心身のメンテナンスに「精油」が向いている理由【三宅志穂】
自然の香りは再現できない!?
そんな素晴らしい自然の香りですから、もちろん香りの歴史の中で、人は精油を積極的に分析してきました。それに近い合成香料を作ったり、合成香料を混ぜ合わせて似た香りを作ったり、いろいろな試みが行われてきました。
しかし、人が作った香りは、どうしても「この香りは合わない」と感じる人が出てきてしまいますし、長年の経験と知識があっても調和した香りを創るのは本当に難しいのです。
どんなに科学が進歩しても、まだまだ天然の香り、自然の恵みから得られる精油を超えられる合成香料やブレンドは生まれていないといえます。
調香師など香り創りに携わる人の多くが最初に通る道のひとつに、香りの「鼻コピー」があります。自分の鼻だけを頼りに、何百もある香料素材から選び抜いた素材を混ぜて、目標とする香りを創っていくのです。
私も研修で合成香料を何種類も混ぜて、天然のバラの香りをコピーしたことがあります。それなりに近い香りにはなるのですが、天然の香料が持つ、複雑に広がる奥深い香りはどれだけ試行錯誤を重ねても出すことはできず、天然香料と合成香料の間に超えられない壁を感じたことをはっきりと覚えています。