私の美容に関する意識は基本的にはかなり低く、昔は低いことに罪悪感を持っていた。けれども年齢とともにその罪悪感はどんどん薄まり、最近はようやく絶好調になってきた。「私は美ではないところでパフォーマンスを発揮しているから、一般的な美の追求は誰かに任せよう」と思うようになった。
特に女が物を書いたり、たまに人前で話すような仕事をしていると、どうしても当然のように本業の能力とは別に、若さや外見の美しさを求められる傾向にあり、これはとにかくめちゃくちゃ鬱陶しいなと思う。運動能力とか、歌のうまさとか、体の柔らかさとか、そういった能力については万人に強いることのない一方で、美しさだけは全員が備えるべき、という風潮はまったくどうかしてる。何かができたって美が落第点なら人間失格、そんなことあるか。
私は美のプロではないから、美を極める時間で私の仕事をする。自分が楽しく、健やかでいられなくなるような過剰な美を自分に要求しないことに決めている。
本業でもないのに過剰に美容まで頑張ろうとすると人に優しくする余裕を失ってしまうから、世の中のためにもならない。
一方で、自分が気持ちよくなり、健やかになり、卑屈になることを防ぎ、他者に笑顔を向けるための一助となる美容とは、仲良くし続けたいと思う。