連載記事:ギフテッドを知ると見えてくる、子育てのヒント
子どもの「生きづらさ」を「らしさ」に変える【ギフテッドを知ると見えてくる、子育てのヒント Vol.2】
ギフテッドの子が感じている“生きづらさ”って?
ギフテッドの生きづらさはさまざま。例えば…
・仲間に出会えずひとりで孤独を抱えている子が多い
・多くの人が自然に受け入れることができる物事に、過剰に反応してしまう。同年齢の集団の中で浮いてしまう
・自分に合った学習環境が手に入らず、知能に見合った学習成績が得られない
…など。
これまでの教育実践や研究から、ギフテッドの生きづらさを大きく3つに分類してみました。まず 1 と 2 について説明しましょう。
1. ギフテッドは「姿」が見えづらい
2. 「非同期発達」と「過度激動」が知られていない
3. ギフテッドと発達障害との混同(→次ページで解説)
1. ギフテッドは姿が見えづらい
まず量的な問題として、ギフテッドが少数派であることから、仲間に出会えず、孤独を抱えている子が多いということが挙げられます。
内閣府がギフテッド(特異な才能のある子ども)と仮定したIQ130以上に該当するのは、約2.3%。ボリュームゾーンである約7割の多数派からは外れてしまいます。
小・中学校の頃は家と家庭が時間の大半を占めている時代です。今いる世界の中で多数派でないことは、大人が思っている以上に辛いものです。
そしてもうひとつは、才能というのはそもそも見えづらいという点です。ギフテッドの中には、その子に合った学習環境を手に入れられず、知能に見合うだけの学習成績が得られない子(アンダーアチーバー)もいます。
才能は学業成績だけでは測れませんし、子どもたちの中には学校の勉強に興味を持たないという子もいます。まずは、好き! やりたい! を尊重することが大切です。
2. 「非同期発達」と「過度激動」が知られていない
どちらも聞き慣れない言葉かもしれません。
まず「非同期発達」について。
いわゆる知的能力(認知能力や言語能力)、社会的な能力、情緒的な能力、運動能力は、一般的には相互に関係しながら、年齢とともに発達していきます。
この発達が同期している(相互に関係がある)状態に対して、ギフテッドの場合は発達が同期していないように見えることが多いため、「非同期発達」(発達の非同期性)と呼ばれます。得意な領域の発達が目覚ましいため、ほかの能力の発達と大きな開きが出てくることがあるのです。
情緒面では同年齢の子より幼さが見られることもあるほか、運動能力も比較的ばらつきが大きいかもしれません。
そしてギフテッドの多くに見られるもうひとつの特徴である「過度激動」とは、文字通り、過度な感情や行動を示す状態。
多くの人が自然に受け入れることができる物事に過剰に反応してしまうなど、過度激動があると集団生活の中で苦しいことがあります。環境からの刺激に対して、強い行動力・感情的な反応を引き出すので、同年齢集団の中で浮いてしまうことも。
普通を主語にして物事を考えること自体が、時代遅れ。その状態がギフテッド本人の葛藤になったり、周囲の人や環境との軋轢を生むことになる可能性もあります。
そのため、ギフテッドのカウンセリングをする際には、過度激動に対して否定的に捉えるのではなく、自分の過度激動に関して理解を深めることが重要視されています。(※より詳しい過度激動の5つのタイプは書籍にて紹介)
「普通の枠内に収まらない強い個性を持ったギフテッドが、普通であることを求められる環境にいると
強いストレスを感じます。
日本では“多数派”側にいないと“普通”じゃないといわれがちですが、多様性が尊重される今の時代、
普通を主語にして物事を考えること自体が、時代遅れ。いわゆる
普通でない仲間もたくさんいることや、
本人の辛さやSOSに周囲が気づくことが大切ですね」