オイル美容のメリットとデメリット【百木ゆう子】
■オイル美容を考える。そもそも、肌にオイルは必要?
オイル美容とは文字通り、オイルを使ったスキンケア法のことです。
オイルがなぜ必要なのでしょうか。乾燥肌には油分でなく水分が必要ですが、水分だけを補給すると過乾燥が起きる場合があります。
夏の肌は化粧水をバシャバシャ使っても、すぐに皮脂が出てきて過乾燥を防いでくれます。しかし、秋に向かうにつれて、肌は皮脂が出てくるまでの時間が長くかかり、肌表面から水分が蒸発しやすい状態になります。
結果、乾燥し、肌のバリア機能も弱まり次第に敏感な肌状態になりがちです。皮脂に代わる良質なオイル(油分)によって、肌に水分を閉じ込める必要があるのです。
■オイルをスキンケアに取り入れるメリット
皮脂の少ない肌にオイルを補うと、以下のようなメリットがあります。
・柔らかく滑らかな肌ざわりになる
・ターンオーバーが促進されて透明感アップ
・外部からのダメージや水分の蒸発を防ぐ
・炎症を抑え、肌の再生と修復を助ける
・次に使うスキンケアの浸透を高める
■オイルは他のスキンケアアイテムをじゃましない?
肌にオイルをつけると、その後に使う化粧品を弾いてしまうのでは……と思う方もいるのでは。でも、実際はその逆。
肌の表面は、レンガのように並ぶ角質細胞と、その細胞同士をくっつける糊のような働きをする細胞間脂質とで構成されています。その名の通り、細胞間脂質は油溶性なのでオイルがよくなじむのです。
イメージとしては、新聞紙の束をを水に浸して乾かしたら……張り付いてガビガビに固くなり、はがれなくなりますよね。
では、オイルに浸して乾かしたら?オイルなので乾いたり張り付いたりすることなく、1枚1枚なめらかにはがれます。角質細胞にも同じことが起こるのです。
オイルで水分を吸収する準備が整った肌は、驚くほどに化粧水をぐんぐんと浸透させてくれます。
油の膜でフタをするのでなく、肌内部に入り込んで糊の部分を増やし、水分を蓄える力をアップさせるのがオイルの働きです。オイルのこういった特性を押さえて、スキンケアをする際にイメージしてくださいね。
肌の変化としては、まずはキメが整ってきてふっくらとしてきます。そして次第に毛穴が引き締まり、肌全体の透明感がアップし、くすみが抜けてきます。気づけば不安定で敏感だった肌とも無縁に。
■オイル美容の注意点はただひとつ
ただし、オイル美容で気をつけたいことが1点!オイルは1〜2滴から使って、一度の使用量を増やしすぎないようにしてください。
肌が慣れてくるとつい一度にたくさんの量を使ってしまいたくなりますが、(※オイルでマッサージする場合は、摩擦が生じないようにたくさん使ってくださいね)自分の皮脂腺の働きを鍛えることも大事です。
乾燥が落ち着いてきたら、徐々にオイルの量を減らしていってください。
自分の皮脂と補うオイルの量を見極める――これこそ乾燥肌を定着させない最大の秘訣ですよ。
■日中使うと油焼けでシミになるかも……気をつけたいオイル
肌に付けた油分は、紫外線で酸化して肌をくすませたり、色素沈着を起こしたりすることがあります。油焼けと呼ばれるこの現象は、オイルに含まれる不純物が原因となることが多いため、精度の低いオイルがより危険だということになります。
また、オイルの種類によって酸化しやすいものと酸化しにくいものがあるので、その点にも注意が必要です。
酸化しやすく、日中に使うとくすみやシミを作ってしまうオイルは、スキンケアでよく使われる人気のオイルのなかにも多くあります。
・グレープシードオイル
・ローズウッドオイル
・馬油
・亜麻仁油
これらは日中のケアには使用しないようにして、夜のみ使うようにするといいでしょう。また、アロマオイルをスキンケアに使用している場合、これも種類によっては油焼けする危険がありますので、日中はやめておいた方が安心です。
・ホホバオイル
・ココナッツオイル
・椿油
・アルガンオイル
一方、上記4つのオイルは酸化しにくいため、日中に使用しても問題はありません。
現在流通している純度の高いワセリンやシアバターなども、油焼けの心配はないといわれています。
また、ココナッツオイルやホホバオイルは、特に日焼け止め効果が高いとされます。なかなか肌に合う日焼け止めが見つからないときは、これらのオイルを下地に使うのもひとつの手。
肌にいいはずのオイルでも、使う種類やタイミングを間違えると、シミを作ってしまうことに……。後悔することのないよう、オイルの特性を知って最適なオイル美容を実践してください。