2022年3月22日 16:30
マリオン・コティヤール「ジュリエット・ビノシュに夢中になった」念願のレオス・カラックス作品への思い明かす
そういうものとして受け入れていたんです。この作品を手に入れることができて、とてもラッキーだと思いました。それから脚本を読み進めると、物語にすっかり引き込まれました。オペラ的なミュージカルの高揚感と映画が描く深い闇、その両方に共感しました。
――レオス・カラックスという圧倒的な存在感を持つ監督の作品に参加する前に何らかのためらいはありましたか?
マリオン:レオスは稀有な映画監督で、監督作もほんの数本です。当然それがプレッシャーとなり、彼の芸術性に応えることができなかったらという恐怖をおぼえました。だから少しためらいましたね。たった数週間ではオペラ歌手になれないのは明らかですが、求められていることに応える方法を、すぐに覚えることはできるかと、歌の先生に相談しました。
オペラ歌唱のシーンは、私の声にプロ歌手の声をかけ合わせる方法に行きつくことは、初めから分かっていました。それでもまだ大きな挑戦でした。先生は、難しい仕事だし、多くの努力が必要だけど、でも自信を持ちなさいと言ってくれました。私が「やります」と答えるには、この後押しが必要でした。
仕事を進めるにつれ、アンが肉付けされていった
――監督から何か具体的な指示はありましたか?
マリオン:はじめから仕事や技術的なこと、歌や音楽について話し合いました。