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恋にも仕事にも効く。人を惹きつける香り選びの秘訣【三宅志穂】

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香りを戦略的に使うには、まずは基本の使い方をマスターすることが重要です。前回「人を惹きつける香りのコツは、戦略的に選んで、適量をつけること」でお伝えした、”香りの強さをおさえることの大切さ”、皆様、意識していただけましたでしょうか。

今回は一歩進んで、人を惹きつける香り選びで知っておくと役立つポイントを、香水と日用品・化粧品を例に挙げながらお話しします。

生活のシーンを連想させる日用品の香り


私は、日用品・化粧品の香りというのは家で、パーソナルに楽しむための香りだと考えています。外を出歩くときに日用品・化粧品の香りを漂わせるのは、私にとってはパジャマや部屋着で出歩き、生活感や自分の部屋をオープンにするのに近い感覚です。

開発者として商品作りに携わり、日用品の香りを知り尽くしているから、そう思ってしまうのかもしれません。その人から香る日用品・化粧品の香りで、どんなライフスタイルなのか、趣味・嗜好が垣間見えてしまうのです。

日用品の香りは、機能重視


日用品・化粧品の香りには、原料の匂いを隠す役割もあります。
それぞれの用途に応じた原料はいい匂いがするわけではないので、この大元となる香りを隠す、または、作り上げる香りの一部に取り込んで、お客様にとって心地よい香りに仕上げます。

また、商品の用途別に、そして、その商品の勝負となる場面を設定して、心地よい香りになるように作り込みます。

制汗剤であれば、スプレーした瞬間に汗のにおいと混ざっても、良い匂いでなければいけませんし、洗いあがって干すときに「いい香り!」と思わせたい柔軟剤であれば、乾いた後以上に、干すときの香りを重要視して作り込みます。

日用品と香水は、原料のコストも大違い


日用品・化粧品の香りは商品の価格の範囲内で、いかに完成度の高い香りを作り上げるかというのも難しいところでした。加えて、上に書いたように、原料のにおいを隠すマスキングの効果や、商品の機能を助長させる効果など、さまざまなスペックが求められます。

一方、香水というのは、ファッション要素・クリエーション要素が非常に強いと言えます。純粋に香りのためだけに存在し、最初から最後まで人の肌の上でその魅力を放ち続けます。美しい香りでいかにその世界観を奏でるか、追求されたものです。

日用品の香りを戦略的に使う人も


DRESS読者の皆様には、香水を上手に使いこなしていただけたらと思っていますが、例外的に日用品の香りを戦略的に使う方法もご紹介しておきますね。

仕事、婚活、子どもを通じたお付き合いにおいて、家庭的な雰囲気を自分のアピールポイントとしたいときは、洗剤・柔軟剤の香りが最適なことがあります。石けんの香りは無難に好感を持たれたいときにおすすめです。

パートナーに日用品の香りをつけて生活感を出し、匂いを通して自分・家庭の存在を周囲に意識させる……という上級者もいらっしゃいます。

ボディソープや洗剤・柔軟剤、ルームフレグランスなど、男性があまり選ばないタイプの香りをあえて選んで、「この人には奥さんがいます」「この人には彼女がいます」と見えないマークを付けてしまうというわけです。

香りは無意識のうちに、脳に直接働きかけるので、指輪よりもずっと強力な”しるし”かもしれません。

人を惹きつける香りを選び、まとうなら、やっぱり香水


ファッションやネイルに気を使ったり、さまざまな教養を身につけてワンランク上の女性を目指すなら、やはり香水が最適です。

香水はブランド・アイテム数が豊富な分、表現の幅も大きく広がります。
そもそもの目的が自分を香らせることですから、自己表現にはぴったりのアイテムです。

では、どんな香水を選ぶといいのか。香水選びをする前に、誰を惹きつけたいかを考えてみましょう。あなたが思い浮かべたのは特定のひとりですか?それとも20人くらいのグループ?あるいは不特定多数の人?これによって選ぶべき香りが変わってきます。

誰かに選ばれたい、好かれたいという明確なターゲットがある場合、そのターゲットを惹きつける香りが何かを知る必要があります。

「何の香りが好き?」「どんな香水をつけている人に惹かれる?」と聞くのもありですが、わざとらしさもあるし、言われた香りを選ぶというのはあまりにも芸がありません。

そして、「この香りが好き」という香りが本当にその人を惹きつける香りかどうかはわからない。また、取引先で好感を持たれたいという場合は、相手の香りの好みを聞くわけにもいきませんよね。


ターゲットの脳に働きかける、「良い思い出に結び付く」香り


その香りを探すヒントは「プルースト現象」。恋にも仕事にも効く、人を惹きつける香り選びの最重要ポイントです。

「プルースト現象」とは、特定の香りを嗅いで、香りに結びついている記憶や感情が呼び起こされる現象です。

フランスの文豪、マルセル・プルーストの長編小説『失われた時を求めて』に登場する主人公が、紅茶に浸った一片のマドレーヌの匂いをきっかけに、幼少時を鮮やかに思い出す描写から名付けられています。

プルースト現象を起こす良い香りを嗅ぐと、脳の、快感などを判断する部分や、記憶に関わる部分が活性化されるという報告があります。良い思い出に結び付いた香りというのは、人を無条件に惹きつけると言っても過言ではありません。

そう、ターゲットのマドレーヌを探す。難しいですよね。
でも、ターゲットのことをよく知ること。これを突き詰めると、適切な香水選びのヒントが見えてくると思います。

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