36歳で歯列矯正を始めた双子芸人☆まかりな☆のかなさんの歯列矯正をした体験を描いたマンガ。コロナ禍を機に、妹のまりさんと一緒に歯列矯正をしたかなさん。しかし、矯正器具に食べ物が詰まってしまうことがあり、デート中の対策が急務の課題に。手軽に歯のチェックをしたいと考え続け、ある方法を思い付くと早速100均に駆け込み……。求めていた商品を見つけて大興奮!前歯に歯列矯正をしているかなさんは、食べ物が詰まるとすごく目立ってしまいます。手鏡でチェックする方法を考えつきますが、意外と動きが目立つので却下。もっと手軽に歯のチェックができないか考え続けました。そして、携帯に鏡的なものを貼り付けられないかとひらめきます。早速、100均に行くと望み通りの商品に出合いますが……。携帯に鏡的なものを貼り付けられないかと思い付いて、まずは100均で探すことに。すると、見つけました!ダイソーの「シール付きアクリルミラー」を見つけた瞬間、「これだーー!」と大興奮。携帯は出かけるときに必ず持ち歩くので、鏡を忘れた! という失敗もありません。携帯がいい感じに口元を隠してくれるのもグッド。さらにライトも付けるとより鮮明に歯をチェックできるのです!言うことなし! 完璧な方法を見つけたと思っていました。ところが、妹とごはんを食べていたときに悲劇は起こります……。-----------------「手軽に歯をチェックするために携帯に鏡的なものを貼り付けたい」と思ったかなさん。望み通りの商品が100均にあってよかったですね。100均の発想力もスゴいです!※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。著者/☆まかりな☆ かな(37歳)双子で芸人・エッセイギャグ漫画を描いています。40歳になった時に自分へのプレゼントが何かできないかと思い、36歳で思い切って矯正をスタート! あまりの痛さにやるんじゃなかった! と何度も思いましたがやってよかったと思える日まで矯正漫画を描き続けます。
2023年11月28日36歳で歯列矯正を始めた双子芸人☆まかりな☆のかなさんの歯列矯正をした体験を描いたマンガ。長年、自身の歯並びが気になっていたかなさんは、妹のまりさんと一緒に歯列矯正をすることに。しかし、矯正器具に食べ物が詰まってしまうことがあり、デートが台無しに! そこで、食事中に何度もトイレに立ってチェック。しかしそれもまたデートの所作として得策ではなく……。ネットで探そうとしたらひらめいた!歯列矯正中の新たな問題は、デート中の食事。メイクやおしゃれをどんなに頑張っても、前歯に矯正器具を着けているので、食べ物が詰まるとすごく目立つ! その状態で口を開けて笑うと100年の恋も冷めるので、頻繁にトイレに行きチェックすることにしたかなさん。しかし、会話を遮ってまでトイレに立つのもイマイチ。もっと手軽に鏡でチェックできないか考え……。デート中の会話を中断してまでトイレに行くのは得策ではないと気付き、もっと手軽に鏡をチェックできないかと考えました。ひとまず、小さな手鏡をカバンに忍ばせておく方法を思いつきますが、やはり食事中に手鏡を見る動きはちょっと目立つ……。もっともっと、手軽に歯をチェックしたい! いい方法がないかとネットで探そうと思ったそのとき、携帯に鏡的なものを貼り付けられないかとひらめいたんです!そして、まずは100均で探してみることにしました。-----------------歯列矯正中だけでなく、歯に食べ物が詰まることはありますよね。それを人様に見られるのは恥ずかしい……。手軽に歯をチェックできる方法があるなら、ぜひ参考にしたいですね。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。著者/☆まかりな☆ かな(37歳)双子で芸人・エッセイギャグ漫画を描いています。40歳になった時に自分へのプレゼントが何かできないかと思い、36歳で思い切って矯正をスタート! あまりの痛さにやるんじゃなかった! と何度も思いましたがやってよかったと思える日まで矯正漫画を描き続けます。
2023年11月28日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年10月スタートのテレビドラマ『大奥 Season2』(NHK)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。これ以上はないような幸福を経験した後に、それを突然奪われるとしたら、最初から幸福を得ない方がまだましか、あるいは奪われて絶望するとしても、それでも一度は得る方がましか。NHKドラマ10『大奥』の8話を見ながら、そんなことを考えていた。たとえ奪われても幸福を得たことに後悔はないという人は少なからずいるはずだと思う。それでも、幸福を失った理由がわからないままだとしたら。そして、その一因に自身が関わっているかもしれないという疑いが晴れなかったとしたら。それは化膿した傷口のように、長く治りづらい悲しみに違いない。※写真はイメージ男だけがかかる伝染病により、男子の人口が極端に減った架空の江戸時代。労働も政治も女が担っていた。鎖国による奇妙な安定の時代を経て、国力の低下を憂えた八代将軍吉宗(冨永愛)の悲願と世代をまたぐ研究者の苦闘によって伝染病は克服される。人口比は半々に戻り、社会も徐々に男中心になっていく一方で、依然男に交じって家督を継いだり、政治に携わる女達もいた。おりしも時は幕末。過渡期の社会にアメリカの黒船がやってきて開国を迫る。時の将軍は徳川家定(愛希れいか)。女性であり、幕府の体制維持のために薩摩藩から御台所・胤篤(福士蒼汰)を迎えていた。この男女逆転の『大奥』で屈指の愛の場面といえば、一つは序盤、家光と有功が最初に心を通わせて抱擁するシーンだと思う。そして右衛門佐(山本耕史)が綱吉(仲里依紗)に男女のありようを説く場面。さらにもう一つ、今回の家定が胤篤に「そなたが好きなのだ」と涙とともに告白する場面である。※写真はイメージこの原作でも胸迫るシーンに、脚本は「しかし実のところ、私にはしかとわからぬことであったのだ。何をもってこの男を好き嫌いだと人は言うのか」という家定の言葉を付け加えた。自身では愛が何なのかを知らない過酷な人生で、それでも部下や周囲を優しく思いやってきた女の高潔な魂がさらに実感できる一言である。そして愛する家定を突然失った胤篤の悲痛は、ドラマでは映像として見るぶん、一層深く苦しい。描き方も、原作以上にドラマの胤篤は絶望し、泣き、怒っている。その描き方に、福士蒼汰は炎のような熱量をもって応えた。※写真はイメージ薩摩の隠密である中澤(木村了)との火花が散るやりとりも、井伊直弼(津田健次郎)に激しく詰め寄る場面も、福士が発散する荒んだ怒りに圧倒される。そして次の将軍となる家茂(志田彩良)と生前の家定が願った世の中を語るうちに心の鎖が緩み、義父上と呼ばれた瞬間に荒んでいた瞳に灯りがともる様は見応えがあった。同時に、絶望にのたうつ胤篤を静かに見守り、形にならない思いやりで支える瀧山を演じた古川雄大の佇まいも素晴らしく、二人の俳優の動と静が悲しみの場面を一層味わい深いものにしていた。※写真はイメージ愛が通じ合った幸福の後の死別は、五代将軍・綱吉と右衛門佐で、そして父親と娘の関係性は同じく綱吉と桂昌院(竜雷太)、そして家定と家慶(高嶋政伸)で描かれている。だが、作中で時代を変えて繰り返し描かれるそれらは、少しずつ救いと解決が示されながら繰り返される。胤篤は愛する人と突然死別する悲しみに沈みながらも、周囲の支えを得てその遺志を実現するべく立ち上がる。義父と義理の娘である胤篤と家茂は、互いを尊重してよりよい幕府のありようを探ろうとしている。そして、吉宗と久通(貫地谷しほり)、綱吉と柳沢吉保(倉科カナ)、茂姫(蓮佛美沙子)とお志賀(佐津川愛美)といった女二人の固い絆を描いてきた本作に、最後に主従ではない、将軍と御台という形で二人の女が登場する。国の舵取りに希望を抱く家茂と、男と偽って降嫁してきた和宮。※写真はイメージ考え方も育ち方も全く違う二人の女は、どんな物語を見せてくれるだろうか。性愛と血筋、そして統治を描いてきた壮大な物語は、最後の山場を迎える。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2023年11月24日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年10月スタートのテレビドラマ『大奥 Season2』(NHK)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。NHKドラマ10『大奥』は、つくづく『めでたしめでたし』のない物語である。物語としては将軍と配偶者が次々と登場し、婚姻関係を結び、政治を行うものの、誰かの一つの幸福は次の不幸を呼び、しかしその不幸は次の世代の発展に繋がっていく。まさにねじりあう縄のように、悲しみと喜びが不可分に絡み合う。どこまでも単純ではない、視聴者としては一筋縄ではいかないドラマだと思う。男だけがかかる伝染病で、男の人口比が極端に減少した架空の江戸時代。労働の担い手は女性になり、政治の頂点も女将軍だった。大奥に集められるのは数多の美男。社会は鎖国の上で奇妙に安定していたが、八代将軍吉宗(冨永愛)は国力の衰退を憂えて伝染病の撲滅に乗り出す。多くの犠牲と苦難の果てに伝染病は克服され、社会は男中心に戻るが、男女逆転時代の名残もまだ所々に残されていた。黒船来航の混乱の中、女将軍・家定(愛希れいか)と、同じく女性にして老中職の阿部正弘(瀧内公美)は国の舵取りに奔走することになる。※写真はイメージ三代将軍の家光(堀田真由)と十三代将軍の家定。どちらも幼いころに自分の尊厳を傷つけられる過酷な体験をして、絶望とともに生きてきた女である。その二人にそれぞれ寄り添う夫として、福士蒼汰が二役で登場する。前シーズンに登場した有功は僧籍から還俗させられた青年であり、自身の中にも叶わなかった人生の哀しみを秘めながら、思いやり深く家光に寄り添っていた。いわば『慈悲の人』である。そして、今回登場する胤篤(たねあつ)は、未来の天璋院で、薩摩藩から政治工作を含められて大奥にやってきた青年。ドラマにはなかったが、原作では胤篤が女性に優しいために、男尊女卑の激しい薩摩では異端の存在だった過去が描かれている。※写真はイメージ政治工作の密命を帯びながらも、胤篤には悲壮感や下心めいたものは感じられず、その温和さや理知的な会話で傷ついた家定の心を癒やす。現実に即して一つ一つ問題を解決すれば、自ずと万事良い方向に進むと信じている胤篤は『希望の人』である。その二人を声や笑顔、絶妙な立ち居振る舞いで福士蒼汰は演じ分けている。福士蒼汰の魅力の一つに声の良さがあるが、有功では柔らかく潤んでいた声が胤篤の時にはからりとした張りがあり、品の良さは残しつつも来し方の違う二人の青年を表現していた。家定と胤篤が心を通わせる一方で、アメリカとの通商条約を巡って幕政が揺れる最中、家定を支えてきた正弘は不治の病に倒れてしまう。瀧山(古川雄大)が見舞いに持参したカステラを泣き笑いながら押し頂く正弘の姿は、かつての家定との切なく愛おしい日々を大事に抱きしめるようで、ただただ切ない。そして病弱だった家定が胤篤との日々で健康になった姿を見届け、正弘は遺言のように「どうかこれよりは誰よりもお幸せになって下さいませ」と言い残して幕府を去る。それは、実父からの性暴力や毒殺が蔓延する将軍家の有り様に絶望し、自分の幸福を諦めて生きてきた、大切な主君であり愛する友人でもある家定に、諦めないでほしい、掴み取ってほしいと背中を押す言葉だったのだと思う。正弘の言葉を受けとめた家定は、献身よりも生きていてほしかったと怒り嘆きながらも、過去を乗り越えて胤篤との愛に踏み出す。愛おしく大切なものを得るということは、いつか失う恐れと表裏でもある。※写真はイメージそれでも、固く寄り合わされた縄は次の世代に何かを繋ぐだろう。吉宗(冨永愛)が赤面疱瘡の撲滅を願い、その時代には糸口すら得られずとも、田沼意次(松下奈緒)がその遺志を引き継いで、研究の果てに糸口を見つけた。その糸口は一度は切れてしまうが、次の世代で熊痘として蘇り、多くの人々を救った。国としての滅びを回避する道は、まだ途上にあるが、それもまた世代を継いでバトンが渡されていくはずだ。本人にとって「何もなしえぬ人生」と思えたとしても、その情熱や願いは誰かに受け継がれていく。瀧内公美が一気に駆け抜けるように演じた阿部正弘の生き様はそれを見せてくれたと思う。※写真はイメージちなみに7話の後、同じくNHKのドキュメンタリー番組『100カメ』で、今作『大奥』の美術担当の様子が紹介され、衣装や照明・セットの驚くほどの細やかさや高い技術を垣間見ることが出来た。私たちが漠然と「素晴らしいな」「美しいな」と感じるバックボーンに、高度な技術と熱が込められているということに、改めて頭が下がる思いである。物語は終盤にかかっている。この素晴らしいドラマの幕が近いと思うと寂しさは否めないが、疫病禍を経て描かれるこの人間賛歌が、今、私たちに何を残してくれるのか、しっかりと見つめたい。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2023年11月17日死の伝染病を克服し男女の人口比が戻った江戸の町には、多様性がもたらす揺らぎがあった。現代社会にも相通じるその揺らぎの中を、瀧内公美演じる阿部正弘が、笑ったり落ち込んだりしながら駆けていく。その明るい景色は滅びの覚悟に沈んでいた暗い家光の時代とも、滅びの克服を決意した悲壮な吉宗の時代とも違っていて、そこには選択肢があり、だからこその悩みがあった。男子だけが罹る伝染病・赤面疱瘡(あかづらほうそう)により男の数が激減した架空の江戸時代。将軍は女だった。労働も女たちが担った。だが世代を超えた研究者や医師らの苦闘により赤面疱瘡は克服され、再び社会は男性優位に戻ろうとしていた。そんな時代の流れの中、徳川に代々仕えた名門・阿部家では長男が気弱のため隠居を選び、娘が正弘と名乗り家督を継ぐことになる。そして奇しくも同じ頃、将軍として即位したのもまた、女子であった。※写真はイメージ医療編という仄暗い夜明け前のようなエピソードに続き、華やかなフィナーレの幕末編が始まろうとしている。その物語は遊郭、しかも男のみが集められた遊郭から始まる。幕閣として頭角を現しながらも男ばかりの中で何かと気を遣う、しかしかつての女達のようにがむしゃらに仕事するのも少し違う。とかく気持ちがすり減る阿部正弘のため息は、まるで現代に生きる若い女性のようだ。前回のラストに将軍家斉(中村蒼)と交わした「赤面疱瘡の頃には、才能ある男がそれを発揮せずに終わることもあったでしょう」という言葉でも分かる通り、正弘は視野の広い、フェアな考えの人物である。その視野の広さで、ますます気を遣って疲れてしまう。しかし困惑気味の笑顔を貼り付けて、時に思わずため息をついてしまう瀧内公美が演じる阿部正弘は、まるで大切な女友達の一人のようでとてもキュートである。そして、そんな正弘を男がもてなす遊郭に誘うのは遠山金四郎(高島豪志)、つまり『遠山の金さん』である。さしずめ期待の若手社員が生真面目で悩んでいるのを、さばけた上司が新宿二丁目やホストクラブに気晴らしに連れて行くようなものだろうか。そこで正弘が偶然出会う美しく聡明な陰間・瀧山を演じるのは古川雄大。舞台で磨きぬいた美しい所作と、優雅な声で語る廓詞(くるわことば)で私たちを魅了する。瀧山が自身の花魁姿の由来を説明し、正弘が感心するシーンは有能な者が同じく有能な者を鋭い嗅覚で嗅ぎ当てるかのようで見ていてわくわくする。※写真はイメージまた、原作にないドラマオリジナルの場面として、一度は身請けを辞退した瀧山を、正弘が遠山金四郎を連れて再び説得に訪れる場面も胸が躍った。ちなみに原作でも遠山金四郎は登場しているが、瀧山との接点はない。組織には様々な出自・由来の人物が必要だという正弘の説得は、まさに現代にも通じている。今回のドラマ化にあたっては、吉宗(冨永愛)が馬で疾走する場面は『暴れん坊将軍』を、大岡忠相(MEGUMI)の描写が多くなったのは『大岡越前』を、そして今回の『遠山の金さん』と、歴代の名作時代劇へのオマージュがあちこちに見られることも楽しい。同時に、こういった時代劇の面白さを世代で繋いでいくことの必要性にも改めて思いを馳せた。※写真はイメージもう一つ、ドラマ化にあたってのオリジナルの描写は将軍・家定(愛希れいか)の、将軍としての資質である。原作でも家定は聡明な女性として描かれるが、ドラマでは更にそのリーダーとしての資質が強調されて描かれている。※写真はイメージ実父から性加害を受け傷ついた家定を案じ、薩摩からの御台輿入れの申し出を断ろうとする正弘に、家定は薩摩を引き入れれば正弘の政治の役に立つはずと、自身の意志で薩摩の男を伴侶にすると決心する。この一連はドラマのオリジナルだ。「そなたの為に将軍になった。そなたが自在に空を飛ぶためにここに座っておるのだ、私は」仕える身として、これ以上に心を揺さぶる信頼の言葉は無いのではないかと思う。そして親からの理不尽な暴力にも、長く誰も救ってくれなかった孤独にも、損なわれなかった高貴な魂を体現するのに、愛希れいかの真っ直ぐな瞳の輝き以上に相応しいものも無いだろう。そして今回のラストでは胤篤(天璋院)が登場する。シーズン1で家光(堀田真由)の夫・有功を好演した福士蒼汰が、再び「運命の夫」を演じる。大奥の始まりと終焉。その二つを見届ける人物として、福士蒼汰は今回の映像化を象徴する存在になるだろう。シーズン2でも、どんな心震える演技を見せてくれるか、楽しみだ。※写真はイメージSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年10月スタートのテレビドラマ『大奥 Season2』(NHK)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2023年11月10日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年10月スタートのテレビドラマ『大奥 Season2』(NHK)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。吉宗を演じる冨永愛の毅然とした姿は見惚れるほどだった。家光を演じる堀田真由の激流のような情熱には圧倒された。綱吉を演じる仲里依紗が表現する虚ろな哀しみには胸をつかれた。家重を演じる三浦透子に滲む悔しさと諦めは切なかった。田沼意次を演じる松下奈緒の知性と艶やかさ、松平定信を演じる安達祐実の危うい潔癖さ。そして平賀源内を演じる鈴木杏の伸びやかな生命力。このNHKドラマ10『大奥』は、多くの俳優たちの未知の魅力を引き出し、さらなる高みに押し上げてきた。※写真はイメージ原作に淀みなく流れる人間愛と、演出・美術の素晴らしさはもちろんのこと、これには脚本家・森下佳子の絶妙なタクトを抜きに語ることは出来ない。実写化という縛りのもとで描けない部分を用心深く切り落とし、人物像に深みを持たせるためにセリフと説明を加え、演者たちの魅力を際立たせた。NHK連続ドラマ小説『ごちそうさん』(2013年)、NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』(2017年)、『義母と娘のブルース』(TBS系 2018年)といった作品群からもわかるように、森下佳子はカリスマ性を持ったヒロインと、その関わりで変化していく周囲を描くのに長けた作家である。彼女のその筆は、今作で恐ろしく、それと同じくらい魅惑的な悪役を描き出した。ひんやりと甘い声で、息子に毒入りの菓子を勧める一橋治済(仲間由紀恵)の「召し上がりゃ」と囁くセリフは当面忘れられそうにない。男だけが罹る赤面疱瘡という伝染病で、男性の人口が極端に減少した架空の江戸時代。労働や政治の担い手が女性となる中、名君と謳われた八代将軍・吉宗は国の存続の為に赤面疱瘡の克服を決意する。吉宗の遺志を託された田沼意次は大奥に蘭学者を集めて研究を始めるが、その成果は権力を得た一橋治済に握りつぶされてしまう。赤面疱瘡の撲滅という希望が消えた後、幕府では150年ぶりに男子の将軍・家斉(中村蒼)が即位する。そして同じ頃、大奥では幼児の不審死が続いていた。※写真はイメージ医療編、堂々の完結である。権力者の横暴という閉ざされた闇を切り開いたのは、我が子を殺された母親二人の怒りと執念だった。治済を仕留める機会を得るために、狂ったふりをした御台・茂姫、そして治済にすり寄るふりをしたお志賀。それぞれ蓮佛美沙子、佐津川愛美という硬軟自在の演技派二人が、治済役の仲間由紀恵と堂々渡り合った。原作にない、ドラマ化で加えられた部分でとりわけ印象に残ったのは、倒れ苦しむ治済に医師を呼んでほしいと、「たとえ化け物でも母は母」と伏す家斉の懇願と、それに茂姫が痛切な表情で呟いた「あなた様は、そういうお方ですものね」という二つのセリフである。※写真はイメージここに、母親と息子たるものの切ろうとしても切れぬ愛憎と、夫と妻たるものの結んだようで結びあえない縁が交錯している。息子を毒殺で失った茂姫は、妻であり同時に母でもある。その彼女の中に吹き荒れただろう感情の嵐を思うと、言葉にならないものがあった。もう一つ、映像化にあたって付け加えられた印象的な場面は、公儀の施策として熊痘接種所が設けられ、その看板を前に黒木(玉置玲央)、伊兵衛(岡本圭人)らが感無量になるシーンである。看板を見つめながら黒木は今は亡き平賀源内との最後の会話を思い出す。それは、死の淵の源内を悲しませまいと実直な黒木が優しい嘘をつき通した会話だった。奇しくもその嘘は長い悲喜の果てに真実になり、優しく悲しい嘘は竹とんぼが飛ぶ空に昇華する。源内も、青沼(村雨辰剛)も、田沼も、想い出の中にいる死んでいった人たちはみな笑顔である。それは重苦しい展開の続いた医療編の最後におとずれた、抜けるように美しい空だった。※写真はイメージそして美しいモンスター・治済の退場と入れ替わりに、更なる悪辣な権力者が登場する。実の娘への性加害という鬼畜の所業を繰り返す将軍・家慶を演じるのは、今や屈指の怪優・高嶋政伸。見るに堪えないようなおぞましい場面から始まったが、幕末編はこの壮大な人間賛歌の締めくくりに相応しい華やかさと躍動感のあるパートである。脚本・森下佳子のタクトがどんなフィナーレを描き出すのか、楽しみにしている。※写真はイメージドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2023年11月02日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年10月スタートのテレビドラマ『大奥 Season2』(NHK)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。人間の尊厳と業を描くこのNHKドラマ10『大奥』(NHK火曜22時)の中でも、権力と性差をめぐる描写はこの医療編の後半が最も秀逸で、だからこそ恐ろしい。今回の映像化の前から、作品中最大の悪役・一橋治済を誰が演じるかは原作ファンの中でも大きな話題になっていた。ちなみに原作の治済は、凡庸な容姿の女である。その凡庸さゆえに、凶行の数々は衝撃的だった。映像化の治済役が仲間由紀恵だと発表されたとき、これは中途半端はないだろうと背筋がざわついた。その制作の賭けの結果はどう出たか。治済の出番はまだ途中であるけれども、もう答えは出ている。この役は、仲間由紀恵という俳優が持つこれまでの輝かしいキャリアを、更に高みに押し上げる大きなターニングポイントになるに違いない。※写真はイメージ男子のみが罹る伝染病・赤面疱瘡で、男性の人口が著しく減少した架空の江戸時代。主な労働の担い手は女性になり、政治もまた女性を中心に行われていた。人口減少と国防の弱体化を憂う八代将軍・吉宗(冨永愛)は、再び男子の人口を増やすべく赤面疱瘡の克服を腹心の田沼意次(松下奈緒)に託す。大奥に蘭学者を集め、一度は人痘接種という大きな成果を得るも、田沼を後押ししていた将軍・家治(高田夏帆)の死とともに研究は中止となり、研究をしていた面々は死罪や追放といった境遇に追いやられた。だが一度踏みつぶされた伝染病克服の希望の芽は、まだ枯れてはいなかったのである。※写真はイメージ前回、欲が生み出す権力争いが国の未来を左右する発見を平気でもみ消してしまう、その絶望感はすさまじかったが、引き続き4話目も重苦しい。見ていて息苦しさすら感じるのは、罪のない幼児が毒殺されていくという衝撃的な展開に加えて、その悪事が見逃されていく様子が現代にも通じるものだからだ。母・治済の操り人形として将軍になった家斉(中村蒼)は、老中の松平定信(安達祐実)に力なく言う。「母上を怒らせてもよいことは何もない」と。そして治済当人もまた、これほどに異常な人数の人間が死んでも誰も疑いの声をあげないと悪びれることなく呟く。権力者の悪事は、滅多に暴かれない。安全と効率を求めて人は集団を作り、集団を指導する者に権力を預ける。だが権力者がその能力を持たない上に更に悪辣であった時、それを糾弾することが難しいのは、時代も性別も集団の規模も越えて変わらない事実である。そんな現実にも通じるやるせなさを、脚本の森下佳子は巧みに物語の中に仕込んでいく。この医療編の後半、原作に加えて映像化でオリジナルとして加えられたのは、治済の性格についての描写だった。敵対関係でもない孫を殺す動機が理解できないと言う家斉に、定信は「世には人のもだえ苦しむさまを楽しむ趣味の者もいる」と、家斉を哀れむように返す。ここは原作では動機の分からないサイコパスのように描かれていた治済について、更に一歩踏み込んだ表現である。そして「人の苦しみを楽しむ者もいる」というその表現が、治済という人物の輪郭を更に明確にする。※写真はイメージそれは例えばいじめであったり、性加害であったり、顔の見えない誹謗中傷であったり、相手を痛めつけることを目的とした卑劣な行為と根で繋がっている。私たちがどこかで見て思わず目を逸らしてきたそれらの嫌悪感と、仲間由紀恵がどこまでも美しく艶やかに演じきった凶悪が重なって、未知の恐ろしさを創りだしたのである。重苦しい展開の中、黒木(玉置玲央)と伊兵衛(岡本圭人)、そして黒木の妻になったるい(中村映里子)、そして黒木の息子・青史郎(塚尾桜雅)の場面でかろうじて和んだ。ドラマでは息子の出生の場面は描かれなかったが、黒木が息子につけた青史郎という名は、青沼(村雨辰剛)にちなんでいる。家斉が幼い頃に出会った青沼の姿、どこに飛ぶか分からないから不評だと源内が笑った竹とんぼ、そして対価など期待せずに文字の読めない村の女に源内が残した人痘接種の書き付け。※写真はイメージ家斉や黒木、伊兵衛が人痘接種という希望の灯火を再びともそうとする道のりの中で、目印のように出会う、今は亡き人の慈愛と献身の欠片が胸を熱くする。闇のような悪意と閉ざされた権力に、真に抗えるものは何か。その答えが描かれるのは次回である。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2023年10月27日36歳で歯列矯正を始めた双子芸人☆まかりな☆のかなさんによる体験マンガ。長年、自身の歯並びが気になっていたかなさんは、コロナ禍をきっかけに妹のまりさんと一緒に歯列矯正をすることに。矯正器具を装着することで今まで通りに食事をするのが困難に。特に困るのがデートのときだそうで……。笑うと100年の恋も冷める!?歯列矯正中、かみ切れないものがあるのに困っていたかなさん。それを解決してくれたのが100均で買ったコンパクトサイズのはさみ。持ち運びするのにも便利で愛用しています。ただ次に問題になるのが、デート中の食事。好きな人や恋人と食事するときは、いつでもかわいい自分でいたいもの。メイクもおしゃれも頑張って最高の自分を演出してみても、歯列矯正中の場合、口を開けて笑うと100年の恋が冷めそうになり……。私は前歯に矯正器具をつけているので、食べ物が詰まってしまうとすごく目立つんです。だから、食事中、何度もトイレに立って、鏡で歯の詰まりをチェックしています。会話が中断されるので得策ではないんですが、しかたないですよね。サラダや薬味のネギなどの野菜の繊維は必ず詰まるので、デートのときは避けて、仲が良い人以外の前で食べないようにしています。-----------------------デートのときは好きな人にたくさん笑顔を見せたいですよね。でも、口を開けて笑うと、歯に詰まった食べ物が見えてしまいますよね。歯列矯正中のデート中の食事は悩ましいところですね。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。著者/☆まかりな☆ かな(37歳)双子で芸人・エッセイギャグ漫画を描いています。40歳になった時に自分へのプレゼントが何かできないかと思い、36歳で思い切って矯正をスタート! あまりの痛さにやるんじゃなかった! と何度も思いましたがやってよかったと思える日まで矯正漫画を描き続けます。
2023年10月24日36歳で歯列矯正を始めた双子芸人☆まかりな☆のかなさんの体験を描いたマンガを紹介します。長年、自身の歯並びが気になっていたかなさんは、コロナ禍をきっかけに妹のまりさんと一緒に歯列矯正をすることに。矯正器具を装着することで今まで通りに食事をするのが困難に。そんなときに矯正中の食事に役立つアイテムを発見!それは赤ちゃん用フードカッターでした。コンパクトでさりげないのがポイント歯列矯正中の食事の救世主として、離乳食用のフードカッターに注目したかなさんでしたが、意外と大きくて色も目立つので外食時に使うのを躊躇(ちゅうちょ)していました。もっといいものをと探していたときに見つけたのが……。文房具で食べ物を切るのに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、新品を使うので問題なし。ボールペンサイズのコンパクトなボディで色も黒色で目立ちません。小さなバッグにも入れても邪魔にならないのもいい感じ。使い終わったら、使い捨てのおしぼりでさっと汚れを拭いて、帰宅してから水道水で洗う習慣をつければいつでも清潔です。実際に合コンや飲み会ではさみを使って食べ物を切っても引かれたことはありません。悪目立ちせずにさっと切れるのがいいんでしょうね。お店の人にわざわざナイフとフォークを借りて切るより、ずっとスマートに見えるみたいです。-----------------------矯正中じゃなくても居酒屋さんのから揚げが大き過ぎて食べにくいときなど、ありますよね。そんなときにスマートサイズのはさみを持っていると役立ちそうです!※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。著者/☆まかりな☆ かな(37歳)双子で芸人・エッセイギャグ漫画を描いています。40歳になった時に自分へのプレゼントが何かできないかと思い、36歳で思い切って矯正をスタート! あまりの痛さにやるんじゃなかった! と何度も思いましたがやってよかったと思える日まで矯正漫画を描き続けます。
2023年10月23日36歳で歯列矯正を始めた双子芸人☆まかりな☆のかなさんの体験を描いたマンガを紹介します。長年、自身の歯並びが気になっていたかなさんは、コロナ禍をきっかけに妹のまりさんと一緒に歯列矯正をすることに。矯正器具を装着することで今まで通りに食事をするのが困難に。そんなときに矯正中の食事に役立つアイテムを発見!それは意外なものでした。矯正中の食事の救世主、現る!歯列矯正中は歯に矯正器具を装着するため食事がしにくくなります。硬いものはかみ切れないし、繊維のあるものや粘着力のあるものは矯正器具にくっつくし……。口の中は矯正器具が当たって傷ついているので、熱い物や冷たいものは染みるし、刺激物なんてのももってのほか。いろいろ苦労したそうで……。矯正器具に慣れてくると、器具を装着している前歯を使わないようにすれば食べられるものが増えてきます。洋食の場合はナイフ・フォークで切れば、大抵のものは食べられます。和食の献立は箸で切れるくらいのやわらかいものが多いのですが、意外な盲点はきのこ類や漬物など。何か役立つアイテムはないかと探していたところ、いいものがありました! ママが赤ちゃんに離乳食を食べさせてあげるときに使うフードカッターです。思いついた途端に赤ちゃんグッズ専門店に走り、フードカッターをゲット!でも、いざ使ってみると、大きくて色も派手で目立つんですよね。赤ちゃんのためのものだから、安全上、大きく作っていて、色も赤ちゃんが好む派手なカラーリングがされているんです。外出時に使うには、ちょっと目立ち過ぎるんですよね。-----------------------赤ちゃん用フードカッターを外出時に使うと、たしかによく目立ちそうですね。大人が使う場合は、できるだけさりげなく使えるもののほうがいいですよね。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。著者/☆まかりな☆ かな(37歳)双子で芸人・エッセイギャグ漫画を描いています。40歳になった時に自分へのプレゼントが何かできないかと思い、36歳で思い切って矯正をスタート! あまりの痛さにやるんじゃなかった! と何度も思いましたがやってよかったと思える日まで矯正漫画を描き続けます。
2023年10月22日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年10月スタートのテレビドラマ『大奥 Season2』(NHK)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。『大奥』と銘打たれた作品を徳川幕府の将軍とそのパートナーたちの物語だと括ったら、この医療編は特殊な位置づけにあることになる。ここで謎の業病を克服しようと研究を重ねる人々は早逝する御台の五十宮(趙珉和)以外、将軍のパートナーではなく、医療編を通して性愛の描写はほとんどない。一つの成果を追い求める青年たちの日々と、その終焉が中心だ。だが、結末も哀しく読者に苦い読後感を残すこのパートに格別の愛着を持つ原作のファンは多い。そしてこの医療編があって、原作著者・よしながふみが描く男女逆転の大奥という先鋭的な設定の物語は、無二の人間賛歌として輝くのである。※写真はイメージ男子のみが罹る謎の伝染病、赤面疱瘡によって男子の人口が激減した架空の江戸時代。労働力の担い手は女性となり将軍もまた女となった世界、跡取りの確保のために江戸城・大奥に集められたのは男だった。男子の人口減という国難を憂い、八代将軍・吉宗(冨永愛)は腹心の部下である田沼意次(松下奈緒)に赤面疱瘡の撲滅を託し、田沼は平賀源内(鈴木杏)の紹介で長崎から混血の蘭学者・青沼(村雨辰剛)を呼び寄せ、密かに大奥で研究を開始する。病を治療するよりも病に罹らないようにすればより効果的なのではないかと、青沼や源内が気づき始めたその時、田沼と彼らには大奥の権力争いの影が忍び寄っていた。※写真はイメージ原作そしてこのNHKドラマ10『大奥』というドラマを見て、最初は男女逆転の世界観が新鮮で、性別が逆転するだけで様々なことが不条理に感じられるのかと感心する。しかしこの世界に没頭するにつれ、もし自分が社会的に強者の立場になったなら、あるいは逆に弱者として死と隣り合わせに生まれついたなら、どんな生き方をするだろうかと考え込んでしまう。果たして自分は強者であったとき、弱者に対する想像力を持って生きられるだろうか。あるいは「今が良ければそれでいい」「多少の不都合には目を瞑ればいいと」と事なかれ主義に陥らずに生きる責任を果たせるだろうか。この医療編で描かれる人々は、人間としての気高さも、死に向き合う恐怖や迷いも、事なかれの卑劣さも、権力を求める強欲さも、その生き様には男女の違いも身分差もない。権力の周辺で生きる人々の醜さや悲しさがしっかり描かれるからこそ、敬愛する人や仲間からの感謝の言葉だけで、自らの死を受け入れることが出来る青沼の高潔さが私たちの胸に深く響く。金も名誉も求めなかった男がただ一つ、崇拝する女に請うた「いま一度」の言葉。感謝だけあれば命と引き換えに十分だと逆説的に伝わってくる。胸ふるえる名場面だった。※写真はイメージ映像化にあたり、脚本では分かりやすくするために細心の解釈で所々に変更があるが、今回のラスト、土砂降りの中で叫ぶ黒木(玉置玲央)のシーンは、ほぼ原作そのままだった。圧巻の再現度に息をのんだ原作ファンも多いと思う。原作から10年の時を超え、名バイプレーヤー・玉置玲央が全力で演じたこの場面は、強者つまり失わない人々が、失い続ける弱者の人生への想像力を忘れ、その痛みを見て見ぬふりすることへの絶望と怒りに満ちている。その怒りを、黒木は神仏ではなく生身の人間である江戸城の権力者達にぶつける。そしてフィクションを越え、時代を超え、その言葉は現代に生きる私たちの心に深く突き刺さるのである。※写真はイメージ原作通りといえば、平賀源内が命を落とす原因となった梅毒への感染もまた、原作に沿った。奇しくもここ数年、感染症としての梅毒は増加傾向だという(原作が描かれた2013年より、2022年の梅毒の報告数は9倍近くになっている)。ドラマの中で描かれる梅毒としては、今作の脚本・森下佳子が手がけた、同じくコミックから映像化された『JINー仁』(2009年・TBS系)を記憶している方も多いかと思う。その縁のごとく、青沼が田沼に対して自らの生き方を『仁の道』と表現した言葉には胸が熱くなった。気がふれてしまっては自分ではないと泣いて訴えた源内が、黒木の見舞いに最後まで饒舌に希望を語り、更に盲目ゆえに黒木の優しい嘘を見抜けなかったのは、ささやかな、この悲しいエピソードの中で本当にささやかな救いだと思う。そして物語の救いのなさと対照的に、江戸城に巣食う権力者・一橋治済(仲間由紀恵)は、震えるほどに美しい。優雅な所作、無垢を装った怪訝そうな表情、そして「将軍になるのは私ではないのよ」と甘い声で微笑む姿は、吉宗を演じた冨永愛と同じく、この役が彼女のキャリアを更に高みに押し上げるだろうと確信に足るものだ。一度は花が咲きかけた、赤面疱瘡撲滅の希望はついえてしまった。しかしタンポポの種のように、知識と経験は小さな希望となって大奥の外に飛び立った。これから何処にそれはたどり着き、どんなふうに芽吹くだろうか。※写真はイメージドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2023年10月20日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年10月スタートのテレビドラマ『大奥 Season2』(NHK)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。伝説のようにカリスマを持ち合わせた人物も、30年程度の経過でその実像がぶれてくる。ましてや100年近く経てば体制が作られた当時の社会情勢や、その時の切迫感も否応なく失われていく。それでも生身の人の喜怒哀楽は、螺旋のように似たものを繰り返していく。※写真はイメージ名将軍・吉宗を慕う孫の代は、既に名君の本質を捉えていない。そして将軍の夫として京から来た皇族の青年は、妻との間に子を得られない寂しさを学問や仲間たちとの友情で癒やす。同じように、かつて京から来て僧から還俗(げんぞく)し、将軍の夫として生きた哀しい青年のように。絶妙な配役、映像化にあたって編集しながらも原作の本質をとらえた脚本、NHKならではの豪華な美術といった魅力でSeason1から大好評のNHKドラマ10『大奥 Season2』(火曜22時)。男子ばかりが罹患する架空の伝染病・赤面疱瘡で、男女の人口比が崩れた江戸時代。労働を担うのは女性となり、一国の主の将軍もまた女が務め、世継ぎを作るために大奥に集められるのは男子であった。名君と謳われた八代将軍吉宗(冨永愛)は、赤面疱瘡の撲滅を願い、蘭学の研究を始めるよう側用人の田沼意次(松下奈緒)に命ずる。田沼がその為に呼び寄せたのは、旧知の本草学者・平賀源内(鈴木杏)と、長崎で蘭学を学んだ混血の青年・青沼(村雨辰剛)だった。※写真はイメージ赤面疱瘡の研究が更に深まる2話は、学問への真剣さが生み出す楽園のような展開だった。将軍家治(高田夏帆)と御台所・五十宮(趙珉和)からの支援を受け、当初閑古鳥だった青沼の蘭学教室は軌道に乗る。生真面目な御右筆助の黒木(玉置玲央)、やんちゃで陽気な伊兵衛(岡本圭人)、お人好しで優しい僖助(新名基浩)といった面々に、源内そして五十宮を加えた教室は身分も才能の有無も、分け隔てのない空間だ。そこに飛び交う言葉は青沼の長崎弁であり、源内の江戸言葉であり、そして五十宮の京ことばであり、真にボーダーレスな集団であることをよく表している。原作の紙面でぼんやりと受け取っていたことを音で改めて実感できるのは、映像化ならではだと思う。だが続くかにみえたその楽園は、五十宮の病死という悲しみを経ることになる。蘭学の教室を守るために病気を隠し続けた五十宮は、将軍の夫として抱え続けた寂しさを学問と仲間たちが埋めてくれたと青沼に礼を述べる。※写真はイメージその姿は、万里小路有功(福士蒼汰)が家光(堀田真由)との愛に苦しみ抜きながらも、総取締として大奥への献身や、春日局(斉藤由貴)の看病で自らの存在意義を見いだしていった姿と重なる。そして自らは子をなせなかったと語る五十宮は、その寂しさゆえに先々まで―いずれ赤面疱瘡を防ぐ人痘接種が完成するまで、間接的に蘭学研究を守り、後の世に大きな財産を残すのである。そして2話では、名君・吉宗の流れを受け継ぐ三人の女が揃う。一人は生前の吉宗の姿を心に刻み、その政治の志を継ぐ田沼意次。鷹揚だが闘争心の薄い女を松下奈緒が上品に演じている。一人は孫として吉宗の正義感や清冽さに憧れる松平定信(安達祐実)。潔癖な優等生を安達祐実が張りつめた糸のような緊張感で演じる。そしてもう一人、同じく吉宗の孫であり、人心を操るモンスター、一橋治済(仲間由紀恵)。優しく語り口も穏やかだが、のっぺりとして見ている者をどこか不安にさせる美しい女を、仲間由紀恵が緻密に演じる。※写真はイメージ根回しに長け政策の実行能力も高い田沼だが、その理性と高い能力ゆえに、理由のない悪意を見抜くことが出来ない。正義感も理想も高い松平定信は、その高さに反比例して視野が狭く、清濁あわせもった判断が出来ない。そして人の悪意や弱みを増幅して味方に引き込む一橋治済の恐ろしい能力、理想も信念もなく、ただ自分の権力を増大させることを目的にした策略が、二人に忍び寄ろうとしている。この三人のもつれ合う運命を、いずれも主演級かつ実力派の女優達が華やかな火花とともに演じる場面はさすがの見応えであり、まさに眼福だった。よしながふみの『大奥』という大作を通して見ても、平賀源内というキャラクターの魅力は際立っているし、その源内に降りかかる運命もまた作中屈指の過酷さである。※写真はイメージその残酷さゆえにドラマは原作通りに描けるだろうかと、ある意味マイルドになっていたらそれはそれでいいのかもしれないと思っていたが、2話のラストを見るかぎり原作通りのようだ。作り手の覚悟に大きな拍手を送りたい。そしてその覚悟に応えるべく、私たちもこのドラマの行方をしっかり目に焼き付けようと思う。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2023年10月12日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年10月スタートのテレビドラマ『大奥 Season2』(NHK)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。NHKドラマ10『大奥』の原作、よしながふみのコミックにおいて医療編が始まる単行本(八巻)が刊行されたのは2012年。その年、日本では東日本大震災の傷跡がまだ生々しく、一方ロンドンでオリンピックが開催されて開会式では女王がスパイとともに空を飛ぶ映像が流れ、年末には第二次安倍内閣が成立している。深い傷跡と未来からぼんやりと差し込む光。それらの境界線にあったようなその年、世界を覆いつくす疫病の影はまだどこにもなかった。どこまでも架空の出来事として、自分含め読者は原作に出てくる業病『赤面疱瘡』のことを捉えていた。それから十年も待たず、私たちは優れた作家の筆がまるで予言のように薬のない疫病と人々の混乱を正確に描き出していたと知ることになる。※写真はイメージ江戸時代、三代将軍家光の時代。男子のみが罹患する伝染病により、男子の人口が女子の四分の一にまで減ったこの国で労働と政治の担い手は女性となった。将軍もまた女性が務める中で、女将軍が跡継ぎを生むための大奥は男ばかりが集められるようになるが、男女が逆転したとしても、いや逆転しているからこそ、そこには悲哀が満ちているのだった。シーズン1で、原作のエッセンスを余すことなく表現した緻密な脚本と、圧倒的な映像美、俳優陣の熱演で好評を博したNHKドラマ10『大奥』。シーズン2は八代将軍吉宗(冨永愛)の死からおよそ20年、いわゆる田沼時代と呼ばれる時代から始まる。吉宗から赤面疱瘡の撲滅を託された将軍の側用人・田沼意次(松下奈緒)は、大奥での医学研究のために平賀源内(鈴木杏)に命じて長崎・出島で蘭学者を探させる。源内がこれと見込んで連れてきたのは、長崎で外国人と遊女の間に生まれた金髪碧眼の吾作(村雨辰剛)という名の青年だった。その容姿で差別を受け続け、苦難の多い半生にもかかわらず、吾作は「人の役に立ちたい」と大奥に入り、新たに『青沼』という名で蘭学の講義を始める。※写真はイメージ医療編と呼ばれるこのパートは、男女逆転の大奥の物語の中でもやや異質な光を放っている。ここで描き出されるのは、男女の役割が逆転した世界ではなく、男女の役割の境界線そのものがない世界である。いや、武家の身分を捨てた平賀源内が連れてきた金髪碧眼の青沼の講義に、御半下から将軍、御台所まで集う。性別だけではなく人種・身分の境界線も越えようとする、それは小さなユートピアである。医療編の要ともいうべき、女でありながら男装し、せわしくなく喋り、美女に目がない陽気な平賀源内を鈴木杏が演じる。源内はよしながふみ作品の魅力を凝縮したような、原作でも屈指の人気キャラである。果たして誰が演じられるのか、演じるとしたら男女どちらになるのかとファンの気をもませた妖精のような人物を、鈴木杏は見事に体現した。会話に常に被せ気味の早口と、好奇心溢れる身振りがたまらなくチャーミングだ。そして、鈴木杏が同じくNHKドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』(2021年)で演じた研究者・木嶋みのりと同じように、その目の奥には揺るがぬ知性と反骨が息づいている。源内に連れられて大奥に参じる蘭学者を演じるのは、2021年度放送のNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』で進駐軍の将校を好演した村雨辰剛。2022年放送のNHKドラマ『わげもん ~長崎通訳異聞~』にも出演し、今やNHK作品の外国人役として地歩を固めつつある村雨だが、やはり純粋で透明感のある青年を演じると一際輝く。二人を軸に、松下奈緒、玉置玲央、趙珉和といった実力派が脇を固める。※写真はイメージさらに原作でもファンを震撼させた一橋治済を演じる仲間由紀恵の存在感は、初回はわずかな出演ながら格別のものがあった。ドラマで、原作にない部分で一つ印象に残った部分がある。それは、源内と青沼がそれぞれ共鳴しあう「他者にありがとうと言われたくて生きている」という二人の動機である。このくだりは原作ではずっと後に源内の言葉として出てくるが、ドラマでは医療編の冒頭で二人の願いとして語られる。さらに御半下の風熱(インフルエンザ)を看護する黒木と青沼との会話でも、他人に感謝されたいという願いは浅ましいのかという問いかけが描かれる。シーズン1で繰り返し描かれたのは、尊厳を剥ぎ取られるような境遇にありながらも、人が懸命に生きる姿の崇高さだった。シーズン2の医療編では、人を獣ではなく人たらしめるもの、人間の利他や博愛について、更にクローズアップして描かれるのだろう。再び観る者の心を揺さぶる二ヶ月あまりが始まる。じっくりと腰を据えて向き合いたい。SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年10月スタートのテレビドラマ『大奥 Season2』(NHK)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
2023年10月06日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年7月スタートのテレビドラマ『VIVANT』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。別班の乃木憂助(堺雅人)と公安の野崎守(阿部寛)が所属する組織を超えて力を合わせたように、組織という境界線は超えられる。そして乃木と黒須駿(松坂桃李)の別班の二人と、テントの面々がフローライトの採掘権を得るために力を合わせたように、イデオロギーという境界線も超えられる。野崎とドラム(富栄ドラム)の二人が、国を超えて深い信頼で結ばれているように、もちろん人種や国も超えられる。人が最も超えられないものは、克服しがたいものは何か。愛する人を理不尽に奪われた憎悪の火だけは、長い時間が過ぎても、あるいは他の幸せをもってしても、消しさることが出来ないのかもしれない。この名作ドラマの最終回に、そんなことを考えていた。壮大なロケ映像、豪華な配役、そして毎回ジェットコースターのような先の読めないストーリーで、視聴者の熱い考察を社会現象にまで押し上げた『VIVANT』(TBS系日曜21時)。17日の最終話で、激動の物語はテロ組織テントの解体と父子の別離という結末に着地した。最終回まで俯瞰しても、物語の大半で誰が味方で誰が敵か分からない、登場人物それぞれがどんな信念で行動しているのか分からない、独特の混沌とした物語だったが、それがこのドラマの良さそのものだったように思う。内通者は容赦なく処刑するダーティな部分を持つ主人公、無差別に人を殺傷するテロリストでありながら多くの戦災孤児を養ってきた主人公の父。偶然知りあった男が法の支配を無視した危険な存在だと知りながらも魅せられて追う公安の刑事、汚職や賄賂の横行するバルカで清濁を併せ持ちながら警察官として生き抜く男。いわば完全に白い善もなければ、完全に黒い悪もまた存在しないという物語だった。誰かの悪が誰かの善になり、その逆もあるという世界だからこそ、それならばせめて己の信念を貫け、ブレるな、一度信じたものを裏切るなというメッセージがより鮮やかに、随所に発信されていた。今作は、公安・別班といった組織を舞台にスパイアクションを基調にしながらも、同時に経済ドラマとしての側面も色濃く持っている。最終話もテントとバルカ政府のフローライトの採掘権を巡る契約の攻防戦がじっくりと描かれ、それがテロ組織解体への道筋となった。単純なアクションドラマに収まらないそのテイストは、テレビドラマ『半沢直樹』(2013年・2020年)、『下町ロケット』(2015年・2018年)、『ノーサイド・ゲーム』(2019年)といった、日曜劇場で数多の大勝負と金勘定を描いてきた福澤克雄作品らしいダイナミックな味わいだった。最終話でとりわけ記憶に残るシーンがある。日本に移送された後ノゴーン・ベキ(役所広司)が脱走し、動揺して問い詰める乃木にノコル(二宮和也)が呟くように言った言葉である。「憎しみは喜びで消えるほど簡単なことではなかった」と、愛する父が抱えたままの憎悪をノコルは「寂しいことだよ」と評して言う。彼にとって、それは悲しいことではなくて寂しいことなのである。失った本当の家族の写真を横目に、自分が義父の憎しみを消せるだけの喜びになりたいと願い続け、それが最後まで叶わなかった青年の孤独な長い年月が透けてみえる言葉である。血の繋がった実の息子は父の愛を確かめたのち、再びその存在すら認められない闇の組織で生きる道に戻っていく。日焼けすらかなわぬほどに大切に育てられたもう一人の息子は父と別れ、国を背負う大企業のトップとして陽のあたる道で生きていく。その鮮やかな交錯は、柔和な笑顔の奥に毅然とした覚悟を秘めた堺雅人と、頑なな孤独の中に繊細な愛情を秘めた二宮和也、二人の緻密な演技があってこそ描きだせたものだと思う。今作では、親しみの持てる容姿や表情が可愛らしくも頼りがいのある相棒・ドラムを演じた富栄ドラムや、登場時は憎々しい敵でありながら、次第にそのコワモテぶりが素敵に見えてくる警察官チンギスを演じたバルサラハガバ・バトボルドといった新しい魅力的な俳優を見られたことも大きな楽しみの一つになった。とりわけチンギスは、少年漫画の熱血ライバルのように、その兄貴然とした魅力に筆者も含め多くの視聴者が魅了された。まだまだ世界には、沢山の『格好いい』があるのだと思うと、それだけでも楽しい。物語は、乃木がノゴーン・ベキと彼に付き従うバトラカ(林泰文)、ピヨ(吉原光夫)の三人を銃で撃ち、ベキの死を弟のノコルに報告し、そして乃木が薫(二階堂ふみ)とジャミーン(ナンディン・エルデネ・ホンゴルズラ)の元に帰ってくるところで終わる。ただし、乃木からノコルに伝えられた、「徳のある人物は報いられる」という意味深な書経の一節、そして「花を手向けるのはもう少し先」という乃木の不自然な言葉、更には火事で確かめられない遺体。これらはどうやら一つの仮定を指していると思うが、今それを確かめるすべはない。ぜひ今後その真意を知ることのできる機会があることを願う。幸い製作サイドから続編への前向きな言葉が出ているが、決め手は視聴者からの要望次第とのこと。改めて、「超希望!超希望!」という続編への熱烈なエールで締めたいと思う。再び視聴者が、乃木憂助とF、野崎、薫、ジャミーン、ドラム、ノコル、そして偉大なるベキに会える日が来ますように。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2023年09月20日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年7月スタートのテレビドラマ『VIVANT』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。その『もう一人の彼』は、孤独な幼児が社会や人々の仕打ちに絶望して、「もう消えてしまいたい」と願った瞬間に現れた。そして死の危機にある砂漠、片思いの女性とうまく話せない病院の待合室、テロリストの父を殺すという運命に悩むホテルの一室、それぞれで現れて彼を強く励ました。いつも口調は荒っぽいが、乃木憂助(堺雅人)の心にあるもう一人の人格Fは、無意識の生への執念そのものなのかもしれない。乃木はFに手を焼きながら、最後にはFの言いたいことを言わせ、あるいは二人で対話してきた。その乃木が最後までFを抑え込んで同意しなかったのは、父に自分の嘘を告白した瞬間だった。思えばFは「消えたい」と願った幼い乃木に、「もっと強くなろう、強くなりたいならミリタリースクールに行くんだ」と言った。幼い二人の間で強くなるということが、強靱な体を持つこと、銃や武器を使い他者の暴力を凌駕する力を得ることだとしたら、それは幼心に残る残酷な経験がそう発想させたのだろうか。それを思うと切なくなる。もうこれは社会現象と言ってもいいだろう。日曜の放送直後から一週間、途切れることなく考察がSNSを賑わせ、次回が待ち遠しいと多くの人が日曜を待ち望む『VIVANT』(TBS系日曜21時)。最終回を一週間後に控え、9話では乃木憂助の父にしてテロリストの指導者、ノゴーン・ベキ(役所広司・回想シーンは林遣都)の過去とテロ組織テントの最終的な目的が明らかになる。父の晩餐に訪れた憂助に語られたのは、祖国に捨てられ、大切な息子を奪われ、愛する妻を拷問の果てに死なせた男の、絶望という言葉でも表せない凄惨な日々だった。だが、全て失い一度は魂が死んだ男は、一人の赤子との出会いで生きる理由を得る。自分を救ってくれた仲間と、託された赤子、つまりノコル(二宮和也)のために、ノゴーン・ベキはテロ集団テントの指導者として武装と暴力の世界に身を投じたのだった。若き日のノゴーン・ベキ、乃木卓を演じるのは林遣都。妻の乃木明美は高梨臨が演じ、祖国から遠く離れた地で国に見捨てられた若い夫婦の悲しい運命を描きだす。とりわけ、殺さねば殺されるだけなのだと強盗団相手に迷いなく銃を撃ち続ける林遣都の、覚悟の表情は鳥肌がたつほどに美しかった。それにしても、なぜノゴーン・ベキは乃木の重さを正確に当てる能力を知ったその時に、黒須の殺害未遂時の銃弾の残数で、別班としての任務を放棄していない息子の真意に気づきながら乃木を息子として組織に迎え入れたのか。そして乃木自身も、父に勘付かれていると察しつつ、なぜテントのために巨額の資金調達を申し出たのか。あくまで推測ではあるけれども、ベキは愛する息子に祖国への恨みも水に流し、子供達に飢えのない安全な居場所を作ろうとしている父としての一時がほしかったのかもしれない。そして乃木もまた、ただ立派な父を慕い、父のためにその優れた能力を発揮する孝行息子として生きる一時が欲しかったのかもしれない。息子が別班、つまり敵としてここに来たと気づき、息子は父に気づかれたことを気づき、タイムリミットは遠くないと察した二人が、それぞれに「そうありたかった人生」を演じたのではないかと思うのだ。父が失った息子を想い、全ての子が脅かされずに生きられる楽園を作ろうと決めたとき、その失われた息子は、力と武器がなければこの世界を生き抜けないと決意していた。なんと皮肉なことかと思う。乃木が「美しき我が国」と呼ぶ日本を、ノゴーン・ベキは「私の知る日本は、友人隣人を大切にし、助け合いのこころを持つ慈しみ深い国だった」と語る。その過去形の言葉の影に、「もはや私の知らない日本」を感じ取るのは、うがち過ぎた見方だろうか。そして今はその名を捨てた乃木卓という男は、はたして苦悶と共に死んだ妻の最期の一息となった「復讐して」という言葉をなかったことにできる男だろうか。全ての謎と人々の運命を巻き込み、まるで滝に落ちる直前の川のように物語は激流となる。希代の名作テレビドラマは、次週ついに決着する。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2023年09月13日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年7月スタートのテレビドラマ『VIVANT』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。主人公・乃木憂助(堺雅人)が言う『美しき我が国』が内包する、非合法で暴力的組織の別班と、憂助の父・ノゴーン・ベキ(役所広司)率いるテロの請負組織テントが作り上げる子供たちのための清らかな楽園。かたや美しいものを守るために自らは汚れ、かたや汚れた社会から吸い上げた富で楽園を生む。互いの清濁が照らしあうそのさまは対称的だ。後半に入っても中だるみなどどこふく風で、話題性も視聴者の考察も熱を増す一方の『VIVANT』(TBS系日曜21時)。8話、ついに乃木は生き別れの父が率いる謎のテロ組織テントの本拠地にたどり着く。しかし、そこにたどり着くために彼が差し出したものはあまりにも大きかった。別班の同僚たちを裏切り、祖国を捨ててたどり着いた父のもとで虜囚として扱われる乃木だが、工作員として鍛え上げた能力が父との対話の道を開く。そこで乃木が見たのは、無差別にテロや暗殺を繰り返すテントという組織の、驚くべき実態と目的だった。ここまでに恐るべきは、そもそも主人公・乃木憂助の行動原理が分からない。その上多くの主要人物の正体もよく分からない。いまだ幾つかの伏線も回収されていない、これだけないない尽くしでありながら、圧倒的にこのドラマは分かりやすいのである。考察をしないでストーリーの流れに沿って楽しみたい視聴者も、繰り返し見て考察を楽しみたい視聴者も、それぞれのアプローチで十分に楽しめる作りになっている。8話もテントというテロ組織の暴力性と奇妙な潔癖さ、その二面性を描き出すのに、損益計算書や施設の経費といった数字と、工作員である乃木の突出した分析力を組み合わせて分かりやすく見せていた。米を横領する養護施設長に、『TEAM NACS』の音尾琢真を配するという、つくづく豪華な布陣だ。これぞ伝統のTBS日曜劇場が積み上げてきたノウハウといった趣きである。今回、指導者ノゴーン・ベキの右腕として寄り添う息子のノコル(二宮和也)が、本格的に登場して乃木と相対する。血の繋がらない息子と、突如現れた死んだはずの実の息子。二宮和也と堺雅人という、まさに今が円熟の俳優二人が、その複雑な距離感を隅々まで神経の行き届いた演技で表現している。DNA鑑定の結果を知り、鉄格子を挟んで向かい合い絶句する父と息子、それを心許なげな表情で凝視するノコルの場面は、冷たい水が溢れるような哀しい情感に満ちていた。主人公が追う敵の幹部が親であるというストーリー自体は定石とも言えるが、今作は、その父親であるノゴーン・ベキの複雑な潔癖さが印象に残る。オマージュとして共通項が指摘されている『スター・ウォーズトリロジー』はその最たる作品である。どんなに組織に役立つ人物でも、横領をはたらき私腹を肥やす者には非情な処分を下す。一方で情報漏洩という重大な裏切りを犯した者でも、そこに至るまでに組織への誠意が感じられるなら許す。乃木に対しても、同僚を裏切ってでも息子が会いに来た喜びよりも、息子が自分を用心深く欺きながらも根底では信念を貫いていることを評価しているかのようだ。遠い過去に母国から捨てられ、妻子を失った男は何を恨み、何を理想としているのか。それは残り少ない物語の中で、きっと明らかになるのだろう。常に不安定で見通しのきかないストーリーの中で、一つだけ、これは確かだと感じることがある。それは、乃木がジャミーン(ナンディン-エルデネ・ホンゴルズラ)と柚木薫(二階堂ふみ)に向ける温かな愛情だ。その愛情の帰結として、もう会わない覚悟とともに乃木が薫に自宅を託したのなら、それは大切な人たちが暮らすその場所を、自分が守るという強い願いではないかと思うのだ。乃木は、きっとぎりぎりの境界線の上でたった一人で戦っている、そう思いたい。次回は特番含めて怒濤の4時間弱の放送が決定している。滅多に見られない、エンターテイメントが生み出す祭りの熱狂を最後まで存分に楽しみ尽くしたいと思う。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2023年09月06日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年7月スタートのテレビドラマ『VIVANT』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。またしてもやられた。呆然と天を仰ぐ、そんなラストの10分だった。この作品の主人公・乃木憂助(堺雅人)が自分の出自をめぐり揺らいでいる人物だということは分かっていたし、テロ組織の指導者である父親を敵視する一方で、子供のように会いたがっているということも分かっていた。それでも、まさかここまで残酷な方法で同僚を裏切るとは予想できなかった。何となく『そう』だとわかっていたけれども、手段が想定外に過激だったというのは、山本(迫田孝也)を処刑した衝撃と同じものだった。そんな、一つ飛び越えた安堵の直後に深い穴に視聴者を落とすような、このドラマの巧みさには本当にうなるばかりである。ドラマ後半に入り、話題性もドラマ放送後の考察も熱く盛り上がっている『VIVANT』(TBS系日曜21時)。7話、ついに乃木憂助と別班の面々は、バルカで謎のテロ組織・テントに接触する。別班としての命がけの作戦を前に、乃木は手術後のジャミーン(ナンディン-エルデネ・ホンゴルズラ)を見舞い、愛する柚木薫(二階堂ふみ)と一時の逢瀬を果たす。それは切なくも微笑ましいシーンなのだが、どこかしら不可解さも見え隠れする。大切な恋人の姿を手元に残したい気持ちは理解出来る一方で、なぜ唐突に目玉焼きを焼いている横顔を撮るのか引っかかりが残る。さらに穿った目で見れば、「抱きしめてもいいですか」と尋ね、乃木が薫を抱きしめた時も、キスの後に初めてなんですとしみじみ呟いた時も、それは初めての恋に感極まった男の表情といえばそうなのだが、微妙な間はまるで何かに気づいてしまった表情にも見える。それでもジャミーンと薫は、国家が家族だと思いながら任務を遂行してきた乃木にとって、初めて具体的に守りたいと願った対象であり、帰る場所でもある。見え隠れしている薫に関する疑念が、どうかミスリードで杞憂であってほしいと願う。そして今回、これまでは名前も明かされず、登場場面も少なかったノゴーン・ベキの息子、ノコル(二宮和也)が本格的に登場する。取引に出発する前、「何があってもノコルに犯罪歴をつけさせるな」というテント幹部の言葉が印象に残った。その一言で、彼が組織にとって大切な御曹司なのだとわかる。まだセリフは少ないノコルだが、眉間にシワを寄せた表情や神経質な振る舞いから、どこか満たされていない、憂いをまとった青年を二宮和也がその演技力で繊細に表現している。血縁の有無はまだ分からないが、ベキが家族の写真を見る横顔を黙って見つめている表情からも、そして乃木が「自分はベキの息子だ」と叫んだ瞬間に咄嗟に銃を弾いた判断からも、ノコルがベキの『本当の息子』に複雑で少なくない感情を抱いているのは間違いない。遙か過去に生き別れた本当の息子と組織を継ぐべく運命づけられたもう一人の息子。その対峙がどんなものになるか、そこにあるのは協力関係か敵対か、それは来週明らかになるだろう。今回のラスト、乃木は別班の同僚四人を射殺し、黒須(松坂桃李)には重傷を負わせ、テント側に寝返る。乃木の最終的な目的は何なのか、どこまでの覚悟で国を裏切っているのか、それともその裏切り自体が別班としてフェイクなのか、憎らしいほどに先は読めない。しかし、相手の言動を互いに信じられないと熟知した上で、乃木は公安の野崎(阿部寛)に何かを託し、野崎は乃木の人生の幸福を守ろうとしている。信じられない立場の相手でも自らの信念に従い、託し守ろうとする互いの思いと、乃木が機内で野崎に託した「あなたは鶏群の一鶴、眼光紙背に徹す」という熱い言葉が、暗転した物語を照らす微かな灯火である。何もかもが怪しく、登場人物の誰も信用できないという、とてつもないドラマではあるけれども、確実に信じていいことが少なくとも一つはある。このドラマに賭ける私たちの期待はきっと裏切られない。物語はクライマックスに駆け上がっていく。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2023年08月30日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年7月スタートのテレビドラマ『VIVANT』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。「そんな人でも僕の父親だ」「息子だとわかれば愛してくれるかもしれない」と乃木憂助(堺雅人)が叫んだ表情は、出世に縁のない冴えない男とも、別班としての冷徹な顔とも違って、傷ついた少年のようだった。その叫びに対するもう一人の乃木、Fもまたいつも以上に感情的だった。工作員として他人の心理を操るスキルとはまた別に、乃木の中にある情動は、Fという分身を生み出した孤独な少年の頃のまま止まっているのかもしれないと思った。ドラマ全体の折り返しを回って、更に視聴率を上げ、ネットでの考察も熱を増している『VIVANT』(TBS系日曜21時)。6話ではテントと名乗る謎のテロ組織の内部と、厳密に隠されているテントの本拠地を突き止めようと奔走する別班の乃木と黒須(松坂桃李)、それを監視し情報を得ようとする野崎(阿部寛)ら公安の三つ巴の様子が描かれた。先週から徐々に、テントと呼ばれるテロ組織の内情が明らかになりつつある。偉大なる父と構成員に呼ばれ、恐れられている指導者の名はノゴーン・ベキ(役所広司)。組織の資金に大きな貢献をもたらしたとしても、横領していた幹部を容赦なく追い詰め処刑する潔癖さは、バルカという国全体を覆う拝金主義や、賄賂が前提の国家体制とは対照的だ。そして、常にノゴーン・ベキに寄り添い、腹心のような青年を演じる二宮和也の存在感が目をひく。まだ名前も明かされずセリフも殆どないが、何かに倦んだような、感情の読み取れない表情で任務を遂行する。幹部の横領を暴くために部下が拷問をしている横で、それを見もせずに淡々とスマートフォンをいじっている姿は、なまじ拷問や処刑を実行する以上に冷酷に見えた。堺雅人が演じる多くのエキセントリックな役柄が、饒舌や収拾のつかない優しさといった『騒がしさ』の中で過激を表現するのに対し、二宮和也が演じるそれは、諦めであったり、それでも情を捨てられない苛立ちであったり、沈黙や静寂の中に潜む過激さである。偉大なる父ベキを巡って二人の青年、二人の名俳優が相対する展開がこの先待っているのだろうと思うと、今からゾクゾクする。もう一つ、今回の大きな見所はアリ(山中崇)から託された暗号を巡る別班のハッキングの一連である。飯沼愛演じる太田梨歩の、一度は死の危険に晒されて怯えた目の女が、暗号を手にした途端に玩具を貰った子供のように目をぎらつかせて食いつく様は見ごたえがあった。ぎりぎりのハッキングの成功から、乃木と黒須に技量を証明しろと太田が促し、それに応えて二人が鮮やかなナイフ投げを見せる展開は躍動感があった。思いもよらぬキャラクターにときめくことが出来るのは視聴者として嬉しい誤算だと思う。頼りになる上司、本人、その相棒、そして優秀なハッカーと、乃木と野崎をめぐる陣容は互いに合わせ鏡のように整いつつある。一方、野崎自身はハッキングの現場に踏み込むタイミングにしても、直接乃木と出会った時の様子にしても、乃木の正体を追及して突き詰めることをためらっているように見える。乃木の経歴に迫りながらも、事実を突きつけて抜き差しならない敵対関係になってしまうのを避けるのは国益のためか、あるいは乃木という男に対する情なのか。そしてFが乃木相手に揶揄したように、聖母マリアみたいな慈愛の権化のように見える医師の柚木薫(二階堂ふみ)だが、「乃木のことをもっと知りたい」と語る言葉に比して、薫自身の出自の話は語られない。ただ、遠い国からきた身寄りのない少女が生死を賭けて手術に向かうとき、乃木、野崎、薫、ドラム(富栄ドラム)の4人がジャミーンの無事を祈る気持ちは純粋に同じ方向を向いたような熱量のものには違いない。あくまで法にのっとった存在である公安と、法を逸脱した存在の別班。乃木と野崎が再び協力しあう時がくるのか、それともあくまで追い追われる関係なのか。何もかもが疑わしく、目まぐるしい物語だが、その緊張感は心地よい。張りつめた糸のまま、我々視聴者をを引っ張って、ドラマは終盤に向かおうとしている。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2023年08月23日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年7月スタートのテレビドラマ『VIVANT』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。能ある鷹は爪を隠すというけれど、無防備なほどに無能をぎりぎりまで演じきって、数日間生死を共にした相手にも有能さの気配すら感じさせないというのは、相当なことだと思う。その二面性にリアリティを持たせるのは、柔和な物腰と切れ味鋭い知性、その両方を持ち合わせた堺雅人という役者ならではだろう。中だるみなど皆無、回を追うごとに評価も視聴率も上がっていく『VIVANT(ヴィヴァン)』(TBS系日曜21時)。衝撃の誤送金事件の決着後、舞台は再び中央アジア・バルカへ、そして謎のテロ組織テントを追う展開となった。丸菱商事からテロ組織へ誤送金を仕組んだ山本(迫田孝也)の死に不審を感じる野崎(阿部寛)は、これが乃木憂助(堺雅人)の仕業だと直感する一方で、凡人にしか見えない乃木が別班の一員であるとは信じかねていた。一方でいずれ野崎から自分の正体を見抜かれると確信した乃木は、公安より先にテントの幹部・アリ(山中崇)の身柄を押さえるべく相棒の黒須(松坂桃李)とともにバルカへと飛ぶ。乃木の正体を確かめるためにバルカと日本を往復する野崎と、バルカでアリから組織の情報を得ようと暗躍する乃木、二人の追跡劇が交錯する。今回、新たに別班の司令・櫻井としてキムラ緑子が登場する。言葉一つひとつは丁寧だが、やや早口、切り口上で有無を言わせない圧を感じさせるあたり、秘密情報部の幹部として静かな迫力を感じさせる。そして序盤で執念深く手強い敵として視聴者を震え上がらせたバルカ警察のチンギス(バルサラハガバ・バトボルド)が、野崎の要請で公安に助力することになる。最初は厳しい表情を見せながらも、野崎の男気やドラム(富栄ドラム)の愛嬌にほだされて尽力する様子は、強敵が味方についてくれる少年漫画の趣きで、見ていて胸が躍った。このあたりのわくわくする見せ方の匙加減は、やはり日曜劇場の十八番だと思う。あらゆる証拠を自身の目で確かめた上で、野崎は乃木が別班だと確信する。一つひとつ、乃木という男が隠していた高い能力を知る度に、野崎は騙された悔しさよりむしろ楽しげな表情を見せていた。そんな野崎の変わらぬ好漢ぶりが、騙し騙されの緊張の中で一服の清涼剤である。そして乃木はアリの居場所を突き止め、アリの家族を人質にして容赦ない尋問を始める。その苛烈な尋問で聞き出したテントのリーダーの正体は、驚くべきものだった。今回、野崎は乃木の履歴を追って舞鶴、島根と訪ねていく。行く先々の人々はみな穏やかで、垣間見える景色は静謐で美しい。乃木が日々訪れる神社の佇まいも含めて、湿度と鮮やかさを感じさせる景色は、乃木が言う『美しき我が国』そのものなのだろう。今回、乃木憂助の出自とテントのリーダーが憂助の父・乃木卓(回想パートは林遣都、現在パートは役所広司)だという重大な事実が二つ判明してもなお、物語の上で謎はまだいくつか残っている。最たるものの一つは、憂助の父、乃木卓の過去。たたら製鉄で財をなした名家、産業、文化、武器たる『鉄の一族』から警視庁に入り、警察官になった男がなぜ突然農業支援で中央アジアの小国に向かったのか。それは果たして純粋な善意であったのかどうか。そしてバルカに向かった先で何が起き、両親と息子は離散したのか、そして何が乃木卓をテロ組織に向かわせたのか。そしてもう一つは、別班司令の櫻井がジャミーン(ナンディン・エルデネ・ホンゴルズラ)を『奇跡の少女』と称した言葉。ここまでに幾つかの場面でジャミーンの父親・アディエルがテントの関係者だったと示唆されているが、ジャミーン自身にも重病を抱えた孤児という以上の何かがあるのかもしれない。更に今回のラストには初回以来再びテントの指導者ノゴーン・ベキとしての乃木卓と、彼に付き従う青年(二宮和也)が登場する。青年はノゴーン・ベキを「父さん」と呼び、どこかしら淡々とした佇まいである。会議らしきその場面は、意外にも収支報告から始まる。それはテントという組織の堅固さ、規律の厳しさ、規模の大きさを暗喩するものだろう。乃木の正体を知った野崎はこの先どう動くか、乃木と野崎の共闘は再びあるのか、そしてジャミーンと薫(二階堂ふみ)に平穏はあるのか。激しい渦のようなドラマ後半が始まろうとしている。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2023年08月16日36歳で歯列矯正を始めた双子芸人☆まかりな☆のかなさんの体験を描いたマンガを紹介します。長年、自身の歯並びが気になっていたかなさんは、コロナ禍をきっかけに妹のまりさんと一緒に歯列矯正をすることに。矯正器具によってこれまで通り顎を使えなくなっていたかなさんは、頬がこけてしまい友人から心配されることもありました。頬のこけを改善するマッサージをおこない、見た目はマシになったのですが、また新たなトラブルが発生して……。★前の話ビリビリとした激痛が!矯正器具を装着してから1カ月が経過したかなさん。初めのころはワイヤーの端などが口の中に引っかかってしまい、食べることもしゃべることもつらいという状態になってしまっていました。時間とともに口の中の傷も治り、普段通りの食事ができるようになったと思ったのもつかの間。矯正器具に歯が圧迫されることによって、痛みを感じるようになっていたのでした。矯正器具を装着して早1カ月が経過。矯正器具の影響で口内にできていた傷が治り、やっと普段通りに食べたりしゃべったりできるようになっていました。しかし今度は前歯にコップやスプーン、食べ物が触れるだけでビリビリとした痛みが走るようになってしまい……。ちょっとコップの縁が前歯に当たっただけでももん絶してしまうほどでした!私が感じた痛みは、例えるならば爪に爪をグッと強く押し当ててパッと離したときに生じる、電気が走ったような感じ。この痛みを100倍にしたレベルの痛みが出るので、特に前歯には細心の注意を払うようになりました(笑)。矯正器具を装着することで歯が押さえつけられている状態になっているので、常にじんじんとした感覚がありました。前歯に物が当たることでそのじんじんとした感じがビリビリとした刺激に変化してしまい……このころは前歯でかみ切らないと食べられない物はほとんど食べられませんでした。同じく歯列矯正をしていた妹のまりも同じような状況に陥ってしまい、2人で頭を悩ませる日々でした。--------------物が歯に当たるだけで激痛が走るなんて、何をするにも大変そうですね。人間にとって食べることは欠かせないことなので、せっかくの食事を楽しめないことはつらいですよね。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。著者/☆まかりな☆ かな(37歳)双子で芸人・エッセイギャグ漫画を描いています。40歳になった時に自分へのプレゼントが何かできないかと思い、36歳で思い切って矯正をスタート! あまりの痛さにやるんじゃなかった! と何度も思いましたがやってよかったと思える日まで矯正漫画を描き続けます。
2023年08月16日36歳で歯列矯正を始めた双子芸人☆まかりな☆のかなさんの体験を描いたマンガを紹介します。長年、自身の歯並びが気になっていたかなさんは、コロナ禍をきっかけに妹のまりさんと一緒に歯列矯正をすることに。矯正器具を装着したことで口内が傷付いてしまったかなさんは、口を動かすと痛みを感じるので極力顎を使わないように意識していました。すると、顎の筋肉が衰え、顔の形が変化してしまい……。★前の話皮膚がぶかぶかしているように見られて矯正器具を装着してから1カ月が経過したかなさん。初めのころはワイヤーの端などが口の中に引っかかってしまい、食べることもしゃべることもつらいという状態になってしまっていました。痛みを抑えるために顎を使わない生活をしていたかなさんでしたが、そのせいで頬がこけてしまいまるでしゃもじのような顔に……。顔の変化に悩んでいると、とある解決法が目に止まりました。矯正器具を装着し始めてから1カ月間、ワイヤーの端などが口の中に引っかかって傷ができてしまうことに悩まされていました。物をかむことやしゃべることは極力避け、顎を動かさないようにしていたのですが……そのせいで顎が退化して頬がこけてしまいました。しゃもじのような私の顔を見て、友人からは「細くなってうらやましい」と言われたものの、心配されることもありました。妹のまりからは「なんか皮膚がぶかぶかしてきているね!」と言われ、ますます顔が劣化したのではないかと思うようになりました。こけてしまった部分をふっくらさせたかったので、ヒアルロン酸を入れればいいのかな? と思い、いろいろ調べていたところSNSで歯列矯正で頬がこけてしまうという投稿を発見!詳しく見てみると、歯列矯正で顔が痩せてしまうのは、矯正器具によって顔を自由に動かせなくなって筋肉が硬直してしまうせいなのだとか。顔をマッサージすると硬直がほぐれるそう。私が見たのは、頬骨筋を縦に伸ばして頬骨の横側を30秒ほどほぐすことを3セットおこない、唇をとがらせて指を当てて30秒間押すというものでした。そのマッサージを続けてみると、気になっていた頬のこけはかなり解消されました!--------------たった1カ月間顎を使わなかっただけで、友人や妹からも指摘されるほど顔に変化が出てしまっていたかなさん。継続するということはなかなか難しいことですが、マッサージを続けることで頬のこけがマシになるといいですね。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/古川雄亮先生国立大学歯学部卒業後、歯学府博士課程において歯のエナメル質形成に関わる遺伝子研究をおこないつつ、バングラデシュなどのアジア諸国で口腔衛生に関連した国際歯科研究に従事。その他、スウェーデンのイエテボリー大学での研修を修了。大学病院の医員を経験した後、南米のボリビアにおいてボランティア団体の力を借り外来・訪問歯科診療に参加。 2019年にNature系の雑誌に研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」が公開。現在は歯科臨床に従事する傍ら、多くの企業からの依頼で、セミナーや学会取材、医療関連記事の監修・執筆、歯科医師国家試験模擬試験の校閲など、さまざまな分野で活動している。著者/☆まかりな☆ かな(37歳)双子で芸人・エッセイギャグ漫画を描いています。40歳になった時に自分へのプレゼントが何かできないかと思い、36歳で思い切って矯正をスタート! あまりの痛さにやるんじゃなかった! と何度も思いましたがやってよかったと思える日まで矯正漫画を描き続けます。
2023年08月15日36歳で歯列矯正を始めた双子芸人☆まかりな☆のかなさんの体験を描いたマンガを紹介します。長年、自身の歯並びが気になっていたかなさんは、コロナ禍をきっかけに妹のまりさんと一緒に歯列矯正をすることに。矯正器具の影響で一時はしゃべることすらつらいほどに口内が傷付いてしまったかなさん。痛みを軽減する矯正器具のカバーや食事の工夫で、何とか乗り越えたのですが……。★前の話姉の顔、激変!矯正器具のワイヤーやブラケットという留め具を装着したとき、口の中が傷付いてしまい地獄のような日々を送っていたかなさん。矯正器具用の保護ワックスを使用したりして傷が付かないように対策していました。装着から1カ月間程度、食事は硬い物を避けて、柔らかい物ばかりを食べるように。しゃべると口内が痛むので、話すことも諦めてジェスチャーで過ごしていたかなさんの顔に思わぬ変化が訪れたのでした。矯正器具を付けた状態で食べたりしゃべったりすると、ワイヤーの端などが口の中に引っかかって、傷が付いて痛む状態に。そのため、私はできるだけ顎を動かさないようにして過ごしていました。すると、器具装着から1カ月たつころには口の中の傷が癒え、普通に顎を動かしても痛まないようになったのです!「もう大丈夫だ!」と喜んだのもつかの間。その1カ月間で、使う頻度が大幅に減った私の顎は退化してしまったのです。顎を使わないことで筋肉が衰えてしまったのか、顎がこけて細くなり、顔の形がまるでしゃもじみたいに……。たった1カ月という短い期間だったのですが、年齢のせいもあるのか筋肉が衰えるには十分な期間だったようです。元々出っ歯だったのに矯正器具を装着することで口元が膨らんでしまい、まるでゴリラのようになった妹からは事あるごとにしゃもじだといじられてしまいました(笑)。--------------食べたりしゃべったりなど私たちは普段、無意識に顎をたくさん使っていますよね。たった1カ月という期間でも顎の筋肉が衰えて見た目が変化してしまうなんて……驚きですね!※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。著者/☆まかりな☆ かな(37歳)双子で芸人・エッセイギャグ漫画を描いています。40歳になった時に自分へのプレゼントが何かできないかと思い、36歳で思い切って矯正をスタート! あまりの痛さにやるんじゃなかった! と何度も思いましたがやってよかったと思える日まで矯正漫画を描き続けます。
2023年08月14日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年7月スタートのテレビドラマ『VIVANT』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。ラストの10分で自分含めて視聴者が衝撃を受けたのは、乃木憂助(堺雅人)が『別班』だったからではない。それは初回からある程度予想されていたことで、何度もそれらしい目印が描かれていた。だが、私たちが予想している以上に彼が冷酷だったことが、私たちを驚かせたのである。主人公のその冷酷さは、日曜の21時台の民放ドラマで私たちが想定する決着の境界線を越えていた。壮大なロケーション映像、豪華な配役。更にストーリーの厳しさを加え、まさに破格のドラマだと改めて思った。中盤に入って、評価も視聴率も右肩上がりの『VIVANT(ヴィヴァン)』(TBS系日曜21時)。日本の大手商社の片隅で始まった誤送金事件は、中央アジアの小国バルカから砂漠を経て再び日本に戻った。誤送金を仕組んだ犯人は丸菱商事で経理を担当している太田(飯沼愛)だと判明するものの、公安の野崎(阿部寛)は他に太田に指示を出した黒幕がいるはずだと考えていた。野崎と乃木は協力してあぶり出し工作を試みるも、その黒幕は意外なところから判明する。薫(二階堂ふみ)がバルカから呼び寄せた少女・ジャミーンが持ってきた写真に写っていたのは、バルカに行ったことがないはずの乃木の同僚・山本(迫田孝也)だった。3話まで出ていないことで話題をさらっていた松坂桃李が、この回ついに別班の一員・黒須として登場する。NHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』(2012年)『わろてんか』(2017年)、『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系・2016年)と、どちらかというと素直な好青年役の印象が強い松坂桃李だが、過去に『劇場版MOZU』(2015年)で見せた、狂気と暴力を煙のように纏わせた演技も印象深かった。今作では乃木を先輩と呼び、別班の一員として、他人を騙すことも暴力も、殺人までも、まるで遊びの延長のような醒めた目の青年を演じている。おそらく今作の黒須は、三十代半ばの松坂桃李にとって俳優として更なるキャリアを切り開く転機の役になるだろう。黒須と、別人格のFが出現した乃木が山本を尋問し裁くシーンは、山本を演じる迫田孝也の怪演も加わって鳥肌の立つような数分間だった。命乞いをする山本に、言葉では条件次第では助けると応じながらも、あっさりと時間がないと自白剤に切り替える。最初から尋問、自白剤、そして『排除』まで既定路線だったのだと思う。「美しいだろう?この美しき我が国を汚す者は何人たりとも許せない」山本の処刑の前にFが口にしたこの言葉。「迷いのない正義と信念」は、まるで精緻に研ぎすませて、実用するには人を過剰に傷つけてしまう長く鋭い刃物のようだ。それでも辛うじて、公安を入れずに直接連れてきた方がよかったという黒須に、太田の命を優先させたかったからこれでいいと語るFの言葉は、温かみとともにある種の救いのように思えた。乃木の経歴に疑念を持ち続けていた野崎にとって、この誤送金事件の決着は乃木の正体を確信する決め手になるだろう。そして新たに大きな疑問が生じる。山本がテロ組織『テント』の手先であると判明するきっかけのジャミーンの写真。なぜジャミーンの家族がテントの一員を写した写真を持っているのか、ジャミーンの父親であるアディエルはテントと何らかの関係があったのか。その疑念は、父娘と家族のように親しかった薫にも及ぶ。公安である野崎も、別班である乃木も、それを見過ごすことはないだろう。乃木、野崎、薫。三人の信頼と疑念が絡み合う関係がそれぞれどのように変化していくのか、この先も一瞬も見逃せない展開が続く。そして何度も差し挟まれる、両親にまつわる記憶。まだ乃木憂助という人物の全貌は見えてこない。冷酷さを露わにしてなお魅力が増す、その男の行程を最後まで見届けたい。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなTwitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2023年08月09日Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年7月スタートのテレビドラマ『VIVANT』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。騙すつもりはなくても本当のことは言えず、また隠されている側も何か隠されていると知りつつもそれ以上は口にせず、そういう曖昧な親しさというのも人の中には存在するのだろうなと思う。信頼と利害関係の間にある緩衝地帯。過酷な砂漠をゆく4人に、そして都内の片隅でもんじゃ焼きをつつく3人の姿に、そんなことを考えていた。初回から視聴者の度胆を抜く迫力のロケ映像と、主演級がずらりと名前を連ねる豪華な配役、そして何よりも一度見始めたらもう画面の前を動けないスリリングな展開が大好評の『VIVANT(ヴィヴァン)』(TBS系日曜21時)。大手商社丸菱商事勤務の乃木憂助(堺雅人)は、桁ひとつ間違えた100億円以上の誤送金の濡れ衣を着せられ、返金交渉のために中央アジアの某国・バルカ(ドラマ上の架空の国名である)を訪れる。金の行方を追ううちに自爆事件に巻き込まれ、テロリストとして現地の警察に追われることになった乃木は、日本の公安警察・外事第4課の刑事、野崎守(阿部寛)と、バルカで医療活動をしていた医師の柚木薫(二階堂ふみ)の3人で決死の逃避行を試みる。執拗に追いすがるバルカの警察を振り切るため、3人と野崎の仲間のドラム(富栄ドラム)を加えた一行は、生きては戻れないと言われる死の砂漠に足を踏み入れる。今回、3話で一旦バルカでの逃走劇は区切りがついて、舞台は日本へと移るのだが、陽炎が揺らめく砂漠の前半と、サーバールームの点滅の中を駆け抜ける後半それぞれに見所がいくつもあった。まず印象に残ったのは、途中行方不明になった薫を救助に向かった乃木が力尽きたラクダに語りかける場面である。砂漠の真ん中、死の淵、そこにいるのは自分と意識が朦朧としている薫、そして人の言葉を理解しないラクダ。しかもラクダはもう歩く気がないらしい。そんなラクダに、「こんな辛い思いをさせてごめんよ」と、自分の痛みのように話しかける乃木の姿は哀しみとともに心をうった。危機の淵にその人間の地金が見えるというのなら、悪態一つつかずにラクダに詫びる乃木憂助という男は、何かを隠しているとしても心の底から優しいのだろう。そして同様に、「8時間以上は待たない、先に行く」と宣言しながらも、結局2人を救いにやってきて「よく生きてたな」とねぎらう野崎という男も、捨てられない情を抱えて生きているのだろう。そういう男だからこそ、ドラムのような青年が危険を顧みず尽くすのだと思う。ド迫力のモンゴル国境のシーンでは、視聴者としては敵役ではあるけれども、自分の国を守るために心身を捧げているバルカ警察のチンギスと、異国の刑事への友情に生きて母国に居られなくなるドラムのそれぞれに想いを馳せた。砂が舞うバルカ編とは打って変わって、東京では緻密かつスピーディな誤送金問題をめぐる作戦行動が繰り広げられる。興味深いのは、初回から時折挟まれている乃木の二重人格が、はっきりと独立した二つの人格だと示唆するシーンが幾つか見られたことだ。もう一人の自分を、乃木は「エフ」と呼び対話する。口論したり、励ましたりもする。名前があるということは、他者と認識しているということだ。エフと呼ばれる男は、2話目では野崎が乃木に気があるんじゃないかと忠告したり、今は乃木が薫に片思いしていることを頻繁に気にしていて、乃木にちょっかいをかけている。一見切れ者のようだけれども、人の心の機微にはちょっとポンコツ気味のようだ。大人というより、その言動は少年めいている。だがエフの「いつだって俺を呼んでいるのはお前の方じゃないか」という言葉は、人格の分離と同時にエフと乃木の複雑な距離感も示唆していて耳に残る言葉だった。凄腕のハッカーだが何だか適当で飄々とした東条(濱田岳)そして野崎の作戦と、乃木の同期・山本(迫田孝也)の献身的な助力と、乃木の決死の疾走で誤送金を仕組んだ人物は明らかになった。しかし砂漠でエフが乃木に「俺たちにはやることがあるんじゃないのかよ」と叫んだ言葉、神社で意味ありげに一瞬映る祠(ほこら)。乃木は初回、イスラム教にも敬意を表して祈りを捧げようとしていた。信仰やそれに対する敬意は何かの意味を持つのかもしれない。謎はまだまだ尽きない。一方で誤送金問題は次回で一旦決着となるようで、メインだと思っていたごちそうがまだコースの一皿目に過ぎなかったというのは、いかにも日曜劇場らしい豪華さである。まだまだ後半を貪欲に味わえるよう、当方も心して待ちたい。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなTwitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2023年08月02日Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年7月スタートのテレビドラマ『VIVANT』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。「月の砂漠を はるばると旅のらくだが ゆきました」という美しい童謡があるけれども、現実のラクダの旅は、そんなに牧歌的なものではなさそうだ。陽炎が立ち上る灼熱も夜の寒々しさも、ひたすらにラクダの背で揺れる過酷さもリアルで、夕日に映えるラクダの姿は美しさ以上に悲壮感に満ちていた。初回からロケ独特の熱気と、空前絶後の配役の豪華さで注目を集めていた『VIVANT(ヴィヴァン)』(TBS系日曜21時)。2話目も引き続きモンゴルでのロケの迫力ある映像が満載で、嵐のような展開が待っていた。大手商社・丸菱商事に勤める乃木憂助(堺雅人)は、130億円の誤送金をした疑惑をかけられ、金を取り戻すべく中央アジアのバルカ(ドラマ上の架空の国名)へと向かう。金の行方を追う先で乃木は自爆事件に巻き込まれ、居合わせた公安部・外事第4課の刑事・野崎守(阿部寛)と、彼らの怪我を手当てした医師の柚木薫(二階堂ふみ)の三人でテロリストとしてバルカ警察に追われることになってしまう。何とか日本大使館に駆け込んだものの、安心したのも束の間、バルカ警察に包囲された大使館を抜け出して日本へ戻るための苦闘が始まる。やはり今回の白眉は、タイトルの『VIVANT』の意味が一つ明らかになったことだろう。バルカの言語で『BEPPAN』という表記が「ヴィパァン」、転じて「ヴィヴァン」に聞こえる、つまり『別班』という日本語ではないかと野崎は推理する。別班という単語が出た瞬間、スッと無表情になる野崎とその部下の新庄(竜星涼)の様子が印象深い。常に余裕のある野崎、穏和な雰囲気の新庄の二人をもってしても、構えてしまう程の何かを引き当てているということなのだろう。後に野崎の口から『別班』とは自衛隊内の秘密組織で、非合法にスパイ活動をしているエリート諜報員の組織だと語られる。実際にそういった組織の有無は都市伝説のように語られることもあり、「なるほど今作、そう来たか」と唸った。野崎は乃木のようなおっとりした男が別班であるはずがないと笑い飛ばすものの、それが真意かどうかは分からない。なにせ野崎は剛毅な一方で万事を疑い、裏切りやあらゆる不測の事態にも代案・対策を怠らない細やかさも持ち合わせた男である。CIAから情報を得ることが出来、何カ国語をも理解し、何度も命の危機にさらされながらもへこたれず、何故かラクダの視力の良さも知り、そして数日間砂漠でラクダの背で揺られても体力が尽きない男が、ただの商社マンであるとそのまま信じているとは思えない。視聴者もまた、もう一人の人格の存在や、時折挟まれる悪夢や過去の記憶から、乃木憂助という男が見かけ通りの人間ではないと知っている。どうしても主人公を信じきれないその揺れが、物語全体を絶妙に不安定にして、視聴者の目を離さない。果たして乃木憂助は『別班』の一員なのか、関係者なのか、それとも別班と国際テロをめぐる渦に巻き込まれただけの男なのか。また、ヴィヴァンという言葉自体が別班とはまた違うものか、あるいはダブルミーニングの可能性も捨てきれない。ただ、二重人格で、片方が行っているあらゆる諜報・工作活動を「それは自分のことではない」と捉えられる人物が存在するならば、諜報員として相当な適性であることは間違いないだろう。誰が味方か敵か、主人公の素性も不透明な揺れる物語ではあるけれども、互いに迷ったり言い争ったりしながらも重病の子供を見捨てられない一行の優しさは、我々視聴者にとっての確かなセーフティーネットのようだ。ドラム(富栄ドラム)の愛嬌ある可愛らしさ、バルカ警察・チンギス(Barslkhagva Batbold)の恐るべき執念といった脇役の躍動感と独特のキャラの強さも福澤作品らしい熱に満ちている。チンギスが看護師イリア(真凛)の輸液を拾い丁寧に砂を払って返すシーンは、警察官としてのチンギスの善良さを見るようで印象に残った。乃木達には恐ろしい敵だけれども、見方を変えれば国民を守ろうとする正義感の強い警察官ということなのだ。物語は次回、また大きく舞台を変えて動くようである。新たなキャストの登場を楽しみに待ちつつ、架空の国バルカを描き出した素晴らしいロケーションに見惚れた身としては、是非またバルカでの展開を見たいと思っている。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなTwitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2023年07月26日36歳で歯列矯正を始めた双子芸人☆まかりな☆のかなさんの体験を描いたマンガを紹介します。長年、自身の歯並びが気になっていたかなさんは、コロナ禍をきっかけに妹のまりさんと一緒に歯列矯正をすることに。矯正器具によって口内が傷付いてしまい、痛みに悩んでいたかなさん。ある日ネットで矯正器具のカバーを見つけ、購入してみることに! しかし、まりさんからのひと言で購買意欲は消え失せて……。★前の話それ、本当に必要なの?ネット通販で「コンフォートリップシールド」という矯正器具であるブラケット全体を覆う透明なカバーを発見したかなさん。値段は4900円と少し高額だったものの、手軽さに引かれて購入寸前の状態に!そんなかなさんの様子を見た妹のまりさん。冷静なまりさんは、かなさんにとあることを聞きました。私は矯正器具のワイヤーやブラケットという留め具によって、口の中がズタズタに傷ついてしまっていました。傷が治るよりも先にまた新しい傷ができてしまうため、矯正器具を保護して口の中の環境を守ることに。ワックスで器具を保護していた私が出合ったのは、「コンフォートリップシールド」という矯正器具のカバーでした。4900円と失敗したら手痛い出費だと感じるくらいには手が出にくかったものの、背は腹に変えられない! と購入することに。しかし、まりいわくワイヤーやブラケットでできた傷が痛むのは最初の内だけなのだとか。そして、「ただでさえブラケットを着けて口元がボコッとしてゴリラみたいなのに、カバーなんてしたらさらにゴリラ感が増すよ!」とひと言。たしかにそうかも……と思い、カバーは買わないことに。カバーを使わずにいてもゴリラ感が強いまりの発言は、双子でそっくりな私の心にはとても響きました……。--------------口の中を傷つけたくないと思っていたかなさんですが、それ以上に口元がボコッとなってしまうことは避けたいようでした。コンフォートリップシールドはとても良い商品ですが、見た目を気にしているかなさんにとっては買わないという選択をするのも納得ですね。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。著者/☆まかりな☆ かな(37歳)双子で芸人・エッセイギャグ漫画を描いています。40歳になった時に自分へのプレゼントが何かできないかと思い、36歳で思い切って矯正をスタート! あまりの痛さにやるんじゃなかった! と何度も思いましたがやってよかったと思える日まで矯正漫画を描き続けます。
2023年07月20日36歳で歯列矯正を始めた双子芸人☆まかりな☆のかなさんの体験を描いたマンガを紹介します。長年、自身の歯並びが気になっていたかなさんは、コロナ禍をきっかけに妹のまりさんと一緒に歯列矯正をすることに。矯正器具によって口内が傷付いてしまい、痛みに悩んでいたかなさん。矯正用ワックスが有効だったものの、さらなる快適さを求めたかなさんは、ネットでとあるものを見つけて……。★前の話欲しいけれど失敗したくない…!矯正ワックスで器具を保護して、これ以上口内を傷つけないようにしていたかなさん。「GISHY GOO(ギシグー)」というワックスは、かなさんにとってとても使いやすいものでした。ある日、通販サイトを見ていたところワックスではない矯正器具の保護装置を発見! かなさんは欲しいと思ったものの、失敗すると手痛い値段でした。私がネットの通販サイトで見つけたのは、矯正器具を丸ごと覆い隠す「コンフォートリップシールド」というマウスピースのようなカバーでした。商品写真を見ただけで、これは使える!と確信した私。矯正器具であるブラケットという留め具全体を透明なカバーで覆うので、どんな痛みからも解放されること間違いなしだと思いました。さらに見た目も透明で目立たないし、外すときも簡単そう。これは欲しい! と思ったものの値段はなんと4900円。今使用している矯正ワックスは1本800円。4900円もあれば、ワックスが6本も買えちゃいます。買えなくはないものの、失敗したときのことを考えると……即決するには少しためらってしまう値段。しかし今の私は灼熱の砂漠をさまよい、水を欲しているような状態。そこに1万円の水があったら、どんなものでも思わず買っちゃいますよね。そんなふうに日々口の中の痛みと闘っていた私は、苦しいならば買うべきだよなと心が揺れ動いてしまいました。--------------コンフォートリップシールドは矯正用ワックスではなく、透明なカバーなんですね。着けるも外すのも簡単そうだし、透明だから目立たない。これは買いたくなっちゃいますよね!※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/古川雄亮先生国立大学歯学部卒業後、歯学府博士課程において歯のエナメル質形成に関わる遺伝子研究をおこないつつ、バングラデシュなどのアジア諸国で口腔衛生に関連した国際歯科研究に従事。その他、スウェーデンのイエテボリー大学での研修を修了。大学病院の医員を経験した後、南米のボリビアにおいてボランティア団体の力を借り外来・訪問歯科診療に参加。 2019年にNature系の雑誌に研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」が公開。現在は歯科臨床に従事する傍ら、多くの企業からの依頼で、セミナーや学会取材、医療関連記事の監修・執筆、歯科医師国家試験模擬試験の校閲など、さまざまな分野で活動している。著者/☆まかりな☆ かな(37歳)双子で芸人・エッセイギャグ漫画を描いています。40歳になった時に自分へのプレゼントが何かできないかと思い、36歳で思い切って矯正をスタート! あまりの痛さにやるんじゃなかった! と何度も思いましたがやってよかったと思える日まで矯正漫画を描き続けます。
2023年07月19日Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年7月スタートのテレビドラマ『VIVANT』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。『映画みたいな~』は、これまでにもいくつかの日本のドラマにも存在していたけれども、これは『みたい』じゃなくて、もう映画だと見終えてからちょっと放心していた。そして『映画のような』の、映画らしさって何だろうなと考え込んだ。ロケによる映像の生々しさ、ふんだんにかけられた予算をうかがわせるアクション、完結まで観客が見ることを前提にした堅固かつ信頼感溢れるストーリー。どれだろうな、いやどれもだなと感嘆のため息が出た。『VIVANT(ヴィヴァン)』(TBS系日曜21時)。今作はタイトルと出演俳優と、そしてモンゴルでロケーションが行われているということ以外は殆ど何も事前に明かされないままに始まった。主演級の俳優がずらりと名を連ねる配役の豪華さと、そしてTBSドラマの看板・日曜劇場で数々のヒット作を生んだ福澤克雄が手がけているということから、ただならぬ作品だということは予想がつく。実際に始まった拡大版90分の初回は我々の『凄いらしい』の予想を一気にぶち抜いてきた。物語は灼熱の砂漠を彷徨う日本人のサラリーマンから始まる。その男は乃木憂助、演じるのは堺雅人である。人の名前に『憂』の字は珍しく感じられる。『憂』は言わずもがな思い悩む様であるけれども、『憂』の下の部分『夊(すい)』はゆっくり歩く様子という意味があり、彼が砂漠をよろよろと歩く姿が象徴的に見えてくる。乃木がその状況に追い込まれた原因は一桁間違った誤送金である。一桁間違いの送金とは、ある意味どこで起きてもおかしくないような、事務職の悪夢の一つではあるけれども、乃木が被ったのは大手商社の13億と130億の間違いという途方もない額だった。堺雅人とバンキングとなればついついあの名作ドラマ『半沢直樹』(TBS系)を思い出すが、乃木には半沢直樹の盟友・渡真利忍は見当たらず、同期として登場する山本巧(迫田孝也)は、圧は強めだが敵なのか味方なのかは分からない。乃木は中央アジアのバルカという国(この国名は架空のものである)に振り込まれた金の返金交渉に一人で訪れるが、返金交渉は難航した上に、ようやく見つけた交渉相手は返金どころか周囲を巻き込んだ自爆で死んでしまう。すんでのところで乃木を救い出したのは、野崎と名乗る公安部外事4課の刑事だった。野崎を演じるのは阿部寛。2015年・2018年放送のテレビドラマ『下町ロケット』(TBS系)、2005年・2021年放送の『ドラゴン桜』(TBS系)と、阿部もまた日曜劇場を代表する俳優である。大胆にして用意周到、どんな危機にも飄々と対処するダンディズム溢れる野崎は、阿部寛にしか出せない圧倒的な存在感である。かくして爆弾犯と見なされて現地の警察から追われることになった乃木と野崎は、バルカで医師として働く柚木薫(二階堂ふみ)まで巻き込んで、日本大使館まで怒濤の逃走劇を繰り広げることになる。ダーティで一見救いのない逃走劇だが、もはや懲戒免職どころか生きぬくことも難しそうなのに、出会う相手に律儀に名刺を渡し、お金を返して下さいと切々と訴える乃木の社畜ぶりが可笑しくて魅力的だ。なるほど、これも堺雅人にしか出来ない。二階堂ふみ演じる医師の薫はタフで自立したメンタルの持ち主である。二階堂ふみのインテリで気丈な女は、やはりハマり役だ。監督の福澤は、番組開始前のインタビューでドラマの内容は明かさないまでも、自身がスター・ウォーズシリーズの大ファンだと語っている。なるほど無垢で頭でっかちの主人公と、無頼でダンディな男と無頼な男の頼れる相棒(野崎にはドラムという有能な男がサポートについている)、そして気丈で高潔な魂の女。面白くならないわけがない、まさに黄金比である。今回、冒頭の砂漠から大使館前の白熱のゴールラインまで、時間も週明けの仕事の予定も吹っ飛んだように見ていた。羊たちとともに疾走する馬に、瞬きを忘れた。ラスト、乃木の体を大使館の一線を挟んで引っ張り合うシーンではその無茶苦茶さに笑いながら手に汗を握った。子供の頃にわくわくしながら見ていた香港アクション映画のようだと思った。それは今や当たり前になった、どんなエンタテインメント作品か事前に情報を入れて、自分の予想と答え合わせしながら見ている視聴体験とはまったく違う、鮮烈で素晴らしいものだった。知らされていないという楽しさを、このドラマでは存分に味わいつくしたい。そして、とにかく画面から溢れてくる熱と勢いが凄まじいから、こちらも気合いを入れて画面の前に座ろうと思う。ぜひ皆さんもご一緒に。『VIVANT』で空前絶後の冒険を!ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなTwitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2023年07月19日36歳で歯列矯正を始めた双子芸人☆まかりな☆のかなさんの体験を描いたマンガを紹介します。長年、自身の歯並びが気になっていたかなさんは、コロナ禍をきっかけに妹のまりさんと一緒に歯列矯正をすることに。矯正器具によって口内が傷付いてしまい、痛みに悩んでいたかなさん。そんなとき、矯正歯科でもらった矯正用ワックスが有効だったのですが、もっと口の中を快適にしたい! と思ったかなさんは……。★前の話食べても良し! 歯磨きしても良し!矯正器具によって口の中がズタズタに傷付いてしまっていたというかなさん。矯正歯科で矯正ワックスという口の中を保護してくれるワックスをもらいました。ワックスによって口の中は守られるようになったものの、歯ブラシにワックスが付いてしまうという事態に……。かなさんはもうワンランク上のワックスを探すことにしました。口内環境の改善を目指している私が見つけたのは「GISHY GOO(ギシグー)」というシリンジに入っているワックスでした。GISHY GOO(ギシグー)は1本約800円。それまで使っていたワックスは4個で1000円くらいだったので、量を考えてもGISHY GOO(ギシグー)のほうが割高でした。使い方は2色のワックスを豆粒大くらいまで容器から押し出した後、10秒ほど指でしっかり練り合わせます。そしてワックスが固まる前に矯正器具に付ける。2分ほどで完全に固まるので、固まる前に付けるのがコツです。GISHY GOO(ギシグー)はしっかり固まるので、カバー力が強く、ワックスに食べ物が絡まることもありません。ランチ後にワックスを付けたまま歯磨きをしても取れないし、歯ブラシも傷まない!高いだけあって使いやすさは抜群でした! 私は圧倒的にGISHY GOO(ギシグー)推しに。矯正用ワックスは身近に売っていないので、いざ必要となったときに手に入らないこともあります。そんなときに便利なのが、ドラッグストアなどで入手しやすい「入れ歯安定剤」。カバー力がしっかりしていて外れにくく、矯正器具にもくっついてくれます。ただ見た目がピンクなのですごく目立つというのが難点。しかし、外出先などで急に必要になったときには使える応急処置法だな、と思いました。--------------矯正用ワックスって、いろいろ種類があるんですね。少し割高でも、かなさんにとって使いやすいものが見つかってよかったです! 入れ歯安定剤も矯正ワックスとして代用できるなんて驚きました。いざというときのために知っておくといい豆知識ですね。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/古川雄亮先生国立大学歯学部卒業後、歯学府博士課程において歯のエナメル質形成に関わる遺伝子研究をおこないつつ、バングラデシュなどのアジア諸国で口腔衛生に関連した国際歯科研究に従事。その他、スウェーデンのイエテボリー大学での研修を修了。大学病院の医員を経験した後、南米のボリビアにおいてボランティア団体の力を借り外来・訪問歯科診療に参加。 2019年にNature系の雑誌に研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」が公開。現在は歯科臨床に従事する傍ら、多くの企業からの依頼で、セミナーや学会取材、医療関連記事の監修・執筆、歯科医師国家試験模擬試験の校閲など、さまざまな分野で活動している。著者/☆まかりな☆ かな(37歳)双子で芸人・エッセイギャグ漫画を描いています。40歳になった時に自分へのプレゼントが何かできないかと思い、36歳で思い切って矯正をスタート! あまりの痛さにやるんじゃなかった! と何度も思いましたがやってよかったと思える日まで矯正漫画を描き続けます。
2023年07月19日36歳で歯列矯正を始めた双子芸人☆まかりな☆のかなさんの体験を描いたマンガを紹介します。長年、自身の歯並びが気になっていたかなさんは、コロナ禍をきっかけに妹のまりさんと一緒に歯列矯正をすることに。矯正器具によって口内が傷付いてしまい、痛みに悩んでいたかなさん。そんなとき、矯正歯科でもらった矯正用ワックスが大活躍! しかし、困った点もあるようで……。★前の話1週間で5本の歯ブラシが犠牲に…矯正器具のワイヤーやブラケットという留め具によって口の中にたくさんの傷ができてしまったかなさん。あまりの痛みに耐えかね、矯正歯科でもらった矯正用ワックスを試してみることに。矯正用ワックスは矯正器具の上に付け、口の中の粘膜を守ってくれるものなのだそう。しかし、そのワックスのせいで、かなさんの歯磨きに影響が出てしまったようです。本来、矯正用ワックスは歯磨きや食事をするときには外すものなのですが、私は外さないまま食事や歯磨きをしていました。すると、食べ物がワックスにくっついてしまったり、歯ブラシをワックスで傷めてしまったりするようになってしまい……歯ブラシはなんと1週間で5本もダメにしてしまいました!まず指でワックスを取れないか試してみたものの、ベッタリと器具にくっついてしまったワックスは取れず……。あれこれ試した結果、私に一番合っていたのは100円均一で買ったピンセット!ピンセットだとワックスをこそぎ落として、カポッと取ることができて「私の発想力って天才!」と喜んでしまいました(笑)。しかし後日、矯正歯科で「器具にワックスが詰まったときは、このピンセットで取り除いてくださいね」とピンセットを手渡されました。ワックスはピンセットで外す、ということは常識だったのかな。それならそうと、もっと早く教えてよ~!--------------ピンセットのことを教えてくれるなら、ワックス装着と同じタイミングで聞きたいもの。かなさんなりにあれこれ試行錯誤した時間はもったいなかったかもしれませんが、時には自分で考えるということも大切ですよね。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。著者/☆まかりな☆ かな(37歳)双子で芸人・エッセイギャグ漫画を描いています。40歳になった時に自分へのプレゼントが何かできないかと思い、36歳で思い切って矯正をスタート! あまりの痛さにやるんじゃなかった! と何度も思いましたがやってよかったと思える日まで矯正漫画を描き続けます。
2023年07月17日