裏切り裏切られ…男は単純【彼氏の顔が覚えられません 第37話】
バレンタイン直後、イズミからのチョコを受け取ろうとタナカ先輩のLINEに連絡すると、「ゴメン、騙せなかった」そんな返事がきて、ぎょっとした。
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慌てて通話してみると、「無理だよ! ムリムリ! イズミちゃんの顔見た瞬間、騙せないって思った!」なんて声。しかも俺が部室に行けなかった理由も、俺がLINEで送った通り「デート」だったとバカ正直に伝えてしまったらしい。
サー…と血の気が引いていく。
「ちょ…じゃあ、なんで代役引き受けてくれたんスか!?」
「そ、それはだな…つまり…カズヤが他のバカに頼んでイズミちゃんを騙すぐらいなら、俺が引き受けようと…い、いや、ちがう…ちがうちがうっ。正直に言うよ。うん。最初から、イズミちゃんを騙す気なんてなかった。
カズヤ裏切って、全部ぶちまけるつもりだった」
「はぁ!? ちょっ…嘘でしょ? 先輩、イズミに直接フラれて、もう未練ないハズでしょ? 俺とイズミの恋路、応援してくれるって言ってたじゃ…」
「うおおおおおおおおおおおおおおお!」
突然の大声に、思わずスマホを離す。20センチくらい離しても、先輩の怒鳴り声はクッキリ聞こえた。
「応援してた! 応援してたさ!! だからこそ、こうやって騙すなんて信じられなかったんだ…カズヤ、お前、サイテーだ! イズミちゃんとは破局してしまえ! それがイズミちゃんのためだ! じゃあなっ!!」
通話は、向こうから切れた。