2017年1月28日 01:13
「やるからには笑われる覚悟を持て」ている?〈シング・ストリート 未来のうた〉【洒脱なレディ論】
UKロックに限らず、ラフィーナの登場シーンは〈グリース〉のサンディのそっくりのロカビリールック、校内ディグのシーンでは赤い革ジャンを羽織ったブレンダンはまるで〈ウェストサイドストーリー〉のリフではないか!ご丁寧にランブルシーンまで再現されており当時のファンには涙ものだ。
"青春が持つ純粋なまでの輝き" の再現性
往往にして、青春だけの輝きみたいなものに人はめっぽう弱い。80年代に "青春" を過ごした人は幾度となく首を縦に振ったろうし、ミレニアル世代のわたしたちは似て非なる80年代の "青春" を追体験しただろう。似て非なる、を増幅させているのがやはり技術革新によるところ。2016年なら、彼女の自宅のポストに録音したカセットテープを投函しなくてもスマホで録音してボイスメールを送ればいいし、急に遠くへ行ってしまってもSNSでストーキングしてしまえばどこで何をしているかはだいたいわかる。不便さと空白がもたらす余計な解釈は、現代社会の "青春" にとってはむしろ新鮮だ。もうひとつ言及しておきたいのが、青春映画のエンディングについて。ハッピーエンドのエピローグがhappily ever afterだという保証はないし、コナーとラフィーナは早々にダブリンへ舞い戻ったかもしれない。