「伺います」正しい使い方|ビジネス・参りますとの違い・二重敬語も解説

ビジネスシーンにおいて、正しい言葉遣いは相手との良好な関係を築く上で非常に重要です。中でも「伺います」は、目上の人や取引先とのやり取りで頻繁に登場する表現ですが、その使い方に迷う方も多いのではないでしょうか。「行く」「聞く」「訪ねる」など、複数の意味を持つため、状況に応じた適切な使い分けが必要です。

この記事では、「伺います」の正しい使い方について、その意味や「参ります」との違い、具体的なビジネスシーンでの例文、言い換え表現、そして使う上での注意点まで、幅広く解説します。この記事を読めば、「伺います」を自信を持って使いこなし、ビジネスコミュニケーションを円滑に進めることができるようになるでしょう。

「伺います」は、日本の敬語における「謙譲語」の一つです。謙譲語は、自分や自分側の人物の行為・物事をへりくだって表現することで、動作の受け手や話の相手に対する敬意を示す言葉です。

「伺います」が謙譲語として使われる元の言葉は複数あります。主なものとしては、以下の動詞の謙譲語として機能します。

  • 行く
  • 聞く
  • 問う
  • 訪ねる

例えば、「明日、社長室に伺います」という場合、「行く」の謙譲語として「伺います」が使われています。この表現によって、自分(行く側)の行為である「行く」をへりくだらせ、行く相手である「社長」に対する敬意を示しています。

また、「お客様のご意見を伺います」という場合は、「聞く」の謙譲語として使われています。ここでは、自分が「聞く」という行為をへりくだらせることで、話を聞く相手である「お客様」に対する敬意を示しています。

このように、「伺います」は「行く」「聞く」「問う」「訪ねる」といった自分側の行動を控えめに表現し、その行動が向けられる相手(訪問先や話を聞く相手など)に対して敬意を示す際に使用される謙譲語です。

謙譲語は、自分の行為を下げることで相手を立てる敬語です。したがって、「伺います」を使う際は、誰に対して敬意を示したいのか、つまり動作の受け手が誰なのかを意識することが重要です。

目次

「伺います」の正しい使い方【場面別】

「伺います」は主に「訪問」と「質問・意見を伺う」の2つの場面でよく使用されます。それぞれの場面での正しい使い方を見ていきましょう。

訪問する場合の「伺います」

相手の場所へ行く際に、「行く」の謙譲語として「伺います」を使います。主に、目上の人や取引先のオフィスなどを訪問する際に用いられます。

この場合、「伺います」は「訪問します」という意味合いになります。訪問先への敬意を示すために使用します。

【具体的な使用例】

  • アポイントの調整時:
    • 「それでは、明日午後3時に御社に伺います。」(御社への訪問という自分の行動をへりくだり、御社に敬意を示す)
    • 「資料をお持ちして、改めて伺わせていただきます。」(「行く」をへりくだり、訪問によって相手から時間をもらう恩恵を受けるというニュアンスも加える)
  • 訪問の連絡時:
    • 「本日午後、〇〇様にご挨拶に伺います。」
    • 「ただ今、御社へ向かっております。〇時頃に伺えるかと存じます。」(「伺える」は「伺うことができる」の意味。「存じます」は「思います」の謙譲語)
  • 訪問後のお礼:
    • 「本日はお忙しいところ、お時間をいただきありがとうございました。短い時間ではございましたが、大変勉強になりました。また改めて伺わせていただけますでしょうか。」

このように、訪問に関する連絡や調整を行う際に「伺います」は頻繁に登場します。相手の場所へ自分が「行く」という行為に対して使われることを理解しておきましょう。

質問や意見を聞く場合の「伺います」

相手に何かを尋ねる、意見や考えを聞く際に、「聞く」「問う」の謙譲語として「伺います」を使います。主に、目上の人や専門家、お客様などに何か質問したり、意見を求めたりする際に用いられます。

この場合、「伺います」は「お聞きします」「お尋ねします」という意味合いになります。話を聞く相手への敬意を示すために使用します。

【具体的な使用例】

  • 質問をする際:
    • 「恐れ入りますが、いくつか詳細について伺ってもよろしいでしょうか。」(「聞く」をへりくだり、話を聞く相手に敬意を示す。「よろしいでしょうか」は許可を求める丁寧な表現)
    • 「先ほどの会議の内容について、改めて伺いたい点がございます。」
  • 意見や考えを求める際:
    • 「今後のプロジェクトの進め方について、〇〇様のご意見を伺いたく存じます。」(「聞く」をへりくだり、意見を聞く相手に敬意を示す。「存じます」は「思います」の謙譲語で、より丁寧な表現)
    • 「皆さまの率直なご感想を伺えれば幸いです。」(「聞くことができる」をへりくだり、話を聞く相手に敬意を示す。「幸いです」は丁寧な依頼表現)
  • 状況を確認する際:
    • 「現在の進捗状況について、簡単で結構ですので伺わせてください。」(「聞く」をへりくだり、話を聞く相手に敬意を示す。「~させてください」は相手に許しを求めて行う場合の表現)

このように、相手に何かを尋ねたり、考えを聞いたりする場面でも「伺います」は有効な表現です。自分の「聞く」「問う」という行為をへりくだることで、話をする相手に敬意を示すことができます。

これらの場面別の使い方を理解することで、「伺います」をより適切に使い分けることができるようになります。

「伺います」は正しい敬語表現か?二重敬語について

「伺います」は「行く」「聞く」などの謙譲語であり、単体で正しい敬語表現として成立します。しかし、「お伺いします」「お伺いいたします」といった形にすると、二重敬語ではないかという疑問が生じることがあります。

一般的に、一つの単語に同じ種類の敬語を二重に使用することを「二重敬語」と呼び、避けるべきだとされています。例えば、「お読みになられる」は「読む」の尊敬語「お読みになる」と尊敬語「~られる」を重ねた二重敬語です。

「伺わせていただきます」との違い

「伺わせていただきます」は、「伺う」に「~させていただく」を付け加えた形です。この「~させていただく」は、「相手の許可を得て行う」「それによって恩恵を受ける」というニュアンスを含む謙譲表現です。

したがって、「伺わせていただきます」は、単に「伺います」(行きます、聞きます)と言うよりも、相手に許可を得たり、時間を取ってもらったりすることへの感謝や恐縮の気持ちをより強く表したい場合に用いられます。

【使い分けのポイント】

  • 伺います: シンプルに自分の行為(行く、聞く)をへりくだり、相手に敬意を示したい場合。
    • 例: 「明日、10時に御社に伺います。」(訪問する事実を丁寧に伝える)
  • 伺わせていただきます: 相手に許可を得てその行為を行うこと、またはその行為によって相手から恩恵を受けること(時間をもらう、手間をかけさせるなど)に対する感謝や恐縮の気持ちを伝えたい場合。
    • 例: 「来週一度、ご説明に伺わせていただけますでしょうか。」(訪問の許可を丁寧に求める)
    • 例: 「貴重なご経験について、ぜひ詳しく伺わせていただきたいです。」(話を聞く許可を得て、その話から学びを得る恩恵を受ける)

ただし、「~させていただく」は本来の「許可を得て恩恵を受ける」という意味から離れて、単に丁寧さを増すために使われることも増えており、場合によっては「過剰な敬語」と見なされることもあります。そのため、本来の意味を踏まえて、むやみに多用しない方が自然な日本語として好ましいでしょう。

「お伺いいたします」は二重敬語ではない?

「お伺いいたします」は、「お(ご)+動詞の連用形+する・いたす」という謙譲語の形に「伺う」を当てはめたもののように見えます。しかし、「伺う」自体が既に謙譲語であるため、「お(ご)+謙譲語」の形は基本的に二重敬語となります(例:「お拝見する」など)。

一方で、「いたします」は「する」の謙譲語です。したがって、「お伺いいたします」は「お(ご)+伺い+いたします」ではなく、「伺い+いたします」と分解して考える方が適切です。この場合、「伺う」は謙譲語、その後に続く「いたす」(=するの謙譲語)は補助動詞的に使われ、全体の行為(伺うこと)をさらにへりくだるニュアンスを加えていると考えられます。

文化庁の指針などでは、「お(ご)+漢語+する」の形(例:「ご連絡いたします」「お願いする」)は謙譲語として認められています。また、「お(ご)+和語+する」の形でも、「お話しする」「ご説明する」などは一般的に使われています。

「伺う」は和語ですが、「お伺いいたします」は「伺う」という謙譲語に、さらに謙譲の補助動詞である「いたす」を組み合わせた形です。これは厳密には「二重謙譲」とも呼ばれますが、一般的には広く使われており、許容される丁寧な表現とされています。特にビジネスシーンにおいては、「伺います」よりもさらに丁寧な印象を与えたい場合に「お伺いいたします」が用いられることがあります。

したがって、「お伺いいたします」は厳密な文法論から二重敬語と捉える見方もあるものの、慣用的に正しい表現として認識されているケースが多いです。

【「伺う」「伺わせていただく」「お伺いいたします」の比較】

表現 元の言葉の謙譲語 敬意を示す相手 主な意味合い ニュアンス 丁寧さの度合い 用いる場面
伺います 行く、聞くなど 動作の受け手(訪問先等) 訪問する、お聞きする シンプルに自分の行為(行く、聞く)をへりくだり、相手に敬意を示す。 標準的な丁寧さ 日常的なビジネスコミュニケーション(訪問の連絡、簡単な質問など)
伺わせていただきます 行く、聞くなど 動作の受け手(訪問先等) 訪問します、お聞きします(許可を得て) 相手の許可を得て行う、またはその行為によって相手から恩恵を受けることへの感謝・恐縮。 より丁寧 相手に時間や手間を取らせる場合、許可を求める場合。ただし、本来の意味を意識して使用しないと不自然になることがある。
お伺いいたします 行く、聞くなど 動作の受け手(訪問先等) 訪問いたします、お聞きいたします 「伺います」よりもさらに丁寧。慣用的に認められている表現。 最も丁寧 特に重要な顧客や目上の人に対して、最大限の敬意を示したい場合。公式な場面や文書。ただし、過剰な丁寧さに聞こえる場合もある。

このように、それぞれの表現にはニュアンスと丁寧さの度合いに違いがあります。相手や状況、伝えたい気持ちに応じて適切な表現を選ぶことが大切です。

「伺います」と「参ります」の違いと適切な使い分け

「伺います」と「参ります」は、どちらも「行く」「来る」の謙譲語ですが、敬意を示す相手が異なります。この違いを理解することが、適切に使い分ける上で非常に重要です。

「伺います」は訪問先に敬意を示す

「伺います」は、自分の行為である「行く」ことによって、その行為が向けられる相手、つまり訪問先の人や場所に対して敬意を示します。

例:「明日、山田部長のところに伺います。」
この場合、話をしている相手(例えば同僚)に対してではなく、訪問先である「山田部長」に敬意を示しています。

「参ります」は話し相手に敬意を示す

一方、「参ります」は、「行く」「来る」の謙譲語として、話を聞いている相手に対して敬意を示します。

例:「明日、本社に参ります。」(話をしている相手に)
この場合、話を聞いている相手(例えば顧客や上司)に対して、自分が本社に行くという行為をへりくだって伝えています。本社自体に直接的な敬意を示しているわけではありません。

【「伺います」と「参ります」の違いの比較】

表現 元の言葉の謙譲語 敬意を示す相手 主な意味合い 使用例(誰に話しているかによって使い分け)
伺います 行く、聞くなど 動作の受け手(訪問先等) 訪問する、お聞きする (取引先に)「明日御社に伺います。」 (山田部長に)「この件で、山田部長に伺いたいことがあります。」
参ります 行く、来る 話し相手 行きます、来ます (上司に)「明日、本社に参ります。」 (顧客に)「資料を準備して、すぐ参ります。」(電話で)「今から参ります。」

【具体的な使い分けのシチュエーション】

  • 取引先のAさんに電話で、明日御社を訪問することを伝える場合:
    • 「明日、御社に伺います。」(御社=訪問先に敬意を示す)
  • 自社の上司に、明日取引先を訪問することを伝える場合:
    • 「明日、取引先に参ります。」(上司=話し相手に敬意を示す)
    • ※ただし、上司に対してさらに丁寧に伝えたい場合は「明日、取引先に伺います。」と言うこともあります。この場合は、訪問先への敬意を示しつつ、その事実を上司に丁寧に報告しているニュアンスになります。文脈によって使い分けが必要です。
  • 自社の同僚に、会議室に行くことを伝える場合:
    • 「会議室に参ります。」(同僚=話し相手に敬意を示す)
  • お客様に、席まで行くことを伝える場合:
    • 「すぐお席まで伺います。」または「すぐお席まで参ります。」
      • 「伺います」:お客様の席=訪問先への敬意(お客様に敬意)
      • 「参ります」:話しているお客様=話し相手への敬意

      どちらもお客様に敬意を示すことになるため、この場合はどちらを使っても適切です。ただし、「伺います」の方が「お席に赴く」というニュアンスが強く出ます。

このように、「伺います」と「参ります」は、どちらが「へりくだりの対象(敬意の方向)」なのかを意識することで、混乱せずに使い分けることができます。特に社外の人との会話で自社の人間について話す場合は、「部長が明日、御社に参ります。」のように「参ります」を使うのが一般的です。これは、社外の人に対して、身内である自社の人間(部長)をへりくだって表現するためです。

「伺います」の言い換え表現・類語

「伺います」は便利な表現ですが、状況や相手、伝えたいニュアンスに応じて、他の言葉に言い換えることで、より適切で自然なコミュニケーションが可能になります。

より丁寧な「伺います」の言い換え表現

最大限の敬意を示したい場合や、より畏まった表現を使いたい場合に適した言い換えです。

  • お伺いいたします: 「伺います」に比べてより丁寧な表現です。先に解説した通り、慣用的に広く使われています。
    • 例: 「後ほど、〇〇様のお部屋にお伺いいたします。」
  • 拝聴いたします: 「聞く」の謙譲語「拝聴する」に「いたす」を付け加えた形です。相手の話を非常に丁寧に聞く、というニュアンスが強まります。
    • 例: 「貴重なご講演を拝聴いたします。」
  • 頂戴いたします: 「もらう」「食べる」「飲む」「受ける」「聞く」などの謙譲語「頂戴する」に「いたす」を付け加えた形です。「話を頂戴する」で「聞く」の丁寧な言い換えになります。
    • 例: 「皆様からのご意見を頂戴いたします。」
  • お尋ねいたします: 「尋ねる」の謙譲語に「いたす」を付け加えた形です。質問するニュアンスがより明確になります。
    • 例: 「いくつか詳細についてお尋ねいたします。」
  • 参上いたします: 「参上する」は「参る」の謙譲語で、「参ります」よりもさらに改まった表現です。主に目上の人の元へ訪問する際に使われます。
    • 例: 「明日、ご指定の時間に参上いたします。」

これらの表現は、「伺います」が持つ「行く」「聞く」といった複数の意味合いに応じて使い分けることができます。例えば、「聞く」という意味で最も丁寧なのは「拝聴いたします」や「頂戴いたします」などが考えられます。

より平易な表現への言い換え

相手が同僚や親しい関係の上司、または社内でフォーマルすぎない場面など、状況に応じて「伺います」ほどかしこまらない表現を使いたい場合もあります。

  • 行きます: 「行く」の丁寧語です。最も一般的で広い範囲で使えますが、目上の人に対して使うと失礼にあたる場合があります。
    • 例: 「会議室に行きます。」
  • 参ります: 「行く」「来る」の謙譲語ですが、「伺います」ほど訪問先に特化した敬意ではなく、話し相手への敬意を示すため、社内の目上の人に対して使う場合に適しています。
    • 例: (上司に)「明日、本社に参ります。」
  • 聞きます: 「聞く」の丁寧語です。これも目上の人に対して使うには不十分な場合があります。
    • 例: 「後で詳しい内容を聞きます。」
  • 尋ねます: 「尋ねる」の丁寧語です。質問するニュアンスが強まります。
    • 例: 「〇〇さんに尋ねます。」

【言い換え表現のまとめ】

意味合い 標準的な「伺います」 より丁寧な言い換え より平易な言い換え 補足
訪問 伺います お伺いいたします、参上いたします 行きます、参ります 「参ります」は話し相手への敬意。「伺います」は訪問先への敬意。
質問・意見 伺います お伺いいたします、拝聴いたします、頂戴いたします、お尋ねいたします 聞きます、尋ねます 「拝聴」「頂戴」は聞く内容に重みがある場合。「お尋ね」は質問を強調。

これらの言い換え表現を使いこなすことで、より細やかなニュアンスを伝えたり、相手との関係性に応じた適切な丁寧さを表現したりすることが可能になります。

ビジネスメールでの「伺います」例文集

ビジネスシーンでは、メールで「伺います」を使用する機会も多いです。訪問に関する連絡や、質問・確認のお願いなど、具体的な例文を見ていきましょう。

訪問に関するメール例文

件名:【〇〇株式会社】〇〇様との打ち合わせのお願い(自社名 氏名)

〇〇株式会社
〇〇部 〇〇様

いつも大変お世話になっております。
株式会社△△の△△です。

先日は、△△の件につきまして貴重な情報をご提供いただき、誠にありがとうございました。

つきましては、改めて詳細のご説明を伺いたく、一度御社へお伺いさせていただけないでしょうか
ご都合のよろしい日時をいくつかご提示いただけますと幸いです。

お忙しいところ大変恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。


株式会社△△
△△部 △△
電話:XXX-XXXX-XXXX
メール:xxx@example.com


件名:〇月〇日 〇〇に関する打ち合わせのお時間について(自社名 氏名)

〇〇株式会社
〇〇部 〇〇様

いつも大変お世話になっております。
株式会社△△の△△です。

〇月〇日(〇)〇時より、〇〇に関する打ち合わせのお時間をいただき、誠にありがとうございます。
当日、貴社に伺います

開始時間の〇分前には到着するよう手配しておりますが、万一遅れる場合はお電話にてご連絡いたします。

当日は何卒よろしくお願い申し上げます。


株式会社△△
△△部 △△
電話:XXX-XXXX-XXXX
メール:xxx@example.com


質問・確認に関するメール例文

件名:【ご質問】〇〇に関するお問い合わせ(自社名 氏名)

〇〇株式会社
〇〇部 〇〇様

いつも大変お世話になっております。
株式会社△△の△△です。

先日の△△の件につきまして、早速ご対応いただきありがとうございました。

つきましては、一点、ご不明な点がございまして、〇〇について詳細を伺ってもよろしいでしょうか
(具体的な質問内容を記載)

お手数をおかけいたしますが、ご教示いただけますと幸いです。

お忙しいところ恐縮ですが、ご確認いただけますようお願い申し上げます。


株式会社△△
△△部 △△
電話:XXX-XXXX-XXXX
メール:xxx@example.com


件名:〇〇プロジェクトの進捗確認のお願い(自社名 氏名)

〇〇株式会社
〇〇部 〇〇様

いつも大変お世話になっております。
株式会社△△の△△です。

〇〇プロジェクトの進捗状況について、ご連絡させていただきました。

現在の進捗状況を簡単で結構ですので伺えれば幸いです
もしお電話でのご説明が可能でしたら、改めてお時間を頂戴したく存じます

ご確認いただけますようお願い申し上げます。


株式会社△△
△△部 △△
電話:XXX-XXXX-XXXX
メール:xxx@example.com


これらの例文はあくまで一例です。相手との関係性や、メールを送る具体的な状況に合わせて表現を調整してください。特に「お伺いいたします」「伺わせていただきます」「頂戴いたします」などのより丁寧な表現は、重要な取引先や目上の相手に対して使うと、より丁寧な印象を与えることができます。

「伺います」を使用する際の注意点

「伺います」は非常に便利な謙譲語ですが、使い方を間違えると相手に不快感を与えたり、失礼にあたったりする可能性もあります。使用する際に特に注意すべき点を理解しておきましょう。

敬意を示す相手を明確にする

「伺います」は自分側の行為(行く、聞く)をへりくだることで、その行為の受け手(訪問先、話を聞く相手)に対して敬意を示す言葉です。ここが「参ります」との最も大きな違いです。

したがって、「伺います」を使うときは、誰に対して敬意を示したいのかを明確に意識する必要があります。話している相手ではなく、動作の対象となる相手が目上の人であるか、敬意を払うべき相手である場合に適切に使用できます。

例えば、自社の田中部長に「山田部長のところに伺います」と言うのは適切です。これは、話し相手である田中部長に対してではなく、訪問先の山田部長に敬意を示しているからです。しかし、自社の田中部長に「田中部長に伺います」と言うのは不自然です。この場合は、「田中部長にお話を伺ってもよろしいでしょうか」のように、「お(ご)~する」の形で敬意を示すか、「田中部長に(質問を)お聞きしてもよろしいでしょうか」のように別の謙譲語や丁寧語を使う方が自然です。

社内で使う場合の配慮

一般的に、謙譲語は社外の人に対して自社の人間や自社の行動をへりくだって話す際に使われます。これは、社外の人から見れば、自社の人間は「身内」にあたるからです。

そのため、社内の人間同士の会話で「伺います」を使う場合は、少し注意が必要です。

  • 社内の目上の人(上司など)に対して
    • 「行く」の意味で使う場合:基本的には「〇〇部に行って参ります」のように「参ります」を使う方が一般的です。これは、話している上司に対して自分が他の部署に行くことをへりくだって伝えているからです。ただし、「部長室に伺います」のように、目上の人の「部屋」という場所そのものや、その場所にいる人に敬意を示すニュアンスで「伺います」を使うこともあります。
    • 「聞く」の意味で使う場合:「部長に意見を伺いたいです」のように使うのは適切です。これは、意見を聞く相手である部長に敬意を示しているからです。「お(ご)~する」の謙譲語の形(例:「部長にお話をお伺いしてもよろしいでしょうか」)も使えます。
  • 社内の同僚や目下の人に対して
    • 基本的に謙譲語である「伺います」は使いません。「〇〇さん(同僚)に行きます」「〇〇さん(同僚)に聞きます」のように丁寧語を使います。
  • 社外の人に対して自社の人間について話す場合
    • 自社の人間について話す際は、その人間を目下として扱い謙譲語を使います。したがって、「〇〇部長が明日、御社に参ります」のように「参ります」を使います。「伺います」は使いません。これは、話している社外の人に対して、身内である自社の部長の行動をへりくだっているためです。
状況 使うべき表現(例) 理由
社外のAさんに、御社訪問を伝える 明日、御社に伺います 訪問先である御社に敬意を示す。
社内の上司に、取引先訪問を伝える 明日、取引先に参ります 話し相手である上司に敬意を示すため、自分の行動をへりくだる。
社内の上司に、意見を聞く 部長のご意見を伺いたいです。 意見を聞く相手である部長に敬意を示す。
社外のBさんに、自社部長の訪問を伝える 〇〇部長が明日、御社に参ります 話し相手である社外の人に対して、身内(自社部長)をへりくだる。
社内の同僚に、会議室訪問を伝える 会議室に行きます。または参ります 同僚に謙譲語は不要だが、「参ります」は話し相手への丁寧さとして使用可。

このように、誰に話しているか、そして誰の行動について話しているかで使うべき謙譲語が変わります。「伺います」はあくまで「自分が行く/聞く対象」への敬意であることを忘れずに使いましょう。

まとめ:「伺います」の正しい使い方をマスターしよう

「伺います」は「行く」「聞く」「問う」「訪ねる」といった自分側の行為に対する謙譲語であり、その行為の受け手(訪問先や話を聞く相手)に対して敬意を示す際に用いる、ビジネスシーンで非常に重要な言葉です。

この記事で解説したポイントを改めて整理しましょう。

  • 「伺います」は自分側の行為をへりくだる謙譲語。
  • 主に「相手先への訪問」と「相手への質問・意見を伺う」の2つの場面で使われる。
  • 「お伺いいたします」は、「伺います」をさらに丁寧にした慣用的な表現として広く受け入れられている。
  • 「伺わせていただきます」は、相手の許可や恩恵を受けるニュアンスを加えたい場合に用いる。
  • 「伺います」と「参ります」は、どちらも「行く」「来る」の謙譲語だが、敬意を示す相手が異なる。「伺います」は訪問先・聞く相手に、「参ります」は話し相手に敬意を示す。
  • 状況や相手に応じて、「お伺いいたします」「拝聴いたします」「参上いたします」など、より丁寧な言い換えや、「行きます」「聞きます」といったより平易な言い換えも可能。
  • ビジネスメールでも頻繁に使用されるため、例文を参考に適切な表現を習得することが重要。
  • 使う際は、誰に対して敬意を示しているのか(動作の受け手)を意識すること、社内での使用には配慮が必要であることに注意する。

「伺います」の正しい使い方をマスターすることは、相手に失礼なく、スムーズなコミュニケーションを行うための第一歩です。特にビジネスにおいては、適切な敬語を使うことで相手からの信頼を得やすくなります。

最初は使い分けに迷うことがあるかもしれませんが、この記事で解説した「敬意の方向」を意識し、場面や相手との関係性に合わせて練習を重ねることで、自然に使いこなせるようになるでしょう。

今回ご紹介した内容が、「伺います」の使い方への理解を深め、皆様のビジネスコミュニケーションの一助となれば幸いです。

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