フィンランドの女性画家ヘレン・シャルフベックの半生を描いた『魂のまなざし』が生誕160年記念となる2022年の夏に公開されることが決定し、併せてティーザービジュアルが解禁となった。1915年、ヘレン・シャルフベックは、高齢の母親とともに田舎で暮らしていた。いわば忘れられた画家だった彼女は、それでも湧き出してくる情熱のためだけに絵を描き続けていた。全てが変わったのは、ある画商が訪ねてきて彼女が描き溜めていた159点のすばらしい作品を発見、大きな個展開催に向けて動き出した時。しかし、ヘレンの人生で最も重要な転機は、画商が紹介した15歳年下の青年エイナル・ロイターとの出会いによってもたらされる…。モダニズムを代表する画家のひとりとして、近年世界的に注目を浴びるフィンランドの国民的画家ヘレン・シャルフベック(1862~1946)。その生誕160年を記念し、彼女の画業と人生を決定づけた1915年から1923年の時代を描いた本作。シャルフベックは、ロシア帝国の支配下にあったフィンランドに生まれ、祖国の独立と内戦を経て封建的な世界が崩壊していく過程と歩調を合わせるように、画家として、女性として、一人の人間として自律的に生きていく。狂おしい愛に打ちのめされ生涯の友情を得る中で、自身と身の回りの存在を凝視しその本質を描きだす手法をひたすら追求した。抑圧的な母親や男性社会に臆せず、名誉よりも内から湧き出る情熱に従ったシャルフベック。どん底にあってもやがて立ち上がって背筋を伸ばし歩んでいく、その凛とした生き様が、北欧の透明な光に輝く自然や街並みとともに全編美しい映像で描かれる。解禁されたティーザービジュアルは、映画と同時代1915年にシャルフベックが描いた代表的な自画像「黒い背景の自画像」を模し、シャルフベックを演じた主演女優ラウラ・ビルンの姿に置き換えて描き下ろされた、映画のためのオリジナル作品を使用している。『魂のまなざし』は2022年夏、Bunkamuraル・シネマほかにて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:魂のまなざし 2022年夏、Bunkamuraル・シネマほか全国にて公開©Finland Cinematic
2021年12月21日Twitterに投稿された1枚の画像に、ネット上がざわついています。それは、老若男女問わず幅広い年代に愛されている、カルビーの看板商品『ポテトチップス うすしお味』の画像でした。一見、なんの変哲もないように見えますが…。色鉛筆でポテトチップス描きました✏️沢山の方に見て欲しいです!! pic.twitter.com/LE6TeOEYy6 — ARIA✏️ (@aririria_art) November 7, 2021 実はこの画像、色鉛筆画家のARIA(@aririria_art)さんが描いたイラストなのです!クシャッとした袋の質感や、端が少しテーブルから浮いている様子までリアルに描かれています。また、ARIAさんは別角度から撮影した動画も投稿。しっかり描いてます✏️別視点からの動画もどうぞ!☺️✨ pic.twitter.com/DxRCyrE1RM — ARIA✏️ (@aririria_art) November 7, 2021 本物のポテトチップスと並べた写真までアップし、見た人をさらに驚かせました。コメントには、「うますぎる」「写真かと思った…」「本当にリアル!そのまま開けて食べられそう」など、驚きの声が寄せられています。ちなみに、ARIAさんの投稿は、カルビーの担当者の目にも触れたようです。届いてますすごい!!!!!描いてくださりありがとうございます— Calbee(カルビー)公式 (@Calbee_JP) November 8, 2021 お腹が減っている時にこのイラストがテーブルに置かれていたら、疑うことなく手を伸ばしてしまうでしょうね…![文・構成/grape編集部]
2021年11月10日色鉛筆のみで、本物と見分けがつかないほど、精工な絵を描き、TwitterやInstagramに投稿しているARIA(@aririria_art)さん。その立体的な作品の数々は、紙の上に実物が置かれているとしか思えません!こちらは私が描いた色鉛筆画です!フォローして応援していただけたら嬉しいです!!☺️✨ pic.twitter.com/Nax1sNtCHA — ARIA✏️ (@aririria_art) October 27, 2021 2021年10月27日、ARIAさんは2枚の『100円玉』が並んだ画像をTwitterにアップしました。ほかの作品たちに勝るとも劣らない、見事な1枚をご覧ください!左が本物の100円玉で、右は私が色鉛筆で描いたかのような本物の100円玉です!! pic.twitter.com/UBJENXrzwD — ARIA✏️ (@aririria_art) October 27, 2021 左が本物の100円玉で、右は私が色鉛筆で描いたかのような本物の100円玉です!!「すごい…!」と思いきや、並んでいる2枚の100円玉は、どちらも本物!色鉛筆で描いたように見せかけただけの写真なのでした!普段、本物に見間違うかのようなリアルな絵を描いている、ARIAさんならではのネタですね。この投稿は12万件を超える『いいね』と、多くのコメントを集める結果となりました。・見分けつかない…と思ったら両方本物かーい!!・すごい!まるで本物そっくりに描かれているみたいだ!・結局は、ただ100円玉を並べてるだけなのにすごい。多くの人が、別の意味で、だまされてしまったようですね!そして、話はまだ終わりません。反響の大きかった上記のツイートを受けて、今度は本当に色鉛筆で100円玉を描きだしたARIAさん。頑張ってみます|ू•ω•)チラッ pic.twitter.com/vC5l1ENnZC — ARIA✏️ (@aririria_art) October 29, 2021 完成した、実際の作品がこちらです!色鉛筆で100円玉を描きました✏️頑張ったので見て欲しいです!! pic.twitter.com/NiTt1KPePZ — ARIA✏️ (@aririria_art) October 30, 2021 本物と見比べてみると、この通りです。左が本物の100円玉で、右は私が色鉛筆で描いた100円玉です! pic.twitter.com/KWeQ3XEgUA — ARIA✏️ (@aririria_art) October 30, 2021 結局、本物と見分けがつかないことには変わりありません…!色鉛筆を駆使した作品の魅力と、ARIAさんの手腕に、多くの人が改めて気付かされる結果となるのでした。[文・構成/grape編集部]
2021年11月04日大正から昭和にかけて、京都を中心に活躍した日本画家・小早川秋聲(こばやかわ・しゅうせい、1885~1974年) の画業を通観する初の大規模回顧展が東京ステーションギャラリーにて開催される。鳥取のお寺の住職の長男として生まれ、9歳で京都の東本願寺の衆徒として僧籍入りした秋聲は、その後、画家になることを志し、日本画家の谷口香嶠(こうきょう)や山元春挙(しゅんきょ)に師事、文展や帝展を中心に出品と入選を重ね、画技を磨いた。旅好きでもあった秋聲は、北海道、山陰、紀州など日本各地を絵に描き、国外では複数回の中国渡航に加え、1922年から23年にかけてアジア、インド、エジプトを経てヨーロッパ十数カ国へ遊学。1926年には北米大陸を横断し、日本美術の紹介にも努めた。1931年以降は従軍画家として満州、中国へ何度も赴き、数多くの戦争画を描いたことでも知られている。なかでも終戦の1年半前の作である《國之楯(くにのたて)》は代表作に挙げられる1点だ。戦後は、罪を問われる覚悟で日々を過ごし、大規模な展覧会への出品も減っていったという。美術史上でも長らく忘れられた存在だったが、近年、従軍画家による戦争画が注目されるなかで、再評価の機運が高まっている。同展では、初期の歴史画から、初公開の戦争画、晩年の仏画まで、100点あまりを紹介。激動の時代のなかで描き続け、多様な作品をのこした知られざる画家の生涯に迫っていく。《長崎へ航く》1931年、個人蔵《回廊》1914年頃、鳥取県立博物館《御旗》1934年、京都霊山護国神社(日南町美術館寄託)《天下和順》1956年、鳥取県立博物館【開催概要】『小早川秋聲旅する画家の鎮魂歌』会期:2021年10月09日(土)〜2021年11月28日(日)会場:東京ステーションギャラリー時間:10:00~18:00、金曜日は20:00まで(入館は閉館30分前まで)休館日:月曜日(11月22日は開館)入館料:一般1,100円、高校・大学生900円東京ステーションギャラリー公式サイト:
2021年09月21日土地いっぱいの建物に広がる開放的な作り透明水彩画家のかとうくみさんが家族4人で茅ヶ崎に越してきたのは19年前。「繁華街の近くに住んでいたのですが、2人目の子どもがお腹にできた時に、子育てにいい環境への引っ越しを考えました。それで縁あって茅ヶ崎に越してきたんです」とかとうさん。およそ250㎡の土地に延床面積175㎡の2階建ての新築を建てたが、当初は土地の大半は庭に使う予定だった。「上物はしっかりしたものを建てたほうがいいと図面を見た父が言いまして。そのあと父が他界して遺言のようになったので、土地いっぱいに建物を建てました」。“アメリカかぶれ”を自称するかとうさんが目指したのは、アメリカ風の住宅だったが、施工を依頼したのは和風建築を得意とする企業。「夫が野球好きで、好きな選手がCMに起用されているという理由で決めました。アメリカ風にしたいと言ったら、わざわざ外部から設計士を連れてきてくれたんですよ」。何冊もの洋書を設計士に見せ、すり合わせをし、理想に近づけていった。玄関から視界を遮る仕切りがなく開放感ある1階スペース。元々カウンターキッチンがあった西側の空間。キッチンがなくなり本来ある広さが活きる。西側から見たリビング。ご夫婦は大がつくほどのアメリカ好きで、アメリカ国旗が飾られている。風と光を遮らない空間設計玄関を入ってすぐ、1階のリビングとキッチンには仕切りがなく開放的な空間が広がる。天井は吹き抜けで南側にははめ殺しの窓を設置した。「私も夫も天井が高い家が大好きだったのでリクエストしました。窓のお陰で雨の日でも明るいですし、夕方まで電気はつけません。暖房の効きが悪くなるのが心配でしたが、床暖房をいれたら問題ないですね」。リビングの南側に設置された庭に繋がる観音開きの窓はアメリカを意識したもの。「最初は引き戸を考えていたんですが、設計士さんがアメリカ風にするならということで勧めてくれました。とても気に入っています」。東西南3面に窓があり、壁がないため心地よい風が室内を抜ける。冬は、ほぼ全面に敷かれた床暖房で足りなければ、吹き抜けに設置されたファンを使って暖気を回す。風も光も充分に入るリビング。家族4人ほとんどの時間をここで過ごす。庭は元々芝生だったが、当時飼っていた愛犬が土を掘って虫を捕まえてきてしまうのが嫌で、オールデッキに。玄関とリビングの間に両開きの引き戸を設置し断熱効果を高めた。リノベーションで理想により近づける19年前、ほぼ理想の家が出来上がったが想定外のことがあった。夫の母親が泊まる部屋として、東側に設けた和室に地窓しかなかったことだ。「図面上は窓があると思っていたので、地窓で驚きました。お話はしてもらっていたんですが、理解不足だったんです。座った時に、当時あった庭を窓から見られるのは良かったのですが、陽が昇る東から光を取り込めないのが難点でしたね」。転機は8年前。西側に設置していたキッチンの電気系統の故障で床と壁を全面張り替えすることになった。「これを機に、よりアメリカンにしたいと思い、一番陽の当たる東側にある和室を無くして、キッチンにすることにしました。お母さんも床布団よりベッドの方が楽ということだったので」。空間を仕切っていた襖、押入れを無くしたことで、広い空間と東側からの光を室内に取り込めるようになった。さらに真っ白だった壁は、濃い色が好みというご夫婦の希望でブルーとイエローの2色をベースカラーに。床は複合材から無垢材に張り替え、より理想的なアメリカンな空間にしていった。「いちからキッチンを作るならアメリカンなものにしたかった」とかとうさん。和室だった場所を、2面たっぷり使った贅沢なキッチン空間に。窓を設置したことによって、東側からも採光できるようになった。1階は端から端まで視界が届き、のびやかさがある。右に見える壁はコルクボードにしてメモなどを貼れるようにした。外壁をサイディングにすることは夫婦で一致。建てた際はブルーだったが、リノベーションの際にえんじ色に塗り替えた。自宅にある自分だけの創作空間2階南側にはかとうさんのアトリエがある。2階の廊下から1段下がって入るという入室経路と、雲のイラスト入りの壁紙を採用し差別化することで、日常空間との切り替えを演出。「家を建てる時に、私が一番家にいるから一番いい場所にアトリエを作って欲しいとお願いをしました。子どもが小さい時は、ご飯作らなきゃなど考えましたが、今は手がかからないので一日中いることもありますね。ここにいると時間を忘れます」。頻繁にニューヨークに行き、絵の素材探しをするほどアメリカ好きだが、絵を始めたきっかけもアメリカが関係している。「アメリカ西海岸を舞台にした漫画を読んだのがキッカケでアメリカと絵に興味を持ちました」。19年目を迎えた自宅は、壁紙や床など変化してきたが、アトリエは変わることがなかった。それは13歳から変わらず絵が好きで、アメリカが好きだというかとうさんのブレない想いの現れかも知れない。1階の床はキッチンを除き無垢材に統一。ほぼ全面に床暖房が敷かれている。2階廊下。はめ殺しの窓から室内に光が入る。左奥がかとうさんのアトリエ。2階廊下の天井には、屋根裏部屋に続く階段が収納されている。物置として使っていた屋根裏だが、愛犬の死をきっかけに次女が3週間かけ模様替えをした。今はお子さんの友人が泊まりに来るなど交流スペースになっている。アトリエ。左側にある天井いっぱいの造作棚には資料が並ぶ。壁紙はアメリカの有名なアニメ作品をイメージして選んだ。透明水彩の絵具には白がない。そのため白で表現する所は、何も塗らず画材の色を活かす。9月には兵庫県で、来年8月には東京での個展開催が決まっている。詳細はかとうさんのホームページで確認できる。
2021年08月30日長編アニメーション映画『ジュゼップ 戦場の画家』が、新宿武蔵野館ほかにて2021年8月13日(金)より順次全国公開される。“描くことで戦い続けた”実在の難民画家がモチーフ『ジュゼップ 戦場の画家』は、1939年スペイン内戦により、避難先のフランスの強制収容所で難民となった実在の画家ジュゼップ・バルトリをモチーフにした長編アニメーション映画。愛する人との再会を胸に、描くことで戦い続けた男の“感動の実話”を、スクリーンに映し出す。イラストレーター・オーレルの長編アニメ監督デビュー作メガホンをとったのは、フランスの全国紙「ル・モンド」などのイラストレーターとして活躍してきたオーレル。ジュゼップが収容所で記した鮮烈なスケッチに触発され、10年の歳月を費やして映画『ジュゼップ 戦場の画家』を完成させた。脚本は、ロベール・ゲディギャン監督の『マルセイユの恋』 、『キリマンジャロの雪』で知られるジャン=ルイ・ミレシ、製作は『戦場でワルツを』のセルジュ・ラルーらが務めている。ヨーロッパの映画賞を総なめ&東京アニメアワードフェスティバルグランプリ映画『ジュゼップ 戦場の画家』は、オーレルの長編アニメーション監督デビュー作品にして、2020年カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション作品に選出されたほか、2021年のセザール賞やリュミエール賞などヨーロッパの映画賞を総なめに。「東京アニメアワードフェスティバル2021」では、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の監督としても知られる審査員の片渕須直が絶賛し、コンペティション部門長編アニメーショングランプリを獲得した。映画『ジュゼップ 戦場の画家』あらすじ1939年2月。スペイン内戦の戦火から逃れた大勢の難民が南フランスに押し寄せる。フランス政府によって強制収容所に入れられた難民たちは、劣悪な環境のもとで飢えや病気に苦しみ、監視役のフランス人憲兵たちはことあるごとに虐待を加えていった。そんな中、粗末な小屋の壁や地面に黙々と絵を描いているジュゼップ・バルトリという画家がいた。新米の憲兵セルジュは先輩の憲兵たちの目を盗み、ジュゼップに紙と鉛筆を与え、ふたりの間にはいつしか有刺鉄線を越えた友情が芽生える。セルジュはジュゼップがスペイン脱出の際に離ればなれになった婚約者がいたことを知り、再会を夢見る切なる思いに触れ、彼女を探すのを手伝うが…。フリーダ・カーロが登場解禁された本編映像には、ジュゼップ・バルトリが愛した、メキシコを代表する画家のフリーダ・カーロが登場。浜辺に座り、広い海を眺めていたジュゼップと新米憲兵セルジュに向かって、海の中から突如現れたフリーダが歩いてくる。これは夢か現実か……、ロマンティックさに加え、語り手である老人の記憶の曖昧さも絶妙に描き出したシーンとなっている。【詳細】映画『ジュゼップ 戦場の画家』公開日:2021年8月13日(金)新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開監督:オーレル脚本:ジャン=ルイ・ミレシ配給:ロングライド2020年/フランス・スペイン・ベルギー/仏語・カタロニア語・スペイン語・英語/74分/シネマスコープ/カラー/5.1ch/原題:JOSEP/日本語字幕:橋本裕充
2021年08月07日海外で高い評価を得ている日本画家、渡辺省亭(せいてい)の初の大規模な回顧展が東京藝術大学大学美術館で開かれています。明治から大正にかけて活躍した省亭は、パリでドガや印象派の画家たちとも交流。彼の美しすぎる日本画は、外国の画家たちを驚嘆させました。日本ではほとんど知られていなかった画家の作品と生涯をご紹介します。海外で高評価!【女子的アートナビ】vol. 200『渡辺省亭 ―欧米を魅了した花鳥画―』では、日本画家、渡辺省亭(1852-1918)の知られざる全画業を紹介。近年公開されたことのない個人コレクションを中心に、アメリカのメトロポリタン美術館など海外からの里帰り作品も含めた100件以上が公開されています。省亭は没後国内でほぼ無名であったため、これまで展覧会で紹介される機会が少なかったのですが、1878年のパリ万博への出品などにより海外では高く評価。欧米の名だたる美術館に多数作品が所蔵されています。では、なぜ日本では知られていなかったのでしょう?彼の画業とともに、その疑問を解き明かしていきます。絵を教えてもらえず…省亭が生まれたのは江戸の神田。画才に目覚め、16歳のとき歴史画家の菊池容斎に入門します。住み込みで修業をはじめますが、3年間の修業期間は具体的な絵の描き方を教えてもらえず、ひたすら文字の練習ばかり。筆の扱いに慣れるための習練だったそうです。それでも師匠の作品を模写しながら絵画表現を習得。明治になってまもない1869年、19歳でイギリスのエディンバラ公への献上品制作に参加し、その後独立して画家として活動をはじめます。パリで印象派たちを魅了!1875年、25歳で起立工商(きりゅうこうしょう)会社に入社。輸出工芸品の図案制作などに従事します。1878年、省亭の描いた図案がパリ万博に出品されることになり、社員として渡仏。そのまま2~3年パリに滞在し、当時ジャポニズムが流行していたパリで印象派の画家たちとも交流します。省亭は画家の集まるサロンに行き、その場で絵を描く「席画」もしていました。早業で美しい花鳥画を描いたので、パリの画家たちは驚き魅了されたそうです。そんな実演の場で、元祖印象派の巨匠、エドガー・ドガのために描いた大変貴重な作品《鳥図(枝にとまる鳥)》も今回の展示で見ることができます。ドガは生涯この作品を手元に残しておいたそうです。多方面で活躍!フランスから帰国後、省亭は花鳥画だけでなく雑誌の挿絵や口絵など多方面で活動。さらに、七宝作家の濤川惣助(なみかわそうすけ)とともに「無線七宝」(金属線を使用しない技法)を開発し、以後、濤川の七宝作品に多くの原画を提供します。ちなみに、現在の迎賓館赤坂離宮に飾られている濤川による七宝額絵の原画も省亭が描いたもの。展覧会では、その原画を見ることができます。競争が嫌い?1892年にはロンドンのギャラリーでイギリスの水彩画家と二人展を開き、その後も同ギャラリーで個展を開くなど、海外で高く評価されていた省亭ですが、画業の後半は日本の展覧会にはほとんど出品しなくなりました。美術団体に所属もせず、画壇とは距離を置いていたとのこと。性格的に、画壇政治や競争に巻き込まれるのが好きではなかったようです。また、制作依頼は常に舞い込んでいたので、展覧会に出さなくても暮らしに困ることはありませんでした。省亭の作品は、著名な政治家や歌舞伎役者も買っていたのです。ブームが来るかも!省亭画伯の私生活も少しご紹介。パリから帰国後31歳で結婚し、浅草で新婚生活をスタート。その後は海外に行かず、国内旅行もせず、ほとんど浅草周辺で暮らしたそうです。また、本妻のほかに近くの別宅にはお妾さんもいて、どちらにも子どもがいたそうです。自宅と別宅を行き来しながら注文に応じて絵を描くという生活をし、68歳で亡くなるまで制作を続けていました。その後、画壇とつながりのなかった省亭は日本で忘れ去られてしまいますが、欧米での高い評価は続き、彼の作品が多くのコレクターや美術館にコレクションされていきます。先述したドガのために描いた作品も、現在はアメリカの美術館が所蔵。本展では、そんな海外からの貴重な作品も見ることができます。近年再評価が進み、これからブームがきそうな渡辺省亭の作品、まとまって見られるこの機会をどうぞお見逃しなく!参考文献:展覧会公式ガイドブック『渡辺省亭 ―欧米を魅了した花鳥画―』Information会期: ~5月23日(日)※会期中展示替えあり(前期:~4/25、後期:4/27~5/23)会場: 東京藝術大学大学美術館 本館 展示室1、2、3開館時間: 10:00-17:00(展示室入場は閉館の30分前まで)休館日: 月曜日(5月3日は開館)観覧料: 一般¥1,700、大学生・高校生¥1,200、 中学生以下無料※ 本展は事前予約制ではありませんが、今後の状況により変更及び入場制限等を実施する可能性がございます。最新情報は、ホームページでご確認ください。
2021年04月12日東京・丸の内の三菱一号館美術館で、イギリスを代表する画家、コンスタブルの大回顧展が開かれています。日本では35年ぶりとなる本展では、イギリスのテート美術館から多くの貴重な作品が来日。見逃せない傑作と会場の様子をご紹介します!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 196『テート美術館所蔵コンスタブル展』では、19世紀のイギリスで活躍した画家ジョン・コンスタブル(1776-1837)の風景画や肖像画などの油彩画や水彩画、素描が集結。さらに同世代のライバル画家J.M.W.ターナー(1775-1851)や他の画家たちの作品も含め、全85点の作品が紹介されています。これらの展示作品のうち、60点がテート美術館から来日。コロナ禍の影響で、最近は海外から貸し出された作品を見る機会が少なくなっているので、本展はとっても貴重。コンスタブルとターナーが対決したといわれる展示会を再現した部屋もあり、見どころ満載の内容です。コンスタブルって?コンスタブルは、イギリス南東部にあるサフォーク州で製粉所を経営する家の第4子として誕生。16歳で家業の手伝いをはじめ、1799年、23歳のときに両親の許しを得てロンドンのロイヤル・アカデミー美術学校に見習い生として入学します。ちなみに、のちにライバルとなるターナーはすでに14歳で同美術学校に入り、26歳のときにロイヤル・アカデミーの正会員になっています。コンスタブルもロイヤル・アカデミー展に出品し、正会員になることを目指しますが、なかなか高い評価を得られません。彼は故郷など自分の愛する土地を描いていたのですが、当時、絵画の格付けは歴史画や肖像画が上位レベルで、風景画は格下扱いされていました。コンスタブルは肖像画を描いて収入を得ながら、風景画の制作にこだわり続け、1829年、53歳でようやくロイヤル・アカデミーの正会員に選出されました。12歳の少女と出会い…恋に落ちる!会場に入って最初の部屋に展示されているのは、コンスタブルの自画像や家族の肖像画。ひときわ目立つのが、女性の肖像画です。小さな作品ですが、斜め45度のお顔がとにかく美しい!少しうるんだ大きな瞳とかわいらしい巻き毛、お肌はハリがあってツヤツヤしています。モデルはコンスタブルの妻、マライア。この絵は結婚する3か月前に描かれたとのこと。作品から、妻への愛情がビシビシ伝わってきます。ふたりは1800年、コンスタブル24歳、マライアが12歳のときに出会い、その後恋に落ちますが、彼女の家族に反対され、なかなか結婚できませんでした。1816年、コンスタブルが40歳のときに彼の父親が亡くなり遺産を相続。経済的に自立したことで、この年、ようやくふたりは結婚しました。ターナーと対決!本展で見逃せないのは、コンスタブルとターナーの対決を再現した展示室です。1832年に開かれたロイヤル・アカデミー展で、彼らの作品は並んで展示されました。コンスタブルの作品は、ナポレオンに勝利した「ワーテルローの戦い」を記念する橋の開通式を描いたもので、サイズも大きく、色彩も鮮やかです。いっぽうターナーの作品は、シンプルな海景画でサイズもそれほど大きくなく、寒色系ですっきりとまとめられています。このふたりの対決には、おもしろい逸話が残されています。負けず嫌いの性格で知られるターナーは、華やかなコンスタブル作品のほうが注目されるのではないかと心配し、自作をより目立たせようと画策。開幕前の最終手直し期間に、鮮やかな赤色の塊(ブイ)を絵の前景に描き加えました。後日、コンスタブルは「ターナーはここにやってきて、銃をぶっ放していったよ」とこぼしたそうです。二作品が並んで展示されるのはロンドン以外では初めてとのこと。ぜひ、この空間でふたりの作品を見比べてみてください。神々しい…! 最晩年の人気作最後にご紹介するのは、《虹が立つハムステッド・ヒース》。中央に風車が描かれ、コンスタブルが得意とした表情豊かな空に美しい虹がかかっています。この絵の主題は収集家の間でかなり人気が高かったとのこと。神々しい光が差し込む描写も美しく、作品の前に立つと心が洗われていくような感じがします。本作品は、コンスタブルが亡くなる前年に描かれました。イングランドの美しい風景を描き続け、イギリス人に最も愛された画家が最晩年に描いたこの傑作は、最後の展示室にあります。ぜひ、ゆっくりとご覧になってみてください。会期は5月30日まで。Information会期 : ~5月30日(日) 時間 : 10:00〜18:00※入館は閉館の30分前まで※緊急事態宣言発令中の夜間開館は中止休館日 : 月曜日(※ただし、祝日・振替休日の場合、会期最終週と3月29日、4月26日は開館)入館料(税込): 一般¥1,900、大学・高校生 ¥1,000、中学生以下無料会場:三菱一号館美術館
2021年03月17日自身が描いた絵をTwitterに投稿している、長靴をはいた描(@erumo_0384)さん。中学3年生の頃、学級日誌を書く担当だった際に、落書きとしてリンゴの絵を描きました。すると担任からは「この才能も大事にしてほしいな」と賛辞が寄せられたのです。それから数年後、投稿者さんは「先生、今も描き続けてますよ!」と最新作をTwitterに投稿。中学3年生→美容学生1年先生、今も描き続けてますよ! pic.twitter.com/hoqHMJT3ol — 長靴をはいた描 (@erumo_0384) March 16, 2021 中学3年生の頃は黒の鉛筆だけでしたが、技術に磨きをかけ、キラキラと光る宝石のようなサクランボを描き上げました。2021年3月現在、美容学生でありながらも色鉛筆で作品を描く、色鉛筆画家として活躍している投稿者さん。先生の言葉は、ずっと投稿者さんの心に残っていたのかもしれませんね。投稿には「褒めて伸ばすって本当にいいと思う」「素晴らしい!」「いい先生だな」などの声が寄せられていました。きっと、この投稿を当時の先生が見つけたら嬉しいでしょう。何気ない言葉でも、受け取った人の心にはいつまでも残り励みになることを忘れたくありませんね。[文・構成/grape編集部]
2021年03月17日渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで『ベルナール・ビュフェ回顧展 私が生きた時代』が開催中です。20世紀後半のフランスで活躍した画家の都内では10年ぶりとなる本展では、初期から晩年までの作品が集結。ナイーブな天才画家ビュフェの凄絶な人生とアートをご紹介!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 193『ベルナール・ビュフェ回顧展 私が生きた時代』では、フランスの画家ベルナール・ビュフェ(1928‐1999)の油彩画を中心とした絵画作品約80点を紹介。展示されている作品は、すべて静岡県にあるベルナール・ビュフェ美術館のコレクションです。黒い線と暗いトーンで描かれたビュフェの具象画は、第二次世界大戦後の不安な時代の空気と共鳴し、フランスだけでなく世界の人々の心をつかみました。現在もコロナ禍で世の中が不安定になっていることから、彼の絵はまさに今の時代の空気にもあてはまり、鑑賞者の心に響きます。ナイーブなイケメン!ベルナール・ビュフェとは、どんな画家だったのでしょう。会場に写真が展示されていますが、かなりイケメンです。1928年にパリで生まれた彼は、ナチス・ドイツの占領下で名門エコール・デ・ボザール(国立高等美術学校)に通い、20歳で若手画家の登竜門といわれる「批評家賞」を受賞。その後、世界各地で個展が開かれます。ナイーブで非社交的だったビュフェは、当時パートナーだったピエール・ベルジェにマネージャー的な仕事をしてもらい、自身は絵画制作に専念。南仏プロヴァンスに滞在して、著名な小説家ジャン・ジオノや詩人ジャン・コクトーとも親交を深めていきます。ベルジェのサポートでビュフェは活躍の幅を広げていきましたが、1958年、彼と別れてファッションモデルで歌手のアナベルと結婚します。会場では、美しいアナベルをモデルにした作品も見ることができます。いっぽうベルジェは、若きデザイナーのイヴ・サン=ローランのパートナーとなり、ファッション界で活躍しました。上記画像は、ビュフェを取り巻く人々の相関図。『悲しみよこんにちは』で知られる小説家フランソワーズ・サガンとも交流がありました。必見!ピエロの絵20世紀半ば以降、美術界ではジャクソン・ポロックなどの抽象絵画が主流となっていきますが、ビュフェは人物や動物、建物などの具象画を描きつづけます。さらに1960年代に入ると、初期の地味な色調ではなく鮮やかな色を使った作品も増えていきます。そのなかのひとつ、展覧会のメインビジュアルにも使われている作品が《ピエロの顔》。真っ赤な背景に、シルクハットを被った男が描かれています。ベルナール・ビュフェ美術館の学芸員 雨宮千嘉さんによると、この絵は「画家自らピエロのメイクをして、自分の心を投影させて描いた」とのこと。楽しい道化師であるピエロのイメージとはほど遠く、見ていると少し不安になる絵です。雨宮さんの話では、この絵を見るために美術館を何度も訪れるファンもいるそうです。絵画は私の命…1973年に静岡のベルナール・ビュフェ美術館が開館し、1993年にはフランス政府からレジオン・ドヌール勲章を授与されるなど、経歴を見ると画家として幸せな人生を送っていたように思えますが、ビュフェは制作の苦悩を抱えていたようです。さらに、晩年になるとパーキンソン病を発症。絵筆をとることができなくなり、1999年、自ら死を選びました。最終章の解説には、「絵画は私の命です。これを取り上げられてしまったら生きていけないでしょう」という画家の重い言葉が記されています。展覧会は1月24日まで開催。お出かけの際には公式サイトで最新情報をご確認ください。取材、文・田代わこInformation会期: ~2021/1/24(日)※1/16(土)・17(日)・23(土)・24(日)の4日間に限り【オンラインによる入場日時予約】が必要(当日予約枠に余裕がある場合、予約なしで入場可能)開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)会場:Bunkamuraザ・ミュージアム観覧料:一般¥1,600、高校・大学生:¥1,000、小・中学生:¥700※本記事の写真は、プレス内覧会で主催者の許可を得て撮影しています。
2021年01月07日●毎日溜まったストレスを作品に落とし込むBOOWY、ZIGGY、LINDBERGなど数々の人気アーティストを手がけた大物音楽プロデューサーの月光恵亮氏が、画家として第二の人生を歩もうとしている。かつては都心の一等地に30億円のビルを建てるなど巨万の富を築いたが、2017年6月、覚せい剤使用の容疑で逮捕。音楽業界からは追放同然の扱いを受け、仕事、人間関係、信用、そして音楽にとって命とも言える聴力までも失ってしまった姿が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(19年12月29日放送)で映し出され、大きな反響を呼んだ。どん底からの再起を目指し、日々作品作りに没頭している月光氏。今年10月に執行猶予が明け、新たなスタートを切った本人に、絵の創作に取り組むことになった経緯や作品に込める思い、そして現在の心境などを聞いた――。○■自分を投影する傷を負ったキャラクター「釈放されて最初の1年間は、死という選択肢をやっぱり考えました。もう忘れられたかな…と思った頃に、ドラッグ関係の新しい事件が起こると、テレビのワイドショーで僕の名前がついでに出される。そういうのがずっと続いて、電車に乗ってて一番冷たい視線を感じたのは、その頃でしたね。仕事はないし、もうどうしたらいいんだろうと」と打ち明ける月光氏。それでも、再び立ち上がることができたのは、音楽の世界で戦い続けてきた経験が大きかった。「ロックというのが音楽の世界で全くビジネスにならなかった頃に、同じ志を持った連中が集まって、フェスがあるとノーギャラで出たりして、なんとかマーケットの土壌を作ってきました。そのために使ったインスピレーションや執念、パワー、集中力というのが、僕の体の中にはまだ残っていたんです」そして、もう1つ支えになったのが、「絵」との再会だ。ひきこもりがちな幼少期はずっと描き続けていたが、手元に残っていたiPad Proで絵を描いてみると、「意外と面白いなあと思って、描けば描くほど道が見えてきたんです」と、新たな生きがいを見つけた。創作の原動力は、意外にも“ストレス”。「毎日溜まったストレスを、夜に作品に落とし込むことによって、嫌なことを作品の中に閉じ込める。そうすると、作品に“気”が入って、すごく良いものになるし、人にも伝わるんだと、インスタグラムで知り合いになったスペインの画家に言われて、信じるようになりました」と、モチベーションになっている。作風はバラエティに富んでいるが、様々な作品に登場して印象的なのが、ウサギをモチーフにしたキャラクターだ。“フルメタルラビット”と名付けたこのキャラクターは、iPadでレイヤーを重ねて製作する手法の中で、「たまたまウサギの形が浮かび上がってきたんです」という偶然の産物。知り合いである映画『ナルニア国物語』のCGアーティストから「これはお前そのものだ」と言われ、運命の出会いを果たしたこのキャラクターは、自身を投影する存在として作品に登場するように。足に傷を負っているが、「これは過去の過ちです。この傷を見ることで、二度と過ちを起こさないぞという思いを込めています」と明かしてくれた。○■“こだわりの一滴”を重視した作品作り音楽と絵――それぞれの創作活動に共通することを聞いてみると、「“気”の入れ方」だという。「40代の頃は、1週間スタジオにこもりきりという状況がよくありました。それくらい、ヒットさせる、人に伝えるためには“思い”や“気”を入れるということがすごく重要なんです。お酒を作る人も、よく“こだわりの一滴”と言うじゃないですか。麹を入れてかき混ぜて…と同じようにやっても、お酒に話しかけたりして丁寧に作る人のお酒がやっぱりおいしい。それと同じように、同じメロディーラインでも別の人が歌うと違うものになる。だから、僕も“こだわりの一滴”を重視して音楽を作ってきたんです」それを実現するには、主張をぶつけ合うことが重要とのこと。「やっぱりいいバンドって、仲が悪い人が多いんですよ(笑)。自分の関わった仲が良いバンドは、はっきり言って売れてない。それは、それぞれの主張がぶつかって想像以上のものが生まれるからなんです」といい、それを絵に置き換えると、「自分の中で主張をぶつけ合って、作品を作っています。だから、さっき言った“ストレスを作品に落とし込む”という意味合いが、すごく分かるんです」と解釈している。だからこそ、“気”を入れた自分の絵の作品には、強い自信を持っている。「もちろん、僕よりスキルが高く、ずっと上手い人は世の中にゴロゴロいる。だけど自分の経験値で言うと、音楽も絵も、テクニックよりも絶対に感性が大事。誰かの琴線に確実に触れるものを世の中に出しているつもりです」●コラボ作品が続々「すごく興奮する状況」絵を描き始めて3年が経ち、作品の数は約700タイトルにも達した。「“石の上にも三年”という言葉が昔から好きなので、とりあえず3年はやってみようと思いました。ビーイングという会社を作ったときも、3年までははっきり言って地獄でした。でも、やり続けると自然と会社の名前も知られ、いろんなものを巻き込んでいく要因がどんどん増えていくんですよ」そう話す通り、今年2月には東京・中目黒で個展を開催。その後予定していた個展は、新型コロナウイルスの影響で延期になってしまったが、11月からは東京・新大久保の「Cen Diversity Hotel & Cafe」とコラボレーションし、外壁、ロビー、併設カフェ、VIPルームに作品が常設展示されている。制作期間は打ち合わせも含めて約2カ月におよび、外壁画はオランダ出身のアーティスト、タイメン・ヴィッサー氏とコラボ。「コロナの時期にホテルの前を通る人たちも元気づけられる絵」というオーダーを受け、“フルメタルラビット”とタイメン氏の描いた太陽や風がデザインされ、「“暑い日も風の強い日も、コロナに負けないで前に進もう”という思いを込めました」と話す。ロビーの絵は、月光氏がかつてプロデュースしたバンド・パッセンジャーズの元ドラマーで、現在はウッドクラフトアーティストとして活躍する水梨隆氏が、額を製作。11月26日に開催されたお披露目会では22点もの作品が展示され、その中にはペイントしたギターも飾られたが、このギターは、ビーイング時代に月光氏のもとで音楽制作を学んだ後、布袋寅泰、トータス松本などが愛用するZODIACのギター職人となった松崎淳氏が手がけた。音楽業界から追放同然の扱いを受けたというものの、このように昔からの仲間たちが、月光氏の新たなスタートを支えている。「今起こっているこの連鎖が、僕にとってすごく興奮する状況なんです。ヒット曲が生まれる瞬間もそういうことがあって、それは理屈じゃない。あと、僕の中にある1つの法則は、成功する前には絶対に大きなトラブルが起こるということ。普通の人はそこで諦めてしまうんですが、そのトラブルさえ自分のテコとして応用できる気持ちになって前に進む。これからまたいろんなことが起こるかもしれませんが、頑張りたいと思います」●月光恵亮1952年、東京生まれ。富山県で育ち、大学に進学し、ロックバンド「Dr.KEI&摩天楼」「だててんりゅう」などを結成。卒業後、オフィストゥワンの傘下であるユニオン出版に入社し、阿久悠、三木たかし、井上大輔らに師事。その後独立し、長戸大幸、織田哲郎とともに音楽制作会社・ビーイングを創業し、副社長に就任。BOOWY、LOUDNESSなどの制作に関わり、アートディレクションも行う。84年、パブリックイメージ社創立。LINDBERG、ZIGGY、田村直美など名だたるアーティストを育て上げ、一部のアーティストのアートディレクションも担当した。17年に覚せい剤使用の容疑で逮捕され、18年ごろから耳の不調が顕著になり、音楽活動を制限。その頃から本格的にアート活動に取り組み、20年2月、初の個展を開催して盛況を収めた。月光恵亮 公式ホームページ
2020年12月13日色鉛筆画家・長靴をはいた猫(@erumo_0384)さんは、写真のようなリアルな絵画作品をTwitterに投稿し、人気を博しています。以前、grapeで3年間の絵の成長をご紹介しました。この絵を描いた3年後の作品に驚き!「ここまで成長できるのか」「天才」今回は、ほぼ毎日色鉛筆で絵を描き続けてきた4年間の変化をご紹介します。まずは中学3年生の頃に描いた、フクロウの絵がこちらです。そこから、努力を重ねた4年後の作品がこちら!ほぼ毎日、色鉛筆で描き続けた結果…中3→現在 pic.twitter.com/lmDalswqR9 — 長靴をはいた描 (@erumo_0384) November 19, 2020 リアルさが増したフクロウの作品。中学3年生の頃は、全体像ではなく顔を中心とした作品でしたが4年間で作品のクオリティだけでなく規模も成長。まさに、『継続は力なり』の言葉がぴったりの成長記録ですね!投稿には称賛の声が寄せられていました。・中学3年生の時点でも十分すごいですよ!努力を尊敬します。・いわれなければ写真かと思いました!陰で努力してきたんだろうな。・絵なの!?すごすぎる!2020年現在は、美容学校に通いながら生き物と宝石の融合をテーマに描き続けている投稿者さん。現在は、美容学校に通いながら生き物と宝石の融合をテーマに描き続けています☺️ pic.twitter.com/cxXvkHrfdL — 長靴をはいた描 (@erumo_0384) November 20, 2020 きっとこの作品たちも、投稿者さんの努力の賜物から生まれたのでしょう。作品の成長を見て、「努力は決して裏切らない」ということがよく分かりますね。[文・構成/grape編集部]
2020年11月20日ドイツの“歴史の闇”と“芸術の光”を、現代美術界の巨匠ゲルハルト・リヒターの半生をモデルにフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督が描く『ある画家の数奇な運命』。この度、マックス・リヒターの美しい旋律を背景に、ドイツの気鋭俳優トム・シリングが体現する“芸術家が生まれる瞬間”を切り取った本編映像が到着した。本映像は、リヒターの代名詞ともいえる“フォトペインティング”の制作風景を模したシーン。キャンバスに写真を精密に模写しながら、そこからフィルターをかけたかのように微妙にぼかす作業を加えるこの作風は、決して奇をてらうために生み出されたのではなく、主人公の芸術家・クルトが本当に求めるものを描こうとしてきた結果、真実の芸術にたどり着いた。本映像は、幼きころの叔母の記憶をもとに、まさに自分だけの真実を掴んだ“芸術家の誕生の瞬間”を切り取ったものとなっている。ひと言もセリフを発さないまま、目線や表情だけで芸術家の揺れる心の動きを表現し切った、トム・シリングによる静謐な演技も必見となっている。背景に流れる音楽は、“ポストクラシカル”のアーティストとして知られ、映画『メッセージ』に起用された楽曲や、壮大な宇宙を舞台にした『アド・アストラ』、アカデミー賞を受賞した『戦場でワルツを』など映画音楽家としても高い人気を誇るマックス・リヒター。苦悩しながら少しずつ自分にとっての真の芸術、光を見つけていくクルトの心情を代弁するかのような美しい旋律にも注目してほしい。『ある画家の数奇な運命』は10月2日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ある画家の数奇な運命 2020年10月2日 シネマズ シャンテほか全国公開©2018 PERGAMON FILM GMBH & CO. KG / WIEDEMANN & BERG FILM GMBH & CO. KG
2020年10月04日『コーヒーをめぐる冒険』や『ピエロがお前を嘲笑う』で知られるトム・シリング主演で贈る、第91回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作『ある画家の数奇な運命』。この度、トム演じる画家を目指す主人公・クルトの恋人を演じたパウラ・ベーアが、カラフルでキュートな50年代ファッションを身にまとうシーン写真6点が一挙に解禁された。ウエストを絞り、裾に向かってふっくらとする可憐なラインのスカートが特徴的な当時の最先端スタイル“ニュールック”ファッションをまとうクルトの恋人エリー。クラシックテイストの中にもモダンな隠し味も印象深く、エリーと同じ美術学校に通っていたクルトがひと目で恋に落ちたのも納得するキュートさ。本作の衣装を担当したのは、ガブリエル・ビンダー。『善き人のためのソナタ』でドイツ映画賞衣装賞にノミネートされた彼女は、映画人からの信頼も厚く、アンジェリーナ・ジョリーが監督第1作『最愛の大地』の衣装を彼女に依頼したことでも知られている。『ある画家の数奇な運命』はTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ある画家の数奇な運命 2020年10月2日 シネマズ シャンテほか全国公開©2018 PERGAMON FILM GMBH & CO. KG / WIEDEMANN & BERG FILM GMBH & CO. KG
2020年10月03日映画『ある画家の数奇な運命』が、2020年10月2日(金)より全国公開される。現代美術界の巨匠をモデルにした若き芸術家の半生『ある画家の数奇な運命』は、激動の時代のドイツを舞台に、“筆”1本で苦悩や悲しみを希望と喜びに変えていった若き美術家の物語。本作の主人公・クルトは、現代美術界の巨匠、ゲルハルト・リヒターをモデルに描かれている。ストーリーナチ政権下のドイツ。少年クルトは叔母の影響から、芸術に親しむ日々を送っていた。ところが、精神のバランスを崩した叔母は強制入院の果て、安楽死政策によって命を奪われる。終戦後、クルトは東ドイツの美術学校に進学し、そこで出会ったエリーと恋に落ちる。元ナチ高官の彼女の父親こそが叔母を死へと追い込んだ張本人なのだが、誰もその残酷な運命に気付かぬまま二人は結婚する。やがて、東のアート界に疑問を抱いたクルトは、ベルリンの壁が築かれる直前に、エリーと西ドイツへと逃亡し、創作に没頭する。美術学校の教授から作品を全否定され、もがき苦しみながらも、魂に刻む叔母の言葉「真実はすべて美しい」を信じ続けるクルトだったが―。必見!リヒター代表シリーズの製作シーンも作品には、リヒターの代表的なシリーズの製作シーンが登場。精密に模写した写真のイメージを微妙にぼかし、写真と絵画の境界線を曖昧にする「フォト・ペインティング」など、リヒターの創作を思わせる技法などが映し出される。なお、本作の監督は、第91回アカデミー賞外国語映画賞にノミネート、長編初監督作『善き人のためのソナタ』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞した、フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクが務める。【詳細】『ある画家の数奇な運命』公開日:2020年10月2日(金)監督・脚本:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク製作:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク撮影:キャレブ・デシャネル音楽:マックス・リヒター英題:NEVER LOOK AWAYキャスト:トム・シリング、セバスチャン・コッホ、パウラ・ベーア、オリヴァー・マスッチ、ザスキア・ローゼンダール
2020年08月08日株式会社ヨウジヤマモトのオフィシャルウェブストア「THE SHOP YOHJI YAMAMOTO (ザ ショップ ヨウジヤマモト)」より、「Tシャツ+マスク」第2弾として、「YOHJI YAMAMOTO +NOIR(ヨウジヤマモト プリュス ノアール)」とYOHJI YAMAMOTO FEMME, HOMME COLLECTIONのコラボレーションアーティストとしてお馴染みの画家「朝倉優佳」とのコラボレーションアイテムを6月17日より展開スタートいたします。墨と水彩でダイナミックに描かれた「ダリア」「薔薇」「百合」の花モチーフをプリントした「Tシャツ+マスク」を数量限定、オンライン限定にて発売いたします。■ アイテム数:「ダリア」1型、「薔薇」2型、「百合」1型(計4型)■ 価格: すべて「Tシャツ+マスク」セットで1万4,000円(税抜)■ 展開店舗・展開時期:6月17日よりYOHJI YAMAMOTO INC.オフィシャルウェブストア「THE SHOP YOHJI YAMAMOTO(ザ ショップ ヨウジヤマモト)www.theshopyohjiyamamoto.jp」にて<特典>THE SHOP YOHJI YAMAMOTOにて、YOHJI YAMAMOTO 商品を5万円(税込)以上ご購入いただいたお客様先着にて、「YOHJI YAMAMOTO オリジナル レザーミニトートバッグ」を差し上げます。※該当ブランド<YOHJI YAMAMOTO FEMME, HOMME, +NOIR, REGULATION, B, BLACK Scandal>企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2020年06月17日ファッションブランド「SLY(スライ)」は、画家・小澤雅志氏とのコラボレーションアイテムを2020年6月5日より順次発売いたします。音楽界やファッション界、多方面にわたるカルチャーの世界からラブコールがやまない画家・小澤雅志氏とのコラボレーションが実現。SLYというブランド、そして今季のテーマ「UNKNOWN PLACE」を小澤氏のフィルターを通して解釈し、表現した2作品を描き下ろしていただきました。鮮やかな色彩で描かれた小澤氏とSLYとのコラボレーションアイテムは、シャツ、Tシャツ、スカーフ、バッグの計4型展開。ここでしか手に入らないスペシャルコレクションを、ぜひチェックしてください。【MASASHI OZAWA x SLY展開商品】◆MASASHI OZAWA x SLY PRINT T-SHIRTメンズでも着用可能なオーバーサイズのTシャツ。インパクトのあるオリジナルアートを、PURPLEはバックに、WHITEはフロントに配置。1枚でコーディネートの主役になるアイテムです。030DSA01-37204,990円+税COLOR:WHITE,PURPLESIZE:FREE◆MASASHI OZAWA x SLY SHIRTオリジナルアートを大胆にプリントした目を惹く開襟ルーズシャツ。デニムやパンツスタイルと好相性。ボタンを閉めてTOPSとして、ボタンを開けて羽織としても使える万能アイテム。030DSY01-34306,990円+税COLOR:MULTI BLUE,MULTI REDSIZE:FREE◆MASASHI OZAWA x SLY SCARFきめ細やかなシルク素材のスカーフにオリジナルアートを全面プリントしたアイテム。首や頭に巻いたり、バッグに付けたり、コーディネートの幅が広がる逸品。030DSA01-37403,990円+税COLOR:MULTI BULE,MULTI REDSIZE:FREE◆MASASHI OZAWA x SLY TOTE BAGA3サイズのアイテムも収納可能なトートバッグは、しっかりとした生地感でデイリー使いはもちろんセカンドバッグとしても使える万能アイテム。030DSY01-34403,450円+税COLOR:OFF WHITE,ORANGESIZE:FREE【 About 『MASASHI OZAWA』 】1980年生まれ。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。女性やミュージシャン、花などを主なモチーフとし、独自の画面を構築する。彼の持つ感性は多方面にわたるカルチャーの世界からラブコールがやまない。【 商品取扱店舗、ONLINE STORE 】2020年6月5日(金)正午 発売開始■SHEL’TTER WEBSTOREWEBSTORE 商品ページはこちら年6月8日(月)発売予定 ※発売日は店舗により異なる場合が御座います。■SLY直営店舗■MOUSSY+店舗■The SHEL’TTER TOKYO東急プラザ表参道原宿店■SHEL’TTER一部店舗企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2020年06月07日6月7日(日)まで三菱一号館美術館にて開催されている『画家が見たこども展 ゴッホ、ボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットン』を紹介します。画家の愛が伝わる子供絵の数々。三菱一号館美術館の開館10周年を記念した本展は「子供」にフォーカスしたもの。19世紀末パリの前衛芸術家グループ「ナビ派」の画家たちの作品を中心に、当時の都市生活や近代芸術を、子供を通して紹介する。ナビ派とは19世紀末にパリで起こった芸術運動のひとつ。ポスト印象派の巨匠ゴーガンやゴッホなどの影響もあり、写実を重んじる伝統的な美術に対して、何気ない日常生活のワンシーンを力強い色彩や単純化された構図で描き出しているのが特徴だ。ナビ派は19世紀と20世紀の美術をつなぐ存在として近年、注目され評価も高まっている。そんな中から今回はピエール・ボナール、フェリックス・ヴァロットン、モーリス・ドニ、エドゥアール・ヴュイヤールら派の中心人物たちが残した油彩・版画・素描・挿絵本・写真など約100点を紹介。家の中で、公園で、と当時のパリ生活と共に描かれた作品からは、画家として、親として、向けられた子供への温かい眼差しが読み取れるはずだ。フェリックス・ヴァロットン≪可愛い天使たち≫1894年 木版/紙 三菱一号館美術館蔵モーリス・ブーテ・ド・モンヴェル≪ブレのベルナールとロジェ≫1883年 油彩/カンヴァス オルセー美術館蔵Photo ©Musee d’Orsay, Dist. RMN-Grand Palais / Patrice Schmidt / distributed by AMFエドゥアール・ヴュイヤール≪赤いスカーフの子ども≫1891年頃 油彩/厚紙 ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵National Gallery of Art, Washington, Ailsa Mellon Bruce Collection, 1970.17.90フィンセント・ファン・ゴッホ≪マルセル・ルーランの肖像≫1888年 油彩/カンヴァス ファン・ゴッホ美術館蔵Van Gogh Museum, Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)『画家が見たこども展 ゴッホ、ボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットン』三菱一号館美術館東京都千代田区丸の内2-6-2開催中~6月7日(日)10時~18時(入館は閉館の30分前まで。祝日を除く金曜、第2水曜、4/6、会期最終週平日は~21時)月曜休館(4/6、5/4、6/1と、トークフリーデーの3/30・4/27・5/25は開館)1700円ほかTEL:03・5777・8600(ハローダイヤル)※『anan』2020年3月4日号より。文・山田貴美子(by anan編集部)
2020年02月28日三菱一号館美術館では『開館10周年記念画家が見たこども展ゴッホ、ボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットン』が、6月7日(日)まで開催されている。19世紀末にパリで起こった芸術運動のグループ、ナビ派。親密さや素朴さを追求したナビ派の画家たちにとって、「子ども」は最も身近でいて深遠な芸術のインスピレーションの源になった。同展では、そんなナビ派の画家を中心に、画家たちが見た「子ども」の姿を、油彩・版画・素描・挿絵本・写真など約100点を通して展覧することができる。ナビ派の中でもボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットンに焦点を当て、フランス、ル・カネにあるボナール美術館全面協力のもと、三菱一号館美術館をはじめ国内外の美術館が所蔵する作品を展示。加えて、日本では滅多に見ることのできない欧米の個人コレクター所蔵品も並ぶ。展覧会は、プロローグ「子どもの誕生」から始まり、「路上の光景、散策する人々」「都市の公園と家庭の庭」「家族の情景」「挿画と物語、写真」、そしてエピローグ「永遠の子ども時代」の全6章で構成。プロローグ「子どもの誕生」では、ポール・ゴーガンやフィンセント・ファン・ゴッホらの作品を紹介。19世紀以前まで重要視されていなかった「子ども」を画題としてとりあげ、力強い色彩や単純化された素朴な表現で描き出した作品は、その後に続くナビ派の画家たちに大きな影響を与えた。三菱一号館美術館()
2020年02月20日ルタオのチョコレート専門店「ヌーベルバーグ ルタオ ショコラティエ」と画家・中原淳一がコラボレーション。限定パッケージのチョコレートやクッキーなどを、2020年1月から2月にかけて順次、全国の催事会場などで期間限定発売する。「それいゆ」や「ひまわり」など独自の女性誌を創刊し、モダンでおしゃれな少女達を描いてきた中原淳一の、華やかなパッケージに包装されたスイーツが登場。少女の横顔をあしらった「中原淳一コラボパッケージ テノワール(16枚入)」は、ダージリンが香るチョコレートを香ばしいクッキーでサンドしたテノワールの詰め合わせだ。シルエットデザインがシックな「中原淳一コラボパッケージ ショコラ ド デコ」は、チョコレート4種のセット。ピスタチオやフランボワーズフレーバー、スイートチョコレート、ミルクチョコレートに、1つ1つ手作業でナッツやドライフルーツをトッピングした。生乳を使ったミルクソースが、まろやかな味わいを引き立てる。「中原淳一コラボパッケージ ルシードル」は、北海道余市産りんご100%のシードルを使ったチョコレート。柔らかな口どけとともに、りんごの風味が広がっていく。チャーミングな黒猫を配した、アイキャッチなパッケージデザインにも注目だ。【詳細】中原淳一×ヌーベルバーグ ルタオ ショコラティエ・中原淳一コラボパッケージ テノワール(16枚入) 1,782円(税込)・中原淳一コラボパッケージ ショコラ ド デコ 1,782円(税込)・中原淳一コラボパッケージ ルシードル 1,404円(税込)■催事出店詳細・2020年1月18日(土)~2月14日(金) 西武池袋本店、西武岡崎店・2020年1月22日(水)~2月14日(金) 高島屋横浜店、JR伊勢丹京都店、京都タカシマヤ、松坂屋静岡、大阪タカシマヤ、大丸神戸・2020年1月23日(木)~2月14日(金) 遠鉄百貨店、そごう大宮・2020年1月23日(木)~2月16日(日) そごう千葉・2020年1月24日(金)~2月14日(金) そごう広島・2020年1月27日(月)~2月24日(月) エキュート東京・2020年1月29日(水)~2月14日(金) 柏タカシマヤ、日本橋タカシマヤ、岩田屋本店・2020年1月30日(木)~2月14日(金) 阪神梅田本店、高崎タカシマヤ、山形屋鹿児島・2020年2月1日(土)~2月14日(金) 東急渋谷店、阪急博多店、マルイ有楽町店、小田急新宿、小田急町田、鶴屋百貨店、大和香林坊、大和富山・2020年2月7日(金)~2月14日(金) 仙台三越
2020年01月23日大人女子には、休みの日に日常から離れて美術館巡りをして過ごしているという人もいるのでは?そのなかでも、人気の高い画家のひとりといえばフィンセント・ファン・ ゴッホ。現在、日本ではゴッホ展も開催されており、人気を博していますが、今回は新たなゴッホ像を描いている話題作をご紹介します。その作品とは……。感動体験を味わえる『永遠の門 ゴッホの見た未来』!【映画、ときどき私】 vol. 274パリでまったく評価されていなかった画家のゴッホ。“新しい光”を見つけるため、南フランスのアルルへと向かうことを決意し、春を迎えると同時にその願いは叶えられるのだった。そんななか、ゴッホは心酔していたゴーギャンと共同生活を始める。しかし、それも長くは続かず、ゴッホは再び孤独となってしまう。自らが見た世界をひたすらカンバスへと写し取り、創作へとのめり込むゴッホが最期に見ていたものとは……。本作は主演のウィレム・デフォーがヴェネチア国際映画祭で男優賞を受賞し、アカデミー賞主演男優賞にもノミネートされるなど注目を集めていますが、今回はゴッホに対して並々ならぬ思いを持っているこちらの方に、見どころをお話いただきました。ジュリアン・シュナーベル監督!『夜になるまえに』や『潜水服は蝶の夢を見る』などで高く評価されているシュナーベル監督。映画監督としてデビューする前から、画家として活躍していることもあり、劇中で使われているゴッホの絵を自ら描くほど、細部にまでこだわりを見せています。そこで、ゴッホへの思いや作品の裏側について語っていただきました。―脚本家のジャン=クロード・カリエールさんをオルセー美術館に誘い、一緒にゴッホの作品を見たことが本作を手掛けるきっかけにもなったそうですが、やはり絵からインスピレーションを受けた部分が大きかったのでしょうか?監督そうですね。ただ、私はカリエールとオルセー美術館に行く前、つまり映画を作るもっと前からゴッホの絵には興味がありました。そんなふうにもともとゴッホの絵を見ていたからこそ、この映画ができたのであって、カリエールからもまるでゴッホが私に話しかけているような気がしたとも言われたほどです。とはいえ、ゴッホをテーマにした映画はすでに山のように存在しているだけに、「我々はどうやって作ったらいいんだろうか?」というのは悩みましたよ。そこで思いついたのは、「彼に起こったかもしれないことやありえたかもしれない場面を作ってしまったらいい」ということでした。そうすれば、ほかの人が作った作品とは別のものができると考えたんです。―実際に、どのような場面を作り出したのでしょうか?監督たとえば、彼が兵士としてアルジェリアに行ったときのエピソードやキリストについての話、そして私が絵画について持っていた考えなどをゴッホを通して語れることに気がつき、入れることにしました。それから、ゴッホに絵の教養があったことをも見せたかったので、私が思いついたのは、ルーヴル美術館のなかを彼に歩かせること。そこで、ウジェーヌ・ドラクロワやフランシスコ・デ・ゴヤ、ディエゴ・ベラスケスの絵を目にしますが、ゴッホが生きていた当時は、ゴヤやベラスケスの絵はルーヴル美術館にはありませんでした。それでも、私がゴッホにそれらの絵を見せたいと思い、あえて入れることにしたのです。そんなふうに、私が伝えたいと思うストーリーを入れ、「絵とは何か」ということを表しました。―この作品を作ったことによって、監督自身が学んだこともありましたか?監督この映画を作るなかで、私はゴッホの考え方に深く入り込んでいったつもりです。と同時に、デフォーについてもいろいろと知ることができました。なぜなら、彼が演じるゴッホの自画像を私が描いたからです。そうやって見ることで学び、繰り返すことで、そのものに対する理解を得ることができました。そして、それによって私がどう変わったのかを考えることができたのです。私はすでに自分が知っていることを例示するために映画を作ったのではなく、作る過程で知らない何かを発見するために作ったと言えると思います。絵画は写真よりも雄弁に人を語っている―キリスト教に関する描写も印象的でしたが、それも制作のプロセスのなかで発見して作品に反映したのでしょうか?監督ゴッホの残した手紙を読むと、キリストについてかなり書かれており、彼は自分のことをキリストとみなしていたところがありました。劇中のゴッホと司祭の会話は私自身が作り上げたものですが、なかでもおもしろいと思ったのは、「キリストは死後30~40年経つまで誰も知らなかったんだよ」と彼らに言わせたことです。実際、ほとんどの人はそのことを知らず、死んだときすでにキリストは有名だと思っている人もいるくらいですから。だからこそ、名声と謎、神秘について話すのが興味深いと感じました。―そのほかにも、監督がこだわったセリフなどはありましたか?監督あとは、精神病院のなかでゴッホにベトナムについて話をさせるのも私にとってはおもしろいことでした。もちろん、患者同士でどのような会話をしたかという記録はなかったので、あの会話も私たちが作り上げたものですが、そこから生まれる感情は少なくとも私にはリアルに聞こえました。同じような意味で言うと、ゴッホが人を描いた絵のなかには、写実的ではないがゆえに見た目が本人には似ていないものもありましたが、そのなかに描かれているものは、写真よりも雄弁にその人を語っているように感じたのです。つまり、絵というのは、それ自体が現実であり、ある意味では写真よりも本人に近いものだと私は思っています。―本作を制作するということは、そんなふうにゴッホが何を見て、何を感じ、何を考えていたかをつねに考える作業でもあったと思いますが、もし彼に直接質問できるとしたら、聞いてみたいことはありますか?監督うーん、何を聞きたいかまったく思い浮かばないなぁ。でも、もしこの映画を観てくれたら、どう思ったかは聞きたいかもしれないね(笑)。―では、劇中で医師がゴッホに「どうして絵を描くのか?」と聞くシーンがありましたが、監督自身はなぜ映画を撮っているのでしょうか?監督もし「なぜ絵を描くのか?」と聞かれたら、私も同じように「考えを止めるため」と言うと思うけど、映画について聞かれたら、「もうその映画のことを考えなくて済むから」と答えると思いますよ。私にとっては、映画であれ、彫刻であれ、何かを描くことであれ、やりたいと思っていることをやっているだけ。そこにはロジックも理由もなく、ただやりたいからという思いだけです。だから、それに関わりたい、やっていたいという欲望に従っているということですね。そのなかで私のなかにあるルールはひとつだけで、それは「妥協しない」ということ。最初に思ったことや自分のベストを尽くすことだと思います。もしラッキーなら完成したときに、それに近いか思っていた以上のものができあがることがありますから。観客がゴッホ自身になれるように意識した―なるほど。また、今回はゴッホの視点から見たカメラワークにもなっているところもありますが、それは監督自身が主人公と重なって物語を作り上げていこうと思ったからですか?監督見ている人がまるで自分に起こっているような感じを受けるようには意識しました。つまり、観客がゴッホを見ているのではなくて、観客がゴッホになるということがアイディアのもとになっているのです。私は『潜水服は蝶の夢を見る』でも同じような手法を取りましたが、カメラが一人称を語るとき、違う機能を持つと考えています。それについて語るのではなく、それそのものになるということです。映画のなかで人は何度でも死を経験することができるように、映画を通じてその人の人生を生きることもできます。たとえば、死んでしまった詩人が描いた言葉が後世の人にも何かを感じさせることはできますが、それは絵画も映画も同じことなのです。―本作では、67歳のデフォーさんが37歳のゴッホを演じていますが、年齢を超越した存在感は見事でした。現場で、デフォーさんの役者としてのすばらしさを感じた瞬間があれば教えてください。監督もちろん、何度もありました。特に、彼とは長年の友人でよく知っていますが、作品のなかでは私の知らない人になっていたと感じるほどで、本当に素晴らしい俳優だと思います。私の妻も、彼の変貌ぶりには本当に驚いていたほどです。『ボヘミアン・ラプソディ』でフレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレックがアカデミー賞の主演男優賞を獲りましたが、私からすれば、デフォーは去年の作品のなかで最高の演技だったと思います。とはいえ、彼らを比べることは、株の売買人とバスケットボールの選手を比べるくらいまったく違うものですけどね。でも、私は今回のデフォーの演技を見て誇りに思いましたし、彼と一緒に仕事ができたことは光栄なことでした。彼の演技というのは、映画が続く限り、ずっと残っていくものだと感じています。―確かに本当に素晴らしい演技だったと思います。それでは、最後に日本の観客にひと言お願いします。監督映画のなかには、ずっと日本に行きたがっていたゴッホが、マダガスカル行きを決めたゴーギャンに「日本がいいんじゃないの?」と言う場面があります。結局はフランスのアルルまでしか行けず、ゴッホは一度も日本には来ることができませんでしたが、日本に来たくて何とかしようとしていたのです。ちょうどいまは日本でも大きな展覧会が開催されていますが、私たちの映画も同じ時期に日本にやってきました。日本のみなさんがこの映画を観に来てくれたらきっとゴッホも喜ぶと思いますし、私たちもうれしいです。天才の見た景色を追体験する!これまでさまざまな形で描かれてきた天才画家ゴッホ。短い生涯のなかで、彼がどんなふうに世界を見て、私たちに何を伝えようとしていたのかを本作では体感することができるはずです。実際の絵を見ることできるいまの時期だからこそ、より深くゴッホの世界に浸ってみては?魂に訴える予告編はこちら!作品情報『永遠の門 ゴッホの見た未来』11月8日(金)新宿ピカデリー他全国順次ロードショー配給:ギャガ、松竹© Walk Home Productions LLC 2018
2019年11月06日名優ウィレム・デフォーが映画『永遠の門 ゴッホの見た未来』で主演を務め、画家フィンセント・ファン・ゴッホを演じている。本作はゴッホの晩年を描いた作品だが、デフォーは「この映画はゴッホの伝記映画ではない」と言い切る。その言葉には彼と製作陣のゴッホへの、芸術家への深い敬意があるようだ。本作でデフォーが演じるフィンセント・ファン・ゴッホは、パリでまったく評価されていない画家で、知り合った画家ゴーギャンにすすめられて南仏のアルルにやってくる。“新しい光を見つけたい”と願うゴッホは自然の中を歩き、美を見つけ出し、それらを描いていくが、彼の作品に目を向ける人は少ない。生活は苦しくなり、トラブルは続くが彼は描くことをやめない。本作の脚本と監督を務めたジュリアン・シュナーベルは画家として圧倒的な成功をおさめた後に映画監督になった人物だ。昔からの友人だったシュナーベル監督とタッグを組んだデフォーは、ゴッホについて書かれた書籍や彼が遺した絵画、書簡を読み込むだけでなく、シュナーベル監督の指導を受けて、実際に自分で絵を描くことを学んだという。「この映画をつくる上で、物事をこれまでとは違った見方で捉えることが大事でした。自分で筆を手にして絵を描くことをジュリアンから教わって、映画の中でも実際に何枚も絵を描きましたから、そうすることでゴッホの書簡に書かれた内容が“なるほど。こういうことを言いたいのだな”とわかったりもしたんですよ」しかし、彼らは最初からゴッホの伝記映画をつくる気も、多くの人がイメージするゴッホ像を再現する気もなかったようだ。「苦労した画家とか、生きている間は認められることがなかったみじな人生だったとか……そういう“お決まりのイメージ”を尊重するつもりはまったくなかったですし、触れてはいけない部分があるとも思いませんでした。私たちはゴッホについてさまざまなことを調べ、考え、思慮深く捉え、実際に筆をもって絵を描き、自然の中に身を置いて、そこで経験したことを作品に反映していきました。私たちはある意味でゴッホの存在を“乗り物”のように扱ったのかもしれませんが、結果的に私たちは彼に敬意を払ったのだと思っています。私たちはゴッホのイメージを限定して決めつけるようなことはしていないし、できるとも思っていません。私たちは彼について考え、想像することしかできないわけですから」確かに本作で描かれるゴッホは単純な苦労人でも、天才でも、狂人でもない。デフォーは自分の目で光を捉え、自然の中に身を置き、実際に絵を描くことで“とてつもない孤独”を経験したという。「意図したわけではなく、僕が経験したのは“とてつもない孤独”でした。晩年のゴッホは多作でした。書簡を読むとよくわかるのですが、彼は絵を描いている時に恍惚感があり、明晰な喜びを感じていたのだと思います。そして彼はそれを周囲と分かち合いたかったわけです。彼はエゴイストではなくて、自分の身を何かに捧げて、そこで得たものや、物事の見方を周囲の人々と分かち合いたいと思った。でも彼はどうやって分かち合っていいのかがわからなかった。それに絵を描ている時に感じる歓喜の時間と、何も起こらない日常との折り合いをうまくつけることができなくて葛藤していたのだと思います」デフォーが語る通り、本作で描かれるゴッホはストイックな求道者や名声を得られずにもがく男ではない。彼は自分の見つけた“美”を周囲と分かち合おうとする男として描かれる。「このような描写になったのは、(監督の)ジュリアン自身が画家でありアーティストだというのが大きいと思います。彼はアーティストとして圧倒的な成功をおさめているのですが、“自分の絵が何枚売れたのか?”を成功の物差しにしている人ではなく、描くことの純粋な喜びを知っている男です。ゴッホについてまわる“苦悩し、周囲の無理解に苦しめられた”というイメージは、人々の“間違った成功の物差し”が原因だと思うのです。そんな固定概念から自由になることができたら、ゴッホの苦しみは別の場所からやってきているのだとわかります」絵が売れるとか売れないとか、評価されるとかされないとかよりも重要なことが本作では描かれている。人生の最後の最後まで自分にしか見つけられない光や美しさを求め、それを周囲と分かち合おうとした男の姿だ。彼を演じるためにデフォーは長い時間をかけて献身的に取り組んだが、本人は「私は演じることで自由になりたいだけなんですよ!」と豪快に笑う。「私たちの多くが悩んでいることや不安は“自分とはこういう人間である”という根拠のない感覚を守ろうとして生まれていることが多いと思うのです。でも、演じることで自分以外の考えやクセの中に身を置き、自分の身についてしまった考えの型やクセのようなものを“荷下ろし”することができます。そうすることで自分に余裕ができて、ハートも大きくなって、他人にも思いやりを持つことができると思うのです。もしかしたら私の言っていることは少し奇妙に思われるかもしれません。なんと言っても僕がいるのは映画の世界。スター俳優だとか莫大な予算だとか、興行収入やらギャラがどうしたとか……そういう世界にいながら、僕はそんなことを考えて俳優をやっているわけですからね(笑)。だから僕はこの世界に裏口からこっそり入って、裏口からこっそり出ていくようにしています(笑)」この言葉がウソでないと直感的に信じられるほど、ウィレム・デフォーは穏やかで、真摯で、周囲に親切で、良い意味で“スター感”のない人物だ。彼の成功の物差しは、名声だけを求めるスター俳優のそれとは違う場所にある。「演技をすること得る体験や、創作する行為を通じて自分自身が変化できるのだと私は思っています。まぁ中には……そうでもない映画もあったりはしますが(笑)、この作品はとても強い体験でした。『永遠の門…』で得ることができた物事の見方の変化を、この先もずっと忘れないで持ち続けたいと思っています」『永遠の門 ゴッホの見た未来』11月8日(金)新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー
2019年11月05日美術史において最も偉大な画家のひとりとされるフィンセント・ファン・ゴッホ。現代でこそ有名なゴッホだが、生前には絵がまったく売れず、自分で左耳を切り落とした“耳切り事件”や、若くして拳銃で自らを撃ち命を絶ったことでも知られる。そんな短くも激動の人生を歩んだゴッホを題材にした映画はこれまでにも数多く作られてきたが、この秋にもゴッホを題材にした映画が立て続けに公開され、東京・上野の森美術館では「ゴッホ展」が開催中。そこで、それぞれ全く別の視点からゴッホに迫り、ゴッホの新たな一面を描くおすすめゴッホ映画4作品をピックアップした。ゴッホを世界に知らしめた女性『ゴッホとヘレーネの森クレラー=ミュラー美術館の至宝』ゴッホの世界最大の個人コレクター、ヘレーネ・クレラー=ミュラー夫人の目を通して、全く新しい視点でゴッホを描いたアート・ドキュメンタリー。1890年に自ら命を絶ったゴッホ。生前は作品が評価される機会も少なく、死後は遺族がほとんどの作品を所有していたため、無名の存在に近かった。そんなゴッホの作品と出会い、個人収集家としては最大規模の300点(うち油彩は85点)を収集したのが、ヘレーネ・クレラー=ミュラー。オランダ有数の資産家であり、4人の子の母でもあった彼女は、1906年ごろから絵画のコレクションを始めた。彼女の興味はゴッホが影響を受けた画家たちにも広がり、一大コレクションは1938年にクレラー=ミュラー美術館として結実。彼の作品を収集し美術館まで設立したある人物を通して、ゴッホの人物象と作品に迫る。10月25日(金)より新宿武蔵野館ほか全国にて公開。ウィレム・デフォーがゴッホを熱演『永遠の門 ゴッホの見た未来』幼いころから精神に病を抱え、まともな人間関係が築けず、常に孤独だったフィンセント・ファン・ゴッホ。才能を認め合ったゴーギャンとの共同生活も、ゴッホの衝撃的な事件で幕を閉じることに。作品が世に理解されずとも筆を握り続けた不器用な生き方を通して、多くの名画を残した天才画家の人生に改めて迫る。『バスキア』『潜水服は蝶の夢を見る』のジュリアン・シュナーベル監督から、「この役は彼しか考えられなかった」と言わしめたウィレム・デフォーは、第75回ヴェネチア国際映画祭最優秀男優賞に輝き、アカデミー賞主演男優賞にもノミネートされた。11月8日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。全編が油絵風の異色アニメーション『ゴッホ最期の手紙』(2017年)ゴッホの謎に包まれた死の真相をたどる異色のアート・サスペンスアニメーション。俳優が演じた実写映像をもとに約6万5,000枚におよぶ油絵がゴッホのタッチで描かれ、全編をアニメーション化。アカデミー賞長編アニメーション賞などにノミネートされた。郵便配達人の息子アルマン(ダグラス・ブース/日本語吹替:山田孝之)は、父からいまは亡きゴッホが弟のテオに宛てた手紙を託される。テオに手紙を届けにパリへと向かうが、すでにテオも亡くなっていた。ゴッホの死に疑問を抱いたアルマンはゴッホの足跡をたどり、その死の真相を求めゴッホと関わりを持っていた人々を尋ねる。ゴッホが最期に見たものとはーー。複製画家が“本物”に会いに行くドキュメンタリー『世界で一番ゴッホを描いた男』(2016年)中国の大芬でゴッホの複製画を20年描き続けている“世界で一番ゴッホを描いた男”を追ったドキュメンタリー。出稼ぎで街にやって来た趙小勇(チャオ・シャオヨン)は独学で油絵を学び、20年間ゴッホの複製画を描き続ける生活を送るうち、いつしか本物のゴッホの絵画を観たいと願うようになる。その夢を叶え、アムステルダムでゴッホの絵画と対面した彼は、強い衝撃を受ける――。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ゴッホ~最期の手紙~ 2017年11月3日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて公開© Loving Vincent Sp. z o.o/ Loving Vincent ltd.永遠の門ゴッホの見た未来 2019年11月8日より新宿ピカデリーほか全国にて順次公開© Walk Home Productions LLC 2018ゴッホとヘレーネの森クレラー・ミュラー美術館の至宝 2019年10月25日より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開©2018- 3D Produzioni and Nexo Digital – All rights reserved
2019年10月23日横浜美術館開館30周年を記念して、オランジュリー美術館所蔵品による『オランジュリー美術館コレクションルノワールとパリに恋した12人の画家たち』 が開幕。2020年1月13日(月・祝)まで開催されている。フランス・パリのセーヌ川岸に建つオランジュリー美術館。その印象派とエコール・ド・パリの作品群は、ヨーロッパ屈指のコレクションのひとつに数えられる。そんなオランジュリー美術館が所蔵する146点の絵画群のうち、ルノワールの傑作《ピアノを弾く少女たち》をはじめ、セザンヌ、マティス、ピカソ、モディリアーニなど、13人の画家による約70点が来日。コレクションに秘められた物語とともに、世界中の人々に愛され続ける名品の数々がお目見えする。19世紀後半、急速に近代化が進んだパリでは、それまでの伝統的なアカデミスム絵画に対抗し、光の一瞬の美しさを素早い筆致で捉えようと試みた印象派が誕生。20世紀に入ると、若い画家たちはさらなる革新性を求め、フォービスムやキュビズムなどの動きが生まれ、さらに、第一次世界大戦後には多くの外国人芸術家が集まり、哀愁を帯びたパリの街並みやそこで生きる人々の姿を個性豊かな表現で描き、エコール・ド・パリと呼ばれた。同展では、そんなフランス近代美術が最も輝いていた時代のパリに生きた13人の画家たちーーシスレー、モネ、ルノワール、セザンヌ、ルソー、マティス、ピカソ、モディリアーニ、ヴァン・ドンゲン、ドラン、ローランサン、ユトリロ、スーティンに焦点を当てる。さらに、これらのコレクションの基礎を築いた画商、ポール・ギヨームについての資料も展示。新しい画家を発掘し、援助し、作品を収集し、美術館で多くの人に享受されることを目指した希代のコレクターの、美術館設立への夢や、画家たちとの友情の物語にも注目する。オランジュリー美術館の所蔵作品のほとんどは常設展示されていて、館外にまとめて貸し出されることは極めて稀だという。日本では21年ぶりとなる珠玉のコレクションを、見逃すわけにはいかない。【開催情報】『オランジュリー美術館コレクションルノワールとパリに恋した12人の画家たち』2020年1月13日(月・祝)まで横浜美術館にて開催【関連リンク】ルノワールとパリに恋した12人の画家たち( )アルフレッド・シスレー《モンビュイソンからルヴシエンヌへの道》1875年クロード・モネ《アルジャントゥイユ》1875年ポール・セザンヌ《りんごとビスケット》1879-80年頃アンリ・ルソー《婚礼》1905年頃アメデオ・モディリアーニ《アントニア》1915年頃キース・ヴァン・ドンゲン《ポール・ギヨームの肖像》1930年頃アンドレ・ドラン《アルルカンとピエロ》1924年頃マリー・ローランサン《マドモアゼル・シャネルの肖像》1923年モーリス・ユトリロ《サン=ピエール教会》1914年
2019年09月26日水墨画家で小説家の砥上裕將さんに、デビュー作『線は、僕を描く』についてお話を聞きました。水墨画の世界へ足を踏み入れた青年。芸術×青春の鮮烈なデビュー作。墨の濃淡だけで鮮やかな森羅万象を描き出す。そんな芸術の魅力と奥深さに引き込まれるのが砥上裕將さんのメフィスト賞受賞作にしてデビュー作『線は、僕を描く』。王道の青春小説であり、極上の芸術小説でもある本作のモチーフは水墨画。実は砥上さん自身が水墨画家だ。「学生時代、大学で水墨画の揮毫(きごう)会があったんです。面白いなと思って質問したら、巻き込まれる形で自分でも始めていた流れですね」巻き込まれたというのが本作の主人公、霜介(そうすけ)と似ているかも?大学生の彼はひょんなことから水墨画の巨匠・篠田湖山(しのだこざん)に気に入られ、内弟子になることに。それに反発した湖山の孫、千瑛(ちあき)は霜介に勝負を申し出て…。水墨画のトリビアがちりばめられるなか、成長していく彼らの姿が活き活きと描かれる。水墨画といっても画風もさまざまであるところが興味深いが、「抽象と具象、どちらを心掛けたらいいのかというのは絵を描く人間が陥りやすい罠。答えはないですよね。ただ、水墨画はもともと禅の修行で、心を治めるために自分の内面を描くものだったんです。発達するにつれ技巧を重視する画風が生まれ、対立構造が生まれた。その対立を物語の中で書こうと思いました」霜介や千瑛以外の登場人物たちも魅力的。特に篠田門下の野性的な西濱と完璧な技術を持つ斉藤という青年は、女性に人気が高いのだそう。「実は彼らの外見については妹が考えたものなんです(笑)。特に斉藤は妙に人気があってびっくりです」そして魅せられるのが、描く過程や完成した絵の描写。「点をひとつ加えるだけで全体のバランスが変わってばっと景色が広がることがある。それは魔法のように見えることがあると思います」読めばきっと、水墨画に興味が湧くはず。それにしても、霜介に勝算はあるのか。巨匠に目をつけられた彼は、他の人と何が違うのだろう?「素直さですね。言われたことを素直に聞き入れて反応できることが大きな才能だというのは、あらゆる技芸に言えると思います」霜介と千瑛のライバル関係とその勝負の行方も気になるところ。最後まで読者を楽しませてくれる。「明るく温かい作品を書いていきたい」と語る砥上さん、今後も要注目です。砥上裕將『線は、僕を描く』交通事故で両親を亡くし孤独感を抱く霜介。ある日、アルバイト先の展覧会会場で水墨画の巨匠・篠田湖山に気に入られ、内弟子にされるが…。講談社1500円とがみ・ひろまさ1984年生まれ。福岡県出身。水墨画家。本作で第59回メフィスト賞を受賞して作家デビュー。ちなみに本作の登場人物で自分に一番近いのは、霜介の友人の古前君なのだとか。※『anan』2019年8月7日号より。写真・土佐麻理子(砥上さん)中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2019年08月12日株式会社アングローバルによるセレクトショップ、ザ ライブラリー(THE LIBRARY)が、多面的な表現方法を持つ画家の小村希史とコラボレーションしたイベント「He絵nka」を5月24日から6月2日まで開催する。イベントでは、ザ ライブラリーのために小村が描き下ろした絵画とTシャツをラインアップ。その他、新しくローンチされるドローイングのアートブックやカセットテープをタブロイドのspecial issueと共に展開。表参道店では5月24日から26日限定で原画の油彩や水彩画も販売する。【プロフィール】小村希史 / Marefumi Komura画家。東京を拠点に活動。これまでの主な展覧会に、2018年「大きな船」/Big Ship」(The Mass)、2017年「銀座/Ginza」(Morioka-shoten)、2016年「Flower Huddle」(The Mass)、2014年「3331Art Fair – Various Collectors’Prizes」(アーツ千代田3331、東京)、2013年「Why not love for Art? ||」 (東京オペラシティ―アートギャラリー)【イベント情報】He絵nka会期:5月24日〜6月2日会場:THE LIBRARY各店舗・オンラインストア※表参道店にて原画の油彩、水彩画を販売(5月24日〜26日の3日間)
2019年05月21日福沢一郎という画家をご存じだろうか?1930年代の日本に初めてシュルレアリスムを紹介し、前衛美術運動のリーダーとして活躍した人物だ。彼は生涯を通じて社会批評をテーマとしたが、その表現方法も独特だった。3月12日から回顧展「福沢一郎展このどうしようもない世界を笑いとばせ」が始まる。謎めいたイメージの中に社会批評が!前衛画家の回顧展。例えば《Poissond’Avril(四月の魚)》という絵画。これはフランスの科学雑誌の図版をコラージュした作品。「何だ、これ?」と思う図案は、科学という尊大な権威を冷やかした彼ならではのカリカチュアだ。ちなみに仏語で「四月の魚」はエイプリルフールのこと。画中の魚モチーフに目を付けた彼は、これを絵のタイトルにしてしまうなど、洒落も利いている。他にも、世論を煽る人物、空虚な動物など、一見滑稽な画風の中には、彼ならではのドライな批判精神が。こんなふうに現代をシニカルに笑いとばした福沢の画業を、約100点の作品で紹介した本展。会場では鑑賞ワークシートが用意される。「なぜここに魚が?」「なぜ科学の実験中にスーツなの?」など様々な「なぜ?」を会場で見つけながら、謎解き気分で鑑賞できる趣向も新鮮だ。1.《埋葬》1957年 東京国立近代美術館蔵ラテンアメリカの埋葬を意味した作品。鮮やかな色面部分と荒々しい筆致が目立つ部分の対比に謎が隠されている。2.《煽動者》1931年 一般財団法人福沢一郎記念美術財団蔵1931年にパリから帰国した福沢が、日本社会にシニカルな視線を向けた作品。3.《Poisson d’Avril(四月馬鹿)》1930年 東京国立近代美術館蔵フランスで刊行された子供向けの本『楽しい科学』に掲載された図版を組み合わせた作品。4.《牛》1936年 東京国立近代美術館蔵画面中央の牛には所々穴があき背景が透けて見え、画面の力強さとは裏腹に空虚さをも感じさせ…。ここにも独特の謎が秘められている。「福沢一郎展このどうしようもない世界を笑いとばせ」東京国立近代美術館1F 企画展ギャラリー東京都千代田区北の丸公園3-13月12日(火)~5月26日(日)10:00~17:00(金・土曜~20:00。入館は閉館の30分前まで)月曜(3/25、4/1、4/29、5/6は開館)、5/7休一般1200円ほかTEL:03・5777・8600(ハローダイヤル)※『anan』2019年3月13日号より。文・山田貴美子(by anan編集部)
2019年03月12日英国の画家デイヴィッド・ホックニー(81)の絵画が米国時間15日、ニューヨークのクリスティーズでオークションにかけられ、9030万ドル(約102億3135万円)で落札された。これは、存命中の画家の作品としては史上最高額だとUSA TODAYが報じている。ホックニーはプールを題材とした絵画を多く手がけている。今回クリスティーズに出品されたのはそのうちの一つで、1972年に描かれた「芸術家の肖像画 – プールと2人の人物 – [Portrait of an Artist (Pool With Two Figures)] 」というタイトルの作品。USA TODAYはクリスティーズの戦後・現代美術部門のチェアマンであるアレックス・ロッターが「人々がホックニーの絵に望む全ての要素が、この作品には存在しています」と9月にコメントし、推定落札価格を8000万ドル(約90億円)としていたことも報じている。
2018年11月16日ウィーウィル(WEWILL)は、2019年春夏コレクションを、2018年10月18日(木)に表参道ヒルズ・スペースオーで発表した。「ある画家の一生」をイメージ今シーズンイメージしたのは、「ある画家の一生」。“自分がもし画家だったら?”という想定のもと、ベーシックな紳士服を丁寧に仕立て、画家の道具を収納するためのディテールをプラスしている。キャンバスを持ち運ぶトートバッグには“The bag contains will”というメッセージを刻印。また、ポケットにデッサン人形を入れたり、首から絵筆を提げたりと、絵とともに人生を歩んでいく人の日常に寄り添うスタイリングが展開された。絵の具のような白のジャケットカラーパレットは、淡く落ち着きのあるホワイトやベージュ、アイボリーにシックなブラック。絵の具のペーストのような厚みを感じさせる白で彩られたワークジャケットは、全体的にゆったりとしたシルエットが印象的。大き目のポケットや、バサリと羽織ることのできるラフな表情が、リラックスしたムードを描き出す。組み合わせた、真っ白な色味のクリーンなシャツやパンツは、清涼感を演出した。丁寧な仕立てと素材の表情素材をできるだけ加工せず、またしっかりとした仕立てで服を作りたい、というデザイナー・福薗英貴の言葉通り、ストレートな表現や、まっさらな素材の表情を感じ取れるピースが散見された。オーバーサイズに仕立てられたテーラードジャケットは、素材由来のシワ感やドレープ感によって、ライトな空気感をまとっている。親しみやすい軽快さを持ちながらも、上品さを失わないのは端正な仕立てがあってこそのものだ。体型を問わずきれいに見える造形袖が余る程のゆるやかなニットや、裾にかけて波打つデニムパンツ、ギャザーを寄せ、たっぷりと生地を使うことで、身体に沿って流れるようなシルエットを描く生成りのロングシャツなど、ゆとりを持たせた造形によって、体型を問わず美しく着ることのできるフォルムを目指した。袖を通すことによって生まれる服の凹凸や曲線は、着る人それぞれのパーソナルな表現になる。ユニークな佇まいのトレンチコート肩幅や襟を大きくとったトレンチコートも、独特の佇まいを見せた。クロップドパンツと合わせ、ボトムスを軽くして上に重心をキープすることで、品のあるマニッシュさを漂わせている。また、燕尾服をベースにしたホワイトのセットアップも登場。ジャケットの襟や、パンツのサイドラインに挿し色としてブラックを用いることで、アクティブなイメージをプラスしている。
2018年10月21日東京・六本木の国立新美術館で『オルセー美術館特別企画ピエール・ボナール展』がはじまりました。19世紀末から20世紀前半のフランスで活躍した画家、ピエール・ボナール。日本美術が大好きで、妻と愛人を愛し、犬や猫も好きだった……という彼の作品の楽しみ方について、担当学芸員さんにお話をうかがってきました!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 128『オルセー美術館特別企画ピエール・ボナール展』では、フランス出身の画家、ピエール・ボナール(1867~1947年)の油彩画を中心に、素描や版画、写真など国内外の作品130点超を紹介。特に、オルセー美術館が所蔵するコレクションが一挙に来日している点が特徴で、そのうちの約30点は初来日となっています。ちなみに、2015年にオルセー美術館で開かれたピエール・ボナール展では51万人が来場し、歴代企画展入場者数の第2位を記録。今展は、本国フランスでも大人気のボナール作品を日本でまとめて見られるまたとない機会です。ボナールって…?とはいえ、ピエール・ボナールってどんな画家なのか、あまりなじみのない人も多いはず。ざっくり人生をたどってみます。1867年にパリ郊外で生まれたボナールは画塾で仲間と出会い、芸術家集団「ナビ派」を結成。そして1889年にフランスの権威ある国立美術学校、エコール・デ・ボザールに入学します。この学校で開かれた『日本の版画(日本の巨匠たち)展』で衝撃を受けた彼は、「日本かぶれのナビ」と呼ばれるほど日本美術に傾倒。日本趣味の絵をはじめ、女性の入浴シーンや飼っていたペットの姿など、愛するものをテーマに多くの作品を描き、1947年に79歳で亡くなりました。担当学芸員さんに聞いてみた!今回、プレス内覧会で担当学芸員の米田尚輝さんに直撃取材を実施。会場で、ananweb世代の女子が楽しめる作品を3つ、選んでいただきました。まずひとつ目は、最初の展示室にある《庭の女性たち》。色彩がとても美しい4点組の装飾パネルです。米田さんこちらは、日本美術の影響を受けた縦長の掛け軸風の作品です。本当は屏風形式にする予定だったものが、途中でボナールの気が変わってこのようなスタイルになりました。装飾モティーフも特徴のひとつです。反復模様をつけることによって、何となく日本画のようなフラットな見え方になっていますよね。また、一番左の女性は、浮世絵に出てくる女性の姿勢を思い起こします。ふたつ目は、ヌード♡続いてのオススメ作品は、入浴シーンを描いた《浴盤にしゃがむ裸婦》。米田さんこれは最終的に奥さんになる恋人のマルトをモデルにした、といわれています。ただ、顔をはっきり描いていないので断定はできません。実は、ボナールには何人か愛人がいて……、いろんな女性の体の部分を組み合わせて描いているのかもしれません。マルトは潔癖症といわれるくらい “きれい好き” な人で、ボナールは彼女のために当時はとても高価だった浴槽も買ってあげたんですよ。この作品を描いたころからボナールは光の表現に興味をもちはじめ、光の反射や水の反射などの表現に魅せられるようになっていきます。裸婦を描いてはいるのですが、光や水の反射も描いているんですね。恋人の友人も愛人に…?――ボナールは恋人マルトの友人とも愛人関係になっていたそうですが……?米田さんそうなんです(苦笑)。そのほかにも愛人がいたみたいなんです。ボナールは58歳で正式に結婚したのですが、実はそのころ、彼がひとりの愛人に傾きかけていました。それで嫉妬して怒ったマルトが結婚を迫り、ふたりは結婚することになったのです。でも、愛人の女性のほうは自殺してしまったんです……。3つ目のオススメ作品は?続いて、3つ目のオススメ作品をご紹介いただきます。米田さんこちらは、展覧会のポスターにも使われている《猫と女性 あるいは 餌をねだる猫》という作品です。ボナールのお気に入りのモティーフであるマルト・猫・テーブルの3点セットがそろっています。構図的には、円いテーブルとマルトの丸い肩の曲線が呼応して、お皿の丸と顔の丸みも呼応しています。いっぽう、背景は全部直線で、暖炉も壁の線も直線で構成されています。また、お皿にはたぶんお魚が置いてあって猫がそれを狙っている視線が斜めに入っています。つまり、背景の「垂直」と前・中景の「丸」、そして「斜め」の視線が組み合わさっている点が構図として工夫されています。最後に、おまけの一枚も…最後に、次点となったオススメ作品《セーヌ川に面して開いた窓、ヴェルノンにて》の前で米田さんの写真を撮らせていただきました。ちなみに、この絵の中にはボナールの飼い犬が潜んでいるのですが……見つけられますか?本作品は、室内画と風景画が一緒になったもので、構図は同時代に活躍していた友人の画家、アンリ・マティスの影響を受けているとのこと。実際、ボナールはマティスの作品《開いた窓》を購入して持っていたそうです。こんなふうに専門の方にお話をうかがうと、絵を見るのがさらに楽しくなりますよね。今展の会期中、10月13日(土)と11月25日(日)には米田さんによるレクチャーが館内の講堂で開かれます。観覧券(半券可)があれば無料で聞けますので、興味のある人はぜひ足を運んでみてくださいね。Information会期:~12月17日(月)時間:10:00~18:00毎週金・土曜日は20:00まで。*入場は閉館の30分前まで。休館:火曜日会場:国立新美術館企画展示室 1E料金:一般¥1,600/大学生¥1,200/高校生¥800/中学生以下無料
2018年10月02日