことをきっかけに学校にも慣れていきたいとお願いしたのです。ですが、その思いは届かず、先生からは「学校生活をこなした上での部活でしょ?」と返されてしまいました。私は、「無理を通してまで楽器を購入したにも関わらず、楽器と距離を置く罪悪感」と「学校を休むといじめっ子から『逃げ』ととらえられ、いじめがエスカレートするのではという恐怖心」、「それでも学校へ行くことがつらくてたまらない」という葛藤の中、ついに、秋から半年間不登校となってしまいました。Upload By ユーザー体験談なんとか中学3年生で復帰、その後全日制の高校に進むも、常にいじめのフラッシュバックと闘いながらの日々でした。つらい中も私は悩み抜いて進路を決め、それを目標に何とかギリギリで高校を卒業しました。「自分を知りたい!」自分を受け入れるために、発達心理学を学んでいます私は現在、「発達障害(心理)をもつ自分を理論的に知って受け入れたい」という願いのために心理学部へ進学、発達心理学を中心に勉強する大学生です。大学生のいまでも、ときどき連休明けや長期休暇明けの登校が怖く感じることがあります。また、講義の中ではいじめを取り扱うこともあり、フラッシュバックの可能性もゼロではありません。あらかじめ講義のテーマが分かっているときは、担当してくださる教授と直接お話をして、「○回目の授業で『いじめ』を取り扱うとのことですが,かくかくしかじか(中学時代のことが)あってフラッシュバックからつらくなって授業どころじゃなくなる可能性があります。そのときは途中退出させていただくこともありますがいいでしょうか?」と説明しています。どの先生からも快く理解を得られています。いじめは、人にとても暗い、大きな傷を残します。私はこの傷を自分を知ることによって癒し、受け入れ、いつか乗り越えていきたいと思っています。そして、いつかつらい思いをしている誰かを助けることができるように、勉強を頑張っていきたいです。Upload By ユーザー体験談イラスト/SAKURAエピソード参考/Zero(監修:鈴木先生より)脳性麻痺は運動障害であり、知的障害ではありません。ただ、一般的には知的障害とてんかんを伴っているケースが多くみられます。周産期に何らかの問題があって脳性麻痺となることが多く、脳の外側に障がいがあると手に、内側に障がいがあると足に症状が出ます。尖足歩行はASDの初期にも一過性に見られますが、それは重力不安からくるものであり、脳性麻痺とは異なります。ASDからくる聴覚過敏は目に見えませんが、脳性麻痺からくる尖足歩行は目に見えます。音の過敏で不登校になるASDのお子さんが多いことから、両方の障がいについて学年の初めに担任の先生から子どもたちや親たちへ分かりやすく説明してあげることが大切です。一番嫌な音は、怒鳴る声です。突発的な大きな音にASDの子は敏感に反応します。障がいを持っている子どもに嫌がらせをするのではなく、みんなで協力してサポートできる学校が理想なのです。これこそが文部科学省が提唱しているインクルーシブ教育の原点ではないのでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年07月25日自閉スペクトラム症とADHDのある子ども発達障害の専門家が出会った発達が気になる子どもたちや、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、自閉スペクトラム症とADHDの診断がある子どものエピソードです。保育園での暴言や集団行動の苦手さ、家庭での反抗的な態度に困っていた保護者の話を聞いて小児科医は…。Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談解説:お子さんの年齢や状況に合わせた選択の重要性--小児科医今回は、自閉スペクトラム症とADHDのある子どものエピソードをもとにお届けしました。お子さんの年齢や状況に合わせた選択について解説します。お子さん・保護者に対して当クリニックの初診が5歳だったこともあり、6歳以上から開始できるADHD治療薬は当初使えませんでした。そこでまずは、情緒の安定や自己コントロールを促すために音楽療法から始めました。6歳を過ぎてからADHD治療薬や抗精神病薬などの服薬を開始。保護者の方の関わりも重要であることから、ペアレントトレーニングのプログラムに参加してもらいました。お子さんは服薬を続けていたものの抵抗性が見られたことから、小3からソーシャルスキルトレーニング(SST)を開始しました。学校に対して学校側の神経発達症(発達障害)に対する理解を得るために、医療支援ファイルで連携を試みました。すぐに成果は得られませんでしたが、新しい担任の先生がお子さんに向き合ってくれるようになりました。まとめ今回のように、学校側の理解を得るのが困難な場合が多くあります。学校への働きかけを続けながらも、お子さんの「今」をしっかり見つめ、地道にトレーニングや支援、服薬などを行っていくことが大切です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年07月24日3歳ごろの子どもの心と言葉の発達とは?「おはよう」「ありがとう」などの挨拶を含め、コミュニケーションに必要な言葉をたくさん獲得し、言葉で人と関わる体験を積んでいきます。知的好奇心や観察力が高まって、「なぜ?」「なに?」と、ものごとの仕組みを知りたがります。自分で多くのことができるようになり、着替えや片づけなど生活習慣に関しても、身体機能の発達と共に上手にできるようになることで、「何でも自分でできる」という思いが高まります。このことから、大人が手助けしようとするといやがる場面も見られます。3歳ごろの友だちとのコミュニケーション友だちと一緒に遊ぶようになりますが、ただ隣にいて同じ遊びをして過ごすこと(平行遊び)がまだ多いでしょう。友だちとは遊具を介しての関わり方が多いため、おもちゃの取り合いなどでけんかするといった関わり方が見られます。それも、だんだんに友だちと分け合ったり、順番待ちしたりを覚えていくことになります。また、友だちがふざけていると一緒にふざけるといった様子も見られます。こうした経験を重ねていく中で、だんだんとほかの子どもとの関わりが、子どもの生活や遊びに大切なものとなっていきます。やがて平行遊びから、共通したイメージを持てるようになると、ごっこ遊びを楽しむようになっていきます。3歳ごろの子どもの体の発達や食事、排泄の目安3歳ごろの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:88.8~105.8cm/女児:87.7~104.5cm・体重男児:11.72~18.82kg/女児:11.04~18.27kg歩く、走る、跳ぶ、転がる、ぶらさがる、またぐ、蹴るといった基礎的な動作ができるようになります。手の動きとしては、押す、引っ張る、投げる、そっと動かすなどができるようになることで、生活に必要な基本的な動作が一通りできるようになります。さまざまな体の動かし方をやってみることで、自分の体のコントロール方法を学び、自分の身体感覚を獲得していきます。身体機能と相まって、食事や排泄はほとんど自力でできるようになります。フォークやスプーンを使ってこぼさないように食事をすることができ、箸を使うことに挑戦できるようになる子どももいます。味や食感の好き嫌いには個性がありますが、成長と共に食べられるものが増えていくと考えて、嫌いなものを強要しないようにします。家族と一緒に楽しく食べることを大切に考えたい時期です。排泄は、感覚機能と言葉と身体機能の3つが成長することで、ほぼ自分でできるようになります。ただ、間に合わなくて漏らしてしまうなど失敗や、おしりをうまく拭けないなど、まだ完璧にはできないこともあります。失敗しても決して叱らず、できたときに褒めて、だんだん成長するのを待ちましょう。心、言葉、コミュニケーション、粗大運動、微細運動の成長目安は?3歳児発達チェックリストUpload By 発達障害のキホン通院の目安や、3歳児健診の検査項目、「もしかして発達障害?」と感じたら参考:保育所保育指針解説書|厚生労働省友だちと一緒にいることが多くなることで、発達の遅れが見えやすくなってくるかもしれません。どんなところがポイントとなるのでしょうか。3歳になると、幼稚園に通い始める子どもも多いでしょう。体力や免疫力は赤ちゃん時代よりもあるとはいえ、新しい集団生活が始まると、初めて出遭うウイルスや菌によってさまざまな感染症に次々とかかることがあります。風邪やインフルエンザ、夏風邪と呼ばれるヘルパンギーナ、アデノウイルス、手足口病など、また、おたふく風邪や麻疹、りんご病、水ぼうそうなどもあります。いずれも、発熱する病気では、急激に体温が上がることがあります。感染症以外に、アトピー性皮膚炎、虫刺され、水いぼ、とびひなどの皮膚の病気もあります。ご自宅でのスキンケアでなかなかよくならない場合には、小児科、皮膚科に相談しましょう。また、病気だけでなく、動きが活発になり行動範囲が広がる分、ケガにも注意が必要です。怪我や事故にならないような環境を整えていきましょう。3歳児健診では尿検査を行いますが、腎炎・ネフローゼ、糖尿病などの病気の一部を発見するために重要な検査です。尿検査の尿が出せない場合などは、かかりつけの小児科に相談しましょう。突然意識がなくなったり痙攣が起きたり、動作停止してぼーっとする「てんかん」などにも注意が必要です。(7ページ)参考:年代別・世代別の課題(その1)|厚生労働省参考:保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)|こども家庭庁参考:白河市 保健福祉部こども支援課3歳代では、3歳児健診があります。3歳児健診では、身体の発育状況や病気の有無と共に、精神遅滞や発達障害などを視野に入れて観察します。この健診はテストではなく、その子の状態を知ってその後に生かすために行われます。・身体測定・視力検査・聴覚検査・歯科検診・尿検査・行動観察・診察(身体の発達、心や言葉の発育)・問診・保護者への質問など子ども本人への問診のほかに、保護者への質問があります。子どもの普段の様子から、育児について保護者が疲れすぎていないかといったことも聞かれるでしょう。それと同時に、健診の間の子どもの様子なども観察をしています。検査項目や子どもの様子などに気になる点があったからといって、すぐに発達が心配されるわけではありません。また、その日だけの様子ではなく、家庭での様子が大切になります。こだわりが強くてひどい癇癪を起こす、気に入らないことがあると泣き叫ぶ、友だちと一緒にいても関心を示さない、家族以外の人となかなかなじめず集団行動が難しい、などといった傾向が普段から見られるようであれば、3歳児健診の際に相談をしてみましょう。健診の際に相談できなかったときは、次のような相談先で、相談をしてみるのもよいでしょう。発達が遅れているかも?と思ったときの相談先もし発達の遅れが見られるときには、かかりつけの小児科医でまず相談してみましょう。あるいは、次のような地域の相談窓口を活用しましょう。公的機関であり、健康や保育に関する地域の相談窓口のような場所です。各種の健診、発達相談などを行っています。引っ越したばかりなど、どこに相談していいか分からない場合にも地域医療とつながる最初の窓口となります。保健センターと同様に公的機関ですが、子どもの発達支援に特化した窓口となります。発達相談をしたのちに、児童発達支援センターでもっと具体的な子育てについての相談などができます。参考:児童発達支援センターの位置づけについて|厚生労働省参考:国立障害者リハビリテーションセンター参考:軽度発達障害児の出現頻度:8.2~9.3%5歳児健診で発見された児の半数以上は3歳児健診を通過していた|厚生労働省家庭でできる関わり地域の相談窓口に行くことで解決の糸口を見つけると同時に、日々の生活の中でできることもあります。自己主張をするのは成長したからこそと分かってはいても、言うことをなかなか聞いてくれなかったり、また何度説明しても「なぜ?」「なに?」と聞かれると、大人もイライラして余裕がなくなってしまうかもしれません。つい叱りたくなるかもしれませんが、そんなときは、一時的にその場を離れる(違う部屋やトイレに行く)、深呼吸を数回する、水を飲むなどして、大人の側が気分転換を試みましょう。子どもに声をかけるときには、自分自身の心を落ち着けるためにも、穏やかな口調で、子どもの視線の高さに合わせて、子どもの目を見て話します。静かな声で、危険なことなどやめてほしいことをしたときにはきっぱりと、褒めるときにはやさしく話します。自分の気持ちがうまく説明できない様子の子どもには、「○○したかったんだよね」「○○な気持ちだったのね」と共感しながら話します。保護者としてこうした心がけをしたくても、あまりに動きが激しくて追いかけきれない、すぐに癇癪を起こして手がつけられなくてヘトヘトになるといった場合には、やはり小児科や地域の発達相談で相談しましょう。まとめ体も心もできることの機能がととのい、周りの人と自分の区別がついてコミュニケーションを楽しめるようになってくる3歳代。友だちと一緒にいることが増える時期だからこそ、少し気になることにも気づきやすい年齢です。体力的にも運動能力的にもますます成長するころだからこそ、保護者が振り回されてしまうこともあるかもしれません。頼れるところを見つけて、家族だけでなく、多くの目と手で子どもを育てていきましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年07月23日「手帳は持っていますか?」何のことか分からずポカーン…初めて知った療育手帳の存在私が初めて療育手帳の存在を知ったのは、息子が3歳のときでした。引っ越し先の発達支援センターに、療育を受けたいと相談しに行ったところ、相談支援員の先生から、サラッと「手帳は持っていますか?」と聞かれたのです。先生は、何てことない質問の1つとして聞いただけのようでしたが、当時の私が「手帳」という言葉で連想するのは「スケジュール帳」。あまりピンとこず、ポカーンとしてしまったのを覚えています。息子は1歳半から発達相談に行っており、2歳から療育にも通っていたため、引っ越し前の自治体でも発達支援センターには何度も足を運んでいました。しかし、引っ越す前の自治体では、どこにも私に療育手帳の存在を知らせてくれる人はいなかったのです。このように対応に差があったのは、息子の年齢が幼かったこと、自治体ごとの方針の違いなど、理由はいろいろあったのだろうと思います。しかし私はその日、療育手帳にまつわる多くの福祉関係の情報を、一気に知ることができたのです。引っ越し先の自治体の発達支援センターの相談支援員さんからは、「息子さんくらいの発達の遅れだと、療育手帳がとれないことはないと思う」とはっきり言われたのを覚えています。そのくらい、息子の発達は遅れていました。しかし、すぐに療育手帳の取得を決めることもできず、とりあえず保留の状態で数ヶ月を過ごしました。Upload By べっこうあめアマミ療育手帳って何?取得するメリットは?療育手帳は、3種類ある障害者手帳の中の1つです。障害者手帳は、・身体の機能に一定以上の障害がある人が取得できる「身体障害者手帳」・知的障害のある人が取得できる「療育手帳」(名称は自治体によって違うことがあります)・一定の精神障害の状態にある人が取得できる「精神障害者保健福祉手帳」(発達障害も対象になります)の3種類あります。息子が取得を検討していたのはこのうちの「療育手帳」でした。療育手帳制度は自治体ごとに運用しているので、取得の流れや等級の判定基準、名称、受けられる支援など、地域差が大きいです。しかし、いずれにしろ、取得しているとさまざまな福祉サービスを受けられることに変わりはありません。療育手帳を持っているかどうかで線引きされてしまうので、同じくらいの困りごとを抱えていても、持っているかどうかで受けられる支援に大きな差が出てしまうのです。そのため、療育手帳を取得するメリットは大いにあると思います。療育手帳のデメリットとは?Upload By べっこうあめアマミでは、逆に療育手帳を取得するデメリットはないのでしょうか?実は、私は息子が療育手帳を取得することになかなか踏ん切りがつかず、「療育手帳の情報を得たい」と言いながら、デメリットを探しにいっていたような時期がありました。しかし、どんなに探しても、療育手帳を取得することにこれといったデメリットはなかったのです。しいて言えば、「息子の障害を認めること」。これに尽きると思います。療育手帳を持っていることは自分から言わなければ誰にも知られませんし、使わなければ提示を求められることもありません。しかし、公的に「障害者」だと証明されることに違いはないのです。ですから、手帳の取得に躊躇してしまうのは、主に気持ちの問題かと思います。息子に障害の診断が出たときが、手帳取得のきっかけになったUpload By べっこうあめアマミすぐには息子の療育手帳の取得に動き出せなかった私ですが、その年の12月、息子が4歳になったとき、きっかけになる出来事がありました。息子が、発達検査で医師から正式に、「知的障害を伴う自閉スペクトラム症」と診断されたのです。息子が1歳の終わりころから通っていた病院の主治医の診断でしたし、私も薄々、「何もないわけではないだろう」とは思っていました。しかし、まだどこかで「障害」という言葉を受け入れられない自分がいたのです。それが、白黒はっきりしてしまいました。当時はものすごく落ち込み、将来への不安で頭がいっぱいになりました。しかし、ちょうどときを同じくして、私には同じ療育に通う、息子と同じような障害がある子どもを育てるママ友ができたのです。同じ立場にある仲間と過ごす時間の中で、自然と気持ちも和らいでいきました。さらにママ友同士で話す中で、私が躊躇していた療育手帳も、意外とみんな持っているんだということも知りました。このように、私はタイミングよく人に恵まれて、幸運だったと思います。ショックが大きかった障害の診断も、「息子に知的障害があることは変わらない事実なのだから、息子のためにできるだけのことをしよう」と切り替えられるようになりました。そして、療育手帳の取得に向けて、前向きに検討しだしたのです。療育手帳が手元に届いた日、突きつけられた現実に涙「息子は障害者なんだ」Upload By べっこうあめアマミ息子に障害の診断が出てから約4ヶ月後の4月、ようやく私と息子は療育手帳の判定を受けに、児童相談所に行きました。療育手帳は、18歳未満の子どもの場合は児童相談所で発達検査や診断などを受け、取得の可否や障害等級の判定がなされます。私も児童相談所に予約を取り、指定された日に息子と一緒に出かけました。息子はその日の時点で「中等度知的障害」を示す等級で、療育手帳の交付の判定を受けました。息子に知的障害があることは、すでに知っていたことです。そのため、私もその日はそこまで落ち込まずに帰ったのですが、その後、意外な感情の起伏がありました。療育手帳はその場でもらえるわけではなく、判定を受けてしばらくしてから自宅に届きます。児童相談所に行ってしばらくたったある日、わが家にも息子の療育手帳が届きました。すると、初めて息子の顔写真が載った実物の療育手帳を見たとき、私の目からふいに涙がこぼれたのです。頭では分かっていても、実際に手にすると、「息子は障害者なんだ」という現実を突きつけられたようで、複雑な気持ちを抑えきれなくなってしまったのを覚えています。手帳の取得に後悔はゼロ!息子と私たち家族を助ける後ろ盾のような存在息子は今8歳になりました。特別支援学校に通う小学3年生です。障害の診断が出て、療育手帳の取得を決め、手元に届いた療育手帳に涙した日はもはや4年前。今の私たち家族の生活にとって、息子の療育手帳はなくてはならない存在です。療育手帳によって受けられる福祉サービスで、息子も私たち家族も、安定した生活を送ることができています。療育手帳の取得に迷ったこともありましたが、今の私がはっきり言えるのは、「療育手帳の取得に後悔はゼロ!」だということです。もし、少しでも手帳に興味がある方がいたら、まずは自治体の障害福祉課や、発達支援センターなどに問い合わせてみてください。このコラムが、誰かの困りごとを少しでも減らす後押しになったらうれしく思います。執筆/べっこうあめアマミ(監修:藤井先生より)療育手帳は、療育などの児童発達支援を受けている方の全てが取得しているわけでもないので、ご存知ない方も多くいらっしゃいます。べっこうあめアマミさんが、療育手帳について書いてくださったことで、取得に迷われている方や、知らずに福祉サービスが受けられないと困っている方にとって、後押しになったと思います。ありがとうございます。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年07月23日2歳0ヶ月~2歳6ヶ月のごろの子どもの体・心・言葉の発達とは?見た目にも、さらに子どもらしく成長していく2歳代。個人差はありますが、子どもとして一通りのことができるようになる一方で、すべて自分が思った通りにはいかないこともだんだん分かってくる1年間の成長ぶりを、2歳6ヶ月ごろまでと、それ以降に分けて解説します。Upload By 発達障害のキホン参考:保育所保育指針解説書|厚生労働省2歳0ヶ月~2歳6ヶ月のごろの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:81.1~92.5cm/女児:79.8~91.2cm・体重男児:10.06~14.55㎏/女児:9.30~13.73kg自我が芽生えて、自分が思ったように行動したがります。すると、手をつなぎたがらなかったり、なんでも「いや」と言うことも増えていきます。自分でしたいのにうまくできないことがあると泣いたり怒りしたり、嫌なことがあるとまったく動かなくなったりもします。語彙がぐっと増えて、「かわいい」「楽しい」など、自分が思ったことや状況を言葉にして伝え始めます。まだ文字は読めませんが、お気に入りの絵本の内容をよく覚えていて、まるで読んでいるかのように、内容をひとりでおしゃべりすることもあります。積み木やブロックをいろいろな形に見立てて組み立てたりするようになります。また、友だちのことを認識し始めて、名前で呼ぶようになり、追いかけっこをしたり、一緒に遊ぶようになります。身体機能はますます発達して、走ったりジャンプしたり手すりにつかまらずに階段を上り下りできたりと、体を自在に動かせるようになります。ボールを投げたり蹴ったり、遊具を使った遊びも上手になります。三輪車にまたがって、地面を蹴って進むなど全身のバランスをとった動きもでき、音楽に合わせてダンスや体操もします。手先を自在に動かせるようになると共に身の回りのことができるようになります。手先は細かい動きができるようになり、スプーンを使って食事をしたり、クレヨンでぐるぐる円を描いたりすることができるようになっていきます。2歳6ヶ月~3歳ごろの子どもの体・心・言葉の発達とは?Upload By 発達障害のキホン2歳6ヶ月~3歳ごろの身長・体重は以下が目安となっています。・身長男児:85.2~97.4cm/女児:84.1~96.3cm・体重男児:10.94~16.01㎏/女児:10.18~15.23㎏赤、青、黄色などはっきりした色の区別が分ります。大きい小さい・長い短い・同じなどの概念が分かるようになって、形合わせのパズルなどもできるようになります。大人の言うことになんでも「いや」という態度は、子どもによってはだんだん落ち着いてきますが、まだまだ「いや」と言うことも多いでしょう。友達とは平行遊び(一緒にいて同じ遊びをしていること)ですが、一緒に遊ぶようになり、友達の動きをまねしてふざけたり、ここにいない友達の様子を気にかけたりするようになります。自己主張は一層激しくなり、友達とおもちゃの取り合いなどのけんかもします。少し前の記憶を思い出せるようになり、「○○ちゃん(自分のこと)、パパと公園行ったの」といったことを話すようにもなります。デコボコ道や段差がある歩きにくい道も転ばずに歩いたり、平均台のような狭い台の上を横歩きしたり、20㎝くらいの高さならジャンプして飛び降りることができます。遊具を使った遊びでは、ジャングルジムによじ登り、鉄棒にぶら下がったり。三輪車などをこいで進むことができます。スプーンやフォークを使い分けて、ほとんどこぼさないで食べるようになります。クレヨンで形を描くだけでなく、「おはな」「ママ」「いぬ」など身近なものをイメージして描くようになります。2歳代の排泄の発達トイレトレーニングを始めるには、排泄をある程度ためてからできるようになること、言葉で体の状態を伝えるようになってできることの両方が必要で、体と言葉両方の発達が関係しています。このため、個人差は大きくありますが、だいたい2歳代ごろには、「おしっこが出そう」ということまで伝えられるようになり、多くの子どもがおむつを徐々に卒業します。ただ、2歳代では、小便はトイレでできても、大便はできないということも多いでしょう。間に合わないなどの失敗することはまだまだありますが、だんだんできるようになっていきます。通院の目安や、発達の遅れや育てにくさを感じた場合の相談の目安0~1歳代に比べて体力的に成長し、自己免疫も獲得していきます。それでも、保育園で流行するとインフルエンザ、RSウイルス、手足口病、アデノウイルス、胃腸炎などの感染症にはかかりやすいでしょう。外遊びが増えてくるにつれて、熱中症やしもやけといった、外気温の影響による症状も多くみられます。こうした病気や症状は、治る病気です。体力がついてきた2歳児にとって、そのときは苦しいかもしれませんが、小児科を受診して安静にすれば、ほとんどは回復します。ますます活発に体を動かすようになり、ころんだりぶつけたりといったケガも増えます。頭を打った、出血が止まらない、やけど、打ったところがひどく腫れる、などがあったら、すぐに受診しましょう。さらに、原因は病気でもケガでも、意識がない、呼吸がおかしい、痙攣を起こしているという場合には、救急医療に連絡してください。また、今までできていたことができなくなったり、したがらなくなったりという場合には、かかりつけの小児科で、まずは相談してください。参考:年代別・世代別の課題(その1)|厚生労働省(7ページ)参考:保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)|こども家庭庁参考:白河市 保健福祉部こども支援課2歳代は、自分の意志がはっきりしてきて、身体能力としてもさまざまなことができるようになります。それでも、自分が思ったようにできないことや、大人に制限されることに対して、怒り泣きするようなことはよくあり、イヤイヤ期と呼ばれる所以です。それでも、特に次のような様子がみられる場合、発達について少し気にかけたほうがいい状況かもしれません。・癇癪同じことにこだわって、何時間もその場を離れられないなど、手がつけられなくなるほどの癇癪を起こす。・チック症、常同行動自分の意志とは違う様子で体の一部が勝手に動いてしまうチックや、同じ場所でくるくる回っているといった常同行動がよくみられる。・多動興味があるものに突進してしまう、突然走り出す。頻繁に迷子になる。・集団行動をしない、苦手極端に人見知りで、児童館など同じところに何度通ってもなじめない。ほかの子どもの様子にまったく関心がない。ひとり遊びが多く、ごっこ遊びや見立て遊びをしない。・夜泣き(夜驚症)眠っているのに突然泣き叫ぶ、抱っこしても、水を飲ませようとしても、わけも分からず泣き続けて、本人も覚えていない。・遊びたがらない手が汚れることを極端に嫌がって、砂や粘土などで遊びたがらない。こうした「様子が気になる」ことや「育てにくい」と感じることが多い場合は、一度発達相談で専門家に話をしてみるといいかもしれません。発達が遅れているかも?と思った時の相談先自治体で行われる乳幼児健診は、1歳6ヶ月の次は3歳児健診となり、2歳代はありません。でも、もし発達の遅れが心配されるときには、かかりつけの小児科医でまず相談してみましょう。あるいは、次のような地域の相談窓口を活用しましょう。公的機関であり、健康や保育に関する地域の相談窓口のような場所です。各種の健診、発達相談などを行っています。引っ越したばかりなど、どこに相談していいか分からない場合にも地域医療とつながる最初の窓口となります。保健センターと同様に公的機関ですが、児童発達支援センターは子どもの発達支援に特化した窓口となります。発達相談をしたのちに、児童発達支援センターでもっと具体的な子育てについての相談などができます。参考:児童発達支援センターの位置づけについて|厚生労働省家庭でできることあまりにいうことを聞かず、イヤイヤばかり言われると大人も疲れてしまうかもしれません。でもそこで感情的にならずに受け流すことも必要です。たとえば、着替えがイヤというときには、「どっちにする?」と選択肢を見せて子どもに選ばせたり、突然何かをさせるのではなく、「そろそろお水飲もうか」などと見通しが持てるような声かけをすることも大事です。大切なのはらないことです。叱っても状況が悪化することはあっても、収まることはほとんどありません。まずは子どもの気持ちに寄り添ってみましょう。寄り添うというのは、そのときのその子どもの気持ちを代弁することです。うまくできなくて怒ったら「おしかったね」、泣いていたら「かなしかったね」という具合です。「もう一回やってみようか」という誘いもよい方法です。ただ、こうしたことは、大人の側の心の余裕がないとできないものです。保護者だけで頑張ろうとしないで、保育園、児童発達支援センターなどで相談することが大切です。参考:国立障害者リハビリテーションセンターまとめ自分のしたいことと自分ができることのギャップから起こる「イヤイヤ期」真っただ中の2歳代。それだけ心身ともに成長している証でもあります。それでも、保護者として疲れ果ててしまうようならば、家族だけで解決しようとしないで、発達相談や地域の相談窓口をうまく活用して、早めに相談してみましょう。
2023年07月22日1歳代の成長・発達の経過を3ヶ月区切りで解説。1歳0ヶ月~1歳5ヶ月の発達チェックリストこのコラムでは、1歳代の子どもの成長について、3ヶ月ごとに区切って、成長の様子を解説します。体や言葉などの発達目安について紹介していますが、できるようになる時期には個人差があるので、その子どもなりのペースでできることが少しずつ増えていけば、多少の早い・遅いは気にしなくても問題ありません。Upload By 発達障害のキホン1歳0ヶ月~1歳2ヶ月ごろの子どもの体・心・言葉の発達とは?1歳0ヶ月~1歳2ヶ月ごろの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:70.3~81.7㎝/女児:68.3~79.9㎝・体重男児:7.68~11.51㎏/女児:7.16~10.90㎏0歳代の間に育んできた、特定の大人(主に保護者)との信頼関係を深めていきます。そのため、信頼している大人から少しでも離れると不安になって「あと追い」し、自分がよく知らない人には警戒するという「人見知り」の行動にもつながります。興味を持った物に手を伸ばし、ハイハイや伝い歩きで目標物まで移動して手で取ろうとし、手に持つと触ったりなめたりして確認します。このころになると、大人が注意をひくために何かを指さしたときに、その指ではなく指が指し示している先の物を見るようになります。まだ明確な意味のある言葉は話しませんが、声を出して喃語をしゃべり、信頼できる大人に自分の意思を伝えようとする行動も見られることがあります。こうして話しかけたとき、大人が「なあに?」「面白いね」など、反応を示すととても喜びます。自分の思いを聞いてくれたことに満足して、その大人との信頼関係がますます強くなります。立つことが安定して、初めの一歩が出るようになるころです。ただ、この時期には個人差があり、慎重な性格の子どもは歩き始めが遅かったり、好奇心旺盛な子どもは歩いたりハイハイしたりを組み合わせて、どんどん行動範囲を広げます。歩き始めの早い遅いよりも、つかまり立ち/立つ/1歩を踏み出す/歩くといったプロセスを、そのときどきでじっくりと経験していくことが大事とされています。それまで手のひら全体で物をつかんでいたのが、親指と人差し指を使って、細かい物をつまめるようになります。まだ道具を使って食事をすることはできませんが、手で食べ物をつかみ、つまみ、口元へ持っていき、自分で食べたがります。この「つかみ食べ」は、意欲をもって自立して食べられるようになるための大事なプロセスだといわれています。1歳3ヶ月~1歳5ヶ月ごろの子どもの体・心・言葉の発達とは?1歳3ヶ月~1歳5ヶ月ごろの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児: 73.0~84.8㎝/女児: 71.1~83.2㎝・体重男児:8.19~12.23㎏/女児:7.61~11.55㎏「ママ」「まんま」など、意味をわかって発する言葉が少しずつ出てきます。自分から、周りの大人や物と関わろうとして、自分の名前を呼ばれると返事をしたり、物の名前も覚え始めたり、歌に合わせて踊ったりします。人の真似をするようになり、人形を抱っこしてトントンと寝かせたりなどままごと遊びをします。保護者と触れ合って遊ぶのも好きです。大人が「ちょうだい」といえば持っている物を差し出したり、「どうぞ」と言われれば受け取ったりもします。こうして物を介したコミュニケーションができるようになります。多くの子どもは歩くのが上手になってきます。日に日に長く歩けるようになり、歩くこと自体を楽しみ、歩いて自分が行きたいところに行けることも楽しみます。いすや階段によじ登ったり、滑り台でも遊べるように。衣類の脱ぎ着をしようとすると、ズボンに足を入れようとしたり、自分で脱ごうと腕を動かしたりします。つまむ、つかむ以外にも、めくる動作ができるようなります。絵本などの大判の本のページをひたすらめくる様子もみられます。ボタンを押す、ハンドルを回すなど、少しずつ手首を回すような動きもできるようになっていきます。1歳半健診もある重要な時期!1歳6ヶ月以降の子どもの発達チェックリストUpload By 発達障害のキホン1歳6ヶ月~1歳8ヶ月ごろの子どもの体・心・言葉の発達とは?1歳6ヶ月~1歳8ヶ月ごろの子どもの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:75.6~87.9㎝/女児:73.9~86.3㎝・体重男児:8.70~12.96㎏/女児:8.05~12.21㎏発語がますます盛んになり、大人が言ったことを真似たり、語尾だけ真似したりしながら、言葉を増やしていきます。積み木を車などに見立てて動かしたり、「見立て」遊びをするようになります。安定してより速く歩けるようになり、多少の段差は乗り越えられるようになるので、それほど転ばなくなります。手指の動きも発達してきて、自分の手に合う大きさの容器のふたを開け閉めしようとします。食事では、スプーンをにぎって自分で食べようとしたり、フォークを使って食べ物にさして食べられるようにもなっていきます。クレヨンを持たせると、線を描いたり、大きなぐるぐるを描けるようになります。1歳9ヶ月~1歳11ヶ月ごろの子どもの体・心・言葉の発達とは?1歳9ヶ月~1歳11ヶ月ごろの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:78.1~90.7㎝/女児:76.6~89.4㎝・体重男児:9.19 ~13.69 ㎏/女児:8.49 ~12.90㎏着替えや靴をはくこと、食べること、なんでも自分でやりたい時期に突入します。でもまだできないことも多いので、泣いたり癇癪を起こしたりすることもあります。身の回りの物に名前があることを覚えて語彙が増え、「二語文」(「わんわん、きた」「ママ、いた」など主語と動詞の2つを組み合わせた言葉)を話せるようになっていきます。子ども同士で手をつないだり、真似をし合ったりして楽しむようになります。自分と他者の違いが少しずつわかるようになってきて、友だちの靴や帽子など持ち物をその子に渡そうとしたりもします。自己意識が芽生え始めます。長い距離を安定して歩けるようになります。その場でのジャンプができ、片方の足で体重を支えて、もう一方の足でボールを蹴ります。階段は手すりにつかまりながら、一段ずつ登れるようになります。道具を使って食べるのも上手になり、スプーンやフォークを使って、こぼしながらも口に運べる量が増えます。参考:保育所保育指針解説書|厚生労働省参考:<参考> 0歳児から2歳児の発達過程|東京都教育委員会参考:東京都こども医療ガイド|東京都福祉保健局1歳でかかりやかすい病気とは?気になる兆候など保護者の育児休業が明けるタイミングで保育園に通い始める赤ちゃんも多いでしょう。初めての集団生活では、これまで出合わなかったたくさんの感染症と出合うことになります。風邪をはじめ、RSウイルス、手足口病、アデノウイルス、インフルエンザなど、さまざまなウイルスや細菌によって体調を崩しながら、少しずつ免疫を獲得していきます。また、生後6ヶ月から1歳ごろの間には突発性発疹を発症する子どもも多く見られます。集団生活を開始して、何度も熱を出すと心配になるかもしれませんが、熱のときのホームケアなどをかかりつけ医に相談しながらみていきましょう。何度も熱を出しても、重症化せずに元気になるようであれば、心配しなくても大丈夫です。また、興味をもった物をなめることがあり、誤飲事故にも注意が必要な時期です。赤ちゃんののどの直径(約3㎝)よりも小さい物を手の届くところに置かないなど注意しましょう。なんでも口に入れてしまうことから、胃腸炎を起こすこともあります。赤ちゃんはまだ、痛みや体調の悪さを言葉で説明できません。そのため、具合が悪いときは、いつもよりも機嫌が悪くなりやすいものです。いつもと同じように過ごしているのにやたらとぐずる、夜泣きが激しいというときは、具合が悪いサインかもしれないのでよく観察しましょう。まだ体も小さいため、熱中症になりやすく、また病気にかかると急に高熱が出ることがあります。急激な体温の上昇では、熱性痙攣を起こすことがあります。原因はなんであれ、子どもが具合悪そうなときは、急変しないかよく観察しましょう。急に意識がなくなったり、呼吸が苦しそうな様子が見えたら、なるべく早く医療機関を受診しましょう。また、このころは、日に日に「できること」が増えていく時期です。機嫌が悪くて一時的にやらないということではなく、一度歩けるようになったのに、歩きたがらなくなったりといった、一度できたことをしなくなるのは気がかりです。気になることがあったら、かかりつけの小児科で相談しましょう。参考:年代別・世代別の課題(その1)|厚生労働省(7ページ)参考:保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)|こども家庭庁参考:白河市 保健福祉部こども支援課初めてのお誕生日を迎える1歳は大きな区切りですが、心身の成長の節目は1歳半ごろです。このころには、体型も赤ちゃん体型から、立って歩く筋肉がついてきて幼児体型へと変わっていきます。そのため乳幼児健診も1歳6ヶ月健診があり、身体測定、歯科検診、身体機能、心の発達のチェックをします。たとえば、興味がある物や手に入れたい物を指さすのではなく、大人の手をとって連れていく行動(クレーン行動)が見られたり、おしゃべりをはじめ積極的に人と関わろうとしなかったり、ことばではなく奇声を発することが多かったり、ずっと頭を振っているなど(常同行動)がある場合、発達相談を勧められることもあります。運動発達、言葉の発達などが遅れている場合発達の遅れが見られるときにはどのような相談先があるでしょうか。まず活用してほしいのは1歳6ヶ月健診です。子どもの状況などを踏まえて、さまざまな相談窓口を紹介されることもあります。健診時に相談しなかった、できなかった場合は、かかりつけの小児科医に相談してみるのもよいでしょう。成長の様子を見守っていたらいいのか、早めに療育などを始めたがほうがいいのかなどの判断もしてくれるでしょう。地域の相談窓口としては次のようなところがあります。公的機関であり、健康や保育に関する地域の相談窓口のような場所です。各種の健診、発達相談などを行っています。引っ越したばかりなど、どこに相談していいかわからない場合にも地域医療とつながる最初の窓口となります。保健センターと同様に公的機関ですが、子どもの発達支援に特化した窓口となります。発達相談をしたのちに、児童発達支援センターでもっと具体的な子育てについての相談などができます。参考:児童発達支援センターの位置づけについて|厚生労働省まとめ1歳代のうちでも1歳6ヶ月ごろは、成長の大きな節目です。このころまでに、興味をもった対象に自力で移動して近づき触るようになり、自分がしたいことを態度や声で示すようになってきます。お世話してくれる大人との信頼関係を深め、自己主張を受け入れてもらうとうれしいと感じ、同時に自我が芽生えます。心身ともに赤ちゃん期を脱し、「子ども」へと成長していくのが1歳代です。
2023年07月21日偏食の息子が「野菜、食べてみる」と言い出しびっくり!しかし理由があって…保育園のころからずっと偏食のミミは野菜が食べられません。私も小さいときは食べられなかったのですが、大人になると大丈夫になったので、ミミもいつかは食べられるようになるだろうと全然気にしていませんでした。ある日のことです。意を決して「野菜、食べてみる」とミミ。突然のやる気にびっくりしながらも、私はミミの好きな味つけで肉野菜炒めを作りました。ですが、残念ながらやはり食べる気持ちになれなかったようです…。ミミに「どうして食べようと思ったの?」と聞くと、わけを教えてくれました。Upload By taeko給食のとき、先生がスプーンを持ちミミの口元まで運んで「食べる?」と聞いてくるのだそうです。そして、食べられないと「勉強を頑張るともらえる賞状」をあげないよ?とか、宿題ができないよ?などと言われるのだとか(ミミのクラスは給食を食べ終わった人から宿題をやってもいいことになっています)。でも、今どきそんな言い方をして、食べることを強要するのかな?疑問に思いながらも、涙ながらに話すミミの話を真剣に聞き取った私。そしてミミの話は信じたものの、先生側の意見も聞きたいと思いました。ミミと先生の話には違うところがあった!行き違いの理由は特性によるものでした翌日、パパが学校へ行き、担任の先生へ話してくれることになりました。パパと私は、ミミの偏食への対応方針について意見が一致しているわけではありません。できれば私も直接聞きたかったのですが、どうしても都合がつかずパパに託すことになりました。帰宅したパパにさっそく話を聞くと、ミミが話した内容と先生のお話は、少し違うところがありました。Upload By taekoまず、先生は給食を強要したわけではないとのことでした。ミミが自分から「野菜を食べてみようかな」と言ったので「食べてごらん」と声をかけたのだそうです。スプーンを口元に持って行ったのも、無理に食べさせようとしたためではないとのこと。そして賞状は「給食を食べられた」ときにもらえる賞状のことのようで、「勉強」のものではないのだとか。先生もミミが違うことを言っていることに戸惑ったのではと思います。今度はクラスメイトに新たな不満が…。ミミが給食を楽しむにはどうしたらいい?その日帰宅したミミにどうだった?と聞いたところ、給食のとき先生からは何も言われなかったいうミミ。ほっとしました。その後数日はなにもなかったのですが、ある日「先生はいいけど、(クラスメイトが)給食をたくさん入れやがって…」とイライラなミミ…。Upload By taeko聞いたところ、給食では盛りつけ少なめを希望する人から先に並ぶ決まりで、ミミも先に並んだそうなのですが、当番さんが「イヤでもみんな我慢して食べてるんだよ」と言い、通常の量を盛られたのがイヤだったようでした。確かにイヤだとは思いますが、クラスのみんながミミの事情を知っているわけではないから仕方ないこともあると思います。ただこのときの私は、ひとつが改善したらすぐほかの不満を口にするミミにイライラしてしまい、冷静に対応ができませんでした。Upload By taeko時間が経てば私も落ち着くので、ミミが落ち着くのにも時間がいるんだろうなと思います。イライラはミミが自分を守る反応のひとつです。そういうときは時間を空けてからまたミミと話して、どうしたらイヤなことが減っていくのか一緒に考えていきたいと思います。執筆/taeko(監修:藤井先生より)ミミさんが、学校であったお話をtaekoさんやお父さんにお話できる関係はとても良いですね。また、ミミさんのお話だけでなく、学校にも事実確認をできたのは良いと思います。学校とお子さんとで事実の捉え方、感じ方が違うこともあります。親御さんが疑問に感じたことは、学校とうまく共有して相談されたのはよかったですね。また、ミミさんが不満を口にしたとき、親だからこそ「こんなことで不満を言わないで」と思ってしまうかもしれません。こんなことが学校であったんだよ、と伝えたかっただけかもしれません。嫌なことは全くゼロにはできないけど、どうしたら嫌なことをかわすことができるかな、と一緒に考えていくと良いでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年07月21日2回目の予防接種、車の中で注射だと気づかれパニックになった障害のある息子3歳で軽度知的障害を伴う自閉スペクトラム症、ADHDの傾向ありと診断を受けた息子が、6歳になったころの出来事です。その日は一日保育のあと、2回目のインフルエンザの予防接種を受けに行く予定でした。ごきげんで保育園から戻った息子。ただ、私には心配なことがありました。息子は、昔あった嫌なことをなかなか忘れないタイプです。注射や鼻の粘膜の検査など痛い思いをした病院は「イヤだ!」と言って、行こうとすると癇癪を起こしてしまいます。ですので、行くことができる病院がどんどん減ってしまい、この年の1回目のインフルエンザの予防接種は、初めて行く病院で受けたくらいでした。そのときは、注射をすることを伏せたまま診察を終え(診察は痛くないので、問題なく受けてくれます)、いざ注射というときは私が息子をしっかり押さえたため無事に接種できました。本人は泣いていましたが…。この日は、やむを得ず1回目を受けた病院へ行くことになっていたので、もしかしたら感づかれるのではないか…、でも、1回しか行ったことがない病院だからさすがに覚えていないのでは…と不安だったのです。機嫌のいい息子を乗せて、行き先は告げずに車を走らせました。すると、心配していたことが現実になってしまいました。一度しか行ったことがない病院なのに、道や場所を覚えていた息子。走らせている方向であのときの病院に行くんだ!と気づいてしまったのです。その後は「注射ヤダ!」の一点張りでした。病院に近づくにつれ、だんだんと大きくなる声。「ヤダヤダヤダ‼」とパニック状態です。私は運転しながら「おりこうさんだよー。注射に行こうねー」となだめていましたが、効果はありませんでした。ようやく病院へ到着した私は、お菓子で切り替えてもらおうと息子を車から降ろしつつお菓子を持たせました。いつも好きなお菓子があれば癇癪状態からも切り替えができていたので、今回もそれでどうにかなるだろうと思ったのです。しかし、息子はお菓子を持たず、私の脇をすり抜け病院の目の前の車道へ向かって全速力で走り出しました。Upload By ユーザー体験談「あぶない‼」一気に血の気が引き、焦って追いかけた私。すると、そのまま勢いよく転んで強い衝撃を感じたかと思うと目の前は真っ暗。私は意識を失ってしまいました…。Upload By ユーザー体験談意識を失った私。目覚めたときは病院で…目を開けると、私は病院のベッドに横になっていました。なぜここにいるんだろう?と思っていると、横から泣き声が。息子がそばで号泣していたのです。意識は戻ったものの頭がぼーっとしてあまり考えられなかったのですが、ともかく息子がそばにいることに私はホッとしました。Upload By ユーザー体験談あとで教えてもらったのですが、病院の駐車場にいた方が、私が転倒したのを目撃し病院へ知らせてくれ、私は看護師さん達に車椅子に乗せられて病院内に運ばれたそうです。このとき息子がどうしていたのか誰も覚えていないようなのですが、気づいたら私のそばにいたのだとか。あまりにも泣いていたので、私が大変なことになってしまったと、とても心配していたんだと思います。私が目を覚ますと息子は安心したのか、徐々に落ち着きを取り戻し、やがていつものように病院内をウロウロしていました(多動性があるので)。そのとき私から連絡を受けた夫が駆けつけてくれました。私は顎を大きく切っていたため、縫合を終えたあと、念のため救急車に乗って大きい病院へ行き一晩過ごすことになりました。息子は夫の車で家に帰ってもらいました。夫から聞いたところによると、息子は帰りの車では落ち着いていたもの、夜ごはんはあまり食べなかったそうです。いつもはたくさん食べるのに…。でも、翌朝保育園へ行くときは、いつもと変わりない様子だったとか。いつも通りに過ごしていた息子が退院した私を見て「おかあさーん!良かった、良かったー!」と大泣き私は翌日午後には帰宅でき、痛みがひどかったためベッドで横になっていました。夕方、保育園から息子が帰ってきました。そして私の姿を見たとたん「おかあさーん!良かった、良かったー!」と大泣きし、そばに駆け寄ってきました。いつもと変わらないように見えてもたくさん不安だったんだな、我慢していたんだなと思い、私も泣きながら「ごめんね、心配したね。大丈夫だよ」と息子の頭をなでました。Upload By ユーザー体験談私はこの件でとても反省しました。場合によってはいつもできていた切り替えもできないこと、子どもの気持ちをもっと考えなければいけないこと…、大事にすべきことを見落としていたと思いました。それからは、お出かけ先で機嫌が悪くなったり癇癪起こしたときの対応策をたくさん準備するようにしました。おもちゃやお菓子もそうですが、6歳も後半となった最近では言葉でも伝わるようになってきたので、「これがいやなら、これはどう?」といった提案のレパートリーをたくさん用意しています。今では外で癇癪を起こしても、私が移動すると息子も泣きながらもついてきたり、癇癪中でも自分で気持ちを切り替えようとしている様子が見られるようになりました。成長したなあと感じています。ただ、定期接種はまだ終わっていません…。なるべく接種期限前に、接種期限が切れたとしても、小学校入学までには必ず受けに行かなければと思っています…。息子は誰かに恐竜や妖怪の名前を教えたり、 好きなおもちゃを見せるのが大好き!これからも、好きなことには猪突猛進し、友達との関わりを大事にする子に成長して欲しいと思っています。これからも大切な息子を見守っていきたいです。イラスト/taekoエピソード提供/さくら(監修:藤井先生より)予防接種や診察や診察に伴う検査を嫌がり、癇癪起こされると、対応をどうしたら困ることがあるかと思います。事前に見通しをもった声かけをすると、頑なに拒否されることもあり、見通しをもたせた声かけのタイミングもお子さんによってさまざまです。声かけしなくても、道順で覚えてパニックになるお子さんもいます。パニックなどが起こりうる可能性を想定し、少しでもそれが軽減できる対応策がないかと、探るのはとても良いですね。成長とともに、少しずつできた経験が積み重なると、パニックも軽減されてくるお子さんもいます。できる対応策がないか、療育の先生、園の先生、かかりつけの先生に相談するのも良いでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年07月20日夏休みの宿題、どうしていますか?Upload By 丸山さとこ夏休みは期間が長いだけに出される宿題の量も多くなりがちですが、みなさまのご家庭では間に合っていますか?わが家は毎年「今年こそダメかもしれない…」と思いながらギリギリ何とか間に合わせています。間に合っているという結果だけを見れば大丈夫そうですが、途中経過は地獄絵図の様相になるのがお決まりです。夏休みの宿題提出は毎年(主に私の)精神をすり減らすイベントとなっております。ASDとADHDがあるコウは普段から宿題の進み方にムラがあり、プリント1枚が5~10分で終わるときもあれば、3時間かかって5問しか進まないこともあります。後者の状態のコウがいくら宿題に時間をかけても疲れるばかりで進みません。コウが真面目に取り組んでいる場合はコウが自分自身にイラつきますし、コウの意欲が低いときには私が「やるか休むかどっちかにしない?」と言いたくなってしまいます。Upload By 丸山さとこそのため、毎日1回は机に向かってみることを心がけてもらいつつ、比較的コウのコンディションが良さそうな日に少しずつ進めるようにしています。宿題がサクサク進むときは滅多にない!(そして続かない!)夏休みの大量の宿題は、『比較的コウのコンディションが良さそうなとき』に自然に進む分だけでは到底提出日には間に合いません。7月中に夏休みの宿題が5分の4くらい終わっているのを見て「順調に進みそうかな?」と油断していると、それ以降はほぼ何も進まないまま8月の最終週を迎えることになります。残った5分の1の宿題は、彼にとって『たくさんある宿題の中でも特に負担を感じて後に回したくなる宿題』だからです。提出日までに宿題を終わらせるためには、あまりコウ本人にやる気が無さそうなときであってもだましだまし(?)進める必要があります。コウのコンディションがよくないときは、ちょっとしたことでやる気を失ったり気が散ったりしてしまいます。そのまま無理に進めると嘆いたり絶望したりし始めてさらに宿題のスピードが落ちてしまうため、あの手この手で机に向かわせて1問でも進むようにしていきます。とはいえ、『あの手この手で』というほど豊富な手数はなく、その少ない手数も普遍的な効果があるわけではありません。Upload By 丸山さとこ手数の中には「頑張ってるね」などの短いポジティブな声かけや、「机に向かっているね」などの『よい行動を、評価を付け加えずに事実のまま伝える』などの方法があります。そんなベーシックな方法であっても、「頑張ってるね」と言われて張り切るときもあれば「全然こんなんじゃダメだよ!」と怒りだすときもあります。「机に向かってるね」と事実をそのまま口にしても、「そうだよ~」と笑顔のときもあれば、「でも全然進まない…こんなの座ってても意味ない…」と落ち込んでしまうときもあります。『む…むずかし~!』と思いつつ、「そっか~、全然進まないと疲れちゃうね」と無難な共感を示して「そうだよ~疲れるんだよ~」と言うコウの愚痴聞きタイムにつなげたりして、低空飛行なりに机に向かう時間を維持する手伝いを心がけています。「宿題は絶対に出さなければいけない!」と言いたいところだけれどそうして少しずつ宿題を進めていっても、大抵毎年最後はギリギリになります。大半の宿題が終わったとしても、苦手な宿題はとても時間がかかるからです。はたから見ていると『これはもう今からかなり必死で進めないと間に合わなさそうだな』と思う状況であっても、コウなりのペースで進めるしかありません。そのため、夏休みの終盤は毎年私と夫の忍耐力が試されています!Upload By 丸山さとこ「このペースでいくと提出日には間に合わないよ」「あとこれくらい残ってるけど、どうする?今からやる?」と現状を突きつけて追い込むと、コウはやる気を失うかパニックになるかボーッとして止まるかのどれかになり、大体の場合事態は悪化していきます。私自身もそんな彼の反応にグッタリと疲れてしまうため、追い込まないように気をつけつつ『事実の確認と共有』のみできるだけ淡々と行うようにしています。事実の確認と共有をしながら『宿題の提出日までに終わらせる』を基本方針としつつ、コンディションなどの状況とすり合わせて何とか進めていった結果、たまたま間に合ったのがこれまでの夏休みだったのだろうと思います。いつか、『間に合わなかった夏休み』も起きてしまうのかもしれないな…と思っています。そのときはそのときで、その結果をコウがどう受け止めるのかを見て、一歩ずつ対策を探していけたらいいなと考えています。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:初川先生より)コウくん、そしてさとこさん、夫さんの夏休みの宿題をめぐる奮闘・工夫のシェアをありがとうございます。夏休みの宿題は「計画的に毎日少しずつ」というのが王道の助言としてありますが、取り組みやコンディションにムラのあるお子さんにとっては、その王道のやり方をさらにお子さんに合ったものに変えたり、あるいは、やり方は変えずとも(1問でいいからやるという方針だけは維持しつつも)、そばで見る保護者が覚悟を決めて臨んだり(自分の焦りを子どもにぶつけない)という工夫が必要になりますね。なかなか計画的にはいかないということを、実際どう運用しているのかのこうしたエピソードで、きっと安心する読者の方、仲間だ!と感じる読者の方も多くいらっしゃると思います。夏休み、大人にも子どもにとっても「楽しい」だけとは限りませんね。それなりの着地をめざしてぼちぼち進んでいけたらいいですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年07月20日規則正しく25時間生活。非24時間睡眠覚醒症候群のASD娘うちの娘、いっちゃんはASD。非24時間睡眠覚醒症候群もあり、毎日寝る時間が1~2時間ずつ後ろにずれていきます。16歳になった今でこそ「大体規則正しく25時間周期」と分かっていますが、3~4歳のころはただ夜になかなか眠れず、朝もなかなか目を覚まさない子、やっと起きても何だかぼんやりして元気のない子という印象でした。Upload By 寺島ヒロ「規則正しい生活をさせてください」と言われても...当時通っていた幼稚園や小児科では、「規則正しい生活をさせてください」と言われました。が、実のところ「なにか生活リズムが崩れるようなことがあって」崩れているのではないのです。朝起こして、日の光にあて、食事も時間通りに用意して、追い立てるように運動させても、就寝時間はきっかり1〜2時間ずつズレていきます。実際、いっちゃんが小さいころから中学生になるぐらいまで、何度も「朝型の生活に固定してみよう」と、朝起こして、日にあてて、運動させて…とやってみてはいたのですが、3日も経つと、へとへとに疲れているのに夜眠ることだけはできず「つらい…つらい…」と5~6時間も布団の中でうめき続けることになります。親としてはとても冷静に見ていられません。そして、その次の日は気絶したように眠り続け、起きてくるのは昼過ぎになり、元の木阿弥となります。Upload By 寺島ヒロ高校は通信制を選択高校進学を前に、病院での指導のもと服薬治療をしたこともありますが、これも決定打にはなりませんでした。結局、朝から定時に学校に通うことは難しいと判断し、高校も通信制を選びました。当時の治療と高校選びの顛末を書いたコラムはこちら実は私自身にも同じような睡眠障害があります。ただ私の場合は睡眠時間自体は長くなく、だいたい6時間程度なので、いっちゃんが10歳になるころまでは睡眠薬を使って、朝と夕方は起きていられるよう活動時間を合わせていました。そういった経緯もあり、娘の睡眠が安定しないと感じてすぐ「この子も私と同じように睡眠周期が大多数の人と違うのでは?」と思い、3歳ごろから睡眠日記をつけ始めました。その結果8歳ごろには「概ね26時間周期、睡眠時間は10時間のロングスリーパー」だと分かりました。ちなみに、16歳の今は睡眠時間が9時間に短縮され25時間周期になっています。一日の始まりの時間が毎日違うそんな娘ですが、高校進学してからは完全に自分のペースで起床就寝をするようになりました。睡眠不足にならないのはいいのですが、一日の始まりの時間が毎日違うので「何時から何時まで勉強をする」という習慣はどうしてもつきにくいようです。また、いっちゃんには絵を描いたり音楽を作ったりSNSの管理をしたりと、ほかにもやりたいこと、やらなければいけないことが多すぎて、どうしても決まった時間を勉強に充てることができないでいました。授業の時間割はどうでもいい!まずは終わらせること学校のレポート提出の締め切り前になると慌ててやるのですが、その日はずっとフワフワオロオロしてほかのことが一切できません。食事もしようとしなくなるので、1年をようやっと乗り切ったとき、「これはダメだ、定期的な時間割をつくるのは無理でも、何かルールがあったほうが良い」と母子共に思うようになりました。娘の場合、毎日同じ時間に勉強するのは無理です。なので、時間割ではなく、本人にタスクをつくってもらうことにしました。中学時代には私がカードでつくっていたこともありましたが、今回は紙に書き出すだけです。娘が中学生のころつくっていたタスクカードについてのコラムはこちらとにかく「起きてから寝るまで」に、やらなければいけないことを書き出しておいて、余裕を持って期日までに終わらせるようにと伝えました。「一日単位」より「一週間単位」だった最初はただタスクを紙に書いていただけでしたが、数日たってふと見ると、一週間分のタスクを書き出し、四角で囲んで順番に並べて矢印で繋いでいました。Upload By 寺島ヒロ娘には、一日単位で同じことを繰り返すのは無理だったのです。でも一週間単位であれば大体きれいに予定が収められることに気がついたのですね。これは私にとっては意外な盲点でした。今日一日のような短い時間の方が、娘には管理しやすいと思い込んでいたのです。反省です。膨大なタスクをやりくりするのは大人でも容易なことではありませんが、自分で工夫して進捗状況を可視化することで、少しづつ慌てないようにはできてきているようです。新発明ではありませんでしたが、自力でたどり着いたことを褒めてあげたいと思います。執筆/寺島ヒロ(監修:初川先生より)睡眠のリズムをめぐるいっちゃんとヒロさんの歴史と現在の工夫のシェアをありがとうございます。睡眠時間が日ごとにずれていくお子さん、いらっしゃいますね。そして、コラムの中にも出てきたように「生活リズムを正して」という助言がなされる場合が大半だと思います。これまで、生活リズムを整えるべく、朝起きて朝日を浴びて運動して…そうした工夫もやってみたけれどうまくいかなかった。疲れているのに眠れないいっちゃんの様子に、そばで支えるヒロさんがつらくなるほどであったこと。このあたりも、共感される読者の方もいらっしゃることと思います。そして、睡眠記録をつけてみたら、いっちゃんの睡眠リズムに一定の法則があることが見えてきた。ここもとても大事で、睡眠記録をつけて客観的に見てみることで、本人の内的なリズムによるものか、あるいは、外的な要因によるものか(例えば、曜日によって、あるいは行事や季節によって変化のあるお子さんもいることと思います)そのあたりが整理されますね。現在高校生のいっちゃん。自分のやることを時間とひもづけて考えるのではなく、タスクとして管理する。そして、それが日ごとよりも、週単位で管理した方がやりやすいことに気づき、ガントチャートをつくって目で見て確認できるようにしている。これまでのひろさんの工夫を受け継ぎ、そして自分に合ったものへとブラッシュアップして活用できていること、とても素晴らしいですね。今、お子さんがまだ幼い方も、保護者による手立てや工夫がこのように将来お子さんが自分自身で活用することができるかもしれないというとても素敵な例だと思います。参考になる経験談いっぱいで勉強になりました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年07月19日誕生からの1年間は一生のうちでも最も成長が著しいとき誕生してから1歳になるまでの間、赤ちゃんは人生の間で最も急激に成長します。体重は出生時の3倍近くになり、体を自由に動かせる範囲が格段に広がります。自分だけの心の世界から、周囲との関係性が生まれます。座る、立つ、歩くなど、体を大きく使って動かすことを「粗大運動」と言います。0歳代の赤ちゃんの粗大運動の成長は、体の上のほうから順に進んでいきます。まず首がすわり、手足の動きが活発になり、その後、寝返り、はいはい、おすわり…といった順序で進んでいきます。1歳になるころにほとんどの赤ちゃんは何かにつかまったりしながら自分で立てるようになります。また、手指の細やかな動きである「微細運動」の成長も、はじめは腕や足をバタバタ動かすことから始まり、手のひらでつかみ、やがて指でつまむことができるようになります。一方、視覚、聴覚など感覚器官は、胎内にいる間にほぼ完成していますが、生まれてから感覚機能は成長していきます。それと同時に、見える人の顔や聞こえる声、慣れ親しんだ匂いや感触といったことから、人やものへの愛着、好奇心といった心が成長していきます。生まれてすぐのころには、空腹や暑い・寒いという不快感を感じたときに泣くことが多いですが、次第に抱っこしたりなどかまってもらうと笑う、思い通りにならないと怒る、といったように情緒が育っていきます。それと同時に、周りの人やものに興味を抱くことにより、「あれがほしい」と手を伸ばしたり、「あそこへ行きたい」と今できる動きでなんとか移動しようとしたりします。こうして、好奇心と体の機能の発達がお互いに促され合うことで、心と体の両方が成長していきます。成長とともに変化する0歳代の食と睡眠食の成長は、はじめは反射的に乳首を吸うことから始まり、胃腸の成長に伴って1回に飲める量も増え、生後5~6ヶ月ごろになり口の動き方が発達してくると、咀嚼・嚥下の練習を始めます。こうしておかゆやポタージュのようなドロドロの形状の離乳食から始まり、徐々に大きさも硬さも増してだんだんに食事が栄養源のメインとなっていきます。睡眠は、生後すぐはまだ昼夜問わず頻繁に寝たり起きたりの周期を繰り返しますが、生後2~3ヶ月ごろになると暗くなれば眠り明るくなれば起きるというリズムができ始めます。睡眠時間や夜泣きや寝ぐずりなど睡眠に関しては非常に個人差が大きいものですが、1歳を迎えるころまでには、多くの場合、朝起きて夜眠るというリズムがついてきます。参考:保育所保育指針解説書(35ページ)|厚生労働省月齢ごとの心身の成長新生児から始まって2ヶ月ごとの、0歳代の赤ちゃんの一般的な成長の様子を解説します。0歳0ヶ月(新生児期)の体・心・ことばの発達とは?新生児といっても何もできないわけではありません。胎児のころから感覚器官は機能し始めていて、見る・聞く・匂いをかぐ・味わう・触れたものを感じるという、いわゆる五感は生後すぐから機能しています。その機能はまだ、完成されたものではありませんが、抱っこする人の顔をじっと見つめ、声や音を聞き、匂いを感じて、母乳やミルクを味わい、やさしく触られると安心します。0歳0ヶ月ごろの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:44.0~57.4cm/女児:44.0~56.4cm・体重男児:2.10~5.17kg/女児:2.13~4.84kg視力はまだ、30㎝以内のものがようやく見えるくらいで、抱っこした人の目をじっと見つめます。音は聞こえていて、ママの体や羊水を隔てて胎児の間に聞こえていた音声を覚えているとも言われています。発することができる声としては、ほとんど泣き声や呼吸と共に反射的に出る音だけで、自分で意識して声を上げるのはもう少し後になります。笑ったような顔をすることがありますが、これは「新生児微笑」と言われる原始反射のひとつで、「うれしい・楽しい」といった感情によって表情が変わるわけではありません。0ヶ月の間はほとんど寝たままで、手足をパタパタと動かすことはできますが、自分で体幹を動かすことはできません。「原始反射」と呼ばれる反射があり、この反射が消えていくにつれて自分で体を動かせるようになっていきます。原始反射には、吸啜反射(唇に触れたものに吸いつこうとする)、把握反射(手のひらや足の裏に触れた物を握ろうとする)、モロー反射(突然の物音などに反応して何かに抱きつこうと腕を伸ばす)などがあります。0歳1ヶ月~0歳2ヶ月のころの体・心・ことばの発達とは?0歳1ヶ月~0歳2ヶ月のころの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:50.9~63.2cm/女児: 50.0~61.7cm・体重男児体重 3.53~7.18kg/女児体重 3.39~6.67kg鳴き声以外に「あ~」「う~」「く~」といった声を出すようになります。「新生児微笑」ではなく、心地よいと感じるときなどに、ひとりでニコッとほほえむようになります。少しずつ、誰かと目が合ったときにニッコリするようになっていきます。うつぶせにすると頭をぐっと持ち上げられるようになり、その持続時間は少しずつ長くなり、やがて自分で頭の向きを変えられるようになります。仰向けに寝かせたときに、両手を握り合うようなしぐさが見られます。また、足の動きが活発になるので、掛け布団が外れてしまうこともよくあります。0歳3ヶ月~0歳4ヶ月のころの体・心・ことばの発達とは?0歳3ヶ月~0歳4ヶ月のころの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:57.5~68.5cm/女児:56.0~66.8cm・体重男児:5.12~8.72kg/女児:4.84~8.18kg「あ~」「う~」以外にも「きゃ~」といった声も出せるようになり、いよいよ、周りの人があやすと笑うようになり、だんだん笑い声も大きくなります。このころになると多くの赤ちゃんは首がすわるようになります。うつぶせにすると、自分で首を上げて好きな方を向くようになり、起きているときに縦抱きしても首がぐらつかなくなります。手指を自分の意志で動かせるようになり、ラトルなど軽くて握りやすい取っ手のあるものを持たせると自分で握り、腕全体を使って振ったりするようになります。0歳5ヶ月~0歳6ヶ月のころの体・心・ことばの発達とは0歳5ヶ月~0歳6ヶ月のころの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:61.9~72.1cm/女児:60.1~70.4cm・体重男児:6.10~9.57kg/女児:5.74~9.05kg首が動かせるようになるのに伴い、音がするほうや興味を引くもののほうを向くようになります。表情には、快・不快に対する反応だけでなく喜怒哀楽が表れるようになり、うれしいと笑い、自分が思った通りにいかないと怒り泣きし、ほめられると誇らしげな表情をすることもあります。このころ、必ずしもではありませんが、寝返りするようになります。仰向けからうつ伏せ、またその逆に体を回転させますが、初めのうちは体の下になった腕がうまく抜けなくて泣いたりすることもあります。首と腰がさらにしっかりすわります。欲しいものがあると、その方向に手を伸ばし、届けばつかみます。0歳7ヶ月~0歳8ヶ月のころの赤ちゃんの体・心・ことばの発達とは0歳7ヶ月~0歳8ヶ月のころの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:65.0~75.0cm/女児:63.1~73.2cm・体重男児:6.73~10.14kg/女児:6.32~9.63kg発せられる声のバリエーションが増え、「パ」「マ」「ダ」行の発音をするようになります。いわゆる「喃語」(なんご:意味のないことば)の始まりです。繰り返すことが面白くなるころで、「いないいないばあ」などをすると喜ぶようになります。だんだん周囲の物事を覚えはじめ、知らない人に会ったり知らない場所に行ったりすると、「人見知り」「場所見知り」をし、普段一緒にいる保護者の姿が見えないと泣くこともあります。このころから、ものをなめたり嚙んだりして確認することが増えるので、誤飲には注意が必要です。うつ伏せにすると腕の力ではいはい(ずりばい)をするようになり、自分の意志で目的のものがある場所まで移動しようとし始めます。また、支えがあれば座ることができるようになってきます(腰がすわる)。手のひらでものを握ることができ、手に持ったものを反対の手に持ち替えることができます。0歳9ヶ月~0歳10ヶ月のころの赤ちゃんの体・心・ことばの発達とは?0歳9ヶ月~0歳10ヶ月のころの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:67.4~77.4cm/女児:65.5~75.6cm・体重男児:7.16~10.59kg/女児:6.71~10.06kg発音のバリエーションがさらに増え、言葉のようなまとまりのある発音をするようになります。「あー」「ママ」「まんま」「ぱっぱっ」など、保護者などに向けて呼びかけるようにもなります。周りの人のまねをするようになり、「バイバイ」と言うと手を振ることもあります。両手と両ひざをついてはいはいできるようになり、移動の速度も増します。また、立たせたときに支えになるものがそばにあれば、そのまま立っていられるように(つかまり立ち)なる子どももいます。支えがなくても座っていることができ、座ったまま両手を自由に動かしたりおもちゃを持って遊んだりします。両手に持った積み木などのおもちゃを打ち合わせることができるようになる子どももいます。0歳11ヶ月~1歳のころの体・心・ことばの発達とは?0歳11ヶ月~1歳のころの身長と体重は以下が目安となっています。・身長男児:69.4~79.6cm/女児:67.4~77.8cm・体重男児:7.51~11.04kg/女児:7.02~10.48kgことばの意味を理解して単語をひとつ言えるようになる子どもも多いです。欲しいものや自分がしてほしいこと・いやなことなど、自己主張がハッキリしてきます。自分で食べ物をつかんで口に運ぶこともします(つかみ食べ)。座った状態から、近くにつかまれるものがあれば自力で立ち上がることができるようになり、1歳が近づくと何もつかまらなくても立てるようになり、はじめの一歩を踏み出す子どももいます。手のひらでものを握るだけでなく指先の動きもコントロールでき始め、小さいものを人差し指と親指で挟んでつまむことができるようになります。Upload By 発達障害のキホン発達に遅れがある? 通院の目安や、保護者ができること心も体も、発達・成長には個人差が大きくあります。上記のような発達段階の目安通りに進まなくても、その子どものペースでだんだんにできることが増えていけば問題はないと言われています。0歳代では、1ヶ月健診、3~4ヶ月健診、6~7ヶ月健診、9~10ヶ月健診があり、区や市町村の自治体主体で実施されます。このときに、身長・体重の計測、心と体の発達・成長を確認します。著しく発達・成長が遅れている場合や、成長曲線からはみ出して体重や身長が推移している場合などには、相談することができます。発達に遅れがあると感じたら――専門家に相談する目安もし、誕生した時点で先天性の疾患があることが分かっている場合などは、かかりつけ医と相談しながらその子どもの成長ペースを見守りましょう。特に疾患はなくても、早産児(妊娠39週未満で生まれること)の場合には、発達・成長は遅れることがあります。発達障害に関しては、0歳代ではまだ診断はつけられませんが、笑わない、泣き止まないなど、気になることがあれば健診を機会に相談したり、かかりつけの小児科医に相談してみましょう。参考:健診での気づき|国立障害者リハビリテーションセンターかかりやすい病気とは?発達の遅れなどとの関係は?生後4~6ヶ月ごろまでは、胎内にいたあいだに母親からもらった免疫物質(免疫グロブリン:IgG)のおかげで、母親が免疫をもっている伝染病には感染しないと言われています。ただそれは万全ではなく、百日咳や結核など、新生児期からかかる病気もあります。そのために、生後3~4ヶ月のころから、三種混合ワクチンやBCGなどの予防接種がすすめられています。また、感染症以外にも、先天的な疾患がある場合もあります。妊娠中や誕生後すぐに分かる場合もありますが、成長とともに分かってくることも少なくありません。ミルクや母乳の飲み方が少ない、吐き戻しが多いといったことや、抱っこしたときにまったく目が合わないなど、なんとなくおかしいということから気づくケースもあります。その場合には、出産した産院を通して小児科医に相談したり、あるいはかかりつけの小児科医や病院に相談してみましょう。特に生後半年くらいまでの間に心配なのは乳幼児突然死症候群(SIDS)です。原因は解明されていませんが、SIDSを避けるには赤ちゃんの呼吸を妨げない環境の工夫が大切とされています。参考:年代別・世代別の課題(その1)|厚生労働省参考:保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)|厚生労働省参考:白河市 保健福祉部こども支援課家庭でできること、健診での気づき初めて育児をする場合は、子どもの様子が「なんとなくおかしい」と気づけないのではと不安になるかもしれません。そのような場合は、乳幼児健康診断(乳幼児健診)を活用しましょう。乳幼児健診は、できるか・できないかで評価をする場ではありません。赤ちゃんの今の状態を客観的にみることが目的です。もし、成長や発達に遅れが見られた場合、早い段階から専門家に相談することが大切です。専門家とは、保健師、小児科医、言語聴覚士、臨床心理士、臨床発達心理士、あるいは小児神経専門医、児童精神科医などであり、その窓口となる大事な機会が、乳幼児健診です。健診などで相談し、支援が必要な場合、支援につながることが、子どもにとっても育てる保護者にとっても大事なことです。まとめ0歳代の1年間で、赤ちゃんは自分の意志で体を動かせるようになり、周りの人との関係性も学習していきます。表情が豊かになり、褒められるとうれしいという感情が芽生えます。ただ、この記事で紹介した時期別の発達・成長は、あくまでも目安です。周りと比べすぎず、その子の成長のペースを見守りましょう。
2023年07月18日物心ついたころからミニカーを並べ続ける自閉症のある息子スバルは物心ついたときからミニカーを並べていました。毎日毎日飽きもせず。ときには長く行列に、ときには色別に、自閉スペクトラム症の特性からか、本人にしか分からないこだわりで毎日リビングはミニカーで大渋滞でした。寝る前には私がガサっと片づけて、翌朝になるとスバルがまたせっせと並べる、そんな毎日がまるで「賽の河原のようだ」と思ったこともありました。Upload By 星あかりスバルが歩き出してから幼稚園に入園するまでの時期は「たくさんの経験をさせてあげなくては」と1日4時間くらい公園で過ごしていました。午前2時間、午後2時間。行った公園は16ヶ所。自転車を購入するまでは地図を片手に徒歩で片道5Km以内の公園を制覇しようと張り切っていました。自転車を手に入れてからは隣町の公園まで足を伸ばしました。当時のスバルが一番お気に入りは、目の前を大きな道路が通っていて、絶えず車が走り続けているのが見える公園でした。その公園は高いフェンスでぐるりと囲まれており、出入り口は道路とは反対側に1つあるだけなので、突然走り出して脱走する心配もなく私もお気に入りでした。2番目にお気に入りなのは少し高い場所にある公園でした。その中で一番背の高い遊具に登ると、遠くにある高速道路を走る車の上半分ぐらいがかろうじて見えました。正直私にはひたすら流れていく車の屋根を見ても何が楽しいのかわかりませんでしたが、スバルはまるで「水平線を眺めがならいつか旅に出ることを夢見る少年」のような瞳で眺めていました。遊具で遊んで、車を眺めて、どんぐりを並べて、車を眺めて、砂場でお山をつくって、車を眺めて…そんな毎日を過ごしていました。暑い日も、寒い日も、雨の日も、風の日も。雨の日はさすがに公園へは行かずレインコートを着て近所の道路を走る車を眺めるくらいでしたが。幼稚園に入園して初めての夏休みたった4ヶ月前まで、夏休みより長い期間を来る日も来る日も公園に出かけて過ごしていたというのに、初めての夏休みをどう過ごせば良いのか分からないという謎の問題に私は直面していました。幼稚園に入園してからは幼稚園でしっかり体力を使い果たして帰ってくるので、毎日公園に行く必要がない生活に私の体が慣れてしまったのです。隣町の公園に自転車で?そんなクレイジーな。道路の車を眺めて過ごす?つき合う自信なし。灼熱の公園で4時間?もっと自分を大切にしようよ。もう私はあのころのようには頑張れない…。幼稚園年少、初めての夏休みの過ごし方それでもときどきは私のできる範囲でいろいろなことを経験させてあげたいと思い、ベランダに小さいビニールプールを出してみました。いつの間にか持ち込んだミニカーをプールの中に並べて楽しそうに長時間遊んでいました。室内遊具があるショッピングセンターに出かけてみました。遊具に腰掛けて窓から外を行き交う車を眺めていました。興味の幅を広げようと大きな本屋に行きました。大人向けの輸入車のカタログをじっくり読んでいました。特別なことをしたつもりなのに、若干空回り気味の車!車!車!な夏休みでした。Upload By 星あかり同年代の子どもと比べていた3歳のころ。小学4年生になった現在は…あのころはいろいろなことに興味を持つ同年代のお友達と比べて「車以外のことにも触れさせなければ、興味を持たせなければ」と必死になっていました。でも、スバルにとっては一つのことを探究するのが一番楽しい時間の使い方なのです。スバルは車の車種名からカタカナとアルファベットを学びました。車の雑誌から漢字を学び、輸入車の本から国旗に興味を持ち100以上の国と国旗を覚えました。1つのことにしか興味がないようにみえて、そこをベースにじわりじわりと興味の枝葉を伸ばしていくタイプなのです。あれから6年。小学4年生になったスバルは車マニアからバスマニアになりました。休日はひたすらバスで移動するだけのバス旅を楽しみ、自宅ではノートにバスの路線図を書いたり、タブレットの地図や時刻表のアプリを使ったりして、特定のバスを追跡するバーチャルバス旅をして楽しんでいます。今年はバス!バス!バス!な夏休みになるでしょう。執筆/星あかり(監修:初川先生より)「初めての夏休み」をめぐるあかりさんの悩ましい気持ちのエピソードをありがとうございます。つい数ヶ月前の入園前の時期は来る日も来る日も近所の公園で車にまつわる時間を過ごしていたのに、園で元気に体力を使って帰って来る生活に親として慣れてしまったこと、そして「夏休み」とくくられると「何かいい経験をさせてあげないと!」と気負ってしまうこと。特に後者については同じように感じる読者の方も多いと思います(私もその一人です笑)。さまざま工夫しても、すべては車に通ずる夏休み。スバルくんの興味関心の強さを改めて感じる時間になりましたね。幼稚園保育園、また小学校での時間では、多かれ少なかれ集団で過ごすことも多く、なかなか自分の好きなことをめいっぱいやることは叶わないものです。今までのレパートリーにはない経験をすることももちろん大事ですが、本人の興味関心をどっぷりと取り組んでみる時間も長期休みならではかもしれないですね。そして、車を通じてさまざま世界が広がっていったとのこと。これは本当に大切なことで、1つのことだけ追い求めているように見えつつも、そこを入り口に世界は広がります。お子さんの興味関心を、例えば勉強に関係ないからとか、将来役立たないからといって、勝手に価値を下げてしまうのではなく、そこが入り口となって、そこから広い世界を見ることができるのだとぜひ捉えていただければと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年07月18日小学校入学後、困りごとが続出。特定の教科だけ特別支援学級に通うことに保育園のときから、ほかの子と少し違う…?というところがあった息子ですが、小学校は通常学級へ入学。しかし、そこからさまざまな困りごとが出てきてしまいました。息子の学校は登校後体操服に着替えて、そのまま一日過ごす決まりですが、息子は着替えませんでした。周りのお友達に「着替えた方がいいよ」と助言されても、なぜわざわざ着替える必要があるのか納得できない息子は、周りに合わせた行動がとれなかったのです。また、授業中手を挙げる大勢のお友達の「ハイ!ハイ!」の声や、休み時間の教室のざわざわした音が苦手で、耳を塞いでしゃがみ込んだり、それでも耐えられなくなると暴れてしまいました。体育の授業でドッジボールをやったとき、校庭の横を走る車に夢中だった息子(当時は、働く車が大好きでした)。ですが、ドッジボール中ですので、ぼんやり立っている息子は恰好の的です。当然ボールをぶつけられるのですが、すると息子は怒って相手の子に殴りかかってしまいました。そのほかにも机にぶつかった友達を「わざとやった!」と決めつけ、暴言を吐いたり追いかけ回したり…。家では、宿題で非常に苦労しました。つきっきりで教えて、終わるのが毎日夜8時過ぎなのです。そんなこともあり、先生の勧めでクリニックを受診し、検査を受けました。その結果、息子はアスペルガー症候群(現在の自閉スペクトラム症に含まれる)と診断されました。さらに聴覚過敏や偏食もあることもわかりました。保育園のときから感じていた「ほかの子と少し違う?」という違和感の原因が、やっとわかったと思いました。そして特別支援学級の先生が、「国語と算数だけ特別支援学級に通ってみたらどうでしょうか」と勧めてくださいました。おそらく、国語と算数の宿題に苦戦していたからだと思います。通常学級に在籍しながら、特定の教科だけ特別支援学級で受けるというやり方は、うちの学校では息子が初めてだったようですが、とてもありがたいものでした。※通常学級在籍の場合、個別の支援は「特別支援教室」もしくは「通級指導教室」で行われます。もしくは特別支援学級に在籍し、特定の科目を交流級にて受ける形をとります。この体験談のお子さまについては、学校の判断により、通常学級に在籍しながら一部の科目について特別支援学級で受けています。Upload By ユーザー体験談プロの技に感服!特別支援学級の先生の工夫は至れり尽くせり1年生の2学期から、息子は国語と算数の授業を特別支援学級で受けるようになりました。少人数で静かな環境が本人に合っていたのか、息子は特別支援学級の授業を集中して聞くことができました。そして特別支援学級の先生は、発達障害児がどこにつまずきやすいのかを分かっていて、教え方もさまざまな工夫をしてくれました。息子は国語が大嫌いでした。「わ」と「は」の違いが分からず、「、」や「。」の間の開け方や「ば」や「ぱ」などの濁点も見間違えてしまいます。それを指摘すると暴れてしまい困っていたのですが、特別支援学級の先生は、教科書読み上げのCDを使って、読み方を教えてくれました。すると、目で見るだけでは分かりづらかった違いを意識できるようになり、すんなり頭に入ったようでした。筆圧が弱く、フラフラ書きや文字のバランスが悪い息子の文字についても、十字線のあるマスの大きなノートを使い、「それぞれのマスには、どんな形が入るかな?」とクイズ方式で楽しみながら取り組んでくれました。Upload By ユーザー体験談息子は算数は好きで、足し算引き算は暗算していましたが、「=」を書き忘れる、また、「+」と「-」を見間違えることがあり、荒れることがありました。ただ、得意な科目のため通常よりも速く学習が進み、一年生の終わりころからは、掛け算のCDやパソコンを使うなど、視覚と聴覚の両方を使って教えてもらえました。息子に合ったやり方なので、ストレスなく覚えられたようです。また、コンパスの使い方も早めに練習してくれ、至れり尽くせりでした。息子はバツをつけられることに対して強く反応し興奮してしまうのですが、特別支援学級ではそんな息子のため、一番最初に合っているものを赤でマルにし、やり直して正解をもらうと、今度は息子の好きな色でマルがもらえるという工夫をしてくれました。この方法で少しずつ息子のイライラも軽減されました。一方、私は発達障害の本を図書館で借りてきて読みあさり、そこでイヤーマフを知りました。これを使用できればイライラが少しは軽減するかも!と思い、すぐに学校側に相談して使用許可を頂きました。何個か購入して本人が気に入ったものを使用するようになり、息子はずいぶんと楽になったようです。使わなかったイヤーマフは、同じような苦しみを味わうお子さんが1人でも減らせればと特別支援学級に寄付しました。こうして特別支援学級の先生のおかげで、息子は不登校になることもなく、無事中学生になりました。Upload By ユーザー体験談「俺は、恵まれた環境でここまでこれた」という息子の夢を応援したい中学生になってからも、小学校と同じように、国語、数学、そして英語の授業を特別支援学級で受けました。しかし、「板書ができないのはサボっているからだ」とある教科担任の先生から言われ、クラスでちょっとイジメにあってしまった息子は、一週間に1、2度休むようになってしまいました。私は傷ついた息子を何とかサポートできないかと、再度発達検査をして診断書をとり(ここでLDの診断がでました)、それを息子に関わる全ての教職員にコピーして渡しました。LDがあるから板書ができないと合理的配慮を求めたのですが、通常学級だとノートの提出があり、成績に関わると言われたため、中学2年生から特別支援学級に所属することになりました。このおかげで休みがちだった息子は不登校になることもなく、高校にも無事に合格したので、早めに判断して在籍学級を移ってよかったと思っています。中学卒業後は、特別支援学級がある高校が住んでいる地域になかったため、週3日通う通信制の高校を選択しました。出席日数で大学の指定校推薦が受けられなくなると息子の抱く「将来の夢」の実現が危ぶまれるため、あえて通信制高校にしたのです。息子の将来の夢は「特別支援学級の先生」です。実は息子は、父親を4歳で亡くしています。息子以外わが家はみんな女性ばかりです。特別支援学級の先生は、困ったとき力になってくれた身近な男性です。そして卒業するまでの6年間、勉強だけでなく、さまざまなことを教えてくれました。運動会の組体操、逆立ちの仕方。林間学校の飯盒炊飯の事前練習。修学旅行前には銭湯にも連れて行ってくれ、男風呂の経験もさせてくれました。息子は先生がとても大好きでした。きっと、うっすら覚えているかどうかの父親と重ねていたのかも知れませんね。Upload By ユーザー体験談息子は、自分と同じように困っている子どもたちをサポートしたいと言っています。「俺は、恵まれた環境でここまでこれた。障害を持っていても、諦めなくていいって、先生が教えてくれた。俺に関わった人達に感謝したい」勉強だけでなく、息子の人生に大きな、いい影響を与えてくださった特別支援学級の先生には感謝してもしきれません。イラスト/keikoエピソード提供/しのっぺ(監修:室伏先生より)特別支援学級へ通われることになった経緯、特別支援学級での学習の工夫などについて具体的に共有くださりありがとうございました。素晴らしい先生方に出会えて、息子さんに合う方法で学ぶことができたこと、本当によかったですね。私も息子さんの夢を応援したいと思います。学習障害のあるお子さんは個々の苦手に合わせた学習が必要ですが、通常学級の生徒の数では個々に合わせた支援は難しいです。このお子さんの通われていた学校では一部の授業だけを特別支援学級で受けるという柔軟な形をとってくださったとのことですが、どの地域でもそのような支援が受けられるわけではなく、悩まれている親御さんも多いことと思います。通級指導教室に通っているお子さんもいらっしゃいますが、頻度として十分ではないこと、学習障害への個別指導に対応してくださる先生がいらっしゃるかどうかに依存してしまうこと、テストや試験においての配慮は受けにくいこと、など課題はたくさんあります。学習障害で読みや書き、計算などに困難さはあるけれど、知的障害はない場合、特別支援学級に在籍することは難しいこともありますし、在籍できたとしても、困難さのない範囲の学習に支障をきたす可能性や、学習以外の生活の場面で必要以上の制限を受けてしまう可能性などがあります。困っているお子さん全員が、一人ひとりにあった柔軟な教育、配慮が受けられる社会になるといいですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年07月17日強迫性障害とは?原因、どんな症状がある?強迫性障害(強迫症)は、強迫観念や強迫行為を何度も繰り返す精神障害です。強迫観念とは、無意味であると自覚しながらも抑えられない思考やイメージのことであり、手を洗う・順番に並べる・何度も確認するといった儀式的な行動(強迫行為)を行うことで強迫観念を打ち消そうとします。強迫性障害の原因は明確ではありませんが、遺伝的要因や脳内の化学物質の異常、環境要因などが関与していると考えられています。ストレスやトラウマも発症の一因とされています。また、強迫性障害は、うつ病を併発することも少なくありません。およそ20~30%の患者がうつ病の症状を抱えていると言われ、より症状が重症化してしまうこともあります。このコラムでは、強迫性障害の原因、症状、治療法等に関するギモンについて、専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。【小児科医に聞く】手を洗いすぎる、何度も確認してしまう、被害妄想が激しい…強迫性障害の症状や原因は?医師が回答(質問)高校生の娘は昔から何事も気にしてしまう性格ですが、最近は度を越しているように感じます。強迫性障害かチェックするポイントはありますか?どんな症状があると強迫性障害と診断されますか?(回答)気にすまい、考えまい、行うまいと努力するにも関わらず、そうすることによって、かえって気になり、それに囚われて、そうせざるを得ない状態に陥っていることがあります。例えば、「人が触ったものを汚いと感じるようになって、頻回に手を洗うようになり始めた」、「気にしすぎだと思うが、手洗いをしないと落ち着かず、次第に人が手を洗わないのも気になり、人への手洗いも強要するようになった」というように、ご自身がしたくないと思っていても、それをしないと落ち着かず、生活に支障をきたしている場合には、強迫性障害を疑う必要があります。強迫観念:自分にとって無意味で、不合理であると理解しているが、繰り返し不快な考えが頭を巡ることです。例えば、人が触った物は不潔であるという考えが巡るのは、強迫観念です。強迫行為:強迫観念を抑えるために行われる反復的な行動や儀式です。例えば何度も手を洗うなどです。強迫観念や強迫行為の症状がある場合、強迫性障害の可能性がありますが、診断にはほかの疾患との鑑別も必要になるので、児童精神科、精神科、心療内科などへの相談をおすすめします。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どもが強迫性障害かもしれません。潔癖症のようになり手を繰り返し洗うのをやめられない、お風呂でも身体の汚れが気になるようで身体をずっと洗い続けていて、日常生活に影響が出ています。最近は出かけようとしても「汚れるのではないか?」と不安になるようで部屋にこもりがちです。何が原因なのでしょうか?また、治るきっかけなどありますか?やはり病院を受診したほうが良いでしょうか。(回答)原因は解明されていませんが、脳内の神経伝達物質(セロトニン系)の異常が症状と関連していると示唆されています。環境の変化などのストレスで症状が悪化することもあります。お子さん自身やご家族のせいで生じる病気ではありません。子どもの強迫性障害には、チック障害、ADHD(注意欠如・多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、うつ病などの併発が多いことが指摘されています。強迫観念があっても、強迫行為の回数を少しずつスモールステップで減らしていき、できたという経験を積むことで、強迫観念が少しずつ和らいでいくことがあります。しかし、親子で取り組むのは難しいこともあるかと思うので、精神科・児童精神科・小児科の医師・心理士や、スクールカウンセラーに相談すると良いでしょう。生活に支障があったり、ほかの人にも手洗いなどを強要したりと巻き込む様子がある場合には、受診されると良いでしょう。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どもが強迫性障害になり、最近は頭痛や動悸も訴えるようになりました。パニック障害になってしまうのではと心配です。(回答)頭痛や動悸などがある場合には、身体症状の原因検索をしつつ、症状を和らげるお薬を使用し、ほかに併存している疾患がないかも診ていきます。身体症状があると日常生活にも支障をきたしますし、専門医療機関を受診することをおすすめします。また、強迫性障害と関連する疾患は、チック障害、ADHD(注意欠如・多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、うつ病(気分障害)、不安障害などが挙げられますが、心配な症状が見られる場合には、かかりつけ医や専門医療機関に相談してみましょう。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どもが強迫性障害です。何度も繰り返し「大丈夫?」と確認をしてばかりで行動に移せない、といった様子が見られます。「大丈夫だよ」と声を掛けますが効果がないようで、母である私も疲弊しています。どのような言葉を掛ければいいでしょうか?気にしないようにできる方法や良い接し方はありますか?(回答)なんとかして、安心させたいとお声を掛けているのだと思います。しかし、「大丈夫だよ」と声を掛けても効果がないように感じる場合には、お子さん本人の中では、大丈夫ではない不安があるのかもしれません。「何度も確認したくなるくらい、心配なんだね」と、お子さんの気持ちを否定することなく、一度受け止める表現の声掛けをしてみるのはいかがでしょうか。その上で、「○回確認したらやめよう」と具体的な回数を決めて確認行動を減らす声掛けをし、確認行動が減ったら、ほめることを意識していきましょう。とても忍耐のいることですが、できる限り、同じ対応を続けるようにしてみましょう。Upload By 発達障害のキホン強迫性障害にまつわるコラムまとめ強迫性障害は治療可能であり、認知行動療法や薬物療法などが一般的に用いられます。認知行動療法では、強迫観念や強迫行為に対する認識や対処法を学び、それらを改善することを目指します。薬物療法では、抗うつ薬や抗不安薬が使用されます。強迫性障害は、学業や仕事などの日常生活にも大きな影響を与えることがあり、早期の診断と適切な治療が重要です。専門医の指導のもと、患者本人だけでなく家族も病気や治療について知ることで、適切なサポート方法を身につけ、症状の軽減や社会生活の回復を目指しましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年07月16日起立性調節障害の原因は?よく見られる症状、治療法は?起立性調節障害は、自律神経系の循環調節機能の異常によって引き起こされると言われています。交感神経活動により、血流が脳に十分にいきわたらず、立ちくらみ、朝起き不良、頭痛、動悸、血圧の変動、倦怠感などの症状があります。起立性調節障害の発生頻度は、軽症例も含めると、小学生の約5%、中学生の約10%にものぼり、10~16歳の第2次性徴期、思春期に起こりやすく、ほかに、水分不足、ストレス等も起立性調節障害の要因となります。不登校の子どもの約3~4割が起立性調節障害を併存しているとも言われ、学校生活や社会生活に大きな支障となる場合があるため、起床時の姿勢、筋力維持、十分な水分補給、睡眠リズムの調整などの日常生活における工夫や、薬物療法などの適切な治療で症状を軽減し、家庭や学校において環境調整を行っていくことが重要です。【小児科医に聞く】起きられない、学校に行けない…何科に行く?薬はある?保護者ができることは?起立性調節障害に関するギモンに医師が回答(質問)子どもがめまいや頭痛を訴えて朝起きられず、学校を休みがちです。起立性調節障害か、あるいは何か大きな病気ではないかと心配です。どんな症状が起立性調節障害に当てはまるのか、チェックポイントはありますか?何科を受診すればよいでしょうか?(回答)起立時に脳への血流が低下し、朝起き不良、食欲不振、全身倦怠感、立っていると気分が悪くなる、立ちくらみといった症状が認められます。症状は午前中に強く、午後からは体調が回復するのも特徴です。検査には症状をきたすほかの疾患がないか、例えば鉄欠乏貧血、甲状腺ホルモンの異常などがないか除外します。起立性調節性障害が疑わしい場合、起立負荷試験を行います。臥床安静時と、起立直後、起立継続時の血圧、脈の変化を調べます。起立性調節障害とは限らないので、疑わしい場合にはかかりつけの小児科に相談するのが良いでしょう。Upload By 発達障害のキホン(質問)中学生の娘が起立性調節障害と診断されましたが、なかなかよくなりません。何とか起きて学校に行けても、だるくて体も思うように動かないようです。勉強の遅れも気になり、本人も焦っています。症状が改善するいい方法や治し方はありますか?また、起立性調節障害に使われる薬にはどんなものがありますか?(回答)薬物療法だけでなく、日常生活で注意すべきポイントがいくつかあります。・起床時にはいきなり立ち上がらずに30秒ほどゆっくり起立する・水分を多めにとる(1日1.5L~2L)・塩分制限はしない(むしろ多めにとるようにする)・早寝早起きなど生活リズムを正しくする(怠くても日中は体を横にはしない)・毎日運動をする(15分程度の散歩から始めると良い)・下肢の加圧ソックスを着用する(血圧低下を予防)薬物療法には、低血圧を予防する薬を使用します。症状によって、薬の内容、飲み方は変わりますので、主治医の先生に相談しながら内服をすすめていきます。効果を感じられるのに1~2週間かかるので、効かないと思ってもすぐにやめないことも大切です。Upload By 発達障害のキホン(質問)高校生の子どもが起立性調節障害になり、学校の授業や部活に出られていません。出席日数の不足や課題が終わらないこともストレスになっているようです。このまま留年してしまうのでは、進学も難しいのではと心配です。いつごろまで症状は続くのでしょうか。大人になると落ち着くのでしょうか。(回答)起立性調節障害は珍しい病気ではありません。小学校の高学年から多くなり、中学校で急増します。女子は男子より2割ほど多いようです。進学の時期とも重なる場合も多く、不安になる親御さんも多くいらっしゃいます。症状の回復はお子さんによってさまざまです。適切な治療が行われた場合には、軽症例では数ヶ月以内に改善します。しかし、翌年に再発する可能性もあります。日常生活に支障がある中等症では、1年後の復学率は約50%、2~3年後は70~80%です。不登校を伴う重症例では、1年後の復学率は30%であり、短期間での復学は困難です。社会復帰に少なくとも2~3年かかると考えたほうが良いでしょう。体力に見合った高校に進学した場合には、第2~3学年になると9割程度が治ると考えられています。お子さんにあった学校を考えるのも大切になります。Upload By 発達障害のキホン(質問)中学生の子どもが起立性調節障害と診断されましたが、朝は立ちくらみや吐き気などを訴えますが、昼ごろには調子が良くなるようです。遊びには行けるのに学校は休むというのは、ただ「学校に行きたくない」という甘えではないのか、このままでは怠け癖がつくのではないか…と思ってしまいます。保護者はどのように接すればいいでしょうか。(回答)起立性調節障害の子どもは、疲れてダラダラしているように見えます。しかし、だらけているわけではなく、自律神経機能が悪いため、起立時に全身・脳への血流が悪くなり、その結果、症状が出てきます。昼ごろには調子が良くなるなら、午後からの登校を試みてください。体力に自信がなければ、保護者がつき添うのも良いでしょう。電車通学の場合には、座席に座れるように、ラッシュアワーを避けるのも良いです。朝起きられないからといって無理やり早く寝かせようとしたり、あるいは朝なんとか起こそうとして怒鳴ったり、怒ったりするのは、親子関係の悪化につながります。大きな声で怒鳴っても、良い結果にはなりません。Upload By 発達障害のキホン起立性調節障害、不登校にまつわるコラムまとめ起立性調節障害は、自律神経系の異常によって起立時に全身や脳への血流がいきわたらず、朝起き不良、食欲不振、全身倦怠感、立っていると気分が悪くなる、立ちくらみといった症状が出てきます。起立性調節障害の発生頻度は決して少なくありませんが、進学の時期と重なる場合も多く、不登校や引きこもりなど、症状が重症化し長引くと、社会生活に大きな支障が出ることもあります。日常生活の中で気をつけられるポイントに留意しつつ、主治医と相談しながら薬物療法や運動療法なども適切に取り入れることが大切です。朝は倦怠感やめまい、頭痛といった症状が強くても、午後には回復することも多く、「疲れてだらけているだけ」と感じられるかもしれませんが、叱責することは良い結果には結びつきません。学校とも連携をして、正しい理解をもって無理なく早期の回復を目指しましょう。
2023年07月15日親子で“怒り”の感情について考える絵本ーー『かいじゅうポポリは こうやっていかりをのりきった』「絵本作家とドクターでつくる、これからを生きる子どもたちのための絵本」シリーズの第2弾となる本書。第1弾では“不安・こわい”の気持ちを取り上げ、本作では“怒り”をテーマに、自分の気持ちと向き合い、バクハツせずに上手に怒りとつきあう方法を、ユーモアあふれる絵本を通じて学ぶことができます。著者は赤ちゃんが喜ぶさまざまな絵本を手がける絵本作家の新井洋行さん、監修には国立精神・神経医療研究センター病院精神保健研究所知的・発達障害研究部にて部長を務める児童精神科医の岡田俊先生がドクターとして参画しています。怒り=悪いこと、我慢しなくてはならないことというイメージがあるかもしれません。しかし本作では 「怒り」を捉え言語化するプロセスを、おこりんぼのかいじゅう・ポポリの視点を通して分かりやすく描かれています。子ども自身が、怒りを冷静かつフラットに捉えることができるのが本作の特徴です。子どもが怒っているとき、その背後にはさまざまな気持ちがあります。子どもは気持ちを伝えることが苦手であると本書には記されています。その伝えたい気持ちを言葉にできるようになれば、さまざまな局面を乗り越えられるようになるはずです。「おこりんぼさんの毎日が楽になる処方せん」のようなこの絵本。保護者の方もポポリになりきり、情感たっぷりに読み聞かせて子どもの笑顔を導き、親子の時間を楽しんではいかがでしょうか。絵本の時間を通じて、親も子どもの生きやすくなるヒントが手に入るかもしれません。平熱先生の〝共感〟続出ツイートが待望の書籍化ーー『「ここ塗ってね」と画用紙を指差したわたしの指を丁寧に塗りたくってくれる特別支援学校って最高じゃない?』平熱先生は、おもに知的障害がある子どもたちが通う特別支援学校で働く現役の先生。特別支援学校でのキャリアは10年近く、小学部・中学部・高等部とすべての学部を担任し、幅広い年齢やニーズの子どもたち、保護者と関わり続けてきた先生です。そんな平熱先生が、特別支援教育の基礎や基本、また、特別支援学校で働いている一人の先生として、もしくは一人の社会人として考えていることや思うことを投稿したいと考え、開設したのがTwitter。障害のある子どもたちや支える大人たちに向けたメッセージや、特別支援教育の現状をユーモアを交えてつぶやくツイートは、特別支援教育に関わる人だけではなく、さまざまな人々の共感を呼び、登録者数7万人超えという大人気アカウントに!本書は、平熱先生のツイートの中から、大人たちの「子育てのモヤモヤ」に〝なんとなく〟寄り添ってくれる101の言葉を厳選し書籍化。思わずクスッと笑ってしまうポップでキュートなイラストと書き下ろし解説と共に収録されています。発達が気になる子どもたちと学校生活を送る平熱先生が、大人たちに伝えたいメッセージが詰まっている本書は、春の授業、夏の授業、秋の授業、冬の授業と季節感を取り入れつつ4つのパートで構成。「誰でも」「どのページからでも」気軽に楽しく読める一冊です。暗闇という非日常で生まれた各界著名人17名との対話の記録ーー『暗闇ラジオ対話集―DIALOGUE RADIO IN THE DARK―』本書は2018年から放送されているラジオ番組「DIALOGUE RADIO ~in the Dark〜」初の書籍化です。バースセラピストであり、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」のプロデューサーである志村季世恵さんが、真っ暗な暗闇の中にゲストを迎え、暗闇という「非日常」だからこそから繰り広げられる、心の垣根や壁が取り払われたゲストとの対話が人気のラジオ番組です。「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は、純度100%暗闇の中を普段から目を使わない視覚障害者のアテンドと対話(ダイアログ)をしながら、参加者は音、匂い、温度、手触りなど視覚以外の感覚をフルに研ぎ澄ましながら、さまざまな体験をする暗闇のソーシャルエンターテイメント。TBS系日曜劇場「ラストマンー全盲の捜査官ー」の全盲所作監修を手がけたことでも注目を集めています。本書では、50回を超えるオンエアから厳選した17回分と、新たにアテンドである視覚障害があるスタッフたちとの対話も収録。ゲストは、脳科学者の茂木健一郎さん、俳優の別所哲也さん、狂言師の野村萬斎さん、歌手の一青窈さんや平原綾香さんや、医師にフレンチシェフ、上場企業の代表取締役までさまざまなジャンルで活躍する人々が登場。多角的な立場・視点から社会やコミュニケーションのあり方、人間の可能性などを語り合う内容です。暗闇という非日常で生まれた各界著名人17名との対話の記録には、さまざまなメッセージや明日へのヒント、新たな感覚の芽生えなど、大切な気づきがちりばめられているかもしれません。暗闇の中を歩くような感覚で1ページづつ読み進めてみてはいかがでしょうか。『これだけは知っておきたい!発達障害のある子とのかかわり方: 専門家から学ぶ保育の困りごと解決BOOK』ほかの子どもに手が出てしまう、かんしゃくが激しい、じっとしていられない、言葉が出にくいなど、このような困りごとがある子どもたちには特性に合わせたアプローチが必要なのかもしれません。医師、臨床心理士、作業療法士、言語聴覚士など、児童発達支援の専門家たちにより記された本書は、幼児教育、保育の現場で働く教諭や保育士を対象に、障害に対する理解を深め、障害のある子どもたちの保育に役立てることを目的に出版されました。第1章は、発達障害の医学的な定義や分類について解説し、障害と特性、さらに特性は重なり合うことを知ることの重要性が説かれています。第2章では、専門的な視点から、児童発達支援のアプローチについて理論やプログラム・トレーニングなどの基本を解説。第3章では、現場の保育士があげた子どもたちの主な課題を10項目選出し、それらの保育士の関わり方について、専門家からのアドバイスがまとめられています。発達障害の理解から実際の保育現場でのアプローチ方法まで記された本書は、保育士、幼稚園教諭はもちろん、特別支援学校の先生、学童保育や放課後等デイサービスのスタッフ、保護者など、障害がある子どもと関わるさまざまな人にとってハンドブックとなるような一冊です。夏休みの課題サポートにもーー『TEACCHプログラムに基づく自閉症・知的障害児・者のための自立課題アイデア集第2集: 目的別に選べる102例』本書は、自立課題による療育を始めたい支援者が「何から始めたらよいのか」「どうやってつくればよいのか」という疑問を解決できるよう「つくりかた」を重視した構成になっており、使い方の目安、視覚的構造化するための視点など、初めての自立課題制作でおさえておきたいポイントがまとめられた一冊です。本書では、自閉スペクトラム症や知的障害がある人が楽しく取り組めるよう、豊富なジャンルや形状で実際に導入されている自立課題を厳選し、102例掲載されています。自立課題づくりのような「制作が得意」という支援者にはさらにアイデアが膨らむヒントが、苦手というスタッフにも、初めの一歩を踏み出すヒントが豊富に掲載されています。初めての自立課題制作でおさえておきたいポイントが分かる本書は、自立課題づくりをこれから導入したい事業所や障害者の支援に関わる方におすすめの一冊です。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年07月15日1歳半健診後、発達教室に通うが…1歳半を目前にやっとひとり歩きができるようになった息子は、運動面の発達も遅く、指差ししない、呼んでも振り向かない、円盤状のものをひたすらクルクルと回すのが好き、表裏色の違う布をひらひらし続けるなど、特性が顕著に現れていました。1歳半健診で息子の発達で気になっていることを相談し、ひとまず保健センターが行なっている発達教室に通うことになりました。その発達教室のカリキュラムは、約2ヶ月間で1クールとなっていました。生後3ヶ月の娘を連れて週一回、2時間の教室…その教室に参加している間娘は預かってもらえるものの、1歳児と0歳児を連れての外出はなかなかのものでした。やっとみんなの準備を終えて出発しようとしたら、娘がうんち…なんてことも多々あり(赤ちゃんあるある…)、教室に着いてから娘を預ける際も、初期の人見知りがはじまった娘がギャン泣きでメンタルをやられ…。夜間授乳で寝不足、産後でまだまだガタガタの身体で、母親の存在をフル無視で走っていく息子を追いかけ回さねばなりませんでした。そのころの息子は横目(つまり前を一切見ない)で壁ギリギリを走るという感覚遊びにハマっていて、教室でもやりまくっていたのでお友達にぶつかりそうになったり、転びそうになったり…本当に目が離せませんでした。…壁じゃなくて遊具で遊んでくれ!!(懇願)Upload By 海乃けだま教室の後も問答無用のカオスタイム。人に頼ることが苦手だった私も…発達教室の時間はいつも午前中だったので、終わるのはちょうどお昼の12時前でした。2時間みっちり遊んだ息子は体力も気力も使い果たし、歩くのも拒否して激グズり…そこに教室の間ぐっすりとお昼寝をして腹ペコの状態の娘も加わり、帰りの車内はギャン泣きの大合唱でした(私も泣きたいわー!!…ついでに泣いていました。笑)。Upload By 海乃けだま家に着いてから授乳と昼食の用意、そして食後は元気いっぱいの娘をなだめながら息子のお昼寝…それまで私は人に頼るのが苦手でしたが、もともとのキャパシティーも少ないため、寝かしつけの間に義両親に娘を預かってもらったり、娘のお昼寝中に息子を散歩に連れて行ってもらったりしなければ乗り越えられませんでした(今では義両親に頼りまくって育児しています。母として強く…図太くなりました。笑)。発達教室が終了し、発達検査をしてもらった結果は…2ヶ月ほどで発達教室の1クール目のカリキュラムが終了し、いよいよ発達検査をしてもらう日がやってきました。1歳10ヶ月で受けた発達検査の結果は「10ヶ月程度の発達年齢」でした。"10ヶ月程度"その言葉で頭がいっぱいでした。反応の少ない息子の興味を惹こうと一生懸命話しかけてきたけれど、息子には届いていなかったのかと…息子と過ごした1年間が"なかったこと"にされたような気持ちでした。いざ、病院へ。予約は2ヶ月先までいっぱい!?児童精神科の現状。忘れられないクリスマスとなった日。10ヶ月程度の発達年齢と言われた検査の後、保健師さんは児童精神科へ紹介状を書いてくれました。発達障害についてなんの知識もなかった私は、発達障害の病院受診の現状をそこで初めて知ることとなるのです…。初回の受診は月に2回指定の日があり、朝6時から配布される整理券をもらい、病院が開く8時に再び来院し、整理券の順に翌々月の予約を取れるというものでした。0歳児と1歳児を連れて何度も病院を往復…できるわけないので、夫に仕事を休んでもらいました。予約が取れたのはちょうどクリスマスの日でした。受診日当日は「今日でもしかして診断がつくかもしれない…」と、ドキドキしながら診察の時間まで落ち着きませんでした。いよいよ診察の時間になり、診察室に呼ばれました。医師の顔も見ることなく、真っ先におもちゃのある方に向かっていく息子。日々の様子や指差し・発語について聞かれた後、医師はペンライトを持って息子の方へ。医師「海乃ひとで(息子の名前)くーん。」息子「……。」返事どころか振り向きもしません。医師「ひとでくん、ちょっとあーんってして?」ペンライトを光らせ、息子に見せる医師息子「…!あー!」ペンライトを欲しがる息子医師「あーん、は?できる?」息子「んー!!」ペンライトを頑なに欲しがる息子医師「お母さん見て。ひとでくん、このライトしか見てないでしょ。さっきから私と一度も目が合わないんです。人に興味が薄い子はね、人じゃなくて物を見るんですわ。」Upload By 海乃けだま医師からの言葉で、それまでの息子を育児してきて感じていた違和感がストンと腑に落ちた気がしました。結果は「自閉スペクトラム症疑い」でした。「あぁ、やっぱりそうか…」と思う反面、疑いという形ではありましたが、自閉スペクトラム症の可能性があると言われたことに、ショックを隠しきれませんでした。その後に看護師さんが療育に通うための通所受給者証の申請や特別児童手当について話してくれましたが、ほとんど耳に入ってきませんでした。ついに自閉スペクトラム症と診断。療育先探しへ年が明けてから、通所受給者証や特別児童手当の申請を行いました。受給者証を申請してから交付されるまで、2~3ヶ月かかるため、その間に2クール目の発達教室に通うことになりました。相変わらず壁際スレスレを横目で走っていく息子を追いかけまわしていました。2クール目の教室も終了し、児童精神科の再診日が来ました。診察の結果、息子は「疑い」ではなくはっきりと「自閉スペクトラム症」と診断されました。初回の診察のときほどのショックはなかったものの、その日にはっきり診断がついてしまうとは…(涙)。でもいつまでも落ち込んではいられません。私は息子の療育先を探すため動き出しました。保健センターの保健師さんから療育施設の資料をもらいましたが…無知な私には、息子にどんな支援が必要なのかさっぱり分かりませんでした。保健師さんにアドバイスをもらいながら、親子通園クラス・単独通園クラス・並行通園クラスに加え、個別療育(OT・STなど)もある療育先に見学に行きました。新設されたばかりで、施設も綺麗で先生達もとても親身で明るく親切で…ちょうど空きがあり、さらに娘の保育もしてくれる!!「運命や!ここしかない!ここがいい!!」とその日のうちに決めて帰ってきました。結局1ヶ所しか見学に行きませんでした(笑)。支援利用計画を引き受けてくれない…繁忙期の事業所。そこに現れた救いの手。療育先が見つかりホッとしたのも束の間、今度は「障害児支援利用計画」を作成してもらう相談支援事業所を探さねばなりませんでした。とりあえず家から近い何件かに連絡してみるも、繁忙期だったこともあり、全て断られてしまいました。「せっかく療育先も決まったのに、こんなところで足踏みせなあかんなんて!!」と最後の望みで連絡した事業所。最初はやはり断られそうな雰囲気でしたが、私の必死さが伝わったのか「お母さんのその必死な気持ちに応えてあげたい」と特別に引き受けてくれました。後日、その方が面談のために家庭訪問に来てくれましたが、息子を見て「お母さん、この子は大丈夫。ちゃんとしゃべれるようになるからね」と勇気づけてくれました(涙)。その後、無事に療育に通えるようになった息子は、めきめきと成長しました。療育に通い始めてから約3年(母子通園クラス1年、単独通園クラス2年)、今では一日中ずーーーーーーっとしゃべっています。今年の4月から、息子はこれまで通っていた療育園から幼稚園に転入しました(今は週1回並行通園クラスに通っています)。やはり定型発達のお友達より1歩も2歩もゆっくりですが、お友達に助けてもらいながらも遊んでいる姿を見ると、療育で頑張ってきて良かったと感じています。Upload By 海乃けだま執筆/海乃けだま(監修:室伏先生より)児童精神科への受診と診断、そして療育へ繋がるまでのご苦労やお気持ちについて共有してくださり、ありがとうございました。中でも、「反応の少ない息子の興味を惹こうと一生懸命話しかけてきたけれど、息子には届いていなかったのかと…息子と過ごした1年間が"なかったこと"にされたような気持ちでした」というお言葉が印象的でした。お母さまのお気持ちを想うと、私もとても悲しい気持ちになってしまいました。お子さんが療育を受けること、療育を通じて支援者が正しい知識、テクニックを学ぶことはもちろん大事ですが、療育で最も大事なことは、お子さんにコミュニケーションの楽しさ、喜びを知ってもらうこと、気づいてもらうことです。自閉スペクトラム症のお子さんには、言葉を含む他者とのコミュニケーションへの興味が高まり、ぐんと伸びる時期があることが多いです。お母さまがひとでくんに対して、赤ちゃんのころから抱きしめたり、一生懸命話しかけた結果、ひとでくんの内面に他者、そして言葉への気づきや、興味が少しずつ育まれ、それが幼児期になってから言葉がぐんと伸びる土台になったのではないかと思います。また、療育への通所開始後も療育施設でもらったアドバイスをもとに、おうちでも療育的な関わりを実践されていたのではないでしょうか。ご家族の頑張り、そして、ひとでくんへの愛情が、ひとでくんの成長を促したのだと、私は思います。お子さんから期待するような反応が得られず戸惑い、どのように接したらよいのか分からず苦しみ、挫けてしまいそうになることもきっとたくさんありましたよね。同じようなお子さんをもつご家族にも、周りのサポートを受けて自らのケアもしながら、お子さんを信じて、言葉や笑顔を届け続けてほしいと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年07月14日中学生から積み重ねた工夫がついに花開く!?わが家は母である私・ワッシーナを筆頭に、家族全員が個性いろいろな発達凸凹タイプです。それぞれの特性をキャラクター化しており、動物の顔をしています。高校生になった次男ウッシーヤは、あいかわらずのゆったりペースで、学力は小学3年生レベルのままでした。ところが、高校1年生の2学期になって、いきなり学力がアップし、同級生たちに追いつきました。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイウッシーヤのクラス担任の先生は驚きを隠せない様子でした。「ウッシーヤくんは奇跡です。いったいなにが起きているのですか?」私はすぐに答えられませんでした。中学1年生のときに発達の偏りが分かり、さまざまな工夫を重ねたので、どれが効果的だったのかは即答できなかったのです。あれから10年経った今も、なぜ急に成績が伸びたのかは、よく分かりません。おそらく、ウッシーヤ本人が自分の言葉で語るときが来るのを待つのがいいと思います。結果を急がず、日々工夫を楽しむことが大切ではないでしょうか。保育士になりたい!やる気スイッチが入るUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイウッシーヤは中学時代から始めた保育園のボランティアを高校時代も続けていました。おそらく年間50日くらいは通っていたようです。あまりの熱心さに園長先生はすっかり感心してくれたようで、「将来、保育士の資格を取ったら採用してあげる」という励ましのことばをいただいたのです。ウッシーヤのやる気スイッチが入りました。「高校を卒業したら保育科のある大学に進学したい」と言いました。具体的な志望校も決まり、ますます勉強に力が入りました。成績も安定してきて、私はすっかり安心してしまいました。そのため、大学受験のために必要な高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)の手続きを本人に任せてしまったのです。油断大敵、まさかの手続き失敗が連続Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイわが家の子どもたちは全員インターナショナル系のフリースクールに通っていたため、大学を受験するにはまず高卒認定試験に合格する必要がありました。そして、受験手続きのためには収入印紙を購入して、申請書類とともに郵送しなければなりません。ウッシーヤは手続きの説明書をしっかり読んで郵便局に向かいました。ところが収入印紙を買うはずが、間違って切手を買って同封してしまったのです。しかも、説明書には「収入印紙と切手を間違えないように」と書いてあり、しっかりとそれに目を通したにもかかわらず、間違えたのです。これはウッシーヤに思いこみが激しすぎるという特性があるために起こったことです。彼は、世の中に切手とよく似た「収入印紙」というものの存在を知らなかったのです。いままで想像すらしたことのない「収入印紙」がいきなり現れたので、ウッシーヤはとても驚いたのでした。せっかく学力が身についたのに高卒認定試験が受けられないのでは、大学も受験できません。かといって浪人したのでは、時間を持て余してしまううえに、苦労して身につけた学力が落ちるということが目に見えていました。そこで本人や夫ラクマと相談した結果、本人が望む専門学校で学びつつ、高卒認定試験を再受験しようということに決まりました。「大学に進学して保育士の資格をとる」という目標は変わりませんでしたが、ウッシーヤは「せっかく専門学校に行くのなら、大学の学科にはない分野を学びたい」と希望したので、幼いころから大好きだったアニメの世界を知るため、声優学科がある専門学校への入学手続きを行いました。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイウッシーヤが小学校から高校まで通っていたインターナショナルスクールは、少人数制のクラスでした。専門学校に入学し、初めてクラスメイトが数十人もできました。ところが本人は戸惑うことなく、キャンパスライフを楽しんでいました。「変わったタイプの子ばっかりで、自分がちっとも浮いてないからうれしい」と言うのです。入学式では、たしかに個性的な感じのお子さんばかりだったので納得しました。授業は歌って踊って芝居をしてという内容で、座学はまったくなかったこともよかったようです。ただ演劇の授業は指導教員がものすごく厳しく接するタイプだったので、かなり参ってしまったようです。でも演劇を学ぶことで、やりとりの間合いや距離感を体得できたように思いました。ところが、演劇を学びつつ、高卒認定試験の手続きを進める予定だったのに、今度は手続きの締め切りを勘違いして見過ごしてしまいました。進行をチェックする立場の私も、うっかりミスで見落としていました。親子でダブルうっかりです。2年連続の受験できない状態になってしまいました。本人の調子がいいときほど、忘れ物に気をつけなければならないのに、またもやうっかりミスです。手続きの進行役を管理上手な夫ラクマに頼むべきだったと反省しています。執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(監修:鈴木先生より)発達に凸凹がある場合には、IQ検査をしてその凸凹の具体的な中身を知ったほうが今後の人生に役立ちます。うっかりミスが多い場合はADHDを想定して、かかりつけ医または近所の精神科・心療内科にまず相談するといいでしょう。後者であればIQ検査も可能です。そこで不注意優勢に存在するADHDの診断がつけば、適切な治療をしていくことで、うっかりミスを防ぐことも可能です。学校へ行っている期間は親がチェックすることもできますが、いざ就職し働き始めると、自分でスケジュール管理をしなければなりません。仕事に支障がでてくる場合もあるため、早めの医師への相談をおすすめします。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年07月14日保育園で1歳から始まったトイレトレーニング。順調だったスタートしのくんが通っている保育園では、1歳からトイレトレーニングがスタートします。周りの子どもと比べて、言葉の発達が遅かったしのくんですが、先生の頑張りの甲斐あって、2歳0ヶ月ころにはトイレに行きたくなったら、「無言でズボンとオムツを外す」といった行動を取るようになりました。2歳4ヶ月ころまで意味のある発語がなかったしのくんなので、「トイレに行きたい」と言うことができず、無言でズボンを下ろすという行動で意思を伝えてきていたのでした。そして、私はしのくんがズボンを脱いだのを見て、「トイレやね!OK!」とトイレに連れて行くことができていました。Upload By keikoトイレトレーニングに立ちはだかった壁。それは…順調に進んでいると思われたしのくんのトイレトレーニングですが、ちょうどその後、手術と新型コロナウイルス感染症のパンデミックが重なります…。しのくんには生まれつき停留精巣という疾患があり、2歳半ごろに入院して手術を受けることになっていました。その手術は無事に終わったのですが、タイミング悪く新型コロナウイルス感染症の流行による緊急事態宣言が重なったことで、約2ヶ月半も保育園を休むことになってしまいました。そして、その間に何もかもリセットされ…しのくんは自分からトイレに行くそぶりを全く見せなくなってしまったのです。再び保育園に行けるようになったあとも、その状況は変わりませんでした。そして、いつの間にか、保育園の3歳児クラスでオムツが外れていない子どもは、しのくんだけになってしまいました…。ある日の参観日で、クラスのみんなはトイレに行っているのに、しのくんだけ先生にオムツを履かせてもらっている姿を見て「どうしよう!」と焦ったのを覚えています。Upload By keiko3歳のとき、外のトイレを怖がるように!?きっかけは…親の焦りを知ってか知らずか、3歳の誕生日を過ぎても、相変わらずオムツだったしのくん。自分からトイレに行くことはなく、親のほうからトイレに誘う日々が続いていました。そんなある日、その状況に追い討ちをかけるかのような事件が発生しました。家族で遊園地に遊びに行ったときのことです。オムツを交換しようとしのくんをトイレに連れて行ったのですが…しのくんは、トイレの中が薄暗かったせいか、急にトイレが怖くなってしまったらしく、ズボンを払いのけ、オムツ姿のままトイレの外へ走りだしてしまったのです!そのときは、どんなになだめてもトイレでオムツを替えることができなかったので、仕方なく私と夫で壁をつくって、外から見えないようにして、トイレではない場所でオムツを履き替えさせるしかありませんでした。Upload By keiko一番悩んでいたとき、思いがけず訪れた転機この事件以降、しのくんは、家以外のトイレに入ることができなくなってしまいました。そんなふうに、トイレトレーニングで一番悩んでいたある日…しのくんが2歳7ヶ月ごろから通っている「ことばの教室」に行ったときのことです。私はしのくんがオシッコをしたそうに、もじもじしているのに気づきました。「環境に慣れている『ことばの教室のトイレ』だったら、もしかしたら行けるかもしれない!」すると、しのくんの様子にピンときた先生がさりげなくしのくんを誘い、トイレに連れて行ってくれました。そして、私と先生が見守るなか…なんとしのくんは、数ヶ月ぶりに家以外のトイレで用をたすことができたのです。「すごいすごいすごい!」と先生と私で褒めまくりました。Upload By keikoことばの教室でのトイレの成功で、しのくんの中で自信がついたのか、その後、だんだんとトイレでできることが増えました。また、3歳半を過ぎたころから言葉も増えてきて、自分から「トイレに行く」と言えるようにもなりました。そして、4歳目前でついにオムツが外れました。5歳になった現在、悩んでいたころを振り返って5歳になった今では、もう外のトイレは怖がりません。むしろ、女性用トイレに入りたくないといって、一人で男性用トイレに入って行くくらいです。オムツ卒業の時期は人によって違うので、そんなに焦ることなかったなと今では思います。しかし、当時の私は心配で心配でしかたありませんでした。そんな私の焦りもきっとしのくんに伝わっていただろうなと思うので…今となっては反省しております。ほかの子どもと比べたり、周りの目を気にしないで、しのくんを第一に考え、しのくんのペースに合わせていきたいなと思います。執筆/keiko(監修:鈴木先生より)ASDの患者さんの場合、幼少時からズボンとパンツを脱いでトイレへ行く習慣をつけると、大人になってからも同じ行動をすることがあります。自宅ではいいのですが、外出したときは男児ならズボンを脱がないでできる習慣を本人のペースも考えてできるだけ早い時期から身につけるようにしましょう。一般的に公衆トイレは汚いイメージがあり、感覚過敏があるお子さんは臭いや汚れを気にして入れないこともあります。誰でもきれいなトイレのほうがいいとは思いますが、特に、ASDのお子さんはこだわりが強いため、外出時はどこにきれいなトイレがあるか確認していくといいでしょう。潔癖など強迫性症状のある方は他人が使うトイレに行けず、わざわざ自宅へ帰ることもあります。携帯の除菌スプレーを持参するなどの工夫も必要となります。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年07月13日公共交通機関を利用するときに気をつけていることは?自宅から、私の実家までは車で片道3〜4時間ほどかかります。車で帰るときはまだ良いのですが、たまに高速バスを利用することもあります。Pを連れて公共の乗り物、しかも、乗車時間が長く、自由に途中下車ができない高速バスに乗るのは、トイレの問題や、癇癪や奇声の問題などがあり、かなりハードルが高いです。トイレの問題については、突然行きたがることもあるので、小さいころは無理をせずにおむつを履かせ、大きくなった今はバスにトイレがついているか?を必ずバス会社に尋ねています。また、癇癪や奇声の問題については、とっておきのお菓子や玩具などを私の鞄の中に潜ませておいて、いざというときにはそれらを出して、Pの気を紛らわすようにしていました。P自身の経験のため、慣れるためにもできるだけバスでの帰省に挑戦しています。チケットを予約するときは、「療育手帳の提示で割引運賃が適用される」という理由もありますが、子どもに障害があることを必ず伝え、バスに乗車するときも同じように運転手さんに伝えています。乗り物が大好きなPは、基本的には大きな問題もなく長時間座ってはいられるのですが、たまに楽しくなって奇声を発することもあるので、場合によっては周囲の人たちに「この子には障害があって、途中騒がしいこともあるかもしれませんが…」と前もってひとこと伝えるようにしています。やはり、何人かに知っておいてもらうだけでもバスで過ごすときの気持ちが全く違ってきます。Upload By みん慣れない環境でどう過ごす?祖父母に理解してもらうには?そして実家に到着してからの話ですが、私の父と母はPの障害のことを理解はしてくれているのですが、普段一緒に過ごしていないのでPの行動に対してびっくりしたり戸惑ったりすることもありますし、逆にこちらも自分たちが普段生活していない場所でお世話になるので、Pにとって危険な物がすぐ手の届く場所にあったり、執着やこだわりにつながるような物も目につく場所にあったりします。血がつながった家族とはいえ、お互いの生活ペースにお互いが合わせるのはやはり大変です。でも少しでもお互いが快適に過ごせるように、きちんと話し合い、なぜPはこのような行動をとるのか?をその都度説明し、隠せる物は隠したり、逆にこちらが距離を取るようにしたりしながら、Pの癇癪や問題行動をできる限り減らすようにしています。そんなPですが、帰省したときは主に屋外で遊んで過ごし、実家にある池に石や草をたくさん投げ込んでしまいます。いくら外の池でも、荒らしてしまってばかりでは申し訳ないので、私はPの遊びを見守りながら、庭の草むしりや掃除をし、荒らしてしまった以上に綺麗にするように心がけています。「親しき仲にも礼儀あり」という言葉がありますが、孫がしたこととはいえ実家を散らかしたり汚したり壊したりなど、何か迷惑をかけてしまったのなら、できるだけ原状回復するようにし、何かほかの形でも返したりしながら、自由に遊ばせてもらえてありがたい気持ちと、散らかしてしまって申し訳ない気持ちが両親に伝われば良いなと思っています。Upload By みん離れて暮らしているからこそ大切にしたいことこんな風に過ごすことで、お互いに「また来てね!」「また帰るね!」と言えるような関係でいられたら良いなと思っています。帰省は疲れることも大変なこともいろいろありますが、私と両親が一緒にPを見守りながら、お互いの心配に思っていること、不安に思っていることなどを話し合い、Pの障害について説明し理解へと繋げることは、とても大切だと思っています。Upload By みん執筆/みん(監修:鈴木先生より)バスなどの公共交通機関を利用する際に、あらかじめ障害のあることを周囲の人に伝えるのはいいことですが、中にはASD傾向があって音過敏の方もいらっしゃるかもしれません。そういう方は自分で予めイヤホンなど持参して自衛の策を講じているかと思いますが、すべての乗客が障害に対して理解があるとも限らないので、とにかく保護者が謝るしかない…というご経験をされた方も少なくないのではないでしょうか。公共の場では最低限のマナーが必要とされ、保護者がわが子の行動をカバーすることも世間では求められます。神経発達症に関してはまだまだ世間に浸透していないのが現実です。今後の学校教育の中で性教育と同様に神経発達症に関しても教えていく必要があると常々思っています。また、みんさんのように、たとえご実家のご両親に対してであっても、感謝の気持ちを行動で示すことは、理解を得るうえで重要だと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年07月12日「うちの子にはまだ分からないかも」と先延ばし療育センターでの発達検査により、「発達障害の傾向がある」と医師から診断されたのは長男が3歳のとき。このころはまず自分が受け止めきれていなくて、毎日泣いてばかりでした。長男が5歳後半になってようやく私の気持ちに一区切りつき、「本人にも伝えた方がいいよね」と思うようになりました。理由は、あとになって言うより早いうちに言った方がショックが少なくてすむかもと思ったから。もっと言うと、成長してから伝えたときに「なぜもっと早く言ってくれなかったの」と責められるかもしれないと思ったからです(私ならきっと親を責めてしまう)。Upload By 星河ばよ「よし、長男が年長さんになるまでに言うぞ!」ところがいざ伝えようとすると、発達障害について5歳の長男が理解できるように伝えるには、どんな言葉で説明すればいいのか分からず、口がモゴモゴしてしまいました。「よし、小学生になるまでに言うぞ!」小学生になったらなったで、「まだ長男には理解できないかもしれないなぁ…」などと、どんどん先延ばしにして、気づけば長男は5年生になっていました。私はもともと先延ばし癖があるのですが、本当にわれながら何をやっているんだろうと思いました。ところがあきらめかけたそのころ、”そのとき”が訪れたのです。Upload By 星河ばよぼく、障害があるの?長男は3年生ごろから登校渋りを始め、学年が上がるごとに徐々に欠席する日も増えていきました。多いときは毎週のように休んでいた月も。長男が5年生になった7月のある日、学校を休んだ長男を誘って、気晴らしに2人でドライブに出かけました。「どこ行くの?ママー♪」すっかりご機嫌な長男を乗せ、車を走らせました(長男は登校前はショボンとして元気がないが、欠席することが確定したとたんご機嫌になる)。「ところで最近学校を休みがちだけど、何か心配事でもあるの?」と私が尋ねると、長男はスンと押し黙ってしまいました。「人間関係…お友達関係のことで悩んでたりする?」学校に行きたがらないのは人間関係のせいでは?とすぐに思ってしまう私です。と言うか自分がそうです(以前、人間関係が理由でパート先を変えました)。私はもう一歩踏み込んで聞いてみました。「前から気になっていたんだけど、特別支援学級と通常学級の行き来について、クラスのお友達から何か言われたりする?」※長男の小学校では、おもに国語と算数を特別支援学級で受け、それ以外の科目を通常学級で受けるスタイルです。すると長男はキョトンとした顔で「え?何も言われないよ」と返してきました。長男のその様子から、本当に言われていないんだと思いました。私はお友達のみんなに感謝したい気持ちでした。ところが長男は何かを察したようです。「ママ、もしかしてぼく…障害があるの?」新たな発見長男にこう尋ねられたとき、私は胸がズキンとしました。同時に、何て答えればいいのか、なるべく長男を傷つけずに、真実を告げるにはどうしたらいいのか、頭をフル回転させたのですが、次の瞬間出てきた言葉はたった一言「うん」でした。私は長男が自分に障害があるとわかってショックを受けてしまうのではと思いましたが、笑顔で「そっかぁー」とだけ言っていました。その様子に私が驚きながら、「なんで驚かないの?」と聞くと、「特別支援学級には障害のある子が何人かいるんだ。それでなんでぼくはここにいるんだろうと思ってた。ぼくにも障害があるんだね」とスッキリした笑顔で返してきました。私は今までずっと言えなかったことを謝りました。それから発達障害のことをできる限り分かりやすく説明しました。長男は「教えてくれてありがとう」とニッコリ笑顔で言いました。少し驚いた様子ではあったけれど、悲観する様子はまったくなく、新たな発見をした、と言う感じでした。私は正直、すごいなと思いました。Upload By 星河ばよおわりに発達障害のことを長男に言えたとき、「ヤッター!ついに言えたぞー」と心の底から安堵しました。と同時に、私は自分で勝手に荷物を重くしていたのかなと思いました。思えば長男が発達障害があるかもしれないと知って一番ショックを受けていたのも、受け入れるのに時間がかかったのも私一人だけ。夫や実母も義母もじつにすんなり受け入れています。つくづく私は一人で悩み続けてしまう性格だと思い知らされました。長男本人は笑顔で受け入れていたのにね。長男は来年中学生になります。どんな日々が待っているやらまだまだお互いに不安だらけですが、引き続き私も一緒に成長していけたらと思います。執筆/星河ばよ(監修:初川先生)お子さん本人への告知のエピソードをありがとうございます。ばよさんの長男くんの場合は、本人から「障害があるの?」と聞いてきたのですね。5年生くらいだと周りの状況も見えてくるので、そういうこともあるでしょう。さて、障害告知についてですが、さまざま悩ましいポイントがあるなと感じます。まずは、「障害」と伝えるかどうか。「障害」が何であるか分かるお子さんと、まだ分からない年齢のお子さんもいると思います。また、「障害」にはネガティブなイメージ(レッテル)が先に立って認識される場合もあります。そのあたりをどう考えておくか。そして、大事なのは障害かどうかを伝えることなのか、というポイントもあります。例えば、まだ自分自身の特性や得意不得意について、よく認識ができていない状況で、「障害」とだけ伝えるのが本人にとって自己理解が深まるのかどうか、ということです。こういうときにこう困りやすい。こんな苦手さがある。こういうことは特に苦手だから周りの人に助けてもらうことも必要みたいだ。逆に、こういうことはとても得意である。そうした自分の得意不得意や陥りがちな困りごとを日常生活の中で日々のエピソードを振り返りながら積み上げてゆき、自分はこんな人間だということを知っていくこともとても大切です。苦手さが生活に支障を来したり、自分や周りの人が時にとても困ってしまうこともある場合に、それを障害と呼ぶんだよ、という流れは1つあるかなと感じています。また、障害告知は一度伝えたらおしまいというものでもありません。一度にわーっと説明しても咀嚼できないかもしれません、また、どれほど伝え方を考えていても、想定した通りに伝わるとも限らないので、様子を見ながら、誤解したようなら修正したり言葉を足したりしながらしてゆくものでもあるように思います。いろいろポイントは書いてきましたが、告知の正解パターンというのはないと思います。保護者の方の受け取りや認識もさまざまで、お子さんの受け取りもまたさまざまだろうからです。一般に、主治医の先生に相談したり、スクールカウンセラーや相談機関の心理職に相談したりしながら準備される方も多いです。どうしてゆくか悩ましいときは相談しながら、ご自身の考えを言葉にしてゆくプロセスも一手です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年07月12日無料の参加登録受付中!発達障害のあるお子さんやご家族へ届けたい、オンラインセミナーが7/22(土)と7/29(土)に開催決定Upload By 発達ナビアライアンス プログラム1学期を終えて、もうすぐ楽しい夏休み!でも、生活リズムが乱れないか…。しっかり宿題に取り組んでくれるのか…。ゲームばかりになってしまわないか…。楽しみな反面、心配なことや気になることもたくさんあるかもしれません。発達ナビではお子さんとそのご家族に、ご自宅で情報を得られる機会をお届けするために、オンラインセミナーを開催します。・日時:2023年7/22(土)9:30~16:20(予定)2023年7/29(土)9:30~15:40(予定)・参加費:無料・形式:Zoomウェビナー配信・参加方法:事前申込必須。下記ボタンよりお申し込みください・内容:専門家講演、未就学のお子さんを応援する企業によるセミナー※企画調整中のため、今後変更となる場合もございますオンラインセミナーの内容をご紹介Upload By 発達ナビアライアンス プログラムもうすぐ夏休み!お子さんは1学期を過ごしてみて、どのような気持ちで夏休みを迎えているのでしょうか。そして、生活リズムは崩れないだろうか…家族で過ごす時間が増えて、きょうだいげんかは増えないだろうか…宿題はしっかりやってくれるだろうか…などなど、保護者の方にとっては気になることがたくさんあるかもしれません。時間がたっぷりある夏休みだからこそ生じるお困りごとへの対応や、「休み」として親子で無理なく過ごすための方法について、普段から親子の悩みに寄り添っている小児科専門医の藤井先生にお話しいただきます。当日は視聴者のみなさんからの質疑応答タイムもご用意しています。ぜひご参加ください!講師:藤井 明子先生さくらキッズくりにっく院長/小児科専門医 /小児神経専門医/てんかん専門医東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年より東京都世田谷区にあるさくらキッズくりにっくで発達外来を行っている。病気に限らず、子どものすべてを診るクリニックをめざし、お子さんだけでなく、親御さん子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。三人の子どもを育児中である。専門家特別講演は、日本生命保険相互会社の提供でお送りします。日本生命は、群れ全体が協力しあって子どもを育てるペンギンのように、子育ての壁や不安のない社会を、みんなで手を取り合ってつくっていきたいとの想いから、「NISSAYペンギンプロジェクト」を始動しました。HPやSNSでは、ほっこり学べる子育てあるあるマンガを発信しています。詳細は「NISSAY ペンギンプロジェクト」で検索ください。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムUpload By 発達ナビアライアンス プログラム大好評企画、鳥取大学大学院教授で臨床心理士の井上雅彦先生によるトークライブを開催!お子さん自身が自分の成長を実感できる関わり方とは?具体的な褒め方やタイミングは?など、自己肯定感の育み方に着目して講演をお届け。さらに後半は、保護者のみなさんから寄せられた、自己肯定感にまつわる質問のQ&Aライブを、発達ナビ編集長・牟田とのセッションでお届けします。リアルタイムにチャットで質問ができ、その場で答えていただくので、ぜひご参加ください!講師:井上 雅彦先生鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授/LITALICO研究所 客員研究員応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム無学年式教材「すらら」が提供する、保護者向け人気講座「ほめビリティ講座」では、褒めるを中心に「行動分析学」による関わり方を実践。 思春期前期~中期で分類し、不安が強いお子さんには「認知行動療法」も取り入れて、親子の円滑なコミュニケーションへ導きます。セミナーでは、ゲームばかりのお子さんへの声かけ法を解説。さらに、今年からスタートした、1人で子育てを続ける孤独感や疑問点などを支える「ほめビ講座オンラインコミュニティ」の内容・やり取りも一部ご紹介します。『ペアトレ知識を行動に移したい方』必見です。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム夏休み、おうち時間も増えるし有意義な時間を過ごさせてあげたい。好きなことがはっきりしているお子さんも、ゲームやネット、Youtubeばかりしているお子さんも、そこからどうやって世界を広げていけるのか、そんなお悩みに答えます。「夢中教室WOW!」はオンライン×マンツーマンで一人ひとりの「好き」を深め、自己肯定感を高める関わりを大切にするオンライン探求家庭教師です。これまで約200人のお子さんたちに伴走し自己肯定感を温めてきた経験をもとに、お子さん一人ひとりの中にある「好き」を素直に育むための大人の関わり方・声かけの仕方や、お子さんに関わる「第三の大人」の重要性、そして夢中教室の取り組みについて紹介していきます。YouTubeは、Google LLC の商標ですUpload By 発達ナビアライアンス プログラム遊びやゲームからの切り替えが苦手、失敗を嫌がってしまうなど、お子さんとの関わり方やルールづくりで悩んでいることはありませんか?本セミナーでは、家庭でのルールづくりを中心に、おうち時間を有意義に過ごすアドバイスをお伝えします。そもそもルール設定をする目的は?ルールを破ったときの接し方は?きょうだいへの配慮はどうする?などなど、 ルールをつくるだけでなく、実際の接し方やきょうだいとの関係についても解説! ぜひおうち時間の過ごし方に活かしてください。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム時間がある夏休みに学習を進めたい、宿題をやり切りたいのに、集中して勉強してくれない…。 もしかしたらそれは、勉強する環境がお子さんに合っていないのかもしれません。お子さんが快適に、安心して学習に集中できる環境づくりのコツを、山陽学園大学の上地玲子先生が解説。 さらに、障害児教育の専門家と家具メーカーの共同開発によって生まれた、家庭で使える療育家具をご紹介します!Upload By 発達ナビアライアンス プログラムもうすぐ夏休み、家族でのお出かけのときに、お子さんのたくさんの「やった!」を見つけましょう!公園などでの遊具遊びには、お子さんが自己肯定感を育むポイントがたくさんあります。このプレゼンテーションでは、お子さんがどこで自己肯定感を育んでいるのかを「見極める」視点と、そのための「大人の関わり方」を解説します。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムお子さんの行動が、発達のサインなのか、問題なのか、日々の子育ての中で迷うことはありませんか?本セミナーでは、幼児期の脳と心の発達からお子さんの行動について解説していきます。さらに、お子さんの発達に合わせて、どんな関わり方をすると、わが子の可能性を引き出せるのか、そのヒントもお伝えします。またご家庭だけで対応するのが難しいと感じた時に受けられるサポートについても解説していきます。Upload By 発達ナビアライアンス プログラムわが子は英語授業についていける?つまずいてやる気をなくすかも…。英語の授業は小学3年生から始まり、将来に役立つよう実践的なコミュニケーションを中心にしたものにシフトしており、内容は以前より難しくなっています。お子さんが自信をもって楽しみながら英語の授業を受けるには、安心できるおうちの中で、楽しく英語に触れさせてあげることが大切。でも、保護者自身が英語を教えるのはハードルが高いですよね。セミナーでは、英語に苦手意識がある保護者の方でも、無理なくお子さんの英語力を伸ばせる関わり方・環境のつくり方や「授業でつまずかないための備え」「楽しみながら将来使える英語力を習得」するためのヒントを、マンツーマン・Step by Stepアプローチを行う子ども専門オンライン英会話【リップルキッズパーク】が解説します。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム発達が気になるお子さんの子育てをオンラインサポートする「発達ナビPLUS」。 本セミナーでは、発達ナビPLUSの監修者でもある公認心理師の菅佐原洋先生に、短時間の集中でしっかりと学習内容を覚える「1分間トレーニング」について解説いただきます。・勉強をした直後はできてもすぐ忘れてしまう・家庭学習をやりたがらない・勉強をしていてもすぐに集中が途切れてしまうなど、お子さんの勉強に関するお困りごとへの手立てについてお話しします。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム発達に特性がある子の「好き」をのばし、力に変えることのできる習い事や保護者の関わりについて解説する、保護者向け勉強会です。ゲームや動画が大好きなお子さんが、実際に好きなことを力に変えた成長事例などを交えて、・子どもの「好き」を力にする親の関わり方や習い事って?・事例で分かる!「好き」を伸ばした子どものストーリー・将来に活きる力に変えるために今からできることは?など、保護者の関わり方のポイントや習い事の選び方、将来への活かし方についてご紹介します。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム発達に特性があり、その特性や個性を活かした進路選びを考えているご家庭向けの勉強会。好きなことや得意なことを極めることで、お子さんの将来を拓く可能性を選ぶにはどんな中学・高校の選択肢があるのか、専門家が分かりやすく解説します。発達が気になるお子さんの子育てをオンラインサポートする「発達ナビPLUS」。本セミナーでは、発達ナビPLUSの監修者でもある公認心理師・緒方広海先生に、幼少期からできる思春期の二次障害への「予防」とその「対応」について解説いただきます。・こだわりが強く、将来うつ病などの二次障害になるのでは?・幼少期からできる「予防」って?・二次障害を発症した場合はどのように接すればいい?など、特性があるお子さんの二次障害に関するお困りごとへの手立てについてお話しします。・子どもの発達特性・個性を知る言葉の遅れやかんしゃくなど、お子さんの今の状態や困っていることを整理し、特性や個性を理解するための考え方について解説します。・ことば・コミュニケーションを育む関わり方を解説ことばやコミュニケーションの発達にはどのようなステップがあるのか。発達を促す関わり方について、具体的な事例を交えながらわかりやすく解説します。・子どもに合った療育施設や幼児教室の選び方お子さんの特性や発達段階に合った療育施設や幼児教室の選び方について紹介します。Upload By 発達ナビアライアンス プログラム不登校やひきこもりがちなお子さんがいるご家庭向けの勉強会です。復学や居場所など、学校に行かない選択をしたお子さんへのサポートや、中学以降の進路の選択肢について解説します。1.不登校支援の選択肢フリースクールや訪問教室など、不登校のお子さんへの支援の選択肢や選ぶ際のポイントを解説します。2.中学以降の進路の選択肢義務教育以降の高校進学の選択肢として、通信制・サポート校や高等専修学校、チャレンジスクールなど、不登校に理解のある進路を幅広く知ることができます。3.教育にまつわる準備教育資金やお子さんの自立後に必要になってくる費用など、現実的な準備についても解説します。参加者向けの楽しい企画も!発達が気になるお子さんの役に立つ商品を抽選でプレゼント!Upload By 発達ナビアライアンス プログラム切り替えが苦手・言葉の発達がゆっくり・お友達関係が気になるといったお子さんの発達に大切なのは「楽しい遊び」。でも、どう関わったらいいのか分からないこともあると思います。発達段階ごとの特徴や遊びの意味、親子の関わり方について、日本福祉大学の言語聴覚士・臨床心理士が解説したオンライン講座を、一部無料でプレゼントします!Upload By 発達ナビアライアンス プログラム発達支援に関する専門家(心理士・言語聴覚士・作業療法士・医師・大学教授など)が50名以上在籍している発達に特化したオンラインサービスです。解説動画・よみもの4,000件以上の相談実績をもとにしたリアルな困りへの豊富なアドバイス!さまざまなお悩み別に、5分~15分で分かる解説動画や60分程度のセミナー動画、よみもの(記事)にアクセスできます。教材・プログラム専門家監修のもと独自開発された7,000点以上の教材・プログラムがダウンロードし放題!ソーシャルスキルトレーニング、学習、感情コントロール、生活サポートなど、幅広く対応しています。※通常のご入会特典【専門家への相談チケット3枚分付与】はございませんたくさんの方のご参加を、心よりお待ちしております!
2023年07月11日つかまり立ちを始めたのは生後10ヶ月ごろ生まれてからずっと発育が順調だった息子。しかし、生後10ヶ月ごろになっても、なかなかつかまり立ちをしはじめません。今まで順調に育っていたのに、どうしてつかまり立ちをしないのだろう?そう思った私は部屋の中の家具を見渡しました。すると、背の低い家具がないことに気づいたのです。ローテーブルはあるものの、ハイハイ状態の赤ちゃんからすると手を伸ばしても届かない高さ…。そこでダンボールに本や雑誌を詰め込み、上部にタオルを貼りつけたお手製の台を作ってみました。物珍しいものに興味津々の息子はハイハイで近づき、そのまま一発でつかまり立ち成功!Upload By ネコ山「やったー!」とうれしい気持ちと同時に、はじめてのつかまり立ちをした息子の足はつま先立ちで、まるで小鹿のように小刻みに震えていたのを覚えています。その後、息子は楽しそうにこの台でつかまり立ちをするようになりました。それから数日後、低い台での練習を経てついにローテーブルでのつかまり立ちに挑戦!立ち方のコツをつかんだのか、まずはお座りをしてからテーブルに手を掛け、一気に立ち上がったのです。「やったー!すごいよ頑張ったね!」と私もはしゃぎ、息子の一つひとつの成長がうれしかったです。つま先立ち…!?つかまり立ちができるようになってから数日、息子がいつ転んでも助けられるように近くで構えていて気づいたことがあります。それはずっとつま先立ちをしていること。初めは「足の裏の感触が慣れないのかな?」と、思っていましたが、伝い歩きを少しだけしはじめてもつま先立ちのまま。たまにかかとを地面につけて足全体に重心を置くことはありますが、伝い歩きするときはつま先立ち。いや普通に疲れると思うんですが!?つま先立ちが気になったのでインターネットで検索してみると『発達障害』の文字がたくさん浮かび上がってきました。その文字にドキリとしたことを覚えています。これが私が初めて発達障害という言葉を意識した出来事でした。Upload By ネコ山発達障害について調べていくと、10ヶ月くらいの乳児にみられる発達障害かもしれない特徴がいくつか紹介されていました。しかし息子は、つま先立ち以外の特徴には当てはまりません…どういうこと?保健師さんに相談してみた私たちの住む自治体では、3歳までの乳幼児と保護者向けに予約なしで参加できる親子健康相談というのがあります。保健師さん・栄養士さんが常駐で、身長体重などの測定・発達や離乳食などの相談ができる行政サービスで、私たちはこちらをよく利用していました。主な目的は身体測定だったのですが、保健師さんにちょっとした悩みや疑問を話したり、アドバイスや知らなかった行政サービスを紹介してもらったり、初めての育児に奮闘する私にとって、心の支えのような存在でした。この日も身体測定を目的に親子健康相談を訪れました。身長体重ともに成長曲線上振れの息子、「ほかに何か聞いておきたいことなどありますか?」と保健師さんに聞かれたので、最近気になっているつま先立ちについて話すことにしました。つかまり立ちをし始めた月齢や、つま先立ちの様子などを話すと、保健師さんは「つかまり立ちしはじめたばかりだから、どんなもんかな〜こんな感じかな〜って模索してるんじゃないかな」とのことでした。Upload By ネコ山その言葉に「確かに!つかまり立ちをはじめたばかりだから、きっとそうかも!立つことに慣れてきたり、歩きはじめたりしたらかかとをつけて歩くんじゃないかな」と、私も納得しました。その日から息子がつま先立ちをしていても気にならなくなりました。しっかり歩くようになっても…1歳ちょうどで1人歩きをはじめた息子は、靴を履いて外を散歩するようになりました。歩くときは足裏全体を地面につけてドテドテと歩く、いかにも幼児らしい歩き方でしたが、ふと見ると、つま先立ちをしていることがありました。本当に不意につま先立ちで歩くのです。Upload By ネコ山相談した保健師さんは「つかまり立ちをしはじめたばかりだから…」と、仰っていましたが、歩きはじめても息子はつま先立ちをしています。あれ?とは思いましたが、基本的に足裏をつけて歩いているし、たまにつま先立ちで歩いていても何も不都合なことがないので「よく分からないなぁ、個性的だなぁ」と思うに留まっていました。発達検査で指摘された4歳ちょうどで発達検査をしました。このころには、つま先立ちのことは私もすっかり忘れていたので、検査のときに指摘されたことが衝撃でした。発達支援センターで心理士さんに検査をしていただいたのですが、検査以外の息子の様子も注視する心理士さん。「つま先立ちが気になります」とのことでした。どうやら息子のつま先立ちは、歩きはじめで模索中なのではなく、心理士さんにとって発達上、気になるポイントだったようです。Upload By ネコ山生後10ヶ月のころ、インターネットで検索したときに「つま先立ち」「発達障害」と出てきたのに、そのときは「発達障害かもしれない」とは疑いませんでした。それは当時の息子には、「つま先立ち」とともに記載されていた、逆さバイバイやくるくる回る、目が合わないといった様子はまったくなかったからです。その後、5歳になった息子はADHD+ASDの傾向があり、児童精神科医からグレーゾーンの診断を受けることになるのですが…そのお話はまた次回以降に書きたいと思います。執筆/ネコ山(監修:新美先生より)つま先立ち歩きについて聞かせていただきありがとうございます。確かに、「つま先立ち」で検索すると、「自閉症」「発達障害」のキーワードはけっこう出てくるので、心配になって受診したということはよく聞きます。また自閉スペクトラム症などの発達障害と診断されたお子さんの幼児期早期を振り返ると、つま先立ちで歩いていたという記録が残っていることはあります。ですが逆に、つま先立ち歩きをしているお子さんの大半は、特別何かの診断につながることはなくただの歩き方の個性だったということも多いのです。特に、歩き始め数ヶ月程度は、歩き方を模索する過程で、一時的につま先立ち歩きをするお子さんは少なくありません。歩き始めの数ヶ月は何も気にしなくてよいでしょう。歩き始めて1年以上経ってつま先立ち歩きが目立ち、足を床につくことができないぐらいかかとの関節やふくらはぎが固くなっている場合や、歩き始めよりも1年以上たってからの方がだんだん転びやすくなってきた場合、片足だけ明らかにつま先立ちでアンバランスな場合などは、まれに神経などの病気が隠れていることがあるので、一度受診をおすすめします。かかとの関節が固いわけじゃなく足をついて歩くこともできるけど、ときどきつま先立ち歩きもするという場合の多くは、特別何かの診断につながるものではない、歩き方の個性の範囲のことが多いので、つま先立ち歩きだけで何かを疑って心配する必要はないでしょう。自閉スペクトラム症のお子さんがつま先立ち歩きをすることがある理由として、足底の感覚が過敏で足底をべったりつきたくないという場合や、足底の感覚が鈍感でつま先に集中して感覚を入力したいという場合、体の使い方が不器用な場合などがあります。つま先立ち歩きは確かに自閉スペクトラム症のお子さんにときどき見られる特徴ではあるのですが、つま先立ち歩きだけで自閉スペクトラム症だといえるものではないので、「こういう歩き方をする子なんだな、もしかしたら足の裏が敏感なのかもしれないな、だから靴下履くの嫌がるのかな?」などなど、お子さんの特徴の一つとしてただ観察していればいいと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年07月11日最初は学校の先生に指摘されゆいが発達の検査を受けたきっかけは、小学4年生のころに担任の先生にすすめられたからです。それまでの私は、ゆいが勉強や新しい環境が苦手なことを、本気で個性の範疇だと考えていました。本人には「気にすることないよ、そんなこともあるよ」と言い、成長していけば「そのうち何とかなるだろう」と呑気に構えていたのです。そんな考えでいたところ、担任の先生に発達の検査をすすめられたので、頭を殴られたような衝撃でした。まるで「母親失格」と言われたように感じてしまいました。わが子がこんなにも困っていたのに、なんで私は呑気に構えていたのでしょう。猛省しましたが今までの時間は戻ってはきません。ここから私は「何かしなきゃ」と焦ることになります。Upload By 吉田いらこそして母は「検索魔」になるそこからは、インターネットで検索を繰り返す日々でした。そのときにLITALICO発達ナビにもたどり着きました。当時の私は子どもと向き合うよりもスマホとにらめっこしていた時間の方が長かったと思います。どんな福祉制度があるのか、ほかの人たちは子どもとどのような関わり方をし、子どもはどんな進路を選んだのか。社会に出てからはどうしているのか、40代、60代になったころは…。当時夫は単身赴任中で、いつでも連絡が取れる状況とはいえ全部を私一人で背負っている感覚になっていました。「別にそこまで気にするほどではない」というスタンスの夫に対して「この人は何も分かっていない」と腹が立ち、一人ですべてを決めて突っ走っていたと思います。Upload By 吉田いらこ発達障害のセミナーを受講してみたけれどもっと知識をつけなければとインターネットで検索を続けていたところ、発達障害のある子どもを育てる保護者向けのセミナーを見つけ受講しました。検索していたとき、知的障害に関するセミナーは見つけられなかったのですが、発達障害に関するセミナーはたくさん見つけることができました(それだけ需要が多いのかもしれないと感じました)。そのセミナーでは障害にまつわる特性の具体的な対処法を学ぶのではなく、受講者(保護者)の意識改革をメインにしているようでした。育児の最終目標は何か、そこに到達するには今までの考え方をどう変えていくか…といった話が続きます。ビジネスセミナーのように目的が明確で勉強になると思ったのですが、そこで「こういう育て方だから特性が出てしまったのだ」という話題が出て、その例がまるで自分に言われているような気がして落ち込み、1回で受講をやめてしまいました。Upload By 吉田いらこわが子の障害との向き合い方、答えは身近にあったセミナーを受講しては落ち込み、「夫は分かっていない」と腹を立て、「何かしなきゃ、何かしなきゃ」といつもせき立てられるような気持ちでいました。完全に子ども本人を置いてけぼりにしていました。そんなときに私の妹に言われたことがあります。「お姉ちゃんは先回りしすぎてゆいちゃんの可能性をつぶしているような気がするよ。もっと気楽に構えてもいいんじゃない?」第三者から見ると、私が最初に自分自身が気を抜きすぎていたことを恥じて、今度は逆に縛りをきつくしすぎているように感じたようです。私は数年先のゆいの進路を見すえすぎて、通える可能性のある学校をピックアップしたり、教科をチェックしたりしていました。ゆいはまだ中学校にも通っていないのに、本人の希望は全く無視をして…。そんな私の気持ちを妹が落ち着かせてくれた気がします。それからは、現在の状況も見つつ本人と相談しながら進路を探したりしています。あのころから4年たった今も模索中ですが、これから「ちょうどいいところ」を見つけていけたらと思っています。執筆/吉田いらこ(監修:新美先生より)自分の子どもに、いきなり何らかの「診断名」がついたとき、親としてびっくりしてしまい、何かできることがないかと焦ってしまうことはありますよね。インターネットで検索を始めると、キリがないぐらいさまざまな情報にあふれていて、何がわが子にとって適切な情報なのか取捨選択が難しいこともあります。セミナーなどを受講されるとは、吉田さんはとても勉強熱心ですね。わが子のためにできることは何があるのかという強い思いがあふれています。セミナーや学習会であっても必ずしも適切な内容でないこともあるし、また講師と受講者の相性やタイミングが合わなくて、かえって苦しくなったりつらくなったりすることもあるものです。いろいろな情報を集めよう、学ぼうという姿勢はとても素晴らしいと思いますが、聞いてみてなるほどと思い、元気になれる前向きになれる情報だけを受け取っていきましょう。吉田さんが、「答えは身近にあった」と書いていただいているように、まずは診断や検査結果を一つの観点として、お子さんが何をすると元気になり、笑顔になり、何をすると大変そうにしているかなとよく見ていきながら、お子さんのことを知っている専門家(医師など)に、具体的に相談していくというのも大切にしていくとよいと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年07月10日