自分の「好き」を再インストール。時代が決めた「正しい顔」は手放した
上京して初めてひとりで訪れた街、新宿は目に入るものすべてがきらきらして、圧巻だった。すれ違うお姉さんも皆きらきらで、彼女たちは未来を生きているみたいだった。地元にはいない、時代の半歩未来を歩くお姉さんたち。彼女たちは田舎者の私に「東京」を見せつけた。
いつか、あのきらきらになりたい。
それから約1年、ライターとして文章を書きつつ、憧れだったモデルのお仕事もほんの少しずつながらいただけるようになってきた。しかし、いまだ仕事には慣れない。新宿で会ったようなきらきらな女の子たちの中に、田舎者の私がひとり混じって撮影の準備が始まる。
ああ、なんだか人間の中にチンパンジーがいっぴき、迷い込んでしまったみたい。
仕事の合間にスタッフさんと談笑する彼女たちは、その容姿さながら話す言葉もきらきらで、私にはほとんど外国語だった。新作のリップがどうのとか、期間限定のハイライトが最高だとか……じ、ばんしい……って何?
話についていけずきょとんとしていると、メイクさんが笑って「これこれ、今話題なのよ」と柔らかなピンク色のチークをつけてくれた。その顔はなんだか新鮮で、ふと、自分がほんの少しだけ彼女たちに近づけたような気がした。