生理前のイライラや肌荒れの原因、「PMS」は30代になると重くなる?
●生理前は女性ホルモンのバランスが急激に変化する
生理前になると、イライラして怒りっぽくなる、情緒不安定になる、肌が荒れる、乳房が張って痛む、何となくだるくなる……そんな女性の心と体に訪れる不調を「PMS(月経前症候群)」と呼びます。
一般的に、10代後半ごろからPMSに悩む女性が増えますが、その後、年とともに症状に変化が起こると言われています。女性の年齢とPMSの関係を探ってみましょう。
○20代は体に、30代は心に症状が出やすい
なぜ生理が近づくと、女性の心や体にはつらい症状が起こるのでしょうか。その原因には、女性ホルモンが関わっていると考えられています。
女性の体では、仮に生理周期を28日とすると、生理が始まる2週間前に排卵が起こります。排卵期を境に、卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2つのホルモンのバランスが急激に変化。それが女性の心と体に影響し、PMSを引き起こすと考えられます。
卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌量やバランスは、年齢とともに変化するため、PMSの症状や程度も、年齢に左右される傾向があります。一般的にPMSの症状が現れるのは、10代後半から40代前半にかけてですが、もっとも症状が重く出やすいのは30代だと言われています。また、20代では乳房の張り、肌荒れ、腹痛、頭痛などの身体的な症状が出やすいのに対し、30代になると、それらに加えて、情緒不安定、イライラ、憂うつなどの精神的な症状が強くなる傾向があります。
年齢のほか、出産経験の有無によっても、PMSの症状に違いが出ると言われています。出産経験のない女性は身体的な症状が出やすく、出産経験のある女性は精神的な症状が出やすい傾向があることも覚えておきましょう。
●ピルで症状が緩和するケースも! 生理前に起こる不調の改善策
○酒・タバコを控え、規則正しい生活を送る
ただしPMSは、ストレスや性格、食生活とも関係が深く、個人差が大きいものです。30代でPMSの症状に悩む人が多いのは、仕事でも家庭でも役割が増えて、毎日が忙しくストレスを感じやすいことにも一因があると言えるでしょう。
PMSをすべて解消することは困難ですが、改善するための対策はあります。
まず、PMSが起こりやすい時期には、「極力ストレスをなくす」「睡眠を十分にとる」「ミネラル・ビタミンが豊富でバランスのとれた食事を1日3食きちんととる」といったことを心がけ、規則正しい生活を送りましょう。また、お酒やタバコ、甘いものは症状を出やすくするので、この時期には控えるといいでしょう。
生活を見直しても、日常生活に支障が出るほどの痛みや不調がある場合は、子宮内膜症などのほかの病気が関係している可能性もあるので、早めに婦人科へ。ピルや漢方薬でPMSの症状を改善する治療法もあります。つらいときは「ただのPMSだから」と1人で悩まず、婦人科の医師に相談してみましょう。
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○記事監修: 善方裕美医師
日本産婦人科学会専門医、日本女性医学会専門医
1993年高知医科大学を卒業。神奈川県横浜市港北区小机にて「よしかた産婦人科・副院長」を務める。また、横浜市立大学産婦人科にて、女性健康外来、成人病予防外来も担当。
自身も3人の子どもを持つ現役のワーキング・ママでもある。
主な著書・監修書籍
『マタニティ&ベビーピラティス―ママになってもエクササイズ!(小学館)』
『だって更年期なんだもーん―なんだ、そうだったの?この不調(主婦の友社)』
『0~6歳 はじめての女の子の育児(ナツメ社)』など