信頼できる美容皮膚科・外科クリニックの選び方
DRESSで連載を担当することになりました、皮膚科専門医の小原美子(おばらよしこ)です。
皮膚科医として17年目、これまで20万人近くの人を診療して現在に至っています。十分な経験を積んでいると思う日もあれば、まだまだ人の肌は千差万別、未熟だと思う日もありますが、私が今まで経験してきた皮膚にかかわることや、スキンケアのちょっとしたコツ、なかなか一般には知られていない医療の裏側などお伝えしていこうと思います。
どうぞよろしくお願いします。
美容外科、美容皮膚科……
自費の治療を行っているクリニックは価格もさまざま、施術内容もクリニックごとに異なっているので、特に初回はどこがいったい自分に合うクリニックなのか心配ですよね。
美容系のクリニックを選ぶ際にまず気になるのが
「腕が良いか&見立てが良いか」ということだと思います。
でも、実はもう一つ大事なポイントがあります。
それは「美容慣れしすぎて感覚がおかしくなっていないか」という点です。
日々、美容治療を行っていて、いつでも手元にヒアルロン酸やボトックス、スレッドリフトの糸などがあると、Dr.やスタッフ皆さんついついあれもこれも自分でも試したくなり、本来であれば1回治療すればいい施術を何度もしたくなってしまいます。
ここももうちょっとボリュームを足した方がいい、この影も気になる……と気になるところがあればどんどんヒアルロン酸を追加してしまうことだってあります。
その結果、必要以上にヒアルロン酸を使用してしまいパンパンな顔になってしまう。そんな心理を見抜いた患者さんが指標にしているクリニック選びのコツは
「Dr.やスタッフの顔に不自然さを感じたら、そのクリニックは過剰に施術をする可能性がある」
ということを頭に入れておくことです。
最初のうちは普通でも、通い続けていたらだんだんDr.スタッフの顔が人工的に。そうなると、そのクリニックの人たちは感性が鈍ってきている証拠なので、違うクリニックに自分の美容をゆだねた方が良い時期だそうです。
確かに、的を得ている見立てですね。
でも、実際にクリニック(美容皮膚科)を訪れてからスタッフやDr.の顔を見て、回れ右をして帰るのはなかなか難しいですよね。
そんなときは、事前にクリニック情報をWebでチェックし、先生やスタッフさんの顔を見るというのも一つの手です。
特に、ブログなどの日常写真の方がわかりやすいのでおすすめです。
美容治療においては、患者様のご希望を叶えるために複数の治療方法を組み合わせることがあります。
たとえば、「ほうれい線を浅くしたい」と思ったとき、皆さんはヒアルロン酸の注入を思い浮かべるかもしれませんが、実は
・全体のたるみを取るサーマクール(機器による全体の治療)
・頬の脂肪を減らすウルトラアクセント(機器)や脂肪溶解注射
・頬の位置を高くするヒアルロン酸注入
これらの治療などを組み合わせた方が良いケースも多々あります。
私にはどんな治療が必要なの?
一体それはどれくらい費用がかかるの?
など不安になりますよね。
美容医療の中でとても大切なことは、おすすめの治療をすべて受けなくても良いということを前提に、Dr.が考えてくれるかどうかです。
美容治療は、お腹が痛いから病院に行く……というような一般診療と異なり、現状をより良くするための医療なので、ご自身の予算の範囲内でやりたいことを選んで治療をしていく。しかもその選択権は、治療を受ける皆さんの方にあります。
ですから、事前に希望を叶えるには最大で、これとこれと……と何種類の治療が必要か、そして、それを全部受けるとしたら、どのくらい費用がかかるかをきちんと最初に説明してもらわないと、治療を受けながら不安ですよね。
治療を受ける前にしっかり説明を聞いても、よくわからないことってありますよね。
それに、なんだか不安も感じるときだってあります。そんなとき、Dr.やスタッフがどう対応するかによって、良いクリニックとおすすめできないクリニックの見分けがつきます。
「今ならキャンペーンだから、安いうちにやっちゃった方が良いですよ」
「絶対に大丈夫だから、やった方が良いですよ」
という感じで、不安な気持ちに寄り添ってくれず、一方的に治療を受けていくよう押し付けるようなクリニックはNGです。
むしろ、何がわからないのか、不安なのかをしっかり聞いてくれてそれにちゃんと答えてくれる。
それでも言葉に表せないような漠然とした不安があれば「無理をしなくって大丈夫です。ご自宅でゆっくり考えて、不安がなくなったらいつでもまた寄ってください」
と言ってくれるクリニックを選んでいただくと良いと思います。
実際にキャンペーン中で今がお得なのであれば、良心的なクリニックであれば、「○○日まで、この施術はいくらお得なキャンペーン中なので、まだ期限があるから大丈夫ですよ」なんて、教えてくれます。
つまり、常に施術を受ける側の気持ち・立場になって考えてくれる理念を持っているクリニックが良いと言えます。
そもそも、医療用語には一般的には慣れない言葉も多くあり、説明を受けてもさっぱりわからないときもありますよね。
そのわかりにくいことを、別のことにたとえてくれたり、かみ砕いて簡単に説明してくれたりするDr.やスタッフさんであれば、その施術についてちゃんと理解している人だといえます。そういうクリニックには治療を安心してお願いできます。
そして最後に大切なことは、その治療の良い面も悪い面もちゃんと伝えてくれることです。
美容医療の治療では、効果が期待できる分、副作用や反応が強いものがたくさんあります。
治療後のトラブルというのは、メリット・デメリットに関する認識のすれ違いから起こることがほとんどです。
「ヒアルロン酸注入で失明」
アンチエイジングの美容医療と言えば、ヒアルロン酸注入を思い浮かべるかと思いますが、実はこのヒアルロン酸注入にも危険があります。
それは、血管にヒアルロン酸が詰まることによる、皮膚の壊死(皮膚がただれて傷跡が残る)。
眉間のしわにヒアルロン酸を注入すると、最悪の場合、失明することもあります。
そのため、当院では患者さんから眉間のヒアルロン酸注入のご要望を受けても、上記のことを説明して絶対にお受けしません。これは、治療を受ける患者さんの安全を考えてのことなので、こういったデメリットをちゃんと説明してくれるかどうかが大事になってきます。
「医療用レーザー脱毛でやけど」
医療レーザーで脱毛治療を受けたことがある方も多いと思いますが、これもやけどのリスクがあります。
・やけどを起こしやすいのはどのような状態のときか
・やけどが起きたときはどのように対処するのか
・その程度はどんな感じで傷が残ったりするのか
など、効果が高い分のリスクがあることをきちんと説明するクリニックが良心的と言えます。
結論としては、
1.美容の感覚がくるっていない
2.常に、治療を受ける側の立場になって接してくれる
そんな美容クリニックで治療を受けられることが、キレイを手に入れる秘訣です。皆様が、良いクリニックと出会えることを願っています。
2017年5月2日公開
2020年4月26日更新
皮膚科医として17年目、これまで20万人近くの人を診療して現在に至っています。十分な経験を積んでいると思う日もあれば、まだまだ人の肌は千差万別、未熟だと思う日もありますが、私が今まで経験してきた皮膚にかかわることや、スキンケアのちょっとしたコツ、なかなか一般には知られていない医療の裏側などお伝えしていこうと思います。
どうぞよろしくお願いします。
■信頼できる美容クリニック(美容皮膚科)の5つの見分け方・選び方
美容外科、美容皮膚科……
自費の治療を行っているクリニックは価格もさまざま、施術内容もクリニックごとに異なっているので、特に初回はどこがいったい自分に合うクリニックなのか心配ですよね。
美容系のクリニックを選ぶ際にまず気になるのが
「腕が良いか&見立てが良いか」ということだと思います。
でも、実はもう一つ大事なポイントがあります。
それは「美容慣れしすぎて感覚がおかしくなっていないか」という点です。
■1.医師やスタッフの顔に違和感を感じたら良くないクリニック
日々、美容治療を行っていて、いつでも手元にヒアルロン酸やボトックス、スレッドリフトの糸などがあると、Dr.やスタッフ皆さんついついあれもこれも自分でも試したくなり、本来であれば1回治療すればいい施術を何度もしたくなってしまいます。
ここももうちょっとボリュームを足した方がいい、この影も気になる……と気になるところがあればどんどんヒアルロン酸を追加してしまうことだってあります。
その結果、必要以上にヒアルロン酸を使用してしまいパンパンな顔になってしまう。そんな心理を見抜いた患者さんが指標にしているクリニック選びのコツは
「Dr.やスタッフの顔に不自然さを感じたら、そのクリニックは過剰に施術をする可能性がある」
ということを頭に入れておくことです。
最初のうちは普通でも、通い続けていたらだんだんDr.スタッフの顔が人工的に。そうなると、そのクリニックの人たちは感性が鈍ってきている証拠なので、違うクリニックに自分の美容をゆだねた方が良い時期だそうです。
確かに、的を得ている見立てですね。
Dr. の写真を見る
でも、実際にクリニック(美容皮膚科)を訪れてからスタッフやDr.の顔を見て、回れ右をして帰るのはなかなか難しいですよね。
そんなときは、事前にクリニック情報をWebでチェックし、先生やスタッフさんの顔を見るというのも一つの手です。
特に、ブログなどの日常写真の方がわかりやすいのでおすすめです。
■2.明瞭会計かどうか(治療前に必要な費用を説明してくれるか)
美容治療においては、患者様のご希望を叶えるために複数の治療方法を組み合わせることがあります。
たとえば、「ほうれい線を浅くしたい」と思ったとき、皆さんはヒアルロン酸の注入を思い浮かべるかもしれませんが、実は
・全体のたるみを取るサーマクール(機器による全体の治療)
・頬の脂肪を減らすウルトラアクセント(機器)や脂肪溶解注射
・頬の位置を高くするヒアルロン酸注入
これらの治療などを組み合わせた方が良いケースも多々あります。
私にはどんな治療が必要なの?
一体それはどれくらい費用がかかるの?
など不安になりますよね。
美容医療の中でとても大切なことは、おすすめの治療をすべて受けなくても良いということを前提に、Dr.が考えてくれるかどうかです。
美容治療は、お腹が痛いから病院に行く……というような一般診療と異なり、現状をより良くするための医療なので、ご自身の予算の範囲内でやりたいことを選んで治療をしていく。しかもその選択権は、治療を受ける皆さんの方にあります。
ですから、事前に希望を叶えるには最大で、これとこれと……と何種類の治療が必要か、そして、それを全部受けるとしたら、どのくらい費用がかかるかをきちんと最初に説明してもらわないと、治療を受けながら不安ですよね。
■3.治療を受ける前に迷っている……そのときどんな対応をされた?
治療を受ける前にしっかり説明を聞いても、よくわからないことってありますよね。
それに、なんだか不安も感じるときだってあります。そんなとき、Dr.やスタッフがどう対応するかによって、良いクリニックとおすすめできないクリニックの見分けがつきます。
「今ならキャンペーンだから、安いうちにやっちゃった方が良いですよ」
「絶対に大丈夫だから、やった方が良いですよ」
という感じで、不安な気持ちに寄り添ってくれず、一方的に治療を受けていくよう押し付けるようなクリニックはNGです。
むしろ、何がわからないのか、不安なのかをしっかり聞いてくれてそれにちゃんと答えてくれる。
それでも言葉に表せないような漠然とした不安があれば「無理をしなくって大丈夫です。ご自宅でゆっくり考えて、不安がなくなったらいつでもまた寄ってください」
と言ってくれるクリニックを選んでいただくと良いと思います。
実際にキャンペーン中で今がお得なのであれば、良心的なクリニックであれば、「○○日まで、この施術はいくらお得なキャンペーン中なので、まだ期限があるから大丈夫ですよ」なんて、教えてくれます。
つまり、常に施術を受ける側の気持ち・立場になって考えてくれる理念を持っているクリニックが良いと言えます。
■4.わかりやすく説明してくれる
そもそも、医療用語には一般的には慣れない言葉も多くあり、説明を受けてもさっぱりわからないときもありますよね。
そのわかりにくいことを、別のことにたとえてくれたり、かみ砕いて簡単に説明してくれたりするDr.やスタッフさんであれば、その施術についてちゃんと理解している人だといえます。そういうクリニックには治療を安心してお願いできます。
■5.美容皮膚科の良い面も悪い面も説明してくれる
そして最後に大切なことは、その治療の良い面も悪い面もちゃんと伝えてくれることです。
美容医療の治療では、効果が期待できる分、副作用や反応が強いものがたくさんあります。
治療後のトラブルというのは、メリット・デメリットに関する認識のすれ違いから起こることがほとんどです。
一例をあげて説明します。
「ヒアルロン酸注入で失明」
アンチエイジングの美容医療と言えば、ヒアルロン酸注入を思い浮かべるかと思いますが、実はこのヒアルロン酸注入にも危険があります。
それは、血管にヒアルロン酸が詰まることによる、皮膚の壊死(皮膚がただれて傷跡が残る)。
眉間のしわにヒアルロン酸を注入すると、最悪の場合、失明することもあります。
そのため、当院では患者さんから眉間のヒアルロン酸注入のご要望を受けても、上記のことを説明して絶対にお受けしません。これは、治療を受ける患者さんの安全を考えてのことなので、こういったデメリットをちゃんと説明してくれるかどうかが大事になってきます。
「医療用レーザー脱毛でやけど」
医療レーザーで脱毛治療を受けたことがある方も多いと思いますが、これもやけどのリスクがあります。
・やけどを起こしやすいのはどのような状態のときか
・やけどが起きたときはどのように対処するのか
・その程度はどんな感じで傷が残ったりするのか
など、効果が高い分のリスクがあることをきちんと説明するクリニックが良心的と言えます。
■信頼できる美容皮膚科の選び方まとめ
結論としては、
1.美容の感覚がくるっていない
2.常に、治療を受ける側の立場になって接してくれる
そんな美容クリニックで治療を受けられることが、キレイを手に入れる秘訣です。皆様が、良いクリニックと出会えることを願っています。
2017年5月2日公開
2020年4月26日更新