企業向けITサービスおよび業務受託サービスを展開するシーエーシーと医療機関を対象に心電図解析事業を展開するモリーオは4月4日、共同出資により、医療データのクラウドサービスを手がける新会社としてエムハートを同月1日に設立したと発表した。新会社はシステムの開発、各種認可の取得、心電図解析ソフトの薬事承認などを経て年内にもサービス提供の開始を予定している。CACは年金、医療、介護など社会保障領域の課題解決に貢献する事業に注力しており、特に医療分野では健康寿命の延伸が医療費の削減と社会保障の充実した豊かな社会創りにつながると考え、予防医療の普及に貢献するITサービスの事業化に取り組んでいる。一方、モリーオは、循環器専門医および通信技術者で構成される岩手医科大学発のベンチャー企業。研究開発型企業であることから、現業の心電図解析事業に留まることなく、身近、手軽に心電図検査が受診できる社会の実現を理念に掲げ、国際標準規格(MFER規格)に則った新型の心電計システムの開発に取り組んでいる。新会社は心電図解析のクラウド型プラットフォームを構築し、利便性の高い解析サービスを求める医療機関と読図の専門知識・スキルを持った解析医師・技師をネットワークでつなぎ自動解析ので技師によるデータ解析、医師による所見レポートの提供など、データの内容や医療機関の求めに応じ、異なるレベルのサービスを提供。 取り扱うデータはMFERに準拠しており、国内外の心電計メーカーの参加を計画している。また、新会社のサービスを利用する医療機関は、クラウド上の解析ソフトをランニング費用のみで利用でき、MFER準拠の複数の心電計を選択するメリットが得られるという。また、低価格、即応性、専門医の支援、および国際標準規格を備えたサービスの特徴を活かし、国内では、これまで心電図検査を導入していない中小医療機関への普及拡大と、海外では日本の高品質な医療サービスの輸出に向けた事業展開を行う方針だ。
2016年04月04日質問:帝王切開などについては、医療保険の女性特定疾病の特約に加入していないと保障されないのでしょうか?「帝王切開」は、医療保険の女性特定疾病の特約を付加していなくても給付対象です。ただし、加入時の状況や健康状態の告知などにより、「部位不担保」や「特定疾病不担保」などの特別条件が適用されていないことが前提となります。医療保険の基本保障は、給付対象の条件として「治療を目的とした入院、手術」としています。普通分娩による出産は「治療」を必要としないため給付の対象外ですが、「帝王切開」は「入院給付金」および「手術給付金」の支払い対象になっています。よって、「女性特定疾病特約」を付加しなくても、基本保障から給付を受けることは可能です。基本保障でも給付対象となる「異常妊娠」や「異常分娩」医学が進歩した現代においても、妊娠・出産時の母体の健康リスクは一定の割合で心配されます。妊娠時の「切迫流産」や「切迫早産」、「悪阻」などによる入院・手術のリスクや、出産時には「帝王切開」以外にもさまざまなリスクが考えられます。大きくは「異常分娩」という表現であらわされますが、代表的な事例として、「吸引分娩」、「帝王切開」、「多胎分娩」などがあります。このような異常妊娠や異常分娩が原因で入院、手術を受けた場合、給付金の対象になります。基本保障からの給付が見込めるのに、女性特定疾病の特約を付加する理由では、なぜ、基本保障の他にわざわざ女性特定疾病の特約が存在し、付加する方がいらっしゃるのでしょうか。いくつかの理由が考えられますが、主なものは下記の点になるかと思います。■「帝王切開」を経験する方の割合が高いこと母子のリスクを軽減するため「帝王切開」を選択される割合が年々増え、厚生労働省の調査によると、今では新生児の5人に1人が帝王切開で生まれているそうです。■「出産」以外の疾病時のリスクへの対応女性に多い「乳がん」や、男性にはない「子宮がん」などのリスクへの対応もこの特約を検討される理由の一つになっています。「帝王切開」だけではなく、「乳がん」や「子宮がん」で入院、手術をされた場合には、基本保障から給付が受けられますが、別途「がん保険」に加入されていない場合には、医療費負担の軽減策として有効だといえます。■「入院」「手術」に付随する諸費用への備え医療費負担への備え以外にも、家庭の主婦の方が入院された場合の臨時出費を考え、女性特定疾病の特約を検討される場合もあります。家庭内で発生する臨時費用への備えや家族の付き添い費用の補填として、女性特定疾病の特約からの上乗せ給付金を考える場合もあります。妊娠と健康状態の告知一般的に医療保険に加入する際には、健康状態について正しく申告する「告知義務」があります。健康状態の告知は、現在妊娠しているかどうかにかかわらず、過去5年以内の健康状態について申告が必要です。そのなかには、過去5年以内の異常妊娠や異常分娩による、入院または手術の有無も含まれます。例えば、過去の出産が普通分娩だったとしても、妊娠中に切迫早産や悪阻などで入院したことがあった場合は告知の対象となるということです。これらの申告内容によっては、医療保険に加入できない場合や、「部位不担保」や「特定疾病不担保」などの特別条件が、一定期間もしくは全期間適用される場合がありますのでご注意ください。また、医療保険検討時にすでに妊娠している場合には、いくつかの注意が必要です。■妊娠後の経過が正常であること妊娠後の経過が順調で「帝王切開」の予定がない状態あれば、加入が可能なプランがあります。多くの場合、加入できる期間を設定していますので、各保険会社の加入基準をよく確認しましょう。■妊娠中は、多くの場合「部位不担保」や「特定疾病不担保」などの特別条件が適用される過去5年以内の入院歴や手術歴もなく、妊娠の経過が順調で医療保険に加入できる場合でも、今回の出産時の「異常分娩」は、給付対象にはならないことが多くあります。また、「部位不担保」や「特定疾病不担保」などの「特別条件」が出産後も一定期間適用される場合があります。既契約があるなら出産後に見直すか併用を妊娠判明後に医療保険に加入する場合、前述のように今回の出産時の「異常分娩」には対応できないことが多くあります。もし、現在加入中の医療保険があるのなら、出産後に見直しを検討するか、新しく加入する保険の「特別条件の適用期間」中は、現在の契約と新しい契約の両方を併用するようにおすすめします。保険会社によって、女性特定疾病の特約の保障内容や範囲、加入条件はさまざまですので、詳細については、各保険会社に問い合わせるか、複数の保険会社を扱う総合代理店に相談することをおすすめします。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年03月28日質問:保障内容の見直しを考えていますが、加入時に付加しなかった「特約」はあとから追加することはできますか?「特約」をあとから追加できるかどうかは、各保険会社や保障プランによってさまざまです。できるだけ申込時に「必要な保障」に加入するようにしましょう。現在では、医療保険も種類が豊富になり、加入される保障内容に悩むことも多いかと思います。特にオプションとして用意された「特約」には、「あったほうがいいのかなぁ」と迷うことや、申込時には不要と思っていても、後日「やっぱり入っておけばよかった」と思うこともあると思います。そんなときに利用するのが、「特約の中途付加」という方法です。対応の可否は各保険会社や加入されている保障プランによってさまざまですので、保険会社に問い合わせて確認してみてください。では、「特約の中途付加」ができなかった場合、現在の契約を解約し、新規に契約し直さないと保障を手厚くすることはできないのでしょうか。「主契約」と「特約」保険は、「主契約」と「特約」の組み合わせで構成されています。医療保険で主契約にあたるのは、多くの場合「入院保障」「手術保障」です。それ以外の「通院」「先進医療」「がん特約」などは特約になります。「主契約」をやめてしまうと保障全体は消滅しますが、特約だけをやめても「主契約」は継続可能です。これが「特約の中途解約」です。逆に、特約をあとから追加するのが「特約の中途付加」です。「特約」だけに頼らない!「特約の追加」ではなく「保障の追加」を考えましょう!もし追加したい「特約」が死亡時の保障なら、ほとんどの生命保険会社が「死亡」に対する保険を単体で販売しています。また、追加したい「保障」が「がんになった時の備え」なのであれば「がん保険」、「脳卒中になった時の備え」なら「三大疾病保障保険」、「要介護状態になった時の備え」なら「介護保険」が単体で販売されています。最近ではこうした「保障」が比較的自由に選択できるようになってきましたので、保障を見直される際には「特約」だけで判断するのではなく、「保障内容」を中心に検討されることをおすすめします。「保障」追加時の注意点「特約の中途付加」も含め、「保障」の追加を検討される際には、以下のような点に注意が必要です。■健康状態が良好でないと「保障の追加」はできません。保険に加入する際には健康状態の「告知」が必要です。健康状態が良好でないと「保障」の追加はできません。 ■年齢による保険料アップの可能性があります。現在の保険に加入されたときよりも年齢がアップしている場合は、同じ保険の「特約」でも、追加される保険料は年齢に応じた保険料にアップしてしまいます(加入済みの部分の保険料は、加入時の年齢で計算されます)。 ■単体のプランで「保障の追加」を検討する場合は、希望していない保障までセットされる可能性があります。「特約」と同じ保障内容の単体プランがあればよいのですが、必ずしも存在するとは限りません。単体プランの場合、特に希望していなかった保障までセットされたものになる可能性があり、「特約の中途付加」よりも保険料が割高になる場合があるので、見直しを検討する際は注意が必要です。まずは総合代理店で相談を!加入時にしっかりとプランを検討し、申し込むのが理想的ではありますが、なかなか難しい場合も多いと思います。現在加入中の保険があり、保障内容の見直しをお考えの際は、一度、総合代理店で相談されてみてはいかがでしょうか。その際は、保険証券を持参されることをおすすめします。複数の保険会社を取り扱っている総合代理店であれば、「特約の中途付加」がよいのか、新しい保険を検討したほうがよいのか、適切な診断をしてくれるはずです。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2016年03月23日まだ、マイナンバー対応のためのシステム整備まで進んでいない中小企業も多いのか、中小企業をターゲットにしたようなマイナンバー管理サービスのTVCMが放映されるようになってきました。今回は現状のマイナンバー対応システムや外部委託サービスにどのようなものがあるのか、これからシステムを導入・整備しようとする企業にとってベストな選択はどのようなものなのか、現状のシステム・サービスの傾向を探りつつ考えてみます。○自社内でマイナンバー管理する場合のシステム選択肢まずは中小企業が従業員などのマイナンバーを自社内で管理する場合のシステムを考えてみましょう。通常中小企業では、マイナンバーの管理からマイナンバーの記載が求められる書類を作成するまでのシステムを、自社で開発するようなところはまずありません。となると、マイナンバーを自社内で管理する場合のシステムは、市販されているパッケージソフトから選択していくことになります。給与・年末調整のパッケージソフトでマイナンバー管理機能を利用するすでに、給与計算や年末調整に市販の給与計算パッケージソフトを使用している場合、これらのパッケージソフトではマイナンバー対応のバージョンアップで従業員やその扶養親族のマイナンバーを管理できる機能が追加されていますので、これをそのまま利用するケースが多いようです。これらの給与計算パッケージソフトでは、年末調整業務に対応して源泉徴収票や給与支払報告書など従業員や扶養親族のマイナンバーの記載が義務付けられる書類は作成できます。また、給与計算の周辺業務として従業員などが支払う、社会保険料を決定するための標準報酬月額を算定するための書類を作成する機能なども、多くのソフトで対応しています。ただし、税の分野でマイナンバーが必要となる「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」や「不動産の使用料等の支払調書」など、源泉徴収票提出時にあわせて作成・提出しなければならない支払調書に対応できていないパッケージソフトも多く、そのようなパッケージソフトを利用する場合は、企業で必要となる支払調書の分だけは、書類に手書きで対応する運用とせざるをえません。また、社会保障分野で2016年からマイナンバーの記載が必要となる雇用保険関連の届出書なども対応していないパッケージソフトが多く、企業で雇用保険関連の届出書が必要となる場合は、支払調書と同様に手書きで対応する運用となってしまいます。雇用保険関連の届出書の場合は、従業員のマイナンバーを記載することになります。そのため、マイナンバーの管理は給与計算パッケージソフトで行い、書類に手書きする際にパソコン画面に該当する従業員のマイナンバーを表示させ書き写せば良いわけですし、マイナンバーを記載した届出書の控えを残す必要はありません。マイナンバーの管理は、あくまで電子データで管理できます。ただし、支払調書に対応していないパッケージソフトでは、「支払を受ける者」が個人事業主の場合のマイナンバーの管理ができません。そのため、支払調書で必要となるマイナンバーの管理も紙ベースで行うことになり、電子データで管理するマイナンバーと紙ベースで管理するマイナンバーと、それぞれに対応した安全管理措置を講じる必要があります。こうした事態を避けて自社内でシステム運用するためには、支払調書に対応した法定調書システムまでラインアップしているベンダーの給与計算パッケージソフトに切り替えるという方法もありますが、その場合はよりコストがかかることは計算しておく必要があります。なお、社会保障分野でマイナンバーが必要となるすべての届出書に対応したパッケージソフトは、社会保険労務士向けに提供されているものしかありません。中小企業でこれらの届出書を作成・提出する頻度を考えると、この分野に自社内でシステム対応するためにコストをかけるかどうか、後ほど検討する外部委託も含めて検討したいところです。給与・年末調整のパッケージソフトとマイナンバー管理システムを組み合わせて利用するマイナンバー管理に特化したシステムは、クラウドサービスとして提供されるものが多いのですが、自社導入できるものもあり、そうしたもののなかには、給与計算パッケージソフトの足りない点を補うために、マイナンバー管理+法定調書作成機能を提供するものもあります。法定調書にも自社内でシステム対応するために、現在利用している給与計算パッケージソフトにプラスしてこうしたシステムを導入するという方法も考えられます。この場合、従業員などのマイナンバーは給与計算パッケージソフト、支払調書の「支払を受ける者」のマイナンバーはマイナンバー管理+法定調書作成パッケージと分けて管理することになり、それぞれの管理手法に応じて、安全管理措置を講じることになります。この場合も、以前から利用している給与計算パッケージソフトのコストに加えて、マイナンバー管理+法定調書作成パッケージのコストが増えることになります。○外部委託のマイナンバー管理サービスにおける選択肢中小企業が自社内でマイナンバーを管理しようとするとき、もっとも選択しやすいシステムである給与計算パッケージソフトでは前項でみてきたように、どうしても不足があります。その不足を補うようなマイナンバー管理+法定調書作成パッケージというような今までになかったようなパッケージソフトも登場してきていますが、自社内管理にこだわらずに外部委託を考えるとどのような選択肢がでてくるのでしょうか。ここでは、クラウドサービスとして提供されるマイナンバー管理システムを、自社内で管理する形態に対して、マイナンバーを自社内で「持たない管理」として外部委託の一形態として取り上げます。外部委託のマイナンバー管理サービスでどこまで対応できるのか大手システムベンダーなどが新たに企業向けに開発・提供するマイナンバー管理システムは、そのほとんどがクラウドサービスという形態をとっています。これらのサービスでは、企業が使用している給与・人事システムから従業員の情報を取り込み、従業員一人ずつにマイナンバー管理サービスにアクセスできるID・パスワードを発行、従業員自らスマートフォンやパソコンから本人および扶養親族のマイナンバーを登録するとともに、本人確認書類(マイナンバー通知カードと運転免許証など)もスマートフォンなどで撮影してアップロードできるような機能を備えています。この仕組みでは、マイナンバー取り扱いの最初の関門となるマイナンバーの収集時に従業員の通知カードなどマイナンバーが記載された書類のやりとりが不要になり、企業のマイナンバー取扱担当者も、従業員が登録したマイナンバーと本人確認書類をオンラインで確認するだけでマイナンバーの収集業務が完結しますので、マイナンバー収集時の漏えいリスクを限りなく軽減することができます。また、収集後の保管も社内のシステムで行うのではなく、クラウド上のマイナンバー管理に特化したデータベースで行われますので、まさに「持たずに管理」することができます。また、これらのクラウドマイナンバー管理サービスでは、従業員などから通知カードのコピーなどを郵送で収集し、マイナンバーの入力を行う収集代行から請け負うサービスもありますので、中小企業で従業員が自らマイナンバーを登録するような環境が整わない場合は、こうしたサービスを利用する選択肢もあります。では、このようなクラウドマイナンバー管理サービスでは、実際にマイナンバーを記載しなければならない書類の作成・提出はどのように行うことになるのでしょうか? 企業が給与計算システムで作成した源泉徴収票などをクラウドサービスに取り込んでマイナンバーを付加するような連携が一般的なようですが、ここでも課題は支払調書への対応となり、支払調書を別途クラウドサービス側で作成できるようなサービスもあります。作成の次にくるのが「提出」ですが、マイナンバーを記載した書類の提出は紙での提出に伴うリスクを避けるためにも、できれば電子申告・申請で行いたいものですが、電子申告・申請まで対応しているクラウドサービスはほとんどないため、マイナンバーを記載した書類は社内のパソコンにダウンロードして印刷・提出することになるケースが多いようです。ここで、ご紹介した大手システムベンダーの提供するマイナンバー管理のクラウドサービスは、もともと従業員数の多い中堅企業を対象としている感があり、中小企業にとっては割高なコストに感じられるのではないかと思われます。これに対し、中小企業向けにクラウドで給与計算システムを提供してきたベンダーも、クラウドでのマイナンバー管理システムを提供しています。支払調書には未対応ということがこれらのクラウドサービスでも課題となりますが、中小企業向けのクラウド給与計算システムは、中小企業にとってマイナンバー管理のクラウドサービスの選択肢として、特にコスト面では、より身近なものと感じられるのではないでしょうか。税理士・社会保険労務士への外部委託 システム連携が鍵年末調整を税理士へ、社会保険関連の諸手続きを社会保険労務士へ、もともと委託している中小企業では、従業員などのマイナンバーの管理も税理士や社会保険労務士へ委託することになります。税理士や社会保険労務士といったその道のプロにマイナンバーの管理も委託するとしても、マイナンバー管理の主体は中小企業である以上、委託先となる税理士事務所や社会保険労務士事務所を監督する責任を負うことは避けられません。中小企業が税理士や社会保険労務士にマイナンバーの管理を委託する場合、マイナンバーの収集から保管・利用、廃棄まで、どのような方法で行うのか、事務所ではどのような安全管理措置を講じているのかなど、あらかじめきちんと説明を受けておくことが大事です。その際、中小企業と税理士事務所や社会保険労務士事務所などで、マイナンバーを二重に管理しなければならない事態は避けたいものです。従業員および扶養親族のマイナンバーを記載する欄が設けられた「扶養控除等(異動)申告書」は中小企業で保管が義務付けられた書類です。2016年以降は原則マイナンバーの記載が必須となりますが、給与支払者と従業員との間での合意に基づき、従業員が扶養控除等申告書の余白に「マイナンバーについては給与支払者に提供済みのマイナンバーと相違ない」 旨を記載した上で、給与支払者が従業員等のマイナンバーを確認し、その旨を扶養控除等申告書に表示するのであれば、扶養控除等申告書の提出時に従業員などのマイナンバーの記載をしなくても差し支えないとされています(国税庁「源泉所得税関係に関するFAQ(Q1-9)」)。中小企業からすれば、税理士や社会保険労務士にマイナンバーの管理を委託する以上、こうした「扶養控除等(異動)申告書」の取り扱いも考慮して、中小企業側では一切マイナンバーの記載された書類やデータを管理する必要のない委託となれば、中小企業側で漏洩リスクなどに対応した安全管理措置をとらなければいけない局面は限りなく少なくなってきます。税理士や社会保険労務士がクラウドサービスのマイナンバー管理システムを使用している場合は、前項でみたクラウドサービスと同様に従業員が本人および扶養親族のマイナンバーを入力できる仕組みを使うことができます。従業員などからのマイナンバーの収集は、役割分担として中小企業が担うことになりますが、こうした仕組みを使えれば、通知カードのコピーを一時的に預かるなど漏洩リスクにつながる方法をとる必要もなくなりますので、中小企業にとってはより安心できる仕組みとなります。また、税理士向けに提供されるクラウドサービスでは支払調書にも対応しており、「支払を受ける者」のマイナンバーも同様の方法で収集・管理できます。さらに、電子申告・申請にも対応していますので、収集から保管・利用、そして提出と一貫して電子データのまま完結するため、プロセス全体を通して、より漏洩リスクの少ない運用となります。中小企業にとっても、税理士や社会保険労務士にとっても、「持たずに管理」できるクラウドサービスによるマイナンバー管理システムでの運用が、現状ではベストの選択といえます。***以上見てきたように、現状では、中小企業にとって身近な存在である税理士などがクラウドサービスのマイナンバー管理システムを利用し、マイナンバーの管理について委託を受けた中小企業にも同じサービスを提供する、そのような利用方法が双方の漏洩リスクを徹底して軽減できるベストの方法といえます。残された課題は、税の分野では税理士へ、社会保障の分野では社会保険労務士へと委託する場合、それぞれの利用するシステムがクラウドサービスであっても、別々なサービスとなるため、それぞれに従業員などのマイナンバーを登録することになり、マイナンバーの管理が一元化されないことです。二重にマイナンバーを登録する手間を省き、かつ漏えいリスクをより軽減するためにも、マイナンバーが一元管理され、税の分野でも社会保障の分野でもマイナンバーの記載が必要な書類の作成・提出までスムーズに運用できるようなシステムが、求められているのではないでしょうか。著者略歴中尾健一(なかおけんいち)アカウンティング・サース・ジャパン株式会社取締役1982年、日本デジタル研究所 (JDL) 入社。30年以上にわたって日本の会計事務所のコンピュータ化をソフトウェアの観点から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。マイナンバーエバンジェリストとして、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。
2016年03月14日社会人になってからする留学は、目的が明確です。社会人が留学するメリットについて紹介します。■目的が明確社会人留学は、学生時代と違って目的が明確になってきます。「海外の取引先とコミュニケーションを取るのに語学を身につけたい」「TOEICで900点を目指したい」と学びたい分野が明瞭な社会人は、より実践力があり、目的にフォーカスして勉強に集中できます。■金銭的余裕がある学生時代と比べ社会人は金銭的に余裕があります。社会人留学なら、あらかじめ自分の予算に合ったプランを立てることができます。また、予算が少ないなかでもやりくりするマネジメント力を備えています。金銭的な面で現地で窮地に陥ることは少ないでしょう。滞在先もホームステイだけでなく、自分でアパートを借りてひとり暮らしをしたり、現地の人とシェアハウスに滞在したり、自由に選択できます。■帰国後のキャリアップにつながる社会人留学は、帰国後のビジョンを見据えて留学する人が多いです。英語力が身につけられれば、外資系の企業への転職にも有利になります。語学力+αのスキルを習得できれば、日本で専門性を生かせる仕事に就くこともできます。特に20代後半から30代は、結婚や出産などで仕事を退職したり転職する人が多いもの。実力次第で“留学経験”は再就職の強みにもなるかもしれません。■グローバルな人間になれる留学の最大のメリットは、さまざまな人種の人々に出会えることです。初めて留学した人は多種多様な人種が住んでいることにカルチャーショックを受けるかもしれません。しかし、語学学校や専門学校では日本人以外の人種の人々と触れ合うことができます。留学時代に大変だったことや、ツラいことをともに経験した友人たちは一生の宝になるでしょう。帰国後も連絡を取り合えば、互いの国へ行ききもできます。ビジネス面でもコネクションを広げることができます。「学生時代に留学しておけばよかった…」と思っている方も、今からでも決して遅くはありません。留学に年齢制限はありません。ご高齢でシニア留学する方も多数いらっしゃいます。大切なのは、明確なビジョンとやる気。特に社会人留学は、退職・休職などのリスクを背負って行くわけですから、何かしらの成果を得て帰国したいものです。近年、社会人のみのプログラムなども組まれていますし、語学+αのコースも多数あります。学びたい分野を定めたコースでは、各国から同じ目的を持った学生たちが集まります。よい刺激を受けながら、勉強に集中できます。年齢や仕事のことを考えるとオトナになってからの留学はハードルが高いと思いがちですが、逆にこれまで培ってきた経験が海外生活でも生かされ、将来的には仕事のキャリアップにもつながるかもしれません。年齢で諦めることは決してなく、ぜひ今だからこそ海外へ飛び立ってみてはいかがでしょうか?
2016年02月18日チューリッヒ生命(正式名称「チューリッヒ・ライフ・インシュアランス・カンパニー・リミテッド」、日本支店)は20日、同日申込み分から、「収入保障保険プレミアム(正式名称:無解約払戻金型収入保障保険(非喫煙優良体型・標準体型))」の保険料払込期間について、保険料全期払(以下:全期払)に加えて、新たに保険料短期払(以下:短期払)の取扱いを開始すると発表した。これにより、保険料払込期間を55歳、60歳、65歳、70歳払済、全期払から選択することが可能になる。○仕事から退くタイミングの多様化に対応し、最大「70歳払済」まで選択が可能昨今、改正高年齢者雇用安定法により、企業に高齢者雇用確保措置の導入が義務付けられ、高齢者の就業が拡大している。総務省統計局「労働力調査」(平成26年)によると、2004年に約480万人であった65歳以上の就業者数は、2014年には約681万人と年々増加しており、65~69歳の男女の就業率は4割(図1)にも上る。さらに、60歳以上の男女で65歳以降も働きたいと考えている人は6割以上(図2)と、仕事から退くタイミングにも多様性が出てきている。チューリッヒ生命では、収入保障保険の保険料払込期間について65歳払済までが一般的である中、70歳払済も選択できるようにした。これにより、「より長く働きたいと考える顧客の保険料払込プランに、より充実した選択肢を提供する」(チューリッヒ生命)としている。
2016年01月20日●数字だけで個人を証明できないマイナンバーのリスクは低い内閣府がマイナンバーに関する疑問に対し説明 - 安全性や副業の露呈など内閣府はこのほど、報道関係者を対象に、2016年1月から運用が開始されるマイナンバー制度に関する説明会を行った。10月5日から、住民票を持つ国民にマイナンバー(個人番号)の通知が開始されているが、一部調査では、約9割がマイナンバーにおけるセキュリティに対して不安を持っているといって結果も出ている。今回の説明会は、制度の運用開始を前に、制度導入の狙いや運用面での疑問などに対して、あらためて説明する場とした。○マイナンバーのそもそもの目的とは?マイナンバーは、所得や行政サービスの受給状況の把握などにより、公平・公正な社会の実現するほか、行政手続きの簡素化、行政業務の効率化などを目的に導入されるものだ。もともと民主党政権下で議論されていたものを、2013年に自民、公明、民主による修正協議を経て閣議決定した番号関連4法案をもとに、国会で審議。2013年5月に、参議院本会議において可決。番号関連4法が公布されている。内閣官房内閣審議官・内閣府大臣官房番号制度担当室長の向井治紀氏は、「マイナンバーは、社会保障、税、災害対策を対象にした番号制度。ITの活用によって、添付書類を不要にするなど、各種行政事務の効率化を図ることが1つ目の目的。また、マイナンバーにより、正確な所得把握が可能となり、社会保障や税の給付および負担の公平化を図ることができるのがもう1つの狙いとなる。少子高齢化を迎える一方、給付付き税額控除の導入や、高齢者給付の増加といった動きにも対応するためにも、マイナンバー制度は不可欠なものになる」と位置づける。マイナンバーは、市町村長が、住民票コードを変換して得られる個人番号を指定して、通知カードによる本人に通知。すべての企業は従業員のマイナンバーを収集し、安全に保管しながら、社会保障や税に関わる書類にマイナンバーを記載し、税務署などに提出する必要がある。また、個人の申請により、顔写真付きの個人番号カードを交付。個人番号カードは本人確認や番号確認のために利用できる。社会保障分野では、年金や雇用保険、生活保護の資格取得や確認、給付を受ける際などに利用。税分野では、確定申告書や届出書などに記載したり、災害対策分野では被災者生活再建支援金の支給などに利用したりできる。2018年以降は、金融分野において、預貯金口座への付番も行い、災害時にはマイナンバーで預金を引き出せるといった仕組みも確立する予定だ。「マイナンバー制度の導入では、日本は後進国。だが、他の国での失敗事例を研究してきた。米国では社会保障番号だけで、年金の受給や税金還付が受けられるようにしていたが、これは、銀行口座番号だけで預金が引き出せるようなもの。マイナンバーは、その数字だけでは個人を証明できない。リスクはほとんどないと考えている(向井氏)なお、マイナンバー制度では、個人のブログなどで個人のマイナンバーを公表することは、法律違反になる可能性があるという。○住基カード、健康保険証などとどう使い分けるのか?国民がすでに公的なものとして使用している番号として、住基カード番号(住民票コード)や健康保険証番号、あるいはパスポート番号、運転免許証番号などがある。それらがあるにもかかわらず、なぜマイナンバーが利用されることになったのだろうか。マイナンバー以外のこれらの番号は、退職や更新といった機会に番号が変更する可能性があること、番号が変わらない住基コード番号も、地方自治体が管理運営するものであり、国民健康保険や介護保険、国民年金などの資格確認などの用途に利用されており、その狙いが異なるという点が背景にある。向井氏は「住基コードは、国民が利活用するという用途よりも、行政側の管理のために利用されることが中心であり、もともとマイナンバーのような利用を想定していない。これをマイナンバーとして利用することは、時間やコストがかかること、単一の番号で使い回すには、セキュリティ面でも課題があることから、新たな番号を付与することにした」と説明した。●マイナンバーで本当に副業がバレてしまうのか?○役所間のデータのやり取りは安全か?また、マイナンバーは、複数の機関に存在する個人の情報を同一の人の情報であることを確認するための基盤にもなるという。「これまで、福祉サービスや社会保険料の減免などの対象かどうかを確認するため、国の行政機関や地方公共団体などとの間で情報のやりとりがあった。しかし、住民票コード、基礎年金番号、医療保険被保険者番号など、各機関が独自の番号で個人を管理しているため、氏名や住所などでの個人の特定に時間と労力を要していた。社会保障、税、災害対策の3分野において、横断的な番号を導入することで、個人の特定が確実かつ迅速になり、行政の効率化、国民の利便性とともに、公平で、公正な税・社会保障制度を実現できる」という。ここで注目しておきたいのは、各行政機関が保有している個人情報を特定の機関に集約する共通データベース方式ではなく、あくまでも個人情報は各行政機関が保有し、それらを、情報提供ネットワークシステムを使用して、情報の照会、提供を行う分散管理の方法を取るという点だ。「国税に関する情報は税務署に、児童手当や生活保護に関する情報は各市町村に、年金に関する情報は年金事務所といったように、これまで同様に分散して管理される。また、役所間のデータのやり取りでは、システム内でのみ突き合わせが可能な暗号化された異なるコードで行われる。したがって、1カ所で個人情報の漏えいがあっても、個人情報を芋づる式には抜き出すことはできない」(内閣府・向井氏)○個人番号カードの役割とは?一方、マイナンバーとともに、2016年1月以降、個人番号カードを申請し、無償で交付されることになるが、このカードは、いくつかの役割を持つことができるという。1つ目は、個人番号の証明である。カードの裏面には、個人番号が表示されており、いつでも自分の番号を確認できる。ただ、これは各種の法定事務手続きなどに利用する番号であり、レンタル店などの民間企業が、会員登録のために、この番号を使うことはできない。番号を公表することが制限されたり、民間手続きでは活用されたりしないため、個人番号カードは、裏面のマイナンバー部分を隠すビニールケースに入れた形で交付されるという。2つ目は、身分証明書だ。個人番号カードの表面には、氏名、住所、生年月日、性別が記載され、顔写真も掲載される。これは民間企業でも利用が可能だ。その点では常に携行して利用するといった使い方も想定している。3つ目は、ICチップが搭載されていることで、さまざまな用途に活用できる可能性があることだ。すでに国家公務員の身分証として利用されることが決定している。ゲート開放アプリと連動した使い方が行われるほか、図書館会員証や社員証、公共施設の予約などでの利用が可能だというそして、4つ目はICチップを活用した電子証明書としての用途だ。e-TAXやマイポータルの利用のほか、ネットバンキングでの認証、コンサートでの入場チケットでの本人確認などでの利用が想定されるという。ちなみに、ICチップ部分には、所得情報や健康情報などのプライバシー性の高い個人情報は格納されていない。また、民間企業がICチップを活用してサービスを展開するには、総務大臣の認定が必要だ。ちなみに、マイナンバーを取り巻く話題の中で特に注目されているのが、マイナンバーによって、副業が会社にばれてしまうのではないかという点だ。内閣府では、これについては、納税の手続きが変わるわけではなく、副業を行っている事実が新たに会社にわかってしまうものではないとする。ただ、現在の仕組みでも、住民税の税額などは、特別徴収額の決定通知書により、給与支払者を経由して、納税義務者に通知されており、そこで給与支払者である勤務先の会社が、通知書に記載されている給与額を見て、副業の事実が分かるという場合もある。つまり、たまたまバレていないということもあるわけで、これはマイナンバー制度が導入されても変わらないということになる。
2015年12月21日政府は18日、臨時閣議において、2015年度の補正予算案を閣議決定した。安倍首相が掲げる「一億総活躍社会」の実現に向けて緊急に実施すべき対策等として1兆1,646億円を充てるが、そのうち「アベノミクスの均てんによる消費喚起・安心の社会保障」(年金生活者等支援臨時給付金)として、3,624億円を充てる。同給付金は、2015年度臨時福祉給付金の対象者(※)のうち、2016年度中に65歳以上となる人を対象に、一人3万円を支給するもの。※ 2015年度分市町村民税(均等割)が課税されない人が対象。ただし、「課税されている人に生活の面倒を見てもらっている場合(住民税において、課税者の扶養となっている場合)」、「生活保護制度の被保護者となっている場合」などは対象とならない「年金生活者等支援臨時給付金」は、「一億総活躍社会」の実現に向け、賃金引上げの恩恵が及びにくい低年金受給者への支援によるアベノミクスの成果の均てんの観点や、高齢者世帯の年金も含めた所得全体の底上げを図る観点に立ち、社会保障・税一体改革の一環として2017年度から実施される年金生活者支援給付金の前倒し的な位置づけになることも踏まえ、また、2016年前半の個人消費の下支えにも資するよう、低所得の高齢者等を対象に年金生活者等支援臨時福祉給付金を支給するとしている。補正予算案ではそのほか、「一億総活躍社会」の実現に向けて緊急に実施すべき対策等のうち、「希望出生率1.8」及び「介護離職ゼロ」に直結する緊急対策等に3,951億円を充てる。また、TPP関連政策大綱実現に向けた施策には、3,403億円(※地方創生の本格展開等に含まれる事業1,472億円を含めると4,875億円)を充てる。同施策のうち、「攻めの農林水産業への転換(体質強化対策)」には3,122億円、「TPPの活用促進・TPPを通じた「強い経済」の実現(対日直接投資促進等)」には280億円(※地方創生の本格展開等に含まれる再掲事業1,472億円を含めると1,753億円)を充てる。そのほか、復興の加速化等には8,215億円、その他喫緊の課題への対応(テロ対策等)には3,037億円、災害復旧・防災・減災事業には5,169億円を充てる。一方、2014年度補正予算に引き続き新規国債発行額の減額(4,447億円)を行う。
2015年12月18日経済協力開発機構(以下、OECD)は3日、年次レポート最新版「税収統計2015年版(Revenue Statistics 2015)」を発表した。それによると、経済危機以降、OECD加盟国全体で法人税収が減少している一方で、個人納税者への負担がより高まっていることがわかった。○OECD税制センター長、「公平に支払わせる取り組みを」同レポートによると、OECD加盟国における法人税収は2007年~2014年の間に3.6%から2.8%に減少。他方、個人所得税収は8.8%から8.9%に、VAT(付加価値税)税収は6.5%から6.8%に上昇した。2014年のGDPに占める税収の割合は平均34.4%と、危機前の2007年(34.1%)より0.3ポイント高く、過去最高だった2000年の34.2%を上回った。詳細をみると、同時期(2007年~2014年)におけるGDPに占める法人税収は減少した一方、社会保障税収は8.5%から9.2%に増加したことで法人税収減少分を相殺している。パスカル・サンタマンOECD税制センター長は「法人納税者は引き続き納税額を少なくあげようと方法を模索している(中略)。経済危機以降見られる税収増加分のほとんどは個人の負担からきており、社会保障、VAT、個人所得税などが占めている。このような状況であるため、法人納税者に自らの分を公平に支払わせることを確実にする取り組みが至急求められている」と述べている。
2015年12月04日2016年1月から、マイナンバー制度がスタートします。ご存知の方も多いと思いますが、これは国民一人ひとりにID(個人番号)が割り振られるシステム。たとえば社会保険や税制度などの手続きを行う際、これからは個人番号が必要になるわけです。ところで『士業・コンサルタントのためのマイナンバーで稼ぐ技術』(横須賀輝尚、馬塲亮治著、飛鳥新社)は、この制度がスタートすることを「一発当てる絶好機」だと表現しています。■士業がマイナンバーで稼ぐ技術今後、国内企業はマイナンバー制度について担当者を置き社内周知を行い、情報管理規定をつくらなければならないことになります。しかしマイナンバー制度自体が初めての試みである以上、社内だけでどうすることができるはずもありません。だからこそ、対応するのは行政書士、社会保険労務士、税理士などの士業、そしてコンサルタント。つまり法律や税金、労務管理、経営に携わる士業やコンサルタントにとって、この制度の運用開始はビジネスチャンスになるということ。そこで本書では、マイナンバーで稼ぐための術が紹介されているわけです。■マイナンバーは国民全員の問題ただし、本書の価値はそこだけにあるわけではありません。士業にとってのメリットを説くための大前提として、「マイナンバーとはなにか」という根本的な部分にも焦点を当てているのです。マイナンバーが国民全員にとっての問題である以上、むしろ注目すべきはその点ではないでしょうか?どんな仕事に就いていようが、日本人である以上はこの制度を避けることは不可能だからです。そこで今回は、「マイナンバーとはなにか」という本質的な部分に焦点を当ててみたいと思います。■マイナンバーで情報統一されるマイナンバーとは、住民票を持つすべての人に対して、それぞれ12桁の番号をつける制度。社会保障、税制度、災害対策の3分野において、効率的に情報を管理しようというのがその目的です。正確には「社会保障・税番号制度」というそうですが、いずれにしてもこの制度の施行によってすべての国民に固有の番号を割り当て、税務署や年金事務所など、複数の期間に存在する個人情報を紐づけし、各機関の情報連携を可能にするというわけです。日本ではこれまで、基礎年金番号、健康保険被保険者番号、パスポート番号、納税者番号、運転免許証番号、住民票コード、雇用保険被保険者番号など、各機関が個人に対してそれぞれ別個に番号をつけていました。それがこの機会に統一され、ひとまとめに管理されるようになるのです。つまりは複数の期間に分かれて存在する個人情報が、同一人物のものであることが確認できるようになるということ。マイナンバーさえ照合すれば、個人の氏名や性別、住所、電話番号、出生地、生年月日はもちろん、社会保険関係の納付、納税、各種免許、口座番号、犯罪歴などの詳しい個人情報もわかるようになるというのですから、これは大きな変化です。そしてマイナンバー制度を導入する目的は、大きく分けると3つあるといえるそうです。■マイナンバー導入の3つの目的(1)行政の効率化先に触れたとおり、日本はこれまで基礎年金制度や健康保険被保険者番号などがそれぞれバラバラにつけられていました。「縦割り行政」と揶揄されたのはそのためです。つまり同一の個人情報が各機関に分散し、「重複していながら照合されない」という、非効率的な管理がなされていたわけです。しかしマイナンバー制度を導入すると、個人情報が番号ひとつで管理できるようになるため、無駄を省くことができるようになるのです。(2)国民の利便性の向上マイナンバー制度が導入されることにより、私たち国民もマイナンバーを使用し、社会保険や税関係などの行政手続きを簡単にできるようになります。たとえば引越しの手続きの際には、面倒な手続きが不要に。前の居住地の役所から所得証明書を取って送付するといった手間がいらなくなるのです。また、自分の年金や税金の振込記録、個人情報が役所でどのように使われたかなどのチェックも、インターネット上で確認できるようになるそうです。(3)公平・公正な社会の実現マイナンバーの導入により、個人の収入や、行政サービスの受給状況を国が細かく把握できるようになります。納税負担を不当に免れることや、年金や医療給付金などを不正に受け取ることを防止し、本当に困っている人にきめ細かな支援が行えるようになるわけです。一人ひとりの所得が正確にわかるので、その所得に対して税制控除や社会保険給付を組み合わせ、不公平をなくすための対策がとれるということ。いわばマイナンバーは、効率と公平の実現を目指す制度なのです。*しかしその一方、情報漏洩の危険性など、数々の問題点があることも事実。だとすれば必要なのは、正確な情報を入手することであるはず。つまり基本的な知識をつけるという意味でも、本書には多くの人にとって大きな価値あるわけです。(文/書評家・印南敦史)【参考】※横須賀輝尚、馬塲亮治(2015)『士業・コンサルタントのためのマイナンバーで稼ぐ技術』飛鳥新社
2015年11月22日10月5日のマイナンバー制度施行に伴い、政府のマイナンバー関連のホームページが改定され、あたらしい情報が出てきています。前回みましたマイナンバーの通知時期についても、政府広報オンラインの「社会保障・税番号制度<マイナンバー>特集サイト」が更新され、「10月20日頃から概ね11月中にあなたにもマイナンバーが通知されます」と掲載されています。また、個人番号カード総合サイトでは、通知カードの郵便局への差出し状況も全国の市区町村別に確認できるサイトを設け、各市区町村がいつ郵便局へ通知カードの簡易書留を差し出したかわかるようになっています。そして、「差出日から概ね7日から20日程度でお届けできる見込みです」としています。この原稿を書いている10月9日現在、この差出し状況の確認サイトには、差出日が掲載されている市区町村はいまだ一つもありませんが、順調に通知カードの発送準備が進めば、この記事が掲載される頃には、差出日が掲載されている市区町村が増えていると思われます。いずれにしても、当面はこの通知カードの発送や受け取りをめぐる話題が多くなってくるものと想定されますが、マイナンバーの利用開始は平成28年1月からと間近に迫っています。その一方で、まだ準備ができていない中小企業も多いことが報道されています。「何をすれば良いか分からない」という理由で準備が進んでいないとすると、より具体的に何をすれば良いかを確認することから始める必要があります。○チェックリストで準備しなければならないことを確認する政府が広報してきた事業者向けの解説も当初の頃にくらべると、よりシンプルにまとめられたものが増えてきました。先にとりあげた政府広報オンラインの「社会保障・税番号制度<マイナンバー>特集サイト」の「事業者のみなさまへ」というサイトでは、「どんな準備が必要なの?」というコーナーに、「まずは対象業務を洗い出した上で、組織体制やマイナンバーの利用開始までのスケジュールを検討し、対応方法を決定してください」として「6つの導入チェックポイント」が掲載されています。これを確認しながら、今からでも始められるマイナンバー対策について考えていきましょう。○担当者を決めるまず、最初のチェックポイントは「マイナンバーを取り扱う担当者を決めましょう」です。人事担当などがいない小規模な企業では、給与計算を担当している従業員を担当者にすることを考えてみてください。それでもマイナンバー取扱担当者に適切な人材がいない場合は、社長自らがマイナンバー取扱責任者兼担当者になるしかありません。まずは、決めることです。○マイナンバーを収集する次のチェックポイントは、「マイナンバーを従業員から取得する際は、利用目的を伝え、番号の確認と身元の確認をしましょう」です。ここでは、年内に収集することを前提に考えてみます。2つのステップで考えましょう。まず、従業員へ本人および扶養親族のマイナンバーの提供を求める案内文を作成し、そこに利用目的を明記しておきましょう。中小企業など事業者が従業員などのマイナンバーを記載しなければならない提出書類は、源泉所得税に関する書類と、社会保障-社会保険関連の書類ということになりますので、利用目的は“「源泉徴収票等作成事務」、「雇用保険届出事務」、「健康保険・厚生年金保険届出事務」の諸手続きのため”というような内容を明示することになります。そして、次のステップとして、従業員からマイナンバーを取得するさいに、番号の確認と身元の確認をすることになります。まず、どのような書面でマイナンバーを取得するのか、そして何で番号確認や身元確認を行うのかを明確にしましょう。従業員からマイナンバーの提供を受けるその場で電子データとして入力できる環境があれば、別な書面にマイナンバーを記入してもらうのではなく、番号確認のため通知カードのコピーを提示してもらい、それを確認して入力すれば、むだにマイナンバー記載の書類を増やす必要はなくなります。この方法を取る場合は、扶養親族の通知カードのコピーも用意してもらえば、扶養親族も含めてより正確なマイナンバーの入力・確認が行えることになります。では、身元確認はどうするのか、採用時に番号法で定めるような身元確認(運転免許証のような顔写真付きの証明書などによる確認)が行われていれば、マイナンバー取得時に身元確認書類の提示は不要ということになっています(国税庁「国税分野における番号法に基づく本人確認方法」例6参照)。身元確認までおこなう必要があるかどうか、採用時にどこまでの確認をしていたかを確かめた上で、身元確認書類まで提示をもとめるのかどうかを決めましょう。こうしたことを確認したら、利用目的とあわせて、どのような方法でマイナンバーを提供してもらうのかも、マイナンバーの提供を求める案内文に盛り込んでおきましょう。○マイナンバーの適切な管理次のチェックポイントは「適切に管理しよう!」ということで、3つのチェックポイントが掲げられています。マイナンバーが記載された書類は、カギがかかる棚や引き出しに保管しましょうこれについては特にコメントはありません。このとおりにしてください。そして、誰でもがそのカギを使用できるようでは意味がありませんので、責任者や担当者しかカギを使用できないようにきちんと管理することが大事です。ウィルス対策ソフトを最新版にするなど、セキュリティ対策を行いましょうこれはパソコンなどを使用してマイナンバーを管理する場合のセキュリティ対策についての話ですが、ウィルス対策ソフトを導入し常に最新版にアップデートすることは当然のことです。では、これだけで良いのでしょうか。ガイドラインで物理的安全管理措置や技術的安全管理措置として事業者向けに示されてきた指針がチェックポイントとしては記載されていません。最低限のこととして、物理的安全管理措置として画面などを覗き見されないようにパソコンを配置することや、技術的安全管理措置として責任者や担当者しかマイナンバーにアクセスできないようにすることは、「適切な管理」のためには必要なことですので、このチェックリストに加えて準備していきましょう。退職や契約終了で従業員のマイナンバーが必要なくなったら確実に廃棄しましょう「適切な管理」ということでは、必要がなくなったマイナンバーを確実に廃棄することは大事なポイントではありますが、今取り急ぎ利用開始を前にして、マイナンバーを取り扱うための準備を進めなければならない中小企業にとっては、優先度の低いチェックポイントといっても良いでしょう。現時点では、マイナンバー管理のシステムを選択するさいに、マイナンバーの削除・廃棄の機能が備わっていることを確認すること、また利用開始後は必要がなくなったマイナンバーをすみやかに削除するような運用をおこなうことを確認しておけばよいでしょう。○マイナンバー制度を理解するそして、6つめのチェックポイントは「理解しよう!」ということで、「従業員にマイナンバー制度周知のための研修や勉強会を行いましょう」ということが掲げられています。中小企業でスムーズにマイナンバーの取り扱いをおこなうためには、責任者や担当者だけでなく従業員全員がマイナンバー制度を理解しておくことは大事なことです。制度を理解するため研修や勉強会をおこなう場合は、以前にも紹介しましたが、「政府インターネットテレビ」の「マイナンバー 社会保障・税番号制度(事業者向け編)」(約20分)および「マイナンバー 社会保障・税番号制度(個人向け編)」(約15分)が、制度の内容を簡潔にまとめられていて教育ツールとして利用できますので、これらを視聴されることをお勧めします。政府広報オンラインの「社会保障・税番号制度<マイナンバー>特集サイト」の「6つの導入チェックポイント」をベースに、今から準備するために行わなければならないことを整理してみました。では、具体的なマイナンバーへの対応方法として、求められる安全管理措置を満たすために、どのようなシステムを選択し、どのような管理を行えば良いのでしょうか?次回は、中小企業向けのマイナンバー管理のシステムに焦点をあてて具体的な対応方法を考えてみます。著者略歴中尾健一(なかおけんいち)アカウンティング・サース・ジャパン株式会社取締役1982年、日本デジタル研究所 (JDL) 入社。30年以上にわたって日本の会計事務所のコンピュータ化をソフトウェアの観点から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。マイナンバーエバンジェリストとして、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。
2015年10月19日●いよいよマイナンバーの通知が開始いよいよマイナンバーの通知が今月開始される。来年1月からの利用開始を見据えて、各社からマイナンバーに対応したソリューションが展開されている。マネーフォワードでも、マイナンバーの収集・管理・廃棄が行えるクラウド型マイナンバー管理システム「MFクラウドマイナンバー」の正式版をリリースした。リリース開始となった9月30日に、同社はマイナンバー勉強会を開催。ほはばの代表税理士である前田興二氏を交えて、中小企業における現在のマイナンバー制度対応に関する状況などが伝えられた。本記事では、この勉強会の模様をお届けする。○マイナンバー制度のおさらいマイナンバーとは、住民票を有する全ての人に一人一つ付与される12桁の番号である。社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一の人の情報であることを確認するために活用されることになる。漏えいした場合を除き、一度指定されたマイナンバーは生涯変わらない。このマイナンバー制度によって、各省庁間の情報連携による行政の効率化、添付書類の削減など行政手続きを簡素化し国民の利便性を向上、補助金の受給や公租公課において公平・公正な社会の実現といった政府の狙いがある。マイナンバーは、10月5日時点で住民票に記載されている住民に指定され、10月中旬から11月にかけて順次、市区町村から住民票の住所に簡易書留で郵送される予定となっている。さまざまな場面で必要となってくるマイナンバーだが、利用に関して段階的なスケジュールが組まれている。来年の1月から必要となってくる対応としては、中途退職者の源泉徴収票・雇用保険関連への記載となっている。健康保険や厚生年金保険、2017年1月末までに提出する源泉徴収票、確定申告への記載は、2017年からの実施予定となっている。「マイナンバー制度が大きく騒がれている理由の一つ」とマネーフォワード 社長室長の山田一也氏が指摘するのが、マイナンバーの不適切な取り扱いに対する罰則だ。例えば、正当な理由なく、業務で取り扱う個人の秘密が記録された特定個人情報ファイルを提供した場合は、4年以下の懲役または200万円以下の罰金(併科されることもある)とされている。山田氏は、「5,000件未満の個人情報の取り扱いであれば、個人情報保護法からは除外されていたが、マイナンバー制度では1件でもマイナンバーを扱っている事業者は罰則の対象となる。中小企業にとってはこれまでよりも、情報漏えいに対するリスク管理が必要となってくる」と説明した。また、万が一漏えいしてしまった際の企業のリスクとして、山田氏は「派遣業界のリスクが高い」と指摘した。「一般企業と比較して、派遣業界で漏えいが発覚してしまうと、企業に対する不安感から登録するスタッフが減り、人材を確保しにくくなるという懸念点がある。業界によってはマイナンバー制度を"事業リスク"として認識しなければいけない」(山田氏)マイナンバーを企業内で取り扱うにあたっては、主に「取得」「利用・提供」「保管・破棄」の3つの業務が生じる。まず取得に関しては、従業員に対して取得の利用目的(源泉徴収票の作成など)を伝えて、提出を求める必要がある。あわせて、本人確認のための書類も用意してもらう必要がある。企業の担当者は、運転免許証やパスポートなどによる身元確認と、番号確認の両方を行わなければならない。また、国民年金第3号被保険者関係届もマイナンバーを記載する必要のある書類のため、企業は従業員の扶養者の情報も必要となってくる。利用・提供に関しては、税・社会保障に関する手続き書類に、従業員などのマイナンバーを記載した後、企業の担当者は役所に提出する流れとなる。企業は、収集したマイナンバーを、社員番号や顧客管理番号として使用するなど、目的外で利用することは禁じられているので、注意が必要だ。マイナンバーは、業務に必要な期間や法律によって保管が義務付けられている期間は、安全に保管する必要がある。事業者に求められる安全管理措置として、組織体制の整備など「組織的安全管理措置」、取扱担当者の監督・教育など「人的安全管理措置」、機器や電子媒体などの盗難防止など「物理的安全管理措置」、アクセス制御など「技術的安全管理措置」の4つがガイドラインで定められている。マイナンバーの必要がなくなった際には、速やかに破棄しなければならない。山田氏は、「当面は紙やエクセルで管理するという方が多いが、破棄することを考えると、収集の段階からシステムで管理しておかないと、破棄のタイミングでわからなくなりがちだ。最終的に破棄することを見据えて準備しておく必要がある」と指摘した。●マイナンバー制度導入による、中小企業のリスク○マイナンバー制度対応、企業によってばらつきがあと2カ月でマイナンバーの利用が開始されるわけだが、中小企業では実際、どの程度対応が進んでいるのだろうか? ほはば 代表税理士の前田興二氏は次のように説明した。「マイナンバー制度へ対応できている企業は、1割もいないのではないだろうか。まだ、マイナンバー制度がどういった内容で、いつ番号の通知があり、1月に申請することでマイナンバーカードが取得できるという流れを経営者に周知してもらう段階だ」前田氏によると、マイナンバー制度への対応に関する積極性は、企業によって偏りがあるという。「派遣企業やIT企業など、従業員規模が一定数以上で若い世代の環境では、システム導入のニーズがあるが、鉄工所のおじさんなどは恐らくシステムを操作することが難しいだろう。ペーパーによる管理が主流となってくるはずだ。また、中小企業では売上を伸ばすことと資金繰りが優先事項のため、システムやアプリを導入するために費用を捻出することが難しいのが実情」(前田氏)また、マイナンバー制度に対するマイナスイメージを持っている人も多いという。ほとんど利用されることのなかった住民基本台帳ネットワークの件もあり、今回も利用されない制度になるのではと懸念を持たれていることからも、マイナンバー制度への対応が優先度を低くさせている一因でもあると、前田氏は分析している。では、マイナンバー制度が導入されることによって、厳しい状況となる業種は出てくるのだろうか?「クラブなど飲酒店の従業員は副業として働いている人が多いため、マイナンバー制度によって情報が紐付けされてしまうと、本業の会社に発覚してしまう可能性がある。こうしたリスクから、2~3年先には従業員全員がやめてしまう可能性まであると、クラブの経営者は危惧している。また、理美容関係も経営を逼迫させることになるだろう。中小企業では、社会保険に加入していない企業も多い。人件費がコストの半分を占める理美容業界で、社会保険の加入をしなければいけなくなると、従業員の社会保険料を支払うことができないところも出てくるだろう」(前田氏)このように、中小企業ではさまざまなリスクが浮かび上がっている。●自分で自分のマイナンバーを入力できる「MFクラウドマイナンバー」○マネーフォワードのマイナンバー制度対応サービスマネーフォワードからリリースされた「MFクラウドマイナンバー」は、中小企業、個人事業主向けのマイナンバー管理システム。収集から廃棄まで全てクラウド上で完結しているため、管理負担を削減することができるというもの。また、事業者からマイナンバーの管理を受託する税理士・社会保険労務士も利用できるサービスだという。同サービスの特長として、従業員やその扶養家族、取引先、株主などからのマイナンバー収集をスマートフォンやPCで行うことができる点が挙げられる。自分で自分のマイナンバーを入力し、提出することができるというわけだ。収集したデータは、暗号化や二段階認証によるアクセス管理のもと、クラウド上に保管される。二段階認証方式でのログインは、同社によるとMFシリーズでは「MFクラウドマイナンバー」のみで実装されている機能だという。価格は初期費用は無料、従業員数などに応じて月額980円(税別)~で提供される。10月2日からは、ソースネクストとの提携により、同サービスのパッケージ版を全国の主要家電量販店、オンラインストアおよびソースネクスト運営のオンラインストア「ソースネクストeSHOP」で販売も開始する予定となっている。このパッケージ版は1年分の利用権となっており、従業員・従業員以外の対象者(扶養家族は除く)がそれぞれ10名(合計最大20名)まで登録可能な「Max 10プラン」では、9,800円(税別)で販売される。***来年からマイナンバー制度は実際にどう運用されていくのか、企業も税理士も見えない状況に不安を抱えている。少なからず、リスクが伴う制度であることは間違いないため、軽視せずにきちんと対応を進めていく必要があるだろう。
2015年10月02日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「マイナンバー制度」です。***来年1月より「マイナンバー制度」がスタートします。これは、社会保障・税番号制度のことで、住民票を持つすべての人に、ひとりひとつずつ番号をつけて、年金や保険、税金、収入などを一括管理するというシステム。10月から、個人には12桁の番号を知らせる「通知カード」が送られてきます。その番号は死ぬまで変わりません。マイナンバー制度が始まると、区役所、税務署、ハローワークなどの手続きが便利になるんですね。これまでは行政団体ごとに管理している情報がバラバラでした。年金番号や雇用保険の被保険者番号など、別々になっていたのが、マイナンバーひとつですむようになります。作業が効率的になりますし、行政内では大幅なコストカットに。2018年からは金融機関の預金口座にもつけられるようにする法改正案が国会で可決、成立しました。収入や手当の支給状況がしっかり管理されますので、税金のとりっぱぐれがなくなりますし、不正な給付も防げます。すでに死亡している親の生活保護を家族が何年も受け取っていた、というような問題も起きなくなります。公平公正にお金が使われるようになるのは嬉しいですよね。マイナンバーは災害対策にも有効です。災害手当を受けるのに、住民票の写しが必要なくなりますし、避難場所の把握もしやすくなります。将来、期待されているのは、きめ細やかな社会保障。これからは収入が低く生活に困っている人には、いったん徴収した税金を少し還元することも可能になるでしょう。今後、自治体や勤務先でマイナンバーを聞かれるようになります。社会保障や保険、税金関連以外での使用は禁じられていますから、民間団体にはむやみに教えないようにしましょう。日本年金機構の個人データの流出が問題になりましたよね。もし、マイナンバーの情報が漏れたら、ひとたまりもありません。それを防ぐサイバーセキュリティの人員が、アメリカや中国で4000~6000人なのに対し、日本は160人程度と手薄なんです。制度開始を前に、国は万全のセキュリティ対策に勤しんでいます。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2015年9月30日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2015年09月28日綜合警備保障は9月8日、ALSOKの警備員が所持する「隊員指令システム」を採用するモバイル端末を刷新し、パナソニック システムネットワークス製のタフスマホ「タフパッド FZ-X1(5型頑丈タブレット)」を導入すると発表した。セルラー回線はKDDIとなる。タフパッド FZ-X1は、防水、防塵、耐衝撃などの機能を採用し、過酷な状況での使用を想定して設計されたタフスマホ。ALSOKの警備員は、台風による強風や洪水により浸水した場所など、過酷な環境へ急行しなければならないケースが多い。そういった状況では、通常のスマートフォンやタブレット端末では活動が限定されてしまうという難点があった。新たにタフスマホの導入したことで、悪条件の下でも支障なく警備ができると期待を寄せている。また、警備員が受傷事故防止のために身に付けている防刃手袋を外すことなくタッチパネルを操作できる。ソフトウェア面では、今後増加が見込まれる外国人向けのサービスにも対応している。同社は、以前から警備業務のICT化を進めており、さまざまなシーンでタフスマホの利用を検討している。実証実験「ALSOK ゾーンセキュリティマネジメント」では、警備員が身に付けたウェアラブルカメラと画像解析を行うデータセンターと連携。通行者の中から迷惑者リストに該当する人物を検出してタフスマホへ通知、急病人が発生した際には遠隔地にいる医療スタッフをタフスマホで呼び出し、映像や音声を共有しながら一次対応を行うなどを検討している。なお、KDDIはほかにもタフネススマートフォンの「TORQUE」や閉域NW、無線閉域接続サービス、MDMサービスなどを提供している。
2015年09月08日すでに報じられている通り、2016年(平成28年)1月から「マイナンバー制度」がスタートします。正式名称は、「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(平成25年5月31日法律第27号、通称「番号法」)に基づいた「社会保障・税番号制度」。社会保障と税に関する行政手続きで利用するため、日本に住民票を持つ個人全員に対し、12桁の「個人番号」が付与されるというものです。結果として各個人の所得を正確に把握できるようになり、公平な税負担、社会保障の的確な提供などの効果が期待できるとか。また、行政機関・自治体等のさまざまな確認作業の負担も軽減されることになるといいます。とはいえ、私たちにとっては不安なことだらけ。そこで基礎知識を得るために読んでおきたいのが、『これ1冊でできるわかる 小さな会社のマイナンバー制度やるべきこと、気をつけること』(村阪浩司著、あさ出版)です。「Part 1 マイナンバー制度の基本を押さえる」から、「これだけは知っておきたいキーワード4つ」に焦点を当ててみます。■1:「個人番号」先に触れたように、マイナンバー制度においては住民票を持つ全国民に12桁の個人番号が指定されることになります。そして原則的に、一度指定された個人番号は生涯変わらないのだといいます。間もなく2015年10月以降に通知カードが配布され、さらに希望者には2016年1月以降、個人番号カードが交付されるそうです。ちなみにこれは写真つきなので、申請者の個人番号の確認だけでなく、身元確認にも有効。■2:「法人番号」法人番号とは、「国の機関、地方公共団体、会社法その他の法令の規定により設立の登記をした法人」、あるいは労働組合やマンションの管理組合などの「上記以外の法人又は人格のない社団等であって、法人税・消費税の申告納税義務または給与等に係る所得税の源泉徴収義務を有することとなる団体」に指定されるもの。難しい表現ですが、つまりは各種法人や団体のための番号です。■3:「特定個人情報」特定個人情報とは、個人番号や、「個人番号に対応する符号」を含む個人情報のこと。ちなみに「個人番号に対応する符号」というのは、個人番号に対応し、個人番号に代わって用いられる番号や記号などで、しかも住民票コード以外のものを指すのだといいます。■4:「特定個人情報ファイル」特定個人情報ファイルは、「個人番号や個人番号に対応する符号」をその内容に含む個人情報ファイル。民間の企業の場合は、個人情報保護法に定める「個人情報データベース等」と同じ意味だそうです。*これが、マイナンバー制度の基本的な部分。これを踏まえたうえで、会社の仕事がどう変わるのかを、本書ではわかりやすく解説しています。なんらかのかたちで自分自身にも関わってくる問題ではあるので、本書でしっかりと知識をつけておきたいところです。(文/印南敦史)【参考】※村阪浩司(2015)『これ1冊でできるわかる 小さな会社のマイナンバー制度やるべきこと、気をつけること』あさ出版
2015年09月07日内閣府は9月3日、「マイナンバー(社会保障・税番号)制度に関する世論調査」の結果を発表した。調査対象は、全国20歳以上の日本国籍を有する3000人で、うち有効回収数は1773人となっている。まず、マイナンバー制度を知っているかについて聞いたところ、「内容まで知っていた」は43.5%(今年1月調査では28.3%)、「内容は知らなかったが、言葉は聞いたことがある」は46.8%(同43.0%)、「知らなかった」は9.8%(同28.6%)という回答が得られた。半年前の調査と比較して、マイナンバー制度に対する認知度が上がっていることが明らかになった。マイナンバー制度における個人情報の取り扱いについて最も不安に思うことを聞いたところ、「国により個人情報が一元管理され、監視、監督されるおそれがあること」は14.4%(同18.2%)、「個人情報が漏洩することによりプライバシーが侵害されるおそれがあること」は34.5%(同32.6%)、「マイナンバーや個人情報の不正利用により、被害にあうおそれがあること」は38.0%(32.3%)という回答が得られた。昨今、個人情報の漏洩事件が多発しているせいか、不正利用に対する懸念が高まっているようだ。個人番号カードについては、「運転免許証やパスポートのように公的な身分証明書として使用できること」を知っていた人が38.5%、「マイナンバーの提示が必要なさまざまな手続きで、個人番号カードがないと複数の書類の提示が求められるが、個人番号カードがあれば1枚で手続きが済むこと」を知っていた人が32.1%、「印鑑登録証や図書館カード、健康保険証など複数の機能を1枚のカードに持たせることができるようになること」を知っていた人が22.7%、「コンビニなどで住民票,印鑑登録証明書などの公的な証明書を取得できること」を知っていた人が22.7%、「知っていたことはない」と回答した人が41.3%となった。続けて、個人番号カードの取得の希望について聞いたところ、「希望する」が24.3%、「希望しない」が25.8%、「現時点では未定」が47.3%という回答が得られた。また、法人番号については、「内容まで知っていた」が9.8%、「内容は知らなかったが,法人番号という言葉は聞いたことがある」が13.8%、「知らなかった」が76.4%と、知らない人が圧倒的に多かった。マイナンバー制度に対して期待することとして、「社会保障、税、災害対策に関する行政事務で添付書類が減るなど、手続きが簡単になる」「個人番号カード1枚で、健康保険証など複数の機能を持たせることができるようになる」「社会保障の不正受給や税の不正還付を防ぐことができるようになる」など、7つの項目について聞いたところ、すべての項目の回答率が今年1月の調査よりも下回った。「特に期待することはない」についても、23.3%から31.2%に増えている。
2015年09月04日病気やケガの際にかかる医療費等に備えるのが、医療保険です。日本には、公的医療保障がありますので安心といえますが、入院が長期にわたることもないわけではありません。病気治療が長期にわたれば、生活そのものにも支障が出てきます。医療保険は、治療が長期になった場合のリスクにも備えることができます。それでは、医療保険の加入率はどのくらいなのでしょうか。医療保険の加入率(公財)生命保険文化センター「平成25年度生活保障に関する調査」の「疾病入院給付金の支払われる生命保険加入率」をみると、74.0%の人が医療保険に加入しているという結果になっています。これにより、多くの人が病気やケガに対する準備として、医療保険を選択していることがわかります。資料:(公財)生命保険文化センター「平成25年度生活保障に関する調査」をもとに作成なぜこのように、医療保険に加入する人が多いのでしょう。それは、医療にかかる費用に対する不安の表れといえるのではないでしょうか。では、同調査による「医療保障に対する充足感」をみてみましょう。資料:(公財)生命保険文化センター「平成25年度生活保障に関する調査」をもとに作成「充足感なし」と答えている人が半数以上に上っているという結果になっています。充足感がないということは、「足りない」ということの表れと考えると、加入率からみて、公的医療保険で賄いきれない部分を医療保険等で補っているが、それでもまだ医療保障への不安を抱えている人が多いことがわかります。日本の公的医療保険は、公的医療保険がないアメリカなどと比べると恵まれているといえます。ただ、高齢化に伴い、国民一人あたりの医療費が増え続けており、介護や年金も含めた社会保障費は膨れ上がっています。今後、公的社会保障がこのまま維持されていくのかはわからない状況ですが、自己負担増となることも覚悟しておく必要があります。そのような不安が医療保険の加入率に表れているのかもしれません。ここに挙げる加入率はあくまでもデータです。医療保険の必要度は、個々の家庭の収入や資産等によって異なりますので、参考データのひとつとして活用してください。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年08月26日前回までは、よりセキュアな取り扱いが求められるマイナンバー(個人番号)について、中小企業が担わなければならない役割や、マイナンバーの取り扱いに際して必要となる準備などを詳細にみてきました。今回は、この連載の最終回として、マイナンバー制度のもう一つの番号である法人番号についてみていくとともに、マイナンバー制度の将来像と中小企業への影響を考えてみます。○法人番号はどのように使われるのかマイナンバー制度ともよばれる社会保障・税番号制度では、どうしてもマイナンバー=個人番号に焦点があてられた記事が多くなりがちですが、この番号制度では法人に対しても番号があらたに付番されることになっています。この法人番号は、国の機関、地方公共団体、会社法その他の法令の規定により設立登記した法人などに、国税庁が付番する13桁の番号です。法人番号も平成27年10月以降、書面により各法人に国税庁長官より通知されます。中小企業などの場合は、登記されている本店または主たる事務所の所在地に通知されることになります。マイナンバーは特定個人情報として様々な安全管理措置のもと取り扱わなければなりませんが、法人番号はインターネット(法人番号公表サイト)を通じて公表されることが予定されており、その取り扱いは大きく異なっています。国税庁が開設する法人番号公表サイトでは、法人情報として番号・名称・所在地が公開され、検索機能やデータダウンロード機能、Web-API機能(システムから法人情報直接取得するためのインターフェースの提供)などが提供される予定です。こうして法人番号が公開されることにより、「わかる」・・・法人番号により企業等法人の名称・所在地がわかる「つながる」・・・法人番号を軸に企業等法人がつながる「ひろがる」・・・法人番号を活用したあらたなサービスがひろがることが期待されています。法人番号がふられることで中小企業にとってどのような影響があるのか、現状の情報では計りかねるところがあります。社会保障や税の分野で、法人名などの記載が必要となる書類では法人番号の記載が求められるようになりますが、行政機関での法人番号を利用した情報連携がはかられていけば、これらの行政手続における届出・申請などの簡素化などのメリットも見えてくると考えられます。一方、民間で法人番号の活用がどのように進み、その結果中小企業にどのような影響がでてくるのかは、実際の運用が始まってみないとわからないというのが正直なところです。○マイナンバー制度の将来像マイナポータル政府が示すマイナンバー制度実施の流れ(※)では、平成29年1月から個人ごとのポータルサイト「マイナポータル」が運用開始することとなっています。この「マイナポータル」では、自分のマイナンバーをいつ誰が何のために行政機関などに提供したのかなどの情報が確認できる機能が提供される予定です。そして、平成29年7月には、政府機関と地方公共団体等も含めた情報連携がスタートし、そこに民間企業等も連携することで、暮らしがもっと便利になるようなワンストップサービスができるように構想されています。(※)政府公報 リーフレット「いよいよマイナンバー制度が始まります」より平成27年6月19日の日本経済新聞朝刊一面に、「医療費控除 領収書不要に」という記事が掲載されました。この記事では、医療費控除の申告をする場合に必要となる医療費の領収書がマイナンバーの個人用サイト(マイナポータル)にネット上で通知されることにより、電子申告する際には領収書の内容入力も不要となるとしています。この記事にあるようなことが実現するためには、健康保険組合が保有している医療費の情報とマイナンバーが結びつく必要があります。こうした構想を推進している政府の「IT総合戦略本部」が公表しているマイナンバー関連の今後の活用についての検討資料を見ると、マイナンバー(個人番号)カードによるワンカード化ということが構想されています。その一環として、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにすることが検討されており、その実現がベースとなって、日本経済新聞の記事にあるような「医療費控除」の話も現実のものになります。また、保険会社などからは保険料の支払証明書などもマイナポータルへ電子交付されるような構想もあり、さらに民間企業をまきこんで様々な書類の電子交付が実現しマイナポータルへ集約されていくとなると、現状のような年末調整業務はマイナポータルに交付されるデータで電子的に完結するような社会になっていく可能性もあります。法人向けにも個人向けのマイナポータルのような、法人番号をキーとした同様のサービスを提供する構想も考えられているようですマイナンバー制度は、「行政の効率化」、「国民の利便性向上」、「公平・公正な社会の実現」を目指し、社会的基盤(インフラ)となることが期待されている制度です。そして、マイナンバー制度がインフラとして機能する社会は、上記でみてきたマイナポータルに代表されるような、インターネット以前の紙ベースで情報が行き交うアナログ社会から、電子データで情報がやりとりされるIT社会への大きな変革ともいえます。○紙から電子中心の本格IT社会への対応こそが中小企業の課題マイナンバー制度が中小企業に与える影響をみてきたこのシリーズでは、前回まで直近で必要となるマイナンバーへの対応を中心にみてきました。正直なところ、「負担ばかりが増えて・・・」というのが、当面の対応を考えたときの、中小企業や中小企業から委託されてマイナンバーを取り扱う税理士・社会保険労務士の方々の感想ではないでしょうか。しかし、前項のようにマイナンバー制度の将来像まで見とおして考えると、紙から電子データが主となる本格的なIT社会の到来を見すえた対応を、中小企業も課題として見据えておく必要があります。これから行うマイナンバーへの対応も、そこに向かう第一歩として、先進のITを上手に活用して、より安全な対応とすることが大事です。前回、税理士事務所などにマイナンバーの取り扱いを委託する場合の、より安全な対応としてクラウドシステムの活用を検討しました。中小企業および中小企業の委託を受けてマイナンバーを取り扱う税理士事務所などの方々には、マイナンバー対応はもちろん自らの主業務に、こうした先進のITを積極的に取り入れていくことでマイナンバー制度の将来に備えていくことをご提案いたします。著者略歴中尾健一(なかおけんいち)アカウンティング・サース・ジャパン株式会社取締役1982年、日本デジタル研究所 (JDL) 入社。30年以上にわたって日本の会計事務所のコンピュータ化をソフトウェアの観点から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。マイナンバーエバンジェリストとして、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。
2015年08月03日少子化が叫ばれ続ける昨今。国立社会保障・人口問題研究所が行った2005年の調査によると、初婚同士の夫婦が予定する平均的な子どもの数は2.11人。そして、結婚期間15~19年の夫婦が実際に育てる子どもの数は2.09人だそうです。兄と弟、姉と妹。親としてはどちらも大切にしたいし、どちらの子にも「自分は愛されている」と感じてほしいと願うものの、つい能力をくらべてしまうのが人情。「お兄ちゃんはこの時期には言葉がしゃべれたのに……」「弟のほうがお兄ちゃんより早く立てた」などの比較は、子どもからすれば大きなお世話です。ところで、そんな比較や偏見にサヨナラできるママ・パパ必見の研究結果が、イリノイ大学の調査で明らかになりました!■第一子の賢さは他の兄弟に比べてわずか1ポイント!全米37万7,000人以上の高校生を対象とし、生まれた順序と能力の関連性を調べたなかでは最大規模といわれる調査。実施したのは、イリノイ大学のブレント・ロバート教授と現ヒューストン大学心理学教授ロディカ・ダミアン氏です。「性格研究ジャーナル」で発表されたその結果は「たしかに長男・長女は妹や弟よりIQが高い」というもの。ただしその差はわずか1ポイント……!そもそもIQの平均値は100で、85~115の間に約68%の人が集まり、70~130の間に約95%の人が収まるという、とっても大雑把な数値。1ポイントの差があったところで、劇的に頭がよいということになるはずがありません。調査に携わったダミアン氏も「この結果は統計的には有意だが、ほとんど差のない無意味なもの」と説明しています。■「第一子は一貫して外交的」との結果が出た理由今回の分析では、性格的にも第一子と第二子とでは一貫した差があることが明らかになりました。わかったのは、第二子にくらべて第一子は外向的で感じがよく、細かなことは気にしない優等生的な傾向があるということ。しかしIQ同様に、この差は相関0.02とごくわずかなものでした。ロバート教授が「ある薬が1,000人のうち1人(0.001%)を救えるとすれば、そのデータは無視できません。でも性格については、相関0.02という値は気にするようなものではありません」と説明していることからも、生まれた順番が性格に影響を及ぼすことはありえないということがわかります。それでは、どうして兄弟姉妹で性格に差があるのでしょう。調査では、家族の経済的状況や子どもの数、兄弟の年齢差など、結果を歪める可能性がある要素も検証したとのこと。たとえば、子どもの数が少ない傾向にある裕福な家庭では、先に生まれた長男・長女のほうがより恵まれた環境に身を置くことができ、それがIQや人格に影響を与えることにもなるのだそうです。また「家族内の大きな問題は、第一子が常に大人びてしまうことです」とロバート教授。親は第一子に対し、第二子が産まれるまでは一人っ子状態で愛情を注ぎ、なにごとにも慎重になるので、第一子はしっかりしたいい子に育ちやすくなるのだとか。つまり、育て方で性格が形成されていくのです。今回の調査で実証されたIQや性格の「ないにも等しい差」を見れば、兄弟で育児を変える必要がないことは明らか。「お兄ちゃん・お姉ちゃんの方が大切にされている」と第二子に理不尽な思いをさせないためにも、できるだけ第一子と差のない育児を心がけたいものですね。(文/渋谷ふみ)【参考】※Study finds no meaningful association between birth order and personality or IQ-News Medical※国立社会保障・人口問題研究所(第13回出生動向基本調査)
2015年07月28日1950年の初婚年齢は夫25.9歳、妻23.0歳でしたが、年々上昇し、2010年では夫30.5歳、妻28.8歳、2011年では夫30.7歳、妻29.0歳になっています(厚生労働省)。ちなみに、アメリカは夫30.5歳、妻28.8歳で、日本とほとんど変わりません。国立社会保障・人口問題研究所が実施した「第14回出生動向基本調査 結婚と出産に関する全国調査(独身者調査)」(2011年)によると、いずれは結婚しようと考える未婚者の割合は、男性は86.3%、女性は89.4%と、依然として高い水準にあります。(「一生結婚するつもりはない」とする未婚者は第9回調査以降、男性、女性ともに緩やかな増加傾向にあり、男性9.4%、女性6.8%となっています)。初婚年齢が上がってきたのは、女性の社会進出や結婚に対する意識の変化(別に結婚しなくてもという意識)、さらに恋愛期間の長期化も原因です。1987年、恋愛期間は3.1年でしたが、2010年には4.4年になっているのです(国立社会保障・人口問題研究所)。交際期間が長くなることで結婚願望が薄れていくこともあるよう。また、男性の場合は、昔から年をとっても若い女性を求める傾向が強いですが、あまりこだわっていると、若い女性の人口自体が減っているため、結婚できなくなる恐れもあります。くれぐれも、高望みはしないようにしましょう。○女性で最も初婚が早いのは「福島県」(27.8歳)女性で結婚が最も早いのは、福島県で27.8歳。ただし、同じ福島県でも地域によって初婚年齢は異なります。浜通りが最も結婚が早く、次いで中通り、会津の順。浜通りの女性が早いのは、情熱家で衝動的な人が多いから。会津は恋愛には慎重な人が多いためです。全県的にロマンチストが多く、恋愛中は相手に、詩や自分で作ったカーディガンなどを贈る人が少なくありません。福島は「人は結婚するのが当たり前ですか?」に対して、「はい」と答えた人が65.6%と全国一多いところなのです。2位は熊本県、佐賀県、沖縄県、山形県で、28.3歳。熊本県は、昔は竹を割ったような九州男児に対し、控えめで忍耐強いタイプの女性が多かったのですが、最近は自立志向の女性が多数派に。結婚が早くなったのも女性の自立が影響していると思われます。佐賀県と山形県は保守的なところが残っていて、「結婚するのが当たり前ですか?」で7位、6位だったところでした。沖縄県はたくましく精神力の強い女性が多いところ。バイタリティも十分で行動力もあり、姉御肌のため世話好きで、「私がいなくては……」ということで結婚が早いのでしょう。○女性で最も初婚が遅いのは「東京都」(30.1歳)逆に結婚が最も遅いのは、東京都(30.1歳)。46位は神奈川県(29.6歳)で45位は京都府(29.3歳)。以上の3県は、いずれも大都市がある県。これらの地域の女性は仕事がデキるうえ、女性の能力を認めてくれる環境にあるだけに、「結婚より仕事に」なってしまうのと、いざ結婚となると男性を見る目が厳しくなるのでしょう。また、周りも晩婚だけに結婚を焦ることは少ないし、異性がたくさんいて選択肢が多いことも影響していると思われます。また、京都府の女性は駆け引きを楽しむところも影響しているのではないかと思います。○男性で最も初婚が早いのは「福島県」(29.6歳)男性で結婚するのが最も早いのは福島県で、29.6歳。2位は熊本県で29.7歳、ともに女性でも1位、2位でした。福島は結婚するのは当然と思っている人が多いから。熊本は昔は、「肥後もっこす」といわれたところ。これは、偏屈で頑固で、融通がきかないという意味ですが、結構気の小さいところも。気性は激しく、短気で強情だから、感情的になりやすい、男っぽい「九州男児」のイメージそのもの。陽気で表裏がなく、惚れると情熱的に口説くタイプが多いからでしょう。3位は宮崎県で29.8歳。宮崎の男性は素朴で温和で正直で、誠実で真面目。人はいいのですが、「いもがらぼくと」と(「いもがらぼくとう」とも)いわれました。これは、里芋の茎で作った木刀のこと。見かけは頼もしく立派ですが、頼りにならない宮崎男性の気質を表す言葉でした。そのわりに恋愛は意外と積極的。○女性で最も初婚が遅いのが「東京都」(31.9歳)逆に遅いのは、東京都(31.9歳)、神奈川県(31.5歳)、長野県(31.1歳)の男性。東京と神奈川は女性と同順位。長野県は、地域によって気質が異なります。なかでも、北信(長野市など県北部)の男性は、とにかく真面目で几帳面。完璧主義者が多く、安易に妥協しないため晩婚になっているのでしょう。<著者プロフィール<矢野新一(株)ナンバーワン戦略研究所所長。エリアマーケティングの第一人者で、かつ県民性研究の第一人者。「県民性博士」とも呼ばれている。県民性に関する著作は20冊にのぼる。最新刊は『石川県人と富山県人のえっホント?』(北国新聞社)。テレビ出演、雑誌の監修も多数。無料アプリ「ズバット県民性」やサイト「県民性ワールド」も人気。東京生まれ。横浜市西区育ち。
2015年07月11日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマはテレビなどでもよく耳にする言葉、「格差社会」。***格差社会になって何が問題かというと、ひとつにはそれが原因でテロや紛争が起こり得るということです。貧困によって安定した生活を送れない。先進国の一部に富が集中し、一方で虐げられる人が出てしまう。そんな現状に不満が渦巻いているのです。私たち日本人にとっても無関係ではありません。たとえば、いまとても安く衣料品が手に入りますよね。優良企業の手厚い指導のもとで作られている場合もありますが、開発途上国の安い労働力を利用して成り立っている場合もあります。私たちの豊かな生活は、何に支えられているのか?世界に意識を向けることは大切です。民主主義は、人権を保障され、各々がそれぞれの努力によって幸せを追求できる社会です。ところが、生まれながらに貧しくて教育が受けられない。教育が受けられないから、高収入を得る仕事につけない…というふうに格差が固定化してしまう悪循環に陥ってしまうことも。格差があること自体は、「お金持ちになろう」「偉い学者になろう」と頑張るモチベーションになるかもしれません。だから、格差はあってもいいのだけれど、教育や仕事を得る“機会”は平等に与えられる社会でないといけないのだと思います。いま日本では、子供の貧困が問題になっています。一日の食費が300円という子もいます。親が働いているのに貧しいというケースが多い。表面的には衣食住がまかなえているので、「貧困」という自覚はないんです。でも、貧困はじわじわと襲いかかってきます。余裕のある人たちがサポートできるようになるといいのですが。他人事ではありませんね。◇ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2015年7月8日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2015年07月05日○「個人番号関係事務実施者」とは?前回は、マイナンバー制度とはどのような制度なのか、その概要と今後のスケジュールを整理してみてきました。マイナンバー制度のなかで中小企業は「個人番号関係事務実施者」という役割をおうことになります。今回は「個人番号関係事務」とはどのような事務なのか、それを行う「個人番号関係事務実施者」に求められる役割などをみていきます。○個人番号関係事務実施者とはマイナンバー制度では、1人でも従業員を雇用している事業者であれば、自分以外のマイナンバーを取り扱うことになります。特定個人情報保護委員会の「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」(以下「ガイドライン」)では、従業員を有する事業者、中小企業が、他人のマイナンバーを取り扱うことを、個人番号関係事務と呼んでいます。具体的には、従業員などのマイナンバーを源泉徴収票や健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届などの書類に記載して、行政機関や健康保険組合などに提出する事務が、個人番号関係事務に該当します。そして、この事務を行う事業者や担当者および事業者の委託を受けて個人番号関係事務を行うものを、個人番号関係事務実施者と呼んでいます。小規模な事業者であっても、法で定められた社会保障や税などの手続きで、従業員などのマイナンバーを取り扱うことになりますので、すべての中小企業が個人番号関係事務実施者となります。小規模な事業者は、個人情報保護法で定める義務の対象外ですが、番号法で定められる義務は規模にかかわらず、すべての中小企業に適用されることになります。○個人番号関係事務を適正に実施するために知っておくべきこと個人番号関係事務を適正に実施するためには、番号法や「ガイドライン」で示されている「してはならないこと」「しなければならないこと」をきちんと確認しておくことです。この回では、「してはならないこと」を中心に知っておくべきことを整理してみましょう。○マイナンバーの利用制限マイナンバーの利用範囲は、法律に規定された社会保障、税および災害対策に関する事務に限定されています。一般の中小企業の場合は、社会保障および税の分野に限定されていると考えれば良いでしょう。個人情報保護法では本人の同意があれば、他の用途に個人情報を利用することができましたが、マイナンバーはたとえ本人の同意があっても、社会保障および税の事務以外で利用することはできません。たとえば、社員番号にマイナンバーを流用することはできません。○マイナンバーの提供の求めの制限、収集制限利用に制限がありますので、従業員などにマイナンバーの提供を求め、収集する場合も、社会保障および税の事務を利用目的とする範囲でしか、提供を求めることおよび収集することはできません。前項の例のように、社員管理のためにマイナンバーの提供を求め、収集することはできません。○マイナンバーの提供制限中小企業がマイナンバーを提供できるのは、社会保障および税に関する事務のために従業員などのマイナンバーを行政機関や健康保険組合などに提供する場合に限られます。たとえば、系列会社間で従業員が出向などで移動した場合に、系列会社間でマイナンバーを提供することはできません。この場合、出向先の会社は改めて本人にマイナンバーの提供を求め、収集しなければなりません。○マイナンバーの保管(廃棄)制限マイナンバーは社会保障および税に関する事務を処理するために収集、保管するわけですから、それらの事務を行う必要がある場合に限り、保管し続けることができます。継続的な雇用契約がある場合、従業員などから収集したマイナンバーを源泉徴収や健康保険・厚生年金保険などの関連事務で翌年以降も継続的に利用することが予定されますので、継続的に保管することができます。ただし、講演や原稿などを依頼し、支払調書を作成するために、講演者や原稿の執筆者から提供を受けたマイナンバーは、翌年以降同じ講演者や執筆者に依頼する予定がない場合は、継続的に保管することはできません。こうしたケースでは、必要がなくなったマイナンバーをできるだけ速やかに廃棄しなければなりません。○番号法の罰則規定「ガイドライン」では、「しなければならない」および「してはならない」と記述されている事項について従わなかった場合、法令違反と判断される可能性があるとしています。法令違反と判断されると、罰則が科される可能性もでてきます。番号法では、個人情報保護法よりも罰則の種類が多く、法定刑も重くなっているので注意が必要です。番号法で規定されている罰則には、国の行政機関や地方公共団体の職員などを対象にしているものと、民間事業者や個人を対象としているものがあります。下の表は民間事業者や個人を対象としている罰則規定と対応する法定刑を整理したものです。(内閣官房よくある質問 (FAQ)より)この中でも最も重い法定刑のものは、個人番号利用事務、個人番号関係事務などに従事する者や従事していた者が、正当な理由なく、業務で取り扱う個人の秘密が記録された特定個人情報ファイル(※)を提供するケースで、4年以下の懲役または200万円以下の罰金となっています。また、前項で取り上げた制限事項を守らず特定個人情報保護委員会の命令を受け、それに違反したケースでも2年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。個人番号関係事務実施者となるすべての中小企業では、限られたリソースのなかでマイナンバーを取り扱うことになりますが、罰則の適用を受けるような事態を避けるためにも、マイナンバー制度への対応をしっかり準備していかなければなりません。特定個人情報ファイル:個人番号をその内容に含む個人情報ファイル(個人情報データベースなど)著者略歴中尾健一(なかおけんいち)アカウンティング・サース・ジャパン株式会社取締役1982年、日本デジタル研究所 (JDL) 入社。30年以上にわたって日本の会計事務所のコンピュータ化をソフトウェアの観点から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。マイナンバーエバンジェリストとして、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。
2015年06月22日○マイナンバー制度はすべての中小企業に影響がありますTVCMなどでも紹介されているマイナンバー制度。個人レベルではさまざまな利便性がもたらされると案内されています。また、今国会では、マイナンバーの民間利用を進める法案が審議され、2018年からの開始を見すえた報道も増えてきました。その一方で、マイナンバー制度が中小企業にどのような影響をおよぼすかについては、まだまだ周知されているとはいえない状況です。いろいろな機関から発表されている事業者のマイナンバー制度対応についての調査からは、大企業はすでに準備を始めている様子がうかがえますが、中小企業については、マイナンバー制度への理解も含めて、これからといった現状が見て取れますマイナンバー制度は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(以下「番号法」 2013年(平成25年)5月31日公布)により成立した制度です。法律名にあるとおり、行政手続においてマイナンバー、すなわち個人を識別するための番号(以下、個人番号)を利用することになるわけですが、事業者がどのように関わることになるかの理解が進んでいないため、中小企業では、準備が進んでいないのではないでしょうか。今年末から使用することになる「平成28年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の、現時点で国税庁から公表されている書式(図1)では、給与所得者であるサラリーマンなどの従業員本人はもちろん、扶養親族の各氏名欄に個人番号を記入する欄が追加される予定です。この書類を集めることになる中小企業では、法律で規定されたルールを守って雇用者の個人番号を取り扱う必要があります。つまり、個人情報保護法では、扱う個人情報の数により規制の対象とならなかった中小企業でも、マイナンバー制度では「番号法」など関係法令の規制を受けることになるわけです。特に個人番号を含む個人情報は、漏洩などについて厳しい罰則も設けられており、中小企業でもルールをきちんと理解して対応を準備していく必要があります。○どの業務で個人番号の取り扱いが必要になるのか?マイナンバー制度は「社会保障・税番号制度」とも呼ばれ、中小企業で社会保障や税に係る業務を行うシーンで、従業員ひとりひとりに割り振られた個人番号を取り扱うことになります。具体的に個人番号の取り扱いが必要となる業務は、主に以下となります。○マイナンバー制度に対応するためにどのような準備が必要となるのか?これらの個人番号が記載されることになる書類の作成・提出は2016年(平成28年)1月からになっています。また、住民票を有する個人に2015年10月5日より市区町村より個人番号の通知カードが送付されます。個人番号の送付開始まで、もう半年を切っていますが、今からでも準備は遅くありません。まずは、前項であげた業務で、実際に個人番号を取り扱う業務や特定個人情報の範囲を明確にし、個人番号を取り扱う業務にあたる事務取扱担当者および責任者を決めることです。そのうえで、特定個人情報保護委員会(*)が公表している、「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」を参考に必要な準備をしていくことになります。主な項目をあげると以下のようになります。1.基本方針の策定従業員に制度を周知させるためにも策定することが重要とされています2.取扱規定等の策定特定個人情報の適正な取扱を確保するために策定します。前項であげた業務について、すでに業務マニュアルなどがある場合は、特定個人情報の取り扱いを明確化した項目を加えて作成することも考えられます。3.組織的安全管理措置担当者・責任者の明確化などの組織体制の整備や、取扱規定に基づく運用、取扱状況が分かる記録を作成・保存するなどの措置。4.人的安全管理措置取扱担当者に対する必要かつ適切な監督や、適切な教育を行うことなどの措置。5.物理的安全管理措置特定個人情報を取り扱う業務を行う区域、特定個人情報ファイルを扱う情報システムを管理する管理区域と特定個人情報を取り扱う事務を実施する取扱区域を明確にし、管理区域に対しては入退室管理、取扱区域に対しては間仕切り等の安全管理を行うなどの措置。6.技術的安全管理措置担当者や責任者のみが特定個人情報ファイルにアクセスできるように限定するアクセス制御を行うなどの措置。以上の項目を準備していくことになるわけですが、より詳しい内容については次回以降でみていきます。(*)特定個人情報保護委員会は、個人番号その他の特定個人情報の有用性に配慮しつつ、その適正な取扱いを確保するために必要な措置を講ずることを任務とする内閣府外局の第三者機関です。著者略歴中尾健一(なかおけんいち)アカウンティング・サース・ジャパン株式会社取締役1982年、日本デジタル研究所 (JDL) 入社。30年以上にわたって日本の会計事務所のコンピュータ化をソフトウェアの観点から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。マイナンバーエバンジェリストとして、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。
2015年06月08日ファイア・アイは5月13日、マイナンバー制度の運用開始に伴う企業のセキュリティリスクを鑑み、今後予想されるマイナンバーの窃取を狙った高度なサイバー攻撃に関して注意喚起を行った。これに伴い、事前に取り組むべき対策について、大企業から中堅企業までさまざまな規模の企業や組織に対して幅広く啓蒙し、求められる対策の提案を進めていく。マイナンバーに関して、ファイア・アイでは、米国ですでに行政や民間サービスに活用されている「社会保障番号(Social Security Number)」は、マイナンバー同様に個人を特定する番号だが、過去さまざまな重大な情報漏えい事件が発生している。例えば2014年には大手病院チェーン、今年に入ってからも大手医療保険会社が標的となり、社会保障番号を含む個人情報が流出したことが明らかになっているという。この二つの事案は、特定のターゲットに狙い撃ちをする、いわゆる標的型攻撃による被害事例で、標的型攻撃では、攻撃者は目的とする情報を窃取するまで時間をかけ、執拗な攻撃を繰り返す。マイナンバーの開始に伴い、こうした高度なサイバー攻撃の標的となる企業が今後ますます増加すると考えられると、ファイア・アイは予想している。早急に求められるセキュリティ対策とファイア・アイの取り組みについて、ファイア・アイのプレジデント茂木正之氏は、「取り扱いに細心の注意が求められるマイナンバーが開始されると、すべての企業は経営リスクとしてサイバー攻撃の脅威をとらえ、そのセキュリティ対策に取り組む必要があります。標的型攻撃など高度なサイバー攻撃の手口が巧妙になっている中、企業は新たな脅威に対するセキュリティ対策を根本から見直さなければならない時期にきています。ファイア・アイは「テクロノジー」、「サイバー攻撃に対する専門的知識・知見」、「脅威情報」の3本柱を軸に、標的型攻撃の検知にとどまらず、被害を未然に防ぎ、セキュリティ侵害が起こったときに迅速に対応、解析が可能な適応型防御により、お客様のマイナンバーセキュリティ対策を支援いたします」とコメントしている。
2015年05月14日エフセキュアは5月11日、地方公共団体での「社会保障・税番号制度(通称マイナンバー制度)」の運用開始に向け、セキュリティを強化し安全なデータアクセスを支援する統合的な製品「エフセキュア 公共ライセンス プレミアム」のキャンペーンを展開すると発表した。製品は、高い防御能力で定評のあるPC向けのソリューション「エフセキュア クライアント セキュリティ」に加え、Windowsサーバ、Linuxサーバならびにメールゲートウェイも対象としたアンチウイルスのスイート製品。マイナンバー制度は、社会保障や税務、災害対策行政での利用を目的に、2015年10月より個人への番号通知が開始され、2016年1月から利用開始となる。マイナンバー制度の運用開始にあっては、情報漏洩の原因となるウイルス感染を未然に防止する高い防御能力が求められるが、同製品はサンドボックスによる未知のウイルスを含む検知性能や、アプリケーション制御による出口対策と可視化、集中管理ツール"エフセキュア ポリシーマネージャ"によるポリシーベースの管理機能などを提供する。また、ソフトウェア アップデータでのパッチ管理による脆弱性対策などもあり、公共団体でのシステムの情報漏洩防止対策の能力を強化する。同社では、5月11日より同キャンペーンを開始。2016年3月28日までに同社受注分の「エフセキュア 公共ライセンス プレミアム」を対象に、新規ライセンス購入価格を一律10%ディスカウントする。
2015年05月12日2016年1月から運用が開始される「社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)」だが、まだまだ、「マイナンバー制度って何?」と、制度についてよく知らない人も多い。そこで、この連載では、マイナンバーの疑問にQ&A形式で解説する。第2回では、第1回 基本編に続き、応用編をお届けする。○18.番号法で言う特定個人情報や特定個人情報ファイルとは?「特定個人情報」とは、個人番号(マイナンバー)を含む個人情報と定義されている。マイナンバーそのものはもちろん、マイナンバーに対応する符号をその内容に含む個人情報で、これを含んだファイルあるいはデータベースが「特定個人情報ファイル」とされる。ちなみに"符号"というのが分かりづらいが、例えばマイナンバーを規則的に変換した番号、例えば暗号化されていても同じように特定個人情報として扱われる。○19.マイナンバーにも個人情報保護法が適用されるの?特定個人情報であっても個人情報の一部なので、当然のように個人情報保護法が適用される。マイナンバーの場合はさらに集約して使われることが想定されるため、個人情報保護法よりも厳しい罰則が用意されている上、今まで適用されなかった小規模事業者にも適用される。○20.中小企業や零細企業でも、マイナンバーを扱う必要があるの?大企業でも個人事業主でも、等しくマイナンバーを扱う必要がある。法にある社会保障や税などの手続きが主だが、従業員がいないという例もある。その場合でも、経営者の個人番号を扱う必要があり、もし、業務の一部を外注に出しているような場合は、その外注のマイナンバーも扱うことになるので注意が必要だ。○21.中小企業や零細企業も、大企業等のようなマイナンバー管理の安全義務があるの?ある。個人情報保護法が適用されない小規模事業者にも、番号法は適用されるので、万が一漏えいなどのトラブルを起こせば、法で定められているような、重い刑罰が待っている。きちんとマイナンバーが管理出来るよう、十分注意しておく必要がある。○22.外国人に講演や原稿執筆を依頼した場合、マイナンバーは必要?依頼を受けた外国人がマイナンバーを持っている中長期在留者や特別永住者である場合、必要となる。○23.マイナンバーを変更できる場合はどんなとき?マイナンバーが漏洩して不正に用いられるおそれがあると認められた場合に限って変更できる。変更には本人の申請または市町村長の職権によって行われる。○24.講演や原稿執筆などの依頼者が遠方に居住していて直接の本人確認が困難。どのようにすればよいか?個人番号カードがある場合にはICチップの読み取り、ない場合には住民基本台帳や地方公共団体情報システム機構等に登録されている情報と、公的個人による電子証明書の確認などを行う。また、本人にしか知り得ない事項について複数聞き取ることで対応もできる。○25.代理人経由でマイナンバーの提供を受けても構わないか?法定代理人または委任状を持つ任意代理人を経由してマイナンバーの提供を受けることはできる。その場合、代理人の身元確認も必要となる。○26.代理人経由でマイナンバーが提供された場合、本人確認はどのようにすればよいか?代理人の代理権と、代理人の身元確認を行った上で、本人の番号を確認することで本人確認できる。本人の番号確認は個人番号カード、通知カード、マイナンバーの記載された住民票の写しなどで行う。○26.マイナンバーの取得や本人確認などの事務作業を、外部に委託しても構わないか?問題ない。委託を受けた者が委託を行った者の許可を受けた場合には、再委託することもできる。○27.マイナンバーの取得や本人確認などの事務作業を外部に委託する場合、留意すべき点は何か?委託先で適切な情報管理が行われるように監督を行わなければならない。○28.マイナンバーを扱う事務作業を、外部に委託しても構わないか?委託を受けた者が委託を行った者の許可を受けた場合には、再委託することもできる。○29.マイナンバーを扱う事務作業を外部に委託する場合、どういった手続が必要か?委託先で適切な情報管理が行われるように監督を行わなければならない。また、どのような事務で利用されるのか利用目的を明示する必要がある。○30.自社のサービスで利用客の本人確認をしたい。個人番号カードを使ってもよいか?いけない。個人番号カードを身分証明書として利用することは可能だが、マイナンバーを民間の業者に提供することはできない。○31.自社のサービスでの本人確認で個人番号カードを提示された。マイナンバーも転記して良よいか?いけない。身分証明書としてのみ利用し、カード裏面のマイナンバーを書き写したりコピーを取ったりすることは禁止されている。○32.制度の開始前に、個人番号を事前収集することは可能か?マイナンバーが通知された後、記載義務が発生する平成28年1月より前に収集し、特定個人情報ファイルを作成、保管することはできる。○33.個人情報を事前収集する場合、どのような手続が必要か?番号法の「個人番号関係事務実施者に対して個人番号の安全管理を義務づける12条」に基づく完全管理義務措置として、番号法第16条による本人確認の措置と同様の措置を講ずる必要がある。○34.民間事業者が、マイナンバーのロゴマークを利用することは可能か?内閣府大臣官房番号制度担当室に使用の申請を行って承認を受ければ可能になる。申請は郵送で行ない、1~2週間程度で返答が受けられる。○35.マイナンバー情報が、通信経路で漏洩することはないいのか?通信経路における情報漏洩等を防止するための措置を行うことになっている。具体的な防止策として、通信経路の暗号化等が考えられる。○36.公務員がマイナンバーを不正に取得したり利用した場合、どのような罰則があるのか?個人や民間事業者と同じ罰則の他に、国や地方公共団体、地方公共団体情報システム機構などの職員に限定した罰則が設けられている。たとえば、情報連携や情報提供ネットワークシステムの業務に関して知り得た秘密を漏らし、または盗用した場合、3年以下の懲役または150万円以下の罰金を科される。併科されることもある。○37.マイ・ポータルとは何か?行政機関がマイナンバーの付いた自分の情報をいつ、どことやりとりしたのか確認したり、行政機関からのお知らせなどを自宅のPCから確認できるポータルサイト。○38.マイ・ポータルはいつから利用可能か?平成29年1月から利用可能になる予定(2014年6月時点)○39.個人情報カードが無くてもマイ・ポータルは利用出来るか?できない。利用にあたってはなりすまし防止のために、個人番号カードに格納された電子情報とパスワードを組み合わせて利用することになる予定。○40.マイナンバー情報は国が一括管理するのか?個人情報の一元管理は行われない。従来どおり各行政機関が必要な情報を保有し、他の機関が必要になった時に情報提供ネットワークシステムを通じて情報の照会を行ない、提供を受ける分散管理型を採用している。
2015年04月21日2016年1月から運用が開始される「社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)」だが、まだまだ、「マイナンバー制度って何?」と、制度についてよく知らない人も多い。そこで、この連載では、マイナンバーの疑問にQ&A形式で解説する。なお、この連載の内容は2015年3月末の情報に基づいている。その後、変更になる可能性があることをご了承いただきたい。○1.マイナンバー制度って何?マイナンバー(個人番号)とは、住民票を持っているすべての国民に、1人1つ割り与えられる12桁の固有の番号のこと。「社会保障」「税」「災害対策」の分野で効率的に情報を管理するために使われ、様々な機関に存在している個人情報を同一人であることを確認するために活用される。簡単に説明すると、「行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平・公正な社会を実現する社会基盤」を実現するための制度だ。○2.導入の目的は?マイナンバー制度の導入により、個人を特定し、所得や様々な行政サービスの受給状態が容易に把握できるようになるため、不正や不当な負担免除を防止し、本当に困窮している人へ適切な支援ができるようになる上、行政手続きが簡素化されたり、行政機関や地方公共団体などで行う情報の照合や転記、入力といった作業時間の大幅に軽減されたりと、様々な点で利便性の向上が期待されている。○3.マイナンバーの利用用途は?以下のような用途が想定されている。年金分野・国民年金法、厚生年金保険法による年金である給付の支給に関する事務・国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法による年金である給付の支給に関する事務・確定給付企業年金法、確定拠出年金法による給付の支給に関する事務・独立行政法人農業者年金基金法による農業者年金事業の給付の支給に関する事務労働分野・雇用保険法による失業等給付の支給、雇用安定事業、能力開発事業の実施に関する事務・労働者災害補償保険法による保険給付の支給、社会復帰促進等事業の実施に関する事務福祉・医療・その他分野・児童扶養手当法による児童扶養手当の支給に関する事務・母子及び寡婦福祉法による資金の貸付け、母子家庭自立支援給付金の支給に関する事務・障害者総合支援法による自立支援給付の支給に関する事務・特別児童扶養手当法による特別児童扶養手当等の支給に関する事務・生活保護法による保護の決定、実施に関する事務・介護保険法による保険給付の支給、保険料の徴収に関する事務・健康保険法、船員保険法、国民健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律による保険給付の支給、保険料の徴収に関する事務・独立行政法人日本学生支援機構法による学資の貸与に関する事務・公営住宅法による公営住宅、改良住宅の管理に関する事務税分野・国民が税務当局に提出する確定申告書、届出書、調書等に記載災害対策分野・被災者生活再建支援金の支給に関する事務・被災者台帳の作成に関する事務○4.以前議論されていた共通番号制度との違いは?共通番号制度は、社会保障と税の一体改革を掲げ、2011年、当時の与党であった民主党が進めた政策。衆議院の解散によって一旦は破棄されたが、2013年に与党になった自由民主党が民主党案として再浮上した経緯がある。「災害対策」という分野が追加されたものの、マイナンバー制度と共通番号制度は基本的に同じとみる人も多い。○5.海外で同じような制度は導入されているの?アメリカやイギリス、カナダ、イタリア、ドイツなどをはじめ、似たような制度を持つ国はある。ただし、用途として社会保障、税としてではなく、単純に住民登録として採用している国も多い。そうした例では、オランダやデンマーク、ノルウェーなどがある。○6.アメリカの社会保障番号制度との違いは?アメリカでの「社会保障番号」は、社会保障、徴税を目的としているものの、実質、身分証明書として使用されている。アメリカ軍が認識票に社会保障番号を刻印していることは有名。他にもクレジットカードの発行やローンを組む際にも使われることから、成りすましなどの悪用も多い。○7.いつ導入が決まったの?2013年5月24日に参議院本会議でマイナンバー関連4法案が可決、成立し、2013年5月31日に公布された。○8.外国人の従業員にもマイナンバーは発行される?マイナンバーの対象となるのは、住民票コードが住民票に記載されている日本国籍を有する者および、中長期在留者と特別永住者等の外国人。外国籍でもこれに当てはまっていればマイナンバーは発行される。○9.マイナンバーはどのように通知される?マイナンバーを記載した「通知カード」(紙製)が平成27年10月以降、市区町村から送付される予定。○10.個人情報カードとは?個人番号カードは、通知カードとともに送付される申請書を郵送すると、平成28年1月以降、交付を受けることができるカード(プラスチック製を想定)。ICチップが内蔵される予定で、表面に氏名、住所、生年月日、性別と顔写真、裏面にマイナンバーを記載する予定。本人確認のための身分証明書として使用できるほか、図書館カードや印鑑登録証など自治体等が条例で定めるサービスに利用でき、またe-Tax等の電子申請等が行える電子証明書も標準搭載される。○11.個人情報カードは無期限に使えるの?20歳以上の場合は10年、20歳未満の場合は5年とする方向で検討中となっている(2014年6月時点)。○12.マイナンバーに関する罰則規定は?主に、以下のような罰則がある。・情報連携や情報提供ネットワークシステムの業務に関して知り得た秘密を洩らし、または盗用した場合:3年以下の懲役または150万円以下の罰金・国、地方公共団体などの役職員が職権を乱用して、職務以外の目的で個人の秘密に属する特定個人情報が記録された文書などを収集した場合:2年以下の懲役または100万円以下の罰金・正当な理由なく、業務で取り扱う個人の秘密が記録された特定個人情報ファイルを提供した場合:4年以下の懲役または200万円以下の罰金・業務に関して知り得たマイナンバーを自己や第三者の不正な利益を図る目的で提供、または盗用した場合:3年以下の懲役または150万円以下の罰金・人を欺き、暴行を加え、または脅迫することや財物の窃取、施設への侵入、不正アクセス行為などによりマイナンバーを取得した場合:3年以下の懲役または150万円以下の罰金・偽りその他不正の手段により通知カード又は個人番号カードの交付を受ける場合:6か月以下の懲役または50万円以下の罰金・特定個人情報の取扱いに関して法令違反のあった者、特定個人情報保護委員会の命令に違反した場合:2年以下の懲役または50万円以下の罰金○13.マイナンバー制度の情報をまとめたサイト等はあるの?内閣官房がまとめたサイトに基本的な情報が掲載されており、各関係省庁へのリンクも設置されている。○14.マイナンバー制度で不明な点は、どこに問い合わせればいい?マイナンバーコールセンター(0570-20-0178)が平日9時30分~17時30分まで対応する。○15.自分のマイナンバーがどのように利用されているか、確認する手段はあるの?個人番号カードを取得した上でマイ・ポータルを利用すれば、行政機関が自分の情報をいつ、どことやりとりしたのか確認可能。○16.個人番号カードは、必ず取得しなければならないの?必要はない。マイナンバーそのものは通知カードで知ることができるため、通知カードのみを厳重保管することで対応可能になる。○17.個人番号カードの記載事項に変更があった場合、どのような手続が必要?引っ越し等で住所が変わる場合には、転入届を出す時に通知カードや個人カードを同時に提出し、記載内容を変更してもらう。それ以外の場合で記載内容に変更があった時には、14日以内に市町村に届け出て記載内容を変更してもらう必要がある。
2015年04月16日2016年1月から実運用が始まる予定の社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)。実施されれば企業で対応すべきことが多くなる。では、実際に企業にどのような対応が求められているのか、何をすべきなのか。「マイナンバー制度で企業実務はこう変わる」「(中央経済社)や「人事・総務のためのマイナンバー制度」 (労政時報選書)の著者でもある、野村総合研究所未来創発センター制度戦略研究室長の梅屋真一郎氏に聞いた。なお、ここで記載する内容は、2015年3月24日現在の情報に基づくため、今後制度が変更になる可能性もあることをご了承いただきたい。○企業が従業員の本人確認を行うのがマイナンバー制度の肝マイナンバーの対象となるのは、日本に住所がある日本国籍を有する人と中長期在留社や特別永住者という日本に住む外国人だ。各人に固有の12桁のマイナンバー(個人番号)が付与され、2016年1月以降は、児童手当の現況届けなどの法律で決められた行政手続きの際、番号の提示が必要となる。マイナンバー制度は、個人に関する税務や社会保障等の情報を紐づけ、行政の手続き効率化や給付金などの不正受給防止に役立てようというものだ。これだけを聞けば政府の取り組みであり、個人が管理されるだけのようにも見えるが、実際には企業の活動に大きな影響を及ぼすものでもある。「この制度の一番の肝となるのは、本人確認を必ず一度はするということです。日本の場合、会社勤めをしている人が多いですから、企業が従業員とその家族について確認してまとめるのが良いということになりました。免許証など顔写真つきの身分証明書と発行された番号、そしてできれば本人と付き合わせて確認することが求められています。これは従業員本人についてで、その家族の番号は従業員自身が本人確認をして、企業に提出することになります」と梅屋氏は語る。当面は税務や社会保障関連で利用されるため、家族というのは税でいえば扶養家族、健康保険でいえば被保険者ということになる。○番号から個人の属性を推察させないランダムナンバーを発行発行される12桁の番号は、完全にランダムになるという。同居家族でも先頭の11桁までが同じで末尾が枝番のように異なるというような形にはならないし、関東地方なら1から始まるというような地域別の区分もない。「海外では番号から出身地等が推測できる場合もありますが、マイナンバーでは本人を推測・特定できる事は望ましくないということで完全なランダムになりました」と梅屋氏。本人への番号の通知は2015年10月から開始される予定だ。「2015年10月に、各自治体から紙のカードが配送されます。少し丈夫な紙という程度で、これには顔写真もなく、生年月日や住所と一緒に12桁のマイナンバーが記載されています。これが通知カードです。顔写真のついた個人番号カードは、その通知カードをもって市町村役場に行き、2016年1月以降、改めて発行してもらう形になります」と梅屋氏は説明する。企業におけるマイナンバー確認時には、多くの場合、紙の通知カードを利用することになるだろう。企業としては、通知カードを捨てずに大切に保管することをあらかじめ徹底しておく必要がありそうだ。○アルバイト・パートも含めて番号の逐次収集&廃棄を実施マイナンバーの取得は、既存の従業員からだけでなく、新規に採用した従業員からも逐次行わなければならない。一方で、退職した従業員の番号に関しては破棄する必要がある。人事労務関連書類の法廷保存期間として、退職当日を起算日として数年の保存期間が設けられているが、これを過ぎれば情報を確実に廃棄しなければならない。この「従業員」には、パートやアルバイトといった非正規雇用も含むため、人の出入りが多い企業では取得と廃棄の繰り返しになり、かなりの労力がかかりそうだ。「これまで保存期間はあっても、保存期間を過ぎたら捨てなければならないという規則はありませんでした。多くの企業は保存場所のある限り保存しておくという方法をとっていたわけですが、マイナンバーの場合は目的外保管を禁止しているため、保存期間が過ぎたら破棄しなければなりません。即日というわけではないので、ある程度まとめてという形にはなるでしょうが、かなりの負担なのは確かです」(梅屋氏)。○将来を見据えて刑事罰などマイナンバー漏洩には厳しい罰則つき従業員とその家族の分までマイナンバーを企業が収集するということは、従業員がいるすべての企業が個人情報を扱うことになる。従来も個人情報保護については十分な安全対策が求められていたが、マイナンバーに関しては非常に厳しい罰則規定が存在する。「簡単にいえば、番号を持ち出して悪用すると刑事罰(4年以下の懲役または200万円以下の罰金)があります。企業の管理が甘かったとなると、企業も罰せられます。罰金も定められており、厳格な管理が要求されています」と梅屋氏は説明した。なぜそれほど厳しい罰則を設けているのかといえば、将来的なことを見越してのことだという。制度開始時は税や社会保障、災害対策の用途でしか使われないわけだが、今後官民での活用が進んでくれば情報漏洩が大きな問題になりかねないからだ。「税や社会保障のために使っているうちは、他人になりすましても他人の税金や社会保険料を払うことになるだけなので、おそらく盗もうという人も少ないでしょうし、盗まれてもそれほど大きな被害にはなりません。ところが番号の民間での活用が進んでいる海外では、クレジットカード審査時やECサイト利用時になりすましが多発して、大きな被害が出ています。日本では後発になった分、いろいろな危険性を考慮したわけです。また、活用を進める中で臨機応変に規則を厳しくして行くというのは中々難しいですから、最初から厳しくしておくことで皆が安全安心に使えるようにしようということでこうなっています」と梅屋氏は指摘した。○企業が行うべき対策は「常識」で考えるでは企業として具体的にどのような対応を行うべきなのか。まず確認すべきは、特定個人情報保護委員会の発表しているガイドラインやQ&Aの確認だ。具体例をあげて説明しており、どういう対応が求められているのかはだいたい理解できるようになっている。しかし、たとえば、管理用機器をオフィスから区分して置くにあたってパーティションの高さは何センチであるべきだとか、パスワードは何桁であるべきというような指定はされていない。これについて梅屋氏は「常識で考える」と解説した。「たとえば、パーティションが人の身長より低い程度で簡単に覗けてしまうというのは問題でしょうが、2mの高さがあるのに覗かれたというのは、それはきちんと区切っていたのに覗いた方が悪いとなります。パスワードも銀行が4桁だから4桁でいいと思ったというのであれば十分常識です。これが2桁でいいというのはおかしいと誰でも思いますよね。一方、10年たって世の中が10桁で当たり前になっている時、10年前にシステムを作った時は4桁が主流だったからそのままです、というのはその時々の常識に見合っていないといえます」と梅屋氏は語る。導入したそのままではなく、世の中の流れに合わせて常に見直しを行わなければならないのが特徴だ。今後は第三者認定制度なども発足し、よりわかりやすく、企業としてお墨付きを貰えるようにもなるだろうと予測される。○人事だけでなく全社的に取り組み全社員に周知徹底が必要企業として準備しなければならないのは、番号を収集し、管理し、破棄するという人事的なシステムだけではない。たとえば、今後は支払い調書等の経理的な書類にもマイナンバーを記載することになる。従来はExcelのテンプレートで済ませていた、というような場合には対応しきれなくなる可能性もあるだろう。「各種システムの見直しが必要でしょう。また、システム面だけでなく全社横断的な取り組みと、全部署・従業員への周知徹底が必要です。マイナンバーがどういうものなのか、その扱い方や罰則についても十分な教育をしなければなりません」と語る梅屋氏が、もっとも早い段階で強い周知徹底が必要だとしているのは、通知カードの配送時期とその保管についてだという。「10月には通知カードが届くわけです。それをまず認識して、きちんと保存してもらわなければなりません。1月に番号を収集しようとして、そんなカードは知らないというのでは困るわけです。そのためにはこの夏、8月から9月にかけてしっかりとした周知と教育が大切になります」と梅屋氏は準備の時が近づいていることを力強く語った。
2015年04月02日マイナンバー制度が2016年1月より施行される。経営や人事、会計などに関わる職種の人はしっかり準備を進めていると思われるが、それ以外の大多数の人にとって、この制度がどういうものなのか、どんな影響があるのかさっぱり分からないというケースが多いのが現状だ。そこで今回は、社会人のあなたに何が起こるかシミュレーションしてみたいと思う。なお、この記事は2015年3月16日現在の情報に基づいている。今後、制度が変更される可能性もあるので、ご了承いただきたい。○突然届くぞマイナンバーマイナンバー制度は、社会保障と税、そして災害対策の分野で利用されるもので、各行政機関ごとに管理されていた個人を識別する仕組みを一本化して情報管理を容易にし、国民の利便性を向上するという狙いがある。これによって、所得の把握や申告がシンプルになり、照合もしやすくなることから、税に関する不正や生活保護などの援助金の不正受給などを無くすという意味合いも強い。もちろん、大変なのは会社の総務や経理といった部署で、源泉徴収票や行政機関に提出する各種法定調書にもマイナンバーが記載されるようになるので、帳票レイアウトを変更するなどの対策はもちろん、そもそもマイナンバーを家族分を含めて社員からどうやって集めるのか、社内でどうやって管理するかで、現在頭をひねっている真最中だ。国民1人につき1つの割り与えられる12桁の番号は、2015年10月ごろから配布が開始される。何も知らなければ、ある日突然、紙の通知カードが届くことになるので、うっかり捨ててしまわないよう十分気を付けなければならない。個人番号カードの発行を市区町村に申請すると、2016年1月以降に写真付きで身分証明書としても利用できるカードが交付される予定となっている。今のところこの個人番号カードには電子証明書が搭載されたICチップが埋め込まれ、表面には氏名、住所、生年月日、性別、マイナンバーなどが記載され、本人の写真が添付される。このカードは住基カードに代わり、e-Taxなどの電子申請や印鑑登録証などの自治体が条例で定めたサービスにも利用できる予定だ。これは社長であろうが一般社員であろうが、住民票を持っている全ての人が対象となるので、「知らなかった」ということが無いよう、しっかり知識として身につけてほしい。○会社ではマイナンバーはどう扱われる?マイナンバーの適用分野は冒頭で述べたとおり、社会保障と税、災害対策になる。すなわち、会社に勤めているなら、厚生年金や健康保険、給与、賞与、年末調整などなど、社会人生活と切り離せないところと密接に関係してくることになる。とはいえ、こちらが会社に伝えない限り入力ができない。会社の総務なり、経理なり、担当になった人を通して、会社へマイナンバーを知らせるのだ。この際、単純にマイナンバーを伝えるというだけでなく、「本人確認」が必須となっている。マイナンバーとそれを所有している人が同一であることを確認するためのもので、いわゆる成りすまし防止のための措置だと思えばいいだろう。本人確認の方法や必須要件はまだ正式にかたまっているわけではないが、今のところ、マイナンバーカードに記載されている内容を、「番号確認」と「身元確認」に分けておこなうことが決まっている。例えば、最初に届いた通知カードで番号確認を行い、運転免許証やパスポートなど、顔写真が入ったもので身元確認をするといった方法が適切とされている。これらは、正社員だけでなく、パートやアルバイトも同様だ。「会社勤めの人は大変だな~」なんて思っている個人事業主のあなた。もし、社員やアルバイトを雇っていなくても、外注しているなら話しは別。これと同じ事を、外注の人に対してやらなければいけないのだ。こうした一例を聞いただけで、「えー」とならないこと。なぜかというとこれは扶養家族に対してもおこなうケースがあるからだ。あなたが会社員など厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者で、第3号被保険者の届け出(配偶者に扶養されることになった場合)をする場合、事業主が扶養家族に対しても本人確認をする必要がある。これとは逆に年末調整のときなどは、あなたが扶養家族のマイナンバーを提供する側になるため、本人確認もあなたが行い会社へ渡す。ただし、今例に挙げた中に出てきた「社会保障」の「年金」分野でのマイナンバー活用は遅れることが決まっている。しかし、「社会保障」の雇用保険などの労働分野は2016年より施行される予定なので、いずれにしても準備は必要。具体的にやらなくてはならないことは、ケースバイケースになるうえ、ややこしくはあるが、いずれにしても「本人確認」は、自分の身に降りかかってくるケースもある事はお分かりいただけたかと思う。○マイナンバーはどのような管理がなされるのか?マイナンバーが、所得や税、保険などに関係することは理解できたと思うが、一度預けたものがどのように管理されるか気になるだろう。そもそも、マイナンバーは先に挙げた3つの分野以外での使われ方は許されない。例えば、他人のマイナンバーを知っているからといって、その人の所得や税額を知ることもできないし、本人確認がされない限り、開示されることもない。会社が社員番号の代わりに利用したり、個人別の売り上げ管理で使用することもダメだ。さらにいうと、マイナンバーを預かっている会社が、うっかり漏えいさせた場合は、最高で「4年以下の懲役または200万円以下の罰金」という、これまで以上に厳しい措置が待っている。これは個人情報保護法では適用外だった小規模事業主にも適用され、実刑を含む重罰が用意されている。我々が注意するべきことは、マイナンバーが生涯にわたって利用されるものであること、社会保障、税、災害対策以外の用途では、決して他人に教えないことが重要になる。マイナンバーカードの取り扱いに注意し、紛失しないように管理を徹底するように心がけていただいきたい(※漏洩等があれば再発行は可能)。○自分で確定申告する場合は?こうした注意事項の他にも、源泉徴収票や確定申告書、各種支払調書、各種被保険者届、それぞれマイナンバーがどこかに記載されることになるため、帳票類もサイズや様式の変更が予定されている。ちなみに税務関係書類への番号記載時期については国税庁のHPでは以下のようにアナウンスされている。①所得税:平成28年1月1日の属する年分以降の申告書から②法人税:平成28年1月1日以降に開始する事業年度に係る申告書から③法定調書:平成28年1月1日以降の金銭等の支払等に係る法定調書から(※)④申請書・届出書:平成28年1月1日以降に提出すべき申請書等から(※)法定調書の対象となる金銭の支払を受ける者等の番号も記載する必要がある。この変更は個人事業主や、社会人でも自分で確定申告をするようなケースで、かなり大きなインパクトとなる。手書きでの会計処理の場合は、いちいち関係各所へ出向いて新しい帳票を貰わなくてはならないし、古い業務ソフトを使っているケースでは新しい帳票印刷に対応できない可能性もあるなど、今のうちから備えておかないと面倒になることもあるだろう。また、Excelなどで管理している場合は、セキュリティ的な問題がある。備えるという意味で、一番良い方法はバージョンアップによるマイナンバー制度対応を約束してくれている製品を選ぶことだ。今後、数年に亘って制度改正が行われる可能性があり、それらにずっと追随していくのは、かなり負担だ。例えばソリマチは「給料王」や「会計王」シリーズでは対応プログラムの提供をアナウンスしている。自分にとっても会社にとっても、社会全体を巻き込んでのまったく新しい取り組みの始まりが、いよいよ間近に迫っている。今のうちから数年間に亘るマイナンバー制度への対応に備えた業務ソフトを利用して新しい環境に慣れておくとよいだろう。
2015年03月31日内閣府はこのほど、住民票を有する全ての人に通知されるマイナンバー(個人番号)のナビゲーターに女優の上戸彩さんを起用したことを明らかにした。それに伴い3月9日より、上戸さんが出演するTV-CM 『知ってる? 』篇、『住民票』篇が全国にてオンエアされる。マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)は、平成28年(2016年)1月から社会保障、税、災害対策の分野で開始する新たな制度のこと。行政の効率化や国民の利便性の向上、公平かつ公正な社会を実現する社会基盤(インフラ)として活用される。具体的には、「医療保険の保険料徴収」や「福祉分野の給付」などでマイナンバーを利用することになる。平成27年(2015年)10月から、住民票を有する国民一人ひとりに対し、12桁のマイナンバー(個人番号)の通知を開始する。通知は、市区町村から住民票に登録されている住所あてに届けられ、その番号は生涯にわたって利用することとなる。3月9日からは、マイナンバーのナビゲーター・上戸彩さんが登場するTV-CMが全国でオンエアスタート。CMは、「知ってる?」篇と「住民票」篇の2タイトルで、「知ってる?」篇では「1人に1つ。マイナンバー」というキャッチコピーのもと、上戸さんがマイナンバーのイメージキャラクター・マイナちゃんと制度について語っている。また、マイナンバーの通知は住民票に登録されている住所あてに届くため、住民票と異なるところに住んでいる場合は、現在住んでいる市町村に住民票を異動する必要がある。2つ目のタイトル「住民票」篇では、上戸さんがマイナちゃんとともに、住民票の確認を呼びかける内容となっている。マイナンバーについては、ウェブサイト「政府広報オンライン」のマイナンバー特集ページや、内閣官房トップページでも情報を公開している。
2015年03月09日体調悪い詐欺夫
義父母がシンドイんです!
うちのダメ夫