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広汎性発達障害(PDD)の主な症状出典 : 広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders:略称PDD)は、コミュニケーションと社会性に障害があり、限定的・反復的および常同的な行動があることを特徴として分類される発達障害のグループ です。世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)の診断カテゴリで、このグループには自閉症、アスペルガー症候群のほか、レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害という障害が含まれています。広汎性発達障害の症状として主に下記の3つが挙げられます。1.社会性・対人関係の障害人に関心を示さない孤立型、言われたことに何でも従う受動型、一方的に話し続ける積極・奇異型、横柄な態度を取る尊大型の主に4タイプに分かれます。孤立型の特徴としてよく言われるのが、視線を合わせない(避ける)などの症状です。2.コミュニケーションや言葉の発達の遅れ他人とのコミュニケーションや会話が苦手で、抽象的な言葉の意味や曖昧な表現、文脈を理解できていないなどの症状があります。言葉の発達が遅れる症状も見られるため、3歳になっても会話ができないということで障害を疑う親も多くいます。3.行動と興味の偏りある特定の物事に強い興味やこだわりをみせることがあります。環境の変化や予定の変更を嫌がったり、普段はできていることも初めての場所だとできないなどの症状があります。その結果パニックを起こしてしまう場合もあります。こだわりが強く偏食になったり、同じ行動を長時間続けるなども見られます。また、機械音やサイレンなど特定の音に苦痛を示したり、抱っこを嫌がったりするなど、聴覚や視覚などの感覚過敏が広汎性発達障害のある人の多くに見られると言われています。広汎性発達障害はいつ分かる?診断の年齢は?出典 : 広汎性発達障害は、なんらかの先天的な遺伝要因と様々な環境要因に起因する何らかの障害が脳が発達する時期に起こり、それが成長段階で「広汎性発達障害」として発見されるとされています。要は先天的な素因によって起こる発達障害の一つとして医学的には捉えられています。広汎性発達障害は親のしつけや育て方の問題で起こっているわけではないことがわかっています。広汎性発達障害は、だいたい3歳までの幼児期に何らかの症状が現れると言われています。広汎性発達障害の子どもをもつ親が、言語能力の遅れやこだわりなどの何らかの症状に気づく時期についても3歳未満が多いとされています。また、1歳半健診や3歳児健診などの乳幼児健康診断で広汎性発達障害を含む発達障害に関する何かしらの指摘があり、その後医師の診断により判明することもあります。中には子どもの頃に気づかず、大人になってから広汎性発達障害と診断された方もいます。思春期以降には、不安障害やうつ病などの気分障害・睡眠障害などのいわゆる二次障害と呼ばれる症状や状態となり、その検査を通して広汎性発達障害に気づく人もいます。まだまだ認知度が低い発達障害ですが、本人に何らかの困りごとや症状があることに気づいた段階で早めに専門機関などで相談し、医療機関を受診するなどして、療育などの必要な支援を受けることが大切と言われています。広汎性発達障害の診断基準は?出典 : 一般的に専門機関での診断はアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)や、世界保健機関(WHO)の『ICD-10』による診断基準によって行われます。アメリカ精神医学会の診断基準である『DSM-5』では広汎性発達障害の診断カテゴリ下にあったレット障害を除くすべての障害名が、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害という診断カテゴリに統合されました。そのため今後「広汎性発達障害」という診断名は少なくなっていくと考えられますが、本記事では行政や医療機関で広汎性発達障害の名称を使用している場合も多いこと、すでにこの名称で診断を受けた人も多いことから、『ICD-10』の診断カテゴリに準拠して広汎性発達障害の名称でご説明しています。以下は『ICD-10』における広汎性発達障害の診断基準になります。以下の基準の中で当てはまる項目が多い場合や気になる場合は、専門機関で相談することをおすすめします。F84.2レット症候群Rett’s SyndromeA.胎生期・周産期は明らかに正常,および生後5カ月までの精神運動発達も明らかに正常,および生下時の頭囲も正常であった.B.生後5カ月から4歳までの間に頭囲の成長は減速し、また5~30カ月の間に目的をもった手先の運動をいったんは獲得していたのに喪失すると同時に,コミュニケーション機能不全,社会的相互関係の障害を伴い,また歩行および/または体幹の協調運動障害/不安定さがあらわれる.C.表出性および受容性言語の重度の障害があり,重度の精神運動遅滞を伴うこと.D.目的をもった手先の運動を喪失時またはそれ以後にあらわれる。正中線上での常同的な手の運動(もみ手や手洗いのようなもの)があること.F84.3他の小児期崩壊性障害Other childhood disintegrative disorderA.少なくとも2歳までの発達は明らかに正常であった.2歳時あるいはそれ以後に,コミュニケーション・社会的関係・遊び・適応行動について,年齢相応の正常な能力が存在していたことが診断に必要である。B.発症と考えられる時点において,それまでに獲得していた技能を明確に喪失していること.診断には臨床的に重要な技能について,次に挙げる領域のうち2項目以上の喪失(できなくなる場合があるだけではなく)が必要である.(1)表出性または受容性言語(2)遊び(3)社会的技能または適応行動(4)排尿または排便のコントロール(5)運動技能C.社会的機能の質的な異常が,次に挙げる領域のうち2項目以上に存在すること.(1)相互的な社会関係における質的異常(自閉症で定義した型)(2)コミュニケーションにおける質的異常(自閉症で定義した型)(3)常同運動や奇妙な運動を含む,行動や関心および活動性の,限定的・反復的・常同的なパターン(4)物や周囲に対する関心の全般的喪失D.障害は,広汎性発達障害の他の亜型,てんかんに伴う後天性失語(F80.3).選択制緘黙(F94.0),レット症候群(F84.2),統合失調症(F20.-)などによるものではない。F84.4精神遅滞[知的障害]および常同運動に関連した過動性障害Overactive disorder associated with mental retardation and stereotyped movementsA.重篤な過動が,活動性と中言い関する次の問題のうち2項目以上に明らかであること.(1)走ったり,跳んだり,全身を使った運動に示される,持続する落ち着きのなさ.(2)じっと座っていられない,常同的な活度に没頭しているときを除いて,ふつうは長くて数秒しか座っていられない(基準Bを参照).(3)静かにしていなければならない状況での強度の過動(4)めまぐるしく活動を変え,通常行動は1分未満しか続かない(時々,お気に入りの活動により長い時間を費やしても,除外しない.また,常同的な活動にひどく長い時間を費やすことがあっても,その他のときにこの問題が存在すればよい).B.行動や活動の常同的・反復的なパターンが,次のうち1項目以上に明らかであること.(1)固定して頻繁に繰り返される奇妙な運動,全身を使った複雑な運動ないし,手をひらひらとさせるような部分的な運動のいずれかがある.(2)過剰で意味のない活動の一定の形の繰り返し,単一の物体(たとえば流れる水)との遊びや,儀式的な行為(1人でしたり他人を巻き込んだり)など(3)反復する自傷行為C.IQは50以下.D.自閉的なタイプの社会機能障害はない.すなわち,次のうち3項目以上を示すこと.(1)社会的相互関係を調整するうえで,視線・表情・姿勢を発達的に適切に使用すること.(2)発達的に適切な,同世代の小児と関心や活動などを共有できる関係があること.(3)少なくとも時々は他人に慰めや情愛を求めていくこと.(4)他人の楽しみを時々は分けあうことができる.社会機能障害の他のタイプ,たとえば見知らぬ人に平気で近づくことなどは,あってもよい.E.自閉症(F84.0とF84.1),小児期崩壊性障害(F84.3)または多動性障害(F90.-)の診断基準を満たさない.F84.8他の広汎性発達障害Other pervasive developmental disordersF84.9 広汎性発達障害,特定不能のものPervasive developmetal disorder, unspecifiedこれは残遺診断カテゴリーで,広汎性発達障害の全般的記載には合致するが,十分な情報を欠く,あるいは矛盾する所見があるために,F84の他のコードのいずれの診断基準も満たさないような場合に用いるべきである。(中根允文ほか/訳『ICD-10精神および行動の障害DCR研究用診断基準』2009年,医学書院/刊p158より引用)自閉症・アスペルガー症候群の診断基準に関しては下記の記事をご参照ください。専門機関での診断は受けるべき?どこへ行けばいいの?出典 : 上記で述べた症状や特徴などが見受けられる場合、専門家に判断してもらうことをおすすめしますが、いきなり専門医に行くことは難しいので、まずは無料で相談できる身近な専門機関の相談窓口を利用するのがおすすめです。また、1歳半や3歳児健診などの乳幼児健康診断がある場合は、医師や専門家もいるのでその際に相談してみるのもよいでしょう。子どもか大人かによって、行くべき専門機関が違うので、以下を参考にしてみてください。【子どもの場合】・保健センター・子育て支援センター・児童発達支援事業所・発達障害者支援センターなど【大人の場合】・発達障害者支援センター・障害者就業・生活支援センター・相談支援事業所など児童相談所などでは無料で知能検査や発達検査を受けられることも多いので、児童相談所で相談するパパ・ママも多くいます。まず身近な相談センターに行って、診断をすすめられたら、そこから専門医を紹介してもらいましょう。自宅の近くに相談センターがない場合には、電話での相談にのってくれることもあります。診断は、子どもの場合、小児科・児童精神科・小児神経科や発達外来などで受けることができます。(大学病院や総合病院などにあります)大人になって検査・診断を初めて受ける場合には、精神科や心療内科、大人もみてくれる児童精神科・小児神経科や精神科など専門の医療機関を受診することが一般的ですが、大人の発達障害を診断できる病院はまだ数が多くありません。上記の相談機関で紹介してもらえるほか、医師会や障害者支援センター、発達障害者支援センターなどでも調べることができます。発達障害の専門機関は他の病気に比べると少ないですが、発達障害者支援法などの施行によって年々増加はしています。以下のリンクは発達障害の診療を行える医師の一覧です。この他にも、児童精神科医師や診断のできる小児科医師もいます。担当者との相性も大切なので、納得のいく医療機関を選ぶようにしましょう。日本小児神経学会 「発達障害診療医師名簿」診断の流れ、必要な持ち物は?出典 : 本人や保護者に対する問診(面接)や行動観察、家族・学校の先生による提供情報の精査などと、専門機関によっては知能検査や発達検査などを実施する場合もあり、筆記や口頭質問などの検査が行なわれ、様々な情報を総合的に評価して診断されます。検査は複数回に分けて行なわれたり、慎重に経過を見ながら行われるため、一度の受診で診断されることはあまりありません。知能検査は、田中ビネー知能検査Ⅴ(ファイブ)やウェクスラー式知能検査(3歳10ヶ月〜7歳1ヶ月の幼児の場合は「WPPSI」、5歳から16歳11ヶ月の子どもは「WISC」、16歳以上の成人の場合は「WAIS」)などの検査を受けることによって検査結果がでます。特性の現れ方や発達段階などを評価するため「CARS」や「新版K式発達検査2001」、「PEP-R」などを行う場合もあります。初診時に必要な物として保険証、子どもであれば母子手帳などがあります。服用中の薬などがあれば、お薬手帳なども持っていくとよいでしょう。また、生育や発達歴についての問診がありますので、言葉を話し始めた時期や日常生活での困りごとなどをメモして持っていくと質問に答えやすいかもしれません。発達外来などの専門機関によっては保育園や幼稚園の連絡帳、小学校の通信簿やホームビデオなどを参考にする場合もあります。事前に問診票をプリントアウトして持参する機関もありますので、専門機関の公式ホームページをチェックしたり、予約時に電話にて必要な持ち物を問い合わせてみてください。まとめ出典 : 広汎性発達障害の子どもをもつ親の中には子育ての仕方が悪いと自信をなくす方もいらっしゃいます。ですが広汎性発達障害は子育ての仕方が原因ではないことが医学的にわかっています。自信をなくすなど親がストレスを抱えていると、子どもにも気持ちが伝わってしまいます。専門機関に相談したりすることで、同じ悩みを持つ親と知り合える機会も増え、親にとっても子どもにとっても心の面でケアできる可能性があります。まずは相談や診断を受け、少しずつでも広汎性発達障害について理解し、じっくり子どもと向き合っていくことが大切です。広汎性発達障害と診断された場合、年齢に応じた療育相談や、理学療法士・作業療法士などによる個別訓練、てんかんなどに対する薬物療法などが行なわれます(専門機関によって異なる)。一般的に早期療育がよいと言われています。早めに広汎性発達障害と知ることで子どもにあった療育方法を見つけ、生活に必要なスキルを練習することで、子どもと家族にとって生きやすい環境をつくっていきましょう。
2016年08月02日医学的に広汎性発達障害(PDD)の発現時期は分かっているの?出典 : 広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders:略称PDD)は、コミュニケーションと社会性に障害があり、限定的・反復的および常同的な行動があることを特徴として分類される発達障害のグループ です。世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)の診断カテゴリでは、このグループには自閉症、アスペルガー症候群のほか、レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害という5つの障害が含まれています。広汎性発達障害は、なんらかの先天的な遺伝要因と様々な環境要因に起因する何らかの障害が脳が発達する時期に起こり、それが成長段階で「広汎性発達障害」として発見されるとされています。要は先天的な素因によって起こる発達障害の一つとして医学的には捉えられています。広汎性発達障害は親のしつけや育て方の問題で広汎性発達障害が起こっているわけではないことがわかっています。広汎性発達障害は、だいたい3歳までの幼児期に何らかの症状が現れると言われています。広汎性発達障害の子どもをもつ親が、言語能力の遅れやこだわりなどの症状から何らかの疑いをもつ時期についても3歳未満が多いとされています。また、1歳半検診や3歳児検診などの乳幼児健康診断で広汎性発達障害を含む発達障害に関する何かしらの指摘があり、その後医師の診断により判明することもあります。中には子どもの頃に気づかず、大人になってから広汎性発達障害と診断された方もいます。不安障害やうつ病などの気分障害・睡眠障害などのいわゆる二次障害と呼ばれる症状や状態となり、その検査を通して広汎性発達障害に気づく人もいます。姫路心療内科 前田クリニック 「発達障害とうつの関係」埼玉県総合教育センター 「自閉症の理解と支援自閉症とは」広汎性発達障害の原因は?出典 : 現段階では正確な原因は解明されていませんが、脳機能の障害により症状が引き起こされるといわれています。その脳機能障害は、先天的な遺伝要因と、様々な環境要因が複雑かつ相互に影響し合って発現するというのが現在主流となっている説です。なお、広汎性発達障害という診断名は、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)の診断基準では自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害という診断カテゴリに変更されています。以下の各症状の中には、自閉症スペクトラム障害の概念から除外されたものも含まれています。しかし、行政や医療機関で広汎性発達障害の名称を使用している場合も多いこと、すでにこの名称で診断を受けた人も多いことから、本記事では『ICD-10』の診断カテゴリに準拠して広汎性発達障害の名称でご説明します。以下の図で広汎性発達障害に含まれている各症状の原因について、それぞれご紹介します。Upload By 発達障害のキホン自閉症は脳の機能障害が原因と考えられていて、これには複数の遺伝子が関わっており、最近では父親の高齢化で自閉症の確率が高まるという研究報告や、妊娠時の体内環境の要因などが関連すると言われることもあります。しかしながら、これらは全てはっきりしたメカニズムが分かっておらず、医学的根拠については解明されていません。アスペルガー症候群も自閉症と同様に脳の機能障害である可能性が高いとされていますが、その全てが解明されている訳ではありません。小脳や脳内物質の異常、環境ホルモンやウィルス感染、成長環境での心理的要因など国内外で様々な研究が進められており、アスペルガー症候群の原因について医学的な裏づけを研究している段階です。レット障害(レット症候群)はほとんどが女児に見られる発達障害です。レット障害についてはX染色体上に存在する遺伝子の突然変異が原因だということが発見されました。1999年にMECP2という遺伝子が主な原因遺伝子であることが発見され、その後2004年にCDKL5、2008年にFOXG1という原因遺伝子も発見されています。女性の性染色体はXX型、男性はXY型であるため、レット障害は女児に多いと考えられています。また、男児の場合、遺伝子の異常で流産や死産してしまう可能性が高いですが、男児のレット障害も少数ながら報告されています。レット症候群|難病情報センター小児期崩壊性障害(CDD)はヘラー症候群とも呼ばれますが、その原因は現段階では解明されていません。今まで話していた子どもが言葉を話さなくなるなど精神発達の退行が症状として現れますが、脳や神経系の感染症などを発現後に小児期崩壊性障害となるケースも多く、脂質代謝異常や結節性硬化症など、さまざまな疾患と関連があると考えられています。特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)は特定不能とあるように、特定の原因は不明とされています。一部では遺伝要因と環境要因による相互作用ではないかと考えられています。自閉症やアスペルガー症候群の診断基準には当てはまらないが、その特徴を一部持っているという場合に診断されることが多いです。広汎性発達障害は親から子どもへ遺伝するの?出典 : 広汎性発達障害は先天的な遺伝的要因が関与している可能性が高いと言われています。双生児研究や家族間研究が盛んに行われてきました。以下のようなデータがあります。広汎性発達障害の一卵性双生児における一致率は70~90%であり、その遺伝率は90%とされている。よって広汎性発達障害は遺伝因子がその発症に大きな役割を果たしていると考えられている。(橋本亮太、安田由華、大井一高、福本素由己、高村明孝、山森英長、武田雅俊「モデル動物を用いた発達障害病態解析」 2009年より引用)一卵性双生児の場合、基本的な遺伝子情報は同じです。その一卵性双生児間で一人が広汎性発達障害である場合、もう一人も広汎性発達障害であるという確率が90%と高いことは、遺伝的要因が影響していると言われている根拠の一つとなっています。一方で、一致率が100%でないということは、遺伝以外の要因があることも示唆しているのです。つまり、広汎性発達障害は遺伝的要因が関係している可能性がありますが、必ずしも単純に親から子どもへ遺伝するというわけではありません。また。遺伝する確率や詳しい原因については研究段階で、発現するメカニズムなどは解明されていないのが現状です。障害のある親から障害のない子どもが産まれる場合もありますし、親族の広汎性発達障害のない場合でも障害のない親から障害のある子どもが産まれる場合もあります。きょうだい間でも上の子が広汎性発達障害だったからといって、下の子も必ず広汎性発達障害になるとは限りません。広汎性発達障害を検査する方法はあるの?出典 : 羊水検査やエコー写真などによって、出生前の妊娠中の段階で広汎性発達障害を検査する方法は今のところありません。原因遺伝子が確定されているレット障害(レット症候群)に関しては、出生後に遺伝子検査ができる場合もあります。しかし、その他の広汎性発達障害については、出生後も血液検査や遺伝子検査といった生理学的な方法で検査することはできません。一般的に子どもになんらかの症状や特性が現れてから、様々な心理検査や知能検査、保護者(親)に対する問診、子ども(本人)の行動観察、学校や家族からの情報提供などによって診断が行われます。診断基準は主にDSM-5やICD-10などが用いられます。診断はさまざまな情報や検査の結果から総合的に行われ、経過を見ながら慎重に行われます。レット症候群の遺伝子異常について|NPO法人レット症候群支援機構HP広汎性発達障害の治療法はあるの?出典 : 根本的な原因が解明されていないため、薬や手術などによる根本的な治療法は存在しません。一般的には環境調整や療育(りょういく)と呼ばれるトレーニングを行い、家庭での対応や専門機関による療育などによって子どもが自立して生活できるよう支援していきます。また、パニック症状やてんかん発作、感覚過敏など一部の症状に対して薬物療法が行なわれる場合もあります。療育は何歳からでも始めることができます。コミュニケーションの取り方がわかったり、療育の遊びを通して友達ができたりする子もいます。ストレスを抱えがちな親にとっても療育の場は相談できる場所であり、同じ悩みをもつ親同士の交流の場所ともなっています。療育の効果は個人差があり、子どもに合った療育が必要となりますが、子どもにとっても親にとっても療育は心の面でもサポートにもなると言えるでしょう。まとめ出典 : 広汎性発達障害の原因は遺伝的要因が有力とされていますが、必ずしも単純に遺伝するという訳ではなく、詳しい原因やメカニズムはいまだ解明されていません。一方で親の子育て方法が原因と言う心因論も誤りです。遺伝かどうか、原因は何かを探るだけではその子の生きやすさにはつながりません。その子が生きやすい環境を作ることがもっとも大切なことです。また、最近では3歳未満で診断されることも多いですが、見た目にも分かりづらいことから大人になるまで広汎性発達障害と気づかなかった方もいます。広汎性発達障害と気づき、療育などの適切なサポートを受けることは本人にとっても親にとっても大切なことです。少しでも気になることがあるようでしたら、専門機関での相談を受けてみてください。
2016年08月01日●連載の目次は こちら から●発達障害についての基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。それは私が実体験を通じて感じていることだ。けれども、知識があったとしても、やっぱり発達障害の子を育てるのは大変! 最終回の今回は、私のそんな心境を綴ってみます。■「発達障害」の子育ては疲れます発達障害についての特集記事を、さもわかったように書いている私。けれども、私自身、いまだに「発達障害の子を育てること」と完全に折り合いがつけられているわけではない。発達障害の子を育てるのは、普通の子育てより疲れる。それは、紛れもない事実だ。少し息子の調子が良いと、その事実を忘れてしまう。そして、普通の子のようなつもりで接していると、ある日ドカンと現実を突き付けられ奈落の底に突き落とされる。そんなことの繰り返しだ。 ■専門家と繋がろう子どもに親が「キレる」ことが多くなったら、そろそろ限界値。赤信号が点滅していると思い、早めに周囲にSOSを出すよう心がけている。私が頼りにしている方々は、今のところこんな感じだ。・家族・保育園の園長をしている友人(専門知識のある一般人)・司馬先生(専門知識のある医師)・小学校の担任の先生・小学校の特別支援学級(通級)の先生(専門知識のある教員)最初に相談する相手は、発達障害についての知識がある人のほうが良いと思う。たとえば、ママ友に愚痴を言ってガス抜きをするのは大切なことだが(私も、よくやっている)、それはあくまで、「ガス抜き」でしかない。「うちの子、発達障害かも!?」と気になっているのであれば、 しかるべき相談窓口 に、一度行ってみたほうが回り道をすることなく、適切な対応策に辿り着けるのではないかと思う。 ■1人で抱え込まないで!「周囲に助けを求められるかどうか?」は、発達障害の子育ての肝だと思う。繰り返すようだが、「発達障害」の子育ては疲れる。「キレイごと」では、どうにもならない現実の毎日がそこにはある。「もうイヤだ!」と思うことがあるのは、当たり前だ。そんなときは「良いママでなければ!」と一人で抱え込まず、周囲に助けを求めよう。私は、夫や長男に「ママを閉店します」と言い置いてプチ家出をしたり、小学校に行って、「最近、大変です」と状況を正直に話して、担任や通級の先生に支援を仰いだりしている。月1回の司馬先生の診察は、自分を客観視できる良い機会になっている。先日、保育園の園長をしている友人にSOSを出したところ、物言いのストレートな彼女からは、「(虐待だと)通報されない程度に、頑張れ!(笑)」と言われた。「すごい励まされ方だなぁ」と笑ってしまったが、しんどいときは、うんとハードルを下げて自分の生活を眺めてみることも効果がある。「頑張りすぎないようにしよう」。そう日々、自分に言い聞かせている。頑張りすぎて、母の心が不安定になるようでは、本末転倒。お母さんの一番大切な役割は、毎日、機嫌よく過ごすこと。そして、わが子をいつくしむことだと思うから。
2016年07月17日●連載の目次は こちら から●発達障害についての基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。それは私が実体験を通じて感じていることだ。今回は、私が質問されて答えに困った「発達障害の診断」について、軽度の発達障害クリニックの院長である、司馬理英子先生にお話を伺った。■診断はレッテルを貼るのではなく、対処法を知るため私は息子を支援学級に通わせていたので、ママ友から子育ての相談を受けることがある。そのときに、よく聞かれることは、「発達障害の診断を受ける必要ってあるの?」ということだ。発達障害は病気ではなく、「脳の発達のかたより」。そうだとすれば、「診断は本当に必要なのか?」と思ったり、「わが子に、発達障害のレッテルなんて貼りたくない」と思ったりするのは当然のことだと思う。「診断は子どもにレッテルを貼るためのものではなく、それによってどんなことで困っているのかを教えてくれるものです」(司馬先生)診断は、いわば大きな方向つけ。「これから何をするのか?」「どんな対処方法があるのか?」を考え始めるスタート地点の指標のようなものだ。もちろん、わが子を育てる作戦(司馬先生は、よく“作戦”という言葉を使われる)を立てるのに、診断を受けるだけでは充分ではない。 ただ、ADHDといってもどんなタイプなのか、その子の能力のどんなところにどう影響しているのか、それらがわかればわかるほど作戦(対策)は立てやすくなる。また診断することによって、子どもが専門家から的確なアドバイスを受けられるほか、親が本や勉強会などから、ピンポイントで情報を得ることもできるようにもなる。■診断を受けるための一般的な経路「発達障害かどうかが気になるのだけれど、誰にどんなふうに相談すればよいかわからない」これも、よく相談される内容だ。一般的には、まずは学校の担任の先生に相談するのが良いだろう。学校には、週に1~2回ほど来て、子どもや保護者の相談に乗ってくれるスクールカウンセラーという職種の人もいる。また、自治体の教育相談所や教育センターなどで、相談業務を行なっていることもある。最近では、発達障害の診断や治療の経験がある小児科の先生も増えているので、かかりつけの医院の先生に相談してみてもよいだろう。■大切なのは、早く気づいて二次障害を防ぐこと私が相談を受けたときに必ず言っていることは、「発達障害の子を育てるのは、すごく大変だし、一緒に生活するのはしんどいよね。でも、発達障害の子を育てる上で、一番大切なのは、二次障害を防ぐことだと私は思っている。診断を受けることで、子どもの特徴に早く気づければ、必要とする支援がわかり、より二次障害を防ぎやすくなると思うよ」ということ。二次障害とは、発達障害に対する対応が十分に行われないために、二次的に起こる問題のことだ。たとえば、学校に行くのをイヤがったり、学校に行けなくなったり、うつ状態になって元気がなくなったり、親にひどく反抗したりというのが二次障害だ。発達障害の子は何かにつけて叱られることが多く、「ぼく(私)はダメなんだ…」というように自尊心が低下しがち。いったん二次障害が起きると、もともとの発達障害そのものへの対応以上に、扱いが難しいこともよくあると言われている。次回は、最終回。「発達障害の子育ては疲れます」です。
2016年07月17日●連載の目次は こちら から●ひとことで「発達障害」と言っても、その状態はさまざま。基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。今回はさまざまな発達障害について、軽度の発達障害クリニックの院長である、司馬理英子先生にお話を伺った。「 発達障害って、何? 」で、発達障害には、おもに以下の3つがあるとお伝えした。今回はその内容を、もう少し詳しく見ていこう 1.不注意・多動性・衝動性が目立つ 「ADHD(注意欠如・多動性障害)」2.人との関わりが難しい「アスペルガー症候群」など「自閉症スペクトラム障害」3.特定の領域の学習がうまくいかない「LD(学習障害)」「発達障害のわが子」と向き合う本(司馬理英子/大和出版) ■ADHD(注意欠如・多動性障害)とは?不注意・多動性・衝動性を特徴とする。たとえば、忘れっぽくて集中力が乏しく、宿題などをしているときに気が散りやすい。落ち着きがなく、いつもそわそわしていて、順番を待てずなんでも我先にとやりたい。こんなふうに、年齢に応じた「注意力や行動・衝動などのコントロール」がうまくできない。そのため、毎日の生活習慣や学校での活動を行うのに苦労をする。■「アスペルガー症候群」など「自閉症スペクトラム障害」とは?「アスペルガー症候群」を含む「自閉症スペクトラム障害」の特徴はおもに「人との関わりの困難さ」にある。言葉やしぐさなどコミュニケーションをする力にかたよりがあり、興味を持つ範囲が狭く、興味のない活動には取り組めない。こうしたこだわりの強さがあるため、毎日の生活がスムーズに進まないこともある。「広汎性発達障害」や「自閉症」も「自閉症スペクトラム障害」に含まれ、なかでも言葉の遅れが見られないものは「アスペルガー症候群」と呼ばれている。 ■LD(学習障害)とは?LDでは特定の学習能力の困難さが見られる。全体的な知的発達に遅れがないのに、特定の学習能力での遅れが、小学校の低学年では1年程度、高学年では2年程度見られる場合に診断される。文章を読むことが困難な状態を「読字(どくじ)障害」、鏡文字が多く見られ、漢字や作文などを書くことに関する遅れを「書字(しょじ)障害」、計算または文章問題など算数の学力がほかの科目に比べて低い場合「算数障害」と言いわれる発達障害は決してまれなものではなく、多くの子どもにみられる。ADHDは5%、アスペルガー症候群などの自閉症スペクトラム障害の子どもは1~2%、LD(学習障害)は10%程度いると言われている。わが子に、こういった傾向を感じるとしたら、まずは本などから子どもへの対応の仕方を学んでみるのも一手だ。たとえば、『「発達障害のわが子」と向き合う本』(司馬理英子/大和出版)は、「ADHDの子どもの特徴」「ADHDの子育てのヒント」「アスペルガー症候群の子どもの特徴」「アスペルガー症候群の子どもの子育てのヒント」と、こどもの傾向別に説明と対処法の項目が分かれており、とても読みやすい。本などから得た情報で、少しでも子育てが楽になったら、ハッピーなことだと思う。また、本を読むことが、子どもへの支援を次の段階に深めるキッカケになるかもしれない。<次回は、「発達障害の診断を受けることは必要?」です。>
2016年07月17日●連載の目次は こちら から●正しい自己認識を持つこと。つまり、発達障害についての基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。それは私が実体験を通じて感じていることだ。そこで、「発達障害って、何?」という基本的な疑問について、軽度の発達障害クリニックの院長である、司馬理英子先生にお話を伺った。■発達障害は「しつけ」や「育て方」が悪いわけではないほかの子に比べ、手のかかるわが子。「やっぱり、私の育て方が悪いのかしら?」と思ってしまうママもいるだろう。「夫に『子どもを甘やかすからだ』と言われる」「忙しくて充分にかまってあげられないからかな?」など、子育てがうまくいかないと、ママは自分を責めがちだ。けれども、「発達障害は、しつけの問題ではありません。多くの場合、生まれつきのものです」と、司馬先生は言う。生まれつきといっても、もちろん、生まれてすぐわかるわけではない。たとえばADHDなら幼稚園や保育園くらいまでは「活発で元気な子」という印象で、小学校に入り、生活の中心が勉強になってくると特徴が目立つ。また、アスペルガー症候群の場合は、赤ちゃんの頃から手がかかる子もいるが、「ちょっと違和感があるな」くらいの子も多い。だからこそ、難しいのだと思う。なぜなら、早い段階から障害に気づければ、親の側も「そういうものだ」と思い、ある意味、納得して育てられる。けれども、「ちょっと変わっているかな?」くらいだと、子どもの問題なのか、親側(しつけ)の問題なのか? というあたりで、ママがひとりで問題を抱え込み、グルグルと悩んでいることも多いからだ。■発達障害は病気ではない 前回 でも話したとおり、「発達障害とは、脳の発達のかたより」だ。発達障害の子どもは、すべての能力に問題があるわけではなく、“特定のある部分の発達だけ”がほかの子どもに比べて遅れている。「発達障害は、病気というわけではありません。脳の発達にかたよりがあったとしても一生がそれで決まってしまうというものでもありません」(司馬先生) ■わが子の特徴に気づいて、必要なサポートをする一般的な発達をとげている子ども(定型発達の子ども)に比べて、ある能力の発達のかたよりが目立っていて、そのために子どもが「生きづらさ」を抱えている場合、学校や家庭での状況、発育歴などのさまざまな情報を元に、発達障害かどうか?を見てみよう。たとえば、「忘れ物」。ADHDの子によく見られる忘れ物は、どの子も多少あるものだが、毎日いくつも忘れものをしていれば、そのために困ることがたくさん出てくる。個性といって片付けてしまうには困難さが際立っている場合、発達障害の診断がつけられる。「発達のかたよりに気づき、早く対処することによって、日常において困ることをずいぶんと減らすことができます」(司馬先生)発達のかたよりは、裏を返せば長所となる場合も少なくない。かたよりに早く気がつけば、子どものいい部分を生かしたり、得意な分野をしっかり伸ばしたりすることに、親子でエネルギーを使うことができる。「だからこそ、早めにわが子の特徴に気づいて、必要としているサポートをしていくことが大切なのです」(司馬先生)次回は、「発達障害のさまざまな種類」を少し詳しくみていこう。
2016年07月16日●連載の目次は こちら から●正しい自己認識を持つこと。つまり、発達障害についての基本的な知識を持っておくことで、当事者(母や子ども)は、随分と楽になる。それは私が実体験を通じて感じていることだ。そこで「発達障害って、何?」という基本的な疑問について、軽度の発達障害専門クリニックの院長である、司馬理英子先生にお話を伺った。■発達障害は、いわば「発達のかたより」育てにくいわが子。私の気にし過ぎかもしれないけれど、ちょっと心配。ママ友に相談すると「うちもそうよ。大丈夫」なんて言われて、「そうかな?」と安堵する。けれども、また別の日には、「これって、やっぱり普通じゃないよな」と思う。「でも、これはこの子の個性で、私の我慢が足りないのかもしれない」。そんな無限のループを、頭の血管が擦り切れるほど何年もグルグルと考え続けていた私。そうした状況にあった私に、司馬先生の発達障害の説明は、非常に腑に落ちるものだった。まず、発達障害の定義だが、「発達障害とは、いわば“発達のかたより”です。最近の考え方としては、全体的な知能の発達には問題がなく、以下のような特徴がある子どもを発達障害としています」(司馬先生)1.不注意・多動性・衝動性が目立つ 「ADHD(注意欠如・多動性障害)」2.人との関わりが難しい「アスペルガー症候群」など「自閉症スペクトラム障害」3.特定の領域の学習がうまくいかない「LD(学習障害)」「発達障害のわが子」と向き合う本(司馬理英子/大和出版) 発達「障害」と書くと、「障害」という言葉から重々しい感じがするが、症状の度合いは重いものから、「診断名をつけるほどではないけれど、特徴が見られる」という軽いものまで幅がある。 ■「発達障害の特徴があるかもしれない」という見方をしてみるママたちがいちばん気になるのは「うちの子が発達障害なのかどうか?」ということかもしれない。けれども、発達障害であったとしても、なかったとしても、子育てがうまくいかないのであれば、子どもの特徴を把握し、ちょっとした工夫をすることで、日々の生活は随分と楽になる。つまり、「もしかしたら発達障害の特徴があるかもしれない」という見方をしてみるのだ。■子どもの特徴に合わせた丁寧な関わり方司馬先生が教えてくださった「発達障害の子育て法」は、子どもの気持ちを尊重し、子どもの特徴に合わせた、子どもへの、より丁寧な関わり方だ。発達障害のない子どもは、さほど手をかけなくても自力で成長していけるが、それでも関わり方を丁寧にしてやることに越したことはない。つまり、子どもが発達障害でなくても、ちょっと似た部分はあるけれど診断されるほどではないというレベルでも、発達障害であっても、同じように使っていける子育て法なのだ。「発達障害かもしれないと怖がってばかりいないで、その子の特徴を見極め、その子に合わせたオーダーメイドの子育てしてみては?」というのが、司馬先生からの提案なのである。<次回は、「発達障害は、“しつけ”の問題なの!?」です。>
2016年07月16日【ママからのご相談】3歳の息子が他の子に比べて落ち着きがなく、ママ友に「発達障害も考えてみたら?」と言われました。発達障害と簡単に言っても一体具体的にはどのようなものがあるのでしょうか?●A. 小児科医師に聞いた3つの代表的な発達障害をご紹介します。こんにちは。ご相談ありがとうございます。ママライターのmomoです。たしかに発達障害といえども、実際どんなもの?というところがありますよね。今回は小児科医師に発達障害の具体的な特徴について聞いてみましたので、ご紹介します。●発達障害の主な種類3つ●(1)広汎性発達障害一般的に『自閉症』や『アスペルガー症候群』といわれるものが広汎性発達障害です。小児科の医師によると、具体的な特徴としては、・人と上手につきあうことができない・コミュニケーションをとりにくい・強いこだわりを持っている・歩き方や走り方などの動作がぎこちないなどが挙げられるそうです。これらの特徴が3歳くらいまでに現れる ことが多いとのこと。3歳くらいだと判断が難しいところですが、不安に思うことがあったら医師や専門家に相談してみましょう。●(2)注意欠陥多動性障害(AD/HD)自分の欲求など、コントロールをすることが難しくそれが行動に現れることで問題視される障害です。医師によると具体的な特徴は、・ひとつのことに集中することができない・落ち着きがなく、じっとしていることができない(多動性)・突発的な行動をとることが多い(衝動性)などが挙げられるそうです。周りの子に比べて落ち着きがなかったり、幼稚園などでいつもクラスから飛び出してしまったりなど、思い当たることがある場合は相談してみましょう。●(3)学習障害(LD)知的な遅れはない ので一見気づかれにくいのですが、幼稚園や小学校に入ると発覚しやすいのが学習障害です。医師によると具体的には、・聞くことが苦手・話すことが苦手・読むことが苦手・書くことが苦手・計算することが苦手などが挙げられるそうです。学習や日々の生活に困難を感じることが多く、周囲の人が早めに気づいて支援してあげることが大切です。----------発達障害は誰かの努力が足りず起きるものではなく、誰のせいでもありません。周囲の人が障害を理解して支えてあげることが大切です。少しでも自分の子に不安に思うことがあれば、医師や専門の人に相談してみましょう。●ライター/momo(ママライター、元モデル)
2016年05月07日前編 で説明したように、赤ちゃんを腹ばいにして筋肉をつける訓練をすると、背中や首、そして両腕の筋肉が早く発達しますので、首のすわりやハイハイといった赤ちゃんの発育もまた早まるほか、呼吸を活発に促進する効果もあります。生後3ヵ月目ぐらいの赤ちゃんは、ちょうど近くのおもちゃに自分から手を伸ばし始めるぐらいの時期ですので、おもちゃに興味を示したなら赤ちゃんの近くにおもちゃを置き、腹ばいにしてあげるというやり方でやってもいいかと思います。生後3ヵ月までの赤ちゃんを寝かせるときの注意点ところで、こういった赤ちゃんを腹ばいに寝かせることは欧米では習慣的に行われていますが、日本ではあまり行われていません。実は、日本でも過去に取り入れられた時期があったのですが、窒息事故が起きた報告があり、危険ではないかといううわさが広まって実施する人がほとんどいなくなりました。腹ばいによる窒息事故に関しては、「赤ちゃんを寝かせる布団が柔らかすぎたためではないか」と原因づけられています。日本では、「赤ちゃんが気持ちいい」など、よかれと思ってふかふかの柔らかい布団にする方が多いのかもしれませんが、発育や安全のことを考えると、実はかための布団のほうがいいのです。というのも、赤ちゃんははじめの頃は鼻でしか息ができません。そのため、柔らかい布団に鼻まで埋まってしまうと窒息しかねないのです。また、布団が柔らかすぎるとまっすぐな背骨を曲げてしまうリスクもあります。赤ちゃんにふかふか枕も要注意同じように、赤ちゃんの窒息という点から見れば、柔らかくふかふかした枕を使わせるのも考えものです。赤ちゃんの頃に枕は不要で、頭の下に汗を吸わせるためのタオルを敷く程度で十分なのです。なお、寝かせるときとはちょっと離れますが、生後3ヵ月目ぐらいの赤ちゃんは首がすわっていないこともあり、激しく体を揺すったり、「高い高い」をしたりする行為も危険を招くおそれがあります。場合によっては「揺さぶられっ子症候群」になることもあり、脳障害の危険もあります。「揺さぶられっ子症候群」については次のページに詳しく解説されていますので参考にしてください。・ こういうのは危険! 赤ちゃんの頭はとってもデリケート 赤ちゃんを揺り動かす際にはきちんと首を支えるようにするほか、「高い高い」はまだ行わないようにしましょう。(子育ての達人)
2016年01月22日日本ではあまり行われませんが、生後3ヵ月までぐらいの赤ちゃんを腹ばいにしてあげるとその後の発育が早まるということで、欧米などでは積極的に取り入れられています。腹ばいにするとなぜ発育にいいのか、見てみましょう。腹ばいにすることで赤ちゃんの首や背中が鍛えられる生後1ヵ月目に入るぐらいになった頃、赤ちゃんを腹ばいに寝かせると、わずかな間ですが頭を上に持ち上げるようになります。この時期になると生まれた直後よりも首や背中に筋肉がついてくるため、こうした動作をします。欧米では赤ちゃんを腹ばいで寝かせる習慣があるのは、こうした筋肉の力を訓練してあげることで首がすわるのを早くすることができるからです。また、背中の筋肉がつくことによって、赤ちゃんがよく呼吸できるようになってきますので、この時期の成長に重要となる酸素が脳に行き渡りやすくなります。あおむけでずっと寝ていた赤ちゃんは背中の筋肉の発達が遅くなりやすい傾向にあるので、意識的に腹ばいにさせてあげることが大切と言えるでしょう。赤ちゃんを腹ばいにさせる方法では、具体的にどんなふうに赤ちゃんに腹ばいの訓練をさせればよいのでしょう。まずは、赤ちゃんを寝かせている布団の上に座布団をしき、その上に赤ちゃんの胸やお腹がのるようにして赤ちゃんを腹ばいにします。このような体勢になると、赤ちゃんは顔が胸などよりも下の位置に来ることから、数秒間程度かもしれませんが、手やひじを使って上体を支え、首を持ち上げようとします。このとき、赤ちゃんの背中を上から下にさするようにしてやると、その部分を意識して力を込めやすくなりますので、赤ちゃんは首を持ち上げやすくなります。しかし、この時期の赤ちゃんはまだずっと首を上げていることはできず、数秒たつとまた首を布団に落としてしまうでしょう。そうなったら再び背中をゆっくりとさすってあげると、赤ちゃんは刺激に反応して首を再び上げようとします。腹ばい訓練を行う頻度1日に1回か2回、こういった筋肉の訓練をしてあげていると、最初は30度程度しか持ち上げられなかったところが2ヵ月ぐらいで45度ぐらいまで上がるようになり、3ヵ月目ぐらいには垂直に近い高さまで上げられるように、4ヵ月目ぐらいにはこうした体勢を30秒ほど維持できるようにもなってきます。首だけでなく、手の使い方も変わってきます。最初はひじを使って体を持ち上げていたものが、3ヵ月目ぐらいには両腕をしっかり伸ばして手首で体を支えることができるようになってくるのです。こうした訓練を行っていると4ヵ月目ぐらいで、赤ちゃんをあおむけの状態から抱き起こすときに、首がついてくるようになるのがわかるでしょう。< 後編 に続く>(子育ての達人)
2016年01月21日国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は10月16日、低酸素ストレスにさらされたラット胎児の発育不良を人工赤血球で予防することに成功したと発表した。同研究はNCNP精神保健研究所知的障害研究部の太田英伸 室長、神経研究所疾病第二部の李コウ 研究員、奈良県立医科大学の酒井宏水 教授、東北大学、早稲田大学、崇城大学、理化学研究所によるもので、10月16日に英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。同研究では、妊娠高血圧症候群で低酸素ストレスが加わる胎児への治療法を開発した。妊娠高血圧症候群は約5%の妊婦に発症し、重症例では母体死亡、胎児・新生児死亡を引き起こす。特に、高齢出産が進む日本では増加傾向にある。これまで同症候群の原因物質として胎盤由来の可溶型VEGF受容体-1(sFlt-1)などが発見されており、これらの物質が胎盤血管を狭小化し血行不全を引き起こすため、胎盤の血液循環が妨げられ母子間のガス交換、栄養物質の運搬、老廃物の代謝が低下し、胎児が低酸素状態・子宮内発育不全になることがわかっている。そこで同研究グループは、狭小化した胎盤血管を通過できる小粒径(250nm)でかつ高い酸素運搬機能をもつ人工赤血球を用いて、母体胎盤および胎児の低酸素状態を改善。その結果、妊娠高血圧症候群の原因物質である母体血中のsFlt-1が低下し、胎児発育も促されることを確認した。また、低酸素ストレスが与えた胎児の脳へのダメージも人工赤血球の投与で抑えられることがわかった。今後、人工赤血球をベースとした新しいタイプの輸液を作製することで、妊娠高血圧症候群の治療法として帝王切開や早産など妊娠の終了だけでなく、その症状を軽減させる輸液療法も選択肢の1つとなる可能性が期待される。
2015年10月16日ムーンスターは8月より順次、子どもの足の健全な発育をサポートする4大機能搭載のベビーブーツ2型を、全国の靴専門店、量販店にて発売する。○4大機能搭載で、子どもの足の健全な発育をサポート両商品は、赤ちゃんの足にあわせたつくりで歩きやすいベビーブーツ。かかとをしっかりとサポートする「カウンターボックス」、靴底が正しく曲がる「フレックスジョイント」、つま先にゆとりがある「ゆびがのびのび」、インソールを取り外して洗濯ができる「洗えて清潔」の、4大機能を搭載している。子どもの足は踵の骨ができ上がっておらず、非常に小さいため、踵が小さく扇を広げたような形をしている。また、筋肉や靭帯も発育途上のため、足のアーチ(土踏まず)も完成していない。4大機能は、そんな子どもの足の成長と健康をサポートするための機能となっているという。"しっかりサポートするシックなフレンチテイスト"の「CR B69」は、大きく開いて足入れしやすく、甲バンドで足首を固定することで脱げにくい作りとした。すり足で歩く赤ちゃんがつまづきにくいよう少しつま先を上げ、かかとのカウンターボックス構造で不安定な足元をしっかり支える。シンプルなフレンチテイストでどんなコーディネートにも合わせやすいデザインとなっている。価格は4,644円(税込)。「CR B70」は、"ほっこり北欧ナチュラル"がテーマ。側面が面ファスナーで大きく開いて履かせやすく、しっかりとめることでフィットさせることができる。トナカイの角をイメージしたトグルとふわふわなファーでさらにかわいさをプラス。滑りにくく屈曲性のあるソール設計で、まだ不安定な赤ちゃんの歩きをサポートする。価格は3,564円(税込)。
2015年08月10日生まれたばかりの赤ちゃんを抱えたママは、不安でいっぱいです。それが初めての子なら、なおのこと。さまざまな発育過程の平均値や発達の目安をわが子のそれと比べ、一喜一憂してしまいます。そんな不安いっぱいのママたちにぜひ知ってほしい、赤ちゃんの頭囲に関する研究結果がアメリカで今週発表され、注目を集めています。医療ネタを扱うアメリカの情報サイト『Medicalpress.com』を参考に、赤ちゃんの頭囲を測ることの意義と弊害について考えてみましょう。■頭囲は赤ちゃんの健康指標の“常識”赤ちゃんの成長の指標として世界中で広く活用されている頭囲は、左右の眉の直線上から後頭部の出っ張った部分までをメジャーでくるっと一回りさせて測ります。頭の中に水分が溜まる水頭症や栄養失調、学習障害など、心身のさまざまな健康リスクの早期発見に役立つ、とされています。赤ちゃんの定期的な健康診断で身長、体重とともに必ず測定され、ママたちにとってはおなじみの項目ですよね。母子手帳には頭囲の発育曲線のグラフも印刷されており、ほとんどのママは頭囲測定に特に疑問を感じていないのではないでしょうか。ところが、ブリストル大学とグラスゴー大学で1万人の赤ちゃんを対象に行われた追跡調査の結果、世界のそんな常識を覆す主張がなされました。赤ちゃんの頭囲が正常の範囲を超えたケースのほとんどは測り違いなどの人的ミスのせいで、発育異常や病気を発見する“ふるい分け検査”としての意味はほとんどない、というのです。■赤ちゃんの頭囲と異常は関係ない!今回行われた調査は、90年代に生まれた1万人の赤ちゃんの0歳時の頭囲と病気に関するデータ、7歳時のIQデータ、11歳時の学業成績を調査した非常に大規模なもの。専門の医師・調査員チームによって、神経系の発達、学習障害、言語障害、自閉症、てんかん、ADHDなどさまざまなリスクとの関連が徹底的に調べられました。そして調査の結果、頭囲が通常の範囲以上に小さかった子どもたちの85%はその後何の問題もなく成長したことが判明。さらに、発達過程に問題が見つかった子どものうち、93%は0歳時の頭囲サイズが正常だったのです。計測ミスの可能性を考慮に入れると、頭囲と健康リスクの間に有意な関係があるとは言えなくなります。中でも水頭症は、頭囲が重要な指標とされていますが、水頭症が1万人に6例程度であるのに対し、1歳までに頭囲が正常の範囲よりも大きくなる赤ちゃんは7人中1人の割合で存在するのです。調査を行ったグラスゴー大学のシャーロット・ライト博士は「頭囲を正確に測ることは難しい」と指摘しています。0歳の赤ちゃんはまだ言葉が理解できず、じっとしていません。ママやパパ以外の人(医師や看護師)が体に触ろうとすれば火が付いたように泣き出し、全力で抵抗します。そんな状態で丸い頭の周囲をメジャーで測るのですから、計測ミスが多いことはたしかに想像できますね。■赤ちゃんの成長を見守ることが大事それでは、健診で赤ちゃんの頭囲を測り、指標にすることの弊害とは何でしょう?前述のライト博士は「頭囲を健康リスクの指標にすることは、両親の不必要な不安をかき立てます。ほかの指標で赤ちゃんの発達や頭の成長に心配が見つかった時にのみ、頭囲データが使われるべきです」と主張しています。調査データの例を借りれば、実際に水頭症と診断される赤ちゃんは1万人に6人なのにも関わらず、7人に1人の赤ちゃんが「水頭症の恐れあり」と医師に告げられ、MRIなどの検査を受けることになるのです。これは医療費増加の一因にもなりますし、何よりも、初めての子育てに不安いっぱいの新米ママに要らぬショックを与えてしまいます。また、ライト博士は「計測ミスの可能性もある頭囲測定でいたずらに不安がるのではなく、たとえば家庭を訪問する巡回保健士やかかりつけ医との関係を緊密にして、その他の成長指標を手掛かりに子どもの成長を見守るべきです」ともコメント。赤ちゃんの発達を見守るさまざまな指標が存在しますが、それらを鵜呑みにするのではなく、わが子のようすとの兼ね合いで冷静な判断を下していくことが、ママたちに求められています。(文/よりみちこ)【参考】※Small changes to a child’s head size should not concern parents-Medicalpress.com
2015年05月24日