私の愛する香り。セント・オブ・ピースと歩み進める人生の続き【猫川舐子】
■10年愛用した、人生初の香水 エクラ・ドゥ・アルページュ
初めて香水を手にしたのは、中学2年生のとき。当時流行っていたのは、例えばイブ・サンローランのベビードール、ドルチェ&ガッバーナのライトブルー、エスカーダのトロピカルパンチ、フェラガモのインカントドリーム、グッチのラッシュ、アナ スイのスイ ドリームス、エンジェルハート……。
など、おそらく同年代の方々も懐かしさで心躍るであろうラインアップ。その中で、同じく人気を博していたランバンのエクラ・ドゥ・アルページュ。これが、私の人生初の香水でした。
エクラ・ドゥ・アルページュは、幼少期から家族で訪れていた温泉旅館にある、大浴場の芳香に似ていました。「温泉って!」と思われるかもしれませんが、私にとっては幼い頃の記憶に根付いた懐かしく優しい香り。試香した瞬間に惚れ込んでから、その後10年間にわたり愛用しました。
■“10代の象徴”から脱却し、シーンに相応しい香りを楽しむ
社会人になり、選択肢が広がり始めると、「そろそろ香水を変えたい」と考えるようになりました。およそ10年も纏った香りは、自他共に認める「私の香り」でしたが、エクラ・ドゥ・アルページュ=10代の自分を象徴する香りのような気がして、大人になった自分により相応しい1本を欲するようになったのです。