「金と自由は欲しいけど、何もしたくないーー」を貫いてきたタレントで漫画家の蛭子能収さん(74)。2020年夏に認知症を公表した後も、その“人生哲学”はまったく変わらない。絵を描くよりもテレビの仕事のほうが楽だしギャラもいいと言い続ける蛭子さんに突如湧いた「絵画展プロジェクト」。果たしてプロジェクトは成功するのだろうか……。(第3回/全10回)絵画展プロジェクトを成し遂げるための重要なカギを握っている“特殊漫画家”根本敬さんと蛭子さんの久しぶりの対面。だが、40年来の友人である根本さんのことを、蛭子さんはすっかり忘れていた。戸惑いながらも根本さんは、「漫画雑誌『ガロ』で80年代に一緒に描いていた根本だよ」と、自身の代表キャラで、気弱な丸めがねの中年男性「村田藤吉」の絵を描いて蛭子さんにみせた。しかし蛭子さんは「すみません、ちょっと忘れてしまいまして……」とポリポリと頭をかく。動揺をかくせない根本さんは、「ほら昔さ、みうらじゅんさん、平口広美さん、スージー甘金さん、杉作J太郎さん、霜田恵美子さん、山崎春美さんとか、みんな仲間で。一緒にソフトボールやったり、温泉に行ったりしたでしょ」と、蛭子さんになんとか思い出させようと、根本さんは昔話を次々と繰り出す。「あーなんか……ありましたね」根本さんと話をしていくことで、蛭子さんの頭がクリアになっていく。「でも、本当に根本さん?」「そうだよ、オレだよ、オレ!」「あ~声がそうですね。声をきけば根本さんですね」蛭子さんの表情がおだやかになっていく。「あ~本当だ、根本さんだ。ずいぶん年とったね……、あ、すみません、オレ、失礼なこと言うことがあって……」「知っている、知っている。蛭子さんは前から失礼なことしか言わないから」かすみがとれたように蛭子さんのなかで、目の前の男性が「根本敬」だと認識されていく。「蛭子ウォッチャー」の根本さんが語る、2人だけしか知らない昔話が盛り上がったところで、根本さんが蛭子さんに相談事をぶつけた。「実はさ、絵を描いてもらいたい友達がいるんですけど、いくら言っても絵を描いてくれません。すごく才能があるけど、自分にそれだけの力があると思っていない。でも、日本中だけじゃなくて、世界中にファンがいるんですよ」神妙な顔で聞いている蛭子さんは、「え、誰やろ、なんで描かないんやろ?」と首をかしげる。根本さんが続ける。「蛭子能収というんですが……」「……えっ、オレのこと?オレなら、ササッと描けるよ」と、蛭子さんは、根本さんが持ってきた画材道具に手を伸ばした。「根本さんは、何もしないの?」と根本さんに毒舌を吐きながら、蛭子さんはスケッチブックに向かい始めた。(続く)
2021年12月04日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(74)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「かわいがっていたワンちゃん『ミルク』(ビーグル犬)を亡くしてしまいました。7年間も離れずに一緒だったのに!!亡くなって3年ですが、テレビで犬を見ると今でも悲しみに落ちてしまいます。どうしたらいいですか?」(チャンエビさん・67歳・茨城県・主婦)【A】「こらえきれない悲しみや寂しさも、他人にとってはどうでもいいこと」(蛭子能収)オレは生き物をかわいいと思ったことがありません。ペットと一緒に暮らすなんて面倒だし、そんなに動物が好きなら動物園に行けばいいんですよ。(マネージャー「蛭子さんの奥さんも、かわいがっていた猫の「マロン」が亡くなったときはショックを受けて落ち込んでいましたよね」)あ~、そうでしたね。オレは世話が大変だったから猫が死んだときに「これで気兼ねなくパチンコに行ける」とちょっと思いましたが、女房に怒られるから「かわいそうだね」と言っときました。毎月の墓参りにも付き合って一緒に行きましたが、女房の悲しみはわかりません。たとえ夫婦でも、相手の悲しみや寂しさはわからないものですよ。まして他人にとってはどうでもいいこと。よその人がどうこうできることではありません。今でも悲しいと考えているだけでも、その犬は喜んでいると思えばいいですよ。女房にもそう言いました。本心では死んだら喜ぶはずはないと思っていましたけどね……てへっ!
2021年11月29日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(74)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「40代は仕事をバリバリやって、独立して、家も建てようと目標を立てましたが、50歳を前にしてすべて実行できず……。意志が弱くて根性のない自分、50代、60代はどうなっているか心配です」(リチさん・49歳・福井県・飲食店勤務)【A】「オレの生涯の願いは『金は欲しい。自由は欲しい。でもなんにもしたくない』」(蛭子能収)オレが40代のときはどうやったろ?もうすっかり忘れてしまいました。(マネージャー「そのころ、蛭子さんが作詞したあるバンドの曲では“金があればの40代”と書いていましたよ。この前、歌詞を見たじゃないですか」)あっ、そうでしたね。歌詞には「金は欲しい。自由は欲しい。でもなんにもしたくない」と書いていました。たぶん、40代でも70代でも、認知症になってもならなくても、考えることはそんなに変わらないですよね。それに意志が弱くても、49年間も生きているんだから、これから先も真面目にやっていけばたぶん大丈夫ですよ。(マネージャー「ギャラをもらっているんだから、もっといいアドバイスをしてください!」)ヘヘヘ……、こうやって、マネージャーに怒られてもニコニコしていればいいんですよ。あまり深く考えずに笑顔でいれば、意志が弱くても、根性がなくても、なんとか生きていけると思いますけどね。
2021年11月15日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(74)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「退職後、自由に過ごしたいと思っているが、妻に『歯を磨け』『風呂に入れ』とうるさく言われ、ほとほと困っている。誰に会うわけでもない毎日、そんなに小ぎれいでいないといけないのでしょうかね?」(サトピンさん・67歳・宮城県・無職)【A】「風呂に入ったり、歯磨きしたりするのは、自分のためではなく人のため」(蛭子能収)オレは小さいときから、トイレに行ったらいつもせっけんで手を洗います。オレ自身は気をつけているつもりはありませんが、母親にうるさく言われたからだと思います。(マネージャー「蛭子さんは意外ときれい好きですよね」)えっ?意外というのがちょっと傷つくけど……、いまでも食事のあとは歯を磨くし、風呂にも毎日入ります。面倒ですが、女房に嫌がられないためにしたことが習慣になっただけです。この人も、自分のためだけだったら身ぎれいにしようと思わないはずです。気持ちいいとかスッキリするとか自分にはどうでもよくて、奥さんのために風呂と歯磨きをすればいいですよ。(マネージャー「蛭子さんにも数年前からテレビに出演するときにスタイリストをつけて小ぎれいにしたら、その後、仕事が増えました」)えっ?知りませんでした。適当な変な服を着せられていると思っていました。年をとったら、人の言うことを黙って聞いたほうがいいことがあるんですね。
2021年11月08日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(74)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「BTSとファッションや美容が大好きな18歳の女子です。いつかはインフルエンサーになって、SNSで有名になって、いっぱいお金を稼ぎたいです。インフルエンサーとして活躍するために大切なことはなんですか?」(サッチンさん・18歳・山梨県・学生)【A】「人の気持ちがわからない人はインフルエンサーになれない」(蛭子能収)あわあわ……、この相談の意味がサッパリわかりません。インフルエンザになると高熱が出て大変だと思いますけど……。(マネージャー「インフルエンサーは、一般の人でもネットでの発言で影響力があって、広告でお金をもらえるんですよ」)でも、オレに相談しているのに、相手にわからない話ばかりしているんですね。そんな発想の人は人気も出ないし金を稼げないと思いますよ。オレが影響を受けた人は横尾忠則さんですね。この前、展覧会に行ってきました。(マネージャー「蛭子さん、興奮して『すごい、すごい』と見入っていましたね」)そうなんですよね。漫画家の根本敬さんやショートステイで知り合った人に「蛭子さん、絵を描け、描け」と言われますが、ペンを持つ気持ちにはちっともなりませんでした。でも80歳を過ぎても描き続けている横尾さんの絵を見ていたら、オレも絵を描きたいと思うようになりました。人に影響を与える人は、自然にそんな力があると思いますよ。
2021年11月01日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「上司から、旅先のお土産や実家から送られてきたという野菜をよくいただきます(あまりおいしくないけど……)。そのお返しに和菓子を買って渡しています。わずらわしくて嫌……。なんとか断る方法はないのでしょうか?」(シピロンさん・35歳・千葉県・会社員)【A】「贈り物は、お返し、お返しと繰り返される迷惑なもの」(蛭子能収)えっ?これは「こんなのいりませんよ」と笑いながら言えば終わりじゃないですか。(マネージャー「上司だから言いづらいんですよ」)そうですかね、贈り物って迷惑ですよ。今年の夏の甲子園に、オレが卒業した長崎商業高校が出たみたいで、差し入れをしたほうがいいよ、と言われましたが、オレなんかから何かもらったら選手たちが困ると思ってやめました。この上司にお返しをするから、贈り物が繰り返されるんだから、今度から何かもらっても、お返しをしたら迷惑になると思って、なにもしなければいいと思いますよ。オレはお中元もお歳暮ももらったほうが面倒くさいだろうと思ってやめたら誰からも来なくなりました。(マネージャー「先日『有吉クイズ』〈テレビ朝日系〉で、有吉〈弘行〉さんに結婚祝いに、2人の似顔絵を描いてあげたら、すごく喜んでくれたじゃないですか」)あっ、15分くらいでテキトーに描いた絵ですね。あれなら有吉さんもお返しなど考えなくてもいいですよね。
2021年10月25日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「私はバツイチですが、若く見られるせいか、男性のお客さんから声をかけられます。なかでもある60代半ばのおじさまは積極的。私もそばにいてホッとするような男性が欲しいなと思うことも……。勇気を出して付き合ったほうがいいですか?」(えみりんさん・49歳・宮城県・スーパー店員)【A】「恋愛をするなら他人の迷惑なんて顧みず、自己中心的に考えよう」(蛭子能収)うん!?(と、ペットボトルの飲み物を見ながら)え・び・す……、あれ?オレの名前が書いてある。(マネージャー「エビアンですよ。エビしか合っていませんよ」)な~んだ、最近、なんでも自分のものだと思うほど、ちょっと自己中心的になっています。え~と、この人の相談の手紙には「タレントの安めぐみさんみたいな癒し系のルックスです」と書いてありますが、たぶんですけど、お客さんから好意を寄せられているというのは思い込みですよ。でも、そのくらい身勝手なほうがいいと思いますよ。オレも、前の女房が亡くなってすぐに再婚を考えたのは、一緒に暮らして話したり笑ったりする女性が必要だから。(マネージャー「ファンレターを読み返して、かたっぱしから電話をかけていましたよね」)そうでしたっけ?でも結婚とかもそうだけど、誰かに自分から声をかけるなんて、他人の迷惑なんて考えていたらできませんからね。なんでも自分のものだと思う気持ちが恋愛には必要ですよ。
2021年10月18日2021年10月11日に放送された、バラエティ番組『有吉クイズ』(テレビ朝日系)に、漫画家の蛭子能収さんがゲスト出演しました。タレントの有吉弘行さんと、認知症を公表している蛭子さんが再会するのは久しぶり。番組内で冗談をいい合う2人の姿は、多くの視聴者の心を和ませました。番組が放送された翌日である12日に、有吉さんはInstagramを更新。「えびちゃんありがとう」というコメントとともに、蛭子さんとのツーショット写真を公開し、話題となっています。※画像は複数あります。左右にスライドしてご確認ください。 View this post on Instagram 有吉弘行(@ariyoshihiroiki)がシェアした投稿 笑顔を見せる有吉さんが手に持っていたのは、蛭子さんが描いてくれた1枚のイラストでした。それは、2021年4月に結婚した有吉さんと、同年9月に芸能界を引退した、妻の夏目三久元アナウンサーの似顔絵。番組内で、蛭子さんから結婚祝いとしてイラストを受け取った有吉さんは、「嬉しい!下書きも消さずに!下書きくらい消してくださいよ」とツッコミを入れつつも、満面の笑みを浮かべていました。視聴者からは、有吉さんと蛭子さんの久しぶりの再会を喜ぶ声が続出しています。【ネットの声】・泣いた…愛を感じる。素敵な夫婦のイラストですね。・有吉さんの優しさが伝わってきて、感動した。有吉さん夫婦のイラスト、顔が似てる。・蛭子さんが元気そうでよかったです!また2人の共演を楽しみにしています。蛭子さんが心を込めて描いたイラストは、有吉さんにとって大切な宝物になったことでしょう。自宅に飾ったイラストの前で、楽しそうに笑い合う有吉さん夫婦の姿が、目に浮かぶようですね。[文・構成/grape編集部]
2021年10月15日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「異性の知人が亡くなって2年になるのに、心が苦しく死んでしまいたくなります。どうやったら、亡くなった人との楽しい日々を思い出せるのでしょうか?ああしておけば、もっと言うことを聞いてあげていれば、と考えています。」(ベンさん・?歳・愛知県・無職)【A】「笑いが止まらなくなるので深刻な相談はしないでください」(蛭子能収)オレは、こういう相談の答えはわかりません。でも自分としては、大事なときや困ったことがあるときは、とにかく笑っていればいいと思っています。オレも国語の授業でも1人だけ立って教科書を音読させられることがありましたけど、緊張するからかケタケタと笑いだして、一度も最後まで読んだことがありません。先生も笑ってるオレを見ると怒れなくなるみたいです。あと周りの同級生も面白がってくれました。ちょっと恥ずかしいけど、いじめられていたときもヘラヘラしていました。笑っていれば、なんとかなると思ったのかもしれませんね。この(相談者の)人は、悲しい顔をしていたら、よけいつらいと思いますけどね。笑うのは難しいかもしれないですけどね。(マネージャー「というか蛭子さん、この相談者の手紙を読みながら、さっきからすごくニタニタ笑っていますけど!」)いや~、こういう深刻な話を聞くと、笑いが止まらなくなるんですよ。だからこういう相談しないでくださいよ。
2021年10月11日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「私は競馬が大好きで、週末は馬券を買って、テレビを見るのが生きがいです。みんなは『金をどぶに捨てるようなものだ』とケチをつけます。借金しているわけでもないのに。蛭子さんはギャンブル好きですよね、どう思いますか?」(心の叫びさん・69歳・東京都・無職)【A】「認知症になっても、みんなが笑ってくれればそれでいい」(蛭子能収)借金もしないでギャンブルをしているのならまったく問題ありません。誰になんと言われても、稼げるうちに稼いでいたほうがいいと思いますよ。でも、テレビじゃなくて競馬場に行ったほうがいいと思いますよ。雰囲気や馬を見ることで馬券の買い方も変わってくると思います。(マネージャー「蛭子さんもずいぶんボートレース場に行っていませんね?」)あれ、そうやったっけ?あまり覚えていませんし、あまり競艇をやる気もないです。2〜3日前に競艇をやっている夢を見たんですが、やっぱり負けてしまいました。もうどんなときでも勝てる気がしません。(マネージャー「最近のインタビューでも、競艇をやめたいと話していますけど……」)えっ、そうなんですか?まったく覚えていません。(マネージャー「でも最後にやりたいことを聞かれて「競艇」と答えてみんなを笑わせています」)それも思い出せません。でもボケたとしても、みんなが笑ってくれればオレはそれでいいんです。
2021年10月04日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「町内のスーパーに「シニア募集」との張り紙があり、働くことにしましたが1カ月もたたないうちにイジメられて辞めてしまいました。前向きにファイトが信条。職探し中ですが、仕事がうまくいく方法を教えてください」(トッピィさん・64歳・岩手県・無職)【A】「仕事がうまくいく方法は、自分を受け入れてくれる場所で働くこと」(蛭子能収)シニアでも仕事がうまくいく方法ですか?テキトーでいいんじゃないですかね。(マネージャー「人生相談の回答も仕事ですよ、もっと真面目にやってください!」)あっ、すみません。でも、仕事は嫌なことをして金をもらうもの。よけいな信条とか持たずに、後ろ向きで頑張らないほうがいいですよ。それにしても職場で年寄りをいじめたり怒ったりする人は、すごく気の毒な人ですね、まいっか。オレは緊張するような場面で笑ってしまうクセがあります。なんか、人が真剣になっていたり泣いたりしている姿を見ると笑いが止まらなくなります。(マネージャー「笑いそうになったら、太ももをつねって、痛みでこらえたらどうですか?」)そんな痛い思いしなくちゃいけないなら、他人の目なんかどうでもいいですよ。オレはそんなクセがあるから人の葬式には行きません。でも、テレビでは面白おかしい人として受け入れてくれました。自分のクセを生かして仕事すればいいですよ。
2021年09月27日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「妻が家事をしなくなっています。今は朝ご飯作りから、弁当作り、食器洗い、ゴミ出し、洗濯、風呂&部屋掃除、晩ご飯作りまで一手に引き受けている状態。現代の旦那はどこまで家事をやるのが適切ですか?」(苦郎丸さん・45歳・静岡県・会社員)【A】「オレの得意料理はカレーライスとライスカレー」(蛭子能収)今どきの旦那がどこまで家事をやるべきかわかりませんけど、そもそも、よその家とあまり比べないほうがいいですね。モヤモヤするだけですよ。適切な家事は、その家の奥さんが怖いかどうかで決めればいいですよ。そういえば、ここ何日かのオレは、女房が誰だかわからないときがあったようで、さっき「私は誰?私は何?」と怖い顔で問い詰められました。すごく緊張しましたが、なんとか名前と「嫁さんです」と正解が言えました。家事は女房に任せきりで頭が上がらないから、もっと家事を手伝おうと思っています。(マネージャー「蛭子さん、家事できるんですか?」)昔は、オレが好きなカレーライスとかライスカレーを作っていたと思いますけど。(マネージャー「カレーライスとライスカレーは何が違うんですか?」)なんやったっけ?たしかカレーライスのほうがちょっとおいしいです。とにかくカレーライスとライスカレーを交互に毎日作れば、女房も喜んでくれるはずです。
2021年09月13日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「私の彼はギャンブルが好きで、仕事が終わるとパチンコをして、休日には旅をしながら全国のボートレース場を回っています。ふだんはいい人ですが、ギャンブルになると目の色が変わります。一緒になるのが不安です」(ハチのプーさん・31歳・千葉県・OL)【A】「本当のギャンブルは結婚。たいてい予想は外れて負けるもの」(蛭子能収)目の色が変わるって、すごいですね。オレに相談するということは「大丈夫!」と断言してほしいのかもしれませんがどうでしょう?(マネージャー〈以下、マ〉「えっ?蛭子さんは前からギャンブラーは休日もお金を増やそうと努力している人だと言っていたじゃないですか?」)あれ、そうでしたっけ?でも、競艇やパチンコ以上のギャンブルは結婚だと思いますけどね。これから先、相手がギャンブルをやめるかもしれないし、もしかしたら、すごい万舟を当てて、大金持ちになるかもしれません。しっかり目の色を変えて読み切ることが大事だと思いますよ。まあ、たいていの予想は外れますけどね。オレは競艇やパチンコにつぎ込まなければ、今ごろはたくさん貯金があったはずだ、と女房に言われて反省しているんですよ。(マ「貯金がいっぱいあったら、何に使うんですか?」)それは、やっぱり賭け事をするしかないですね……。あれ、なんかおかしいですか?
2021年09月06日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】23歳の息子は、この春から東京で生活しています。私はずっと田舎で暮らしてきて、怖い都会で暮らすなんて信じられません。悪い誘惑も人も多そうなので心配です。なんとか連れ戻そうと思っていますが……」(黒い彗星さん・54歳・青森県・自営業)【A】「冷静になって先を見通せれば、どこでも負けない(競艇の話)」(蛭子能収)オレも東京はすごく怖いところだと思っています。お金を稼ぐところもいっぱいあるし、成功すればお金はたくさん入ってきますが、稼げなくなったら崖から落ちるようにダメになっていくのが東京です。オレは長崎の看板店から逃げるようにして上京しましたが、東京には平和島、江戸川、多摩川のほかに、すぐに近くに戸田(埼玉)と競艇場が4つもあって夢の世界だと思いました。ただ、オレの地元の大村競艇場は、インコースを走る1号艇が勝ちやすくて、配当金は安いけどけっこう当たっていたんです。でも東京にある競艇場ではインコースの選手でも簡単に勝てないから、予想がかなり難しいんですよね。(電話で席を外していたマネージャーが戻って来て「大丈夫ですか?」)冷静になって、しっかり先を見通す力があれば、どこでも負けないと思います。息子さんも大丈夫だと思って信じてあげたらいいですよ。(マネージャー「よくわからないけど、なんかいいこと言っていますね、蛭子さん」)
2021年08月30日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「小学生の息子は要領が悪くて、授業で絵を描いても完成できなかったり、出された課題が終わらなかったりして先生にいつも注意されています。大人になっても不器用な人生を歩むのかと思うと心配です」(光GOーさん・39歳・滋賀県・主婦)【A】「要領が悪かったら、要領のいい人と仕事をすればいい」(蛭子能収)要領が悪いって、どういう意味ですか?(マネージャー〈以下、マ〉「段取りが下手だったりうまく処理できなくて失敗しちゃったりするんじゃないですか」)そんなことでも先生は怒るんですね。なんだかかわいそうな大人ですね。どんな人でも得意なことがあるから、息子がそれを見つけられるようにしてあげたらどうですかね。オレも要領がいいとは言えなかったと思いますけど、漫画を描くことを見つけて、それで金を稼ぐことができましたから。(マ「そういえば『サンデー毎日』の連載をまとめた『おぼえていても、いなくても』の漫画がいいと評判ですよ)最初のころの漫画は背景をしっかり描いていて、自分でも丁寧に描いていましたが、今は面倒くさいからテキトーになっています。(マ「認知症になってからの漫画には味があると言われています」)そんないい加減な作品を描いても、1冊にまとめられる編集者はよほど要領がいいんでしょうね。そんな人と付き合っていきたいです。
2021年08月23日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「職場にあった雑誌を見てメールしました。社員として固定給で働いていますが、フリーになった先輩から一緒にやろうと誘われています。収入が不安定になるフリーになるのが不安で迷っています。どうしよう……」(ヤッシー春さん・26歳・宮城県・美容師)【A】「ボケていても、いなくても、フリーには稼ぎ続ける覚悟が必要」(蛭子能収)あれ〜、フリーと正社員はどちらがいいかという相談は何回も来ていませんか?雑誌に載ることがわかっているのだから、おもしろい困りごとだったり、違う角度の悩みごとだったりしたほうがいいですよ。それがわからないんだったら、フリーにならないほうがいいと思いますけどね。(マネージャー〈以下、マ〉「まあ、そう言わずに。蛭子さんが7年半勤めたダスキンを辞めたときは不安がなかったんですか?」)よく覚えていません……、というか、オレはフリーでしたっけ?(マ「漫画家として独立したから、30歳からフリーランスですよ」)あ、そっか。家族4人で暮らしていかなくちゃいけないから、覚悟を決めたら、ぽつぽつと原稿依頼が来たような気がします。(マ「フリーとして40年近く働いて『サンデー毎日』の連載をまとめた新刊『おぼえていても、いなくても』を出版するんですから、すごいですよ」)フリーには“ボケていても、いなくても”稼ぎ続ける覚悟が必要ですよ、ポリポリ……。
2021年08月16日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「働きはじめて3カ月の新入社員です♪前は友だちと会うことが楽しかったのに、今は仕事のことで頭がいっぱいで会うのが面倒くさ〜い。でも、友だち付き合いがおっくうになっていくと思うと寂しいです♪」(なっちゃんさん・22歳・群馬県・会社員)【A】「『おぼえていても、いなくても』のほうが、『認知症になった蛭子さん』より面白い」(蛭子能収)ハートマークがいっぱいで、本当に悩んでいるんですかね……ま、いいか。オレにとっては理解できないけど、仕事も友だち付き合いも優先順位が上のほうで、今は仕事がちょっと勝っているんでしょうね。(マネージャー〈以下、マ〉「何かを得るためには、何かを捨てなくてはならない!いいこと言いますね」)どちらも面倒くさいものだから、テキトーにやっていればいいのに。そういえば優先順位ではないけど、最近は、オレも一応、ギャラが高い安いとかいろんな理由で重要かどうか考えて仕事しています。(マ「8月2日に出版される蛭子さんの『おぼえていても、いなくても』〈毎日新聞出版〉はエッセイだけでなく、イラストや漫画をぎっしり描いていましたね」)あ~、あれは、担当の人が、いつもアップルパイとかどら焼きとかオレの好物を買ってきてくれるので一生懸命描きました。この、どうでもいい人生相談をまとめた本(本社刊『認知症になった蛭子さん』)よりも面白いですよ♪♪♪
2021年08月02日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「蛭子さんが好きで、競艇やパチンコなどギャンブルもやってみたいと思っていますが、私はのめり込みやすい性格なのでどんどんドツボにはまっていく気がして……。ハマらない方法を教えてください」(オリオリさん・26歳・東京都・会社員)【A】「ギャンブラーは、休みの日にもお金を増やそうとする働き者」(蛭子能収)18歳からパチンコ、20歳から競艇をしていて、オレの人生からギャンブルをとったら何も残らないかもしれませんね。(マネージャー〈以下、マ〉「『認知症になった蛭子さん』を読んだ人が、新婚旅行で3日連続、競艇場に通った蛭子さんを“クズすぎる!”と話していました」)えっ、そんなことあったっけ?オレはギャンブルをしてお金を増やそうとしていただけ。休みの日でも競艇場に通っていたから、自分ではすごく働き者だと思っていました。気をつけていたのは、帰りの電車賃は残しておくことと、人から金を借りてギャンブルをしないこと。これさえ守っていればハマりませんよ。それにしても、認知症になってからは賭けごとに興味が湧きません。前までは、競艇でもパチンコでもギャンブルをやらない人は、いったい何が楽しくて生きているのかまったくわかりませんでしたが、今のオレはその人たちと同じです。(マ「本当ですか?」)ええ、もうギャンブルはやりません、賭けてもいいですよ。
2021年07月26日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「私は、恋愛小説を書いています。小説家になりたくて、それを目指してがんばっています。蛭子さんにその小説を読んで感想を聞かせてほしいんです。ダメですか?それなら、何かいいアドバイスを!」(苺ベリーズさん・21歳・栃木県・専門学校生)【A】「本を書こうと思うなら人がやらないことをやるべき」(蛭子能収)恋愛なんか興味ないし、そもそも字を読むのが嫌いだし……。たぶんオレがその小説を読んでも何にも感じないと思いますよ。アドバイスですか?オレが漫画を描くときに心がけていたことってありましたっけ?(マネージャー〈以下、マ〉「蛭子さんのデビュー作の『パチンコ』はパチンコ店に辿り着けない男の話で、パチンコ台が一切出てこない衝撃作でしたよ」)そうそう、とにかく、人がやらないことをやろうと思っていました。チリ紙交換のときも、みんなが行かないようなところで古新聞を探していましたし。あとは関係ないコマに毛沢東とかUFOの絵を入れたり、タイトルを不可解にしたりして、読んでいる人に「?」と思わせようとしていました。大事なのは、最後まで描き切ることですよ。あとはなんとかなりますよ。(マ「がんばって『認知症になった蛭子さん』も書き切りましたものね」)あ、オレ、その本、書いていないし読んでいません。(マ「著者がそれを言ってはいけません!」)
2021年07月12日神様・仏様に願掛けしたいことのひとつが病気の平癒。’20年に認知症であることを公表した蛭子能収(73)の妻・悠加さんがは、小さいころから祖父母の影響で神社やお寺に行くことが多く、今でもよく参拝しに行くという。そんな悠加さんが、以前から会いたかったという神社仏閣ナビゲーターで心理カウンセラーの尚さんと語り合いましたーー。尚「初めまして。『認知症になった蛭子さん』を読ませてもらいましたが、ご主人の介護を1人で抱えられていた時期は大変でしたね」悠加「今日は初めてお会いできるのを楽しみにしていました。尚さんの“霊視”に関する本を読むなどして、ぜひお話を伺いたいと思っていました」尚「小さいときから霊的なものが見えていたそうですが?」悠加「小学校3、4年生までは布団に入ると、目の前に天使か妖精のようなものが帯状に光って見えたことがありました。あとは旅行先の宿で『これはヤバいな』という雰囲気を察して部屋を変えてもらうこともあります」尚「ふとした瞬間に、なにか霊的なエネルギーのようなものが見えているはずです。神社仏閣に行かれることも多いそうですね」悠加「はい。小さいときから祖父母の影響で、神社やお寺に行くことが多く、今でもよくお参りに行っています。実は、認知症を発症する前の主人は、霊をはね返してくれていました。一緒にいても、禍々しいものははね返してくれる安心感が。それでも症状が進むと、その力が弱くなったようで……」尚「気持ちが沈み込むと、エネルギーが弱まりますからね。霊は助けてくれる人を見つけて頼ってきます。でも、蛭子さんに訴えても聞いてもらえないことを霊はわかっているようです(笑)」悠加「主人は霊的なものなどはまったく信じていませんからね」尚「たぶん、もともとは信仰のあつい家系だと思います」悠加「だから、蛭子家がもともと氏子だったといわれる日和佐八幡神社(徳島)に行ったり、えびす様をお祭りする西宮神社(兵庫県)に主人を連れて行ったりしました」尚「蛭子さんに限らず、今の時代、信仰心を受け継いでいくことは困難です。だから、信仰に理解のある悠加さんとのご縁が、蛭子さんのご先祖さまの計らいでつながったという気がします」■神社からいただく縁により状況が好転することも悠加「(ぼけ封じ寺社の一覧を見ながら)玉川大師(東京都世田谷区)さんは、よくお参りしています。認知症に御利益のあるお寺だとは思っていませんでしたけど……」尚「今ほど医療が発達していなかったから、昔の人は、疫病に関して神社仏閣がよりどころ。わりと健康祈願はどこの神社仏閣でもできますが、ぼけずに健康で長生きすることに特化した寺社をあげてみました」悠加「どのようにお参りすればいいのでしょうか?」尚「ぼけ封じの寺社だけではなく、神社ならご祭神、お寺ならご本尊、その土地の神様であるお稲荷さんが祭られていたら、ぜひご挨拶してください。また、ご祈願されることがあれば、お礼参りも忘れないでくださいね」悠加「介護で感じたのは、認知症の人だけでなく、介護している家族もつらい思いをすることです」尚「神社やお寺に参拝することは、ご神仏とのご縁をいただくことです。そしてご神仏はさらに、参拝者にとってのよりよいご縁をつないでくれます。以前、義理のお母さまが認知症になって悩んでいた方にお参りを勧めたら、施設にすんなり入ることができたことがありました。素敵なヘルパーさんやいい施設など、人や場所などとのいいご縁がもらえたりすることもあるのです」悠加「なるほど。私は『自分がやらなければ』と1人で背負い込み、介護しているときは、視野がすごく狭くなっていました」尚「神社やお寺に行って、少し落ち着いた気持ちになれば、違う視点から物事を考えられるきっかけにもなります。ぜひ、介護するご自身の幸せのためにもお願いしに行くことも大事です」悠加「主人のように自分ファーストのスタンスで、霊や介護とも接したほうがいいのですね。ありがとうございました」
2021年07月07日神様・仏様に願掛けしたいことのひとつが病気の平癒。’20年に認知症であることを公表した蛭子能収(73)の妻・悠加さんは、小さいころから祖父母の影響で神社やお寺に行くことが多く、今でもよく参拝しに行くという。そんな悠加さんが、以前から会いたかったという神社仏閣ナビゲーターで心理カウンセラーの尚さんと語り合いましたーー。尚「初めまして。『認知症になった蛭子さん』を読ませてもらいましたが、ご主人の介護を1人で抱えられていた時期は大変でしたね」悠加「今日は初めてお会いできるのを楽しみにしていました。尚さんの“霊視”に関する本を読むなどして、ぜひお話を伺いたいと思っていました」尚「こちらこそお会いできてうれしいです」悠加「主人に認知症の症状があらわれたのは’17年ごろからですが、芸能ネタになってしまってはいけないと、悩みを誰にも打ち明けられませんでした。その3年間はずごくつらかったですね。いまも『おかしい』と『しっかり』が混在していて、症状がよくなることはありません。でも、最近は主人の調子や表情が穏やかな気がします(と、スマホを取り出し、蛭子さんの近影を見せる)」尚「明るい笑顔が印象的ですね。悠加さんも穏やかで、壮絶な介護体験をされたとは思えません。介護サービスなど人の手を借りることで心に余裕が生まれたのでしょうか。認知症の人は、介護者の気持ちを映す鏡のようなものです」悠加「今は明るく楽しく接してあげられているかなと思います」尚「(蛭子さんの写真を見ながら)日常生活で働くはずの脳の部分に靄がかかっているように見えるのが気がかりです。でも好きなことをやっているときに働く脳の部分には問題がないようですね」悠加「主人の好きなことといえばギャンブルですね(笑)」尚「ただ、その一方で、日常生活のことを考えるエネルギーが弱々しい。『日常生活』と『好きなこと』が融合できれば、脳にも好影響が出そうです」悠加「本当は、主人に絵を描いてほしいなと思っていますが……」尚「絵を描いても認知症の進行が遅らせられるかというと、必ずしもそうでもないようです」悠加「たしかに本人は、認知症になってもギャラの出ない絵は描きたくないと話しています(笑)」尚「小さいときから霊的なものが見えていたそうですが?」悠加「小学校3、4年生までは布団に入ると、目の前に天使か妖精のようなものが帯状に光って見えたことがありました。あとは旅行先の宿で『これはヤバいな』という雰囲気を察して部屋を変えてもらうこともあります」尚「ふとした瞬間に、なにか霊的なエネルギーのようなものが見えているはずです。神社仏閣に行かれることも多いそうですね」悠加「はい。小さいときから祖父母の影響で、神社やお寺に行くことが多く、今でもよくお参りに行っています」尚「お参りした瞬間は心が軽くなるけど、帰るころにはずっしり気持ちが重くなっていることはありませんか?」悠加「あ!はい、あります。なんとなく、お参りした後に、自分で、自分ではないと思うような感覚になり……。そんなときはお風呂に御神酒を入れたり、部屋にお塩や榊のスプレーをまいたりしておはらいをしています」尚「悠加さんは性分として、霊的なものの声を聞いて差し上げている感じがします。声を聞いたうえで『自分ができることはないか』とつねに考えているようですね」悠加「はい……」尚「お優しい悠加さんのエネルギーはとても繊細で、そこに頼ってくる霊体も少なくありません。ご縁のある霊だったらいいのですが、神社仏閣を巡ると、そのぶんいろんな霊を連れて帰ってきてしまう。さぞおつらいだろうなと……」悠加「実は今朝、3、4年ぶりに金縛りにあったんです。この1週間、心が乱れることがあって、つい先日、神社に行って気持ちを整えたばかりでした。でも、それ以降、なんだか怒りっぽくなり……。なにか霊障的なものがあるのか見てもらいたいんです」尚「実は女性の姿が見えます。女性の霊なのかなと感じます」悠加「そうなんですね……」尚「でも、今までどおりのおはらいをしていればいつか離れていくでしょう。ただ、悠加さんは生まれつき自己犠牲の精神が備わっていて、それを頼ってくる霊を背負い込みやすいエネルギーをもっています。霊が離れたとしても、いずれまた助けを求める別の霊を背負い込んでしまいます。その繰り返しでは、体が持ちませんよ」悠加「はい。でも、どのようにすればいいのでしょうか?」尚「ある程度、霊を手放すことをしていかないと。『私はなにもできません』という気持ちで突き放すことも大事です」悠加「金縛りにあったときなどにも『もう私はなにもできない』と言えばいいですか?」尚「そうですね、そんな気持ちがバリアのような働きをするのです。ご主人の病気もありますからね、今はちょっと無理ですと」
2021年07月07日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「私は、今、とってもつらく、闇の中にいます。死ぬことすら考えています。すべて父のせいです。お金には恵まれています。でも、これから先の人生を考えると……、生きていくのが嫌になりました」(匿名希望さん・新潟県・無職)【A】「死んだことがないからわからないけど、たぶん生きているほうが楽しいはず!」(蛭子能収)これまで一度も死んだことがありませんけど、オレは、死ぬよりも生きているほうが楽しいことがあると思うんですよ。でも、チャラチャラした回答はしにくいですよね。お父さんと何があったかわかりませんが、やっぱり、生きていれば楽しいことがあると思うんです。もしかしたら楽しくないかもしれないけど、楽しいと思うしかありません。それにオレは死ぬのがすごく怖いんですよね。(マネージャー〈以下、マ〉「子どものときに流れ星を見てから死が怖くなったんですよね!」)あ、そうそう!死ぬときは、流れ星のようにフッと消えちゃうのかなと……。そういえば、オレは認知症になってから、流れ星なら、もう輝いていない状態かもしれませんね。(マ「そんなことないですよ。『認知症になった蛭子さん』も出版したし、何歳になっても仕事をしたいと思えることはすごいです」)あ、そっか。じゃあ、オレは“認知症の星”になって、もっと稼がせてもらおうかな。
2021年07月05日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「蛭子さんと同じく熊本・天草生まれです。自分は、今、営業マンとして働いていますが、会社や上司から評価されていないことが、ずっと不満です。いくら頑張っても、働きぶりを見てくれません。どうすればいいですか?」(ヤッシーさん・26・熊本県・会社員)【A】「優しい評価をしてくれる人とだけ一緒に仕事をすればいい」(蛭子能収)わざわざ故郷が一緒だからと書いてきて、なにかいいことをしてもらえると期待している感じがして嫌ですね。(マネージャー〈以下、マ〉「厳しいですね、『甘ったれるな!』ということですか?」)そもそも評価するのは人だから、好きとか嫌いとかあって、それが結果になって出てしまうのはしょうがないと思うんですけどね。(マ「自分の評価があがらないのは他人のせいだと思ってしまう人が多いみたいです」)といっても、オレは優しく評価してくれる人としか仕事はしません。オレは「猫」を描いても、変な想像上の生き物にしか見えないことがあります。描き直しさせる人よりも、「わからないけど、おもしろいですね」と受け止めてくれる人が大好きです。(マ「新刊『認知症になった蛭子さん』も『おもしろい』と好評ですよ」)認知症で悩んでいる人や家族が多いから、もっとたくさん売れると期待しているんですが……。(マ「『甘ったれるな!』と言われますよ」)
2021年06月28日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「2月に69歳になりました。妻も娘も『その年で誕生日も何もないでしょう、自分でメデタイと思わないでしょう』とずっと誕生祝いをくれません。私は今でも欲しいのに……」(私はだーれさん・69・東京都・無職)【A】「誕生日なんて誰かが生まれた日なだけ。騒ぎ立てる必要なし!」(蛭子能収)誕生日や記念日とかどうでもいいですよね。誕生日なんて誰かが生まれた日なだけ。別に騒ぎ立てる必要はありませんよ。ほかの人の時間を奪って、しかも何か贈り物をもらったら、お返しするのも面倒。競艇で万舟が当たって大騒ぎすると、周りの人が「おめでとう」とご祝儀を目当てに近づいてきます。ひっそりと自分で祝っていればいいだけ。オレは誰かに何か贈った記憶がありません。(マネージャー〈以下、マ〉「蛭子さんの奥さんが誕生日プレゼントは、西友で買った1,300円のジーンズとユニクロの3割引のタグがついたセーターだけと言っていました」)あれ~そうでしたっけ?女房の誕生日は、競艇でオレがよく買う「1・2・4・6」に入っているからわりと忘れないですよ。(マ「新刊『認知症になった蛭子さん』も出たことだし、印税で何かプレゼントを贈ったらどうですか?」)だったら、「オレの介護を休める券」なんかどうですかね。(マ「いいですね、さすが大先生!」)
2021年06月21日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「51歳で結婚(初婚です!)を考えています。職場にいるバツ1の女性が相手です。彼女も結婚を考えてくれていますが、独身生活が長い僕は、踏ん切りがつきません。うまくいくコツを教えてください」(シゲジイさん・51・大阪府・会社員)【A】「結婚がうまくいく秘訣は自分の本心を隠し続けること」(蛭子能収)あれ、最近、オレの知り合いの誰かが結婚したはずですが……。(マネージャー〈以下、マ〉「有吉弘行さんです。46歳でアナウンサーの夏目三久さんと結婚しました」)あ、そうだ!有吉さんは楽屋ではおとなしいし、すごく優しい顔をしているけど、毒舌キャラに路線を変更して、芸能界で生き残れたからすごいですよね。ちょっと計算高いというか……。(マ「新刊『認知症になった蛭子さん』も発売後すぐに、ツイッターでつぶやいて宣伝してくれた恩人ですよ」)あ、そうですか。たぶん有吉さんも、結婚生活では本音を隠していると思いますよ。オレは、昔から子どもより女房が一番です。(マ「でも本当は競艇がいちばん好きなんですよね?」)そう思っていても「女房がなにより」とずっと本心を隠し続けること大事だと思いますけどね。(マ「有吉さんに会って、本を宣伝してくれたお礼を言ったほうがいいんじゃないですか?」)いや、今はちょっと、面と向かっては恥ずかしいからいいです。
2021年06月07日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「将来はグラフィックデザイナーになって、ロゴや商品パッケージをデザインしたいと思っています。できればオリンピックのロゴなんかも作ってみたいです。蛭子先生、なにかアドバイスをお願いします」(勘太67号さん・21・山形県・学生)【A】「オレが描いたデジタル庁のロゴ、採用してもらえませんか?」(蛭子能収)えっ、「アドバイスしろ」と言われても……。(マネージャー〈以下、マ〉「若いときは横尾忠則さんに憧れて、グラフィックデザイナーを夢見ていましたよね」)でも長崎商業高校を卒業した後、デザイナーになろうと就職した先は看板屋さん。しかも、仕事は看板の設置でしたからオレに聞かれても困るし、そもそも「先生」って言われるようなことはしてないんだけど……。(マ「この前、出版した新刊『認知症になった蛭子さん』で20冊以上も本を出してるんだから立派に先生ですよ」)でも、そんなに売れた本がないから、やっぱり先生じゃないですよ。横尾さんのように、大きな仕事をしたこともないし……。(マ「そういえば、今年9月に設置される予定のデジタル庁が、ロゴを作成するデザイナーを募集しているようですよ。作ってみたらどうですか?蛭子先生!」)え〜……まあ、国がやってるなら、採用されたらいっぱいお金がもらえそうだから、ちょっと描いてみましょうか。
2021年05月31日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「80歳の母は認知症になってお金に対する執着が激しくなりました。『盗まれた』とか『だまされた』などと言って周囲はヘトヘトに。昔は、お金にはサバサバしたタイプだったのに……と困惑しています」(カッコー丸さん・54・新潟県・主婦)【A】「みなさん、新刊『認知症になった蛭子さん』を買ってください!」(蛭子能収)オレは認知症のことがよくわかりませんが、(マネージャー〈以下、マ〉「いやいや……」)お金にガツガツする本性が出てきただけですよ。お金に固執するのはいけないと思って、ずっと我慢してきたんでしょうね。この人の素の姿が見えたと思って、テキトーに聞いておけばいいですよ。オレは小さいころからお金への執着心はすごくあります。(マ「“認知症になっても稼いでいたい”という思いについても書いた新刊『認知症になった蛭子さん』という本も出しました」)あれ、そうやっけ?(マ「でも、思うように売れていないんですって」)え〜、それはマズいですね……。(マ「ただ、読んでくれた人からは『介護で悩んでいたが、心が軽くなった』『蛭子さんは認知症の希望の星だ』という声が届くなど、評判はとてもいいようですよ」)そういうのはどうでもいいですけど、売れないと印税が入ってこないし、困りますね。なんとかしてください。(マ「〈テキトーに〉はい、はい、頑張りますね」)「女性自身」2021年6月1日号 掲載
2021年05月24日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの”介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「中学、高校と陸上競技部で、目標に向かって努力すれば結果がともなうことを知りました。社会人になって先輩から、懸命に力を尽くしても報われないことばかりと言われました。努力家は損ですか?」(オリサイさん・23・愛知県・会社員)【A】「オレの好きな言葉は、印税。座右の銘は、CMです!」(蛭子能収)努力が無駄かどうかはわかりませんが、努力しているフリは大事だと思います。オレは漫画でも手を抜いていましたが、作品を編集者に出すときはすごく大変だったことをアピールしていました。それで原稿料をもらえましたから(マネージャー〈以下、マ〉「『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』のロケで足腰が鍛えられたから認知症になっても元気。努力は報われると思いますよ」)。ギャラが出れば頑張ります。でも基本的にオレはただで頑張りたくありません。本(蛭子さんの新著『認知症になった蛭子さん』)が出て「大変でしたね」と言われますが、「まあちょっと大変でした」と答えていますが、本自体ではオレはまったく力を尽くしていません。それでも大好きな印税が入ってくるからうれしいです。もっといいのが「ちょこっと働けば、いいギャラが入る」CMの仕事です。もっと努力して、オレをCMに起用してくれる会社を見つけてきてくださいよ。(マ「努力する気が失せました!」)「女性自身」2021年5月25日号 掲載
2021年05月17日ギャンブル好きで、空気を読まない自分本位の発言を連発。でもなんだか憎めないキャラで、お茶の間に笑いを届け続けた、あの蛭子能収さん(73)が認知症になった。「まさか」と思ったその現実に、誰よりも戸惑い、葛藤しているのは妻・悠加さん(54)だ。蛭子さんと悠加さんの出会いは03年。01年に前妻の貴美子さん(享年51)を亡くした蛭子さんが、再婚相手を探していると聞いた本誌は誌上お見合いを企画。それに悠加さんが応募したのだ。蛭子さんといえば、テレビで見せる空気を読まない独特な天然キャラで自由奔放な言動をするイメージが強いが……。交際から3カ月ぐらいたったころには、2人で佐賀県唐津市に2泊3日で旅行へ。「仕事が終わった翌朝、よっちゃんは『競艇をしたい』と言いだし、2日目も競艇場に行ってしまいました。さらに3日目の朝にも『大事なレースがあるから』とさっさと競艇に出かけてしまい、旅行中、私はホテルにずっと1人きり。さすがに帰りの車中で『どういうつもりなのよ!』と怒りが爆発しました」やりきれない表情で詰め寄った悠加さんに、蛭子さんは「前の女房は、こんなことでは怒らなかった」と言い返したという。「前の奥さんを信用するのにも、交際してから3年かかったとも言われました。私は、よっちゃんにとって気が許せる相手になるために、とにかく誠実に尽くして、それを積み重ねていこうと思いました」07年に悠加さんと蛭子さんは入籍。「よっちゃんの様子がなんだかおかしい」と、悠加さんがそう思い始めたのは17年のある晩のことがきっかけだった。「横で寝ていたよっちゃんに、突然、たたかれたのです。一瞬何があったのかわからなかったし、翌朝には本人もケロッとしていたから仕事の疲れがたまって寝ぼけたのかなあと思っていました」レビー小体型認知症の典型的な症状で、存在しないものが見える「幻視」が現れたのは、19年秋のこと。夜は1時間おきに起こされ、睡眠不足のまま過ごす日中には、幻視に加え、物忘れや時間と場所がわからなくなる症状も。蛭子さんの介護が悠加さんの心と体にずっしりとのしかかっていく。「幸いにも仕事先ではひどい症状はあまり出ていないようでした。だからこそ余計に、よっちゃんが“おかしい”のは私の前だけなのかと孤独感が募っていきました。誰かに相談しようと何度も思いましたが、タレントであるよっちゃんの症状がおもしろおかしく伝わって、芸能ネタになってしまってはいけない、と思っていたので、友達にさえ悩みを打ち明けられませんでした。すべて片づけて、いっそのこと死んでしまおうかと思ったことも……」本誌記者は、そのころの悠加さんに会っている。くぼんだ目、こけた頬。いらだちを隠せない視線を蛭子さんに向けていた。17年から3年間で、悠加さんは4回、救急病院に駆け込んでいる。ストレスからくる急性胃腸炎だった。20年7月に認知症であることをテレビで公表したのは、悠加さんの心のSOSからだった。「最初、介護サービスを利用することにひるんでいました。家族のケアを人に任せるなんて。妻である私がしっかりやらないといけない、と思い込んでいました」ケアマネジャーは、蛭子さんのためにショートステイ(短期入所生活介護)を受けることを提案。とにかく悠加さんの睡眠時間を確保することを優先させた。次第に悠加さんにも余裕が生まれ、二人の関係は穏やかなものへと変化していった。──それから半年が過ぎた。最近の蛭子さんは、週に数回、ショートステイを利用し、定期的に通院していることで、症状がだいぶ落ち着いている。混乱することが少ない昼から夕方にかけては仕事も問題なくこなせる。今年4月27日(火)には単行本『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社)が発売。病気は世間に公表され、悠加さん一人が抱え込むこともなくなった。とはいえ、認知症の症状はあり、悠加さんにとっては、まだまだ大変なことばかり。「心と体が健康でなければ介護はできないということを知りました。最近は、とくにソファに座ってテレビを見ている姿なんか、くまのプーさんに見えてくるんです。介護も、よっちゃんにならって私も“自分ファースト”の姿勢を持つようにしています」蛭子さんに、少し厳しい質問をしてみた。記憶力がなくなることに恐怖はないのだろうかと。「そう考えればたしかに怖いですね。ちょっとずつ物忘れはひどくなっているというか……、どんなことを忘れたかについては、忘れてしまいましたけど(笑)。でも女房がいるから大丈夫なんじゃないかな……と思いますけど」それを受けて悠加さんが語る。「そう大丈夫、よっちゃんが何もかも忘れても、私が全部、覚えておいてあげるからね!」「それはありがたいね」そう答えた蛭子さんに、悠加さんはふわりと笑いかけた。一時は自死さえも考えたという悠加さんの心の持ちようが変わったきっかけは、“自分ファーストの介護”の大切さに気づいたこと。そう、介護ではときに「蛭子さんみたいな考え方」が役に立つのだ。「女性自身」2021年5月11日・18日合併号 掲載
2021年05月10日昨年7月、『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京系)で、アルツハイマー病とレビー小体病を併発している初期の認知症であることを公表した漫画家でタレントの蛭子能収さん(73)が、読者からの相談に答える!題して、「蛭子能収の人生相談!?」ーー。【Q】「小学4年生の息子は、ユーチューバーになるのが夢だと、いつもYouTubeを見ています。自分がなりたいことを目指せばいいと思っていますが、さすがにユーチューバーは……心配です。何かアドバイスを」(ウケももさん・38・長崎県・自営業)【A】「ユーチューバーが何かはわからないが、たくさんお金を稼げるなら最高の職業」(蛭子能収)オレはユー、なんとかというのがさっぱりわかりません。(マネージャー〈以下、マ〉「さっき川沿いを散歩したとき、女子学生がシャボン玉をしていた様子を動画撮影していたじゃないですか?あれですよ」)なんかキャッキャと楽しそうでしたね。あのあたりは、昔は水害でたくさん人が死んだ場所だったと思うんですけどね、フフフ……。でも、どうやって稼ぐんですかね。広告が入る?それやったら最高ですよ……あれ?この人、長崎の人やね〜。(マ「福山雅治さんがやっている長崎県の魅力を伝えるYouTubeの動画に蛭子さんも出演していますよ」)あれ〜そうやっけ?とにかく長崎の人は奇抜なアイデアを持っている人が多くて、それを面白がる土地柄も。だまって見ていれば、この息子もいい動画を作るかもしれんね。オレも何か映像を作ってお金を稼げませんかね。オレが競艇をしている動画なんてどうですか?(マ「アイデアが平凡だからウケないと思います」)「女性自身」2021年5月11日・18日合併号 掲載
2021年05月10日