洗濯機から「ガタガタ」「キーキー」といった普段と違う音が聞こえてくると、「もしかして故障?」「このまま使い続けても大丈夫なの?」と不安になりますよね。毎日使うものだからこそ、突然のトラブルは困りものです。特に、洗濯の途中で異音に気づくと、どう対処すれば良いのか、修理にはいくらかかるのか、買い替えも検討すべきなのか…次から次へと疑問が湧いてくるかもしれません。
この記事では、そんな「洗濯機から変な音」が聞こえてきたときの悩みを解決するために、異音の原因の見分け方から、ご自身でできる簡単な対処法、そして専門業者に修理を依頼する場合や買い替えを検討する際の判断基準まで、わかりやすく解説します。この記事を読めば、異音に対する不安を軽減し、適切な次の行動を見つけることができるはずです。洗濯機のSOSサインを見逃さず、早めに対処することで、大きな故障を防ぎ、快適な洗濯ライフを取り戻しましょう。
それでも異音が直らない場合(専門的な故障と対応)
簡単チェックで直らない…考えられる本格的な故障と部品の寿命

上記のような自分でできるチェックや応急処置を試しても、洗濯機の「変な音」が改善しない場合は、洗濯機内部の部品が故障していたり、寿命を迎えていたりする可能性が考えられます。
ご自身での対処が難しい、代表的な故障箇所とその症状には以下のようなものがあります。
- モーターの故障・寿命:
- 洗濯槽の回転やパルセーターの駆動を担う心臓部です。経年劣化や過負荷により故障すると、「ウィーン」「ガリガリ」といった異音や、回転が弱くなったり、全く動かなくなったりします。
- 駆動ベルトの摩耗・断裂:
- モーターの力を洗濯槽やパルセーターに伝えるゴム製のベルトです。これが伸びたり、ひび割れたり、切れたりすると、「キーキー」「キュルキュル」という甲高い音や、洗濯槽が回転しなくなるなどの症状が出ます。「キーキー」音の原因としてよく挙げられます。
- 排水ポンプ・給水弁の故障:
- 排水ポンプが故障すると、排水時に「ブーン」といううなり音がしたり、排水がうまくできなくなったりします。給水弁が故障すると、給水時に異音がしたり、給水されなくなったりします。
- サスペンション(吊り棒)の劣化・破損(特に縦型):
- 洗濯槽を支え、振動を吸収する部品です。これが劣化・破損すると、脱水時に洗濯槽が大きく揺れて本体にぶつかり、「ガタガタ」「ゴトゴト」という激しい音が出ます。
- クラッチ機構の不具合(主に縦型):
- 洗濯と脱水の切り替えを行う部品です。ここに不具合が生じると、切り替えがうまくいかず、「ガチッ」「ギー」といった異音が出ることがあります。
- ベアリングの摩耗・破損(特にドラム式):
- 洗濯槽(ドラム)の回転軸を支える重要な部品です。これが摩耗・破損すると、回転時に「ゴーゴー」「ゴロゴロ」といった重く低い連続音が発生し、次第に音が大きくなっていきます。放置するとドラムが回らなくなることもあります。ドラム式洗濯機では修理費用が高額になる傾向があります。
これらの部品は、洗濯機の使用頻度や年数、使い方によって寿命が異なりますが、一般的に7~10年程度で何らかの不具合が出やすくなると言われています。
DIY修理は危険?部品交換の難易度と知っておくべきリスク

インターネットで検索すると、洗濯機の部品交換を自分で行う方法を紹介する情報も見つかります。しかし、これらの修理は専門的な知識や技術、専用の工具が必要となる場合がほとんどです。
- 難易度とリスク:
- 感電のリスク: 電源プラグを抜いていても、内部のコンデンサなどに電気が残っている場合があります。また、配線を誤るとショートや感電の危険性があります。
- 水漏れのリスク: 給排水系の部品交換では、接続が不完全だと水漏れを引き起こし、床や家財を傷める可能性があります。
- さらなる故障の誘発: 不適切な分解や部品の取り付けは、他の部品を破損させたり、症状を悪化させたりする可能性があります。
- メーカー保証の対象外: ご自身で分解・修理を行うと、メーカー保証や販売店の延長保証が受けられなくなるのが一般的です。
簡単なフィルターの清掃や交換程度であればご自身で行えることもありますが、モーターやベルト、ポンプ、ベアリングといった内部部品の交換は、非常にリスクが高い行為です。安全のためにも、無理な分解や修理は絶対に試みず、必ず専門の修理業者やメーカーのサポートに相談しましょう。
実践のためのヒントとコツ
洗濯機の異音に直面したとき、修理するか、それとも新しいものに買い替えるか、悩ましい判断を迫られることもあります。また、できれば異音トラブルは未然に防ぎたいものです。ここでは、賢い判断をするためのポイントと、洗濯機を長持ちさせるためのメンテナンス術、そして困ったときの相談先について解説します。
洗濯機の異音、修理?買い替え?賢い判断をするための3つのポイント
異音がして、自分で対処できない故障が疑われる場合、修理するか買い替えるかの判断は重要です。以下の3つのポイントを総合的に考慮しましょう。
ポイント1:洗濯機の「寿命」と「使用年数」を比較する

- 何を比較する: 一般的な洗濯機の平均寿命と、現在お使いの洗濯機の使用年数。
- なぜ: 洗濯機の平均寿命は、一般的に7年~10年と言われています(メーカーや機種、使用状況により異なります)。お使いの洗濯機がこの寿命に近づいている、あるいは超えている場合、一つの部品を修理しても、近いうちに別の部品が故障する可能性が高まります。
- どう判断する:
- 使用年数が浅い(例:5年以内)場合: 修理して使い続ける方が経済的な場合が多いです。
- 寿命に近い、または超えている場合: 修理費用と新品購入費用を比較し、買い替えも有力な選択肢として検討しましょう。
ポイント2:修理費用と新品購入価格、どちらがお得?

- 何を比較する: 修理にかかる見積もり費用と、同等機能を持つ新品洗濯機の購入価格。
- なぜ: 修理費用が高額になる場合、新品を購入した方が結果的に安く済んだり、最新機能の恩恵を受けられたりすることがあります。
- どう判断する:
- まずはメーカーや修理業者に見積もりを依頼しましょう。出張費・点検費・部品代・技術料などがかかります。
- 修理費用の相場は、故障箇所によって大きく異なり、数千円(簡単な部品交換)~数万円(モーターや基板、ドラム式洗濯機のベアリング交換など)と幅広いです。
- 見積もり額が、新品の同等クラスの洗濯機購入価格の半分を超えるような場合は、買い替えを検討する価値があります。
ポイント3:【意外な視点】最新機種の機能と電気代もチェック!

- 何をチェックする: 最新の洗濯機に搭載されている機能、省エネ性能、そしてそれに伴う長期的な電気代・水道代。
- なぜ: これは多くの方が見落としがちなポイントですが、古い洗濯機を修理して使い続けるよりも、最新の省エネ性能が高い洗濯機に買い替えた方が、毎月の電気代や水道代を節約でき、結果的に数年単位で見るとお得になることがあります。
- どう判断する:
- 最新機種は、節水・節電性能が大幅に向上しているものが多くあります。
- また、AIによる最適な洗濯モードの自動選択、洗剤自動投入機能、スマートフォン連携、静音設計など、便利な機能が搭載されていることも。
- 修理か買い替えかで迷ったら、単に目先の費用だけでなく、長期的なランニングコストや利便性の向上も考慮に入れてみましょう。特に毎日使う家電だからこそ、快適性の向上は大きなメリットです。
異音トラブルを未然に防ぐ!洗濯機を長持ちさせる日常メンテナンス術

日頃から少し気をつけてメンテナンスを行うことで、異音の発生リスクを減らし、洗濯機をより長く快適に使うことができます。
- **定期的な洗濯槽クリーニングでカビや汚れを撃退**
- **なぜ:** 洗濯槽の裏側には、洗剤カスや水垢、カビなどが付着しやすく、これらが異臭や衣類の汚れ移り、場合によっては部品の劣化を早める原因にもなります。
- **どうやって:** 月に1回程度を目安に、市販の洗濯槽クリーナー(酸素系または塩素系)を使用して洗濯槽を洗浄しましょう。取扱説明書に従い、「槽洗浄コース」などを利用してください。
- **糸くず・乾燥フィルターはこまめにお手入れ**
- **なぜ:** 糸くずフィルターや乾燥機能付き洗濯機の乾燥フィルターにゴミが溜まると、洗濯効率が落ちるだけでなく、排水不良や乾燥時間の長期化、さらには異音や故障の原因になることがあります。
- **どうやって:** 糸くずフィルターは洗濯の都度、または2~3回に一度、乾燥フィルターは乾燥機能を使用する都度、溜まったホコリや糸くずを取り除きましょう。
- **洗濯物は正しく!異物混入防止と適量投入を習慣に**
- **なぜ:** 衣類のポケットに入った硬貨や鍵などが洗濯槽内で暴れて異音を出したり、部品を傷つけたりすることは非常に多いトラブルです。また、洗濯物の詰め込みすぎはモーターやベルトに過度な負荷をかけ、寿命を縮める原因になります。
- **どうやって:**
- 洗濯前に必ず衣類のポケットの中身を確認する。
- 小さなもの(靴下、ハンカチなど)やデリケートな衣類は洗濯ネットに入れる。
- 洗濯物は詰め込みすぎず、洗濯槽の7~8割程度の量を守る。
困ったときはどこに相談?専門業者への依頼の流れと選び方

自分で対処できない異音や故障が発生した場合、専門の業者に相談・依頼することになります。
- 相談先:
- メーカーのサポートセンター: お使いの洗濯機のメーカーに直接問い合わせます。保証期間内であれば無償修理の対象になることも。
- 購入した家電量販店: 大手家電量販店などでは、独自の修理サービスや延長保証を提供している場合があります。まずは購入店に相談してみましょう。
- 地域の修理専門業者: インターネットなどで検索すると、地域密着型の家電修理専門業者が見つかります。
- 依頼の流れ(一般的な例):
- 電話やウェブサイトから問い合わせ、症状を伝える。
- 訪問日時を調整し、技術者が訪問して診断。
- 修理内容と見積もり金額が提示される。
- 内容に同意すれば修理開始。
- 修理完了後、動作確認して支払い。
- 選び方のポイント:
- 見積もりを必ず取る: 修理を依頼する前に、必ず詳細な見積もり(出張費、技術料、部品代など)をもらいましょう。
- 複数の業者から見積もりを取り比較検討する: 可能であれば、複数の業者に見積もりを依頼し、料金やサービス内容を比較検討することをおすすめします。
- 保証期間やアフターサービスを確認する: 修理後の保証が付いているか、どのようなアフターサービスがあるかを確認しましょう。
- 口コミや評判を参考にする: インターネット上の口コミや知人からの評判も参考に、信頼できる業者を選びましょう。
洗濯機の異音トラブルQ&A!よくある疑問をスッキリ解消
Q1. 洗濯開始時や脱水時だけ音がするけど、大丈夫?

A1. 洗濯開始時や脱水開始時に一時的に「カチッ」「ガッ」といった音がするのは、多くの場合、動作切り替えのための正常な音や、洗濯物が動き始める音、あるいは脱水のために洗濯槽のバランスを取ろうとしている音である可能性があります。毎回同じようなタイミングで短時間だけ発生し、その後は問題なく運転するようであれば、心配ないケースが多いです。
ただし、脱水時に毎回「ガタガタ」「ゴトゴト」と大きな音がして洗濯機が激しく揺れる場合は、洗濯物の偏りや設置不良、サスペンションの劣化などが考えられます。また、特定の動作の時だけ「キーキー」「ギュー」といった明らかに普段と違う異常な音が続く場合は、部品の不具合のサインかもしれません。音が徐々に大きくなったり、頻度が増したりするようであれば、一度点検を検討しましょう。
Q2. 異音がしても、とりあえず洗濯は続けられる?

A2. 異音の種類や大きさによりますが、基本的には異音がしている状態で洗濯を続けるのはおすすめできません。
- 「カラカラ」といった軽い異物音の場合、異物が部品の隙間に入り込んでさらなる故障を引き起こす可能性があります。
- 「キーキー」「ゴーゴー」といった機械的な異音の場合、部品の摩耗や破損が進行しているサインであり、そのまま使い続けると症状が悪化し、修理費用が高額になったり、突然動かなくなったりするリスクがあります。
- 特に、焦げ臭い匂いが伴う異音や、火花が見えるような場合、または洗濯機が異常に熱くなっている場合は、直ちに使用を中止し、電源プラグを抜いてください。 火災や重大な事故につながる危険性があります。
小さな音でも、「いつもと違うな」と感じたら、一度洗濯を止めて原因を確認するか、早めに専門業者に相談することが大切です。放置するリスクとしては、軽微な修理で済んだはずのものが、重度の故障につながり高額な修理費が必要になる、あるいは修理不能で買い替えなければならなくなる、といったことが挙げられます。
Q3. 修理を頼んだら、どれくらいの期間使えなくなるの?部品はすぐ手に入る?

A3. 修理にかかる期間は、故障の状況や修理業者の混み具合、必要な部品の在庫状況によって異なります。
- 出張修理で部品在庫がある場合: 技術者が訪問し、その場で修理が完了すれば、数時間~半日程度で再び使えるようになることが多いです。
- 部品の取り寄せが必要な場合: 部品が手元に届くまで数日~1週間程度かかることがあります。この期間は洗濯機が使えません。
- 預かり修理の場合: 工場や修理センターで修理を行う必要がある場合は、1週間~2週間以上かかることもあります。
- 古い機種の場合: 製造終了から長期間経過している機種(一般的に部品保有期間は製造打ち切り後6~8年程度)は、交換部品の在庫がなく、修理自体が不可能な場合もあります。
修理を依頼する際に、おおよその修理期間や部品の入手見込みについて確認しておくとよいでしょう。その間、コインランドリーを利用するなどの対策が必要になるかもしれません。
Q4. 自分で原因が特定できないし、修理も難しそう…まず何から始めればいい?

A4. 洗濯機の異音の原因が自分で特定できず、対処も難しいと感じる場合は、無理に自分で何とかしようとせず、以下のステップで進めるのが安全かつ確実です。
- **洗濯機の取扱説明書を確認する:** まずは、お使いの洗濯機の取扱説明書の「故障かな?と思ったら」や「トラブルシューティング」のページを確認しましょう。異音の種類ごとに対処法が記載されている場合があります。
- **メーカーのカスタマーサポートに電話で相談する:** 取扱説明書を見ても解決しない場合は、洗濯機のメーカーのカスタマーサポートに電話で相談してみましょう。その際、スムーズに情報を伝えるために、事前に以下の情報を準備しておくと良いでしょう。
- **洗濯機の型番:** 本体に貼られているシールなどで確認できます。
- **購入時期:** おおよそで構いません。
- **異音の詳細:**
- いつから音がするようになったか?
- どんな音がするのか?(例:ガタガタ、キーキー、カラカラなど具体的に)
- どのタイミングで音がするのか?(例:洗濯開始時、すすぎ時、脱水時など)
- 音の大きさや頻度はどうか?
- 他に気になる症状はあるか?(例:エラー表示、焦げ臭い匂いなど)
- **試してみた対処法:** もし何か試したことがあれば、それも伝えましょう。
電話で状況を詳しく伝えることで、専門のオペレーターから適切なアドバイスがもらえたり、修理が必要な場合はその手配を進めてくれたりします。まずは気軽に相談してみるのが第一歩です。
まとめ:洗濯機の「変な音」は故障のサインかも?早めの対処で快適な洗濯ライフを
今回は、「洗濯機から変な音」が聞こえてきたときの原因の見分け方から、ご自身でできる対処法、修理か買い替えかの判断ポイント、そして日頃のメンテナンス術まで幅広く解説しました。
- 異音の種類と主な原因: 「ガタガタ(偏り、設置不良)」「キーキー(モーター、ベルト)」「カラカラ(異物)」「ブーン(電気系統)」など、音の種類からある程度の原因を推測できます。
- 自分でできるチェックと応急処置: 安全を確保した上で、異物確認、水平設置、洗濯物量の調整、給排水ホースの確認などを試してみましょう。
- 修理か買い替えかの判断: 洗濯機の寿命と使用年数、修理費用と新品購入価格、そして最新機種の省エネ性能や機能性を総合的に比較検討することが大切です。
- 予防のためのメンテナンス: 定期的な洗濯槽クリーニング、フィルター清掃、正しい洗濯物の入れ方を心がけることで、異音トラブルのリスクを減らせます。
洗濯機からの異音は、私たちに何かを伝えようとしているSOSサインかもしれません。小さな音だからと放置せず、早めに対処することが、結果的に修理費用を抑えたり、洗濯機を長持ちさせたりすることにつながります。
ご自身で作業を行う際は、必ず取扱説明書をよく読み、安全に十分注意してください。判断に迷う場合や、専門的な知識が必要だと感じた場合は、無理をせず、必ずメーカーのサポートセンターや信頼できる修理専門家にご相談ください。
日頃のちょっとした心がけと、いざという時の適切な対応で、洗濯機のトラブルを乗り越え、毎日の洗濯を快適に行いましょう。
