「小島圭」について知りたいことや今話題の「小島圭」についての記事をチェック! (1/6)
お笑い芸人の小島よしおが27日、自身のインスタグラムを更新した。【画像】トラクターでGOGO!!小島よしおがさつまいもの収穫体験!「もしもFES大阪でコール&レスポンス」と綴り、会場を盛り上げている動画を公開した。大地震が起きるのではないかと言われてるが、そんな「もしも」の時にどう行動すればいいのかを大阪らしくワイワイ、楽しく体験しながら学べるイベントだ。続けて「防災の意識高まりピーヤ」と綴り、投稿を締めくくった。 この投稿をInstagramで見る 小島よしお(@kojimayoshiopiya)がシェアした投稿 この投稿にファンからは「今年は金沢じゃなくて大阪でピーヤしてたんだ来年またカムバックきてほしいなー!」「今日も沢山のピーヤさんですね✨エビシーには会えましたか?」など、多数のコメントやいいねが寄せられた。
2024年10月27日お笑い芸人の小島よしおが19日、自身のインスタグラムを更新した。【画像】小島よしおが奈良県の唐古・鍵遺跡でピーヤ!「女性部の皆様に囲まれてさつまいものフルコースを堪能させて頂きました」と綴り、最新ショットを公開した。この日、小島はJAちゃぐりんぐフェスタで福井県を訪れていた。美味しそうなさつまいもメニューが写っている。続けて「全部美味しいーーー」と綴り、投稿を締めくくった。 この投稿をInstagramで見る 小島よしお(@kojimayoshiopiya)がシェアした投稿 この投稿にファンからは「さつまいもってどうしてこんなに美味しいのでしょうか素敵なお姉様方に囲まれ幸せそうですね」「さつまいも美味しいですよね新潟県小千谷市にさつまいも料理専門店がありますよ食べに来てくださいね」など、多数のコメントやいいねが寄せられた。
2024年10月19日小島秀夫の右脳が大好きなこと=を日常から切り取り、それを左脳で深掘りする、未来への考察&応援エッセイ「ゲームクリエイター小島秀夫のan‐an‐an、とっても大好き」。第18回目のテーマは「オキシトシンな出逢い」です。群生動物である“ヒト”にとって、インターネットがどれだけ普及しようとも、個と個が触れ合うことで生まれる“オキシトシン”は大切な存在だ。“オキシトシン”とは、握手、ハグ、キス、触れ合いなど、人の肌が接触することで分泌される“幸せホルモン”のひとつ。これらは“メタバース”では決して得られない“治癒効果”を与えてくれる。ゲーム『DEATH STRANDING』では、配達人サムが、この“オキシトシン”を孤立した人々に届けるエピソードがある。寓話のような“オキシトシン”の重要さは、その後に起こったコロナ禍で、広く世間に知られることとなる。30代を超える頃、マッサージを受けるのが癖になった。見ず知らずの人に、個室で身体を触られるのに抵抗がないわけではない。ただ過酷なゲーム制作でのストレスを解消するひとつの拠り所にもなっていた。マッサージは日常に組み込まれていたのだが、あのコロナが世界を一変させた。マッサージも、ジムもコロナで辞めてしまった。しかし、しばらくして、マッサージへ通い始めることを決意した。それは、普通の生活に戻るための第一歩としての布石だった。マッサージからでも以前の生活を取り戻そう、そう思って、コジプロのある品川のとある店に飛び込んだ。当時は、まだコロナ禍の真っ只中。リラックスというよりは、緊張感の中でのマッサージだった。それから、1年以上、指名はせず、同じ店に通い続けた。ある日、小柄なコケティッシュな感じの施術師にあたった。マスクをしていて、顔はわからない。僕もマスクをしたまま施術を受ける。彼女は自ら名乗ることもなく、僕も誰何しなかった。僕は、施術中には世間話はしない。仕事や悩みから解放されたいからだ。気がつくと、久しぶりに眠ってしまっていた。僕は、彼女の丁寧な施術と魅力的な声、やわらかで明るい雰囲気に惹かれた。彼女をまた指名したくなった。でも、名前も顔も知らない。帰宅後、レシートを見ると、そこには担当者の名前があった。しかも、本名かどうかはわからないが、キュートな名前だった。仮に“Mo”さんと呼ぶ。徐々にコロナが緩和され、僕の方は、途中からマスクを取っての施術を許された。しかし、施術側の彼女はマスクをつけたまま。彼女とは、約2年もの間、ほとんど話はしなかった。挨拶と天気の話があるくらい。会話はないものの、全くの知らない人とは違う、気持ちのいい距離感。職業や仕事、個人的なことは何も交わさないサイレントな信頼関係。コナミ時代に通っていた六本木の店とかでは、「お客さん、何してる人?」と毎回、執拗に聞いてくるのが常だったのに。国内にいる時は、週一くらいで訪れるのが習慣になった。ところが、コロナが収束し始めると、お店が混みだした。“Mo”さんは、お店でも人気らしく、予約できないことが増えていった。僕のスケジュールは流動的で、事前に予約ができないことが多い。予約が取れない時は、別の人の施術を受けた。今年の春くらいだったろうか。予約が取れず、指名なしで、空いている人の施術を受けた。そこで“Mo”さんとはまた違う、別の意味でのうまい施術者に出逢った。もともと指圧や台湾式足ツボが好きな僕には相性がいい“力のある”施術だった。その人を“Mi”さんと呼ぼう。“Mo”さんにも逢いたいものの、僕は“Mi”さんを優先した。たまに壁の向こうで“Mo”さんの声を何度か聴いたこともあった。罪悪感のようなものを感じながらも、僕は“Mi”さんを指名し続けた。猛暑が続く7月のある日。施術後、着替えて帰ろうとすると、“Mi”さんから、呼び止められた。「“Mo”さんが、小島さんに直接挨拶をしたがっている」と。入口に向かうと、そこにマスクをした“Mo”さんが立っていた。この店を辞めるので、お別れの挨拶が言いたかった、と“Mo”さんは伝えてくれた。僕には、マスクの下の“Mo”さんの表情が初めて見えた気がした。あの時、僕は面食らってしまい、うまくお礼を伝えることができなかった。そのことで、今も後悔している。“Mo”さんへ。ほとんど話もできませんでしたが、あのコロナ禍を乗り切れたのは、あなたのおかげです。ありがとうございました。何処かで出逢ったとしても、顔を知らないので、挨拶はできませんが、あなたのこれからの幸せをずっと祈っています。僕は“オキシトシン”よりも大切なものをいただきました。今月のCulture Favoriteホロライブ所属の人気VTuber・兎田ぺこらさんがコジプロを訪問。ストップモーション・アニメーション映画『オオカミの家』のホアキン・コシーニャ監督とのツーショット。小島監督の誕生日祝いに訪れた星野源さんと。こじま・ひでお1963年生まれ、東京都出身。ゲームクリエイター、コジマプロダクション代表。’87年、初めて手掛けた『メタルギア』でステルスゲームと呼ばれるジャンルを切り開き、ゲームにおけるシネマティックな映像表現とストーリーテリングのパイオニアとしても評価され、世界的な人気を獲得。世界中で年間最優秀ゲーム賞をはじめ、多くのゲーム賞を受賞。2020年、これまでのビデオゲームや映像メディアへの貢献を讃えられ、BAFTAフェローシップ賞を受賞。映画、小説などの解説や推薦文も多数。ゲームや映画などのジャンルを超えたエンターテインメントへも、創作領域を広げている。「The Game Awards 2023」にて発表した、最新作『OD』の公式ティザートレーラーが、KOJIMA PRODUCTIONSの公式YouTubeチャンネルで公開中。先日行われた、東京ゲームショウ2024でのイベント映像のアーカイブが公開中です。先日、完全新作オリジナルIP『PHYSINT(Working Title)』の制作を発表。次回は、2420号(2024年10月30日発売)です。※『anan』2024年10月9日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)(by anan編集部)
2024年10月12日お笑い芸人の小島よしおが5日、自身のインスタグラムを更新した。【画像】お笑い芸人 小島よしお 横浜でランニングを楽しむ!「走り終わったあとの達成感と連帯感。」と綴り、最新ショットを公開した。今回は歴代最長となる約4.8kmのコースで、名物の「心臓破りの坂」を6回上らなければならなかった。続けて「また半年後走れるように頑張るぞーピーヤ!」と綴り、投稿を締めくくった。 この投稿をInstagramで見る 小島よしお(@kojimayoshiopiya)がシェアした投稿 ファンからは「よしおワタリさんおばたのお兄さんはスポ男すぎるむり⭐️お疲れ様ですよしお~♂️✧」「お疲れ様でした!テレビから応援していましたꉂꉂ」「お疲れ様でした!ピーヤしてておもしろかったです笑」など、多数のコメントやいいねが寄せられた。
2024年10月06日お笑い芸人の小島よしおが5日、自身のインスタグラムを更新した。【画像】お笑い芸人 小島よしお CM出演!「「おっパッピー」が コンセプト」「ミュージシャンっぽく」と綴り、最新ショットを公開した。阪急三番街にある梅田フードホールステージでイベントが行われた。小島は、子どもたちと手をつなぎ観客の声援に応えた。 この投稿をInstagramで見る 小島よしお(@kojimayoshiopiya)がシェアした投稿 ファンからは「たまたま母と家族といてました。子供たちが、生のよしおさん近くで見れたと喜んでました」「今日は大阪のイベントオールスター感謝祭♀✨移動が大変だと思いますが!!頑張ってくださいね」「身長を子どもさん達に合わせて立ってるの凄いピーヤ」など、多数のコメントやいいねが寄せられた。
2024年10月05日お笑い芸人の小島よしおが2日、自身のインスタグラムを更新した。【画像】お笑い芸人 小島よしお JAまつりに参加!「是非遊びに来てください」「ロング走。目指せフルマラソン自己新記録!」と綴り、2枚の写真をアップした。爽やかな笑顔が美しい。 この投稿をInstagramで見る 小島よしお(@kojimayoshiopiya)がシェアした投稿 この投稿には「頑張ってくださいねよしおさんの健闘をお祈りしています」などの応援のコメントが寄せられている。
2024年10月02日2024年10月1日、お笑いタレントの小島よしおさんが、Instagramを更新。プライベートで家族と出かけた際に撮影された1枚に、反響が集まっています。小島よしお、我が子を抱く姿に「優しさが伝わってくる」2023年2月に、第1子となる男児が誕生したことを報告していた、小島さん。SNSではたびたび、息子さんを自身のギャグにかけて『おぱぴまる』と呼び、成長を報告していました。「ぐっすり寝ています」というコメントとともに、投稿された1枚には、我が子を見つめる小島さんの『父親の顔』が写っています。 この投稿をInstagramで見る 小島よしお(@kojimayoshiopiya)がシェアした投稿 移動中の電車内で、ぐっすりと眠る息子さん。小島さんはそんな我が子を、両手で大事に包みこんでいました。向けられた優しい眼差しからは、深い愛情が伝わってくるようですね。普段は、海パン一丁の姿で『そんなの関係ねぇ!』などのギャグを披露する、明るいキャラクターの小島さん。プライベートで見せた、優しい表情に多くのファンからコメントが寄せられています!・素敵な写真!パパの優しさが伝わってきます。・とても大事そうにお子さんを包み込む様子から、いいお父さんであることがうかがえる。・小島さんは男性なのに『聖母子像』に見えた…。胸が一杯になるくらい、優しくて温かい写真です。・愛しさがダダ漏れています。優しい表情。子供たちの人気者として、全国各地でのライブやYouTube動画で笑顔を届けている、小島さん。父親としての一面を見て、さらにファンになったという人も多いでしょう![文・構成/grape編集部]
2024年10月02日元モーニング娘。の保田圭が26日、自身のインスタグラムを更新した。【画像】元モー娘。保田圭が少女時代・スヨンとの2ショットを披露「二人とも、笑顔がステキです」「『A LABBO』見て下さった皆様ありがとうございました」と綴り、お笑いコンビ・Aマッソとの自撮りショットを2枚アップした。テーマが集合写真だったため、3人で撮影したとのこと。写真には3人が笑顔で写っており、楽しい時間を過ごせたようだ。最後は「ぜひ見逃し配信でチェックしてみて下さい」と締めくくっており、ファンに視聴を呼びかけた。 この投稿をInstagramで見る 保田圭 (Kei Yasuda)(@keiyasuda1206)がシェアした投稿 この投稿にファンからは「素敵な組み合わせ❤️」「なんてすごい組み合わせ」といったコメントが寄せられている。
2024年09月26日お笑い芸人の小島よしおが26日、自身のインスタグラムを更新した。【画像】お笑い芸人 小島よしお フルーツと戯れる!?「合間ラン。30分走。T走。」と綴り、4枚の写真をアップした。輝かしい汗が光っている。 この投稿をInstagramで見る 小島よしお(@kojimayoshiopiya)がシェアした投稿 これからもランニングをして健康な日々を送って欲しい。
2024年09月26日保田圭が19日自身のインスタグラムを投稿した。【画像】元モー娘。保田圭が夫と6歳長男と の3S披露!「賢そうなお子様」「理想のファミリーです」「昨日は『いいものプレミアム』の収録でした♪」と綴り、最新ショットを投稿。神崎ゆうこさんの明るさと優しさが伝わる、感謝の気持ちが溢れた投稿である。 この投稿をInstagramで見る 保田圭 (Kei Yasuda)(@keiyasuda1206)がシェアした投稿 ファンからは「神崎ゆうこお姉さん、懐かしいですね❗️」や「圭ちゃん今日も超めちゃめちゃとっても可愛いです」とコメントが寄せられた。
2024年09月19日保田圭が14日自身のインスタグラムを投稿した。【画像】矢口真里が元モー娘。保田圭と共演!「20年の歳月を感じさせない」「辻希美ちゃんから素敵なお洋服のプレゼントをもらいました」と綴り、最新ショットを投稿。大事な仕事に向けて気合いが入る、特別なコーディネートの魅力が感じられる投稿である。 この投稿をInstagramで見る 保田圭 (Kei Yasuda)(@keiyasuda1206)がシェアした投稿 ファンからは多くのいいねが寄せられた。
2024年09月14日小島秀夫の右脳が大好きなこと=を日常から切り取り、それを左脳で深掘りする、未来への考察&応援エッセイ「ゲームクリエイター小島秀夫のan‐an‐an、とっても大好き」。第17回目のテーマは「サインの作り方」です。突然、幼馴染からメールがあり、数十年ぶりに青山の鮨屋で再会することになった。昔からパンクチャルだった彼は、待ち合わせ時間に遅れることなく、時間通りに現れた。僕と同い年なので、彼も昨年還暦を迎えた60歳。頭に白いものが混じっているものの、すぐに“なっかん”本人だと分かった。彼とは地元の中学と高校が同じ。一度だけ同じクラスになったものの、そのあとのクラスは別だった。活動クラブも違ったが、一緒に下校したり、映画を観に行ったりする仲だった。有名大学の経済学部を一緒に受験して、彼は合格し、僕だけが落ちた。卒業後、彼はそのまま大手電機メーカーに就職、僕は友人達の反対を押し切って、ゲーム会社に流れた。それが、お互い上京していたにもかかわらず、疎遠になった所以かもしれない。あれから40年、全く違う人生を歩んできた。ところが不思議なことに、ものの数分でタイムスリップしたかのように、あの学生時代へと戻れた。僕らは、10代の頃のように、心地良い北摂弁で、昔話に花を咲かせた。中学の時の“のど自慢大会”で、彼が中条きよしの「うそ」を、僕が新沼謙治の「ヘッドライト」を歌い、彼が1位、僕が2位になったこと。帰宅時にはいつも浜村淳(注1)のように、僕が映画のあらすじを、導入から最後まで語りながら下校していたこと。僕が書いていた小説の巻末には、いつも彼が解説を書いてくれていたことなど。あっという間に二人だけの同窓会は終わりに近づいた。お開き間際になって僕は彼に突然メールをくれた理由を尋ねてみた。すると、「そうそう、忘れるところだった」と、彼はスマホの写真を開いた。そこには僕らの高校名が印字されたスケッチブックが写っていた。僕も彼も国公立を最初から諦めていたので、高三時には、二時間枠の美術を専攻していたのだ。その時のスケッチブックだ。「実家を整理していたら、これが出てきたんや」と今度は、スケッチブックの中身の写真を捲る。するとグロテスクなゾンビの落書きが現れた。「小島君、こんなに絵が上手かったんやね。これ見せたくてメールしたんや」と。僕も思い出した。彼がトイレに行っている間に、彼のスケッチブックに鉛筆で落書きをしたのだ。戻ってきた彼を驚かせようとして。しかし、彼はこのイタズラに40年間、気づかなかった。「なんで、僕やと?」と聞くと、「ほら、ここに“なっかんへ”というコメントがあるやろ。それで、この下にサインがあるんや」。“なっかん”は、落書きの横をさらにピンチアウトした。最初にファンにサインをしたのは、いつの頃だったか?正確には覚えていない。僕の名前が漢字のフルネームで表記出来るように許されたのは、『SNATCHER』(注2)のPCエンジン版(1992)からだ。だから、その頃だろう。ファンに「サインをください!」と言われ、戸惑ったのは。僕は有名人でもなければ、芸能人でもない。他人からサインをねだられる人生なんて、想像もしなかった。だから、サインなど用意していなかった。そこで仕方がなく、自作の絵やイラストの横に描いていた子供の頃のサインをそのままに返した。一度、描いてしまうと、もうそれが僕の公式のサインとなった。ただ30年かけて、マイナー・チェンジはしている。西暦表記はサインの時期を把握するためにと、いつの頃からか描いていた。“ピースマーク”を付け加えるようになったのは、『MGSPW』(注3)からだ。これらの証明(サイン)が世界中のファンの元に保管されている。このサインの原型は、小学校の高学年の頃に描き出したものだ。自分の絵や小説、作品にサインをイタズラに記すようになった。当時、憧れていた松本零士先生のサインを真似て、自分流にアレンジしたものだ。比べてみれば、似ていることが分かるはずだ。イタズラから生まれた適当な記名(サイン)が、いつの間にか世界中に頒布され、小島秀夫の公式象徴(サイン)として登録されてしまっている。単純には喜べない複雑な気持ちだ。サインを描いている時、心の中ではそんなことを考えている。「これ、小島君のサインやろ?」と、“なっかん”がスマホの写真を拡大する。そこには、“1981”という西暦が丁寧に書かれている。ピースマークはまだないものの、まさしく僕のサインだった。鑑定団でも僕のサインだと認証できる、紛れもない僕の証(サイン)。「これ、サインもあるし、値打ちあるんとちゃうか?」と“なっかん”が呟く。そんなイタズラな物言いに悲しい顔で返すと、「冗談やで。これは僕らの“思い出”のサインやからな。スケッチブック、実家から持ってくるわ。小島君に“イタズラ”を返そうとおもて」と笑う。幼馴染の得意げな顔を見た瞬間、サインはこのままで行こうと決めた。イタズラで始めたことが、他人の思い出となり、思い出がまたイタズラとして自分に帰ってくるのだから。注1:浜村淳京都出身の、関西を代表するレジェンド・ラジオパーソナリティ。映画への造詣が深く、見事な話術と独自の言い回しで語られる映画評も有名。注2:『SNATCHER』小島秀夫が手がけた、1988年にコナミから発売されたアドベンチャーゲーム。PCエンジン版は1992年発売。注3:『MGSPW』2010年に発売された小島秀夫によるPlayStation Portable用ゲーム『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER』。メタルギアシリーズの一作品。今月のCulture Favorite大阪コミコンで知り合った斎藤工さんがコジプロに来社してくれた時のツーショット。水ドラ25『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』(テレ東系)の撮影現場にお邪魔した時に、主演の髙石あかりさん、伊澤彩織さんと。“DS2団結会”に津田健次郎さんが参加。その時のダルマを挟んでの一枚。こじま・ひでお1963年生まれ、東京都出身。ゲームクリエイター、コジマプロダクション代表。’87年、初めて手掛けた『メタルギア』でステルスゲームと呼ばれるジャンルを切り開き、ゲームにおけるシネマティックな映像表現とストーリーテリングのパイオニアとしても評価され、世界的な人気を獲得。世界中で年間最優秀ゲーム賞をはじめ、多くのゲーム賞を受賞。2020年、これまでのビデオゲームや映像メディアへの貢献を讃えられ、BAFTAフェローシップ賞を受賞。映画、小説などの解説や推薦文も多数。ゲームや映画などのジャンルを超えたエンターテインメントへも、創作領域を広げている。「The Game Awards 2023」にて発表した、最新作『OD』の公式ティザートレーラーが、KOJIMA PRODUCTIONSの公式YouTubeチャンネルで公開中。『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』の第2弾トレーラーが公開中。先日、完全新作オリジナルIP『PHYSINT(Working Title)』の制作を発表。次回は、2416号(2024年10月2日発売)です。※『anan』2024年9月11日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)(by anan編集部)
2024年09月07日小島藤子、宇垣美里らが出演する長編ショートドラマ作品「トリッパーズ」がTikTokほか各種プラットフォームで8月9日(金)より順次公開。メイキング・インタビュー動画が解禁された。モラハラでクズな夫・マサトシと暮らす無職の朝美は、とある飲み会で出会ったパパ活女子・リコに馬鹿にされ、酔った勢いで怪しい求人サイトに登録してしまう。翌日、夫に無職であることをいびられて仕事を探していた朝美のもとに突然、謎の女・小夜から電話が。満たされないながらも普通だった朝美の日常が変わっていく…。現代社会にある“闇”要素も散りばめた大人の青春ストーリーが描かれる。本作は全72話の長編ショートドラマ。KDDIと松竹ベンチャーズによるショート動画支援プロジェクト「AS CREATION PROJECT」の第1弾で、累計再生数40億回を超える(2024年6月時点)ショートドラマクリエイター集団「ごっこ倶楽部」が製作した。小島藤子、宇垣美里をはじめ、金子昇や渡辺大貴、白河芹など、地上波ドラマや映画で活躍する俳優から、ショートドラマで活躍する俳優まで豪華な顔ぶれ。銃を使ったアクションシーンなどド派手な演出も散りばめながら、ネットドラマ・縦型ドラマだからこそできる中毒性の高い、没入感のある作品を生み出した。また、本作品には「Penthouse」の新曲「一難」を主題歌にストーリーが展開。ショートドラマならではの小気味いいストーリー展開に、ラテン系アッパーサウンドとソウルフルな男女ヴォーカルが妖艶に光る絶妙なコラボレーションが実現した。今回、小島や宇垣が銃やバットを振り回す練習風景などのメイキング映像と各出演者へのインタビュー映像も到着。メイキング朝美役を演じる小島は「なかなかぶっとんだ作品だと思っていましたが、みんなで頑張って撮影したので、どんな展開になるのか予想しながら楽しんでもらえればと思います」と語り、モラハラに悩まされる専業主婦の変化を熱演。また、小夜を演じる宇垣はショートドラマに初挑戦、「演技自体のテンポの良さが重要だと思っていたので、特に朝見ちゃん(小島藤子)とのやりとりについては『なんだかんだ息があっている!』と思ってもらえるようなスピード感のある掛け合いを意識していました」とふり返り、俳優としての新境地を語っている。主題歌担当「Penthouse」よりコメント「一難」は軽快なリズムに加わったスリリングな演奏と、そこに絡むツインボーカルの力強さが魅力の楽曲です。サビの「一難去ってまた一難」というフレーズは、まさにドラマ「トリッパーズ」にピッタリ。切羽詰まった状況をアドレナリンだけで乗り切っていくような、そんな誰にでも一度は訪れるギリギリの状況でも、あえて楽しめるようなメッセージを込めています。コーヒーやエナジードリンク代わりに是非聴いてみてください。Penthouse 浪岡真太郎(Vo,Gt)「トリッパーズ」は8月9日(金)よりTikTok、YouTube、Instagram、BUMPにて順次配信(全72話)。(シネマカフェ編集部)
2024年08月06日小島秀夫の右脳が大好きなこと=を日常から切り取り、それを左脳で深掘りする、未来への考察&応援エッセイ「ゲームクリエイター小島秀夫のan‐an‐an、とっても大好き」。第16回目のテーマは「ヒゲとメガネとHIDEO」です。髭と眼鏡が僕のアイコンであり、僕のイメージとして定着しているらしい。SNSから流れてくる僕の似顔絵にも髭と眼鏡が必ずフィーチャーされている。髭と眼鏡だけで僕のコスプレだと主張する強気のレイヤーもいる。海外の人には、髭と眼鏡のアジア人はみんな「HIDEO KOJIMA」に見えるらしい。もちろん子供の頃の僕には、ヒゲもメガネもなかった。僕が眼鏡をかけだしたのは、平成を迎えた1991年くらいのことだ。僕の人生の半分は裸眼だったわけだ。両親も兄弟も親戚一同さえも、誰も眼鏡をかけてはいなかった。まさか自分が将来、眼鏡をかけることになろうとは思いもしなかった。とはいえ、僕は以前から眼が人より弱かった。暗い部屋でテレビや映画ばかりを観ていたのが祟ったのだろう。小学2年生の時の視力検査で、検査医師から忠告を受けた。「左右の視力が違うので顔を斜めにして見る癖がついている。矯正した方がいい」と。しかし、乱視が強いので当時の技術での矯正は難しいという結論になった。あの頃は、まだコンタクトはメジャーではなかった。眼鏡は逃れたものの、教室では前の方に座らされることとなった。小学5年になって、川西市(注1)に引越しすることになった。周囲には山や緑が多かったせいか、視力は日常生活で回復した。ところが、ゲーム業界に入り、5年くらい経った頃、異変が起こった。最初は頭痛が酷くなり、続いて眼が痛くなり、ゲーム開発を続けられないほどに悪化した。20数年ぶりに駆け込んだ眼医者に、「それは見えてないからですよ。矯正すべき」と言われ、僕は人生で初めて眼鏡を作った。最初は、日本語字幕が見えるようにと、映画館でだけかける程度だった。ところが、当時開発していたPC版『ポリスノーツ』(注2)というタイトルで、内作した自家製ツールを使い始めてから、一気に視力が落ちた。“眼に優しい”市販ツールではなく、スタッフが簡易製作した“眼に厳しい”ツールでの無理な作業のせいだった。日常でも眼鏡をかけるようになると、眼鏡はいつの間にか、僕の身体の一部となった。昔から眼鏡をかけていたかのように、僕の裸眼人生は永遠に抹消された。2015年年末、30年近く勤めたKONAMIを辞めて、独立した。この時、自分もイメチェンを図ろうと思った。そこで髭を生やそうと考えた。実は、髭面は嫌いだった。昭和の時代、髭はどちらかというとネガティブな印象を与えるものだったのだ。それに、毎朝、目覚めて髭を剃るという行為が、1日の始まりとしては心地よいものだった。髭を生やせば、その小さなリズムは失われてしまう。しかし、だからこそ髭は独立の新たなアイコンになる、と考えたのだ。本当はスピルバーグみたいな映画監督が生やしているボリュームのある髭が良かったが、毛深くはない僕の髭はそこまでは成長しない。仕方なく、手入れの効いた無精髭にすることに。もちろん、起床して無精髭を整えるあの儀式は続けている。30代からずっと老舗眼鏡屋である白山(はくさん)眼鏡店(注3)を愛用してきたのだが、フランスの眼鏡ブランドであるJ.F.REYに出逢った。2005年くらいのことだ。その美しさや繊細さ、それらのデザインを可能にする職人技に惹かれた。今に至るまでずっとJ.F.REYだけをかけている。元祖デザイナーであり、元祖オーナー(現在は別のオーナー)であったジャン・フランソワ・レイさんとも朋友になった。『MGSV』(注4)や『デス・ストランディング』(注5)でもコラボが実現した。先月、“HIDEO KOJIMA×J.F.REY”(注6)の第二弾となるラインナップが発表された。ここには、僕のアイデアと経験が取り込まれている。例えば、サングラス。僕はサングラスにも度を入れる。日差しがきつく、紫外線の多いLAではサングラスが必須だ。そこで眼鏡を外し、サングラスをかける。夜になって、レストランへ行く。蝋燭がゆらめく大人の雰囲気の洒落たレストランだ。ところが、鳥目の僕はサングラス越しではメニューが見えない。外すと、今度は文字が読めない。だからサングラスをしている時は、通常の眼鏡を首元にかけている。室内に入ると、眼鏡にかけ替え、サングラスを首元に。なんとも不自由な眼鏡生活を強いられてきた。そんな経験から生まれた究極のサングラス(HK×JF08+CLIP)が今回のラインナップ(注7)にも入っている。サングラス部分が上下に可動して、度の入ったレンズからずらせるようになっているのだ。“髭”と“眼鏡”が僕の“貌(かお)”からなくなれば、他人からはどう認知されるのだろうか。アイコンを外してしまえば、誰からも呼び止められない透明人間になれるのだろうか?僕の次のアイコンは何になるのだろうか?新しい眼鏡を選びながら、そんなことを考えた。ただしばらくはヒゲとメガネのHIDEOでいるつもりだ。注1:川西市兵庫県郊外の住宅地。注2:『ポリスノーツ』1994年発売のSFアドベンチャーゲーム。その後PlayStationなどにも移植された。注3:白山眼鏡店1883年創業の「白山眼鏡店(しらやまめがねてん)」にルーツを持つ眼鏡ブランド。ジャパンメイドにこだわったオリジナルフレームを製作している。注4:『MGSV』2014年に発売された、メタルギアシリーズ8作目のゲームソフト『メタルギアソリッドV』。注5:『デス・ストランディング』小島秀夫がコジマプロダクションを立ち上げ後初めて発表したゲームタイトル。2019年に発売され、その後ディレクターズカット版も登場した。注6:HIDEO KOJIMA×J.F.REY小島秀夫とJ.F.REYのコラボレーションによるアイウェアコレクション。現在第二弾が発売中。注7:今回のラインナップ7モデル各3色、全部で21バリエーションを展開。デザインや素材など随所に小島監督の世界観が表現されている。HK×JF08+CLIPは、クリップオンのサングラスを跳ね上げて着用できる2wayモデル。今月のCulture FavoriteJ.F.REY代官山店にて。HIDEO KOJIMA×J.F.REYの新コレクションのサングラス。俳優ミア・ゴスとのツーショット。チャイニーズ・シアターで行われた新作映画『MaXXXine』でのプレミアにて再会。俳優ロバート・パティンソンとごはんを食べた際の一枚。こじま・ひでお1963年生まれ、東京都出身。ゲームクリエイター、コジマプロダクション代表。’87年、初めて手掛けた『メタルギア』でステルスゲームと呼ばれるジャンルを切り開き、ゲームにおけるシネマティックな映像表現とストーリーテリングのパイオニアとしても評価され、世界的な人気を獲得。世界中で年間最優秀ゲーム賞をはじめ、多くのゲーム賞を受賞。2020年、これまでのビデオゲームや映像メディアへの貢献を讃えられ、BAFTAフェローシップ賞を受賞。映画、小説などの解説や推薦文も多数。ゲームや映画などのジャンルを超えたエンターテインメントへも、創作領域を広げている。「The Game Awards 2023」にて発表した、最新作『OD』の公式ティザートレーラーが、KOJIMA PRODUCTIONSの公式YouTubeチャンネルで公開中。『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』の第2弾トレーラーが公開中。先日、完全新作オリジナルIP『PHYSINT(Working Title)』の制作を発表。次回は、2412号(2024年9月4日発売)です。※『anan』2024年8月7日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)(by anan編集部)
2024年08月03日6月25日の夜10時半ごろ、都内の繁華街にあるビルでエレベーターを待っていたのはAぇ! groupの小島健(25)。小島は同グループのリーダーを務めており、今年5月に発売されたデビューシングル『《A》BEGINNING』は、オリコン上半期ランキング2024アーティスト別セールス部門「新人ランキング」にて、期間内売上13.1億円で1位を獲得した。本誌が目撃した当日は小島の25歳の誕生日。仕事帰りなのだろうか、傍らにはマネージャーらしき男性が。そして2人で向かった先は、ビルに入っていた『鳥貴族』であった。『鳥貴族』といえば、SUPER EIGHT・大倉忠義(39)の父親である大倉忠司氏(64)が経営している人気焼き鳥チェーン店。ドリンクや焼き鳥などの一品料理が税込370円均一という庶民的かつ“高コスパ”で人気を博している。「STARTO社の関西グループをまとめるリーダー的な存在が大倉さんで、Aぇ!groupはメンバー全員が関西ジュニアから選抜されています。ちなみに小島さんは、母親が関ジャニ∞(現SUPER EIGHT)のファンだったことがきっかけでジャニーズ事務所に入所していますが、Aぇ! groupをプロデュースしているのもSUPER EIGHTの横山裕さん(43)です」(アイドル誌ライター)小島が誕生日に“庶民派チェーン店”に訪れていた理由とは――。「小島さんの『鳥貴族』好きはファンの中では有名だそうです。特にお気に入りのメニューは“ふんわり山芋の鉄板焼き”だと聞いています」(前出・アイドル誌ライター)大好きなものを食べ、“Aぇ! 誕生日”になったに違いない!
2024年07月08日小島秀夫の右脳が大好きなこと=を日常から切り取り、それを左脳で深掘りする、未来への考察&応援エッセイ「ゲームクリエイター小島秀夫のan‐an‐an、とっても大好き」。第15回目のテーマは「MADでGODなSAGA」です。ロンドンで行われた『マッドマックス:フュリオサ』(公開中)のレッドカーペットで“神(GOD)”と熱い抱擁を交わした。Zoomでは何度もやりとりをしてはいたが、直接会うのは7年ぶり。神は79歳、僕は60歳になっていた。僕が神の存在を知ったのは、44年前のことだ。高校1年生の時、テレビである映画の特番が放送された。紹介されたのは、無名の監督による『マッドマックス』という映画。近未来のオーストラリアの荒野で壮絶なカーアクションを繰り広げる物語だった。公開初日、僕はひとり大阪梅田まで足を延ばして観に行った。圧倒された。オーストラリア映画はもとより、こんなにも渇いたバイオレンスは観たことがなかったからだ。これは単なるアクション映画ではない!映画小僧だった僕は、映画を超えた“神話”に出会ったのだ。ラストのマックス・ロカタンスキーを真似て片脚を引き摺りながら、売店でパンフレットを買った。そこで初めて、神の名前と貌を知った。それが神――ジョージ・ミラーとの出会いだった。それから、神が関与する映画は『マッドマックス』を含め、日本で鑑賞出来るものは可能な限り観た。最も好きな映画でもある『マッドマックス2』は、リバイバル上映される度に、必ず観に行った。ビデオやDVD、BDが出る度に購入し、定期的に観直している。独特の世界観、物語、キャラクター、哲学、アート、演出。それらが僕の体内に染み込み、全身の細胞に行き渡り、僕の物創りに影響を与えてきたのは疑いようがない。神の作品は物創りの“バイブル”なのだ。9年前の2015年は、僕にとって、人生で最も辛い時期だった。あまりの心労で体重は10キロ以上も落ち、心身共に疲弊していた。そんな折、新作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の公開時に来日するジョージ・ミラー監督との対談企画が持ち上がった。僕は『マッドマックス2』に登場するヴィランの“ヒューマンガス”(注1)のTシャツを着て、神との対談に挑んだ。初めて対面した神は、あの狂気の世界観からは想像も出来ないくらい知的で、優しい人だった。息子さんが僕の大ファンであるとかで、僕のこともリスペクトしてくれていた。神は、『ベイブ』(注2)や『ハッピー フィート』(注3)の様なCG作品にも携わったデジタル映像の先駆者。僅か数分で幼馴染の様な親密感を覚えた。映画の話題だけに留まらず、お互いのクリエイティブの根幹と魂までを共有し合った。日本公開時に買った『マッドマックス2』のパンフレットにもサインを貰った。ガス欠状態だった僕は、神から大量の“ガソリン(Guzzolene)”(注4)を注入してもらった。これが、ミラー監督とのSAGAの始まりだった。2017年の3月、素敵な夜景の見えるシドニーのレストランで神と再会した。そこで、自分が独立したことと、スタジオの立ち上げタイトルである『DEATH STRANDING』の企画の趣旨を伝えた。神は、聴き終わるやいなや、紙ナプキンに数式やら図式を書き出した。そして、こう答えた。「小島さん、あなたの作品は、数学的、物理学的、心理学的、人類学的、哲学的に、既に成功している。あなたは正しい道を歩んでいます。おめでとう!」と。コナミを辞め、独立して不安に苛まれていた僕は、神から“ガソリン”をまた貰った。「この道を進んで、間違ってはいない」と、再び勇気づけられたのだ。そこからは、Zoomで物創りの話をしたり、対談をしたり、近況を報告し合ったり、さらには僕のドキュメンタリー映画『HIDEO KOJIMA:CONNECTING WORLDS』(注5)や『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』(注6)にも出演してもらったりもしている。ロンドン・プレミアでのジャンケットの最終日、ミラー監督と対談をした。その最後に、また新たなる神話を創造してくれた神に、僕は感謝の言葉を述べた。「ジョージさんは、(『マッドマックス:フュリオサ』に登場するジャックのように)僕のメンターなので、今後もずっと映画を創り続けてください。僕はあなたの背中を見ながら、後に続きます」と、ジャックの例えを理解したミラー監督は、満面の笑みを返してくれた。「Ah, that’s wonderful that you say that.」(そんな風に言ってもらえて、とてもうれしいよ)「Because when I see Death Stranding, and I see the work you did…」(『デス・ストランディング』を観れば、小島さんのことがよくわかる)「I feel like a brother, a creative brother.」(私たちは、まるでクリエイティブな兄弟みたいだね)ジョージさんが“SAGA”を創り続ける限り、僕も物創りの“ロード”を走り続ける。そこには、“狂気(MAD)”も“怒り(FURY)”もない。老いても、並走し続ける“漢たち(ROAD WARRIORS)”がいるだけだ。注1:ヒューマンガス『マッドマックス2』に登場する、金属のマスクを装着したカリスマ的悪役。演じたのはシェル・ニルソン。注2:『ベイブ』’96年公開のクリス・ヌーナン監督作品。ジョージ・ミラーは製作・脚本を担当。子豚のベイブが史上初の牧羊豚になろうと奮闘する姿を描いた。注3:『ハッピー フィート』’07年公開のミラー監督作。音痴だがダンス上手なコウテイペンギンの子供・マンブルが、故郷を離れて繰り広げる冒険を通し、自分の生き方を見つけていく物語。注4:Guzzoleneミラー監督が考えた2つの単語を組み合わせたポートマント語。これは「貪欲に飲む」という意味の「guzzle(ガズル)」と「gasoline(ガソリン)」を巧みに組み合わせたもの。注5:『HIDEO KOJIMA:CONNECTING WORLDS』小島秀夫の幼少期のエピソードや『DEATH STRANDING』制作の風景などを追いかけたドキュメンタリー映画。ディズニープラスで配信中。注6:『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』コジマプロダクションが開発中の新作ゲーム。ジョージ・ミラー監督との対談は、YouTubeで公開中!今月のCulture Favorite映画『ボーンズ アンド オール』などへの出演で知られる俳優のテイラー・ラッセルさんと。ジョージ・ミラー監督とのツーショット。津田健次郎さん、水樹奈々さんと。こじま・ひでお1963年生まれ、東京都出身。ゲームクリエイター、コジマプロダクション代表。’87年、初めて手掛けた『メタルギア』でステルスゲームと呼ばれるジャンルを切り開き、ゲームにおけるシネマティックな映像表現とストーリーテリングのパイオニアとしても評価され、世界的な人気を獲得。世界中で年間最優秀ゲーム賞をはじめ、多くのゲーム賞を受賞。2020年、これまでのビデオゲームや映像メディアへの貢献を讃えられ、BAFTAフェローシップ賞を受賞。映画、小説などの解説や推薦文も多数。ゲームや映画などのジャンルを超えたエンターテインメントへも、創作領域を広げている。「The Game Awards 2023」にて発表した、最新作『OD』の公式ティザートレーラーが、KOJIMA PRODUCTIONSの公式YouTubeチャンネルで公開中。『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』の第2弾トレーラーが公開中。先日、完全新作オリジナルIP『PHYSINT(Working Title)』の制作を発表。次回は、2408号(2024年7月31日発売)です。※『anan』2024年7月10日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)(by anan編集部)
2024年07月06日履いてますか……?ステージでの小島よしおさん(※画像は小島よしおさんオフィシャルブログより)小島よしおさんは2016年7月に一般女性と結婚。今年2月に第一子となる男児「おぱぴまる」くん(愛称)が誕生したことを発表しました。お宮参りや端午の節句など、行事の写真もInstagramで紹介していた小島さん。5月には家族そろって産後ケア施設にお世話になったこともレポートしていました。赤ちゃんは可愛く育児は楽しいものの、夫婦とも連日の寝不足で疲労が蓄積しており、専門スタッフのサポートに頼ってしばしのんびりできたそうです。全国各地のステージに立つ仕事の多い小島さんですが、先日は生後4カ月になった息子を仕事場に連れて行ったようで、本番前の楽屋でおぱぴまるくんにミルクをあげている写真をUP。定番の海パン姿でミルクをあげている姿はなんだかシュール……!おぱぴまるくんに隠れて、海パンを履いているのかどうかわからないところも思わず笑ってしまうポイントです。小島さんのパパ姿に、Instagram投稿のコメント欄には、「小島よしおがパパやってる〜!!」「イクメンしてますね」「しっかり目を見てミルクを飲ませてる姿、愛情たっぷりですね」「おぱぴまる可愛いよしおパパも可愛い」と応援の声が多数寄せられていました。生後4カ月の赤ちゃんのミルクの量はどのくらい?生後4ヶ月頃になると、あやすと笑ったり、興味があるものを目で追ったり、欲しいものがあったら手を伸ばすなど、外からの刺激に反応する様子が多く見られるようになり、大変な新生児期を乗り越えられて良かったとうれしく思うママパパも多いでしょう。このころにはだんだんと起きている時間が長くなって、睡眠のリズムが安定してくる赤ちゃんもいます。それとともに、授乳回数が少し減り、母乳の場合は3時間おきペースになる子もいれば、それまでとあまり変化が感じられないことも。あくまで目安ですので、赤ちゃんの様子をよく見て欲しがったら授乳してあげれば大丈夫です。ミルクの量や回数に関しては製品に記載されているものを目安に、赤ちゃんが飲みたいように飲ませてあげていいでしょう。参照:生後4ヶ月の赤ちゃんの体重は?授乳量や首すわりもチェック!【医師監修】
2024年07月05日『そんなの関係ねぇ!』などのギャグで知られ、海パン一丁の姿がトレードマークのお笑いタレント、小島よしおさん。2007年のブレイク以降、今の子供たちにもYouTubeやイベントなどで、大人気だといいます。小島よしお「本番前に…」2024年7月2日、小島さんが、Instagramを更新。本番前に、楽屋で過ごす様子を公開したところ、大きな話題になりました。注目を集めた理由は、実際の投稿を見れば分かるでしょう…。 この投稿をInstagramで見る 小島よしお(@kojimayoshiopiya)がシェアした投稿 海パン一丁で、子供にミルクをあげている…!!小島さんは今年2月、第1子となる男児が誕生したことを報告しています。【祝】小島よしおが『パパ』に!赤ちゃんとのツーショット写真を番組で公開SNSでたびたび、息子さんを自身のギャグにかけて『おぱぴまる』と呼び、成長を報告していた、小島さん。『先日の楽屋。本番前。おぱぴまる』というコメントとともに、投稿された写真からは、小島さんが仕事の合間を縫って、育児に励んでいることが分かりますね。【ネットの声】・めっちゃ素敵なパパ~!しっかりと目を合わせながらミルクをくれて、おぱぴまるも幸せそう。・パパの姿がかっこいい!お疲れ様です。・めっちゃ不思議な写真だけど、ほほ笑ましい。海パン一丁の男性が子供にミルクをあげている光景は、一見シュールですが、これも小島さんの立派な仕事着です。父親の仕事場で、ミルクをもらい、愛情深く育てられている『おぱぴまる』くん。健康にすくすく育っていってほしいですね![文・構成/grape編集部]
2024年07月04日小島秀夫の右脳が大好きなこと=を日常から切り取り、それを左脳で深掘りする、未来への考察&応援エッセイ「ゲームクリエイター小島秀夫のan‐an‐an、とっても大好き」。第14回目のテーマは「“どこでも窓”から“どこでもドア”」です。家族やカップル、親しい友人たちと電話をする場合、音声だけの通話をする人は少ないはずだ。今は「FaceTime」(注1)のようなアプリで、声だけではなく、相手の顔や表情、動き、その背景までもがわかる通話が可能だ。コロナ禍の一時期、一気に普及したのが、「Zoom」(注2)だ。ネット回線で複数人を同時に繋ぐアプリケーションである。海外渡航や移動が制限された当時、国内外の人たちとミーティングや顔合わせが出来るツールは重宝された。自宅から、職場から、公園から、車中から、と何処からでもビデオ映像を双方向に送れるからだ。若い人たちは、これがあたりまえの日常だと思っているかも知れない。しかし、僕が子供だった1970年代、テレビ電話は誰もが憧れた“まだ見ぬSF世界のガジェット”だったのだ。テレビ電話、エアカー、人型ロボット、月面ホテル。これらは、高度成長期が永遠だと思わせる象徴として、当時のSF映画やアニメ、漫画で描かれた“21世紀の未来図”だった。ところが、半世紀以上を経た2024年現在、それらのほとんどが実現していない。次の大阪・関西万博で実現させるはずだった空飛ぶクルマも中止。生成AIこそ、日常生活を蝕み始めてはいるが、アトムのようなヒューマノイドは、未だに実験室を出られないし、月面開発は20世紀に凍結され、ようやく再び月へ戻るという“アルテミス計画”が再開されたくらいだ。しかし、たった一つだけ、想像以上に進化しているものがテレビ電話である。SFの世界ではテレビ電話ではなく、“ビデオフォン”と呼ばれていた。僕らの世代では『ウルトラセブン』の腕時計型「ビデオシーバー」(注3)や映画『2001年宇宙の旅』の宇宙ステーション5に設置された縦型「公衆TV電話」(注4)がまず頭に浮かぶ。ビデオ通話の日常化は、スマートフォンの普及のおかげでもあるだろう。インターネットを介することで、リアルタイムでのワールドワイドなビデオ通話が可能になった。これですべて事足りるのではないか。会社も学校も病院もリモート。来たるメタバースの時代には、もう人は人と直接会う必要はなくなるのではないか?都会に住む必要もないのでは?コロナ禍ではそんな威圧に近い風潮があった。ところが、コロナ禍でのパフォーマンス・キャプチャー(注5)では、苦い経験をすることとなった。撮影現場となるLAのスタジオに、キャストと現地スタッフに集結して貰い、僕は東京のコジプロから遠隔でのディレクションを行おうとした。Zoomやスマホ、タブレットを数十台駆使して、現場のスタッフやキャストと繋いだ。リモート慣れしたはずの我々だったが、それでも無理があった。現場は混乱した。現場でのカメラや俳優たちの位置を把握し、カメラワークや演技指導を的確に伝え、演出するのは困難だった。苦肉の策として導入したのが、Sonyの研究開発部門が考案した「窓」という最先端のシステム。LAと東京に対になる大きな縦型モニターを2セット設置。等身大の巨大なスマホ画面だと考えていい。双方向に映像と音声が同時に送れる。向こうへは行けないが、LAと東京に“どこでも窓”が出現した感じだ。この「窓」を通して、キャストたちとのコミュニケーションを取り、なんとか撮影をこなした。今後は、仕事や会議、デート、面談、面接、飲み会、式典、様々なコミュニケーションがメタバース上で標準化するのであろうか?いや、僕はそれは好きではない。ホログラム技術も今後かなり進化するだろうが、あくまでも立体映像であり、お互いが触れ合わなければ、深く理解することは出来ない。Zoomでの会議もあくまでもサブでしかない。俳優にオファーするのも実際に会ってから決める。人は直接、移動して出会うべきだ。人の移動が運ぶのは、身体にまとわりつく匂いや体温、心に宿る気分や感情、その瞬間に人が秘めているデジタル化されない膨大な情報にあると思うからだ。コロナ禍が明けて、海外へまた自由に飛べるようになった。2022年からはLA現地でのパフォーマンス・キャプチャーの撮影を再開した。一方で長距離移動は、この歳になると辛い。ジェットラグも堪える。だから今最も欲しいものは、瞬間物質移送機。『スター・トレック』(注6)の転送装置。つまり、“どこでもドア”だ。Sonyの「窓」は見るだけだったが、窓の向こう側へと繋がる“扉”。果たして、ドラえもんが生まれた22世紀には実現しているのだろうか。先月、NYで新作映画撮影中のエル・ファニングさんと『DS2』(注7)の最後のADR(注8)の際、Zoomを使った。やはり、近くで細かな演出をしたかったし、食事をしながら懇談もしたかった。“どこでもドア”が無性に恋しくなった。注1:「FaceTime」Appleが開発したビデオ通話アプリケーション。注2:「Zoom」オンラインでミーティングやセミナーなどを行えるWeb会議アプリケーション。注3:ビデオシーバー『ウルトラセブン』のウルトラ警備隊が連絡を取り合うために腕に装着していた映像通信ツール。注4:公衆TV電話映画『2001年宇宙の旅』内の宇宙ステーションに設置された、映像通話のための装置。注5:パフォーマンス・キャプチャーセンサーを装着した人間の動作や表情をデジタルデータ化する技術。ゲームや映画、VTuberなどに使われている。注6:『スター・トレック』1966年から放送され世界中にファンを持つSFテレビドラマ。映画やアニメーションにも展開されている。物質を瞬時に分解して異なる場所に移送できる転送装置が登場。注7:『DS2』コジマプロダクションが開発中の新作ゲーム『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』。注8:ADRAutomated Dialogue Replacementアフターレコーディングのこと。今月のCulture Favorite6年ぶりに揃ったマッツ・ミケルセン、ノーマン・リーダスと。5月3日(金)~5月5日(日)の3日間にかけて開催された大阪コミコン2024のステージで。©2024 Osaka comic con All rights reserved.世田谷文学館で開催中の「伊藤潤二展誘惑」での伊藤さんとのショット。エル・ファニングさんとZoomでADRを行った際の一枚。こじま・ひでお1963年生まれ、東京都出身。ゲームクリエイター、コジマプロダクション代表。’87年、初めて手掛けた『メタルギア』でステルスゲームと呼ばれるジャンルを切り開き、ゲームにおけるシネマティックな映像表現とストーリーテリングのパイオニアとしても評価され、世界的な人気を獲得。世界中で年間最優秀ゲーム賞をはじめ、多くのゲーム賞を受賞。2020年、これまでのビデオゲームや映像メディアへの貢献を讃えられ、BAFTAフェローシップ賞を受賞。映画、小説などの解説や推薦文も多数。ゲームや映画などのジャンルを超えたエンターテインメントへも、創作領域を広げている。「The Game Awards 2023」にて発表した、最新作『OD』の公式ティザートレーラーが、KOJIMA PRODUCTIONSの公式YouTubeチャンネルで公開中。『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』の第2弾トレーラーが公開中。先日、完全新作オリジナルIP『PHYSINT(Working Title)』の制作を発表。次回は、2404号(2024年7月3日発売)です。※『anan』2024年6月12日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)(by anan編集部)
2024年06月08日「マッドマックス」サーガ最新作『マッドマックス:フュリオサ』より、ジョージ・ミラー監督と小島秀夫監督のロングインタビュー動画が解禁された。第77回カンヌ国際映画祭で約7分間のスタンディングオベーションで大絶賛を受け、辛口批評サイト「ロッテントマト」では批評家/観客のスコアともに90%フレッシュを獲得(2024年6月4日時点)し、高い評価を得ている本作。全米初登場No.1はもちろん、世界中で熱狂的に迎えられ、日本では前作『怒りのデス・ロード』を大きく上回る、週末観客動員&興行収入共に初登場No.1を獲得。2024年に公開された「洋画作品」において初めてランキング1位を記録し、2024年の洋画興行収入No.1が射程圏内となっている。この度、「DEATH STRANDING」「メタルギアソリッド」シリーズを創造し、国内外の多くの著名人やクリエイターに熱狂的なファンを抱える世界的ゲームクリエイターの小島秀夫監督と、1979年の『マッドマックス』シリーズ誕生から世界中に多くの影響を与えてきたジョージ・ミラー監督の対談が実現。貴重なロングインタビューが「ワーナー ブラザース ジャパン公式YouTubeチャンネル」にて公開された。あらゆるメディアやSNSで「ジョージ・ミラーは僕の“神”」と公言するほど誰よりも深い“マッドマックス愛”を持つ小島監督は、約7年ぶりの直接の対面に、当初の時間を延長して本作の魅力や制作の裏側について熱く語り合った。憧れのミラー監督と久々に再会した小島監督は少年のように目を輝かせると、「演出がうますぎる!いつも常に勉強させていただいています。セリフなしで映像で全て見せてくれるというのが、観客と作り手のリズムというか…」と、作品のディテールについて大絶賛。対するミラー監督は、小島監督の深い考察と、クリエイターならではの視点に驚嘆の声を上げると、映画について監督ならではの持論を展開。映画製作を”タペストリー”に例えた。「映画全体にわたり糸を通していくわけです。映画についての比喩の一つには、視覚的音楽だというものがあります。また、全体の模様を作るモザイクアートでもあると言われます。私が好きな比喩は”映画はタペストリーである”というもので、糸を通して絵を描いていくというものです。物語を通して糸をたどっていくとタペストリーの絵が見えてくるのです」と、ディテールの全てが物語全体に糸を通すように重要であると語った。そして小島監督は、フュリオサの腕や髪の毛の変化を通じて、彼女の感情や成長を表現していることにも言及。自身のゲーム創作でも「ビジュアルで語ること」を重視し参考にしていると、改めて監督に敬意を示した。ほかにも、「左腕と髪を失ったフュリオサの変貌」「ディメンタス将軍の“色”の変化」「個性豊かな改造車が、それぞれのキャラクターや関係性を表している」ことなど、作品の魅力をさらに深く理解するための貴重な裏話が盛りだくさん。対談の締めくくりに、小島監督は「ジョージ監督は僕のメンター。今後もずっと映画を作っていただいて、勇気と元気をください!」と語りかけると、ミラー監督は「あなたにそう言ってもらえて、とても嬉しいです。『DEATH STRANDING』を見て、その成果を目の当たりにしてこう感じました。まるでクリエイティブな兄弟だとね。こんな会話を今後もずっと続けて行きましょう!ありがとう!」と互いにエールを贈った。『マッドマックス:フュリオサ』は全国にて公開中。(C) 2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.IMAX® is a registered trademark of IMAX Corporation.Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories.(シネマカフェ編集部)■関連作品:マッドマックス:フュリオサ 2024年5月31日より全国にて公開© 2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved. IMAXR is a registered trademark of IMAX Corporation. Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories.
2024年06月07日小島秀夫の右脳が大好きなこと=を日常から切り取り、それを左脳で深掘りする、未来への考察&応援エッセイ「ゲームクリエイター小島秀夫のan‐an‐an、とっても大好き」。第13回目のテーマは「“りばいばる”を“もう一度”」です。忘れられない歌を 突然聞く誰も知る人のない 遠い町の角でやっと恨みも嘘も うすれた頃忘れられない歌が もう一度はやる「りばいばる」(注1)中島みゆきの曲を研ナオコが歌う『中島みゆき作品BESTアナログ』のバイナル盤が発売された。ターンテーブルにLPを載せ、“りばいばる”というかつてのヒット曲に針を落とした。僕がこの曲を好きなのは、メロディが沁みるだけではない。流行歌には当時の個人的な記憶がいつまでも付いてくる、という歌詞にある。忘れてしまいたかった当時の記憶が、歌と共にフラッシュバックするからだ。いつか君といった 映画がまたくる授業を抜け出して 二人で出かけた哀しい場面では 涙ぐんでた素直な横顔が 今も恋しい雨に破れかけた 街角のポスターに過ぎ去った昔が鮮やかに よみがえる君もみるだろうか「いちご白書」を二人だけのメモリィーどこかでもう一度「『いちご白書』をもう一度」(注2)同じリバイバルでも「『いちご白書』をもう一度」のように、思い出の映画が再び上映されることで、当時の青春時代を懐古するという歌もある。『いちご白書』(1970)は、学生運動を扱ったアメリカンニューシネマの佳作だ。まだカップルとは言えない恋人未満の若い二人が映画を観た記憶を共有する。こういう経験は誰にでもあるはずだ。映画の詳細は覚えていなくとも、当時の淡い思いは大切に胸の奥に仕舞っているはずだ。ビデオもサブスクもない時代、映画は公開時に劇場で観るほか、機会はなかった。そうなると記憶に残るのは映画の内容だけではない。だからこそ、映画館での体験は特別なものになったのだ。朝なのか?夜なのか?どの映画館で?誰と――それは、恋人なのか、初デートなのか?気まずい倦怠期なのか?それとも家族、友達、学校や会社の仲間と一緒なのか?あるいは一人で?さらには、その時の社会情勢や、自分が置かれていた状況、テンション、幸福度が、クラスターの様に映画とひとつの記憶に仕舞われている。劇場映画体験とはそういうものだったのだ。AIが勧めるサブスク映画を、お手軽なスマホやタブレットで消費する今の映画体験には、その感覚はほぼないと言える。一方で、最近は古い映画をデジタル修復してリバイバル上映することが増えた。若者たちは、音楽も映画もサブスクで受動的に消費して、劇場にはあまり足を運ばない。それは映画を巡る生活習慣が変化したからだ。昨今のリバイバル上映は、映画に特別な記憶のある世代を呼び戻すための秘策のひとつとなっている。かつてのフィルムによるリバイバルとは違い、デジタルリマスターした素材を使って修復された上映だ。劇場側の設備も改善され、4K上映が主流になってきている。しかも、驚くのは誰もが知っているような名作や傑作だけではなく、シネフィルたちの眼鏡に適うようなカルト作が多いことだ(注3)。そんな中、マカロニ・ウエスタンの代名詞ともなる「ドル3部作」(注4)の4Kデジタルリマスター版が先日、リバイバル公開された。僕も影響を受けた作品たちだ。中でも一番のお気に入りは、『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗(The Good, the Bad and the Ugly)』。BDで定期的に観直しているものの、劇場の巨大スクリーンでの再会ともなると話は違ってくる。178分という長尺の上映時間のため、予定がなかなか合わず、やむを得ず、平日の午前からの回を予約した。映画館に入ると、驚いた。あきらかにシニアな人たちばかり。中には杖をついて必死に階段を上がってくる人もいる。後方の座席に座ると、白髪と禿頭ばかりが目立つ。仲良く並んでいる老夫婦もいる。僕は感動した。彼らは“映画と共に生きていた”のだ。映画館での特別な体験に、今も価値を感じているのだ。老いても忘れることなく、「ドル3部作」をずっと愛しているのだと。映画が始まる。スクリーンの中の溢れんばかりの欲望と勝機を持て余したクリント・イーストウッドやリー・バン・クリーフたちは、歳をとらず、あの頃のままだ。子供の時の初見は“GOOD”に、悪ガキ時代には“BAD”に、歳をとると“UGLY”に共感する。歳を重ねていくと映画の見方は変わるものの、好きなものは永遠だ。僕らは、映画を観て、過去を回想するだけではない。映画を観ている間、少年少女のように若返るのだ。時間を巻き戻すのではなく、再び生き返る。エネルギーが満ちる。まさにリ・サバイバル。映画にはそんな力もあるのだ。帰宅すると、部屋のターンテーブルには、“りばいばる”が鎮座している。僕は、忘れられない歌を、忘れないようにと、もう一度、回した。注1:「りばいばる」作詞・作曲 中島みゆき1979年にリリースされた中島みゆきの7枚目のシングル。1984年に研ナオコがカバーした。注2:「『いちご白書』をもう一度」作詞・作曲 荒井由実1975年、バンバンが歌い上げたフォークソングの傑作。注3:ダーレン・アロノフスキーのデビュー作『π』(1998)、ブライアン・デ・パルマの初期作品『悪魔のシスター』(1973)、クエンティン・タランティーノのデビュー作『レザボア・ドッグス』(1991)、’70年代SF映画の金字塔である『ソイレント・グリーン』(1973)など、映画ファンのツボを絶妙に突いてくるタイトルが多く上映されている。カルト作品ではないが、あの『ローマの休日』(1953)も昨年70周年記念ということで、劇場での4K版リバイバルを実現している。こちらは城達也と池田昌子による日本語吹替版。注4:「ドル3部作」クリント・イーストウッド主演、セルジオ・レオーネ監督、エンニオ・モリコーネ音楽という伝説のマエストロたちによる3作品『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』のこと。JASRAC出2402943‐401今月のCulture FavoriteTBS系で放送中のドラマ、日曜劇場『アンチヒーロー』の撮影現場で、長谷川博己さんと一緒に。こじま・ひでお1963年生まれ、東京都出身。ゲームクリエイター、コジマプロダクション代表。’87年、初めて手掛けた『メタルギア』でステルスゲームと呼ばれるジャンルを切り開き、ゲームにおけるシネマティックな映像表現とストーリーテリングのパイオニアとしても評価され、世界的な人気を獲得。世界中で年間最優秀ゲーム賞をはじめ、多くのゲーム賞を受賞。2020年、これまでのビデオゲームや映像メディアへの貢献を讃えられ、BAFTAフェローシップ賞を受賞。映画、小説などの解説や推薦文も多数。ゲームや映画などのジャンルを超えたエンターテインメントへも、創作領域を広げている。「The Game Awards 2023」にて発表した、最新作『OD』の公式ティザートレーラーが、KOJIMA PRODUCTIONSの公式YouTubeチャンネルで公開中。『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』の第2弾トレーラーが公開中。先日、完全新作オリジナルIP『PHYSINT(Working Title)』の制作を発表。次回は、2400号(2024年6月5日発売)です。※『anan』2024年5月8日‐15日合併号より。写真・内田紘倫(The VOICE)(by anan編集部)
2024年05月11日「大阪コミックコンベンション 2024」では、小島秀夫とマッツ・ミケルセンの対談が行われる。11名のセレブが来日し、いよいよ今週末に開催される「大阪コミコン 2024」。今回の対談は、5月5日(日・祝)のマッツのセレブ・ステージ内にて実施。対談相手となる小島さんは、「メタルギア」「ボクらの太陽」シリーズなど数々の名作を生み出したゲームクリエイター。小島秀夫大ヒットビデオゲーム「DEATH STRANDING」では、同イベントで来日予定のノーマン・リーダスが主演し、マッツはメインキャラクターを担当。プライベートでも親交のある2人の夢の対談が実現する。ほかにも、『あのコはだぁれ?』主演の渋谷凪咲が登壇するホラー映画好きに人気の「“怖(こわ)”コン」の実施も決定。「東京コミコン2023」で完売となった「COMIC CON LOTTERY」は発売中だ。「大阪コミックコンベンション 2024」は5月3日(金・祝)~5日(日・祝)インテックス大阪にて開催。(シネマカフェ編集部)
2024年05月02日小島秀夫の右脳が大好きなこと=を日常から切り取り、それを左脳で深掘りする、未来への考察&応援エッセイ「ゲームクリエイター小島秀夫のan‐an‐an、とっても大好き」。第12回目のテーマは「コルギなソウル(魂)」です。ホテルのカーテンを開けると、ソウルは一面の雪景色になっていた。キャスティング関連でのわずか2日間の訪韓。午前中だけ予定が空いていたのもあり、繁華街の明洞(ミョンドン)へと向かった。焼肉屋やチヂミのハングル文字に紛れて、日本語の看板が目に入る。「韓国式エステ」。ここだ。急な階段を2フロア分、上がる。店に入ると店長らしきおばちゃんが日本語で話しかけてくる。「ギンジャ(銀座)だと、この倍の値段。うちは安いよ」と、160分の極上コースを猛烈に薦めてくる。午後から大事なミーティングがある。2時間以上のコースは避けたい。“ヒーリング・コース”を希望したが、おばちゃんの強引な推しで、話題の“顔骨気(コルギ)コース”を体験することになった。おばちゃんに連れられ、更衣室へ。指示通り、パンツ一丁になり、その上に紙パンツを履いて、チャイナドレスのような刺繍の入ったピンクの施術着を羽織る。外に出ると、別のおばちゃんが待ち受けており、階段を上らされる。曲がりくねった廊下を進むと、ドラム式の乾燥機が並んでいる小部屋に突き当たる。そこにはまた別のおばちゃん達が待機している。まさか乾燥機に足を入れるのでは?と構えたが、杞憂だった。用意されたお湯に足を浸けて、洗浄。再び階段を上り、逃げ場のない突き当たりの部屋へ通される。硬いベッドに仰向けに固定された後、店自慢の“顔骨気コース”が、いよいよスタートする。まずは、クレンジングと足つぼマッサージ。続いて、顔にクリームを塗られる。何度も何度も塗り込まれる。目隠しをされているので、何を塗られているかは、わからない。そして、唐突に骨気テラピー(注1)が始まる。かなり痛いとは事前に聞いていた。おばちゃんは、器具を使わず、指先だけで親の仇の様に攻めてくる!「イタタタ!!」と、思わず声を出して訴えるが、日本語は通じない。ところが「イタイ、イタイ」と、楽しそうにオウム返ししながら手を緩めずに続ける。我慢するしかない。続くフェイスリンパマッサージにも耐え抜き、ホワイトニングパックにシフト。同時に、空気圧による自動の骨盤マッサージが始まる。その間に、肩・肩甲骨の指圧とデコルテ、首、肩リンパマッサージ。最後に頭皮マッサージ。これで終了か、と安堵していると、入れ替わりに別のおばちゃんが迎えにやって来る。「全部脱いで、これを頭から被って。パンツも脱いでスッポンポンに」と黄色い布を渡される。まだ終わりじゃないの?よく見てみると、布の中央に穴が開いていて、そこに首を入れて着るらしい。中でパンツを脱いで、全裸になる。まるで貫頭衣(注2)ではないか?逡巡している間もなく、巨大なてるてる坊主と化したまま、階段を上らされる。いや、下りたのかもしれない。ここは、エッシャーの絵のような迷宮なのだ。最後に待っていたのは、骨気と人気を二分する“よもぎ蒸し”(注3)。部屋に向かうと、おばちゃんが入口にひとり、岩のように座っている。縦に長い部屋内には、真ん中に穴が開いた陶器製の丸い椅子(座浴器)がぞんざいに並べられている。複数の椅子とセットになるように、それぞれに丸テーブルが用意されている。奥には、てるてる坊主から首だけ出した先客の女性2人が、日本語で談笑している。女性もいるの?大丈夫?と面食らっていると、反対側の椅子へと何の説明もなく、誘導される。てるてる坊主の裾を広げて、座浴器に跨る。その下に火種があり、そこによもぎ(韓方薬/ハニャッ)が焚べられている。跨ると、肛門よりも陰嚢が熱い。蒸すというより、熱い。冷やさないといけない大切な器官。これって、男性がやって大丈夫なの?と、顔を上げると、おばちゃんは、目の前にお茶とお菓子を置いて戻っていく。ちょっと、待って!これ何分のコースだったっけ?泌尿器系の改善どころか、睾丸の生産機能がイカれてしまう!経過時間を知りたくて、見回すものの、時計は何処にもない。スマホは持ち込みOKとは知らず、ロッカーに置いてきてしまったのだ。隣では先客達が、楽しそうに自撮りをしている。あなたたち、これ熱くないの?僕はおばちゃんの顔色を窺いながらも、耐え続ける。あと何分だろう。先客は、出されたお菓子を頬張り、お茶を飲み干す。するとおばちゃんに連れられて、部屋を出ていく。なるほど、お茶を飲むのが合図で、蒸し終了なのか!と思い、手をつけていなかったお茶を飲み干す。なんと、おばちゃんはまた新しいお茶を運んでくるではないか。飲んでも終わらない?まさに地獄蒸しだ。結局、40分以上蒸されて終了。股間が熱いので、座る位置を何度も変更。座浴器の縁を移動し続けたおかげで、かなりの汗をかいた。受付に戻ると、あのおばちゃんが待ち構えていた。「お客さんの顔、ずいぶんと白くなった、小顔にもなったわよ」と、優しく笑う。ああ、この感覚。知っている。これ、嫌いじゃない。いや、むしろ好きだ。必要以上に相手を気遣うことが接客だとされる令和の時代にはない、粗暴だが、温かさのあるエネルギーが骨に染みた。またここに来ようか。ここはソウルだが、ここにはソウル(魂)がある。おばちゃんの言葉に、少しはその気になったものの、午後に韓国の人気女優さんと並ぶと、毎日、顔骨気に通っても勝てないと思った。彼女の顔はずっと小さかった。注1:骨気テラピー手や腕を使って骨を刺激し、老廃物の排出、リンパの流れや血行の促進にアプローチする韓国発祥の美容法。小顔や顔色が明るくなるなどの効果が期待できる。注2:貫頭衣生地の中央に穴を開け、そこに頭を通して着用する衣類のこと。注3:よもぎ蒸し韓国の伝統的な民間療法。よもぎなど韓方薬などを煮立て、蒸気を下半身に当てることで体を内側から温める。今月のCulture Favorite顔骨気前の小島監督と、『はちどり』などで知られる俳優のパク・ジフさん。顔骨気後の小島監督。顔がスッキリ!その後、『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』などに出演するチョン・ジョンソさんと。こじま・ひでお1963年生まれ、東京都出身。ゲームクリエイター、コジマプロダクション代表。’87年、初めて手掛けた『メタルギア』でステルスゲームと呼ばれるジャンルを切り開き、ゲームにおけるシネマティックな映像表現とストーリーテリングのパイオニアとしても評価され、世界的な人気を獲得。世界中で年間最優秀ゲーム賞をはじめ、多くのゲーム賞を受賞。2020年、これまでのビデオゲームや映像メディアへの貢献を讃えられ、BAFTAフェローシップ賞を受賞。映画、小説などの解説や推薦文も多数。ゲームや映画などのジャンルを超えたエンターテインメントへも、創作領域を広げている。「The Game Awards 2023」にて発表した、最新作『OD』の公式ティザートレーラーが、KOJIMA PRODUCTIONSの公式YouTubeチャンネルで公開中。『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』の第2弾トレーラーが公開中。先日、完全新作オリジナルIP『PHYSINT(Working Title)』の制作を発表。次回は、2396号(2024年5月1日発売)です。※『anan』2024年4月10日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)(by anan編集部)
2024年04月17日小島秀夫の右脳が大好きなこと=を日常から切り取り、それを左脳で深掘りする、未来への考察&応援エッセイ「ゲームクリエイター小島秀夫のan‐an‐an、とっても大好き」。第11回目のテーマは「推しも推される関係」です。1月、トレント・レズナーのスタジオへ訪問し、彼とアッティカス・ロスの2人と数時間に渡り貴重な時間を共有した。さらに「ナイン・インチ・ネイルズ」(注1)のファーストCDと『ソーシャル・ネットワーク』のサントラ盤CDにそれぞれサインを貰った。2016年のE3にて『デス・ストランディング』(以下『DS』)のティザー映像(注2)を初めて発表した後、コジプロ公式アドレス宛の方に、トレントから「私はヒデオの大ファンです。デスストの音楽にとても興味があります」というメールが入った。当時はまだ、精査をする担当者も不在だった為、「本当に本人からだったのか?」もわからない状態でフェードアウトしてしまった。勿論、僕にとっての彼は、ずっと“推し”だった。それからも行く先々で「トレントはヒデオのファンだ」という話を耳にした。『DS』のパフォーマンス・キャプチャー中にノーマン・リーダス(注3)からも「友達のトレントが、ヒデオの大ファンなので、明日にでもこの撮影現場に来るかもしれない」と、聞かされた。しかし、実際には彼は現れず、僕の方もやはり耳半分な状態だった。ところが、昨年末に、知人のジェフ・キーリー(注4)から「トレントが逢いたがっている!」と、直接の連絡先のメールアドレスが届いた。1月にちょうどロスに行く予定があったので、漸く逢う機会を得た。トレントは、僕を待ち受けていて、こう言った。「『MGSV』(注5)は、219時間プレイ。『DS』は発売された時にやり終えて、今はまたPCでディレクターズカットを再プレイしている!何度も言うけど、いくつかのアルバム制作を妨げたのは、ヒデオのせいだよ(笑)」お互い“推し”であったにも関わらず、実際に邂逅するまでに8年を要した。“推し”と“推し”が日常生活で偶然出逢うということは、まずあり得ない。昔は、対談などを活用して、“推し”に会う機会を作った。偶然を待っているだけでは、容易に“推し”に出逢えなかったのだ。ところがSNS時代になって、そんな“推し”との繋がり方は、大きく変わった。SNSというツールが“推し”と“推し”を容易に、効率的に繋げてくれるようになったのだ。例えば、ある本を読む、映画を観る、音楽を聴く、作品を見る。僕はその“推し”の感想をSNSに投稿する。すると、その“ラブコール”は世界中を瞬時に駆け巡り、その日のうちに、ほぼ間違いなく、“推し”にダイレクトに届くのである。僕がフォローすれば、相手もフォローしてくれる。そうなると、DMで直接話が出来る。仲良くなり「今度、どこかで逢いましょう!」と約束する。いずれ直接、歓談することが出来てしまう。“推し”同士は、エージェントやマネージャーをすっ飛ばすので、話がはやい。そうやって“推し”も“推される”関係を築いた小説家、映画監督、アーティスト、ミュージシャン、俳優、クリエイターは数えきれない。『DS』の日本語版音声に、津田健次郎さんへサム役のオファーをしたのも、まさにこういう経緯によるものだ。10年くらい前のSNSでは、今ほどの即効性も確実性もなかった。しかし、「HIDEO KOJIMAというゲームクリエイターが、あなたの作品を推しているよ」と、僕のファンと相手のファンたちが間を取り持って、うまく繋いでくれた。僕と相手を“推す”人たちが協力し合い、“推し”同士を繋いでくれたのだ。色々と問題はあるSNSだが、“推し”を推しはかる人たちにとっては、“推し”と“推し”が繋がることができる最強のツールでもあるのだ。勿論、相手が僕の事を知らない片想いの場合もある。例えば、パク・チャヌク監督(注6)。韓国映画『オールド・ボーイ』を観て、パク監督に惚れたのは20年前。どうしても彼に逢いたかった僕は、人を介してパク監督に連絡をとって貰った。韓国に飛ぶと、パク監督は『親切なクムジャさん』のラストシーンを玉川(オクチョン)という場所で撮影中とのこと。ソウルから車を飛ばして3時間あまり。零下16度の現場で“推し”に邂逅した。現場近くのレストランで通訳もなく、韓国料理を咀嚼しながら、身振り手振りで対話した。お互いが、好きな作品のことを夢中で話していると、通じるものがいくつもあることが分かった。いつしか“推し”と“推し”は、人種や言語を超えて繋がっていた。僕らは、同じものを“推し”て、創作の世界に入ったのだと理解し合った。いつの間にか“推して”いるつもりが“推される”、初めて会ったのに、幼馴染のような関係になっていた。以降、パク監督とはずっと特別な関係が続いている。“推し”とは誰かにゾッコンとなり、好きなことを公言し、行動を起こし、生涯応援することだ。同時に、それは、新たなクリエイティブにも繋がる。“推し”もまた一つの創作なのだ。好きという気持ちは世界共通だ。同じものを“推す”情熱が、見知らぬ者同士を繋いでくれる。全身全霊をかけて“推し”ていれば、いつかは“推し”からも“推される”機会がやってくる。“推し”も“推される”関係は、誰にとっても夢ではない。今日も僕は誰かを“推し”続ける。注1:ナイン・インチ・ネイルズ1988年に活動を開始した、トレント・レズナーによるプロジェクト・バンド。注2:アメリカで開催されていた世界最大級のゲームの祭典であるE3において、小島監督の新作として、そのタイトルとノーマン・リーダスが主演であることが発表された。単なる予告編とは異なり、謎に満ちた映像が世界中の注目を集めた。注3:ノーマン・リーダス俳優。『ウォーキング・デッド』『処刑人』などに出演。『デス・ストランディング』のサムを演じている。注4:ジェフ・キーリーゲーム業界のアカデミー賞ともいわれるThe Game Awards(TGA)のプロデューサーであり司会者。小島監督のよき理解者であり友人。注5:MGSV小島監督のゲーム『メタルギアソリッドVファントム・ペイン』のこと。注6:パク・チャヌク監督『オールド・ボーイ』『親切なクムジャさん』のほか、『お嬢さん』『別れる決心』など数多くの映画を手掛ける。今月のCulture Favoriteトレント・レズナー、アッティカス・ロス両氏と。『犯罪都市 NO WAY OUT』に出演するマ・ドンソク氏と。4年ぶりにソウルで再会したパク・チャヌク監督と。こじま・ひでお1963年生まれ、東京都出身。ゲームクリエイター、コジマプロダクション代表。’87年、初めて手掛けた『メタルギア』でステルスゲームと呼ばれるジャンルを切り開き、ゲームにおけるシネマティックな映像表現とストーリーテリングのパイオニアとしても評価され、世界的な人気を獲得。世界中で年間最優秀ゲーム賞をはじめ、多くのゲーム賞を受賞。2020年、これまでのビデオゲームや映像メディアへの貢献を讃えられ、BAFTAフェローシップ賞を受賞。映画、小説などの解説や推薦文も多数。ゲームや映画などのジャンルを超えたエンターテインメントへも、創作領域を広げている。『HideoTube (ヒデチュー):特別版』小島監督が、津田健次郎さん、宇内梨沙さんと、コジマプロダクションが発表した様々なトピックについて語り尽くす。次回は、2392号(2024年4月3日発売)です。※『anan』2024年3月13日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)(by anan編集部)
2024年03月09日2023年2月23日に、お笑いタレントの小島よしおさんが、情報番組『news おかえり』(ABCテレビ)に出演し、第1子の男児が同月17日に誕生していたことを発表しました。赤ちゃんの体重は3千g前後が平均のところ、4千g越えだったとのこと。同番組のX(Twitter)アカウントは、改めて小島さんに祝福のコメントを贈るとともに、小島さんと赤ちゃんの様子が伝わる1枚を投稿しています。 #ABCテレビ #6ch ❣️ #newsおかえり 午後3時40分✅番組最後にうれしい報告がなんと、我らが小島さんにベビーピーヤ誕生㊗️4000g超とのことで奥様も本当によくがんばりましたね✨ #ベビー水着 をいつか親子共演を見られる日が、、くるかも⁉️おめでとうございました #小島よしお pic.twitter.com/OtRcN0csDb — news おかえり【公式】 (@news_okaeri_abc) February 23, 2024 番組から贈られた、赤ちゃん用の水着を手に笑顔の小島さん。背後には、赤ちゃんの手に自身の小指を添えた記念写真が写っています。おめでたいニュースに、ファンからは「ビッグな赤ちゃんですね!おめでとうございます!」「優しくて楽しいお父さんとか最高」「親子共演、ぜひ見たいです!」などの声が寄せられました。数えきれないほどの子供たちを笑顔にしてきた小島さんは、子育てにおいても大活躍することでしょう。ユーモアあふれる、家庭でのエピソードを聞ける日が楽しみですね![文・構成/grape編集部]
2024年02月24日小島秀夫の右脳が大好きなこと=を日常から切り取り、それを左脳で深掘りする、未来への考察&応援エッセイ「ゲームクリエイター小島秀夫のan‐an‐an、とっても大好き」。第10回目のテーマは「人生をストーリーテリングする」です。先日、配信されたSIEのイベント『State of Play』(注1)にて、『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』の第二弾トレーラー(注2)を全世界に向けて公開した。今回も、企画、構成、画面選び、セリフ選び、コピー、音付け、編集、ディレクション、MIXなどを贅沢にひとりで楽しんだ。ほぼ1年ぶりの編集作業だった。トレーラーの尺は9分39秒。ちょっとした短編作品とも言える。発売前だが、僕にとっては、これも作品(ゲーム)の一部なのである。ゲームのプロモーション映像は普通であれば、TVCMや映画の予告編と同じく、外部の映像専門会社に委託する。なぜそれをゲーム制作者の僕がするのか?技術、納期、バジェットなど、裏事情は色々あるが、最大の理由は、やはり編集という行為が好きだからだ。ゲーム創りは高度で複雑、生き物の様に日々進化する。だから、飽きることはない。とはいえ、ゲームはインタラクティブだ。見るもの、見せるもの全ては創り手側にはなく、プレイヤーの行動に依存する。一方で、映像は創り手の思惑通りにタイムラインを操作できる。何を見せて、何を見せないか?さらにはそのタイミングも。だから、たまにはタイムラインを自分で制御した旧来の映像作品で、観客を驚かせたいと、僕は編集機の前に座る。自分だけのペースで完結した作業が出来る事も大きい。チームを動かす仕様書もミーティングも不要だ。僕が初めて編集機に触れたのは、中学生の頃。当時は家庭用のビデオカメラもまだない。友人の父親が持っていた8mmスーパー8カメラを借りて、つまらない自主映画で戯れていたアナログの時代。編集映像が覗ける画面(フィルムエディター)も付いていない、ただのフィルムスプライサー(注3)とスプライシングテープ(注4)での切り貼りを行っていた。切りすぎるとフィルムがダメになる。うまく繋げないと映写機に引っかかる。デジタル世代では当たり前の「undo」(注5)が効かない。だから、細かな編集はできない。あの頃は正直、面白いとは思わなかった。’90年代、ゲーム制作現場にもMacが導入されるようになった。当時の編集環境はMacとAdobe Premiere。しかも、今とは違うノンリニア編集なので、編集中の結果(レンダリング)は、かなりの時間を待たされ、完成した映像の解像度も低いものだった。それでもアナログ時代とは違い、デジタル編集は魔法のようだった。トレーラーやPV、CMに使う素材編集、ゲーム内に入れる実写映像などなど。ここから今に続く、僕の編集人生がスタートしたとも言える。人は時間を超えることも、遡ることも出来ない。タイムマシンやタイムワープといった“SFガジェット”は、現実には実現しそうもない。過去や未来への時間旅行は、宇宙人や魔法の力を借りない限り、無理なのだ。僕らの人生も同じだ。過去を振り返ったり、未来を想像することは出来ても、人生というタイムラインを入れ替えたり、嫌な過去を消したり、楽しかった頃を強調したりは出来ない。さらにゲームの様に生きた人生を何度もやり直し(リプレイ)することも出来ない。ところが、映像の中であれば、時間を自由に行き来出来る。カットを繋ぎ、入れ替えるだけで、時間を自在に旅することが出来る。A“ある家の玄関の前でキスをしている男女”のカット。B“お洒落なレストランで見つめ合いながら食事をする男女”のカット。この二つを並べ替えるだけで、印象は大きく変わってくる。ABだと、既に付き合っているカップルが家から出てきて、何かの記念日にレストランで祝うという物語に見える。AとBを並び替えてみる。レストランで食事をしてから、どちらかの家まで送っていき、そこで初キスをする。食事を経て、男女に恋が芽生えたというドラマティックな物語が産まれる。さらにキスシーンが夜で、レストランが昼だとすると、時間経過も大きく変わる。ABだと、二人がレストランに行くのは一泊した翌日の昼になり、彼らの愛の営みまでも連想できる。BAだと、レストランで話をしているうちに夜になり、どちらかの家まで送り、キスをしているということに。AとBの間に太陽が昇る、あるいは沈むカットを入れる(街の明かりが灯る/消えるカットでもいい)と、さらに物語を強くすることができる。編集によって、時間の操作だけではなく、二人の関係や物語をも決定出来るのだ。リアルな人生はやり直せない。しかし、想像力で編集をしてみれば、そこからまた違ういくつものストーリーを紡ぎ出せるはずだ。そのことで、よりよい未来を想像・創造が出来る。人生を素材としたストーリーテリングだ。“編集”とは僕にとってのタイムマシンであり、人生を物語ることでもあるのだ。注1:State of Play最新のゲームトレーラーやゲームプレイ映像など、PlayStationに関する情報をインターネット上で配信する番組。注2:小島秀夫監督が現在制作しているゲームの最新ティザートレーラー。注3:フィルムスプライサーフィルムを切ったり繋いだりする器具。注4:スプライシングテープ粘着剤が付きづらいものにも接着する、繋ぎ用の粘着テープ。注5:undo直前に実行した操作や処理を取り消し、元の状態に戻すこと。今月のCulture Favorite『ザ・ホエール』などを手がけるダーレン・アロノフスキー監督。俳優のマッツ・ミケルセンが来社。『DEATH STRANDING』でサムの声を演じた津田健次郎さんと。こじま・ひでお1963年生まれ、東京都出身。ゲームクリエイター、コジマプロダクション代表。’87年、初めて手掛けた『メタルギア』でステルスゲームと呼ばれるジャンルを切り開き、ゲームにおけるシネマティックな映像表現とストーリーテリングのパイオニアとしても評価され、世界的な人気を獲得。世界中で年間最優秀ゲーム賞をはじめ、多くのゲーム賞を受賞。2020年、これまでのビデオゲームや映像メディアへの貢献を讃えられ、BAFTAフェローシップ賞を受賞。映画、小説などの解説や推薦文も多数。ゲームや映画などのジャンルを超えたエンターテインメントへも、創作領域を広げている。「The Game Awards 2023」にて発表した、最新作『OD』の公式ティザートレーラーが、KOJIMA PRODUCTIONSの公式YouTubeチャンネルで公開中。『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』の第2弾トレーラーが公開中。先日、完全新作オリジナルIP『PHYSINT(Working Title)』の制作を発表。次回は、2388号(2024年3月6日発売)です。※『anan』2024年2月14日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)(by anan編集部)
2024年02月10日小島秀夫の右脳が大好きなこと=を日常から切り取り、それを左脳で深掘りする、未来への考察&応援エッセイ「ゲームクリエイター小島秀夫のan‐an‐an、とっても大好き」。第9回目のテーマは「トラウマの向こうにある“好き”」です。先月のTGA(注1)で『OD』という新作ゲームを発表した。究極の“恐怖”を扱う非常に“とんがったゲーム”を目指した野心作である。昨年の秋には、この『OD』の特別企画合宿を熱海で行った。僕は子供の頃から、怖がりだった。それは今も変わらない。人には見えないものが見える、聞こえない音が聞こえる。と言っても、霊能力者ではない。感受性の強さゆえに、あらゆる刺激に過敏に反応してしまうのだ。森の木々が人に見えたり、天井のシミが歪んだ顔に見えたり、柱の影が巨大な化け物に見えたりする。だからホラー映画もオカルトも怪談も苦手だ。だが、怖がりだからこそ、誰よりも怖いものが創れるというメリットがある。ヒッチコックやスピルバーグがそうであるように。コナミ在籍時代に『P.T.』というホラーゲーム(注2)の体験版を創った。配信後、制作が中止となったこともあり、今でも多くのフォロワーが影響を受け“伝説のホラー・ゲーム”として語り継がれている。スタッフと一緒なら、怖がりの僕でも冷静に観られるかもしれない。そう思い、ある映画のBD(注3)を倉庫から発掘、熱海での合宿に持参した。どうしても観られない作品、僕のオールタイムベスト級の“怖い映画”だ(別の映画を観たいというスタッフの意見を優先し、観る機会は逃した)。それが『エクソシスト』(1973)だ。監督はウィリアム・フリードキン。昨年の8月、ロサンゼルスの自宅で肺炎と心不全のため、87歳で死去した。言わずと知れた映画界の巨匠だ。僕も多くの影響を受けた。中でも『フレンチ・コネクション』『恐怖の報酬(リメイク版)』『L.A.大捜査線/狼たちの街』などがお気に入りだ。映画を通じて、マイク・オールドフィールド(『エクソシスト』の挿入曲)やタンジェリン・ドリーム(『恐怖の報酬』のOST担当。注4)といった“プログレッシブ・ロック”という前衛音楽を教えてくれたのも彼である。訃報を聞いた夜、彼を悼んで作品を観直した。だがそれほどまでにリスペクトしている監督なのに、どうしても『エクソシスト』だけは怖くて観られない。それが日本で公開されたのは小学5年生の時。北米のわずか26館からスタートした映画は、評判が評判を呼び、世界中で空前の大ヒットを記録した。あまりの怖さに退出者が続出、心臓発作で死人が出たとの噂も飛び込んできた。口から嘔吐物を飛ばす!十字架を陰部に突き立てる!首が360度回転する!という映画の常識を超えた過激さに途中退席したという知人からの生の鑑賞譚も聞いた。「悪魔祓い(エクソシスト)」という単語さえもが、未知なる恐怖の対象だった。既にかなりの映画マニアだった僕でも鑑賞は無理だと思った。ある日、中学生だった2歳上の兄が原作本を買ってきた。その表紙のイラストがまた怖かった!青い背景に丸い窓があり、悪魔に憑依されるリーガンらしき少女のイラスト(似ていない)が載っている。左手は吊り革のようなものを握り、そのサークルの中に、笑みを浮かべた少年の頭部が逆さまに描かれている。ゾッとするイラストだった。それが本棚にあるだけで、僕は兄の部屋には入れなくなった。そこに邪悪な霊が宿っているかのようで。6年後、禁断の映画『エクソシスト』がTVで放映されることとなった。いつまでも逃げてはいられない。高校生になった僕は、決意してテレビの前に座った。日本語音声なので、少しは怖さも紛れるだろう。しかし、映画には恐怖した。以降、“最も怖い映画”として、2度と観ることはなかった。熱海の合宿後、『エクソシスト』の正統派続編と言われる話題の『エクソシスト 信じる者』が公開された。向き合うには今しかない。そう思い、10年前に購入していた『エクソシスト』製作40周年記念エディションのBDの封を開けた。60歳を超えて観直した『エクソシスト』は、怖いどころか、猛烈によく出来た映画だった。フリードキンの演出、特殊効果、音響、カメラ、役者の演技、ディテール。どのシーンも素晴らしく、完璧だった。邪悪なものに立ち向かう、人間の勇気と愛を描いた良質なドラマだったのだ。世界中で大ヒットし、今も語り継がれているのも、オカルト映画だからではなかったのだ。フリードキン監督、ごめんさない。50年間も誤解していました。あなたはやはり天才です。私は永遠にあなたを“信じる者”です。そして今、僕の眼の前に、トラウマとなったあの原作本がある。文庫版が復刊されたのだ。例の怖かった単行本の表紙は、貞子のような写真に変わっている(注5)。昨年11月に出た『エクソシスト』のソフト(注6)も購入した。原作を読んだ後に観直すつもりだ。それもフリードキンの音声解説付きで。この作品をもっと知りたいと思う。もっと好きになりたいと思う。怖さは未知から来るからだ。これから僕は、あるお祓いの儀式をする。トラウマとなった原作を読むことで“悪魔祓い”をするのだ。その“トラウマ”を乗り越えた向こうに、本当の“好き”が待っている。注1:TGAThe Game Awardsの略称で、毎年12月にアメリカで開催されるビデオゲームイベント。注2:『P.T.』プレイアブル・ティザー。2014年8月14日に無料配信され、絶賛された小島秀夫監督作品のホラー・ゲーム。注3:BDBlu‐ray Discのこと。注4:OSTオリジナルサウンドトラックのこと。注5:ウィリアム・ピーター・ブラッティの原作は、1973年に新潮社から翻訳が出版され(吊り革を握った少女のイラスト)、1977年に新潮文庫版(リーガンの顔がトレースされたイラスト)、1999年に創元推理文庫版が出版され、2023年の復刊で現在のカバーになった。注6:ディレクターズカット版&オリジナル劇場版〈4K ULTRA HD&ブルーレイセット〉(4枚組/ペーパープレミアム付き)今月のCulture Favorite新作『OD』のトレイラーに登場するハンター・シェイファー。ティモシー・シャラメと。『OD』でタッグを組むジョーダン・ピール監督と。こじま・ひでお1963年生まれ、東京都出身。ゲームクリエイター、コジマプロダクション代表。’87年、初めて手掛けた『メタルギア』でステルスゲームと呼ばれるジャンルを切り開き、ゲームにおけるシネマティックな映像表現とストーリーテリングのパイオニアとしても評価され、世界的な人気を獲得。世界中で年間最優秀ゲーム賞をはじめ、多くのゲーム賞を受賞。2020年、これまでのビデオゲームや映像メディアへの貢献を讃えられ、BAFTAフェローシップ賞を受賞。映画、小説などの解説や推薦文も多数。ゲームや映画などのジャンルを超えたエンターテインメントへも、創作領域を広げている。「The Game Awards 2023」にて発表した、最新作『OD』の公式ティザートレーラーが、KOJIMA PRODUCTIONSの公式YouTubeチャンネルで公開中。次回は、2384号(2024年2月7日発売)です。※『anan』2024年1月17日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)(by anan編集部)
2024年01月13日いま世界で最も話題のホラー映画『TALK TO ME』を手がけたフィリッポウ兄弟と、世界的ゲームクリエイターである小島秀夫監督の鼎談を実施!作品のことから、お互いのもの創りへの考えまで、終始ハイテンションで楽しいトークをお届け。――フィリッポウ兄弟と小島監督の出会いを教えてください。小島秀夫(以下、小島):『TALK TO ME』のティザーが公開されて、こいつはすごい!と。その後にYouTubeを見たら、特殊メイク、VFX、アクションと色々な要素が全部入っていて、しかもクオリティが高くて驚いた。この世代には勝てない、会ってみたいと思って連絡しました。マイケル:大ファンだったので、光栄すぎて慌てましたね(笑)。――小島監督のゲームをプレイしていたんですか?ダニー:もちろん!マイケル:『P.T.』(幽霊の住む屋敷の廊下をループしながら探索するホラーゲーム)は本当に素晴らしい。超クール!ダニー:小島監督は、すごく存在感がある人で。マイケル:でも、いつも楽しくて緊張感なく話せるんだよね。クリエイティブな頭をしているので、刺激を受けます。小島:ずっとテンションが高くて。僕は60歳なので羨ましい。マイケル:もし小島監督が棺桶に入ったらエナジーを与えに行くので呼んでください。小島:(笑)。敬愛するジョージ・ミラー監督も双子ですが、二人に会って初めて双子っていいなと思いました。2馬力でしょ。1人で20時間働いても時間が足りないから。たとえば、現場で俳優Aと話をしていると、その間、俳優Bとは話せない。でも双子なら同時にできるので。マイケル:たとえば何かアイデアが浮かんで、すごくクレイジーだから、他の人みんなに「できるわけないよ」と言われても、双子だから「いや、できるよ」と言えるところが強みの一つ。一応、現場ではダニーが監督で彼が演出について話します。二人が監督で入ると、「え、さっきダニーが言っていたことと違う」となっちゃうから。ダニー:喧嘩をする時は、みんなの前ではせず、スマホでテキストを打って見せる感じ。マイケル:で、僕は見ないふりをするっていうね(笑)。――YouTuberとしても活躍するフィリッポウ兄弟ですが、小島監督が作品を作り始めた時代とは、もの創りの環境がかなり異なるように思います。小島:まず発表の場があることが違いますよね。僕らの時は、脚本を書いて、カメラを調達して、友だちを騙して集めて(笑)、現像して、編集して…なので、お金もものすごくかかります。でも、今はデジタルだから、カメラもライティングもCGも全部できるし、世界中の人が見ているネットで発表できます。ダニー:今みたいに発表する場がないために埋もれてしまった、いいアイデアがいっぱいあるかと思うと悲しいね。マイケル:以前、小島監督に聞いた、子どもの頃に映画作りをしたという話がすごく面白くて、映画化したいくらい。もちろん、小島さんにも出てもらう!小島:(笑)。内臓が飛び出るシーンを撮るのに、肉屋で腸を買ってきたりとかね。実際、現場でやってみたら、人間のじゃないので大きすぎて使えなくて。ダニー&マイケル:あはははは。マイケル:夕日の話も最高!小島:夕日のシーンが必要だったけどなかなか撮れなくて、友だちのお父さんが撮っていた夕日のフィルムを切りました(笑)。――『TALK TO ME』を観ていかがでしたか?小島:ホラーというより降霊版ドラマ『ユーフォリア』という印象です。パーティ、セックス、ドラッグ、その向こうに降霊があるという。YouTubeは、導入がゆっくりしていると、視聴者が飛ばしたりするじゃないですか。でも今作は最初から編集がされていないワンショットで入っていくので、作り方を変えているのかなと。マイケル:ドラマとホラーの両方を偏りなく、バランスよく作りたかったんです。ホラーもバイオレントな要素も、ストーリーにおいて必要なものだけを入れました。弟のライリーが煉獄に行くというホラー要素の強いシーンも、2分30秒くらいあったのを15秒くらいに短くしたり。ダニー:フレームごとに細かく見ていくと、ものすごいシーンが間に入っていたりもします。小島:手が作品のアイコンとしてあることや、死者との繋がり、友だちや親とのコネクションなど、僕の作った『DEATH STRANDING』と近いところもあって驚きました。僕は、主人公が元彼と手を合わせるシーンが好きなんですけど、ビジュアルで見せていく場面なので、「I miss you」とか言わせたりしそうなところなのに、やらないのがいい。ダニー:僕もそのシーンが好きで、長引かせたいと伝えていたところなので、嬉しいです。マイケル:僕は切りたかったし、「I miss you」と言わせたかったけどね!3人:(爆笑)小島:病院の街灯が消えるシーンも撮影が難しいと思うんですけど、ワンショット撮影に慣れているんだろうなと。ダニー:でも、そのシーンは難しくて14テイクかかったかな。小島:十分、少ないですよ!ダニー:えー!マイケル:オープニングのパーティシーンは大規模なものにしたかったので、毎日インスタグラムで人を募集したところ、ものすごい人が集まってしまって。当日、Wデッカー(2階建てバス)が何台も必要だったり、さらに、現場に人が勝手に入ってきたりもして、カオスに(笑)。でも、いい絵になりました。小島:僕らもゲームなので、なるべくワンショットを狙うんですけど。今作は本当にいきなりワンショットから始まるので、現代の若者たちへの映画という感じがします。アメリカン・ニューシネマに続く、YouTube・ニューシネマになるんじゃないでしょうか。――印象的な手のビジュアルは、どのように仕上げたのでしょう。マイケル:最初は指の角度やフォルムも違いましたね。ダニー:あと、木の台に載っていたけど、腕の部分を重くして自立するようにしたり。“人と触れ合いたい”という気持ちを表現した仕上がりになりました。小島:なぜ、左手なんですか?ダニー:歴史的に悪者の手は左じゃないですか。マイケルは悪いやつなので左利きです。マイケル:でも、左利きの人ってクリエイティブだよね!3人:あははは。――影響を受けたホラー映画はありますか?ダニー:『エクソシスト』とか。『リング』は前に書いた短編にすごく影響を受けています。マイケル:『殺人の追憶』も。色々なジャンルが混ざっているところがいいです。小島:僕は悪魔とか日本の幽霊が一番怖い。ゾンビは存在するから物理的に攻撃ができるので怖くないんです。ダニー:僕は幽霊でも殴るかな。3人:あははは。マイケル:小島監督の『P.T.』は、幽霊屋敷の2階にリサがいるところが怖いよね。小島:子どもの頃、よくテレビで映画を放送していて、解説者の話があるんです。でも、夕方と夜中の映画番組に解説はなく、異国の映画が突然、前情報もなく始まるのがむちゃくちゃ怖くて。『P.T.』は、架空のスタジオの名前を使うなど、そういう怖さを利用しています。ダニー&マイケル:なるほど!小島:映画『鬼婆』(熱狂的人気を誇る1964年公開のホラー作品)もテレビで観ました。ダニー:『鬼婆』は観てなくて。小島:僕はフィッリポウ兄弟が『鬼婆』を観てると知って、この人たちイケてると思ったけど、マイケルさんだったんですね。マイケル:(小島監督とグータッチして)クールなのは僕!ダニー:わ、絶対観なきゃ。『TALK TO ME』母を亡くし、日々、寂しさを募らせていた17歳のミア。高校の同級生たちの間で降霊を楽しむ「憑依チャレンジ」が流行っていると知った彼女と親友のジェイドは、集まりに参加。久しぶりに生きる実感を味わい、虜になってしまう。しかし、ある時、守らなければならない“90秒ルール”を破ってしまい…。12月22日から丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国でロードショー。©2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival,Screen Australiaダニー&マイケル・フィリッポウ兄弟映画監督、YouTuber。1992年11月13日生まれ、オーストラリア出身。ジャンル映画愛溢れるハイテンションな動画が人気のYouTubeチャンネル「RackaRacka」を運営する双子。『TALK TO ME』で長編監督デビュー、A24製作で続編『TALK 2 ME』も決定。ゲーム『ストリートファイター』の実写化作品の監督に抜擢されたことも話題に。こじま・ひでおゲームクリエイター 1963年生まれ、東京都出身。コジマプロダクション代表。’87年、初めて手掛けた『メタルギア』でステルスゲームと呼ばれるジャンルを切り開く。独立後初となる『DEATH STRANDING』が世界的に話題となり、現在は『DEATH STRANDING 2』を制作中。映画、小説などの解説や推薦文も多数。※『anan』2023年12月27日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2023年12月23日コーヒーチェーン店の『スターバックス』(以下、スタバ)では、店員がドリンクのカップにメッセージを書いてくれる時があります。お笑いタレントの小島よしおさんは、スタバのカップに書かれた、あるメッセージをX(Twitter)で紹介しました。小島さんがドリンクと一緒に受け取ったメッセージとは…。オッパッピー仕事頑張るぞ珈琲 pic.twitter.com/nZMVGr0wYv — 小島よしお (@yoshiopiiya) December 17, 2023 仕事頑張ってください!オッパッピー!『オッパッピー』とは、小島さんの持ちネタの1つ。白目を剥きながらポーズを決めて、「はい!オッパッピー」というセリフが特徴です。メッセージを書く店員が、小島さんのことに気付いたのでしょう!さりげなく「仕事頑張ってください!」とつづられた、応援メッセージに心が温まりますね。投稿を見た人からは、多くのコメントが集まりました。・スタバの店員もグッジョブですね。・写真を見て元気が出ました!・小島さんも頑張ってるから、私も仕事を頑張るぞー!店員の粋な心づかいが、仕事の励みになったという小島さん。小島さんだけでなく、投稿を見た多くの人が元気をもらったようですね。[文・構成/grape編集部]
2023年12月20日小島秀夫の右脳が大好きなこと=を日常から切り取り、それを左脳で深掘りする、未来への考察&応援エッセイ「ゲームクリエイター小島秀夫のan‐an‐an、とっても大好き」。第8回目のテーマは「“ヒデミス”と“推し活”」です。この冬、全国の書店では、その年のベスト作品をセレクトした恒例のミステリー・フェアが催される。有名なものは、文藝春秋の「週刊文春ミステリーベスト10」、宝島社の「このミステリーがすごい!(このミス)」、原書房の「本格ミステリ・ベスト10」、早川書房の「ミステリが読みたい!」など。1年間に出版された国内外のミステリーのお薦め新刊リストが出揃う。もはや冬の恒例行事だ。埋もれてしまう“物語”をもう一度、人の眼に触れさせる貴重な機会となる。“僕の身体の70%は映画でできている”と、公言してきたが、“身体の70%は読書でもできている”と、言い換えていいほど、僕は本が好きだ。手軽なエンタメが日常にいくらでも散らばっているSNSやサブスクの時代に、読書人口は激減している。果たして、それでいいのだろうか。本を好きになればわかる。読書は、僕らの人生や未来を間違いなく、豊かにしてくれるのだ。本を読む習慣をつけるにはどうすればいいのか?まず、本屋に出向くこと。交通費も手間も時間もかかる。帰宅時には、荷物にもなる。そのリスクと負担があってこそ、慎重に本をセレクトできる。注意点は3つ。必ず自分の財布で購入する。買う本は自分で選ぶ。買った本は興味を失う前に読む。本はナマモノ、興味を失うと積み本というただの置物に変わってしまう。星の数ほどもある本の中から、自力で“当たり”を引くことができれば、必ず次の読書へと繋がる。重要なのは、“当たり”を見極める経験を積むことだ。小説やノンフィクションは、あくまでも人が書いたものだ。だから、その9割は“ハズレ”ばかり。しかし、残りの1割には至極の“当たり”が潜んでいる。では、“当たり”はどうやって引けばいいのか?雑誌や電子書籍ではない紙の本は、年間7万冊(部数ではない)も出版されている。7万種類の新種が書店で産声を上げている。毎年、デビューする7万人の推し候補の中から、自分の推しを如何に見つけ出すのか?それにはフェアが最適だ。出版社の人、書店員、書評家たちは、この世で一番、本を読んでいる。本に厳しく、愛してもいる。彼らがセレクトし薦めている本に間違いはないはずだ。その中から、自分が選ぶ。これなら、難しくはないだろう。コロナ禍の2021年、早川書房の塩澤編集長(現シニアエディター)から、提案があった。「小島さんが選んだ本のフェアを、出版社を超えてやりませんか?」と。以前にも僕が選んだハヤカワ文庫のブックフェアをしたことがある。コロナ禍でもあったので、本で人を助けたい!と思い、快諾した。そうやって誕生したのが、“ヒデミス”だ。正式名称は、「ヒデミス! 小島秀夫が選んだミステリー・ゴールデン・ダズン」。“ダズン”なので12作品。今年で3回目になる。コロナ禍前は毎日、本屋に通っていたが、コロナ禍後は週末に本屋を数軒回るくらいにまで減った。それでも旧刊の買い直しも含め、1年に150冊くらい(漫画や画集、ムック本は除く)は購入する。献本や、コメントや解説用のプルーフやゲラも、毎日のように届く。本には困らないが、全てを読むわけにはいかず、半分くらいが倉庫入り。積み本が“罪本”になる。心の痛むところだ。昔は、待ち合わせや電車の移動などのちょっとした隙間の時間に読書をしたが、今ではスマホに余暇を奪われる。特に今年は、海外出張が頻繁にあったので、読めたのは100冊程度だった。例年に比べるとかなり少ない。書評家や書店員、作家たちと比べると圧倒的に少なく、精度は低くなってしまう。辞退しようかとも考えたが、塩澤さんの励ましもあり、続ける決意をした。そんなこともあり、今年は13作にさせてもらった。“ヒデミス”の常連作家もいるが、純粋なミステリーだけではなく、文学系の作品やSF、ホラー、ハードボイルドなどを含む、広い意味での“ミステリー”をバランスよく選択したつもりだ。この中から選ぶのはあなただ。誰の意見も聞かず、自分で決めて欲しい。ハズれても気にしない。“当たり”を引くまで読み続ける。“当たり”があれば、読書はあなたの生活の一部となるはずだ。すると、13冊では足らなくなる。もっと面白い、自分だけの本が読みたくなる。その経験をもとに、自分の好きな本を選んでみよう。他のブックフェアや帯コピーなどを参考にしてもいい。膨大な量の本の中から、自分だけの“好き”を見つける。その出逢いは、偶然ではない。それが本と出逢うということだ。そして、面白かった本は、家族や友人たちに薦め、SNSで推してみるといい。読書とはまた異なる喜びが得られるはずだ。これがヒデオのミステリーだ。「ヒデミス! 小島秀夫が選んだミステリー・ゴールデン・ダズン」選出リスト1、『ミン・スーが犯した幾千もの罪』トム・リン2、『真珠湾の冬』ジェイムズ・ケストレル3、『踏切の幽霊』高野和明4、『頰に哀しみを刻め』S・A・コスビー5、『わたしたちの怪獣』久永実木彦6、『卒業生には向かない真実』ホリー・ジャクソン7、『生存者』アレックス・シュルマン8、『怪獣保護協会』ジョン・スコルジー9、『8つの完璧な殺人』ピーター・スワンソン10、『トゥルー・クライム・ストーリー』ジョセフ・ノックス11、『ナイフをひねれば』アンソニー・ホロヴィッツ12、『グレイラットの殺人』M・W・クレイヴン13、『この密やかな森の奥で』キミ・カニンガム・グラント※リストは発売日順今年の選出リストがこちら。小島監督が“ヒデミス”を語る配信がトーハンのYouTubeチャンネル「出版区」で配信中。今月のCulture Favorite映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズなどでおなじみの俳優、イライジャ・ウッドとのツーショット。西島秀俊さんとの一コマ。二人が並んだ姿は、SNSで大きな話題を呼んだ。こじま・ひでお1963年生まれ、東京都出身。ゲームクリエイター、コジマプロダクション代表。’87年、初めて手掛けた『メタルギア』でステルスゲームと呼ばれるジャンルを切り開き、ゲームにおけるシネマティックな映像表現とストーリーテリングのパイオニアとしても評価され、世界的な人気を獲得。世界中で年間最優秀ゲーム賞をはじめ、多くのゲーム賞を受賞。2020年、これまでのビデオゲームや映像メディアへの貢献を讃えられ、BAFTAフェローシップ賞を受賞。映画、小説などの解説や推薦文も多数。ゲームや映画などのジャンルを超えたエンターテインメントへも、創作領域を広げている。「The Game Awards 2023」にて発表した、最新作『OD』の公式ティザートレーラーが、KOJIMA PRODUCTIONSの公式YouTubeチャンネルで公開中。次回は、2380号(2024年1月10日発売)です。※『anan』2023年12月13日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)(by anan編集部)
2023年12月16日