『ママが「しない」子育て』の特集も最終回。最後は、「子育て環境をおろそかにしない」ということから、「人を育てる」ことについて考えたい。
育児の「不要なもの」を捨てるとは
「ほかの子と比べたくなる」気持ちに悩まない
ママの『こうすればよかった』を投影しない
ママの安心感のために、先回り教育をしない
「○○しなくちゃ!」にとらわれないの続きです。
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しない11:あいまいな言葉は使わない
「あと伸びしている子の特徴は何ですか? と問われれば、『とにかく
家庭の言葉がしっかりしていることです』と、答えます。これに尽きるからです」と、話すのは「
花まる学習会」代表の高濱正伸さん。
勉強は、その子の持っている言葉の力によって差が出る。子どもたちの将来を考えたときに、入試の突破はもちろんだが、すべて言葉の勝負だ。
筆者が言葉を扱う仕事(ライター業)をしていて思うのは、言葉には、「厳密で正確に使う」と、「豊かに魅力的に使う」という2つの方向性があるということ。
きっちりと使う言葉と、魅力的な言葉。
「『なぜだかこの人が言うことって引き込まれるよね』と思わせることが、生きていくうえで大事なのです。その
ことばの力はすべて家庭の文化の中ではぐくまれていきます。」(高濱さん)
しない12:便利な道具を与えすぎない
子育てでは、便利な道具を与えて、「快適」にしすぎないことも大切なことだという。
「
『理不尽』や『不自由』は重要かつ絶対に必要な要素です」(高濱さん)
これは、現代の「快適」な環境の中で過ごしてしまっている親としては難しい状況だ。たとえば、調べ物にしても、スマートフォンで検索すれば、なんでもわかる時代なのだから。
「紙の辞書で調べものを楽しむ姿勢を親が見せてあげることは、とても大切です。
よく『電子辞書、紙の辞書、どちらがいいですか?』と聞かれますが、それぞれの良さがあるので、うまく使い分けることが一番でしょう」(高濱さん)
しない13:夫との話し合いを放棄しない
「『うちの子、私の話を最後まで聞かないんです』。そう悩むママに限って、夫の話を最後まで聞かずに怒ったり、あきらめたり、嘆いたりしているケースがあるんですよ」(高濱さん)。
「夫との話し合いを放棄しない」これはママにとっては耳が痛い言葉かもしれない。ママにしてみれば、ただ話を聞いてほしかっただけ。でも夫は、論点を洗い出し、結論を出そうとする。そうなるとママは話をする気持ちがうせてしまうのだ。
けれども、夫婦間のやりとりこそ、子どもにとって、一番身近な
「人と人とのコミュニケーションを見て考える場」なのではないだろうか?
「皮膚感覚として、いま、目の前に生きている人との触れ合いがとても大切ということは伝えつづけたい部分です。そして、一番身近な
両親が生身の人間同士でコミュニケ―ションをとる姿は、子どものこれからの成長において非常に大きな影響力を持つのです」(高濱さん)
地域社会が崩壊して、核家族が増えている。
また急速に発展するインターネット。そのような時代でコミュニケーション能力を磨き、生き抜いていかなければならない子どもたち。
「人とのコミュニケーション能力をどうやって獲得するか? という課題は、これからの教育で、もっとも問われていく問題のひとつだと思います」(高濱さん)
6本に渡ってお送りした『ママが「しない」子育て』特集も、今回が最終回。高濱さんにお話を伺うと、「思い当たるフシ」がありすぎて胃が痛くなる。
「しない」という選択を「する」。その選択をするために、まずは「思い当たるフシ」と、きちん向きあうところから始めてみようか。
■今回取材を受けてくださった高濱正伸さんの著書
『
「しない」子育て」(花まる学習会代表 高濱正伸/KKベストセラーズ)』
(本体1,250円+税)
●高濱正伸
花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。
1959年熊本県人吉市生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。算数オリンピック委員会理事。
保護者などを対象にした講演会の参加者は年間30,000人を超え、毎回キャンセル待ちが出るほど盛況。なかには“追っかけママ”もいるほどの人気ぶり。「情熱大陸」「カンブリア宮殿」など多数メディア出演もしている。
ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳なぞぺー』など、著書多数。2016年7月からニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカーとして活躍中。
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