大ヒットしたドキュメンタリー映画『みんなの学校』。「人を大切にする力」、「自分の考えを持つ力」、「自分を表現する力」、「チャレンジする力」の4つの力を育てることに尽力をしたのが、初代校長を務めた木村泰子先生です。木村先生は、この「4つの力があれば、子どもたちは未来を生きていける」と言います。しかし、いまの学校現場では、見過ごせない問題が起きているとも…。不登校になってしまった娘を抱えるママからの話をもとに、どうして学校に通うことに苦しむ子どもが出てしまうのかを考えます。※本連載は、木村先生との「学びの会」を抜粋したものです。記事内に登場する参加者は、「学びの会」に出席した方々となります。■子どもが育つ学校現場で見過ごせないことが起こっている木村:大空小が地域の新しい学校として開校したのは、2006年4月1日です。いまから約10年前に、「10年後って、どんな世の中になっているのかな? いまより、もっと日本には入り混じった人たちがたくさんいる。そんな世の中で生きていくために、子どもたちが身につけなければいけない力って、何だろうね?」と、考えました。あれから10年たったいま、映画『みんなの学校』に注目してもらえるのは、10年先取りでやってきてことが、いまになって、ニーズを感じていただいているのかな? と、思っています。いまの学校現場では、「子どもが育つ環境」という視点でみると、「見過ごしてはいけない」ということがたくさん起こっているのが現実です。でも、そんな地元の学校に行かざるを得ない子がたくさんいる。そして、学校にどうしても行けなくなってしまう。そんな苦しんでいる子、保護者は、たくさんいます。■「不登校」が増えている理由は?木村:ここ2、3年で、学校現場は「いかに子どもに規則を守らせるか」という方向に、急速に傾いています。その結果、どんなことが起こっているか?たとえば、ある都道府県では、ここ2,3年で「学校に行けなくなった子」の数が2倍強に増えたという報告がありました。それは、その地域に限った話ではなくて、全国的にその傾向が強まっています。参加者:4年生の娘が不登校です。どうして学校に行けなくなったかというと、担任の先生が「○○しなさい」「○○、しなくてはいけない」という先生なんです。過保護な母親のように、手とり足とり教えてくれることが、うちの子にとっては窮屈だったみたいで。娘のクラスでは、娘が不登校になっただけではなく暴力的になってしまう子など、いろいろな「症状」が出始めています。木村:一教員が、急激に意識を変えるというのは、現実的には難しいかもしれませんね。もし、それで変われる資質がある先生なら、もともと、そうはなりませんからね。ある意味、その担任の先生の姿は、典型的ないまの学校の姿です。参加者: 正直言って、「過保護や過干渉」と、「教育をきちんとする」の線引きがわかりません。どうやって見極めたらよいのでしょうか?■「過保護や過干渉」なのか? それとも「教育」なのか?木村:子どものある行為に対して、「これについて干渉することは『過保護や過干渉』となるのか? それとも『教育』なのか? 大人として、目の前にいる子どもに、どう関われば良いのか?」。大空小でもやまほど悩みました。たとえば、子どもが「イヤ!」と言って、いうことを聞かない。「このイヤは、この子のわがままなのか? イヤということを認めたらいいのか? イヤというのを、やめさせないといけないのか?」。大人は、そこで選択したくなるものです。でも、それを決めるのは子どもです。大人は「言うことをきかせるべきか」とか、「甘えさせるべきか」と考えてしまう。けれども、その視点でモノを考えている大人は、子どもに関わる場合に、自分の法則で考えようとしているんです。言ってみれば、子どもを、「どうにかしなければいけない」というリーダー性を大人が持たないといけないと思っている。■何で、この子は「イヤ!」と言っているのか参加者: 「どうにかしなければいけないというリーダー性」とは、どういうことですか?木村:たとえば、「これを、やりましょう!」と言って、「イヤ!」と言う子は、いくらでもいます。「イヤ!」という子に対して、大人がまず考えるのは、「どうやって、『イヤ!(NO)』を『YES』に変えようか?」ということではないでしょうか?ここで、先にお話した4つの力のうち、ひとつの大事な力が抜けています。この子が、「イヤ!」と言ったら、大人は4つの力の中の、「人を大切にする力」を使ってほしいのです。大人が「この子の、『イヤ!』をやめさせよう」と思うのは、上から目線の関わり(どうにかしなければいけないと考えるリーダー性)なんですよね。「やめさせることが、この子にとって幸せにつながる」と、思っているんでしょうけれど、それは、子どもにとっては、おおきなお節介です。「これについて干渉することは『過保護や過干渉』となるのか? それとも『教育』なのか?」。この問が自分の中に生まれたら、まず、「この話に、唯一無二の正解などない。ケースバイケースで、答えはそれぞれにまったく異なる」ということを思い出して欲しいのです。子どもの「イヤ」に対して、「過干渉なのか過保護なのか、それとも教育なのか」と考える前に、まずは目の前の子どもを「感じてみる」ということが大切なのだと思います。「学校に行きたくない」という子がいたとしたら、「なんで、『学校に行きたくない』って言っているか?」を、まずは考えてみるんです。「なんで、この子はイヤと思うのだろうか?」ということを、大人がきちんと考えてみるということです。【『みんなの学校』流「生き抜く力」まとめ】●いまの学校現場では、不登校の増加など、見過ごせない問題がたくさん起きている●子どもが「イヤ」と言ったときに、「いうことをきかせる」のは大人が上から目線になっている●子どもの「イヤ!」の理由は、子どもなりの「自分の意見」。大人はその気持ちを大切にする力を持つ必要がある次回は、「マニュアル子育ては見抜かれる! 大人の論理「あなたのため」は通じない」です。■今回取材にご協力いただいた木村 泰子先生の著書『 不登校ゼロ、モンスターペアレンツゼロの小学校が育てる 21世紀を生きる力 』木村 泰子,出口 汪/ 水王舎 ¥1,400(税別)
2017年07月26日こんにちは。コラムニストの鈴木かつよしです。義務教育で何年間も英語を学ぶのに、日本人ほど英語が身につかない国民は他に例がないといわれます。しかし、仕事で否応なしに英語を使う必要性に迫られれば誰でも英語ができるようになることを考えると、ビジネスマンたちがどんな方法で英語を習得しているかを参考にすることには意味があるように思えます。ここでは、「ビジネス英語を習得する」ということではなく、「ビジネスの世界で使われてきた知恵を応用して英語が苦手なお子さんでも社会生活の場で実際に英語が使えるようになる」ための方法をご提案させていただきます。キーワードは“映画”と“歌”です。●英語が苦手な人でも英語を習得する方法1:英語圏の映画をとことん観るこれから紹介させていただく英語を習得する方法“その1”は、「英語圏の映画をとことん観る」という方法です。みなさんも“都市伝説”として聞かれたことがあるかもしれませんが、日本の総合商社では英語圏への海外赴任が決まると赴任前の3か月は「通常の仕事はしなくていいから英語の映画を一日中観てきなさい 」と上司から命令されるというお話があります。もちろん、それで“ビジネス英語”が習得できるほど甘くないのが現実で、映画を観ることの他にも体系だったその企業特有の英語教育プログラムが盛りだくさんに用意されています。ただ、英語圏の映画を観ることによって、実際の社会で行われているやりとりや言い回しがかなり身につくということは、筆者の経験からいっても事実です。筆者は1980年代の中ごろ英国の芳香雑貨商品の輸入業を始めるための準備を兼ねて、まだ正式な修士課程になる前の早稲田大学ビジネススクール(WBS)という学校に通っていた時期がありました。その学校には大手のゼネコンや広告代理店、各分野の専門商社、銀行・保険会社などなど日本を代表するような大企業から優秀な人たちが企業派遣の形で学びに来ていました。いずれ英語圏の国々に赴任する可能性が高い彼らにWBSの英語教師陣が言っていたことは、『いざ赴任が決まれば各企業でその業種・業態に応じた専門的な英語教育がある。今はとにかく英語圏で暮らす普通の人たちと不自由なくコミュニケーションできるようになっておくこと。そのためには英語の映画を飽きるほど観るのが一番いい 』ということでした。その教えを筆者自身は信じて実践し、おかげさまでその後商事会社を経営するようになってから仕入れに訪れた英国や米国、カナダといった国々では、WBSの学生時代とその後のおよそ10年間にむさぼり観た映画で覚えた言い回しがずい分と役に立ったという実感があります。それでは筆者が何度も何度も繰り返し観て劇中の台詞のほとんどを覚えてしまった、おススメの映画を3つご紹介しましょう。【バック・トゥ・ザ・フューチャー(Back to the Future)】1985年公開のアメリカ映画。全編を通して使われている英語に“クセ”がないため、一般的な英語の言い回しを身につけるにはおススメの映画です。【フォレスト・ガンプ/一期一会(Forrest Gump)】1994年公開のアメリカ映画。主人公のフォレストに知的障がいがあるということもあってゆっくりとした英語で話してくれるため、とても勉強になります。【追憶(The Way We Were)】1973年公開のアメリカ映画。マツコ・デラックスさんもこよなく愛するという切ないラブストーリー。「Never.」とか「I can’t.」といったシンプルな表現がいかに使えるかを教えてくれます。●英語が苦手な人でも英語が使えるようになる方法2:英語圏の歌をとことん聴く英語の習得方法“その2”。それは、「英語圏の歌をとことん聴く」という方法です。今から40年ほど前、筆者が高校生のときでした。林育男さんという塾で英語を教えている英語講師の方が『ビートルズで英語を学ぼう』という本を出版されました。ビートルズの楽曲から168曲を選んでその歌詞を文法的に解説するとともに英語独特の言い回しについて教えてくれる本で、当時「寝ても覚めてもビートルズ」で学校にもギターを抱えて通っていた筆者はこの本をそれこそボロボロになるまで読みました。それまで歌詞カードを読んでも今一つその曲の本当の意味がわからずにモヤモヤしていた筆者は、林さんの説明を読むことによって英語の歌詞の理解を格段に深めることができました。文法的なことよりも英語独特の言い回しについての解説が特に役立ったように思います。これによってビートルズの主だった楽曲のほとんどを英語で歌えるようになった筆者ではありましたが、筆者が横着して書物で得たような英語の言い回しに関する知識は、インターネットがある今の時代であれば「もっと深く意味を知りたい英語の楽曲」がありさえすれば、自分で調べてどんどん自分のものにすることがより容易に可能であろうかと思います。こうなってくると今度はビートルズ以外の英語の歌も、好きな曲でさえあれば何度か聴けば意味がわかるようになりました。カーペンターズもクイーンもビリー・ジョエルもボストンもスティーヴィー・ワンダーも、何を歌っているのかが理解できるようになり、特に好きな楽曲は何度も聴くことによってやはり歌えるようになったのです。英語を学ぶのに、自分が大好きな英語圏の歌手の歌をとことん聴き歌う ことは他のどんな方法よりも有効です。これは大手の総合商社に勤めていて、商社マン生活の大半をアメリカやオーストラリアといった英語圏で過ごした筆者の学生時代の親友から聞いた話ですが、やはり実際に現地に赴く3か月ほど前からは、専門的なビジネス用の英語教育プログラムの他には“カラオケで英語の歌を歌いまくる ”ことで『とにかく、英語に慣れ、親しむようにした』(50代・男性/会社相談役)ということです。----------いかがでしたでしょうか。今回のお話は、英語の成績が抜群でTOEICのスコアも高いお子さんには特に読んでいただく必要はございません。ただ、どちらかというと英語は苦手なのだけれど海外の映画や音楽は大好きなため、英語ができるようになったらもっと楽しいだろうなあと感じているようなお子さんには、ぜひパパ・ママのほうから読ませてさしあげてください。一つの参考にはなろうかと存じます。【参考文献】・『ビートルズで英語を学ぼう―168曲を楽しみながらバッチリ,マスター!!』林育男・著●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)●モデル/倉本麻貴(和くん)
2017年07月25日大阪市にある、ごく普通の公立小学校である大空小学校は、不登校児が0人。それは、それぞれの子に、それぞれの居場所があるから。ドキュメンタリー映画『みんなの学校』は、大空小学校の日常を丹念に描いて大ヒットし、商業映画館での上映は終わったものの、2016年度の自主上映会は全国で800回以上におよび今年も昨年以上の勢いで広がっています。映画で輪の中心にいるのは、初代校長を務めた木村泰子先生。自分が受けてきた教育をベースにした「学校観」に引きずられ、子どもを「良い子」「悪い子」の枠にはめがちなママたちと、これからの子育てに必要な「生き抜く力」についての勉強会が開催されました。※本連載は、木村先生との「学びの会」を抜粋したものです。記事内に登場する参加者は、「学びの会」に出席した方々となります。木村 泰子先生プロフィール大阪市出身。大阪市立大空小学校初代校長として、「みんながつくるみんなの学校」を合い言葉に、すべての子どもを多方面から見つめながら、全教職員のチーム力で「すべての子どもの学習権を保障する学校をつくる」ことに情熱を注ぐ。その取り組みを描いたドキュメンタリー映画 『みんなの学校』 が話題に。2015年に退職後、現在は、全国各地で講演活動を行っている。木村先生については、 「『みんなの学校』流 親子関係のつくり方」 「ママのプロになる!」 もぜひご覧ください。■多様な国際社会で、「なりたい自分」になるには?木村先生(以下、木村):最初に、「大空式」の自己紹介からお話しましょう。大空小学校(以下、大空小)では、「自己紹介をする」という人との関わりの中で、4つの力を高めることを意識しています。<大空小で大切にしてきた4つの力>・「人を大切にする力」・「自分の考えを持つ力」・「自分を表現する力」・「チャレンジする力」この4つの力があれば、子どもたちは、これからの多様な国際社会で「なりたい自分になっていけるよ」と、大空小の子どもの周りにいる大人は考えました。■人と違うから「自分の考え」になる木村:1つ目の「人を大切にする力」が、簡単なようで難しいのは、なんとなくおわかりかと思います。2つ目の「自分の考えを持つ力」。みなさんは、自分の考えを持っていますか? 「夫が、言うから」「ママ友が、言うから」「会社の上司が、言うから」と、流されてしまう自分が、いらっしゃるのではないでしょうか?隣や上を見ないで、「まず自分で考えてみよう」という習慣を、大空小の子どもたちはいつも心がけています。この「自分の考え」というのは、人と違ってあたり前。だからこそ、「自分の考え」なんです。ひとりの子が自分の考えを持ったら、その自分の考えは、「間違いなんてないよ」というまわりの空気が必要です。■自分を表現できなければ置いていかれる木村:3つ目は、「自分を表現する力」。いくら人を大切にして、自分の考えを持っていても、これからの時代は、自分を表現しなかったら、置いていかれてしまうことでしょう。「これはイヤだよ」「こうしたいよ」「こう考えているよ」ということを、自然に言えること、これも大切にしたい力です。もちろん、表現の仕方は、いろいろあります。たとえば、緘黙(かんもく)症(※)で、自分から言葉を発したことがない子。そういう子は自分なりの表現方法、文に書いたり、顔で表現をしたりができますから、まわりはその子を見ていれば、表現を受け取ることができます。※緘黙(かんもく)症:発声器官の器質的障害がなく、言語の習得に問題がないのに、特定の場面でずっと声が出ない状態のこと。たとえば家では普通に話ができるのに、学校や幼稚園に行くと一日中声が出ない状態が何ヶ月、何年間も続く症状4つ目は、「チャレンジをする力」。「こういうことを、やってみたい」「こういうことを、やろう」とチャレンジする気持ちは、「未来を作っていく」と思うんです。■「教員の仕事」は、「人間でないとできないこと」をやること木村: この4つの力を、小学校にきて「おはよう」を言ってから、「さようなら」を言うまで、どれだけ子どもたちが獲得できたのか? それを考えることが、私たち、子どものまわりにいる大人のやるべきことだと思って、仕事をしてきました。めちゃくちゃシンプルです。「分数の計算の仕方を教える」。これはあと数年したら、教員がやらなくても機械がやってくれるでしょう。「では教員の仕事は何?」と言ったら、「『人間』でないとできないことをやろうね」と、大空小の教職員で話し合いをして決めました。【『みんなの学校』流「生き抜く力」まとめ】●「人を大切にする力」、「自分の考えを持つ力」、「自分を表現する力」、「チャレンジする力」があれば、未来を生きていくことができる●「自分の考え」は、人と違ってあたり前●教員の仕事は、人間でなければできないことをやること次回は、「不登校で苦しむ子。「過保護」と「教育」の線引はどこにあるのか?」です。■今回取材にご協力いただいた木村 泰子先生の著書『 不登校ゼロ、モンスターペアレンツゼロの小学校が育てる 21世紀を生きる力 』木村 泰子,出口 汪/ 水王舎 ¥1,400(税別)
2017年07月25日「シュタイナー教育」をご存知ですか?お子さんに少しでもいい環境を与えたいと願い、さまざまな教育論を調べたことがあるママなら、一度はその名を目にしたことがあるかもしれませんね。シュタイナー教育とは、オーストリアの思想家ルドルフ・シュタイナーが20世紀始めに提唱した教育方法です。7歳までの子どもたちは夢の中にいるようなものだとして、音楽や絵画など感性に訴えるアプローチで接することを掲げています。音楽のリズムに合わせて動く「オイリュトミー」というダンス、「にじみ絵」と呼ばれる独特の水彩画法が特徴です。今回は、都内のシュタイナー系幼稚園で働くG先生(50代女性/幼稚園教諭)から、自宅でできる「ゆるシュタイナー教育法」を聞いてきました。●(1)刺激は「子どもが欲してから与える」シュタイナー教育と聞いて最初に思い浮かぶのが「テレビを見せない」ということ。音や光の出るオモチャ、テレビゲームなんてもってのほか。遊ぶ道具は、石、木、布、羊毛といった自然素材だけなんですよね。でも、子育てママならそのハードルの高さはわかるはず。どうしたらいいのでしょうか?『子どもが求めてくる前に、親が先回りして強い刺激を与えてしまうことを避けてみてください 。テレビは、子どもが積極的に見たがっていないなら、あえて見せる必要はありません。プラスチック製のおもちゃも同じ。最初に与える遊び道具は、自然素材のもので十分です。でも、よそで見かけたり、他の子が持っていたりして、お子さん自身が興味を持ったなら、少しずつ与えてもいいと思いますよ』そうはいっても、家事をやっているあいだに子どもがテレビを見ていると助かるんですよね。夕方の幼児番組、「ほら!もうすぐ○○が始まるよ!ママ忙しいから、観てて〜!」なんて率先して付けちゃってましたが……それすらNGなんでしょうか?『そのあたりは、ママの裁量でいいと思いますよ。無理をしてまでノーテレビ育児にこだわり続けることはありません。ただ、7歳までは体のリズムを作る時期です。生活リズムをテレビに支配されないようにするのが大切ですね。大人がテレビなしの生活をしてみせるのも、時には必要です』なるほど。ということは、大人が観たい番組があるときは、録画をして子どもが寝たあとに楽しむのがよさそうですね。●(2)生活リズムづくりは「ゆるやかに」がコツシュタイナーの教えでは、毎日の生活リズムを作ることも重要視されています。決まった生活リズムを繰り返していくことが、子どもたちの心の調和と安定につながると考えられているからです。『家庭でも、ぜひ規則正しい生活を送っていきたいですね。まずは一日のスケジュールを組んであげましょう。ある程度大きなお子さんなら、親子で相談しながらスケジュール決めをするといいでしょう』でも先生、子どもってこっちの希望通りに動いてくれませんよね。うちの子はいつもノロノロしていて、スケジュールなんか決めても絶対守れません。守れないことでカリカリしてしまう自分も目に見えてますが、どうしたらいいですか?『細かく時間を定めてしまうと後がつらいので、最初は起きる時刻・寝る時刻・食事の時間帯をゆるく決めるくらいでOKです。「○時」ときっかり決めるより、30分程度の幅がある「時間帯」でスケジューリングしていく のがおすすめですよ。また、スケジュールを守れなかったときにお互いを罰しないことも重要です。お子さんの様子や発達段階を見極めながら、無理のないスケジューリングに組み直していきましょうね』●(3)子どもに「遊びを教えない」勇気を!シュタイナー教育で忘れてはいけないのが、オイリュトミーやにじみ絵などの独特な遊び方。これらは子どもたちの感性を伸ばすためのアプローチ法ですが、家庭で取り入れるにはどうしたらいいでしょうか。『子どもの遊び方に自由を与えてあげましょう 。最近のママたちを見ていると、やり方が決まっているオモチャを与え、子どもが考える間もなく「ほら、これはこうやって遊ぶのよ」と教えてしまっている方が多いんですよね。中には「その遊び方は間違ってる」とお子さんを叱っている姿も。これでは、子どもたちの感性は育ちようがありません。何に興味を持ち、それをどうするかはお子さんに全て任せてあげましょう。口出ししないことは、ママたちにはちょっと勇気がいるかもしれません。でも、グッとこらえて見守っていると、子どもの思わぬ発想にこちらが驚かされることもよくありますよ』つまり、オイリュトミーなど有名な方法論を知って、その形だけをなぞっても意味がないということですね。そういった各方法論の裏側にある理念をよく理解し、無理のない形で実践していくことこそが重要なのでしょう。----------いかがでしたか?今回G先生に伺った「ゆるシュタイナー教育法」は、特別で特殊な子育て方法ではありませんでした。むしろ、わが国の昔ながらの子育てに通じるところが多くあったように感じます。生活に無理のない範囲で取り入れていくと、子どもたちの豊かな成長と自立を促すことができるのではないでしょうか。●文/パピマミ編集部●モデル/貴子(優くん、綾ちゃん)
2017年06月30日スキンケアって、毎日なんとなく行っているけれども全く高揚感のない、ただの義務的な作業になってはいませんか?そんなスキンケアを、もっと愉しい体感に変える。新「DEW」が、「”キレイを楽しむ”を応援する会社」カネボウ化粧品より今年10月に誕生します。現代の女性は、忙しい毎日の中でも自分らしい喜びや愉しみが必要であるスキンケアにも喜びや愉しさ、気分の向上を今を生きる女性は忙しいもの。ですが、そんな毎日の中でも自分らしい”喜び”や”愉しみ”を求める傾向にあります。そして、日々の中からワクワクを求めるライフスタイルと価値観はEffortless(肩の力を抜いて頑張りすぎない)・pleasure (自分を高揚させるもの)。女性たちは、当然スキンケアにも、効果効能のみでなく、肌の触り心地の良さや感触、お手入れの愉しさや気分の向上を求めています。そんな女性たちのために、「義務的なスキンケア」から「愉しむスキンケア」へ、スキンケアを特別な体験に変える、新しい提案を新「DEW」はしてくれました。喜びや愉しみに敏感な”美しむひと。”へ美しむひと。とは、古語で「うつくしむ」 = 美しむ = 慈しむ・愛しむ自分のリズムで愉しみながら、自らを育み、美しむ。頭で理解する成分や効能だけでなく、お手入れ本来の感性的な愉しみと確かな手ごたえを感じ取る、麗しさがある人のことです。忙しさに流されることなく日常の小さな幸せにも気づく感性を持ち、家族や友人、仲間、周りのすべての人を大切にする。そして同じように、自分自身とも大切に向き合っている。肌を愛し、慈しみ、美しさを育んでいく。そんなやわらかな光を纏うような人。それが「美しむ人」。スキンケアを美しむ体験に変える。-Beautiful time experience-ビューティフル・タイム・エクスペリエンススキンケアというプロセスを、もっと愉しい体験に変える2017年10月16日新DEW誕生DEWとは滴のこと。美しい肌へと導く滴は「美滴」。カネボウ化粧品のヒアルロン酸研究と、五感に段階的にアプローチする五感設計が融合し、うるおって、肌に触れたときに、指を跳ね返すような弾力感と、みっちりとしたハリ、指がすべるようななめらかさのある肌「ハリ蜜肌」へと導いてくれるスキンケアブランドです。やわらかもっちりハリ密肌を目指す「DEW」と、ピンと弾力のあるハリ密肌を目指す「DEW スペリア」の2ラインで構成されています。「DEW」「DEWスペリア」中心商品「美滴化粧水」(「DEWローション」、「DEWスペリアローションコンセントレート」)中心商品となる化粧水は「とろける美滴化粧水」。ハリ密肌へ導いてくれるのみでなく、化粧水なのにまるでスイーツを食べている気分のような満足感で心までも満たしてきれます。美しい滴<美滴>が織りなる美の連鎖をイメージさせるデザイン、とろみのある高級感を感じるテクスチャー、トップノート・ミドルノート・ラストノートまで3段階で香るグリーンフローラルの香り、肌の喜び、これらに愉しみが溢れています。上質な”とろみ”の実現「効果効能のみでなく、肌の触り心地の良さや感触、気分の向上」をスキンケアに求めている女性たち。そこで、新DEWは、ハリ・うるおいのみでなく、気分まで満たされる感触である”とろみ”にこだわっています。“とろみ”は、肌に弾力やハリが出てうるおいが長続きしそう、高級感がある、気分まで満たされそうなどのポジティブなイメージがある一方で、使用後のベタつきや肌への浸透力にマイナスイメージを持っている方がいらっしゃるのも事実です。そこで、”とろみ”がありながらも肌へ浸透し、しっとりするのにベタつきにくい、そんな「高浸透ハリ実感とろみ技術」をDEWでは実現しました。新イメージモデル・松下奈緒さんブランドの世界感を伝えるイメージモデルは、女優・ピアニスト・作曲家として活躍する松下奈緒さん。「美しむ人」にぴったりの女性ですよね。すでに新DEWを使っているという松下さん。「ピンクのボトルがかわいい」とデザインもお気に入りのようです。気になる使用感については、「手に取るととろみがあるが、肌にのせると馴染む。ぜひ女性に使って欲しい。」とのこと。松下さんの透けるような美肌に近づくために、ぜひこちらでお手入れしたいと、会場の全女性が感じたに違いありません。最後に松下さんは、「女性にとってスキンケアは大切な時間で、DEWを使うことは自分へのご褒美。これからみんなと一緒に愛用し、綺麗になっていきたい。」と力強いメッセージを下さいました。これまで義務感のようになっていたスキンケアの時間を、新DEWを使い、自分自身と向き合うご褒美の時間へ、そして、未来への期待感へと変えていきませんか?どんなに忙しい毎日の中でもちょっとした”喜び”や”愉しみ”を求めている全ての女性たちへ。スキンケアも美しむ体感へと変えていく。それがDEWからの新しい提案です。「DEW」「DEWスペリア」商品概要2017年10月16日発売※金額は全て税抜(編集部調べ)となります。DEWローションさっぱり・しっとり・とてもしっとり6種150ml 3,500円/レフィル 150ml 3,300円DEWエマルジョンさっぱり・しっとり・とてもしっとり6種100ml 3,800/レフィル 100ml 3,600円DEWクリーム 2種30g 5,000円/レフィル 30g 4,600円DEWクレンジングクリーム1種125g 2,500円DEWクレンジングオイル1種150ml 2,500円DEWクリームソープ1種125g 2,500円DEWスペリアローションコンセントレートさっぱり・しっとり・とてもしっとり6種150ml 7,000円/レフィル 150ml 6,700円DEWスペリアエマルジョンコンセントレートさっぱり・しっとり・とてもしっとり6種100ml 8,000円/レフィル 100ml 7,700円DEWスペリアリフトコンセントレートクリーム2種30g 10,000円/レフィル 30g 9,500円DEWスペリアクリアコンセントレートクリーム2種100ml 5,000円/レフィル 100ml 4,700円
2017年06月28日小児科外来のカウンセリング室にやってきた母娘出典 : 病院の小児科外来でカウンセリングを行っているカウンセラーの私のもとに、不登校の娘さんと母親が心理相談を受けに来ました。そのとき娘さんは中学3年生。母親の話だと中学2年生のころから学校に行き渋るようになったけれども、教師の働きかけで今は何とか相談室登校をしているとのこと。母親が説明する間、その子は一言も話さず暗い顔をして座っていました。私は「学校で何か嫌なことがあったのか」、「友だちと気まずいことでもあったのか」と問いかけましたが、無言のまま。母親は、「家で娘に尋ねても嫌なことやいじめはないと言うのです」と代弁します。医師の方では医学的処置は行わないとのことを聞いていたので、経過観察をしながらじっくり支援の方向性を探ろうと考え、「すぐには話したくないかもしれないので、時々来て状況を知らせて下さい」と言って初回の面談を終わろうとしました。しかし母親は「どこに行っても同じことを言われます。私が心配でたまらないのです。このまま一生引きこもりになるのではないかと不安です。ここで話を聞いていただけませんか」と言うのです。娘さん本人の考えは計り知れませんでしたが、母親の困り感が大きいことも鑑み、ひとまず次週も面談の予約を入れることにしました。カウンセラーと母親と娘の三者面談、しかし彼女は一言も話さず…出典 : 翌週、時間通りに母娘がやってきました。母親はこの一週間も娘の状況は変わらないことを説明してくれましたが、肝心の娘さん本人はやはり一言も発しません。母親がしゃべり過ぎるので娘さんが話さないのかと考え、母親の発言を抑えて彼女の発話を待ちました。しかしいくら待っても言葉を発しません。最後にはうなだれ、長く伸びた髪が顔を覆い、ホラー映画の「貞子」のような状態になってしまったので、「これ以上はまずい」と思い、母親との話に戻りました。親子で訪れる小児科の心理相談の時、私は特別の事情がない限り親子別々に話すことをしません。子どもは不安を抱いて訪れます。その時に親から離れて一人で知らない人と話すことは苦痛でしかないと思うからです。廊下で待たされ母親だけが診察室に通されると、そこでは自分のことを話しているに違いないが、何を話しているのか気になるでしょう。余計な不安や苦痛を子どもに与えないために親子で話すのです。まれに母親だけに伝えなければならないことがある場合は、子どもが退屈そうに見えたとき、「退屈なら廊下を歩いてきていいよ」と言って外に出します。時間的に余裕がある環境でしかできないことかもしれません。カウンセリングというより雑談?それでも続く、奇妙な3者面談出典 : そういうわけでその母娘との面談はいつも三者で行いましたが、話すのはいつも私と母親でした。それでも娘さんは毎週来ることを拒まず、一言も話さないにもかかわらず毎回1時間近くその場に座り続けていました。半年近く話しても事態が大きく変わることもなかったので、話の内容は徐々に雑談に変わっていきます。明朗快活なお母さんはニコニコしながらたくさんおしゃべりしました。よもやま話になるとつい笑いだすようなことにもなりますが、娘さんはそれでもやはり、無表情のまま。わずかでしたが相談料を支払っていただいていましたので、談笑でお金をいただくのはどうかと思い、母親に「このまま続けますか」と尋ねました。母親は「長い目で見なければいけないのは分かっているが、娘と二人でいると気が沈んでしまうので、迷惑でなければ続けさせてください」と言ったので、ひとまず継続することに。とはいえこのままずっと談笑を続けるというのも気が引けます。なにか改善のきっかけがつかめないかと、私は彼女が在籍する中学校を訪問することにしました。しかし、娘さんは中学校では人目を避けて登校し、ほとんど相談室で好きな漫画やイラストを描きながら過ごしているとのことで、変化を期待できるような情報を手に入れることはできませんでした。高校受験が迫ったある日、無言だった娘が、はじめて「やりたいこと」を口にした出典 : それからも、カウンセラーと母親が談笑するだけという、奇妙な"三者"面談が続きました。初夏から始まった面談も初冬にさしかかっていました。母親は高校進学のことを気にし始めました。私も引き受けてくれる学校があるか気になりました。そんなある日、母親が思いがけないことを話しだしたのです。「娘は、高校はイラストやデザインが学べるところにしたいと言っています。中学校で尋ねたらA高校のデザイン科があると言われたそうで、そこを受験したいと言うのですが、先生どう思いますか」。この話も三者面談の中でした。私は母親に「それは素晴らしい。本人が受けたいと言うのならぜひ受けさせるべきです」と言いました。本人が高校には行きたいと言い、志望校もはっきりと言った。母親はこのことには喜んでいましたが、実際受験するにあたっては、相談室登校で学力がきわめて不安、試験や面接に行けるかどうか、受験に失敗したらもっと落ち込みがひどくなるのではないかなど、心配でたまらないようでした。私は、「本人が自分で道を切り開こうとしているのです。今はそれを応援しましょう。失敗したらその時に次を考えましょう」と言い背中を押しました。その後。その子は自宅でも受験勉強をし、中学校では専願という受験方法を示され、無事試験会場にも行け、めでたく志望の高校、学科に合格したのです。娘さんの高校入学後も母親はしばらくの間、「また、いつ登校しなくなるか不安だから」と言い、私との心理相談にやってきましたが、不登校が生じやすい5月の連休明けまで様子を見ても特に問題は起こらず、母親も安心して心理相談を終了しました。ずっと黙っていた娘が、なぜもう一度学校に行けるようになったのか出典 : その後も娘さんが私の相談室に来ることはなく、毎日他の生徒と同じように登校し授業を受けており、部活もバスケットボール部に入り元気に活躍しているとのことでした。母親は「嘘みたい、今までのはなんだったの」とキツネにつままれたかのようでした。心理相談を続けている間は一言も発さなかった娘さんが、なぜこのように劇的な変化を起こしたのでしょうか。私が思うに、その子自身の伸びる力がもともと眠っており、表面には出ない間も、じっくりと力を蓄えていたのだと思います。不登校、相談室登校は彼女にとって不快な経験だったと思います。彼女自身もなんとかそれを克服しようと思ったでしょう。しかしなかなか克服の道が見えず、長い間ふさぎ込むことになったのだと思います。高校進学を目の前にして、やっと自分の好きなデザインを学び、本来やりたかったバスケットを行うことに道を見出し、光を見つけたのだと思います。道を見出したのは彼女自身です。それができたのはその子の成長する力によるものと思います。小学校や中学校で不登校を経験したのちに高校生になり、「休みたくなると、もうあの不登校を再び経験したくないからという気持ちになって、それで頑張って登校したんだ」と打ち明けてくれた子もいました。一人、二人ではありません。子どもたちはしっかり学んでいるのです。そしてそのような子どもの成長する力を発揮させることができたのは母親の頑張りだったのだと思います。相談室登校の娘さんを見放すことなく、少しでも効果があることは惜しまず与え続けました。それとともに母親は、娘を支え続けるために自分の心の安定も求めました。娘さんは三者面談の中で一言も発しなくても、母親の言葉、カウンセラーの言葉をしっかり聞いていたのです。自分を支えてくれる人たちの中で自分は何をすべきかを考え続けていたのでしょう。子どもは母親や家族に支えられ、母親や家族は社会に支えられるような循環が子どもたちの成長には不可欠だとの思いを深めたケースでした。
2017年05月20日学校によって異なりますが、持ち込んではいけないものを定められている学校も多く、中には携帯電話の持ち込みを禁止している学校も存在します。最近では、防犯のために携帯電話を持たせるべきだといった議論もあるようで、持ち込みはOKだけれども使用は禁止にしているといった学校もあるようです。さて、このような持ち込み禁止のものですが、生徒の持ち込みが発覚した場合、先生がその物品を没収することもあるようですが、先生には生徒の持ち物を没収する権利はあるのでしょうか?今回は先生にはどんな権利があるのかについて解説していきたいと思います。*画像はイメージです:■先生の懲戒権で可能学校教育法11条は、校長及び教員が児童、生徒、学生に懲戒を行うことができると定めています。法律では、懲戒権としてどこまで具体的な行為が可能かまでは明記されていません。しかし、生徒らの権利を制限する結果をもたらす懲戒権を認めた法律の趣旨は、校内秩序を維持し、教育目的の実現を図ることにあるので、このような懲戒権の存在目的からすれば、当然、教師の懲戒権には一定の限界があることになります。例えば、生徒の身体に対する懲戒行為については、特に禁止される体罰との区別の関係で、文科省が許される範囲についてガイドラインを示しています。これに対し、生徒の所有物を没収するという懲戒行為は、特にガイドラインなどがないようですが、懲戒権の存在趣旨から、学校教育指導に必要な範囲で、かつ、没収の態様、生徒の不利益等を勘案して相当な範囲に限り適法と考えられます。 ■処分はNGの可能性あり学校現場で行われる持ち物没収は、ほとんどの場合、在学中もしくは登校中に一時的に教師が取り上げて預かることをしているのみで、預かった生徒の所有物を学校側が勝手に処分することはありません。校則で持ち込み使用を禁止しているものを没収(一時預かり)することは、少なくとも在学中もしくは登校中に限っては、教育指導に必要であり、生徒の被る不利益も校則違反の制裁としてやむを得ない範囲にとどまっているといえ、懲戒権の行使として適法と考えられます。これに対し、例えば持ち込み禁止・使用禁止の生徒の携帯やゲーム機を預かるだけでなく、学校側が勝手に処分してしまうことは、生活指導として過剰といえ、懲戒権の範囲を超える可能性があります。ただし、タバコやお酒といった未成年禁制品は、学校外でも法律で禁止されている以上、教育指導として処分まで許されると考えてもよいでしょう。下校時間になったから返還、というわけにはいきません。また、没収の態様は、生徒にきちんと告知して取り上げるのが原則です。体育の授業中に生徒不在の教室の荷物の中からこっそり抜き取ることは、そうしないと校則違反の物を発見できない特段の事情がない限り、懲戒権行使の方法として相当性を欠き、違法とされる可能性があります。 ■懲戒権を超えた場合の責任懲戒権を超える没収があった場合は、損害賠償の他、窃盗罪の責任に問われる可能性があります。ただし、教育現場で行われている没収(一時預かり)が懲戒権の範囲を超える事例はほとんどありませんので、生徒学生の皆さんは若気の至りで先生に向かって無駄な抵抗を試みるのではなく、将来のためにも先生のいうことを素直に聞きましょう。 *この記事は2015年2月に掲載されたものを再編集しています。*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)【画像】イメージです*よっし / PIXTA(ピクスタ)
2017年03月26日“教育困難校”という言葉を耳にしたことはありますか?これは、生徒の学習態度や学力などが原因で、教育に困難が生じている学校のことです。“学級崩壊”が学校全体に広がっているような状態をイメージすると分かりやすいかもしれません。小学校、中学校にも見られますが、特に高校において現在大きな問題になっています。時には進学校や高偏差値の高校などが、いじめや校内暴力によって教育困難校化していることもあります。しかし、ほとんどの場合はいわゆる“底辺校”、学力が著しく低い学校が、教育困難校となってしまっているのです。今回は、そんな学校にまつわる人びとにインタビューを行いました。伺った話をもとに、その実態を捉えてみましょう。●(1)教室は“メイク会場”、授業は実質15分……校内の風景まずは実際の学生や先生たちに、授業中の様子を聞いてみました。『授業中、普通に立ち歩きますよ。何のためかって?うーん、友達としゃべるためかな。仲よしの子がいれば、隣のクラスとかも行きます。あとはまぁ、ロッカーに物取りに行くとか。先生が見て見ぬふりで、ずーっと普通に授業続けてるからウケるんですよね』(高校2年女子)『朝行ったら、もう教室じゅうメイク会場だから(笑)。机にバーって化粧品広げて、3時間でも4時間でもかけてメイクしてる。教科書?持ってないですよ(笑) 。一度も持っていったことないかも。みんなそうだから別にヘンとか思わなかった』(17歳女子/高校中退)『テストは一応あります。事前に対策用プリントが配られて、そこにはテストに出る問題と模範解答が書いてある。当日の試験には、そのプリントが、まるっとそのまんま出題されます。だから前日にプリントを覚えてれば、まあ赤点は免れるってわけ。全部覚えれば満点取れるはずなんだけど、そういうヤツはいなかったですね。みんなギリギリでした』(18歳男子/高校中退)『生徒がなかなか教室に入ってこないので、授業がいつまでも始められません。また、終了の15分前くらいになると、それぞれ勝手に立ち上がって帰り支度を始めます。そして口々に、「センセー、もう授業おわっていいよー」だの、「バイトなんで帰りまーす」だのいい始め、実際に帰ってしまいます。45分間のうち、実質授業に使えるのは15分もないのが現状です』(50代男性/高校教師)●(2)コンビニは出禁、校舎から怒号……近隣住民の話続いて、近隣住民からはこんなエピソードが。『このあたりのコンビニほとんど全部、あの高校の生徒は出入り禁止です。万引き、長時間立ち読み、商品の汚損などが本当にヒドイ。うちでは、カップラーメンを作るためのポットのお湯を生徒同士が飛ばしてかけあい、店員にもケガをさせる寸前だったことがありました。1人で普通に買い物に来るぶんには特に問題ない客なのですが、昼休みなどに集団でやってくると手におえません 』(50代男性/コンビニ店長)『日中に学校の近くを通りかかると、先生の怒鳴り声が聞こえます……。時には複数の男子生徒が喧嘩をしているような声もします。登下校中の風景を見ていると、服装こそ乱れているものの和気あいあいとしていて、みんな楽しそうにしてるんですけどねぇ』(30代女性/主婦)●(3)何だかんだ言って楽しい学校……卒業生の話最後に、卒業生からも話を聞いてみました。卒業した学校に対し、どんな印象を持っているのでしょうか。『先生とは敵みたいな最高の友達みたいな絶妙な距離感で、決して嫌いではなかった。むしろ、マジな悩みで身動きとれなくなってたときに、声かけてくれて、飯おごってくれたりした。友達もみんなどうしようもないバカだったけど、愛嬌がよくて憎めないやつばっかりで。何だかんだ言って楽しかったからこそ、卒業まで残れたんだと思う』(20代男性/アルバイト)『お祭り大好きな“パリピ”系のヤツは、どんどん中退して最後全然残んないです。でもね、だいたい地元で結婚して子ども産んで、ダンナと赤ちゃん連れてクラスに顔出しに来たりするんですよ。で、みんなでその子ら囲んで写真撮って騒いで。そういうときは先生も嬉しそうだったし、自分はその雰囲気って好きでした。でも、授業中一言もしゃべんないでいつの間にか消えたヤツとかもいて、そういうのは音信不通で何やってるのかもわかんない。引きこもりになったとか、警察に捕まったとかの噂 は聞くけど……』(20代女性/主婦)----------みなさん、どのような印象を持ちましたか?今回拾うことができた声は、現状のほんの一部を切り取ったに過ぎないものでしょう。渦中にいる学生、そして卒業生たちの語り口は軽妙で、少し聞き取った限りでは楽しそうなものでした。しかし、その裏には多くの問題点が隠れています。卒業後の進路の問題、疲弊していく教師たちの姿、そして卒業生らが口々に語った「音信不通になっているクラスメイト」たちの存在など、見過ごすことができない点はさまざまです。子どもたちをとりまく、教育困難校。大きな社会問題として、クローズアップされるべき事象なのではないでしょうか。●文/パピマミ編集部
2017年03月13日安倍政権になって、最初に始めた議論は、大学入試改革、道徳や英語の教科化、そして幼児教育の無償化でした。幼児教育の無償化は、幼児期の義務教育化が期待されていましたが、現在は財源の関係で、年収要件を付けた経済的支援という形になっています。教育というよりは子育て支援の一つと考えた方が正しいでしょう。最近になって、「教育の無償化」として、高校や大学まで、希望する人すべてが進学できるように、義務教育の後も無償化すべきという意見も聞かれるようになりました。ただ、幼児教育を無償化する財源の8000億円ですらなかったのですから、全ての教育を無償化するために必要な5兆円を国が配分するとは思えず、これはあまり期待しない方がよいと思います。そして、子どもに習わせたいお稽古ごとの上位に入る「英語」。これは、3年後に5、6年生で教科化されることになりました。教科になるというのは、成績もつくということです。そなると、「中学受験でも英語が必要?」と不安になりますよね。これは基本的に受け入れる側の中学の判断になりますから、これからは中学受験のための英語を勉強しなくてはならないこともあるかもしれません。ただ、大学受験のための英語がそうであるように、「受験のための英語」を学ぶことは、将来、実践としてはほとんど役に立ちませんから、本当に必要なことなのかどうか、学校側も、また親もしっかりと判断することが必要です。また、今5、6年生が「外国語活動」として行っているものを、3,4年生に前倒しします。つまり早期に始めることで、より「使える英語」にするということを目指しています。道徳の教科化については、いじめ問題への対応として始まったものでした。これも英語と同じタイミングで教科になり、やはり成績もつくようになります。とはいえ、なかなか数値での評価は難しいので、記述式での評価になる予定。今、道徳の授業といえば、年間35時間は教えることになっているものの、運動会などの練習に振り替えられたり、お話を読んで考えるという授業方法から、国語との違いがわからないなど、真剣に取り扱われていない実態があります。教科にすることによって、物事の善悪を考えたり、思いやりの心を育てたりなどいう本来の道徳の教育がきちんと行われるようになることが、期待されています。大学入試は、4年後に大学生になる今の中学2年生が受験をするときから、新しい制度になる予定です。数年間の試行期間を経て、本格的に変わるのは、そのあとになるので、今の段階では、まだまだどうなるのか不透明。でも方向性としては、1回きりの試験から、通年で機会がある、マークシートだけでなく記述問題も出るなど、少しずつ固まりつつあります。講義式の一方通行の授業から、自分たちで課題を見つけ考える「アクティブラーニング」、コンピューターに早くから慣れ親しむためのICT教育など、小学校では3年後、中学校では4年後の本格実施に向け、今、様々な準備が進められています。ちょうど、子供がこの時期に差し掛かるという世代が多いみなさんにとっては、不安もことさら大きいことでしょう。今の教育も、ましてや自分たちが受けてきた教育は、全く参考にならないのではとも思ってしまいますね。親として、こんなにたくさんある変化を、どう受け止めればよいのか。私は、まず親が、自分の子どもが生きていく将来の社会の姿を、一生懸命想像し、考えることだと思っています。科学の進歩は目覚ましく、今、小学生の子どもたちが将来就く仕事の6割は、今ない職業だとも言われています。今の小学生が社会人になるのは、あと10年ちょっとのことです。進歩や変化は早いので、なかなか想像するもの難しいと思いますが、とにかく頑張って、一生懸命考えるのです。そしてその将来の社会で、どんな能力が必要になるのか、それをさかのぼって考えていくことで、今、子供に必要な教育も見えてくるはずです。また一方で、社会がどう変わろうとも、「人」として必要なことは、どの時代も大きく変わるものではありません。例えば、人の気持ちを考えることができる、約束を守るなど人間としての基本は普遍的なものです。親としての責任は、子どもの将来に責任を持つことができるかということに尽きると私は思っています。今、親である自分自身が持っている最大の力を尽くして、一生懸命考え、想像し、責任を持って子供たちを、将来へ導いていきましょう。春は別れと出会いの季節。進級や進学を控える子どもにとっては、一年間の締めくくりです。それを見守る親としても、なかなか感慨深い日々が続きます。新しい環境のスタートである4月の新学期よりも、親にとっては、「3学期の終わり」にこそ、子どもの成長を実感するように思うのです。そして私自身も、今年、小学校を卒業する子どもに、成長への感慨深さと共に、何だか整理できない寂しさも感じています。ランドセル姿を見るのもあと10日。そんな進学や進級を控えた「別れと出会いの季節」に、これからの子どもたちの教育や、生きていく社会はどのようになるのかを、改めて考えてみるのもいい機会です。
2017年03月10日社会的にも省エネ化がうたわれるようになり、家づくりのテーマのひとつとしても省エネが掲げられるようになりました。その中でしばしば聞かれるのが「省エネ基準義務化」という言葉。一体どのような義務で、住宅や生活はどのように変わるのでしょうか。詳しく見てみましょう。■省エネ基準義務化への対応2015年から、現代の住宅における「省エネルギー性」に関する基準が設けられ、省エネが義務化することが決定しました。法案の名称は「建築物の省エネルギー性能の向上に関する法律案」というものです。日本の省エネルギー基準は、当初「新省エネルギー基準」というものが設けられ、そこから「次世代省エネルギー基準」「改正省エネルギー基準」へと強化され、東日本大震災後の2013年、新たに「改正省エネルギー基準」というものに改正されました。そして、これまでは基準でしかなかった省エネルギー基準が2020年にはすべての新築住宅を対象に義務化することが求められるようになりました。つまり、国が定めた省エネルギー基準に則った家でないと建てられないことになっているのです。これまでの住宅では、石油やガスなどのエネルギーが多用されていましたが、国内におけるこれらのエネルギーの自給率はわずか4〜5%。そのため国としては少しでも住宅での消費エネルギー量を減らしたいと考えているのです。また、義務化されることで温室効果ガスの排出量の削減も狙えるため、こうした目的も考えられるでしょう。突如起こったことのようにも思えますが、海外ではすでに省エネ基準の義務化は進んでいて、アメリカ、イギリス、ドイツ、韓国などでは数十年前から適合義務がありました。冬に暖房が必要になる国でありながら無断熱が許されていたという日本の状況は、世界から見ても遅れた状態にあったのです。また、日本で特に弱点だったのが窓の性能。窓の断熱性能は「熱貫流率」が低いほど高性能と言われますが、日本ではこの数値が4を超えるアルミ複層ガラスを用いている住宅が多く見られます。実は窓は、暑さ、寒さの原因と言われるほどに重要なもので、ドイツでは数値が1.3を超えるものは使用禁止となっています。こうした点を考慮すると、これまでの日本は他国に比べると基準が低いと言わざるを得ない状況だったのです。■改正省エネルギー基準は前の基準とどこが違う?改正省エネルギー基準の義務化が重要であることはわかりましたが、省エネ基準自体は昔からあったものです。今回の改正省エネルギー基準が今までのものとどのように違うのかわからないという方も少なくないでしょう。以下では、以前の基準と比較してどのように変わったのかを見てみましょう。【一次エネルギー消費量基準を導入】もっとも大きな違いとしては、旧基準である次世代省エネルギー基準が、壁が開口部などの冷暖房する空間と外気を仕切る「外皮」を断熱性能だけで評価していたのに対し、改正省エネルギー基準では、外皮に加え「一次エネルギー消費量基準」というものを新たに導入した点が大きな変更点です。一次エネルギー消費量とは、住宅の燃費の良さを表すもの。これまでの住宅では主に断熱性能を評価していましたが、それだけでは家の中で使うエネルギー量を減らすには至りませんでした。そこで、設備機器を含めた全体の省エネ性能を評価することで燃費の良い家を増やそうと、一次エネルギー消費量の基準が設けられたのです。戸建住宅の場合、空調や冷暖房、換気、照明、給油、家電調理などの設備のエネルギー消費量を合計することで、一次エネルギー消費量は算出されます。その際、太陽光発電やエコキュートなどの高効率給湯器は、エネルギー削減量として差し引くことができます。こうして算出された一次エネルギー消費量が、旧基準の断熱性と標準的な設備を考慮して割り出された基準値を下回ることが求められます。【外皮の計算方法も新しいものに変更】一方、外皮の評価方法も従来のものとは変わります。これまでは床面積から算出した「熱損失係数」と「夏期日射取得係数」を活用していましたが、それに代わり、外皮表面積から算出する「外皮平均熱貫流率」と「冷房期の平均日射熱取得率」に変更されました。これは、室内の寒暖差によって急病を起こしてしまう「ヒートショック」や結露の防止など、エネルギー消費量だけでは測ることのできない室内温度分布の観点も考慮されています。そしてこれまであった「年間暖冷房負荷」の基準が廃止となりましたが、断熱性能については旧基準に相当する水準が引き続き求められます。【地域区分は6から8に変更】改正前は6つだった区分が8つに変更されました。また、すべての区分で「日射遮蔽性能(日射熱取得率)」「断熱性能(熱貫流率)」の基準が設けられていましたが、改正後は区分1〜4に属する寒冷地においては日射遮蔽性能の基準が設けられておらず、区分8に属する蒸暑地においては断熱性能の基準が設けられていません。省エネ基準の判定は、「建築主の判定」と「設計・施工指針」のふたつのルートで行われます。建築主の判定は複雑な計算を用いる必要があるため、特別な支援プログラムが用いられ、一方の設計・施工指針に用いられる「外皮性能簡易計算法」は、外皮の建材に関する仕様書を使うと簡単に算出することができます。■新しい基準では光熱費が以前と比べてどれくらい削減できる?新しい基準が定められたことで、光熱費にはどのような変化があるのでしょうか。改正省エネルギー基準をすべて満たしている家と無断熱の家で比較してみると、60%近くもの削減が予想されることがわかりました。また、国土交通省が発表している資料によると、昭和55年に建てられた無断熱の家の年間光熱費が133,000円なのに対し、平成28年に建てられた省エネ基準を満たした家の年間光熱費は52,000円という結果が出ています。年間費用で比較しても大きな差額だと言えますが、これが35年も積もると、その差額は2,835,000円にものぼることになるのです。それでは、具体的にどのような部分において費用が削減されるのか見てみましょう。家庭におけるエネルギー消費は「給湯」がもっとも多く、次いで「照明・動力」「暖房」「冷房」という順番になっています。そのため、空気中の熱を集めて熱に変えるヒートポンプ技術を使った「エコキュート」、これまで無駄にしていた排熱を使ってお湯をつくることができる潜熱回収給湯器「エコジョーズ」などを駆使することで、給湯にかかる光熱費をぐんと抑えることができます。また、照明はLEDへの切り替えが進んでいますが、これも省エネに効果的。LEDの消費電力量は白熱電球の4分の1〜5分の1と言われていて、電力の変換効率は最大で34%。蛍光灯が25%、白熱電球が10%なのに比べると節電性が高いことがうかがえます。LEDは寿命の長さも特徴のひとつで、白熱電球の寿命が1,000〜2,000時間、蛍光灯の寿命が6,000〜12,000時間なのに対しLEDの寿命は40,000〜60,000時間。圧倒的に長く、光熱費のコストダウンも狙えるのです。さらに、実際に家を建てる地域よりも1段階寒い地域での省エネ基準に合わせると、節約効果はぐんと向上します。こうした機能の高い住宅を昭和55年の無断熱の家と比べると、年間で光熱費に190,000円もの差が生じるという結果も見られました。この金額が15年積み重なると3,000,000円もの差額になります。省エネ基準を満たすためには初期費用がかかるという懸念がありますが、こうした光熱費の差額を考慮すると、最終的には省エネ住宅の方がずっとお得だと言えそうです。■ゼロエネルギー住宅とは?これからどんどん普及していく?住宅の省エネルギー化を進めるにあたって、政府が最終的な目標としているのが「ゼロエネルギー住宅」です。これは住宅で使用されるエネルギーをゼロにすることを目標としているもので、現在の計画では、2030年に新築住宅の平均をゼロエネルギー住宅に、2050年にすべての住宅がゼロエネルギー住宅となることを目指しています。ゼロエネルギー住宅では、これまで掲げられてきた省エネに加え「創エネルギー」の導入も推奨されています。そして自宅で消費するエネルギー量よりつくりだすエネルギーの方が多い家を「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」、ZEHには至らないものの近い状態の住宅を「NearlyZEH(ニアリー・ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」と呼んでいます。NearlyZEHの定義としては、「ZEHを見据えた先進住宅として、外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備え、再生可能エネルギーにより年間の一次エネルギー消費量をゼロに近づけた住宅」とされています。数値で言うと、100%以上の省エネを実現したものをZEH、75%以上100%未満の達成率のものをNearlyZEHと定めています。以下では、具体的にZEHと認可されるために必要な条件を見てみましょう。【外皮の高断熱化】ZEHを実現するには、屋根や壁など外皮の断熱性を高めなくてはなりません。「強化外皮基準」で8つに分けられた区分のうち、住宅が該当する区分が定める数値を下回らなくてはなりません。高断熱が実現し、夏は涼しく冬は暖かい家になると、冷暖房の利用が自ずと減ってきます。住宅における冷暖房によるエネルギー消費量は大きいため、この部分が減ることによってエネルー消費量はぐんと少なくなります。ZEHの目的として、単純にエネルギー面がプラスマイナスゼロになれば良いというわけではなく、使用するエネルギー量自体をきちんと減らすことも考慮されていることが窺えます。【高効率な省エネルギー設備】ZEHの住宅では、使用する設備に省エネタイプを選ぶことも重要です。前述のようなエコキュートやエコジョーズといった設備や電球などの設備をはじめ、工夫できるところはたくさんあります。住宅で使用する設備は給湯や照明のほかにも、冷暖房や換気に関するものなど多岐にわたります。これらのひとつひとつに省エネタイプのものを選ぶことで、住宅全体のエネルギー消費量が抑えられZEHの実現へとつながるのです。【再生可能なエネルギーを活用】上記でご紹介した方法のように、極力使用するエネルギー量を抑えることは大切です。しかし暮らしていく上で、エネルギー量を完全にゼロにすることは不可能でしょう。そこでZEHの住宅を叶えるために、消費量以上のエネルギーを生み出すことが求められるのです。ポイントとなるのが、「自然エネルギー」。自然エネルギーとは太陽光や地熱、風力、水力など自然の力を活用して起こすエネルギーのこと。エコキュートなども自然エネルギーを上手に活用した設備となっています。ほかにも屋根に太陽光パネルをつけて発電をしたり地中に管を通したりすれば、家で使う電力をまかなえるだけでなく、余った分は電力会社に売ることもできます。また、こうしたエネルギー量を測るために計測装置を設置することも、ZEHの条件のひとつと言えるでしょう。もし家を建てる際にZEHを希望する場合、高性能な設備などを用意するために追加費用として2,500,000〜3,000,000円ほどかかると言われています。やむを得ない費用とは言え、大きな額の出費となってしまうことが予想されます。そこで国ではZEHの補助金制度を設けています。対象となる設備は高断熱の外皮や窓、高効率の空調や給湯、換気、照明器具などで、2016年度の補助金の額は全国一律で1,250,000円、寒冷地仕様の住宅の場合は1,500,000円でした。この時注意しておきたいのが、ZEHにおいて不可欠な太陽光発電は補助の対象外であるということです。しかし、太陽光パネルの設置費用は補助金の額にほぼ相当しています。そのため、補助金は太陽光パネルの設置費用に充てると良いでしょう。また、対象となる住宅の条件は以下の通りなのでこちらも申請前に確認しておきましょう。・専用住宅で、補助金の申請者自身が常時居住する住宅であること。ただし、住宅の一部に店舗などの非住宅部分があっても、条件を満たせば認められます。・新築建売住宅の場合は、申請者が建売住宅の購入予定者でもあること。・既築住宅の場合は、申請時に申請者自身が所有していること。賃貸住宅や集合住宅は基本的に対象外となりますが、申請者が所有する賃貸住宅・集合住宅の一部に申請者自身が居住する場合、その部分にのみ申請することは可能です。■まとめ国は2020年までに省エネ基準の義務化やZEHの標準仕様化を目指しています。もちろんエネルギー消費量を考えたゆえのことではありますが、これによって私たちの住宅が快適で暮らしやすいものになることが予想されます。省エネ基準の義務化にともない、省エネと創エネを実現していきましょう。
2017年03月01日小学生になって義務教育がはじまると、保育園や幼稚園のときとはちがい家族旅行をいつにしたらいいのか悩むこともあります。学校を休んでまで家族旅行に行くのはありなのか、それともなしなのかをパパとママに調査してみました。頑なな反対派と思い出重視の賛成派、あなたはどっち?Q.学校を休ませて家族旅行、あり?なし?1.あり 43.5%2.なし 41.3%3.わからない・どちらとも言えない 15.2%あり派となし派がほぼ同率という結果になりました。対立する2つの意見の理由にはどんな考えがあるのでしょうか。親たちのリアルな声を聞いてみましょう。■学校優先が第一。家族旅行は休みに行くものなし派の人は学校が第一優先という考えの人が多いようです。夏休みや春休みもあるのに、なぜわざわざ平日の学校があるときに家族旅行に行くのかが信じられないという意見も。「絶対なしです。夏休みや春休みがあるのに、学校を休ませてまで旅行に行くのは神経を疑います。義務教育の授業を軽視しているとしか思えない」(佐賀県 40代女性)「我が家はなしです。学校休んで行楽できるなんて意識を子供が持ってしまったら嫌です」(神奈川県 40代女性)「平日は学校というルールを曲げてまで、旅行を選択することはありません。学校優先です。体調が悪くて欠席するのとはわけが違います」(神奈川県 40代女性)■家族との時間も貴重な体験賛成派の人たちは、家族との旅行も貴重な体験や思い出になるのでありという意見でした。もちろん、頻度や休んでいた時のフォローなどはするのが大前提。仕事の都合で平日しか休めない親もいるので、ある程度は許容範囲ということのようです。「親のお休みが平日しかないならいいのではないでしょうか。私は土日休みなので、休ませてまでは連れて行きませんが、家族と過ごすのも立派な勉強だと思うので賛成派です」(神奈川県 40代女性)「頻繁ではなく、学校に迷惑のかからない時期や、遅れる勉強のフォローができるのであれば、家族旅行も貴重な経験です。寛大であってほしいなぁ。むしろ先生は『いい思い出作ってきてね』と送り出してくれましたよ」(広島県 40代女性)「長い人生からすると数日間なんてほんの一瞬。その一瞬が家族にとって永遠の記憶に残るのであればまったく問題ない」(千葉県 50代女性)■中学生以上になると家族旅行にも行けない小学校は確かに義務教育だけれど、よろこんで親と旅行に行くのも小学生まで。そう考えると、子どもが小さいうちにもっと家族の時間を増やしておけばよかったと後悔している人もいるようです。「親と一緒に行動してくれるのも小学生までなので、ありだと思います。我が家は大学生がバイト、高2と中2が塾と部活と、今年は正月すら家族がそろいませんでした。今となっては子どもが小さいうちに色々行きたかったな。もう少しなんとかなったんじゃないのかなとちょっと後悔しています」(神奈川県 50代女性)Q.学校を休ませて家族旅行、あり?なし?アンケート回答数:8241件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2017年02月20日「子育てに取り入れるといいらしい」と耳にすることもあるモンテッソーリ教育が気になっているという方も多いのではないでしょうか。モンテッソーリとは、教具を使った「お仕事」(遊びの時間)や個別活動による自主性を重んじた教育活動が特徴の教育法のことです。保育所や幼稚園で取り入れられることもある“モンテッソーリ”がどんな教育方法なのか、家庭でも実践できるのか、など詳しくご紹介します。モンテッソーリとは? そもそもモンテッソーリとは、マリア・モンテッソーリ(1870〜1952年)というイタリア人女性医師が開発した教育方法のことです。「モンテッソーリメソッド」「モンテッソーリ教育」などさまざまな呼ばれ方をしますが、どれもマリア・モンテッソーリが提唱した教育方法のことを指しています。マリア・モンテッソーリは、女性医師として子どもと触れ合うなかで、ある物事に関して吸収力が大きくなる期間があることに気が付き、それを“敏感期”と呼んで注目し始めました。1907年にイタリアに「子どもの家」という保育施設を作り、子どもが本来もっている能力を適切な援助で引き出していくモンテッソーリ教育法を生み出しました。この教育法は、「子どもの発見」と呼ばれ、現在でもその考えを継承した教育を行う幼稚園や保育施設、学校は世界中に存在し高い評価を得ています。モンテッソーリ教育の目的 モンテッソーリ教育の主な目的は、子どもの自立にあります。モンテッソーリの教育法によって引き出していく自発的に行動できる力や考え学び続ける力などは自立によってかなえられるとされているためです。「子どもは自分で成長し発達する力をもって生まれてくる」ことがモンテッソーリの教育法の基本でもあります。そのため大人は“子どものサポート役として“援助”するだけで、子どもの自発的活動を妨げてはいけない”存在だとされています。これをマリア・モンテッソーリは「生命の援助」と呼び、いまでも大切な理念として根付いているのです。どんな方法で行うの? “ひとりでできるようになる”ために、環境を整えることと少しの援助を行うことが大人である親や先生には求められており、“子どもを見守る”ことが重要だとされているのがモンテッソーリの教育法です。自発的に活動できるよう、自由にやりたいことができるよう準備をすることが、“環境を整えること”です。その準備は、ただ教具と呼ばれるおもちゃなどを用意しておくだけでなく、成長過程に合わせた物を置くことや「やってみたいな」と思わせる物でなければなりません。大人は、あくまでその成長を援助する“人的環境要因”ではありますが、適切なサポートを行えるよう常に意識して子どもを見守っている必要があります。つまり、自由になんでも好きなようにさせるのではなく、そのとき個々人に必要だと思われる物を適切な時期に“自分で”選び取れるよう援助するのがモンテッソーリの教育方法なのです。モンテッソーリの特徴 モンテッソーリの教育法には、大きく分けて3つの特徴があります。モンテッソーリの特徴1.個別活動モンテッソーリといえば“個別活動”が大きな特徴です。集団で行動するためには、”だれか”に合わせて動かなければなりませんが、一人ひとり興味やそのとき必要としていることは異なります。そのためモンテッソーリの教育法では、個別活動を基本としています。個別活動が基本ではありますが、子ども同士が一緒に遊ぶことを禁じてはいるわけではありません。子どもたちが一緒に遊びたいという気持ちをもっていれば、それがその子どもたちの活動になります。大切なのは、“子どもが自主的に活動しているか”にあるため、「個別活動ばかりで友だちと遊ばせてもらえないのでは」という心配はいらないでしょう。モンテッソーリの特徴2.自発性を重んじる個別活動の前提でもありますが、モンテッソーリの教育法は“子どもの自発性を重んじる”ものです。自発的に「これがしたい」と考え行動できるようになることもモンテッソーリの目的のひとつであるため、大人(先生)は自発性を妨げないよう、環境を整えています。また、遊びのことを“お仕事”と呼んでいることも大きな特徴として覚えておきましょう。モンテッソーリの特徴3.集団生活をするときには縦割りが基本幼稚園や保育所、学校でモンテッソーリの教育法を取り入れるときには、“縦割り”でクラス編成を行います。これは、社会性や協調性を身につけるために、大体3歳程度の年齢幅でクラスをまとめているのも特徴のひとつです。幼稚園では3・4・5歳児が混ぜられた異年齢クラスになり、保育所では0・1・2歳児と3〜5歳児の2段階でクラス編成されるケースが多く見られます。モンテッソーリの教育法5分野って? モンテッソーリの教育法は、5つの分野にわけられています。それぞれに適した教具があり、発達に沿った教具のレベルも分けられていますが、“大人が考えたカリキュラムの順番通りに進めていく”のではなく個々人に合わせて活動していきます。モンテッソーリの教育法1.運動運動=身体を動かす体育、ではなく、日常生活を営むうえで必要な動きを身につける分野が運動です。“思った通りに身体を動かして、自分のことは自分でできるようになる”ことを目的としています。大人の真似をしたがる主に2〜3歳頃を運動の敏感期と呼び、自立心や独立心といった基本となる心を養う時期として、適切な環境や援助を行っていきます。モンテッソーリの教育法2.感覚モンテッソーリの教育法では、2〜4歳頃を“感覚の敏感期”と呼び、他者との比較から自我の芽生えを援助する時期と考えています。生活のなかで自然と“持ち物の比較”などから自分と他者との違いを感じ始めたら、比較をテーマとした感覚教具を用意し、“同じ・違う”といった仲間分けなどを理解できるように援助していきます。モンテッソーリの教育法3.言語子どもが言語を習得するときには、“物には名前がある”ことを認識し、“性質を表す言葉”があることに気づき、“物をつなげて考えられる”ようになるという段階を踏むというのがモンテッソーリ教育法の考え方です。言語習得の流れの援助を行うために、適切な時期に絵や文字のカード(教具)を使って、話す・読む・書く力を身に着けていくのが言語分野です。モンテッソーリの教育法4.算数量=具体的な物、を理解することから始まり、徐々に“抽象的・論理的”な物の考え方ができるように導いていくのが算数分野で、そのための教具は細かな段階に分けられています。あくまで難しい計算ができるようになるのは結果であり、まずは考え方を身につけていくことを、モンテッソーリの教育法では大切にしています。モンテッソーリの教育法5.文化他の4分野の集大成ともいえるのが“文化”です。基礎的な力が身についたところで、歴史・地理・音楽などから、“文化を学び吸収する力”をつけていく分野となっています。モンテッソーリの“教具”モンテッソーリの教育法では、“教具”と呼ばれる道具が使われています。モンテッソーリ教育のおもちゃと言われることもありますが、正式には教具です。時期や子どもの成長に合わせて選んだものを“環境”のひとつとして置き、子ども自身が自主的に手に取るようにしなければなりません。本来“教具”は、おもちゃでも教育のためのアイテムでもないという扱いなのですが、感覚的には、おもちゃと教育グッズの中間に位置しているような存在と考えていてもいいでしょう。大切なのは、その“教具”を使うことを目的とするのではなく、“子どもが自発的に教具を使って遊び(=お仕事をする)、成長や発達のサポートになっている”ことにあります。その点をしっかりと押さえたうえで、教具を取り入れるようにしましょう。モンテッソーリ教育には資格が必要? モンテッソーリの教育法を行うための資格やモンテッソーリ教育が受けられる場所をご紹介します。モンテッソーリ教育の資格厳密には、モンテッソーリ教育を行うために必要な資格はありません。民間資格がいくつかあり、就職時に“○○資格の取得”が求められる可能性はありますが、保育士や幼稚園・小学校の教諭免許とは異なり、“絶対になくてはいけない”というものではないのです。ただし、モンテッソーリの教育法は、通常の“保育・教育”の勉強だけではなく専門的に学んだほうがよい部分もあるため、モンテッソーリ教育を行うプロになりたいと思ったときには、民間資格を取得するのがおすすめです。民間資格が受けられる機関日本で初めてモンテッソーリ教育の教師養成校を設立した公益財団法人才能開発教育研究財団/日本モンテッソーリ教育綜合研究所の「モンテッソーリ教育教師養成通信教育講座卒業資格」 モンテッソーリ教育 教師養成通信教育講座 | 公益財団法人 日本モンテッソーリ教育綜合研究所 国際モンテッソーリ協会公認の一般社団法人モンテッソーリ教育研究会で認定される「ディプロマ資格」 モンテッソーリ教育研究会 モンテッソーリ教育を受けられる場所日本では、モンテッソーリの教育法を取り入れている保育所・幼稚園・学校に通うことで、モンテッソーリ教育を受けることができます。保育所や幼稚園は、各地域にモンテッソーリ教育を取り入れているところがあり、近隣で探すと見つかることが多いですが、小学校になると数が少なくなるため、小学校でもモンテッソーリの教育法を受けさせたいと考えている方は、事前にしっかり調べておくことをおすすめします。小学生になると、アフタースクールや習い事として、モンテッソーリに触れるパターンもあるので、学校が見つからないときにはそちらも検討してみましょう。家庭でモンテッソーリ教育を行うコツ家庭でもモンテッソーリ教育を行うことはできます。その際は、“手を出しすぎない”ことを意識するのがコツです。モンテッソーリのもっとも大きな特徴が“自発性・自立”です。ついつい家庭だと、見守りきれずに手や口を出したくなってしまいますが、大人は援助をするのみ、“見守る”ことを常に意識して過ごすようにしましょう。また、モンテッソーリの教具は“おもちゃ”として販売されています。一度にすべてをそろえるのは大変なので、気になったものだけを取り入れてみるのもおすすめです。特に感覚教具や算数の教具は、モンテッソーリならではな特徴を感じられるものも多いため、最初の一歩として購入する物にピッタリです。「買ったのだからやって!」ではなく、家のなかに置いておき子どもが自然と手に取れるようにして、モンテッソーリの教育法の基本を押さえたうえで取り入れるようにしましょう。<参考> モンテッソーリ教育研究会 公益財団法人 才能開発教育研究財団 日本モンテッソーリ教育綜合研究所 モンテッソーリ学芸大学子どもの家オフィシャルサイト Mirai Kindergarten モンテッソーリ教育
2017年01月12日みなさま、こんにちは!海外生活25年続行中、国際結婚、国際子育て真っ只中のバイリンガル教育パパ、Golden Beanです。日本では、2011年度に英語が小学校5年生から必修になりました。今後さらに英語学習の低学年化が進み、2020年にはなんと小学校3年生から英語が必修になるそうです。「英語って、何歳から勉強し始めるべきなの?早ければ早いほどいいの?」「あまり早くに始めると、子どもが混乱して日本語が下手になったりしないの?」など、心配は尽きませんよね。娘を英語、日本語、中国語のトリリンガルに育てた 私が、自身の経験を交えつつお話させていただきます。●バイリンガルへの道バイリンガルになる道筋はさまざまです。・家庭で小さいころから2つの言語に接する場合・地域社会、保育園、小中学校や高校などで第二言語を習得する場合・大人になってから外国語の授業で第二言語を学ぶ場合などなど。それぞれのパターンを見ていきましょう。●幼児期のバイリンガリズムの類型幼児期のバイリンガリズムには(1)同時的(2)連続的の2種類があります。●(1)同時バイリンガリズム(Simultaneous bilingualism)早い段階で同時期に2つの言語を習得するケース です。例えば、母親が子どもにある言語で話しかけ、父親が別の言語で話しかける場合には、この子どもは両方の言語を同時に習得します。●(2)連続バイリンガリズム(Sequential bilingualism)子どもがある言語を先に習得し、その後に第二言語を習得する場合 です。子どもが家庭で第一言語を習得し、その後に保育園や小学校に通い、そこで第二言語を学ぶ場合などです。----------この同時バイリンガリズムと連続バイリンガリズムは、おおよそ3歳を境に分かれます 。子どもが3歳前に2つの言語を習得した場合、『第一言語としてのバイリンガリズム』と呼ばれます。3歳前ならば、2つの言語の習得は自然で、会話体中心のものとなります。3歳を過ぎると、習得する第二言語は学校教育による部分が多くなります。●同時バイリンガリズムの事例子どもをもっとも効率よくバイリンガルに育てるためには、それぞれの親が子どもに別々の言語を話すのが理想であると言われています。それは、『1人1言語(one person, one language)の原則 』と呼ばれています。オーストラリアで英語とドイツ語を使って2人の息子をバイリンガルに育てた事例があります(Saunders,バイリンガル教育研究者、1988)。この父親は、ドイツ語のネイティブではありませんでしたが、以前ドイツに住んだことがあり、そこでドイツ語を学び、ドイツ語には自信を持っていました。それで、息子が生まれたときからドイツ語で話しかけ、母親は英語で話しかけたそうです。わが家の場合は、娘が生まれたばかりのときから私は日本語で、妻は中国語で話しかけました。娘が3歳になる前に台湾からシンガポールに転勤になり、娘を英語の幼稚園に入園させました。つまり、娘は3歳になるまでに、毎日3か国語に接していたことになります。「混乱するんじゃないの?」と、周りの人には心配されましたが、それはなかったようです。15歳になる今では、英語、中国語、そして日本語をほぼ完璧に話すことができます 。●3歳までの『第一言語としてのバイリンガリズム』3歳までの、同時バイリンガリズムの習得に関する研究では、2つの重要な点が指摘されています。第1に、2つの言語の同時習得はひとつの言語の習得の発達順序や過程と同じであることをSwain(バイリンガル教育研究者、1972)という人が示しています。子どもたちはまるでひとつの言語を学ぶかのように2つの言語を学んでいる のだそうです。第2に、それと関連して、二言語併用が第一言語になる場合もあります。バイリンガルの子どもの2つの言語が、ひとつの言語体系によって支えられているという考え方です。3歳になるまでの子どもは、数か国語に囲まれる生活でも混乱することはありません。もし、国際結婚のご家庭の場合は、安心してパパはパパの国の言葉を、ママはママの国の言葉を生まれた赤ちゃんに話しかけてあげてください!●3歳以後の、連続バイリンガリズム連続バイリンガリズムとは、子どもが第一言語を習得し、それから第二言語に習熟していくような状況のことです。McLaughlin(バイリンガル教育研究者、1984)は、3歳という年齢を同時バイリンガリズムと連続バイリンガリズムの一応の境目として用いることを提案しています。子どもが3歳以後、第二言語に堪能になるための方法はさまざまで、唯一最良というものはありません 。●おすすめの学習時期第二言語を学習する年齢と、習熟に成功することとは関係があるのでしょうか?Singleton(バイリンガル教育研究者、1989)は、その詳細な分析を、下記のようにまとめています。**********(1)第二言語学習では、必ずしも若い学習者の方が年齢が上の学習者よりも効率よく上手に第二言語を身につけるとはかぎらない。(2)幼児期に第二言語を学ぶ子供たちのほうが、確かにそれ以降から学習を始めるよりも非常に熟達度の高いレベルに到達する傾向にある。しかし、この事実は、幼児期以降でも第二言語に十分に習熟できるという考えと矛盾しない。(3)おおまかに言えば、言語学習の過程において、年齢に関連した大きな違いはない。年齢に関係なく、第二言語の学習者は類似した言語発達の順序を示す傾向がある。(4)第二言語に触れる時間が長いこと(第二言語の教育を受けた時間)が第二言語の学習がうまくいくかどうかの重要な要因になる。第二言語の学習を小学校から始めてその後もずっと継続した子供は、後から第二言語の学習を始めた子供よりも高い習熟度を示す。(5)高い動機付けがあれば、学習の開始が遅れた者でも高い語学力を身につける可能性がある。**********年齢に関係なく高い語学力を身につけることはできるが、できれば幼児期や小学校から第二言語学習を始めれば、第二言語に触れる時間が長くなるので、熟達する可能性が高くなる、ということですね。●まとめバイリンガル教育についてまとめると、以下の5つになります。(1)同時バイリンガリズムは3歳までに起こる(2)同時バイリンガリズムにおいて、特に効率のよい方法は“1人1言語”である。それぞれの親が異なった言語を子どもに話す方法である(3)3歳以後の連続バイリンガリズムでは学校教育や日常生活(友人、近所の人とのつきあい、テレビ、映画など)で第二言語が習得される(4)第二言語に触れる時間が長いことが、第二言語の学習がうまくいくかの重要な要因となる。できれば幼児期、小学生のころから学習を始めれば、高い語学力を身につけることができる可能性が高くなる。(5)教室の授業や、生活の中で言語を学習することで、どの年齢の人でもバイリンガルやマルチリンガルになる可能性が残されている----------いかがでしたか?3歳までのバイリンガル教育と、それ以降のバイリンガル教育の違いについておわかりいただけたでしょうか。わが家の場合は、3歳前からの“同時バイリンガリズム”環境で娘を育てましたが、小学校から英語を始める“連続バイリンガリズム”でも、高い語学能力を身につけることができるのです。1人でも多くのお子様が英語を楽しく学び、バイリンガルになれますように!【参考文献】・『バイリンガル教育と第二言語習得』コリン・ベーカー(著)●ライター/Golden Bean(バイリンガル教育パパ)●モデル/藤本順子(風悟くん)
2017年01月07日教育相談とは出典 : 教育相談とは、子どもの発達と教育にかかわる問題について、子ども本人、保護者、学校の教員などに対して行われる、心理的・教育的援助のことです。教育相談というと、学校からすすめられてはじめて相談に行くことが可能となる、というイメージがある方もいらっしゃるかもしれませんが、学校からすすめられなくても悩みごとがあれば相談できます。相談できるのは、18歳までの子ども本人のほか、保護者、学校の教員など、子どもの教育・養育に関わる全ての人です。相談を受けているのは、学校や、校内のスクールカウンセラー、地域の教育相談センター、特別支援学校などです。教育相談は今、非常に広い概念として捉えられています。「何らかの問題が起こったときに悩みを抱えた人が、学校の教員や専門家に相談をすること」これが以前まで、教育相談という言葉が指していた意味合いでした。ですが、近年子どもの問題が多様化、深刻化するにつれ、教育相談に求められる役割は多岐にわたっています。求められる役割の広がりに伴い、「相談」という言葉から連想されにくい事柄についても教育相談の担う範囲とされています。教育相談の内容は、主に2つに分けることができます。一つ目は、問題を解決するために、問題を抱えた人が専門家に対して相談する、問題解決型の教育相談です。例えば・学校以外の機関が行う、匿名での電話相談サービス・特別支援学校や教育委員会が行う、発達が気になる乳幼児の保護者への子育て相談などがこれにあたります。二つ目は、問題が起こる前に、学校の教職員などによって行われる予防的な教育相談です。例えば、教師が学級活動の中で、児童生徒に対して行うロールプレイングや感情コントロールのトレーニングなどです。このように、教育相談が担うのは、問題が起こったときのみに行われる相談業務だけではありません。何か問題が起こったときに保護者や子どもが自ら課題を突きとめ、主体的に問題解決をできるように、これらの支援や活動は日ごろから行われています。教育相談の事業を通して、困りごとがあるときにも、子どもに関わる誰もが気軽に相談をできるような体制づくりが目指されています。学校を中心として、教育センターや特別支援学校、NPOなど、地域全体を通して、そのような体制づくりが行われています。教育相談ではどんな相談に乗ってもらえるの?出典 : 教育相談が取り扱う事柄はさまざまです。例えば、いじめや不登校、学習に対する不安などの学校生活に関わることから、就学や進路、子どもの発達のことなど、子どもの教育、養育上の問題に関するあらゆる内容を取り扱っています。心配ごとがあるときに、教育相談では以下のような相談を行うことができます。例えば、◇学校生活のこと・クラスでいじめにあっています。もう学校に行きたくありません。・子どもが朝になるとお腹が痛いと言って学校を休むようになりました。無理矢理、学校へ連れていった方がよいでしょうか。・学級に不登校の児童がいます。どのように対応したらよいでしょうか。◇子育てや家庭のこと・子どもが発達障害ではないかと心配しています。・忘れ物が多くて困っています。・子どもが自傷行為をしているようです。・子どもが反抗的で親の言うことを聞きません。◇就学先のこと・障害が重くても、地域の学校で学ぶことができますか。・小学校や特別支援学校に就学したあとに、転学の相談はできますか。◇情報関係・SNSに子どもの悪口が書かれています。どうしたらよいでしょうか。教育相談では、相談者の意見を尊重し、肯定的に受けとめながら、相談者にとって最適な解決方法を一緒に考えていきます。教育相談はどこで誰がしてくれるの?出典 : では、教育や養育に関する悩みごとがあり教育相談を受けたいと思ったら、どこへ行ったらいいのでしょうか。教育に関する相談を扱っているのは、学校の教職員、学校内の相談室、教育センター、特別支援学校などです。それぞれの相談先の特徴と、ご自身の悩みごとの内容に合わせて、相談先を選ぶことが大切です。出典 : 教育相談の活動で中心的な役割を担っているのが学校です。学校では、学級担任や管理職をはじめとして、養護教諭などの全ての教職員が協力をして、子どもの悩みを解決する体制が作られています。学校では、通学する児童生徒本人や保護者が教職員に対して相談することができます。いじめや不登校などの問題の他にも、子どもの気になる行動や、学習についての不安を中心に相談ができます。学校は子どもが毎日通うなじみのある場所であり、そこにいる教職員は毎日子どもに接しています。相談を行うことは、教員が子どもに対してより配慮のある対応をしてくれることにもつながります。学校における教育相談に特徴的なのは、教職員の側から子ども、保護者に対し、相談できる機会を積極的に設けていることでしょう。通称、呼び出し相談や定期相談といわれています。教職員が積極的に子どもや保護者に声をかけていくことにより、問題が起こる前に、その火種を発見でき、問題を未然に防ぐことが可能となります。学校における教育相談には、もう一つの側面があります。それは、悩みごとを抱える一部の子どものみを対象とするのではなく、全ての子どもを対象とする予防的な教育相談活動です。いじめを例にして考えてみましょう。いじめの被害者に対する心のケアは重要ですが、いじめに対して「やめてほしい」と主張をする力や助けを出すための力が必要な場合もあります。また、いじめの加害者側が高いストレスに晒されていることもあります。そのような子どもが加害者にならないようにするために、事前の予防的な教育が行われています。具体的には、授業やホームルームの中で、自分の言いたいことを適切に主張するためのアサーション・トレーニング、自分の怒りの感情をコントロールし、衝動的な行動に出ることを防ぐためのアンガーマネジメント、相手の立場になりきるロールプレイングなどが取り入れられています。出典 : 学校内に設置されている心の相談室・カウンセリングルームでは、スクールカウンセラーに相談することができます。学校の教職員に言いづらいことは、学校内の相談室で相談をするのがよいでしょう。スクールカウンセラーとは、臨床心理士、精神科医、心理学系の大学の常勤教員などの心の専門家です。また学校によっては、「子どもと親の相談員」というスタッフが相談に乗ることもあります。平成25年には、スクールカウンセラーが派遣または配置されている学校数は、20,310か所であり、平成7年に比べ、その数は約130倍となりました。これは、いじめや不登校問題の多発に注目した文部科学省が、教育相談に専門的に携わるスタッフを増やす施策をとったことによる変化です。学校内の相談室で相談をするメリットは、学校の教員とも保護者とも違う立場から話を聞いてもらえることでしょう。これらの相談員は、保護者や他の教職員とも利害関係がないために、客観的で中立な立場から冷静に話を受け止めてくれます。注意点は、相談者により話された秘密は原則として守られますが、問題解決のために事実関係の整合性を取る場合などに限って、相談から得られた情報を学級担任や管理職に共有することがあるということです。最終的な目的は問題の根本的な解決なので、相談員だけではなく、学級担任から見た子どもの姿や保護者から見た子どもの姿など、多角的な視点を用いた判断が必要とされる場合があるためです。また、相談員は外部の機関との連携を密に行っています。ですので、相談員や学校のみでは問題解決ができないと判断した場合には、児童相談所や医療機関などの機関と連携することもあります。スクールカウンセラーや子どもと親の相談員は、各学校に配置されている場合と教育委員会から派遣されて学校へやってくる場合があります。週に1~2回、学校内、あるいは学校の近くにある心の相談室・カウンセリングルームなどの場所で勤務を行っています。出典:スクールカウンセラー等配置箇所数|文部科学省スクールカウンセラーについて|文部科学省「子どもと親の相談員」について|文部科学省出典 : 教育に関する相談の受け付けを行っているのは学校だけではありません。教育相談センターや、教育センターという施設でも子どもの育ちや教育に関する悩みごとの相談をすることができます。例えば、不登校やいじめの問題について、学校が対応しきれず困りごとの解決が難しいときもあると思います。学校に言いづらい悩みごとは、学校以外の機関に相談するという選択肢があると知っておくことで、新しい問題解決の道が開けることもあります。これらのセンターは都道府県・市区町村が設置している施設であり、さまざまな専門をもつ相談員が相談に乗ってくれます。相談をすることができるのは、18歳までの子どもとその保護者、および教員です。相談には、心理相談を専門とする相談員が対応し、必要に応じて、継続的な面接やプレイセラピー、心理検査などを行います。またこれらのセンターでは、定期的に不登校に特化した相談会や、学校復帰・社会参加に向けた講演会が開かれていたりします。学校では得ることのできない情報を知ることができる場としても活用できるでしょう。相談者の状態や、何らかの事情によりセンターに来所することが困難な場合には、メールや電話でも相談をすることができます。相談内容によっては、児童相談所や医療機関などの関係機関を紹介される場合があります。例えば、相談員のみでは解決ができない、医学的な診断の必要である、また福祉的・法的な措置が必要な場合などです。また、相談の内容によっては、保護者の方にあらかじめ確認をとった上で、相談の内容を学校に伝えることがあります。というのも、学校の教職員と保護者が子どもの状況を共通理解することにより、柔軟で充実した対応を行うことができ、結果的に問題の解決への近道となることもあるためです。これらの機関は、学校や教員に対して直接的な指導を行うことはできません。ですので、以下に挙げるような対応の難しい相談事に関しては、あらかじめ相談先が断る場合もあります。・学校の運営・教員による子どもへの指導の内容・教職員の人事学校の運営や教員に対する意見がある場合には、まずは学校の管理職へ相談して、それでも解決しない場合は管轄の教育委員会へ相談を行うのがよいでしょう。出典 : 特別支援学校には、学校に在籍する子どもへの教育の他に、大切な役割があります。それが地域の障害のある子どもたちへのサポートです。この役割の一つとして、特別支援学校では、地域の子どもたちや保護者、小中学校の教職員から相談を受け付けています。以下のような相談を受け付けています。・子どもの発達についての相談・特別支援学校への入学や転学への相談・小中学校での教育についての相談相談には、特別支援学校の教員が対応してくれます。子どもの発達とその支援に関する知識や経験のあるスタッフが対応してくれるので、就学のことや、子どもの発達で心配がある場合には気軽に相談してみるとよいでしょう。特別支援学校で行われる教育相談は、就学以後の子どもに限らず、乳幼児やその保護者に対しても行われています。これは、平成23年に改正された障害者基本法を受けて、障害のある、または支援の必要な乳幼児とその保護者に対し、就学前から情報の提供の機会をより増やそうという国の動きによるものです。相談対応の他にも、特別支援学校では以下のように障害のある子どもに関わる大人や、本人を手助けするさまざまなサポートを行っています。例えば、・学校への巡回訪問・心理検査の実施・研修会の講師の派遣・授業や教材の工夫・個別の教育支援計画、個別の指導計画の作成のサポートなどです。保護者や教師など、子どもに関わる大人は、子ども発達や障害に専門とする教員やコーディネーターとともに、遊びの工夫や、子どもとの適切な関わり方などを一緒に考えていきます。教育相談にはどんな方法があるの?出典 : 相談の内容や、相談者の状態によっては、来所により話をすることが困難な場合もあります。教育相談では、来所に限らずさまざまな方法で相談をすることができます。ここではそれぞれの相談方法の特徴をご紹介します。全ての相談機関で、来所による相談を受け付けています。継続的に担当の相談員に対応してもらえるのが来所による相談の特徴です。相談者一人につき担当の相談員が一人つくことが多いので、来所するごとに、前回から変わった点や新たに加わった困りごとなど、問題解決までの間、その道のりを長期的に支援してもらえます。初回面接の際には、電話で相談内容を話した上で予約をする必要があります。電話による相談の特徴は、現在いる場所に関わらず、相談ができる点です。電話相談だけでは解決の道が見つからない場合には、実際に相談機関に来所することが可能です。匿名でも相談にのってくれる他、電話により相談員の対応を知った上で、来所による相談へ安心して移ることができます。電話相談では、相談員を指名しての継続相談は受け付けていないことがありますので注意が必要です。スマートフォンやPCの普及とともに、メールで相談を受け付ける機関が増えています。メールによる相談の特徴は、名乗らない限り、相手から相談者の身元がわからない点や、時間や場所に関わらず24時間メッセージを送信できる点です。一方、相談の返信が返ってくるまでに、ある程度の時間がかかったり、文字だけのやりとりのために、細かいニュアンスや表現が伝わりにくい場合があることには注意が必要です。機関によっては、文字数の制限があったり、メールの返信の回数制限があったりする場合もあります。詳しくはそれぞれの機関のウェブサイトをご参照ください。学校では通常、メール相談の受付は行われていませんが、教育センターや教育相談センター、NPOなどはメールによる相談を受け付けていることが多いです。学校や相談機関等に通うことが難しいお子さんを対象として、相談員が家庭・学校を訪問し、子どもへの支援や、その保護者の方との相談を進めます。学校や相談機関に通うことが難しい子どもでなければ利用できないことがあります。教育相談をしたいときには何をすればいい?出典 : 学校に相談を希望する場合には、学級担任のもとに連絡して実際相談をしますが、学校の教職員以外に相談をしたいときには、どのような手順で相談をすればよいのでしょうか。相談の流れやそれぞれの相談先の注意点についてご紹介いたします。学校の教職員ではなく、スクールカウンセラーや「子どもと親の相談員」に相談したいときの窓口は、学校により異なります。学級担任・養護教諭を通じて予約をする場合と、直接相談員に声をかける場合や、相談室の前にホワイトボードが置いてあり、誰にも知られずに予約をするシステムがある学校などさまざまです。また、通っている学校にスクールカウンセラーが配置されていない場合、近隣の学校に配置されているスクールカウンセラーに相談することになります。スクールカウンセラーが配置されている近隣の学校については都道府県教育委員会、もしくは市町村教育委員会に問い合わせ、その学校を通じて勤務されている日やスケジュール等を確認し、予約の上、相談室へお越しください。教育相談センターでは、希望する相談の方法により予約が必要な場合とそうでない場合があります。来所相談は、予約制となります。センターの業務時間内に電話で予約をとる必要があります。予約の際には、相談の概要を聞かれるので、子どもの様子や相談の内容についてまとめておくとよいでしょう。市区町村により、相談の受付時間や予約方法が異なります。1回の面接は50~90分間で相談費用は無料です。継続相談を行ったり、相談内容によっては他機関を紹介してくれることもあります。ご参考までに、東京都教育相談センターの申し込みから相談までの流れを以下に示します。申込みは、保護者からのお申込みをお願いいたします。電話相談にてご相談のうえ、お申込みください。↓初回日時のご連絡担当相談員が決まり次第、お電話等でご連絡差し上げます。↓初回面接※原則、1回の面接は50分間です。相談費用は無料です。以後、継続相談を行いますが、ご相談内容によっては、他機関を紹介する場合もあります特別支援学校での相談は、学校へ足を運んで直接相談をすることができます。FAXまたは電話で予約を入れ、相談日を設定する必要があります。詳しくは、お住まいの近くの特別支援学校のウェブサイト等をご覧ください。まとめ出典 : この記事では、教育相談を扱う機関や相談の流れや、内容などを具体的にご紹介しました。教育相談とは、悩みをもつ子ども、保護者、教員の、悩み事の解決に向けて行われる相談活動のことです。教育相談が担う役割は大きく分けて2つあります。一つ目は、問題を解決するために、問題を抱えた人が専門家に対して相談する、問題解決型の教育相談です。二つ目は、悩み事や問題が起こる前に教職員などによって行われる、予防的な教育相談活動です。物事の捉え方、人との関係づくりなどを子どもが学ぶ機会を日常的に設けることで、子ども本人が主体的に問題解決に取り組める力を育む役割があります。子どもと関わる保護者や教員は、問題が大きくなる前に、子どもから発せられるサインを見落とさないことが大切です。子どもの様子や子育てのことで少しでも心配ごとのある場合には、一人で抱え込まずに、気軽に相談にいってみましょう。悩みの解消に向けて、一緒に考え、共に解決策を探してくれるスタッフが必ずいるはずです。
2016年12月11日ゆとり教育を受けたとされる世代は、現在29〜12歳の人たちと言われています。その世代の子どもを持つ親たちは、学校で教えなくなった勉強を家庭や塾で補ったりした人も多いようです。また、いくらゆとり教育といっても逃れられないのが大学受験。多くの壁にぶつかることになったのは、子どもたちのほうかもしれません。Q.ゆとり教育、結果的に良かったと思う?1.良かったと思う 4.3%2.どちらかと言えば良かったと思う 6.6%3.どちらかと言えば良くなかったと思う 33.6%4.良くなかったと思う 41.2%5.わからない・どちらとも言えない 14.3%「良くなかった」と「どちらかと言えば良くなかったと思う」を合計すると74.8%にもなり、多くの人がゆとり教育に否定的な意見のようです。みなさんがどのような理由で、ゆとり教育に反対しているのか聞いてみましょう。■ゆとり教育のしわ寄せは子どもたちへ大人たちが決めた「ゆとり教育」ですが、その教育を受けるのは子どもたち。そして、苦労するのももちろん子どもたちということになります。教育の格差が生まれたり、その格差によって将来、就職ができないなどにつながることもあるかもしれません。「ゆとり世代の人と一緒に働くとイライラする。そんな人いませんか?」(神奈川県 40代女性)「そこそこのレベル以上の高校や大学に進学したい場合、通用しませんから、どこかでゆとりにされた部分を自分で補っていかなくてはなりません。特に大学受験での大きな苦労はまぬがれません。国の政策には疑問ばかりです」(神奈川県 40代女性)「疑問だらけのゆとり教育。いちばん苦労するのはそのゆとり教育を受けた子どもたち」(北海道 40代女性)「塾や習い事など学校以外の活動に力をそそげる家庭と、生活だけで精一杯な家庭により子どもの格差が広がったと思う。ゆとり教育の場合、貧困層の家庭では十分な学習ができない。家庭環境による子どもの格差を生んだ元凶だ思う」(神奈川県 40代女性)■ゆとりも詰め込みもどちらにもデメリットはあるゆとり教育が良くなかったとして、ではそれ以前の詰め込み教育が良かったのかというとそれもまた疑問。両方経験した今、何が子どもたちにとっていいことなのかを改めて考えるときなのかもしれません。「いいこともあればそうでないことも。考え方で変わると思うのでどちらでもありません」(三重県 30代女性)「ゆとりはいいと思うけど、なぜゆとりにするのかをもっと周知するべきじゃないのかと思った。ただの突き放しとしか感じられない」(島根県 30代女性)「『詰め込み』と『ゆとり』、どちらも良い点と悪い点があるとわかったのだから、それを生かせるような選択をしたい。偏らずに選択していくことで、個性を生かして他を認めることを学んでいってほしい」(神奈川県 50代女性)■どんな時代も生き抜けるたくましさを身につけるもちろん学校教育だけが子どもの成長に影響を与えるものではありません。時代の流れが早い現代だからこそ、どんな時代でも、柔軟にたくましく対応できる大人になってほしいというのが、今どきの親の共通した思いなのかもしれません。「長男はゆとり始まり世代。次女はゆとり終わり世代。授業内容は激変したように感じますが、学力低下やコミュニケーション能力低下は学校教育だけの責任ではないと感じています。時代の変化に対応できるたくましい子どもに育ってほしいです」(鹿児島県 40代女性)Q.ゆとり教育、結果的に良かったと思う?アンケート回答数:5148件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2016年12月09日こんにちは。子育て研究所代表の佐藤理香です。教育業界では、これまでの教科的な教育を超えて、プログラミング教育や表現力を高める教育など、数々の新しい取り組みが始められています。最近では、幼児段階での取り組みも多くみられるようになりました。今回は“感性教育”についてお伝えしたいと思います。●感性教育とは?“感性教育”とは、明確な定義はありませんが、子どもの感性を育む教育のことです。“感性を育てる”とは、ものの感じ方を育てる ことです。感性そのものに正解や間違いはありません。『Nikon』が行った「こどもの感性教育に関する調査」では、興味深いことがわかりました。約9割以上のママが「感性教育は重要である」と考えている一方で、7割以上が「感性がどのように伸びるかを知らない」と回答しているのです。これは、感性が可視化できないために、教育方法が難しく、成長実感を得にくい ことと関連しています。特に、幼児は言語の力(話し言葉、書き言葉)がまだ乏しく、感じたことを絵や創作物で表現できるほど巧緻性(器用さ)が発達していません。そのため、子どもが瞬発的に感じたこと、直感で感じたことを表現するのが難しいのです。教育の分野では、感性の重要性が指摘されるものの、伸ばし方は課題のひとつになっています。●感性の伸ばし方子どもの感性を伸ばすためにおススメの方法を3つご紹介します。●(1)五感で季節を感じる五感とは、視覚、触覚、味覚、聴覚、嗅覚です。これは経験したことに起因するため、一気に育てようと思ってもなかなか難しい感覚です。日々の生活の中でも、ちょっとしたことで感性は育ちます。四季折々に、自宅の周囲でも景色が変わります。「夏に緑だった葉っぱが今は黄色だね。この後、どんな色になるかな?」「あんなに暑かったのに、今は寒くてほっぺが赤くなるね」など、親が感じたことを子どもに声掛けしてみましょう。子どもも素直にいろいろと感じてくれますよ。●(2)生き物や植物を育てる生死を教えることは難しく、子ども自身が参加してみて初めて気づくことも多いです。おススメなのが、生き物や植物を育てること。マンションなどの住宅事情もありますので、必ずしも大きな生き物でなくてもいいのです。例えば公園で見つけたダンゴ虫を飼ってみる、ヒヤシンスを育ててみるなど、ちょっとした工夫で子どもの感性を伸ばすことができます。筆者の例として、金魚すくいでとった金魚を飼っていました。子どもは図鑑で調べ、一生懸命に世話をしていましたが、ほどなく死んでしまいました。もちろん大泣きで、お別れの言葉まで述べて、お墓を作り埋めました。悲しい現実ではありますが、命と対峙する というかけがえのない経験と感性を育めたと思います。●(3)一緒に食事を作る子どもが2歳くらいになると、ちぎる、割く、こねるなどの作業ができるようになります。徐々に包丁などの道具も使えるようになるので、親子で一緒に食事を作るのも効果的です。食材の色や形、切り口、感触に味、調理したときに変わっていく形や色。味の変化はまるで実験だと思います。合わせて、食材の生産などにも触れれば、子どもは一段上のものの感じ方を身につけると思います。----------幼児の感性を可視化するのは難しいとお伝えしました。最後に、筆者がやっている方法のひとつをご紹介します。筆者は子どもにお古のカメラを持たせて、好きなように撮影させています。子ども自身が撮影を通して、発見や感動を写真として記録できます。カメラを近づけたり離したりと好きなように操って、あちこち動き回り、新たな発見を促すこともできます。カメラは、子どもが五感で感じた好奇心や感動の瞬間を表出させる一つの手だて として有効です。親としても、子どもが感じている視点を写真として確認でき、アドバイスをしたり、認めたりして感性の成長に繋がります。何よりも、このようなコミュニケーションが、子どもの社会性を育み、感性の成長を後押しするのかもしれませんね。【参考リンク】・ニコンイメージングジャパン、「こどもの教育に関する意識調査」を発表 こどもの育て方について「感性」を重視する母親は73.5% | 株式会社ニコンイメージングジャパン()●ライター/佐藤理香(株)●モデル/藤本順子(風悟くん)、ココア
2016年11月24日突然だが、ドキュメンタリー映画 『みんなの学校』 をご存じだろうか?映画館での上映は1年以上前に終わっているのに、全国のママたちが今でも自主上映会を開催しているという異色の映画だ。それはつまり、ママたちが「私も、この映画のために何かしたい!」という気持ちになる、ママたちを「突き動かしている映画」ともいえる。右:『大人がいつも子どもに寄り添い、子どもに学ぶ!「みんなの学校」流 自ら学ぶ子の育て方』』(小学館)今、映画を中心とした輪は子を持つ親や教育関係者だけでなく、さまざまな分野の人にまで広がっている。たとえば、IT企業の社長。一見、子どもの教育とは何の関係もなさそうだが、経営者という立場からすると「人が育つ、人を育てるとは、どういうことなのか?」という点が気になり、無関心ではいられないそうだ。■広がる「みんなの学校」の輪『みんなの学校』の舞台は、大阪市立大空小学校。そう、公立の小学校だ。その地域に住む子どもなら誰でも通える。一般的な学校と少し違うところがあるとすれば、特別な支援が必要な子が全校児童220人中30人を超える(映画撮影時)こと。それでも、特別支援教室はつくらず、みんなが同じ教室で学んでいる。ただし、それだけなら、ほかにも同様の学校はあるだろう。大空小学校のすごいところ、それはこれだけ「賑やかな学校」なのに「不登校児が0人」なことだ。それぞれの子に、それぞれの居場所があるということに感動する。 そんな「みんなの学校」の劇中で輪の中心にいるのが、大阪市立大空小学校 初代校長の木村泰子さん。大阪市立大空小学校の校長を9年間勤め、「大空小学校の空気」を作り上げた。そして2015年春、45年間の教職歴をもって退職。現在は全国各地で講演活動に多忙な日々を送っている。そんな多忙な木村先生に、今回運良くお話を伺うことができた。■その子がその子らしく育つ以外に学校の目的はない「木村先生の話を、どこから始めよう?」今回、記事を書くにあたり悩んだポイントがそこだった。なぜなら、私自身が受けてきた「教育」(ごく一般的な日本の教育だ)と、木村先生の世界観は、かなりかけ離れているからだ。「今まで、自分が教育だと思っていたこと」を一旦、手放すくらいの気持ちがないと、木村先生の世界観は、すんなり入ってこない。「私が教育だと思っていたこと」と「木村先生の世界観」は、何が違うのか? それは、スタート地点だ。ひと言で言えば、木村先生は「子どもありき」の人。「その子が、その子らしく育つ以外に学校の目的ってないじゃないですか。視点は、そこにしかありません」(木村先生)親に言い換えれば、「我が子が、我が子らしく育つ以外に家庭の目的はない」ということになる。そんなこと、なかなか言えないし、思えない……。 結論として、今回の原稿は「取材テープを文章にし、それを微調整したもの」に留めた。取材前、記事の構成を練って作った企画書も、木村先生の言葉の前には何の意味もなかった。さて、まずは「わが子がトラブルを起こしたとき」のことから、話を始めてみよう。 ■わが子がトラブルを起こしてしまった! そのとき、親は?―― 先生は「人が生きる場所では必ずトラブルが起こる」とおっしゃっていますね。木村先生(以下、木村):あたりまえやん。「トラブルがない学校」なんて聞くと、私はひっくり返ります。トラブルはあって当たり前。トラブルは、すべて生きた学びになります。 ―― わが子がトラブルを起こしてしまったとき、親はまずどのような心持ちでいるのがよいのでしょう。木村:トラブルがあって、「お母さん、ちょっと来てください」という連絡があった場合、ほとんどの親は、学校から「来てください」と言われた時点で「うちの子は何かやってしまった、迷惑をかけた」というフィルターがかかりますね。けれど、そうしてフィルターをかけること自体、間違っているんです。―― どういう意味ですか?木村:「わが子がトラブルを起こした」というとき、親は迷惑をかけた相手や学校、つまりは「周りのこと」がまず気になるでしょ。でも、一番に見つめるべきは、「どうして、うちの子がそれをしたのか?」ということ。「うちの子が何をどう思って、その行為をしたのか?」ということを親がきちんと理解していない限り、子どもは「やり直し」ができません。「やり直し」とは、木村先生の教育観の大きな柱のひとつ。「人が生きていれば、必ず間違いは起こる。その時に素直に謝って、やり直せばいいやん」と、木村先生。次回に、木村先生の「やり直し」について説明しよう。■今回取材にご協力いただいた木村泰子先生の著書 『大人がいつも子どもに寄り添い、子どもに学ぶ!「みんなの学校」流 自ら学ぶ子の育て方』 (木村泰子・著/小学館 本体1,500円+税)
2016年11月07日“私立小中学校に通う子ども”と聞くと、裕福な家庭で育ち、教育熱心な親の元で受験を勝ち抜いた子どもというイメージがありますよね。そんな家庭に対し、授業料の補助として年間最大14万円を支給する制度を作ろうと、文部科学省が検討を始めています。対象となるのは年収590万円未満の世帯ということで収入制限があるようですが、お金のかかることが分かっている私立を自ら選んだ世帯を、わざわざ援助する必要があるのか賛否あるようです。そこで、パピマミ読者のみなさまに「私立小中学校の授業料を国が補助することについてどう思いますか?」 というアンケートを実施しましたので、その結果を見てみたいと思います!●私立小中学校の授業料を国が補助することについてどう思いますか?・1位:公立の給食費無料化、大学生の奨学金など、他の援助が先決……39%(47人)・2位:私立はお金がかかると分かって行かせているから補助する必要はない……29%(35人)・3位:補助金があれば私立も進学先として検討したい……13%(16人)・4位:14万円では足りない……8%(10人)・5位:いじめなどで私立に行くしかない子どもの助けになる……6%(7人)・6位:公立の授業料を無償にしているからそれで十分……3%(4人)・7位:何の効果もない……2%(3人)※有効回答者数:122人/集計期間:2016年8月29日〜2016年8月30日(パピマミ調べ)●他の教育支援が先という意見が多数『援助とは一番ほど遠いところにいる人たちでしょ!他にやらなきゃいけないことがあるんじゃない?』(40代女性/主婦)『うちの娘は奨学金を借りて大学に通っているんだけど、そういった負担を軽減させる方が先決だと思いますよ』(50代男性/自営業)教育に対する支援は必要不可欠ではあるものの、どこにお金を使うのが正しいのかは判断がわかれるところ。とはいえ、私立に通わせる余裕がある家庭を支援するのは後回し と感じる人が多いようで、批判の声が多く聞かれました。公立小中学校の授業料は無償化されていますが、これ以外にも教材費や給食費などお金がかかる項目は多々あり、それらの無償化を望む声も多くあります。また、大学への進学率が高まってきたことから奨学金への支援 も急務と言えるでしょう。早ければ2017年度から実施されるということですが、反発が大きくなることが予想されます。●私立に通わせる家庭にそもそも援助は不要という声も『自分で金のかかるところを選んでるのに支援するって意味がわからない。単なるおこづかいでしょ。きついなら公立に行けばいい』(30代女性/パート)『もし私立に子どもを通わせて「家計が苦しい」って言ってる人がいたら、それはただ考えが甘かったということだと思いますよ』(40代男性/営業)平均で年間160万円ほど用意する必要があるとも言われる私立小中学校。受験するだけでも数万円が必要になるなど、出費は間違いなく多い と言えるでしょう。そんな学校を選んだ時点で、出費については分かっていたことであり、それに対し援助するのは納得がいかないということのようです。公立という選択肢がありながらあえて私立を選択した家庭を援助するのは、確かに違和感がある部分ではあります。●補助金があれば私立も検討するという人は1割『家計的には公立に行ってくれるのがありがたいけど、環境のことを考えると私立がいいと思います。補助金があれば選択肢に入れたいですね』(30代男性/アパレル)『いじめの問題で公立に通えない子もいると聞くし、私立へ行ける可能性を上げるものであれば良いと思います』(20代女性/大学生)教育環境や生徒同士の問題など、私立のメリットが大きいのも事実。できれば私立に通わせたい と思う親は少なくないはずです。また、授業料だけで言うと私立小学校の授業料は年間で平均43万円、私立中学校41万円と、14万円の援助が有効なようにも思えます。しかし、私立ではこの他にも入学金や寄付金などさまざまな名目で出費を強いられるのです。現時点で私立への進学が困難という世帯が、14万円の支援を受けたからといって安定した家計を築けるかは疑問といえるのではないでしょうか。----------いかがでしたか?「何の効果もない」とした人はわずかにとどまりましたが、それでも何かしらの不満を感じる人が圧倒的に多いという結果になりました。国民から集めた税金が使われることを考えると、安易に受け入れられることではないのかもしれません。生徒を集められない私立の入学者数を増やすための制度ではないか という見方もあり、世間の理解を得られているとは言いがたい様子。このままの案で実施されるのが正しいことなのか、疑問が残ると言わざるを得ないでしょう。【参考リンク】・【アンケート結果(1位〜7位)】私立小中学校の授業料を国が補助することについてどう思いますか?()●文/パピマミ編集部
2016年08月31日●連載の目次は こちら から●「小学校受験って、どうなの?」特集も今回は最終回。早期英才教育は有効なの? という素朴な疑問を、幼児教育研究所柊会(ひいらぎかい)代表の浅木真里さんにぶつけてみた。■早期英才教育は有効なのか?「お友だちが文字を書けるようになった」「英語教室に通い始めた」そんな話を聞くと、「うちも何かしなきゃ!」と気持ちは急く。育脳やバイリンガル、早期英才教育といった言葉にも、無関心ではいられない。そこで、「早期英才教育は有効なの?」という素朴な疑問を、浅木さんにぶつけてみた。「私の回答としましては、『子どもへの接し方が好ましいものであれば有効。好ましくなければ、やらないほうが良い』ということです。お子さまが嫌々やるのであれば、早期教育は百害あって一利なしだと考えています」難関私立中学受験指導をしていた(1本目にリンク貼る)という経歴から、小学校受験が苦い経験となり、学業でつまづいてしまった生徒を数多く見てきたからこその思いなのだろう。■焦らないほうが、良い結果が出ている今回の取材を通じて、浅木さんがとても強調していたことは、「どうか、お母さま方、焦らないで欲しい」ということ。この記事を書いている私は息子の中学受験を体験したことがあるが、受験準備中は、「志望校に合格しないと、この子は(私は)、その先、どうなってしまうのだろう?」という気持ちになりがち。それが「合格しなければ!」となり、準備が思うように進まないと、「何かしなければ!」という、やみくもな焦燥感に繋がり、子どもをせっついてしまう。「すんなり合格を手にするお子さまなど、1人もいません。志望校に合格した先輩を見て、『志望校に合格して、うらやましい』と思われるかもしれませんが、そんな方でも必ず、苦しい時期を過ごされています。『焦らないで欲しい』と申し上げても、焦ってしまうお気持ちは、現場にいればよくわかります。けれども、私の経験から鑑みても、焦らないほうが、良い結果が出ていることが多いのです」(浅井さん)小学校受験は、対策期間は平均して1年~2年。親や指導者に怒られないために努力することで、何とか志望校には合格をする。けれども、そういった子どもたちのその後の学校生活は、苦しいものになりがちだそう。 ■大切なのは心の安定と自己肯定感「すべての学年のお子さまを見てきて、真に思うことは、大切なのは心の安定と自己肯定感です」(浅木さん)親の焦燥感から、嫌がっているにも関わらずに無理に課題をこなすことを強いられ、、何とか合格を手にしても、子どもの心には大きな傷が残る。不合格だったらなおさらだ。それが、子どもが自己肯定感を持てない原因になってしまうこともよくあることだという。思春期に入っても自己肯定感が不足し、心が安定していない子どもは、成績が上がるまでに本当に時間がかかる。また学年が上がるほど、親も焦りを感じてしまい、子どもの心が満たされ自主的に努力するようになるまで待つことができないし、親子関係の立て直しも難しくなる。「そうならないために、幼少期に健全な親子関係を育んで欲しい、そのためにお子さまに接するお母さまのサポートにも力をいれております」(浅木さん)■子どもの人生を長い目で考えてみて欲しい「つい子どもを叱り過ぎてしまうママに伝えたいこと」(リンク貼る)でも記事にしたが、現代は子育ての負荷がママに集中してしまい、追いつめられた気分になりやすい。だからこそ、私たちは「そういう時代に子育てをしている」ということを、きちんと意識する必要がある。小学校受験をするとなると、ママ、あるいはパパたちは、「私が頑張らなければ!」とより一層、自分を追い込んでしまうこともあるだろう。私自身、「中学受験ママ」をやっているが、悲しいかな、すぐにテンパってしまう。最近、そんなときは浅木さんが取材で話してくれたことを思い出すようにしている。「小学校受験で花開く子もいれば、中学校受験や高校受験で花開く子もいます。子どものモチベーションを含めた適切なサポートができるよう、どうか子どもの人生を長い目で考えてみてあげてください。そして、焦ってしまうということは、それだけ真剣にお子様のことを考えていること。立派に母親業をこなしている自分をまずは認めてあげてください」受験は、親子にとってひとつの試練。でも、それを乗り越えた先には大輪の花が咲くと信じて、ゆったりと構えていられる親でありたいものだ。今回取材を受けてくださった浅木真里さんの著書『 名門小学校受験 合格する「家族力」 (浅木真理・著/エール出版社)』●浅木真里1981年、東京都生まれ。関西学院大学総合政策学部卒業。灘、ラ・サールなどの難関中学、医学部受験指導を行う学習塾の設立に携わる。名古屋在住時より、慶応幼稚舎、早実、雙葉、暁星小学校などの難関校への圧倒的な指導力の高さから指導依頼が絶えず、東京で小学受験指導を行う。その後、幼少期の母子関係の重要性を痛感し、幼児教育研究所柊会を文京区に設立。
2016年07月27日特別支援学校とは出典 : 特別支援学校とは、心身に障害のある児童・生徒が通う学校で、幼稚部・小学部・中学部・高等部があります。基本的には幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準じた教育を行っていますが、それに加えて障害のある児童・生徒の自立を促すために必要な教育を受けることができるのが大きな特徴です。学校教育法第72条では、特別支援学校の目的は以下のように定められています。視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けること特別支援学校は、2007年までは「ろう学校」「盲学校」「養護学校」と区分されていました。ですが、2007年の法改正により、これらすべてが「特別支援学校」へと一本化されました。こうした経緯もあり、学校名の末尾が「ろう学校」「盲学校」「養護学校」となっている学校も多くありますが、これらは現在すべて特別支援学校に含まれます。この法改正は、特別支援学校が複数の障害がある子どもの教育ニーズに応えること、近隣の小・中学校に在籍する子どもの指導・支援にも積極的にかかわるセンター的機能を担うことを目的としてなされました。また、2015年の文部科学省の調査によると、特別支援学校の数は全国で1096校、在籍している幼児・児童・生徒の数は135,617人(幼児・児童・生徒全体に対する割合は0.9%)で、その数は増加傾向にあります。文部科学省特別支援教育資料(平成26年度)【第1部集計編】特別支援学校の対象出典 : 特別支援学校の支援対象となる障害の程度は以下の通りです。これは就学基準と呼ばれ、学校教育法によって定められているものです。以前までは子どもの障害の程度がこの就学基準に該当していれば、原則は特別支援学校に入学することとされていました。ですが現在は、就学基準に該当していても就学先が特別支援学校に限られることはなく、その他の進学先も検討することができます(後述する、「特別支援学校への入り方・相談方法」も参照してください。障害の程度が就学基準に達しない子どもについては、特別支援学級・通級による指導を受けるか、通常の学級に在籍して支援を受けることになります。両眼の視力がおおむね0.3未満の方、または視力以外の視機能障害が高度の方のうち、拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が不可能又は著しく困難な程度の方両耳の聴力レベルがおおむね60デシベル以上の方のうち、補聴器等の使用によっても通常の話声を解することが不可能、または著しく困難な程度の方①知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通が困難で日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする程度の方②知的発達の遅滞の程度が、①に掲げる程度に達しない方のうち、社会生活への適応が著しく困難な方①肢体不自由の状態が、補装具の使用によっても歩行、筆記などの日常生活における基本的な動作が不可能または困難な程度の方②肢体不自由の状態が、①に掲げる程度に達しない方のうち、常時の医的観察指導を必要とする程度の方①慢性の呼吸器疾患、腎臓疾患および神経疾患、悪性新生物その他の疾患の状態が、継続して医療または生活規制を必要とする程度の方②身体虚弱の状態が、継続して生活規制を必要とする程度の方文部科学省障害のある児童生徒の就学先決定について特別支援学校の教育環境出典 : 特別支援学校では、障害のある子どもたちが学習しやすいような環境やシステムが整えられています。また、通常学級の子どもたちと触れ合える機会が設けられるような配慮もされています。1クラス当たりの人数は平均で3人であり、少人数教育が行われています。特別支援学校の教員は、通常の教員免許に加えて特別支援学校の教員免許を持っています。様々な障害について基礎的な理解があり、また特定の障害について専門性を持った教員が子どもの指導にあたります。交流及び共同学習とは、障害のある人と障害のない人が互いに理解を深め、尊重し合える社会をつくるために、障害のある子どもたちと障害のない子どもたち、地域社会の人たちとがふれ合い、共に活動する機会を設ける活動をいいます。小・中学校、高等学校や特別支援学校の学習指導要領などにはこの交流及び共同学習を積極的に推進するよう示されています。例えば、小学校と特別支援学校の間での交流会が行われたり、特別支援学校の生徒が小学校の音楽・図画工作の授業や給食、昼休みや遠足などの学校行事に参加したりするなどの取り組みが行われています。また、地域社会の人たちとの間では、文化祭などの学校行事に地域の人たちを招いたり、地域での行事やボランティア活動に特別支援学校の子どもたちが参加したりするなど、地域や学校ごとに様々な工夫がされています。文部科学省交流及び共同学習ガイド障害の状態が重度であったり、もしくは重複していて特別支援学校に通学して教育を受けることが困難な子どもに対しては、特別支援学校の教員が家庭、児童福祉施設、医療機関等を訪問して教育を行っています。独立行政法人国立特別支援教育総合研究所(4)訪問教育における指導特別支援学校には、日常的に医療的ケアを必要としている子どもが多く在籍しています。医療的ケアは看護師などが行うことが原則ではありますが、保護者の同意や医療関係者による適切な管理など、一定の条件が満たされていれば、特別支援学校において教員がたんの吸引、経管栄養(胃ろう・腸ろう)、自己導尿の補助を実施することができるようになりました。これによって、医療的ケアの必要性から特別支援学校に通うことができなかった子どもも、特別支援学校への通学が可能になりました。独立行政法人国立特別支援教育総合研究所(3)医療的なケアを必要とする子どもへの対応具体的な教育内容出典 : 以上のような特別支援学校の特徴を踏まえて、具体的にどのような内容の教育が受けられるのかを詳しく見ていきましょう。特別支援学校では独自の学習指導要領が定められており、それに従った指導が行われます。特別支援学校の大きな魅力のひとつに、子どもの障害や発達の度合いに合わせたきめ細やかな指導がうけられることがあります。具体的な例として、「個別の指導計画」と「個別の教育支援計画」の立案・実行、自立活動、教科書についての配慮をご紹介します。■「個別の指導計画」と「個別の教育支援計画」の立案・実行「個別の指導計画」とは、障害のある子どもに指導を行うためのきめ細かい計画です。子どもの一人ひとりの教育的ニーズに対応して、指導目標や指導内容・方法を盛り込んであります。単元や学期、学年等ごとに作成され、それに基づいた指導が行われます。特に、後述する「自立活動」の指導は、この計画に基づいた内容になっています。「個別の教育支援計画」とは、他機関との連携を図るための計画をいいます。乳幼児期から学校卒業後までの一貫した長期的な計画である点が「個別の指導計画」との違いです。学校が中心となって作成しますが、教育・福祉・医療・労働などの関係機関と連携し、保護者の意見を聴くことなども求められています。独立行政法人国立特別支援教育総合研究所(4)個別の指導計画と個別の教育支援計画■自立活動自立活動とは、障害による学習上または生活上の困難を改善・克服するための指導を行うための時間です。「個別の指導計画」に基づいて子ども一人ひとりにあった指導目標が設定され、その目標を達成するような指導が行われます。例えば、身体の動きに困難のある子どもに対してはそれを改善するための指導が、コミュニケーションに不安のある子どもに対してはそれを支援するための指導が自立活動の時間に行われます。具体的な内容は子ども一人ひとりに合わせたものになっています。文部科学省特別支援学校学習指導要領解説自立活動編■教科書についての配慮特別支援学校では、小学校、中学校、高等学校と同じ教科書のほか、子どもの障害の状態に合わせて作成された教科書などが使われています。文部科学省が作成している教科書には、視覚障害者用の点字教科書、聴覚障害者用の言語指導や音楽の教科書、知的障害者用の国語、算数、音楽の教科書があります。また、これらの教科書以外でも、必要であれば他の教科書で学習することができます。例えば、知的障害のある子どもが、下学年の教科書を使って学習することも可能です。独立行政法人国立特別支援教育総合研究所(5)教科書子どもの障害や年齢によって、特別支援学校で行われる教育の内容は異なります。例えば、高等部では就職に向けての支援として、様々な職業訓練が行われているのが特徴的です。■視覚障害小・中学部では、小・中学校と同じ教科などを視覚障害に配慮しながら指導がされます。目が見えない子どもたちへは、よく触って物の形や大きさなどを理解したり、音やにおいなども手がかりとして周りの様子を予測したり確かめたりする学習や、点字の読み書きなどの学習をします。また、白杖を使って歩く力やコンピュータなどで様々な情報を得る力を身に付けるための学習も行っています。弱視の子どもたちには、ものの見える状態や程度に合わせて対象を拡大したり、白黒反転したりした教材を用意して学習します。高等部では、普通科での教育に加えて、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、理学療法士などの国家資格の取得を目指した職業教育を行っています。■聴覚障害小・中学部では、小・中学校に準じた教科学習を行うとともに、書き言葉の習得や抽象的な言葉の理解を目指します。さらに、発達段階に応じて指文字や手話を活用するなど、自立活動の指導にも力が注がれています。高等部では、普通科のほかに産業工芸や機械、印刷、被服、情報デザイン等の多様な職業学科が設置されています。最近では、聴覚障害者・視覚障害者の方を対象とした国立大学である筑波技術大学などへの進学を目指す生徒や、理容師、歯科技工士、調理師などの資格を取得して職業の自立を達成する生徒もいます。■知的障害一人ひとりの言語面、運動面、知識面などの発達の状態や社会性などを十分把握した上で、生活に役立つ内容を実際の体験を重視しながら、少人数の集団での学習を行います。小学部では、基本的な生活習慣や日常生活に必要な言葉の指導などが行われます。中学部ではそれらを発展させ、集団生活や円滑な対人関係、職業生活についての基礎的な事柄の指導などが行われています。高等部においては、家庭生活、職業生活、社会生活に必要な知識、技能、態度などについての学習が中心になります。それに加えて、木工、農園芸、食品加工、ビルクリーニングなどの作業学習を実施し、特に職業教育の充実が図られています。■肢体不自由子ども一人ひとりの障害の状態や、発達段階を十分に把握した上で、小学校、中学校、高等学校に準じた学習を行っています。それに加えて自立活動に力を入れており、身体の動きの改善を図ることやコミュニケーションの力を育てる指導などを行っています。また、病院で機能訓練を行う子どもやたんの吸引などの医療的ケアを必要とする子どもが多いことから、医療との連携を大切にした教育が進めてられています。高等部では、進路指導が重視しされています。企業や社会福祉施設と連携し、卒業後の生活を具体的に体験できるような実習が積極的に取り入れられています。最近は福祉施設への入所が多くなっていますが、企業に就職したり大学に進学したりする生徒もいます。■病弱小学校、中学校、高等学校とほぼ同じ教科学習が行われます。また、必要に応じて入院前の学校の教科書を使用して指導しています。また、自立活動の時間では、身体面の健康維持だけでなく、病気への不安感や自信の喪失などに対するメンタル面での健康維持のための学習を行っています。治療等で学習に空白がある場合は、グループ学習や個別指導による授業が行われます。病気との関係で長時間の学習が困難な子どもについては、学習時間を短くするなどして柔軟に学習できるような配慮がされています。文部科学省特別支援教育について(4)それぞれの障害に配慮した教育発達障害のある子は特別支援学校に入学できるの?出典 : 発達障害のある子どもに関してですが、知的障害の診断がなくても、就学相談の結果によっては特別支援学校への入学は可能です。秋田大学によるアンケート調査によると、回答のあった313校の特別支援学校のうち45.0%である141校に発達障害のある子どもが在籍していました。同研究によると、特別支援学校における発達障害のある子どもへの支援として、個別の対応による丁寧な対応や、ソーシャル・スキル・トレーニングを活用した支援などが行われています。一方で、特別支援学校での発達障害のある子どもに対する教育については、子どもの障害の特性に合わせた教育内容の編成の必要性や、教員の人員不足などが課題となっています。熊地需・佐藤圭吾・斎藤孝・武田篤「特別支援学校に在籍する知的発達に遅れのない発達障害児の現状と課題―全国知的障害特別支援学校のアンケート調査から―」特別支援学校と、特別支援学級・通級との違いは?出典 : 義務教育が始まる小学校入学の前に、お子さんをどの教育環境で育てるか迷う保護者の方は多いと思います。障害のある子どもの教育環境として、通常学級・通級・特別支援学級・特別支援学校の4つがあります。それぞれの対象となる障害の程度に明確な基準はありませんが、一般的に通級・特別支援学級・特別支援学校の順に障害への支援量は大きくなります。そのため、障害が軽度の場合は通級、より専門性の高い支援が必要な場合、特別支援学級や特別支援学校を検討する場合が多いと言えます。Upload By 発達障害のキホン通級とは、通常学級の学校に籍を置いて、通級指導の時間のみ通級指導教室に通って支援を受けるという制度です。子どもが在籍する学校に通級指導教室が無い場合は、通級指導教室がある他の学校に通って通級始動を受ける場合もあります。また、担任は通常学級の先生が受け持ちます。Upload By 発達障害のキホン特別支援学級に通う場合は、特別支援学級が設置されている学校に籍を置きます。基本的に特別支援学級で授業を受けますが、体育や図画工作、給食の時間は通常学級の子どもたちと過ごすこともあります。担任は特別支援学級の先生が受け持ちます。Upload By 発達障害のキホン特別支援学校に通う場合は、通学する特別支援学校に籍をおきます。また、通級・特別支援学級は通常の教員免許のみでも受け持つことができますが、特別支援学校の教員は通常の教員免許に加え、特別支援学校の教員免許を取得しています。通級・特別支援学級・特別支援学校のメリット・デメリット教育システムの違いから、通級・特別支援学級・特別支援学校それぞれにメリット・デメリットがあります。お子さんの学校選びの参考にしてみてください。■通級・通常学級での子どもとコミュニケーションをとる機会が比較的多い・学習面で通常学級の授業が受けられる・必要なフォローを受けられる・通常学級から離れる時間が気分転換になることもある■特別支援学級・給食の時間や昼休みなどは通常学級での子どもとのコミュニケーションなどの経験ができる・発達の程度に準じたカリキュラムで指導を受けられる・学校と相談しながら通常学級との行き来ができるようにもなる■特別支援学校・個々人の障害の程度に合わせたカリキュラムで、専門性を持った先生からきめ細かい指導が受けられる・高等部では職業教育が受けられる■通級・特別支援学級・在籍基準があいまい・すべての学校に通級指導教室や特別支援学級があるわけではない・高校では通級制度はまだ整えられておらず、特別支援学級も設置されていないのが現状(ただし、2018年度から高校でも通級指導を始めるよう文部科学省が準備を進めている)・学級数や受け入れ可能人数などに地域差が大きい・通常学級との行き来がお子さんのストレスになることもある■特別支援学校・通常学級の子ども、同世代の子どもと触れあう機会が少ない・転学・転校は可能だが手続きが必要・障害の程度によっては入学できない可能性がある・特別支援学校高等部を卒業しても、通常の高卒資格は得られない(ただし大学入学資格を得ることはできる)・地域差、学校差がある特別支援学校への入り方・相談方法出典 : 小学校へ入学するまでの流れは以下のようになっています(あくまで一例ですので、詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください)。■年中期~6月ごろ:情報収集お住まいの市区町村の教育委員会に問い合わせたり、ホームページを参照して、地域にある特別支援学校や、小学校の特別支援学級の有無などについて情報を集めましょう。また4月から6月ごろにかけて、教育委員会が幼稚園や保育園、発達支援センターや療育センターに「個人調査票」「就学に関する調査票」の作成を依頼します。通常の学級・学校に就学することに不安があると思われるお子さんについて、園やセンターは保護者の了承を得て調査票を作成します。そして該当のお子さんをもつ保護者向けに、教育委員会が就学についての説明会を行います。説明会では小学校全体および各種学級、特別支援学校ではどのような支援が行われているのか、就学指導・就学相談の流れ、手続きの方法などがアナウンスされます。ただし、私立や認可を受けていない保育園や幼稚園は教育委員会の管轄外なのでこういった情報が回ってこない可能性があります。その場合はご自身で市区町村の教育委員会に問い合わせをして、就学相談を受けることをおすすめします。■7~9月ごろ:就学相談園やセンターの調査票がなくても、市区町村の教育委員会へ連絡すれば就学相談を受けることができます。就学相談では、専門の就学相談員と保護者との面談(複数回のこともあります)を通して子どもにとって最適な就学先を決めます。子どもの状態を把握するための検査が行われたり、相談員がお子さんの在籍園・在籍校に赴いてお子さんの様子を確認することがあります。障害の状態、障害に基づく教育的ニーズ、保護者・専門家の意見、学校や地域の状況などを考慮して、就学指導委員会がお子さんにとって良いと思われる就学先を決定します。この決定に保護者の方が同意をすれば就学先が決定します。もし同意できない場合はその旨を教育委員会に申し立て、再度就学相談を受けることもできます。最終的には保護者の方の意向が尊重されます。就学相談では、子どもの状態を正確にしっかりと伝えることが大切です。医療機関で受けた診断書や療育手帳などがあれば持参することをおすすめします。臨床心理士による子育てのヒント|発達の気になるお子さんに発達障害就学指導・就学相談について■10~11月:就学時健康診断と小学校の選択就学時健康診断とは、小学校に入学する前に行われる健康診断のことであり、身体検査に加えて発達検査、知能検査等があります。お子さんの障害や発達の遅れについて、この健康診断によって初めて気づく場合があります。特別支援学校の対象で示した就学基準にお子さんが当てはまると思われる場合、就学相談・就学指導を受けることを教育委員会からすすめられます。就学基準に当てはまると必ず特別支援学校に入学しなければいけないわけではありません。就学基準に該当していても、学校教育法に定められている認定就学者(就学基準に該当する児童生徒で市町村の教育委員会が小・中学校において適切な教育を受けることができる特別の事情があると認める者)として小・中学校に入学、通級や特別支援学級に在籍するという選択肢もあります。出典 : 小学校は通常の学校に通っていたお子さんのなかには、実際にはもっと専門性の高い支援が必要であった場合などもあり、中学校や高校からは特別支援学校に通うということもあります。小学校から特別支援学校や特別支援学級で教育を受けていたお子さんが、特別支援学校の中学部に進学する場合、同じ学区域内であれば、小学校と中学校の先生、特別支援教育コーディネーターを通して教育内容が引き継がれます(特別支援教育コーディネーターとは、保護者からの相談の対応や福祉機関などの関係機関との連携・調査を行う教職員のことです)。お子さんが不安なく充実した学校生活を送れるように、お子さん本人の意思も尊重しながらよく話し合うことが大切です。進路に迷った時は、スクールカウンセラーや学校の先生、特別支援教育コーディネーターやかかりつけのお医者さんに相談してみましょう。まとめ出典 : お子さんの教育環境に悩まれている保護者の方はたくさんいらっしゃいます。大切なのは、お子さんが不安なく、のびのびと学校生活を送ることです。お子さんの性格や障害・発達の度合いにもよりますが、特別支援学校の良い点・悪い点を把握したうえでひとつの選択肢として考えることは、十分価値のあることでしょう。学校によっては見学会や説明会を行っているところもあります。また、文化祭などのイベントに行くことでも雰囲気や様子をつかむことができます。うちは中学から支援学校でお世話になりました。学校見学会には何度も行きましたし、文化祭にも行きました。夫と見学会に参加した時、うちの息子と似たようなタイプのお子さんがいて、その子がニコニコ顔で作業をしているのを見ました。そのまま息子が重なり、息子が笑顔でいる姿がすぐに想像できました。カンでしかないですが、そのカンを信じて、我が子を入学を決めました。今でもそのことは良かった、と思います。中高6年間で伸ばしていただきました。特別支援学校か、地域の学校か、ではなく「我が子が笑顔でいられる場所はどこか」で考えてみてください。ひとりで悩まずに、お子さんと学校へ見学に行ったり、周りの学校の先生やお医者さんなどに相談しながら、お子さんにとって最善の教育環境を考えてみると良いのではないでしょうか。文部科学省特別支援教育について文部科学省特別支援教育の推進のための学校教育法等の一部改正について(通知)
2016年07月20日投資教育先進国といわれるアメリカでは、子どものころからお金について学ぶ機会が多いのをご存じでしょうか。 幼稚園から高校までの義務教育でお金にまつわることを学習するのはあたりまえ。お金にシビアなアメリカならではの、子どものマネー教育について紹介します。■ローン大国アメリカアメリカ人はお金にシビアだといわれます。それはクレジットカード、ローン大国であることが影響しています。健康保険や医療費もほかの国と比べてかなり高額。個人がしっかりファイナンシャルプランを身につけていないと簡単に破産してしまう社会です。厳しい社会のなかで財産を得て資本主義社会のなかで勝ち残っていくために、投資に関する知識を深める人も多いのです。そんななか、幼稚園から子どもの年齢に応じてお金に関する教育が行われています。親からお金を増やすための株式投資などの知識を得るケースもめずらしくありません。■日本でマネー教育をしない理由一方、日本では、子どもがお金の話をするのはあまりよくないという風潮があります。株式投資はリスクのあることだと敬遠する人も多く、なかなか学ぶ機会がないのが現状です。考えられる理由としては、貯金文化が定着していることがあげられます。堅実にコツコツためる、まじめな日本人の気質ともいえるでしょう。■おこづかい制のメリットみなさんは子どもにお金を管理させていますか? 将来の金銭感覚を養っておくためにも、早めにお金に関する知識を身につけることが大事です。さまざまな考え方があるものの、たとえば、定期的におこづかいをあげることで、子どもは自分のお金を管理し、計画的に使うことを学べます。おこづかい制にするか悩んでいる方は検討してみてください。また、お手伝いの報酬としてお金をあげるのも方法のひとつです。自分の労働によってお金を得ることができ、何もしなければお金を得られないという仕組みを学べます。お金を計画的に使う感覚は、将来役に立ちます。子どもが大きくなったら、家庭の予算立てに参加させてみるといいかもしれません。
2016年07月16日神奈川県の大和市教育委員会が提案した、小中学校の男子トイレを完全個室化しようという取り組み。男子トイレは小と大で用を足す場所が別々になっているため、児童にとって「大便がしにくい」ということがあるのは確かです。とはいえ、 トイレを個室化してしまえばすべて解決する問題なのでしょうか。同県の茅ヶ崎市では、以前に同様の取り組みをしようとした際にうまくいかなかったということもあり、難しい問題と言えそうです。そこで、パピマミ読者のみなさまに「小中学校で男子トイレを完全個室化することについてどう思いますか?」 というアンケートを実施しましたので、その結果を発表したいと思います。●小中学校で男子トイレを完全個室化することについてどう思いますか?・1位:児童がトイレに行きやすくなると思うので賛成……45%(97人)・2位:大便は恥ずかしいことではないと教育することが大切……22%(47人)・3位:完全個室化はやりすぎ(他のやり方で解決できる)……15%(32人)・4位:目が届かなくなることでいじめや喫煙などの隠れ場になる……12%(27人)・5位:税金の無駄遣い……4%(9人)・6位:個室でも大小はバレるから意味がない……2%(5人)※有効回答者数:217人/集計期間:2016年6月22日〜2016年6月23日(パピマミ調べ)●賛成意見が半数近くを占める『大賛成です!自分が子どものときにこれをやってほしかったなぁ』(30代男性/編集者)『私も小さいころはなかなか行けなかったですね。自分の息子も、これで安心してトイレに行けるようになると思うとうれしいです』(40代男性/営業職)男子トイレの個室化に賛成する人が、半数近くを占めるという結果になりました。特に、子どものころに大便に行けなかったという経験を持つ人からは、「もっと早くやってほしかった」という声が多く聞かれました。予算の問題をはじめ、運用していくにはクリアしなければならないハードルもありますが、少なくとも現状の設備よりは“トイレのしやすさ”が格段に上がるのは間違いないかもしれません。子どもたちの不安を少しでも解消してほしい という親心と言えるでしょう。●教育のあり方に期待する人も『そもそも、大便をすることが恥ずかしいという風潮をなくすことが先決じゃないですか?いくら設備を整えても、考え方を変えなければあまり意味がないように思います』(40代女性/主婦)『きちんと教育すれば、子どもたちも他人を冷やかすようなことはなくなると思います。個室化はその後でも遅くはないでしょう』(30代男性/飲食店)個室化が提案されたのは、児童が大便を恥ずかしがって学校で落ち着いてできないこと が原因でした。まずは、「大便は恥ずかしいことではない」と児童に伝えることが大切、という考えもわかります。しかし、子どもたちにそれを“説明して伝える”というのは、難しい部分もあるのではないでしょうか。●「そこまでしなくても……」という声も少なくない『トイレを全部作り変えるとか、さすがにやりすぎじゃない?そんなことするぐらいだったら、他にやるべきことがあると思う』(20代女性/大学生)『大切なことだと思いますが、自分たちの税金を使ってやると思うと、手放しで賛成はできません。費用と効果のバランスが悪いと思います』(40代男性/自営業)学校のトイレですから、作り替えには税金が使われます。それを考えると、「もっと違うことに使ってほしい」と感じてしまう人も多いのではないでしょうか。小中で個室に慣れてしまった子どもたちが、高校・大学・社会人と進んでいったときに、果たして大小がわかれた通常のトイレに適応できるのか という疑問もあります。また、個室化することで、タバコを吸ったりいじめの場として使われるようになったりすることを懸念する声も聞かれ、必ずしもメリットだけではなさそうです。----------いかがでしたか?実際に「恥ずかしくてトイレに行けない」と感じる子どもたちがいる以上、無視することはできない問題です。大便をすることはもちろん、声に出して誰かに相談もしづらく、取り組みに乗り出した自治体の行動は注目すべきことでしょう。これをきっかけに、堂々と大便することのできる学校生活が実現してほしいものですね。【参考リンク】・【アンケート結果(1位〜6位)】小中学校で男子トイレを完全個室化することについてどう思いますか?()●文/パピマミ編集部
2016年06月28日小中学校での教育内容が、いわゆる“ゆとり教育”として行われたのが2002〜2010年度。この教育を受けた世代を広く“ゆとり世代”と呼びますが、いろいろな面で批判の対象とされることが多いのはみなさんもご存知の通りです。学力だけにとどまらず、「ゆとりだから……」という言葉で人間性まで否定されかねないこの問題。今回はパピマミ読者の皆さんに「ゆとり教育で問題だったと思うこと」 についてアンケートを実施しましたので、その結果を発表したいと思います。同時に行った『ゆとり教育で評価できたところは?』というアンケートでは、「デメリットしかなかった」という回答が半数近くを占めたようですが、いったい何が問題と感じられているのでしょうか。●ゆとり教育で問題だったと思うことは?・1位:学力の低下……23%(23人)・2位:競争意識の低下……19%(19人)・3位:コミュニケーション能力の低下……16%(16人)・4位:とくに問題はなかったと思う……13%(13人)・5位:自主性の低下……11%(11人)・同率6位:精神年齢の低下……10%(10人)・同率6位:協調性の低下……10%(10人)※有効回答者数:102人/集計期間:2016年6月20日〜2016年6月21日(パピマミ調べ)●「学力の低下」がトップという結果に『ゆとり教育中に行われた学習調査では、日本の順位が下がってましたよね。勉強なんてやったぶんだけ伸びるんだから、学習時間が減ればそういう結果になるのは当然のことでしょう』(40代パパ)『思考力を鍛えるための学習を増やすといっても、それらしい成果があったとは思えませんね。大学受験なんかも結局は暗記勝負じゃないですか。遠回りしただけのように思えます』(30代ママ)最も問題だったと感じられているのは、やはり学習面。OECDが行っている生徒の学習到達度調査では、ゆとり教育中の日本の点数低下が顕著となり、教育の見直しに着手するきっかけともなりました。知識を暗記する詰め込み型の教育から脱却するためのゆとり教育で、“総合的な学習”などの思考力を付けるための教育が推進されたものの、目に見える結果が出たとは言いづらい でしょう。脱ゆとり教育を果たした現在の教科書は、当時より4割ほど分厚くなっていると言われています。●次いで「競争意識の低下」がランクイン『運動会の徒競走で、手をつないでゴールすることがあるなんて本当なんですかね?いくらみんな平等にって言ったって、さすがにそれはやりすぎだと思いますよ』(40代パパ)『何でもかんでも優劣をつければいいってもんじゃないけど、競い合うことを良しとしない環境では、育たなくなるものもあるのかもしれませんね』(20代ママ)実際にゆとり教育を受けた20代の人たちからも、競争意識の低下を招いたことに対する批判が聞かれました。人と競い合うからこそ生まれる、「悔しい!」や「勝ちたい!」という強い気持ちは、ゆとり教育の中では育ちにくいと言えるかもしれません。さらに、競争意識がないことから「覇気がない」と思われる ことも多いようですが、決して不真面目というわけではなく、自分のやるべきことを黙々とこなすことができる特徴を持ちます。●コミュニケーション能力にまで影響『話題が合わないっていうだけじゃなく、人と交流することを避けているような印象があります。四六時中スマホを見て、人と会話する楽しさを知らないんじゃないかと思いますね』(40代ママ)『ゆとりってのは、勉強だけじゃなくて会話もできなくなっちゃったのかね。毎年新入社員が入ってくるけど、声は小さいし何言ってるのかわからない。会社の飲み会を断るやつなんて見たのは、最近になってからだよ』(50代パパ)新入社員と上司が噛み合わない“ゆとりエピソード”を聞くことは、珍しいものではなくなりました。プロセスを重視する教育を受けてきたことから、頑張ったことよりも結果が求められる仕事の場 では認められづらいこともあるようです。この他、怒られ慣れていなかったり、積極性に乏しかったりすることで、対人関係が苦手だと感じさせてしまうこともあります。仕事よりもプライベートを優先させ、会社の人間とは距離を保とう とするのもゆとり世代の特徴と言えます。----------いかがでしたか?実際に、ゆとり世代と言われる人たちの上の世代からすると、信じられないような価値観を持った若者に遭遇することもあるかもしれません。しかし、それは柔軟な思考によって生まれた新たな考え方というだけで、批判されることなのかは疑問でもあります。お互いの違いを認め合い、それぞれの良さを高め合っていくような関係を築くことが最適と言えるのではないでしょうか。【参考リンク】・【アンケート結果(1位〜6位)】ゆとり教育で問題だったと思うことは?()●文/パピマミ編集部
2016年06月26日こんにちは、ライターの渦マキです。近年、耳にするようになったフィンランドの教育“フィンランド・メソッド” 。どのような内容なのか、そして日本の教育現場においてフィンランドを見習うことはできるのかを考えてみたいと思います。●2000年に入って注目されはじめたフィンランドの教育2000年に入って、『OECD(経済協力開発機構)』の学習到達度調査『PISA』でフィンランドが上位に入ったことを機に、“フィンランド・メソッド”と呼ばれるようになり、フィンランドは教育先進国 として注目されるようになりました。しかしながら、実際のところフィンランドにおいては、“フィンランド・メソッド”という教育法は存在しません。『PISA』の結果に衝撃を受けた教育関係者たちがそのように呼び始めただけのようです。●フィンランド教育で注目すべき点●(1)国をあげての教育制度の改革「今、不況の中で一番投資が必要なものは子どもの教育である」という意見の教育大臣指揮のもと、教育改革が始められました。そこには企業への投資よりも、これから成長して行く子どもたちへの投資が最も有効だ という理念があります。授業料が小学校から大学まで無料だそうです。●(2)学校の順位付けがない(学校間のレベルの差がない)フィンランドの基礎学校は、6年間の初等教育と3年間の中等教育の9年一貫制 。卒業後は全員が進学資格をもっています。卒業後は、入学試験などは行わずに後期中等教育(高校か職業専門校)に進むことができます。基礎学校での評価で学校が決められます。また、学校に格差がない ので、子どもたちは大抵は地元の学校に通います。さらに、地域の格差ができにくい環境作りがされています。成績が本意ではなかった場合、10年生として無料で教育を受けることができます。●(3)教師の質が高い日本のように大学の教育学部を卒業し、教育職員検定に合格した者が教師になれるといったものではありません。大学で専門教科を学び、その後教師用のトレーニングを受け、特定の修士号を取得しなければ教師にはなれません。教師になったら、教材や授業のカリキュラムを独自に作るということも全て任され、教科書も教師が選ぶという徹底ぶりです。教師への全幅の信頼がなければ、こうした権利は与えられないのではないでしょうか。●(4)学習に遅れが生じる子どもは授業の前後で補習を行う教え合ったり、話し合ったりすることで子どもたちに協調性を育ませる。クラスの学習についていけない子どもに関しては、授業が始まる前後に補習で補います。教師の采配でフレキシブルにクラスを能力によってグループ分けして授業をすすめていきます。たとえば読み書きが苦手な子どもたちを教師だけではなく、それを得意とする子どもたちにも協力してもらって同じレベルに伸ばしていきます。クラスも少人数制です。子どもたちの協調性も培います。●日本でフィンランド式教育法は有効か日本でフィンランドの教育体制を見習い、同じように変えて行くことはできるのでしょうか?フィンランドの教育では、学習は大切なもの。しかし、その前に人間としての成長が最も大切なことだと社会全体が認識しています。それには子どもに十分な“遊び時間” を与えることが重要だと考えられています。日本における学歴社会では、学校での勉強時間の他にも塾などで子どもの自由時間は減って行くことになります。「いい大学を出て、いい会社に入社する」といった学歴信仰が子どもにとって本当に幸せなのかをよく考え直してみる時期なのかもしれません。現在の日本の社会を考えてみると、フィンランドのような教育体制を目指すことは今は難しいかもしれませんね。日本も国をあげて子どもの教育に投資していかなければ、将来国家全体に関わってくるという認識が求められます。【参考文献】・『フィンランドの教育力ーなぜ、PISAで学力世界一になったのか』リッカ・パッカラ(著)●ライター/渦マキ(フリーライター)
2016年06月16日今年の桜は、かなり長い期間楽しむことができましたね。東京の桜はそろそろ葉桜モードですが、お花や葉っぱが色づくこの季節は、やっぱり心はウキウキして、色々なことが「始まる」ことを実感します。子どもたちも新年度になり、進学・進級を迎えて、クラスが変わったり、担任の先生が変わったりで、まだペースがつかめない毎日を送っているご家庭も多いことでしょう。わが家も早起き、そして私はお弁当作りの毎日に、学期の最初はなかなかペースがつかめず、なんとなく寝不足気味…。そしてこの4月、子どもたちを取り巻く環境で、今年大きく変わったことがあります。それは、これまで義務教育として位置づけられていた小学校、中学校の他に、今年度から義務教育学校というものが、法律で正式に位置づけられ、新たな学校としてスタートすることになったのです。今年度スタートした「義務教育学校」って?この義務教育学校というのは、義務教育期間である小中学校9年間を一つのまとまりとして学校を設置し、教育内容も9年という期間で編成するというもの。これまでも行われてきた小中一貫教育が、一つの学校になったとイメージするとわかりやすかもしれません。これまでの小中一貫教育は、「特例校」として、毎年度、文部科学大臣の指定を受けなければなりませんでしたが、その必要はなくなり、小中学校の設置者である市区町村の裁量で設置することができるようになったのです。それでは、小学校と中学校が分かれているのと、一貫教育として行うのとは何が違うかといと、小中一貫教育導入にはさまざまな子どもを取り巻く問題がその背景にあります。 思春期にやってくる問題も緩和する?一つは「中一ギャップ」という問題です。小学校と中学校とでは、勉強の仕方も学校生活も大きく変わります。うまく適応できない子どもが多くなり、不登校の子どもの数も中学一年生が一番多く、またいじめという問題も多発します。また、子どもの成長の早期化も近年著しく、思春期も30年前と比べると、だいたい2~3年早まる傾向にあります。30年以上前に中学校生活を送っていた自分自身を振り返ってみても、一般に反抗期といえば、中学2年生ころから始まったように思うのですが、今は早いと小学校4年生ころから、だいたいの子は小学校卒業する前には反抗期に突入するのが実態。体の成長も、1年間で一番身長が伸びるのは、30年前なら男の子は中学2~3年生、女の子は中学1~2年生だったのが、今では、男の子は6年生、女の子は5年生と、これも2~3年早まる傾向にあります。つまり、心も体も大きな変化のさなかで中学受験や進学を迎え、それらに影響される心身のアンバランスが、中学校生活に影となって表れてくるという問題は、もう10年以上も前から指摘されてきました。そこで、小学校から中学校への接続をできるだけ滑らかにすること、これが小中一貫教育の最大の目的であるのです。学習面でこの制度がもたらす効果は?また外国語教育、情報教育など、学校で教える内容も増え、カリキュラムの見直しなども大きな課題でした。小中一貫教育では、義務教育9年間をひとまとまりとして考えますから、その中で、カリキュラムの前倒しや、中学校の理科などの専科の先生が小学校で教えることができるなど、授業の充実にも大きく寄与することになります。すでに平成18年度には、東京都品川区で、公立では初めてとなる小中一貫校「日野学園」(この4月からは義務教育学校・日野学園)を開校し、大きな成果が得られてきました。特に生活面で言うと、思春期や反抗期の中学生が小さな小学生と日々触れることは、大人には想像もできないような効果が生まれるようです。例えば不登校がなくなったり、反抗期の時期にある子どもでも、自分たちが小さかったころを思い出すことで、生活態度そのものが変わってくるといいます。そもそも、義務教育が小中と分かれているのは、戦後、それまで日本では、義務教育は小学校だけだったものに、GHQ(連合国最高司令官総司令部)の政策によって3年間の中学校が足されただけであり、合理的な意味はありませんでした。私立のみならず、最近では、公立の中高一貫教育も増えています。本来なら、そもそも義務教育とは、何を目的に、何を学ばせるのかなど、戦後70年経った今、改めて根本からの改革を行わなくてはならないのですが、ひとまずは、子どもたちの現実の姿に合わせ、国の制度としての義務教育学校が位置づけられたことは、とても大きな一歩であったと思います。私は品川区の教育委員として、この小中一貫教育の制度化に携わってきましたが、国が「義務教育学校」として学校教育法の中に正式に位置づけるまでには、日野学園の開校からちょうど10年、品川で小中一貫教育の制度化を含む教育改革を始めてから実に17年の歳月を要しました。すでに、この間に、義務教育を終えてしまった子どもたちがたくさんいるとうこと。子供の成長はあっという間ですから、今の子どもたちに、「間に合わなかった」ということがないように、制度を作る大人たちには、スピード感こそが求められていることを自覚して欲しいと思っています。
2016年04月19日楽天銀行は4月1日、「楽天銀行教育ローン」の提携大学として、新たに早稲田大学を追加した。○優遇金利で教育ローンが利用できる楽天銀行が提供する「楽天銀行教育ローン」は、提携大学に優遇金利を設定している。このたび、新たに早稲田大学が提携校となり、同大学に入学を予定している人または在学生が優遇金利の対象となる。なお、早稲田大学の関連校として、早稲田大学高等学院、早稲田大学本庄高等学院、早稲田大学高等学院中学部、早稲田大学芸術学校についても優遇金利を設定。提携大学は、東京理科大学、明治大学(在校生のみ)、日本大学芸術学部などがあり、早稲田大学で24校目となる。楽天銀行によると「提携大学の優遇金利の数値は開示していないが、提携大学以外の教育ローンの金利は、4月4日現在、固定で年3.900%、変動で年3.250%。提携校はこの数値よりは低くなる」とコメントしている。「楽天銀行教育ローン」の申し込みは、楽天銀行ホームページの申し込みフォームから入力する形式となっている。必要書類はスマートフォンのカメラで撮影し、「楽天銀行アプリ」で送付。申し込みから最短で翌営業日に融資する。
2016年04月04日日立製作所と日立ソリューションズ・クリエイトは28日、滋賀県草津市の公立小中学校全20校を対象に、教材や学習指導案などのデジタルコンテンツを共有し、利用できる「教材共有システム」を構築、4月1日から稼働することを発表した。近年、学校教育現場におけるICTが浸透する中、授業の質の向上や教職員の業務効率化を目指した情報共有に対するニーズが強まっており、今回、ICT教育に積極的に取り組む草津市で「教材共有システム」が構築された。同システムは、滋賀県草津市の公立小中学校全20校の教職員約800名が教材や学習指導案などを共有・利用できるシステムで、日立製作所の「教育コンテンツ活用システム」を利用している。従来、個別に作成・保管していた教材や学習指導案などがデータベースで一元管理され、教職員がポータルサイトを使って共有することが可能になる。各コンテンツに対する教職員からの感想や改善提案をデータとして記録したり、頻繁に使用する教材を教職員個々の「マイフォルダ」に登録したりする機能なども備えており、教職員同士の情報共有による授業や教材の質の向上が期待される。なお、同システムは草津市教育委員会のプライベートクラウド上に構築されており、草津市の公立小中学校全20校で、教職員が校務用PCを使って、共同利用する。
2016年03月28日楽天銀行は3月8日、東京理科大学と「楽天銀行教育ローン」の提携を開始したと発表した。○優遇金利で教育ローンが利用できる楽天銀行が提供する「楽天銀行教育ローン」では、提携大学に優遇金利を設定。このたび、新たに東京理科大学または諏訪東京理科大学が提携校となり、両校に入学を予定している人もしくは在校生は優遇金利の対象となる。なお提携は、東京理科大学で23校目となる。楽天銀行によると「提携大学の優遇金利の数値は開示していないが、提携大学以外の教育ローンの金利は、9日現在、固定で年3.90%、変動で年3.277%。提携校はこの数値よりは低くなる」とコメントしている。「楽天銀行教育ローン」の申し込みは、楽天銀行ホームページの申し込みフォームから入力する形式となっている。必要書類はスマートフォンのカメラで撮影し、「楽天銀行アプリ」で送付。申し込みから最短で翌営業日に融資する。
2016年03月11日英会話のGabaは、小学生または中学生の子どもを持つ20代~50代の男女1,000人を対象に実施した「子どもの受験と英語教育に関する調査」の結果を発表した。調査期間は2015年12月9日~13日。○英語教育改革をどう思う?英語教育改革として、「小学校3年生から外国語教育が開始となり、従来、外国語教育が始まる学年であった小学校5年生からは英語を正式な教科として扱うように変更する」といった計画が進められている。この教育改革について尋ねたところ、90.9%が「賛成」と回答した。また88.7%が「英語教育改革で英語の4技能を習得できたら、子どもの将来の選択肢が広がる」と答えている。外国語教育の早期化については、91.0%が「幼いころから英語に慣れ親しむのは、良いことだと思う」と回答した。もしも、子どもの英語教師を選べるとしたら、どのような能力や経験に秀でた先生を選びたいか聞くと、53.9%が「英会話力を伸ばす、コミュニケーション重視の授業を行うことができる先生」と回答した。次いで「ネイティブの発音で話すことのできる先生」(52.3%)、「留学などで、海外で過ごした経験のある先生」(40.1%)となっている。英会話を楽しく教えてくれそうな"理想の英語教師"(芸能人)はだれか聞いたところ、トップは「関根麻里さん」(40.1%)だった。2位は「パックン(パトリック・ハーラン)さん」(32.5%)、3位は「厚切りジェイソンさん」(31.9%)という結果になった。○95.3%の親が「受験期は子どもの感じるストレスが増す」受験期の不安について聞いたところ、受験期は「子どもの感じるストレスが増す」と思う保護者は95.3%だった。68.6%は「受験期の子どもとの接し方に不安」と回答している。受験期における金銭面の不安では、「受験期は金銭的な負担が増える」と思う保護者は93.0%だった。受験期の子どものサポートについての考えを聞くと、94.6%が「受験期の子どもをなるべくサポートしたい」と回答した。子どもが難関校への進学を目指したいと希望したら、どのようなサポートをしてあげたいと思うか尋ねると「学習塾に通わせる」(67.2%)が最も高く、「勉強を促す声かけをする(25.2%)」や「直接勉強をみる・教える(22.3%)」が続いた。子どもが現在行っている習い事について聞いたところ、「算数・数学」(22.7%)が最も高く、次いで「国語」(17.0%)や「英語」(16.2%)が続き、「英会話」(7.5%)は全体で7位となった。現在行っている習い事のうち、入試の教科に関係しなくとも受験期に続けさせたい習い事は何か聞くと「英会話」が64.0%で最も高かった。次いで「音楽・楽器」(62.4%)や、「国語」(57.6%)、「ダンス・バレエ」(56.1%)となった。
2016年01月28日2015年12月1日から施行された、改正労働安全衛生法に基づくストレスチェックの義務化。実際にどんな制度でなにが変わるのか、説明できますか? まわりから質問されたときに戸惑わないよう、今のうちにチェックしておきましょう。■そもそもストレスチェックってなんのため?今回のストレスチェックの法制化の背景にあるのは、近年のメンタルヘルス不調による長期休業者や労災申請件数の増加です。メンタルが原因で仕事に影響がでることは、本人にとっても会社にとっても大きな問題。そこで、それらを未然に防ぐため、一定規模の事業者にメンタルヘルス管理を義務づけることになりました。うつ病などの原因を割りだし、労働環境の改善に努め、ストレスの要因を減らすことを目的としています。■ストレスチェックが義務づけられる対象は?ストレスチェックが義務づけられているのは常時50名以上の労働者がいる事業場(法人・個人)です。この労働者には、継続して雇用していれば、週一勤務のアルバイトも対象となります。ただし、ここで知っておいて欲しいのは、義務があるのは事業者のみということ。労働者は受検を義務づけられていないため、強制されることはありません。すでに心療内科にかかっていたり、メンタル面が不調の人にとっては、この受検自体がストレスになる可能性もあるので、そういう場合は拒否できます。■実際にチェックって何をするの? どんなことをきかれるの?ストレスチェックは、医師または保健師による質問調査という形でおこなわれます。どんな質問がされるのか? 一例を、厚生労働省が作成して利用を推奨している、職業性ストレス簡易調査票などからいくつか挙げてみましょう。■あなたの仕事について非常にたくさんの仕事をしなければならない時間内に仕事が処理しきれない一生懸命働かなければならない自分のペースで仕事ができる■あなたの最近の状況についてひどく疲れたへとへとだだるい気がはりつめている■あなたの周りの人について上司と気軽に話ができる職場の同僚と気軽に話ができる困った時、上司は頼れる困った時、同僚は頼れる出典: 厚生労働省「こころの耳 職業性ストレス簡易調査票」 上記のような質問に「そうだ」「まあそうだ」「ややちがう」「ちがう」などの選択肢から選んでマークします。実際の質問事項はもっと多くなるでしょう。それらを専門家が分析して、あなたが高ストレスかどうかを判断します。■高ストレスと判断されたらどうなるの?質問調査の結果、高ストレス状態と診断されても、すぐにそれが会社に伝わるわけではありません。結果はまず個人へ知らせられ、受検者のあなたの同意なく会社へ通告はされません。また、高ストレス者本人が希望すれば、会社は医師との面談を提供しなくてはならず、医師が必要と判断すれば高ストレス者の労働時間短縮や配置換えを会社へ指示できます。ここで、ひとつ心配なのが「高ストレス者だ」と会社に告げることで、仕事を取り上げられたり、望まぬ異動をさせられたり、あるいは遠まわしに退職勧告されないか? という点です。そんな心配は無用。この検査結果に基づいた、不利益取り扱いは法律で明確に禁止されています。高ストレスだという結果がきたら、無理をせず、なるべく会社へ申告してヘルスケア改善につとめるようにしましょう。
2016年01月06日