「世界糖尿病デー」は、世界に拡がる糖尿病の脅威への対応を目的にWHO(世界保健機関)によって定められた国際デー。日本でも糖尿病患者は増加傾向にあり、2016年に実施された厚生労働省の調査では、総人口の15%を超える約2,000万人の糖尿病患者および予備群が存在すると推定されている。血糖値スパイクとは?糖尿病と合わせて深刻化しているのが、「血糖値スパイク」だ。これは、食事を食べた後の短時間で血糖値が急上昇し、その後急降下する症状のこと。この「血糖値スパイク」に大きく関わっているのが、すい臓から出るインスリンというホルモンだ。血糖値スパイクは、血糖を体に取り込むインスリンが食後にうまく働かず、血糖値が急激に上昇することでおこる。現在、この「血糖値スパイク」が生じている可能性がある日本人の数は、推定1,400万人以上。つまり、日本人の9人に1人は「値スパイク」の疑いがあるとされている。血糖値スパイクは、糖尿病の原因にも!血糖値スパイクの症状がある人は、糖尿病になるリスクが非常に高いと言われている。さらに、血糖値の急激な上昇は動脈硬化の原因となり脳梗塞や心筋梗塞の原因となるほか、認知症やがんにつながる可能性も高まるそう。様々な病気の引き金となる血糖値スパイクには、十分な注意が必要だ。生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研の調査結果によれば、「血糖値スパイク」の認知度はわずか16%。しかし、「血糖値スパイク」についての説明をおこなった後に、「自身の体内で『血糖値スパイク』が生じているかどうかを知ることは、健康のために重要だと思いますか?」と聞いたところ、85%もの人が「そう思う」と回答した。「血糖値スパイク」かどうかを知るには?食後に血糖値が急上昇し、その後は正常に近い数値まで下がる症状の「血糖値スパイク」。そのため、食事から時間を置いた状態で実施される健康診断では発見するのは、極めて困難なのが実情だ。糖尿病専門医の鶴田加奈子先生によれば、自身が「血糖値スパイク」に陥っているかどうかを知るためには、「血糖トレンド(=血糖値の変動傾向)」を見ることが必要だそう。血糖値が変動する傾向(=トレンド)を見ることが、「血糖値スパイク」の発見につながるのだ。血糖値を測定できるデバイスもかつては、血糖トレンドを見るためには1日に何度も血糖値を測定する必要があったほか、寝ている間は測定が難しいという問題もあった。しかし、最近ではセンサーを装着するだけで、24時間連続でグルコース値を測定できる便利なデバイスも登場している。この「血糖トレンド」の測定は、「血糖値スパイク」の発見だけでなく糖尿病の治療にも役立てられている。また、患者さん自身が自分で血糖トレンドを把握できることで、食事などの生活習慣の改善もしやすくなりそうだ。血糖値スパイクについて不安がある方は、この機会に糖尿病専門医のいる病院やクリニックで診察を受けてみてはいかがだろうか。【参考】※トレンド総研
2018年11月12日戸田恵梨香とムロツヨシの共演で贈る、若年性アルツハイマーにおかされる女医と、彼女を明るく支え続ける元小説家の男の、10年にわたる愛の奇跡を描く純愛ラブストーリー「大恋愛~僕を忘れる君と」が、TBS10月期の金曜ドラマ枠として放送されることが決定した。■あらすじレディースクリニックの医師として働く34歳の北澤尚(戸田恵梨香)は、年上の医師・井原侑市との婚約が決まり、仕事もプライベートも順風満帆の毎日を送っていた。結婚式まであと1か月と迫った新居への引越しの日、尚は元小説家で引越しのアルバイトをする無愛想な男・間宮真司(ムロツヨシ)と運命的な出会いをし、2人は恋に落ちる。初めて本気の恋に突き進む尚と真司だったが、2人の愛を阻むように、尚が若年性アルツハイマー病におかされていることが発覚する…。34歳にして、若年性アルツハイマーという病におかされてしまった真っ直ぐな女性と、そんな彼女に恋した売れない小説家の、美しくも儚いラブストーリー。明るくけなげに尚を支え続ける真司は、いつしかお互いを愛することの意味や喜びを知ることに。そして、尚の存在が真司の眠っていた才能を再び呼び起こしていく…。尚がいつか自分のことすらも分からなくなる運命の中で、真司が1冊の本に綴る尚と生きる日々と愛の行方…。なぜ、何のために、真司はその本を書いたのか? 2人が綴る本当の愛の物語、その結末とは一体?■戸田さんが難役に挑み、ムロさんが初のラブストーリーに挑戦!主人公・北澤尚(きたざわ・なお)を演じるのは、ドラマや映画はもちろんCMなどで幅広く活躍する女優の戸田さん。TBS連続ドラマで主演を務めるのは、2010年に放送した「SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~」以来実に8年ぶりとなる。今作では、34歳にして若年性アルツハイマー病におかされながらも、本気で1人の男に恋をする女医を演じる。また、尚の恋人・間宮真司(まみや・しんじ)役には、ドラマや映画、舞台などでその存在感を発揮し、「2018年エランドール賞」の新人賞を42歳にして受賞した個性派俳優のムロツヨシさん。引越し業のアルバイトで尚と出会い、自分が過去に書いた小説の文章の一部を暗唱できるほど好きだと言う尚からアタックされるうち、彼女を愛するようになり、同時に自分の忘れていた小説への思いを呼び起こされていくという役柄だ。本作のような本格ラブストーリーに挑むのは初で、注目を集めている。お互い、意外な共演過ぎて最初は半信半疑だった?戸田さんは演じた役柄について、「尚は、いい意味でつかみどころがあるようでない人だなと思いました。あとは、真っ直ぐですね。ものすごく理論的であり、堅い人にみえる反面、能動的というか、本能的で…。それが1人の女性って、どういうことになるのか興味があります」と語り、ムロさんとの共演については「今回純愛ラブストーリーのお話を頂き、お相手がムロさんとお聞きし、『ムロさん?』って思いました(笑)」とおどけて見せた。ムロさんも今回の役柄について「真司はちょっと影というか過去が、多少、色々ある人なので、それで恋愛とかするタイプじゃないように思います。私も、20代の頃やりたいことがあったのに、やれなくなることがあったのでちょっと重なるところはありますね。」と語った。戸田さんの印象についても「以前、TBSで放送された『うぬぼれ刑事』というドラマで共演させて頂き、車の中での2人待ち時間が長く、ずっとゲラゲラ笑いながらお話ししていた記憶があります。今回、純愛ラブストーリーのお話を頂き、お相手が戸田恵梨香さんとお聞きし、戸田さんは本当にOKされているのかと疑いました(笑)」と驚きを隠せない様子だ。本作は、ラブストーリーの名手と名高い脚本家・大石静の完全オリジナルドラマ。大石さんは「すっかり便利になったいま、恋にも障害が少なくなりました。障害がないと切ない想いも芽生えにくいせいか、世の中の男女は劇的な恋より、ちょっと楽しくリスクの少ない関係を好むようになったと感じます。その風潮を否定もしませんが、ドラマの中では、常識や道徳のはるか向こうにある1組のカップルの“震えるような恋心”を、視聴者の方に体験していただきたいと願って、このドラマを書きました」と語っている。「大恋愛~僕を忘れる君と」は10月より毎週金曜22時~TBS系にて放送。(text:cinemacafe.net)
2018年07月26日2015年4月に始まった、「子ども・子育て支援新制度」。その中のひとつに、「病児保育」というものがあります。ひと口に「病児保育」といっても、じつは4種類もあるということ、ご存知でしょうか?今回は、それぞれの特徴をおさらいしましょう。ご協力いただいたのは、全国病児保育協議会会長・大川洋二(ひろじ)さん。病児保育のそれぞれの特徴は?先述のように、病児保育には4種類あるのですが、それは(1)「病児保育」、(2)「病後児保育」、(3)「体調不良型」、(4)「派遣型」の4つ。それぞれの特徴は以下。(1)「病児保育」病気がまだ治っていないけれど、容体が急変する可能性が低い子どもを預かる(2)「病後児保育」病気自体はすでに治っているけれど、保育園や幼稚園、学校にはまだ行けない子どもを預かる(3)「体調不良型」保育園や幼稚園、学校等で預かっている子どもが、急に体調が悪くなったけれど、保護者がすぐに迎えに行けない場合、施設に配備されている看護師が面倒を見る(4)「派遣型」別名「非施設型」とも呼ばれている。厚生労働省が認定している病院、クリニック、保育園、認定こども園等の施設に子どもを預けるのではなく、病気の子どもの自宅にベビーシッターなどが訪れ、預かる大きな違いは国家資格の有無これら4つとも、病気の子どもの面倒を見てもらえるという点では共通していますが、大きな違いは「国家資格有無」とのこと。「『病児保育』、『病後児保育』、『体調不良型』の3つは、微妙な違いはあるものの、保育士や看護師、医師といった国家資格を有している人が対応します。一方、非施設型の『派遣型』は、『家庭的保育士』と位置付けられ、国家資格を有していなくても、市町村長が指定した研修さえ受ければどなたでもできます」この国家資格の有無の差は、私たちにしてみればあまり重要とは思えないかもしれませんが、懸念点は多いといいます。「派遣型の場合、きちんとした人が来てくれればいいけれど、人によっては不安が残ります。また、ひとりで来るので、どういう風にお世話をしているかがわからないのです。また、病気の子どもは、容体が急変する可能性もあります。看護師や医師なら緊急の時でも焦らず対応できるでしょうが、その保証もありません」保育士不足などが問題化している今、「研修さえ受ければ誰でも」というのは、人材を補うためにはいいこと。しかし、技術や経験が不足しているという点では、まだ不安も残るようです。子どもが病気になったとき、ママがそばにいてあげられないことも多々あります。子どもの状態を見て、どんな施設を利用すればいいのかを判断するためにも、4つの病児保育の違いは知っておきたいですね。(文・明日陽樹/考務店)
2018年02月20日〜映画や雑誌まですべてが“アップ病”〜映像にはスクリーンや画面に映える構図の映像美があり、写真にはフレームなどに浮かび上がる写真美があります。審美眼の高いカメラマンは、“絵心”を持っていて、画家が筆と絵の具で絵を描くようにカメラで絵を描いておりました。かつてはそういった“プロ”のカメラマンがおりました。しかし、映画もテレビも写真も最近のカメラマンは「アップ病」にとりつかれ、映像美よりもひたすら被写体のアップを撮り続けるのが殆ど。全体の“構図構成”、情緒も風情も美意識もなく、カメラを手にすると何の考えも美意識もなく、生理、本能の赴くまま、撮っている本人が興奮して、ただただ被写体に寄りまくり、今では茶の間も映画館も画面が巨大になっているのも考えず「アップ馬鹿」になってしまう。以前の日本映画などは美的感覚が秀れ映像美もしっかりしていて、アップシーンなど数える程度しかありませんでした。何の為に何をどう表現するか、頭を使わないカメラマンや演出家は、美術学校に一年生から学ぶ必要がありますね。
2017年10月04日保活を経てようやく保育園に入園! ほっとしたのもつかの間、子どもが急に熱を出したり、感染症にかかったりして仕事を休むことに…。働くママなら、そんな経験があるのではないでしょうか。集団生活をしていれば、子どもが病気にかかることをある程度覚悟していても、どうしても休めない日だってあったりします。とくに、インフルエンザや水ぼうそう、おたふくかぜ、夏に流行するプール熱(咽頭結膜熱)などの感染症にかかると保育園などは登園停止になるため、お休みが長期間になることも。また、子どもの病気がママやパパにうつって一家でダウン、子どものお世話をしてくれる人がいない…なんてこともあるかもしれません。そんなときに心強いのが、「病児保育」です。いざというときに慌てなくてすむよう、病児保育のこと、知っておきませんか?■「病児保育」にはどんなものがある?子どもが病気にかかり保育園などでは預かってもらえないときに、保育や看護ケアを行うのが病児保育です(回復期にある子どもの保育は病児後保育)。病院やクリニックなどに併設されている「施設型」、自宅で保育、看護を行う「訪問型」の2タイプが主流です。「施設型」は近年少しずつ増えつつありますが、東京都でみると台東区、渋谷区、杉並区、北区にはそれぞれ1施設のみ(※1)。また、どの施設も定員が少ないため、いざというときに預かってもらえないこともあるなど、利用しやすい環境がじゅうぶんに整っているとはいいきれません。そんななか、病中や回復期にある病後の子どもを、自宅でお世話をしてくれる「訪問型」の病児・病後児保育サービスが広がりをみせています。(※1)参考:東京都福祉保健局「 東京都病児・病後児保育施設一覧 (平成28年2月現在)」■ママのセーフティネットに! 「訪問型」の病児保育ママ・パパとベビーシッターをつなげるシッターマッチングサービスを行う「キッズライン」では、病児保育にも対応できるサポーター(シッター)が、仕事をどうしても休めないママはもちろん、ワンオペ育児に奮闘するママなど、すべてのママのサポートを行っています。病児対応シッターは、全国に約300名。今後さらに増える予定とのこと。子どもが急に熱を出したときでもタイムリーに予約できるよう、スマホから24時間予約が可能。症状別に対応可能なシッターを探すことができ、シッティング中の様子はレポートで詳しく報告してもらえるなど、安心して利用できる仕組みがととのっています。また、入会金や年会費は不要、1時間1000円~(※2)と、シンプルでリーズナブルな料金システムも使いやすさのポイントです。そんなキッズラインの病児シッターサービスを、6月中は無料で体験できる試み「みんなの病児をあんしん解決」が実施されています。「みんなの病児をあんしん解決」は、実際の病児シッターサービスとして利用できるのはもちろん、病児対応シッターとの面談として利用することもできます。病気のときは、子どももママも不安になるものです。そんなときに初めて会うシッターに病気の子のお世話をしてもらうのがちょっとためらわれるママは、無料体験を利用してシッターと顔を合わせておくとよいかもしれません。訪問型の病児保育のように、いざというときに頼れるサービスがあることを知っておけば、子どもの急な体調不良にも慌てず、落ち着いて対応できそうですね。(※2)料金はサポーターによって異なります。・ キッズライン ・ キッズライン「みんなの病児をあんしん解決」
2017年06月12日3月23日は「世界気象の日」。気象の共同観測や資料交換などの国際協力を目的に、1950年のこの日、世界気象機関が発足したことにちなんで制定された記念日です。気象と言えば、最近話題の「気象病」ってご存知ですか?実は筆者も気象病。どんな症状が出るのか、その原因は何なのか、などをご紹介しましょう。併せて女心と天気の関係についても分析します。◆ずばり「気象病」とは?昔から「雨が降ると古傷が痛む」と言いますよね?最近注目されているのは、気象の変化に伴って、頭痛、めまい、喘息、神経痛、肩こり、関節痛、歯痛などが起こること。これらを総称して「気象病」と呼んでいるようです。「気象病」の程度や症状は人それぞれ。もしかしたら、気づいていないだけであなたも「気象病」かもしれません。◆気圧が急激に下がると、眠い&頭痛筆者の場合は、気圧が急激に下がると眠くてたまらない、また頭痛がひどくなる、という症状が出ます。そして、台風のように短時間で激しく気圧が下がると、めまいを感じることも。反対に、気圧が急激に上がるとこのような症状が出る人もいるそうです。いずれにしても気圧の変化の影響で体調を崩す人は少なくない様子。あと、古傷の痛みは湿度と関係があると言われています。◆まずは気圧のチェックがオススメ最近は、「気圧予報で体調管理」をキャッチフレーズにしたアプリ『頭痛ーる』を愛用している人が多いようです。気圧のアップダウンをグラフ化した親切なツールなので、筆者は「急激に眠くなった」「頭痛がひどい」と感じたら、このアプリで気圧をチェック。これはやっぱり気圧下降のせいなのか、と原因がわかって安心できます。以前、急にめまいがして病院に行こうかと思ったら、ニュースで大きな竜巻が発生し、周辺の気圧がかなり不安定になっていたことが判明。そのまましばらく様子を見ていると、案の定、竜巻への注意喚起が解除されると同時におさまってしまったのです。気圧が大幅に下がる台風の時期にも同様のことがあるため、自分の不調は気圧に関係していると知って、いろいろ納得しました。なお、筆者の友人は、気圧が下がると歯痛が起こり、肩こりや関節が痛くなるという現象に見舞われるそう。人によって症状は様々なので、どんな天気のときに体調に変化が起こるかをメモしておくといいかもしれませんね、◆恋愛と気象って関係があるの?気象病の症状には、気持ちがふさぐ、落ち込む、うつっぽくなる、といった例もあるとのこと。へこむことが多いなら、気象病を疑ってみてもいいかも。恋愛中の人は特に、相手の一挙一動に過剰に反応し、小さなことでくよくよしてしまったりしそうです。ちなみに筆者の周囲では、気象病だと自己申告しているのは全て女性。女性は月経があり、時期によって体調が変化するのが一般的ですよね。それゆえ自分の体について日々意識しているためか、気象病だと気づくパターンも多いようです。それから、気象病は体力がないと、なりやすいという説もあるので、女性は男性よりも影響を受けやすいとも考えられます。たまに男性から「彼女が気分屋で困る」なんて話を聞きますが、あれももしかしたら気象病と関係あるのかも?思い当たるフシのある人は、スマホにアプリを入れたり、自分の体調をメモしたりしてみては。好きな人とも、気象病とも上手にお付き合いしてくださいね。ライタープロフィール天野りり子ライター/編集者大学在学中からライター&編集稼業をスタート。女性誌ではビューティ&ヘルス企画、男性誌では恋愛記事を多数執筆、書籍編集も手がける。趣味は読書とタロット占い、そして恋バナを収集すること。
2017年03月23日質問:父が糖尿病と高血圧の既往歴あり。糖尿病などは遺伝性のものが多いと聞いたことがあり不安です。父が、糖尿病、高血圧の既往歴があり、現在も内服コントロールをしています。最近、これらの病気は心疾患のリスクも高めることを知りました。糖尿病などは、遺伝性のものが多いと聞いたことがあり、私も結婚して親になり、自分がかかる可能性の高い病気には気をつけていかなければと考えるようになりました。甘いものが大好きで、外食も多く食生活が偏りがちです。これから先、どのように気をつけていくべきでしょうか?静岡県:nocchiさん(27)回答:「糖尿病」の遺伝についてお答えします。――「糖尿病」とはお父さまが糖尿病、高血圧をお持ちで、内服でコントロール中ということですね。確かに、これらの病気は心筋梗塞など重篤な疾患を含む心疾患の大きなリスクファクターになることが知られています。お子さんであるご相談者さまも、遺伝的な面、あるいは生活習慣の面でお父さまがお持ちの傾向を受け継がれている可能性は十分に考えられ、お若いうちに気をつけていこうというお気持ちになられたことは非常によいことだと思います。さて、ご心配されている糖尿病の遺伝について、少しお話をさせていただきたいと思います。よく誤解されがちですが、糖尿病自体は遺伝性の疾患ではなく、あくまで遺伝するのは「糖尿病にかかりやすい体質」であると考えてください。2型糖尿病にかかりやすい遺伝子はいくつか同定されてはいるようですが、多くの小さな遺伝素因が複雑に組み合わさってできる「複合遺伝」の形式をとると考えられており、いわゆる「糖尿病のなりやすさ」も人によってさまざまであると考えられています。<日々の生活のなかでできることから始めましょう>2型糖尿病の発病には遺伝的な素因以外に生活習慣が大きく関係してきます。糖尿病を防ぐためには、まず肥満にならないことが大切です。BMIにして18.5~25.0の普通体重を目指しましょう。そのためにはまず、食生活の改善が必要です。甘いもの、脂っぽいものはできるだけ控え、味は薄味に調味するよう心がけます。できるだけ決まった時間に、ゆっくり食べることも大切です。野菜に多く含まれる食物繊維は肥満を防いでくれますので、一日350g(うち緑黄色野菜120g以上)を目標にします。また、肥満を防ぐもう一つの柱は、やはり運動です。運動は、カロリーを消費するだけでなく、筋肉をつけて脂肪を減らしたり、中性脂肪を低下させたりする役割もあります。もちろん、定期的に時間を決めて運動ができればそれもいいのですが、一日一万歩を目安に、少し早足で歩く、エレベーターを使わず階段を使用するといった心がけでも十分、糖尿病にかかりにくくする効果があります。お子さんもいらっしゃるということで、なかなかご自身の健康のためにまとまった時間はとりにくいかと思いますが、日々の生活のなかでできるところから始めていけるといいですね。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:会社の健康診断で生活習慣病と言われました…会社の健康診断で生活習慣病と言われました。私には高脂血症と糖尿病があり経過観察項目がありました。55歳という年齢で、いつ何が起こっても不思議ではないなと思うようにもなり、脳のMRIを撮ったところ画像には白い点が4つ並んでいて、すぐにも精密検査と言われています。この年齢から具体的にどのようなことに気をつけて生活すればよいでしょうか?千葉県:かずこさん(55)回答:「高脂血症」と「糖尿病」についてお答えします。―――生活のなかでできること現在、高脂血症と糖尿病は内服薬なしで経過観察ということでしょうか。脳のMRI所見では小さな梗塞巣(こうそくそう)があり、精密検査の予定なのですね。精密検査は頚(頸)動脈の超音波検査を行って動脈硬化を調べたり、脳内の血管をCTで表現する3DCTなどで狭窄(きょうさく)や石灰化がないか確認したりすると思います。高脂血症と糖尿病に対して、生活のなかでご自身でも実践できることがありますのでご紹介します。・減量まず、肥満があるかチェックしましょう。BMI(Body Mass Index)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求められた数字が、22±2であれば標準です。それ以上であれば肥満ということになります。標準体重は身長(m)×身長(m)×22で求められます。肥満と分かれば適正体重を目指して、減量していきましょう。・食事前述の標準体重に25~30kcalをかけたものが1日の摂取カロリーの目安となります。例えば、身長175cmの場合、1.75×1.75×22×25(~30)となり、おおよそ1,700~2,000kcalとなります。こう書くと難しく感じるかもしれませんので、まずは表示されているカロリーを気にすることから始めてみましょう。商品のパッケージの裏面や側面に、成分表がありカロリーが記載されています。それも面倒という場合は、間食をやめる、寝る2時間前からは食べない、お酒は飲まないといったように食生活の改善を始めましょう。・運動ウォーキング、軽いジョギング、水泳などの有酸素運動を始めてみましょう。強さの目安は多少息切れはするものの、人と話しながら続けられる程度です。なお、運動療法を始める前に、運動が可能か心臓の状態を調べる必要があります。・禁煙ニコチン自体が強力な血管収縮作用を持つため、血管が狭くなり、血圧が上昇し血流は低下します。また、煙に含まれる一酸化炭素は酸素よりもヘモグロビンと結合しやすいため、全身の組織が酸素欠乏状態になってしまいます。このため二次性の多血症が起こって血液粘稠度(けつえきねんちょうど)が増し、血栓ができやすい状態になります。たばこに含まれる活性酸素も血管内皮を害するため、さらに血栓や塞栓症の発症を促します。活性酸素により酸化変性を来たした脂質は、動脈硬化を悪化させます。施設によっては禁煙外来を開設しています。喫煙されていて、自力で禁煙するのが難しい場合はご利用ください。<生活習慣の見直しを実践していきましょう>やはり、生活習慣を見直すことが一番の治療です。見直したら実践する、文字にすると簡単ですがなかなか大変です。頑張っていきましょう。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日スポルツはこのほど、糖尿病患者や予備軍の人の予防や改善に向け、糖尿病療養支援サービス「糖尿病コーチング」のオンラインプログラム提供を開始した。同プログラムは、NPO法人ヘルスコーチ・ジャパンと連携して提供するもの。糖尿病は日々の食習慣、運動習慣などの生活習慣を見直すことで予防・改善が可能だが、生活習慣の改善では患者の生活スタイルを変えなくてはならないことも多い。そのため、取り組みの重要性は理解していても、実践は難しいといった課題がある。そこで、糖尿病患者や予備軍の人を個別にしっかりと理解し、それぞれに合わせて生活習慣を健康なものに変えていけるようオンラインにてサポートするプログラムを開発した。相手のやる気と行動を引き出す対人支援スキル・コーチングに、同社が展開しているデジタルヘルスを活用した「ヘルスコーチング」を組み合わせている。プログラムでは、糖尿病患者や予備軍の生活習慣改善につながるヘルスコーチングを行うためのコンテンツと、運用を行うためのノウハウを提供。オンラインにて、ヘルスコーチングによる行動変容を促すコミュニケーションを行うことで、糖尿病患者や予備軍の人々が、無理なく生活習慣を改善し、定着させることができるという。
2016年11月17日20代後半に、寝ても覚めても結婚のことを考える「結婚したい病」にかかった人は多いはず。30歳を過ぎると独身女性でも、寝ても覚めても子どもが欲しい「子ども欲しい病」にかかる人もいます。結婚よりも子どもが欲しいと感じるこの気持ちの正体は、一体なんなのでしょうか?子ども欲しい病ってどんな状態?子ども欲しい病を発症すると、次のような症状が見られます。 軽くチェックしてみましょう。・寝ても覚めても「子どもが欲しい」と思う・女子会の乾杯後の第一声が「あ~子どもが欲しい」・結婚したいというより、とにかく子どもが欲しい・出産のリミットが近づいていることに焦っている・優秀な男のDNAが欲しい・卵子凍結について調べたことがある少しでも心当たりがある人は、子ども欲しい病にかかっているかもしれません。なぜ私たちは、こうも子どもが欲しくなる?「子どもが欲しい」という感情は、女性としてとても自然なことです。なぜなら人間には本来、生殖本能というものがあり、子孫を残すために生まれてきたと言っても過言ではありません。しかしトリッキーなことに、女性は出産のできる年齢が限られています。おそらく、この子ども欲しい病とは、出産リミットが近づいて、「そろそろ産んでおけー!間に合わなくなっても知らんぞー!」と母性本能が警鐘を鳴らしている状態なのでしょう。子ども欲しい病の特効薬はあるのかペットを飼う、甥っ子、姪っ子をかわいがるなど、行き場のない母性を癒す方法はあるでしょう。しかし一番の解決法はやっぱり、自分の子どもを産むこと。「子どもが欲しい」という魂の叫びを無視せずに、真剣に向き合いましょう。子どもを産むことを目標に婚活をしていきましょう。30歳を超えたら、妊活も同時にするのもいいでしょう。なにも「デキ婚を狙え」という意味ではなく、いつ結婚して子作りしてもOKなように、体のメンテナンスをしていくのが大切です。仕事はいつでもできる、子どもはいつでもできないそうはいっても、「今仕事が盛り上がってきているので……」と、子どもどころじゃないアラサー女性もいるはず。結婚・出産を取るかキャリアを取るか、女性として非常に難しい選択ですよね。積み上げてきたキャリアをストップさせるのは非常に不安なことです。しかし、子作りにはリミットがあることを思い出しましょう。個人的には、のちのち後悔するよりも、結婚&子作りを優先すべきだと思っています。私自身もキャリアを積み上げていますが、それを投げうってでも子どもを優先したいです。なぜなら30歳でキャリアを諦めたとしても、50歳になったらまたやりたい仕事が出てくると信じているから。仕事はいつでもできるけど、子どもは今しかできません。失ったものよりも得たものを数えよう、というのが私の信条です。と、ここまで偉そうに語ってきましたが、私も独身32歳。未だ父親になってくれそうな相手はいません。婚活頑張ります……。
2016年09月22日『夢のチョコレート工場』のウィリー・ウォンカ役などで知られる俳優のジーン・ワイルダーが、アルツハイマー病の合併症により米コネチカット州スタンフォードの自宅で死去した。83歳だった。ジーンの甥ジョーダン・ウォーカー=パールマンが声明文を発表し、「この状況に対するすべての感情的、身体的なチャレンジにおいて私たちが幸運であったことを理解しています。たくさんのほかのケースとは異なり、この病気が、ジーンの最も近い人々のことを認識する能力を奪うことなく、また彼の核となる性格を保ちながらの温和な生活を支配することはありませんでしたから」と伝えた。そして、「これまで彼のこの病気について明かさなかった理由は虚栄心からではありません。病気または問題を連想させ、また喜びを心配、落胆、混乱へと変えてしまうような1人の大人を、ジーンに笑いかけ『ウィリー・ウォンカがいる』と呼びかけるだろうたくさんの子供たちの前にさらす必要はなかったからです。彼はただ世界から1つでも笑顔が少なくなってしまうことを避けたいと考えていました」と病気を公にしなかった理由を説明。さらに、「アートや音楽、過去25年間連れ添ったカレン(ボイヤー)にキスすることをジーンはずっと楽しんでいました。結婚式には教会のバージンロードで花婿の親として、指輪を運ぶ係として踊ったりしていました。午後には西部劇を見続けたり、愛する人たちに囲まれて過ごすことを楽しんでいました」とジーンとの思い出を明かした。1989年に非ホジキンリンパ腫と診断されたジーンは、『夢のチョコレート工場』以外にも『プロデューサーズ』『ブレージングサドル』への出演などで有名だった。1974年作『ヤング・フランケンシュタイン』では、出演以外に、友人のメル・ブルックスと共同で脚本も担当しており、メルは自身のツイッターで追悼のメッセージをつづっている。(C)BANG Media International
2016年08月31日ハンチントン病とは?出典 : ハンチントン病とは、運動症状・精神症状などの症状がみられる遺伝性の神経変性疾患で、国の指定難病にされています。平均30歳~40歳頃に発症する方が多く、症状は本人が気づかないうちにいつの間にか始まっていることが大半で、約15年をかけてゆっくり進行していきます。アジアでの発症確率は10万人に0.4人と、比較的稀な疾患です。運動症状としては、不随意運動(舞踏運動)によって手足が自分の意思とは関係なく動く、精神症状としては苛立ちやうつ状態が続くことなどがあります。これらの症状は時間に伴って進行していきます。参考書籍:日本精神神経学会/監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』医学書院/刊ハンチントン病の症状出典 : ハンチントン病の症状には運動症状と精神症状があり、初期・中期・後期と症状が進行していきます。しかし、人によって症状の程度には個人差があり、またすべての症状が発症するわけではありません。不随意運動(舞踏運動):自分の意思とは関係なく体が運動することを不随意運動と言います。ハンチントン病では、手足を勢いよく曲げたり伸ばしたりする動き、頭部を回したり伸ばしたりする動きや、舌を出したり、しかめ面をしたりなどの表情の動きなどがみられます。進行するにつれて、歩行・食事・着脱・排泄等も難しくなり、介護が必要になることがあります。短気・いらだち・うつ状態・不安・無気力状態等の症状がみられます。進行するにつれて症状は悪化していきます。認知能力が低下し無目的な言動が増えてきます。また、抑うつ状態が続くせいで、自殺を図ろうとすることもあります。精神症状も進行すれば介護が必要となることがあります。Upload By 発達障害のキホン症状の発症や程度には個人差があり、運動症状は初期症状でも、精神症状は中期症状等というように、症状のパターンは様々です。また上記の症状以外の症状も発症する場合があります。ハンチントン病の原因出典 : ハンチントン病は、第4染色体に局在する遺伝子(IT15 またはハンチンチンと呼ばれます)の繰り返し配列の異常によって引き起こされます。第4染色体の遺伝子の通常の繰り返し配列の長さは26回以下ですが、ハンチントン病の方は36回以上と染色体が伸長しています。この反復配列の数の長さによって発症年齢が決まり、伸長するほど若い時期に発症するといわれています。また、ハンチントン病の主な症状である不随意運動(舞踏運動)は、脳の一部で随意運動を司っている大脳基底核と大脳皮質が萎縮することで発症します。ハンチントン病は常染色体優位性遺伝といって、発病の原因となっている遺伝子が親から子に伝わる病気です。両親のうちのどちらか一方がハンチントン病の原因遺伝子を持っている場合、子どもには50%の確率で遺伝します。ただし、祖父母から孫に世代をまたいで原因遺伝子が遺伝することはありません。ハンチントン病の診断基準は?出典 : ハンチントン病の診断基準は問診や画像検査によって分かることがあります。また、受診機関もその時々の症状に合わせて横断的に受診し、専門医にも診てもらうことをおすすめします。ハンチントン病の診断は主に問診によって行われ、家族歴、臨床所見により臨床判断が可能です。しかし、確定診断は遺伝子検査により診断されます。■家族歴:近親にハンチントン病を患った方がいるか、または神経疾患や精神疾患がある方がいるかどうか。ハンチントン病の原因は親から子への遺伝によるものです。したがって、近親でハンチントン病になったことがある方がいるかどうかを問うことがあります。■特徴的な臨床所見:上記で述べたようなハンチントン病特有の運動症状(不随意運動)や精神症状を自覚または他覚できるかどうか。初期症状では日常生活中のふとした瞬間に手が震える等の軽い不随意運動が起こります。初期症状を他覚するのは難しいですが、自覚があるならば問診時に話してみることをおすすめします。神経内科や精神科を受診して、専門医に診てもらうことをおすすめします。近親にハンチントン病の方がいらっしゃる場合には、その旨を医師にお伝えください。■CT検査・MRI検査ハンチントン病の不随意運動(舞踏運動)は脳の一部の大脳基底核と大脳皮質の異常により生じるため、CT検査やMRI検査を行います。さらにこれらの検査は他の病気である可能性を否定するために行うものとされています。また、うつ病の方は共通して大脳基底核と大脳皮質の萎縮が見られますが、これらの特徴がうつ症状にどのように影響しているかはまだ分かっていません。■遺伝子検査確定診断のために遺伝子検査を行います。近親にハンチントン病の方がいて、ご自身にも自覚症状がある場合には遺伝子検査を受けることをおすすめします。近親にハンチントン病の方がいるが、ご自身に自覚症状がない場合は、遺伝カウンセリング等を受けることが一般的にすすめられています。ハンチントン病の治療法出典 : ハンチントン病の原因治療はなく、対症治療がメインになります。主に薬物療法を用いて運動症状・精神症状を和らげています。不随意運動(舞踏運動)の治療薬には2013年から使用が許可されたテトラベナジンがあり、精神症状には抗精神病薬を使用しています。参考サイト:テトラベンジン添付文書ハンチントン病と診断されたら…出典 : ハンチントン病が進行するにつれて、自分の意思を伝えることが困難になってきます。そのため、本人が自分の意思・希望を伝達するための方法を確保することが重要です。また、難病指定がされている疾患のため、医療費の助成支援を受けることもできます。以下では、診断を受けたらしておくと良い手続きなどをご紹介します。事前指示書とは本人が医療についての決断を下すことができなくなった場合に、医療についてのその人の希望を伝達するための文書です。以下の文書を作成し、手続きを行っておくと自分の意思や尊厳を優先することができます。■リビングウィル医療に関する患者の指示や希望をあからじめ表明した文書■医療判断代理委任状本人が決断を下すことができない状態に陥った場合に本人の代わりに決断を下す(代理人)を指定するための文書参考サイト:メルクマニュアル医学百科事前指示書(アドバンス・ディレクティブ)ハンチントン病は国の指定難病にされているため、医療費の助成を受けることができます。指定難病の医療費の自己負担割合は2割です。また、その他の制度による医療費がすでに1割負担となっている患者さんの場合、負担割合は1割のまま変わりません。難病医療費は世帯の所得に応じた医療費の自己負担上限額(月額)が設定されます。自己負担上限額は、受診した複数の医療機関などの自己負担をすべて合算したうえで適応されます。参考サイト:難病医療費助成制度の対象疾病についてまとめ出典 : ハンチントン病は、10万人に0.4人が発症するという極めてまれな病気です。人から人へ感染する病気ではなく、親から子へ遺伝によって原因遺伝子を引き継ぎ発症するため、生活習慣の悪化によって発症したり進行したりする病気ではありません。根本的な治療方法はまだ見つかっていませんが、不随意運動を和らげる薬や、精神症状を和らげる抗うつ薬や抗てんかん薬等があり症状を和らげることができます。症状を緩和するためにも早めに医療機関の受診をおすすめします。参考サイト:難病情報センター参考サイト:メイクマニュアル参考サイト:ハンチントン病と生きる参考サイト:メディカルノート
2016年07月25日日本糖尿病学会はこのほど、日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2016」において、日本人の95%を占める2型糖尿病の対処策に関して新見解が加わったことを発表した。厚生労働省の国民健康・栄養調査(2012年)によると、日本の糖尿病人口は前回調査(2007年)より60万人増えて950万人と過去最多を記録した。予備軍も含めると2,050万人で、5人に1人が該当する計算となる。男女比は、男性27.3%、女性21.8%で、男性の割合の方が多い。東京慈恵会医科大学附属病院 内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌内科の宇都宮一典医師は、糖尿病人口よりも、質の変化に着目しているという。以前は一定の年代で発症する糖尿病が、現代では肥満が誘引している場合が多くなっている。年齢も多様化しており、小児肥満から気づかぬうちに予備軍となってしまい、10・20代で発病する場合もあるという。糖尿病は、主に自己免疫によって、自分自身でインスリンを産生するすい臓の細胞を破壊してしまい、分泌ができなくなって発症する「1型糖尿病」と、インスリンの分泌が少なくなって発症する「2型糖尿病」に分けられる。日本人の95%は「2型糖尿病」で、遺伝的に糖尿病になりやすい体質のほか、食べ過ぎや運動不足、肥満、喫煙などの生活習慣が関係していると言われている。日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2016」では、2型糖尿病の対処策に関して新しい見解を加えた。肥満の程度を知るための指数であるBMI値を意識するより、まず現体重の5%の体重減量を目標とすることが適当であるとのこと。血糖値が高い状態が長く続くと、合併症を引き起こす可能性が高くなる。糖尿病の症例が多様化する中、従来の糖尿病合併症は網膜症・腎症・神経障害など細小血管症が主だったが、近年は肥満が発病を誘引する糖尿病が増えているため、脳卒中・心筋梗塞・抹消動脈系疾患などの大血管症が増加しているという。糖尿病予防のためには、血中のブドウ糖値を標準値に保つ努力が必要とのこと。そのためには、主に運動と食事の2つの生活習慣を改めていくことが重要となる。運動することで、血中のブドウ糖が筋肉で消費され、血糖値が降下する。特に食後の運動は急激な血糖値上昇を抑制するため、食後高血糖(かくれ糖尿病)には非常に有効だという。食事は、1日の摂取カロリーを守り、栄養バランスもよく食べることが必要となる。近年は、糖質(炭水化物)の摂取量が減っている一方で肥満性の糖尿病が増加しているという。予防には糖質制限ではなく、食事のエネルギー総量を制限することが有効とのこと。摂取する食品は、食塩やコレステロール、飽和脂肪酸を含む食品を避け、食物繊維を多く摂取するよう心がけることが必要だという。食物繊維には、便通の改善や血糖値の上昇を防ぐなどの効果があり、特に水溶性食物繊維は血中コレステロールの上昇を防ぐ働きがあるため、動脈硬化の予防にも有効であるとのこと。中でも、β-グルカンという水溶性の食物繊維が多い「大麦」は、食後の血糖値を是正する機能を持つ食材として注目されている。近年の研究では、大麦β-グルカンを含む食品を摂取すると、糖質の吸収が53%の抑制されることも明らかになっている。また、朝食に大麦を食べると、朝食の直後だけでなく、昼食や夕食の糖質の吸収も抑制することもわかったとしている。ある調査では、朝食として糖質の含有量が50gになるよう調整した大麦(または白小麦パン)を摂取した被験者に、昼食に同じ食事(標準昼食)を摂取させた。その結果、朝食で大麦を食べた場合では、昼食後の糖質の吸収が44%抑制されていたという。
2016年07月22日近頃なんだか疲れがとれない、頭痛や肩こりがひどい、だるくて家事も仕事もやる気がしない…。そんな症状がある人は、もしかしたら「6月病」かもしれません。4月に環境が大きく変わった新社会人や新入生が、5月の連休明けに無気力になる状態は、一般的に「5月病」として知られています。しかし最近では、5月病のような症状が少し遅れて6月に出る「6月病」が増えているといわれているのです。■専業ママにも6月病はある働くママはもちろん、専業ママにも、6月病は無関係とはいえません。仕事をしていてもいなくても、育児中のママにとって、4月は大忙しの時期。とくに子どもの新入園や新入学があると、園で使うグッズや学用品を用意したり、保護者会、PTAの活動がはじまったりと、予定がてんこ盛りです。夫や子どもの新生活に関する悩みや相談事に耳を傾けているうちに、影響を受けて気持ちが落ち込むこともあるでしょう。5月の連休中だって、子どもの世話や帰省、旅行の準備などやることが多く、ママにとっては完全な休息とはいえません。その後に訪れる6月は、4月から張り詰めていた気持ちがゆるんで、疲れやストレスが心身に表れやすい時期。しかも、ちょうど梅雨どきで天気が悪い日が続くため、余計に気分が落ち込みやすくなります。さらに、雨で服がぬれて洗濯の回数が増える、洗濯物が乾きにくい、湿気やカビが気になるなど、家事の負担が増えるのもストレスの大きな原因に。外でも家でもたくさんの役割を担うママこそ、6月病には注意が必要だといえるでしょう。■「6月病かもしれない」と思ったら?6月病の対策としては、ストレスを取り除いていくことが重要です。といっても、日常生活からすべてのストレスを取り除くのは難しいもの。まずはストレスがたまっていることを自覚し、家事や仕事が思うように進まなくても自分を責めないようにしましょう。予定を詰め込みすぎず、休みを増やすことも対策につながります。ただしママの場合、週末に家族でのお出かけやレジャーの予定を入れすぎると、かえって疲れてしまう可能性もあります。休日には、家で読書やDVD鑑賞をしたり、一人で映画やショッピング、美容院に出かけたりと、自分だけのリラックス時間をつくるといいかもしれません。散歩やスポーツで適度に体を動かすことも、ストレス解消には良いといわれています。5月病も6月病も正式な病名ではありませんが、医学的には「適応障害」にあたり、放置しておくと深刻なうつになることもあるそう。心身の不調や憂うつな気分が長引く場合は、「ただの6月病」なんて思わず、早めに心療内科や精神科を受診しましょう。特に目立った不調を自覚していないママも、予防のために、6月はちょっとのんびりモードで過ごしてみてはいかがでしょうか。
2016年06月21日キス病ってご存じですか? もちろん、お酒を飲むとキスをしたくなってしまう、といったことではありません。キス病とは伝染性単核球症といって、ヘルペスウイルスの仲間のウイルスに感染することで起こる病気です。その名の通り、キスでうつってしまうのです。伝染性単核球症(キス病)のウイルスはヘルペスの仲間伝染性単核球症(キス病)とは、エプスタイン・バーウイルス(EBウイルス)と呼ばれている、ヘルペスウイルスの仲間によって発症します。子ども時代に感染することも多く、小さいころは感染にも気づかず、ほとんど無症状のまま自然治癒することも多く、抗体ができます。大人になって初めてウイルスに感染をすると、抗体のないからだにはさまざまな症状があらわれます。しかし、その場合でも、ほとんどが数週間で自然に治るといわれています。風邪やインフルエンザと似た症状伝染性単核球症(キス病)に感染すると、のどの痛みや発熱、リンパの腫れなどが見られます。潜伏期間は4週間~6週間前後です。発症した後の発熱は、最初はゆるやか。5日前後をピークに高熱に変わってきます。風邪やインフルエンザなどと症状が似ているため、内科を受診することも多いそうです。症状がおさまったように見えても、ウイルスは血液のなかに潜んでいることもあるため、再発には気をつけましょう。まれに感染が広がり、脾臓の腫れなどの重篤な症状につながることもあります。伝染性単核球症(キス病)とは、身近な「キス」で感染してしまう病気です。もしも感染がわかったら、パートナーとのキスはがまんするようにして治療に専念しましょうね。情報提供元:あなたのオンライン婦人科 Rucora[ルコラ]
2016年06月17日5月病というと社会人などの大人がかかるようなイメージがありますが、最近は低年齢化し園児が5月病にかかるケースも増加しています。子どものストレス状態には早く親が気づいてあげたいですよね。どんな症状がありどの様に対処したらいいのでしょうか。5月病の原因とは?5月病になる原因は1つではありません。新しい環境に慣れないことから「早く適応したい」という焦りがうまれ、頑張りたい気持ちが空回りしストレスになることや、逆に、新しい生活への期待が高すぎて現実とのギャップに落ち込んでしまうケースもありあす。また、性格が真面目な場合、新生活で緊張した状態を持続することで疲れてしまったり、長い休みで緊張の糸が切れてしまい、前の生活に戻りたくなくなるなど、様々な原因があります。5月病になっていないか、ここをチェック!5月病になっているかどうかは下記をチェックしてみましょう。・朝なかなか起きない・園に行くことを嫌がる・イヤイヤが増えた・親に甘えることが多くなった・以前できていたことをやらなくなった・疲れやすくゴロゴロしていることが多くなったさらに小学生の場合は、・食欲がなくご飯をあまり食べなくなった・笑うことが少なくなった、表情が暗い・学校でのことをまったく話さなくなった・一人になりたがったり、一人で部屋にこもることが多くなった上記のチェック項目に多くあてはまるなら要注意です。5月病の対処法5月病になってしまった場合はどのように対応したらよいでしょうか。まずは子どもの話をよく聞いてあげること。その日あったことなどを、何気ない会話の中で聞き出しましょう。食事やお風呂の時などは話しやすいですね。無理やり聞き出すのではなく、あくまでさりげなく聞いてみましょう。普段からなんでも話せる親子関係を築いておくことは大切です。甘えたい時は、思いっきり甘えさせてあげましょう。「もう〇歳なんだから」などと突き放されると精神的ストレスが増加してしまいます。スキンシップをいっぱいとりましょう。子ども自身はとても頑張っているので「頑張れ」と無理強いをすることはよくありません。「無理しなくていいよ」「よく頑張ってるよ」など、子どもの行動を認めてあげましょう。休みの日には体を思いっきり動かしたり、普段から規則正しい生活のリズムを作ったりすることも効果があります。夜更かしなどが続くと肉体的にもダラけてしてしまい起きられない、行きたくないということにつながってしまいます。5月病は大抵一過性のものであり1~2ヶ月で症状がおさまることがほとんどです。あまり症状が長引く際は病院で診察してもらう必要もあるかもしれません。しかし上記の対処にくわえ、親が子どもとしっかり向き合い笑顔で生活することで新しい環境にも適応していくはずです。普段から子どもの様子を観察し、少しでも様子が違うようであればしっかりとケアできるようにしておきたいですね。
2016年05月27日新入社員に多く、GW明けの時期に体のだるさや無気力感などがあらわれてしまう5月病。実は5月病は、仕事場にだけで起こるものではありません。子育てにまつわる緊張やストレスが、「ママの5月病」を引き起こしてしまうこともあるのです。この時期「体がだるい」「やる気がでない」などの不調が出たら要注意! 子育てママ特有の5月病について、原因と対処法を知っておきましょう。■「ママの5月病」の原因とは?新年度を迎えて環境が新しくなるのは、会社だけに限りません。入園や入学、進級など、春は子どもを取り巻く環境も大きく変わります。年度末から4月にかけて、さまざまな準備や子どものフォロー、新しいクラスの人間関係、スケジュール管理など、ママの緊張の糸も張りっぱなし状態。子どもも楽しく園や学校に通い始めた今の時期、ホッと一息ついた途端に、それまでたまっていたストレスが5月病としてあらわれてしまうことに。また、働くママがやってしまいがちなのが、休みの日に予定を詰め込みすぎてしまうこと。「平日できない家事を片づけなきゃ」「普段時間がとれない分、子どもとたくさん遊ぼう」とGWに頑張りすぎた結果、連休明けに一気に心身の不調をきたしてしまうケースも多いのです。 ■こんな症状が出たら要注意!ママの5月病チェック5月病は気持ちが落ち込むだけでなく、体の不調となってあらわれることも多いもの。こんな症状があらわれた場合、もしかしたら5月病になってしまっているかも?□ 肩こりや頭痛がすることが多い□ 便秘や下痢が続く□ 朝なかなか起きられない□ 食欲がわかない□ ちょっとしたことでイライラする□ 今まで好きだったことに興味がわかない□ 集中力が低下してミスが多くなる□ きちんと睡眠をとっても熟睡感がないあてはまる項目が多かった人は、気づかないうちにストレスをためこんでしまっている可能性が。無理を続けてダウンする前に、しっかり対策をとっておきましょう。■ママの5月病を撃退するには5月病対策として大切なのは、ストレスや疲れをためこまないこと。休みの日でも予定の詰め込みすぎはNG。パパや子どもに家事を手伝ってもらったり、自分だけでのんびり外出したりする時間を作ってみてください。また、普段の生活の中でも「家事をきちんとしなくては」などと思うと、自分で自分を追い詰めてしまうことに。夕食のおかずは買ってきたお惣菜ですます、上手に掃除の手を抜く、などして、その分自分を休ませてあげましょう。ハーブティーでひと息ついたり、好きな香りの入浴剤でバスタイムを楽しんだり、お気に入りのスイーツを味わったりするのもおすすめです。まじめで責任感の強い人ほどなりやすいといわれる5月病。でも、ママが倒れてしまっては子どもにも影響が出てしまいます。忙しい毎日だからこそ、上手なストレス解消を心がけたいですね。
2016年05月12日「最近、なんだかやる気が出ない…」体がだるく、心も沈みがちで気力がわかない。これって、もしかして五月病!? エキサイトお悩み相談室の 日高千香子(ひだか ちかこ)先生 によると、ゴールデンウィークを明けたころから、五月病になる人が増えるのだとか。そもそも五月病ってどんな病気? どんな症状が出るの? 五月病になりやすいタイプと対策法を日高先生に聞きました。■五月病って、どんな病気?五月病とは、主にゴールデンウィーク明けごろから現れる症状で、倦怠感や疲労感、無気力感などを伴う、心と体の一時的な不調を表す俗語です。医学用語では、適応障害と言われます。4月は職場の部署移動や、転勤、転職、入学、住環境の変化が多く、「早く慣れよう」とがんばり過ぎたり、緊張状態が続く環境に身を置いたりすることで、徐々にストレスや疲労が蓄積されていきます。そして、1ヶ月経過したころにゴールデンウィークに突入します。これまで続いていた緊張が休暇によってほぐれ、やる気が失われるほか、気分が落ちこむなど、体調不良として症状が表れます。かつては、五月病は新入社員などに多く見られ、環境に慣れる夏ごろには徐々に症状がなくなり改善されると言うのが通例でした。しかし現在では、年齢・季節を問わず、いつでも誰にでも起こり得る可能性がある病気です。■「五月病」心と体に表れる主な症状肉体的な症状息苦しさ動悸がする胃の痛み頭痛やめまい食欲不振精神的な症状気分の落ちこみ不安や焦りを感じるイライラするやる気が出ない集中力がない眠れない■「五月病」になりやすいタイプまじめで几帳面、責任感が強く完璧主義、内向的でおとなしい人が五月病になりやすいと言われています。一生懸命になり過ぎてしまい、手を抜くことができず疲れに気づきにくい傾向があります。また、内向的でおとなしい人は、周りを気遣い、自身の思うことが言えない場合もあるようです。対策と予防ウォーキングやヨガ、ストレッチなど軽い運動を行うアロマを利用し、香りでリラックスをするぬるめのお湯で、ゆっくりと入浴をする好きなことをしたり、音楽を聴いたりして気分転換をはかる悩みごとを抱えこまず、信頼できる友人などに話を聞いてもらう規則正しい生活を心がけ、生活リズムを整える食生活の改善をし、セロトニンを多く含む食品を摂取する深呼吸などをし、呼吸を整える■「五月病」セルフチェック「もしかして五月病かも?」と思ったら、まずはチェック!人と会うのがおっくうになる食欲が湧かない夜はなかなか寝つけず睡眠不足イライラしたり、焦ったりすることが多くなった服装や身だしなみに気を使わなくなった集中力が低下しミスが増え、作業効率が悪くなった朝起きづらいマイナス思考に陥りやすい遅刻や欠勤が増えた頭痛やめまいが起こりやすくなった4~6個当てはまる方は、軽度の抑うつ傾向が見受けられます。ストレスを解消するために、気分転換や適度な運動を行い、症状の緩和につとめましょう。7個以上当てはまる場合は、五月病の可能性が大きく要注意です。まずは、ゆっくりと心と体を休めることが大切です。なお、五月病は一時的な不調ですので環境に慣れてくることで症状は緩和し、1ヶ月~2ヶ月程度で自然に回復すると言われています。また、不調が3ヶ月以上続く場合は、うつ病などの精神疾患の可能性もありますので、専門医を受診されることをおすすめします。疲れやストレスがたまりやすい5月は、心と体をゆっくり休められる時間をとるようにするといいでしょう。どうしても不安を感じたら、お悩み相談室の先生に相談してみてくださいね。・取材協力:エキサイトお悩み相談室 日高 千香子(ひだか ちかこ)先生 (しょう)
2016年05月11日妊娠糖尿病(糖代謝異常)とは妊娠糖尿病とは、妊娠中に血糖値が高くなったり、血糖値が高い状態が初めて発見されたりなどで、その妊婦さんが初めて糖代謝異常(糖尿病になっていないが、糖代謝が正常の範囲内ではない状態)になることです。明らかな糖尿病とは異なります。糖代謝異常とは、食べたものをエネルギーとして全身の細胞に取り込むインスリンというホルモンのはたらきが正常の範囲内ではなくなっている状態です。インスリンは、食事の後に上がる血糖値を下げるはたらきを持ちます。妊娠時には、血糖値を上げやすいはたらきを持つホルモン(インスリン拮抗ホルモン)などが胎盤で作られたり、胎盤からもインスリンを壊す酵素が作られたりするため、妊娠中期以降にインスリンが効きにくい状態になり、血糖値が上がりやすくなります。通常はすい臓からインスリンを多く分泌することで血糖値が上がらないように調節しますが、必要なインスリンが少ない体質の人や、必要量を分泌することができない人の場合に血糖値が上昇し、糖代謝異常になります。妊娠中に発見される糖代謝異常は、肥満体質であったり、高カロリーな食事を続けたり、強いストレスを感じやすかったりなどさまざまな要因で発症すると言われており、ママとお腹の赤ちゃんの健康にさまざまな合併症が生じます。35歳以上での妊娠である場合や、家族に糖尿病の人がいる場合も、妊娠糖尿病につながる糖代謝異常を起こしやすい傾向があります。また、妊娠前から糖尿病を患っていたり、妊娠時に明らかに糖尿病だと診断されたりした場合は糖尿病合併妊娠と呼ばれます。妊娠初期・中期の、妊娠糖尿病(糖代謝異常)の症状妊娠糖尿病につながる糖代謝異常は、初期では自覚症状はほとんどないと言われています。症状が進行すると、のどの渇き、頻尿、倦怠感や体のだるさなどが症状となって現れます。ですがこれらの症状は妊娠症状にもよく見受けられるため、妊娠糖尿病につながる糖代謝異常の自覚として区別されにくいと言われています。また妊娠糖尿病と診断されたり、もともと糖尿病で糖尿病合併妊娠である場合、糖代謝異常が続くことで母子にさまざまな症状が起きたり、合併症が発生しやすくなったりします。妊娠糖尿病や、糖尿病合併妊娠などの糖代謝異常をもつママのリスク巨大児お腹の中で4000g以上育つことを指します。高血糖状態のママから糖を過剰摂取した赤ちゃんはインスリンを多く分泌しており、巨大児になりやすいとされています。巨大児の場合は難産となり、多くは帝王切開となるほか、お産時に赤ちゃんの肩甲骨が引っ掛かり分娩ができなくなる肩甲難産となる可能性があります。肩甲難産では仮死状態出産や骨折、脳や体の神経麻痺などのトラブルを引き起こしたりする恐れがあります。妊娠高血圧症候群高血圧状態が続く疾患です。重症化すると脳出血や肝機能障害などを引き起こします。羊水過多症羊水が増えすぎる病気です。流産や早産、逆子、妊娠中や分娩中に胎盤がはがれる常位胎盤早期剥離などを引き起こします。子宮内発育遅延(胎児発育遅延)赤ちゃんの成長が止まったり遅れたりして、十分に成長できていない症状を指します。新生児低血糖症産前に、高血糖状態のママから糖を過剰摂取した赤ちゃんはインスリンを多く分泌していますが、産後は母体からの糖の供給がなくなるため、低血糖になります。授乳やミルク、糖水などで速やかに血糖値を上げたり治療を行ったりすれば健康に問題はないと言われますが、早期に適切な対処がなされない場合、神経学的後遺症を残す可能性があります。低カルシウム血症血中のカルシウム濃度が低い症状を指します。命にはかかわりませんが、手足のしびれや筋肉のけいれんなどがある場合は治療が必要です。肝臓の機能が低下している場合にも起きる場合があります。多血症血液中の赤血球が異常増加する病気です。血液中の赤血球が多過ぎる状態のことです。血液が濃くなり、毛細血管の血流が悪化してしまうことがあります。その結果、皮膚のかゆみ、目の結膜の充血などのほか、血中に血栓ができやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞を起こす可能性があります。先天奇形中枢神経系、骨格系、心血管系、腎尿路系、消化器系、耳や口など、さまざまな器官で奇形が発生します。もともと糖尿病にかかっている場合は、妊娠初期から高血糖状態が続いたり、血糖コントロールが悪い状態が続いたりする傾向があり、先天奇形が起こりやすくなると言われています。診断の仕方と、診断後の生活について妊娠糖尿病につながる糖代謝異常は、妊娠の早い段階で血糖を計測し、もし血糖値が高いことが分かれば血糖検査(ブドウ糖負荷試験)を行い、結果を見て診断されます。妊娠初期で異常が見られない場合も、妊娠中期にはよりインスリンが効きにくくなるため血糖が下がりにくく、再試験を受けて診断を受ける必要があります。糖代謝異常がみとめられて妊娠糖尿病と診断された場合、主に食事療法で血糖コントロールを行います。健やかな妊娠を維持するのに必要なエネルギーを摂取し、高血糖を起こさない食べ方をするよう管理していきます。血糖値は、食前100mg/dl未満、食後2時間120mg/dl未満を目標とし、エネルギー制限食のほか、一日の食事を4回~6回などに分けて摂る方法などを行います。運動療法も指導されますが、ウォーキングや食後のストレッチや体操を、体調をみながら無理のない範囲で行います。インスリンのはたらきを活発にし、食後高血糖を抑えることができます。場合によっては、赤ちゃんの健康に影響を与えない種類のインスリン注射や、薬による治療が用いられることもあります。もともと糖尿病であったり、糖代謝異常がみとめられて明らかな糖尿病と診断され、糖尿病合併妊娠だと分かったりした場合は、かかりつけ医による治療や血糖コントロールを併用しながら妊娠生活を送ることになります。赤ちゃんの健康に影響を与えない種類のインスリン注射や、薬による治療が用いられることもあります。普段から注意することとは妊娠糖尿病につながる糖代謝異常を予防するには、バランスの良い食生活を送り、食べ過ぎや偏食などを避けることが重要です。妊娠糖尿病と診断されたら、産後すぐでなくても、将来的に糖尿病を発症する可能性が高まります。産後6~12週間後に再び血糖検査(ブドウ糖負荷試験)を受け、妊娠糖尿病が改善しているかの検査が行われます。妊娠中の生活の送り方はもちろん、産後の体質改善も踏まえ、健診医やかかりつけ医の指導のもと、気を付けて付き合っていきましょう。明らかな糖尿病であったり、糖尿病合併妊娠である場合は、あらかじめしっかりと血糖コントロールを行い、糖尿病が引き起こすさまざまな合併症を避ける計画妊娠を行います。ママと赤ちゃんの健康のため、しっかりと管理していきましょう。
2016年04月04日大阪市立大学(大阪市大)は3月29日、既存医薬品で結核やハンセン病などの治療に使われてきた抗生物質「リファンピシン」にアミロイドβ(Aβ)、タウ、αシヌクレインのオリゴマー形成を抑える作用があることを発見し、アルツハイマー病などの記憶障害を改善する効果があることを確認したと発表した。同成果は、同大 医学研究科 脳神経科学の富山貴美 准教授らのグループと、金沢大学、富山大学、米国ノースウェスタン大学らの共同研究によるもの。詳細は英国の神経学雑誌「Brain」にオンライン掲載された。これまでの研究から、アルツハイマー病はAβとタウというたんぱく質が脳に蓄積することで、脳内で数分子~数十分子からなる会合体「オリゴマー」を形成し、神経細胞の機能を阻害することで発症すると考えられている。また、前頭側頭型認知症は、タウやTDP-43というたんぱく質が、レビー小体型認知症はパーキンソン病と同じαシヌクレインというたんぱく質がそれぞれ蓄積することで、同様にオリゴマーを形成し、発症につながると考えられている。もっとも研究が進んでいるアルツハイマー病では、治療薬としてAβを標的とする薬(Aβ産生酵素阻害薬、Aβワクチン、Aβ抗体など)が数多く開発されてきたが、臨床試験ではいずれも有効性が確認されないため、その多くが開発中止になっている。この原因として、発症後にAβを除去しても、多くの神経細胞が死んでしまっており、手遅れであることが考えられ、近年では治療よりも予防に向けた研究が進められつつある。ただし、認知症予防のためには、長期にわたって薬を服用し続ける必要があるため、副作用が少なく、かつ安価で内服可能な予防薬の開発が求められている状況にある。今回、研究グループでは、リファンピシンを含む5つの経口摂取可能な低分子化合物のAβオリゴマーの細胞内蓄積の抑制度合いを調査し、リファンピシンがもっとも効果があることを発見した。また、タウやαシヌクレインのオリゴマー形成も抑制できることも確認したことから、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症、いずれにも効く可能性があることが示されたとする。実際にマウスを用いた経口投与実験では、1カ月間の投与により、Aβオリゴマーが細胞内に蓄積するタイプのアルツハイマー病モデルマウスではAβオリゴマーが減少し、シナプスの回復とともに記憶障害も改善されたほか、老人斑を形成するタイプのアルツハイマー病モデルマウスでもシナプスが回復したが、老人班が逆にやや増加傾向を示したとする。これは、Aβオリゴマーを解離させて生じたモノマーが老人班に取り込まれて成長を促したためと考えられるが、近年の研究では、老人班は有毒なオリゴマーを封じ込めるために形成されるものと考えられており、わずかな増加であればそれほど問題にならないと思われるとしている。また、タウが過剰にリン酸化され、タウオリゴマーが細胞内に蓄積する前頭側頭型認知症モデルマウスでは、タウオリゴマー、リン酸化タウがともに減少し、シナプスが回復し、記憶障害も改善されたことが確認されたとする。さらに、若いマウスでは、経口投与量を少なくしても同様の効果が得られることも確認したとのことで、投与期間を長くすることで、投与量の削減などにつながることも期待されるという。これらの結果を受けて研究グループは、リファンピシンは1960年代から用いられているため、副作用に関する情報も蓄積されており、ジェネリック薬品として安価に供給される点も含め、一部の患者で問題となる肝障害や薬物相互作用といった副作用をクリアできれば、認知症の予防薬として活用が期待できるようになるとしており、副作用の抑制に向けた投与方法の工夫などを進め、めどが立てば、臨床試験で実際の予防効果をヒトで確認していきたいとしている。なお、すでに発症してしまった患者に対しては効果がないとのことで、あくまで発症リスクの高い未発症者への発症阻止薬としての利用法になるとし、こうした研究が進むことで、新たな予防薬の開発につながることを期待したいとしている。
2016年03月29日産業技術総合研究所は3月16日、脳遺伝子研究グループの落石知世主任研究員らが北海道大学などと共同し、アルツハイマー病の原因因子の一つであるアミロイドβたんぱく質の動態を、生きた神経細胞内や生体内で可視化する技術を開発したことを明らかにした。培養細胞や生きた個体を用いたアルツハイマー病治療薬の候補物質のスクリーニングへの応用や、アルツハイマー病の発症メカニズム解明への貢献が期待できるという。アルツハイマー病は記憶障害や判断能力の低下、見当識障害等を特徴とし、認知症の半数以上を占める。だが、詳細な発症メカニズムが解明されておらず、有効な治療法や特効薬も開発されていない。アミロイドβたんぱく質の特徴として、集まって大きな凝集体を形成しやすい。アミロイドβたんぱく質と蛍光たんぱく質の「GFP」(緑色蛍光たんぱく質: 生きた細胞や個体内のタンパク質の局在などを観察する際によく用いられるたんぱく質)を融合させたたんぱく質・アミロイドβ-GFPは、アミロイドβたんぱく質が重合することでGFPの蛍光が阻害されると推測されてきた。そのため、これまでアミロイドβたんぱく質の局在や動態の可視化が困難とされてきた。研究チームは今回、アミロイドβたんぱく質とGFPをつなぐアミノ酸配列(リンカー)として、14個のアミノ酸を用いてアミロイドβ分子の重合体が形成されても蛍光を観察できる「アミロイドβ-GFP融合たんぱく質」(アミロイドβ-GFP)を開発。このアミロイドβ-GFPを核磁気共鳴装置や電子顕微鏡、免疫組織化学法、蛍光相関分光法で解析したところ、GFPを融合させたことでアミロイドβの重合が一定以上進まず、生体内でも生体外でも2量体から4量体を中心としたオリゴマー(単量体が少数個結合<重合>した物)の状態で存在することがわかったという。これらの特徴を活用し、生きた細胞内でアミロイドβの動きや、初代培養神経細胞内での蓄積状態などの解析が可能となるとのこと。また、アミロイドβとGFPをつなぐリンカーが短いと、重合の影響を受けてGFPの蛍光は観察されなくなる。そこで研究チームは、今回発見した現象を利用して重合の状態が検出できるシステムを考案し、GFPの蛍光強度を利用した治療薬候補物質のスクリーニングが可能か否かを実証した。その結果、GFP単独を特定の神経細胞に発現させたトランスジェニック線虫では神経細胞内で明瞭な蛍光が観察できたが、2個のアミノ酸からなる短いリンカーを持つアミロイドβ-GFPを発現させた線虫では、アミロイドβの重合の影響を受けてGFPの蛍光は観察されなかった。さらにこの線虫を、アミロイドβの重合を抑制するクルクミンを加えた培地で飼育した結果、GFPの蛍光が観察できた。これらの結果から、アミロイドβ-GFPは蛍光強度の変化を測定することで、アミロイドβの重合を抑える創薬候補物質のスクリーニングに利用できることが期待できるという。同研究所は今後の展開について、「培養神経細胞を用いて、アミロイドβ-GFPの蛍光強度を利用したアルツハイマー病の治療薬や予防薬の候補となる物質をより簡便にスクリーニングできる方法の開発に着手する」としている。
2016年03月18日理化学研究所(理研)は3月17日、アルツハイマー病モデルマウスの失われた記憶の復元に成功したと発表した。同成果は、理研 脳科学総合研究センター 理研-MIT神経回路遺伝学研究センター 利根川進センター長、マサチューセッツ工科大学 博士課程 ディーラジ・ロイ氏らの研究グループによるもので、3月16日付けの英国科学誌「Nature」オンライン版に掲載された。アルツハイマー病(AD)では、海馬およびその周辺で神経細胞の変性が始まることから、海馬の働きの異常がAD初期の記憶障害を引き起こしている可能性が指摘されていた。しかし記憶障害は、記憶を新しく形成できないために起こるのか、それとも形成された記憶を正しく思い出せないため起こるのか、そのメカニズムは不明となっていた。同研究グループはこれまでに、光感受性タンパク質を特定の神経細胞群に発現させ、その神経細胞群に局所的に光を当てて活性化/抑制する技術「光遺伝学」を用い、海馬の「記憶エングラム」と呼ばれる細胞群に個々の記憶の痕跡が物理的に保存されることを証明している。今回、同研究グループは、ヒトのAD患者由来の遺伝子変異が導入されたADマウスを用い、記憶エングラムがどうなっているのかを直接調べることにした。普通のマウスを実験箱Aの中に入れ弱い電流を脚に流すと、マウスはこの嫌な体験の記憶を形成し、翌日同じ箱Aに入れられるとその記憶を思い出して"すくむ"。一方、7カ月齢のADマウスは、嫌な体験をしてから1時間以内であれば箱A内ですくむが、翌日になるとすくまなくなる。つまり、ADマウスは、嫌な体験の記憶を作ることはできるが、24時間後にそれを想起することができなくなっていると考えられる。そこで同研究グループは、神経が活動するとその発現が誘導される遺伝子の調節領域と標識する期間を限定させることができるTet-offシステムを用いて、ADマウスが箱Aで嫌な体験をしている最中に活動した記憶エングラム細胞において、光感受性タンパク質遺伝子ChR2が発現するよう標識。嫌な体験の翌日、箱Aに入れてADマウスがすくまないことを確認してから、別の実験箱Bに入れ、標識したエングラム細胞群を青色光により活性化すると、ADマウスはすくんだという。これは、ADマウスにおいても記憶エングラムは形成されているが、その記憶エングラムを正しく想起できないことから記憶障害が引き起こされている可能性を示唆している。同研究グループはさらに、このADマウスにおける記憶想起の障害が、神経細胞同士をつなぐシナプスが形成されるスパインという構造の減少と関連していることを突き止めた。シナプスは何度も刺激されると増強されてスパインも増えるため、同研究グループは、シナプスを増強することでADマウスの記憶想起の障害を回復させられるのではないかと考えた。そこで、もともと嫌な記憶と結びついていた実験箱Aに入れながら、標識しておいたADマウスの記憶エングラムへの入力を青色光によって人為的に何度も活性化させ、シナプス増強を起こしたところ、シナプスを増強したADマウスは、2日後に箱Aに入れられると、箱Aという自然な手がかりだけで嫌な記憶を思い出してすくむようになったという。利根川センター長は今回の成果について、「少なくとも、AD病初期の患者の記憶は失われているのではなく、思い出すことができないだけなのかもしれないのです。初期の患者には記憶を保持する細胞が維持されているというのであれば、将来、これらの細胞から記憶を取り出す技術が開発されれば、障害を軽減できるかもしれません」とコメントしている。
2016年03月17日産業技術総合研究所(産総研)は3月16日、アルツハイマー病の原因因子のひとつ「アミロイドβタンパク質(Aβ)」の動態を、生きた神経細胞内や生体内で可視化する技術の開発に成功したと発表した。同成果は、産総研 バイオメディカル研究部門 脳遺伝子研究グループ 落石知世 主任研究員、北海道大学大学院 先端生命科学研究院 北村朗 助教、順天堂大学 医学部 脳神経内科 志村秀樹 准教授らの研究グループによるもので、3月16日付けの英国科学誌「Scientific Reports」電子版に掲載された。アルツハイマー病発症のメカニズムとして近年、少数のAβ分子が重合したAβオリゴマーが細胞に対する強い毒性を有し、これが細胞内に蓄積されることが病気の発症に強く関与するという説が有力になりつつある。しかし従来の方法では、細胞や脳組織の標本を用いた解析しかできなかったため、生きた細胞内でAβのオリゴマー化の状態を直接可視化して毒性との因果関係を詳細に解析する方法の開発が求められていた。これまでにAβと蛍光タンパク質GFPを繋ぐリンカーとして12個以下のアミノ酸から構成されたものが報告されていたが、これらはAβが重合するとGFPの蛍光が消失するため、Aβオリゴマーの観察はできない。今回、同研究グループは、AβとGFPを繋ぐリンカーとして14個のアミノ酸を用いて、Aβ分子の重合体が形成されても蛍光を観察できるAβ-GFP融合タンパク質(Aβ-GFP)を開発した。このAβ-GFPを核磁気共鳴装置や電子顕微鏡、免疫組織化学法、蛍光相関分光法で解析したところ、GFPを融合させたことでAβの重合が一定以上進まず、生体内でも生体外でも2量体から4量体を中心としたオリゴマーの状態で存在することがわかった。これらの特徴を活かすことで、生きた細胞内でAβのダイナミックな動きや、初代培養神経細胞内での蓄積状態などの解析が可能となる。また、重合が進んで繊維状となったAβよりも、オリゴマーのほうがより強い毒性を有することから、Aβオリゴマーの重合の度合いと細胞への毒性との関係などの解析を行うことができる。また、AβとGFPを繋ぐリンカーが短いと、重合の影響を受けてGFPの蛍光は観察されなくなる。そこで同研究グループは、今回発見した現象を利用して重合の状態が検出できるシステムを考案。GFPの蛍光強度の変化を測定することで、Aβの重合を抑える創薬候補物質のスクリーニングに利用できることを実証した。同研究グループは今後、培養神経細胞を用いて、Aβ-GFPの蛍光強度を利用したアルツハイマー病の治療薬や予防薬の候補となる物質をより簡便にスクリーニングできる方法の開発に着手する。また、Aβ-GFPを発現させたトランスジェニックマウスを用いて、アルツハイマー病発症のごく初期に起こる神経細胞内部での微細な変化にAβオリゴマーが与える影響についてより詳細な解析を行い、アルツハイマー病発症のメカニズムの解明や予防に関する研究を進めていくとしている。
2016年03月17日東京大学(東大)とNTTドコモ(ドコモ)は3月14日、2型糖尿病・糖尿病予備群を対象にスマートフォンアプリケーション「GlucoNote」による臨床研究を開始したと発表した。同臨床研究は、東京大学 医学部附属病院 22世紀医療センター 健康空間情報学講座 脇嘉代 特任准教授、同大学大学院 情報理工学系研究科 電子情報学専攻 相澤清晴 教授らの研究グループによって行われる。同臨床研究では、スマホを活用して生活習慣が改善するよう自己管理を支援すると同時に、生活習慣や在宅測定データの関係を明らかにし、さらなる適切な自己管理支援につなげることを目指していく。対象となるのは、研究参加に同意した2型糖尿病あるいは糖尿病予備群と診断された20歳以上の日本在住の方で、参加期間は最長5年間。参加者は、GlucoNoteを用いて、食事、運動、睡眠などの生活習慣や、体重、血圧、血糖値などの在宅測定データを記録し、いくつかの質問に回答。またヘルスケアアプリを経由して計測された歩数を記録する。なおGlucoNoteは、Appleが公開している医学研究用のオープンソース・フレームワーク「ResearchKit」を用いているという。同研究グループは今回の臨床研究について、規模の大きい対象者から長期間にわたって各種データと生活習慣に関連した情報を収集することによって、日常生活と糖尿病の関連性を明らかにすることが可能になるとしている。
2016年03月15日東京大学は、NTTドコモとの協同で、2型糖尿病患者および糖尿病予備群向けのiPhoneアプリ「GlucoNote(グルコノート)」を公開し、臨床研究を開始した。アプリはApp Storeより無料でダウンロードできる。同アプリは、iPhoneを活用して生活習慣が改善するように自己管理を支援し、同時に生活習慣(食事、運動、睡眠)と在宅測定データ(血糖値、血圧、体重、活動量)の関係を明らかにするとともに、適切な自己管理支援につなげることを目指してリリースされた。開発にあたっては、Appleが医学・医療研究および健康リサーチ向けに設計したオープンソース・ソフトウエアフレームワーク「ResearchKit」を利用している。本臨床研究は研究参加に同意した 2型糖尿病あるいは糖尿病予備群と診断された 20歳以上の日本在住者が対象で、参加期間は最長5年間。参加者はアプリを用いていくつかのアンケートに回答し、食事や運動などの生活習慣、体重、血圧、血糖値などの測定データを提供することで、本研究に協力できる。研究発表は、東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター 健康空間情報学講座の脇嘉代特任准教授と、同大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻の相澤清晴教授が担当する。アプリで得られた日常生活情報の解析結果を統合的に用いることができれば、2型糖尿病患者の状況をより多面的に把握することが可能となるとのことで、患者および予備群の状況を、日常生活という観点から詳細に検討することにより、より効果的な自己管理支援を行えるようになるといった展開も期待されている。
2016年03月14日●生活習慣病や抗加齢に期待が持てるナッツ生活習慣病という言葉はすっかり世間に浸透し、市民権を得た。広義では「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」(厚生労働省)を意味するが、具体的には高血圧や糖尿病、脂質異常症などを指す。これらの疾患は、多くの中高年の悩みの種となっていると言えるだろう。ではもしも、この生活習慣病リスクを低減できる食べ物があるとしたらどうだろうか。今回は、国際アンチエイジング医学会専門医であるAACクリニック銀座の院長・浜中聡子医師に、生活習慣病予防となる食材を伺った。○強い抗酸化作用を持つビタミンE生活習慣病のみならず、老化防止に役立ちそうな食材、それはビタミンEを豊富に含むナッツ類だ。その理由として、強い抗酸化作用を持つビタミンEは、生活習慣病や老化の原因である体内の活性酸素の増加を抑制する効果が期待できるからだ。活性酸素とは、酸化させる力が活発な酸素のこと。殺菌能力もあるため、適量ならば体に害はないが、増えすぎるとくぎをさびさせるように私たちの体内をさびさせていく。このさびが細胞の老化を引き起こすため、生活習慣病や加齢、肌トラブルにつながっていく。「体内ではビタミンEは細胞膜の中に多く存在しており、細胞を保護する役割を担っています。細胞は活性酸素によってウイルスから守られていますが、活性酸素が増えすぎると逆に細胞を傷つけるため、ビタミンEが過剰な活性酸素を除去しているのです」。厚生労働省が定めた1日のビタミンE摂取量は、成人男子で9mg、成人女子で8mg。これは「必要最低限の摂取量」なので、ビタミンEの効果を期待するのであれば、少なくとも1日100~300mgの量が必要。ただし、脂溶性のビタミンEは摂取しすぎると過剰症になると言われており、成人男子で800mg、成人女子で600mgが許容量だ。「通常のサプリメントや食品での摂取では許容量を超えることはないです」と浜中医師は付け加えるが、高血圧で薬を服用している人は事前に医師に相談をした方がよいとのこと。●キャビアやいくらなどでもいいが……ビタミンEは、キャビアやいくら、うなぎといった魚介・魚卵類に比較的多く含まれている。ただ、これらの食材は価格も高く、手軽に毎日摂取するのは難しい。そこでお勧めなのが、マカダミアナッツ、カシューナッツ、ピーナツなどに代表されるナッツ(種実)類だ。ナッツ類はビタミンEだけではなく、ミネラル類も豊富でしかも安価。特にアーモンドは、日本食品標準成分表2015年版(七訂)によると、ビタミンEの含有量は100gあたり30.3g(α-トコフェロール)と、群を抜いている。さらに、ナッツの有用性に関するさまざまな研究も多数報告されている。例えば、ピスタチオとミックスナッツが最高・最低血圧に対してポジティブな結果をもたらしたり、アーモンドを6週間にわたり毎日10g摂取すると「善玉コレステロール」と呼ばれるHDLが有意に増加したりするなどだ。日本の厚生労働省に相当する米国食品医薬品局(FDA)も、「ナッツ類の摂取が心疾患リスク低減につながる可能性がある」旨のヘルスクレームをナッツ製品に表示することを認めている。○余分な味付けと食べすぎは厳禁!魅力的なパワーを持つナッツだが、食べる際には注意も必要だ。まず、「砂糖をからめたハニーローストや油、塩を使っているタイプは避けて、素焼きタイプを選んでください」。余分な味付けをすることで、塩分や糖分過多になってしまっては意味がないというわけだ。そして脂質やカロリーも高いため、食べすぎも厳禁。「若返りたい一心でナッツばかり食べていた女性がニキビだらけになったこともあります」と、笑えないシチュエーションに遭遇した女性もいるそうだ。一日5粒程度にとどめるのがいいだろう。デスクワークや外回り時に小腹がすいたり、口寂(さみ)しくなったりするときもあるだろう。そのようなとき、脳に栄養を送るために甘いもの(糖分)を摂取するのも賢いが、生活習慣病予防を期待したい人はその間食をナッツに変えてみてはいかがだろうか。※写真と本文は関係ありません○記事監修: 浜中聡子(はまなか さとこ)医学博士。北里大学医学部卒業。AACクリニック銀座院長。米国抗加齢医学会専門医、国際アンチエイジング医学会専門医などの資格を多数取得。アンチエイジングと精神神経学の専門家で、常に丁寧な診察で患者に接する。
2016年03月10日女性の働きスタイル研究家のアボカドチョコです、こんにちは!今回の冬は暖かく、インフルエンザの流行時期が遅くやってきましたね。さて、乳幼児のいるパパ、ママなら、インフルエンザのような『流行病』には、日々、戦々恐々としていることでしょう。それでも、保育園や小学校でもらってくるのが『流行病』。私自身も、家族全員で順番に『手足口病』にかかる経験をしたことがあります。「うどんを飲み込むだけで、喉がヒリヒリする」という手足口病は、なんと貴重な体験だったことでしょう……。そんな私自身のイタイ経験から痛感した、集団生活で、『流行病』にかかることを防ぐ方法を5ステップを書いてみたいと思います。●集団生活の中で、『流行病』感染を予防する方法5ステップ●(1)乳幼児の場合、インフルエンザ予防接種をしても、効果は20~30%!流行病には、早めの『予防接種』がなによりの予防対策。しかし、インフルエンザの場合、厚生労働省の調査によると、予防接種の有効率は『6歳未満の子どもに対するインフルエンザワクチンの効果は、発熱を指標とした場合、20%から30% 』だといいます。さて、予防接種をしても感染する可能性が高いとなると、気になるのが周囲の状況。身近ではやっていることが分かれば、“手洗い・うがいの徹底”や“人ごみに行かない”などの対策を強化できます。そこで必要になるのがリサーチです。●(2)“クラス”の動きをよく見よう!子どもが通っているクラスで、「お休みの子どもが何人いるか?」を毎日確認することは、「どのような病気がはやっているか?」を察知する手がかりになります。「どのような症状か?」を知ることができれば、似たような症状が出たときに早期対処ができます。●(3)“他のクラス”“他の学年”ではやっている病気がないか? も重要自治体ホームページの“学級閉鎖” 情報を見ると、流行病が広まる際、“あるクラス”や“ある学年”からその周囲へ、“他の学校”からその周辺校へ、という経路をたどる気がします。他のクラスや他の学年のママから得る情報って、結構大事なのだな、と私自身も知りました。そして、特に重要なのは、“近隣の学校情報”です。●(4)一番近い“小学校”情報を把握する一番、生徒数が多くて、まだ抵抗力が弱い年齢も多い小学校。周囲の小学校で学級閉鎖が出たら、要注意!その周辺にも波及していくことでしょう。一番近い小学校ではやっているウイルスは、その近隣でも流行 します。「うちの学校、学年は大丈夫」という状態でも、周辺校の様子を知っておくといいな、と感じました。●(5)都道府県の『流行病の多い地域の情報(地図など)』をネットで検索地域によって、流行病の『感染時期』は異なります。ある程度離れた区市町村では、流行のピークが1~2か月くらい違うのではないでしょうか。その場合、広範囲に同じ情報を流すマスメディアの情報はあまり当てになりません。「流行しているかどうか?」は、都道府県の『流行病の多い地域マップ』(自治体により名称は異なる)を探してみてください。同じ都道府県内でも、流行の度合いが違う からです。パパ・ママにとって、子育ては情報戦ですね!私自身もこの冬、痛感いたしました!【参考リンク】・季節性インフルエンザワクチンの効果(子どもの場合) | 小泉重田小児科()●ライター/アボカドチョコ(女性の働きスタイル研究家)
2016年02月22日足が痛い!と思ったとき、あなたはどこへ行きますか? 骨にヒビが入っているかもしれないなら整形外科、タコや魚の目があるなら皮膚科でしょうか? 外反母趾があるなら…果たしてどこへ? 巻き爪の痛みなら…?そんな「足」の悩みやトラブルを総合的に診てもらえる医療機関があったらいいですよね? 日本ではまだ知られていませんが、アメリカではポダイアトリー(Podiatry:足病学)という学問があり、ポダイアトリスト(Podiatrist:足病外科医)という足だけの医師がいます。実は、日本でも足専門のクリニックがあります。それは東京・表参道にある「足のクリニック 表参道」。ここでは、日本初の足の痛みや変形に特化したクリニックで、くるぶしから下の「足」のトラブルなら何でも相談できる医療機関。「日本人は、いわゆる“靴”の歴史が短いので、昔は欧米諸国に比べて足のトラブルが圧倒的に少なかったこともあり、足の専門医学がとても遅れているのだと思います。アメリカには、目が悪いから眼科、歯が痛いから歯科、と同じように足のトラブルに対しては“足科”がある。アメリカ人が日本へ来て“足科がない”と知ると、驚くんですよ。アメリカではポダイアトリーといえばとてもメジャーなんですが、悲しいことに日本では知名度が低いんです。ドクターでさえ、その言葉を知らない方もいると思います」そう教えてくれるのは、「足のクリニック 表参道」院長の桑原靖先生です。確かに、日本の辞書には、ポダイアトリーはおろか足病学という項目もありません。あのウィキペディアにすらないのです。ポダイアトリー(足病学)とはそのままズバリ、人の足についての専門医学。診察に始まり、理学療法、生体力学、薬剤の処方、特別な靴やインソール処方、手術なども含めて足に起こるさまざまなトラブルを総合的に診る医学です。桑原 靖 先生 プロフィール「足のクリニック 表参道」院長。足病学、足病外科、形成外科など。日本には足(くるぶしから下)を専門的に診療する医療機関がほとんどないことに疑問を持ち、2013年、足の痛みや変形に特化したクリニックをオープン。足に対する専門的な診療を提供することに日々力を注ぐ。「足のクリニック 表参道」 近年多くなった足のトラブル、医師はどう対応する?日本人が、欧米人と同じようにつま先を覆う靴を履くようになったのは明治時代以降。それまでは、下駄や草履を履き、しかも家ではそれも履かなかった日本人には、足に外反母趾などのりクスを抱えていてもそれに気づかなかったことでしょう。足を締めつける靴が、さまざまな足のトラブルを表面化させるようになりました。朝から寝る直前まで靴を履く習慣のある欧米諸国で、早くから足の専門医学が発展したのはうなづけます。「日本も今では、小学生の子供でも外反母趾が多い時代。親が気づいてあげないと、そのまま成長してしまいます。幼い頃から医学的な介入で予防してあげるなど、親への教育も大切だと思っています。そのためにもやはり足専門のホームドクターが必要なんです。アメリカでは足を診る専門の医師、足病外科医の数は17,000人近くいます。そのほとんどが足専門医として開業していると言われるほど。通常の医師と同じで4年間大学で勉強した後、さらに4年間、ポダイアトリーの専門教育を受けけ、その後3年間の研修期間。それでやっと国家資格がもらえるんです。これは一般の医師免許と区別された、ポダイアトリストという医師免許。ポダイアトリストは整形外科、形成外科、外科、皮膚科、血管外科などに通じて、足の病気やトラブルについて専門的に学んだ医師だけが得られる資格なんですよ。それに対して日本では、整形外科の教科書600ページのうち、足について書いてあるのはわずか20ページほど。この差は大きいですよね」(桑原先生)桑原先生の「足のクリニック 表参道」は、アメリカのポダイアトリーの知識を元に日本で治療を行うため、必要な診療科(整形外科、形成外科、皮膚科、内科、外科、血管外科など)と連携する複数の専門医が、同クリニックに勤務する体制をとっています。これだけの医師がいるのは、患者さんが抱えているトラブルや病気がバリエーション豊かだから。外反母趾やハンマートゥなどの足の変形、足底筋膜炎、ハイアーチ、モートン病、巻き爪…他にも多種多様です。「でも、その原因はと言えばほぼ一つだけ。それは足のアライメントの異常です。顔と同じように足の骨格やそれに伴うさまざまなリスクも親から遺伝し、生活習慣や歩き方、履いている靴などがそのトラブルの悪化を助長します。また原因は骨の変形だけとは限らず、皮膚や血管、靭帯や筋肉にも関係しているんですよ」(桑原先生)寝たきり高齢者や、糖尿病で足をなくす人を減らしたい!桑原先生は、もともと形成外科医。簡単に言うと形成外科は「外観や機能の再建を行なう科」で、中でも先生の専門は「創傷治癒学」です。交通事故などによる外傷ややけど、手術などでできた皮膚の傷を治すのも専門領域。実は、先生は主に糖尿病の患者さんの足の切断、いわゆる「下肢切断」を行っていました。日本国内では毎年2万本の足が、糖尿病が原因で切断されていること知っていますか? 糖尿病の方が足を切断するようになるのに、最初はただの靴ずれや巻き爪、タコなど、ささいなことが大半の原因を占めるのだそうです。「糖尿病が重症化すると合併症で神経に障害が起き、足の感覚がなくなっていくので、進行すると痛みに気づかない。靴ずれや巻き爪になっても気づかず、放っておくと、その傷から細菌が感染して潰瘍や壊疽(えそ)を起こす。聞いたことがあるでしょう? 治療が遅れると切断につながるのです。アメリカでは糖尿病患者の下肢切断率は日本ほど高くありません。そこまで重症化する人がいないからです。日本の内科では、糖尿病になった患者さんを眼科に紹介するのですが、アメリカでは眼科に加えて足科にも紹介するのが普通なんですよ」(桑原先生)足をなくす人を減らすには、もちろん、まずは糖尿病を減らすこと。でも、放っておくと治ると思われている足のトラブルを、糖尿病になる前から早い段階できちんと治療することがとても重要です。糖尿病に由来する潰瘍や壊疽を診るドクターはたくさんいます。ただ、その要因となったタコやウオノメ、巻き爪、靴ずれ、外反母趾、水虫、足底筋膜炎などのポピュラーな病気、それと重症化した潰瘍や腫瘍まで、足をトータルに診てくれるところは本当に少ないのが現状です。「もしも、ポダイアトリー(足病学)がもっと国内に広まったら、足の切断率は確実に減ると思います。また、健康で自分の足で歩ける寿命が長くなるでしょうね。そして、寝たきりの高齢者も少なくなるはず。なぜって、転倒が減るからです。寝たきりになるお年寄りの10%は、転倒が原因と言われています。転んで骨折したことがきかっけで寝たきりになってしまうわけです。今よりもっとみなさんが足の健康を保てるようになったら、それも確実に減りますよ! 小さな足のトラブルを放っておかない。ささいなトラブルでも気軽に診てもらえるクリニックが増えたら、それも叶いますね。そのためにも、みなさんにポダイアトリーというものについて、知っておいてほしいと思います」(桑原先生)
2016年02月16日子どもが急に熱を出した、でも仕事は休めないし、周りに頼れる人が誰もいない……。そんな時、親たちの味方になってくれるのが「病児保育」。しかし、国内ではまだまだサービスが充実しているとは言えないのが現状だ。なぜ、病児保育は広がらないのか。会員制の訪問型病児保育サービスを提供している、認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんに聞いた。○国は「施設型」の保育にこだわっている平成28年度の政府予算案で、国は病児保育の事業に27億円の補助金を計上。「病児保育の拠点となる施設の整備・改修」「施設での子どもたちの対応・送迎をする看護師の雇用」について、新たに補助金をつけた。――国が進めようとしている病児保育の政策をどう評価しますか。病児保育に力を入れようとしてくれていること自体はうれしいです。しかし、「施設型保育」への補助にこだわっている点で、病児保育の広がりを妨げていると思います。――というのはどういうことでしょうか。現在国が補助を行っているのは、施設に子どもたちを集めて保育する「施設型」の病児保育です。私たちが行っている事業のように、保育スタッフを家庭に派遣して子どもたちをみる「訪問型」の病児保育には、国による補助がありません。しかし、国がいくら「施設型」への補助を増やしても、施設の数は増えません。それは、現在「施設型」の84%が、小児科の病院に併設された「医院併設型」だからです。小児科の数が上限になるので、それ以上増えない。看護師の配置や施設の運営を考えると、制度設計上、そうならざるを得ない構造になっています。また、「施設型」では預かることのできる子どもの数も限られるし、インフルエンザの子については、ほかの子どもたちに感染する可能性も考えて、受け入れないことも多い。加えて、子どもが施設に来ない日も、看護師や保育士を施設に配置し続けなければならないので、人件費がかかります。経営上、投資対効果が低いのです。○自治体の事業では、病児保育は広がらない――ほかにもサービスが広がらない理由はありますか。病児保育が自治体の事業であることも、理由の1つとしてあげられると思います。補助金のある「施設型」の病児保育は、自治体が予算をつくり、事業者を公募しないとできない。しかし自治体に任せている限り、施設の数は増えないと思います。なぜなら、自治体は施設を造っても造らなくても自分たちの給料は変わらないし、何も困らない。一方で、施設を造って失敗した方が怖いわけです。だったらやらなくていい、となってしまう。――では、どうしたら病児保育のサービスが広がるのでしょうか。訪問型病児保育のサービスを増やす必要があると思います。このサービスを増やすのはすごく簡単で、利用料金の補助をする「病児保育バウチャー」を国でやればいいと思います。金額にもよりますが、施設型かそれよりちょっと高額な料金で訪問型病児保育のサービスを利用できるようになれば、参入してくる事業者はたくさんあると思いますよ。さらに、子どもたちがいつ来るかわからないのに人員を待機させる「施設型」の人件費に費用を出すより、保育スタッフを派遣するたびにバウチャーを補助した方が無駄うちがないですよね。――それではどうして国は、「施設型」の病児保育に力を入れているのでしょうか。国は今までずっと「施設型」の病児保育に補助を出してきたので、その方針を転換するのが難しいのではないでしょうか。これまでやってきたものをがんばりましょう、現状から少しよくしましょう、という方がやりやすいといえば、やりやすいでしょう。さらに時代背景も影響していると思います。今は待機児童問題がフィーチャーされているので、まずは保育所の整備をなんとかしなければいけない、となっている。病児保育にまで、理解が進んでいないのです。待機児童問題って日本全国の問題じゃないですか。一方で、病児保育は地方でそんなに問題にならない。地方では祖父母との同居率が高かったり、周りに頼れる人がいたりするからです。それから、女性の正社員率もそんなに高くないので。しかし都市部では、ある程度休みづらい仕事をしている親、特に母親が多い。働く女性が増えているのと、病児保育の認識も上がっているので、ニーズは高まっています。フローレンスでも利用を希望する方は増えていて、2015年の夏にはこちらのサービス供給が追いつかず、入会受付を停止しなければならない事態に陥りました。去年、今年と、一時的に受付を再開しているのですが、2月1日に再開した入会受付については2分で埋まってしまいました。助けを求めている人がいるのに、助けられていない。これはうれしい悲鳴じゃなくて、真摯に反省してキャパシティーを広げなければいけないと思っています。そしてもちろん事業は拡大していきますが、一団体がやるには限界がある。ですから、訪問型病児保育を行う事業者がもっと増えないといけないと思います。○「健康で健常な子ども」以外が除外されている――フローレンスでは、障害児保育の施設も開園されていますね。たまたま相談を受けて、世田谷区(東京都)で医療的ケアが必要な子を預かってくれるところを探したんです。そしたら東京中を探してもなかった。世界有数の都市で1人の障害児も預かれないなんて、そんなバカな話はあるかと思いました。病児保育についても、障害児保育についても、実は保育士養成課程の中ではほとんど習いません。病気のある子だって子どもだし、障害のある子だって子どもなのに、今の保育所は「健康で健常な子」のみを扱っている。だから、保育所でも子どもが熱を出したら「どうしよう、お母さん帰ってきてください」ってなるし、障害があれば「預かれません」となる。本当は全ての子どもたちを受け入れるべきなのに、保育所における保育は、そういう意味で選別しているという認識を私はもっています。みんな「保育所を増やそう」って一生懸命だし、それはそれで分かりますが、同時に病児保育も圧倒的に足りないし、障害児保育も圧倒的に足りません。ここも増やしていかないと、病気の子どもも障害を持った子どもも排除され続けてしまうので、何とかしてくださいと国には言いたいですね。
2016年02月15日東京大学は12月10日、老齢ネコの脳にヒトのアルツハイマー病と同一の病変が形成され、神経細胞が減少することを明らかにしたと発表した。同成果は同大大学院農学生命科学研究科のチェンバーズ ジェームズ助教、内田和幸 准教授、中山裕之 教授、京都府立医科大学の徳田隆彦 教授、同大大学院医学研究科の石井亮太郎 助教、建部陽嗣 特任助教、麻布大学獣医学部の高橋映里佳氏、宇根有美 教授、大阪市立大学大学院医学研究科の富山貴美 准教授らの研究グループによるもの。「Acta Neuropathologica Communications」に掲載された。アルツハイマー病では、βアミロイドと高リン酸化タウと呼ばれるタンパク質が蓄積し、海馬の神経細胞が脱落することによって認知症を発症する。βアミロイドの沈着はヒト以外の哺乳類に脳でもみられるが、同研究グループがこれまでの研究でチーターとヤマネコの脳で発見した以外では高リン酸化タウの蓄積と海馬の神経細胞脱落は動物では見つかっていなかった。今回の研究では、ペットとして飼育されていたネコを死亡後に解剖して脳を詳しく調べたところ、8歳頃から脳にβアミロイドが沈着し、14歳頃から高リン酸化タウが蓄積することが判明。高リン酸化タウが蓄積した神経細胞では、神経原線維変化と呼ばれるアルツハイマー病に特有の病変が確認された。また、神経原線維変化を構成するタウ蛋白質のアイソフォームがヒトのアルツハイマー病と同じであり、神経原線維変化が形成されたネコでは、海馬の神経細胞が減少していることがわかった。これらの結果から、老齢のネコではβアミロイドと過剰リン酸化タウが脳に蓄積し、海馬の神経細胞が脱落することが明らかとなった。さらに、ネコの脳に蓄積したβアミロイドは他の動物種と比べて凝集性が弱く、海馬の神経細胞内にβアミロイド-オリゴマーと呼ばれる毒性が高いβアミロイドが蓄積していることが判明した。βアミロイドのアミノ酸配列を動物種間で比較したところ、ネコはほかの動物と異なる配列を有していることがわかった。神経原線維変化が発生するヤマネコやチーターなどのほかのネコ科動物も、このネコ型βアミロイドを共通して保有しており、ヒトのアルツハイマー病患者の脳においてもβアミロイド-オリゴマーが検出されていることから、この結果は神経原線維変化の形成においてβアミロイド-オリゴマーが重要であることを示していると考えられている。同研究グループは今後、ネコの脳を研究することで、βアミロイドとタウタンパク質の関係が明らかにされ、アルツハイマー病の病態解明と治療法開発につながることが期待されるとしている。
2015年12月10日