1年に約3回しか生理が来ない。「ヤーズフレックス(超低用量ピル)」に注目
2017年4月より、超低用量ピル「ヤーズフレックス」が発売開始されました。
ヤーズフレックスは、これまで月経困難症の治療に用いられるLEP配剤(※1)として、これまで医療機関で処方されてきた「ヤーズ」(24錠の実薬+4錠の偽薬)や「ルナベル」(21錠の実薬+7錠の偽薬)と比べ、連続服用可能な期間が長い、つまり出血しない期間が長いというメリットのある薬として注目されています。
※1low dose estrogen progestin/低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤、本文ではピルと表記
2018年9月には『アラサーちゃん』などの代表作で知られる峰なゆかさんも、自身のツイッターでヤーズフレックスについて言及し、反響を呼んでいました。
このヤーズフレックスについて、オリーブレディースクリニック麻布十番の山中智哉先生にお話を伺いました。
https://twitter.com/minenayuka/status/1043023752252907520
従来のピルでは、21日間服用+7日間休薬というサイクルで服用し、休薬の期間に出血が起こります。
薬に含まれるホルモンによって排卵は起きませんが、子宮内にできた子宮内膜がはがれ落ちるため、休薬期間に生理が来ます。
ピルを服用することで子宮内膜の量が減るため、生理の出血時に強い痛みを伴う月経困難症に対し、ピルは有効な薬といえます。排卵は起こらないため、服用しておけば基本的に妊娠しません。
昨年新しく発売されたヤーズフレックスも月経困難症に有効で、加えて子宮内膜症にも適用される薬です。
「超低用量ピル」とも呼ばれ、従来のピルよりも長い最長120日間の連続服用が可能です。120日間服用したあとは4日間休薬します。
服用している期間は、基本的に出血は起こりません。休薬期間のみ生理が来るので、従来のピルであれば年に12回の生理が起こりますが、超低用量ピルのヤーズフレックスの場合は、年に3回程度しか生理が来ないことになります。
ちなみに休薬期間は、服用開始から120日間、服用開始から25日間を除くどこで設けてもOKなため(※2)、出張や旅行のタイミングで服薬していれば、その期間に生理に煩わされることがありません。休薬をしたタイミングで、生理(あるいはもっと少ない出血)があり、そのあとに生理が来るのを避けることができます。
※2ただし例外あり。
1サイクルが21日である従来のピルよりも選択肢が広がったといえます。
以下は公式ウェブサイトの情報を元に、山中医師に監修してもらった情報ですが、実際に処方を受ける医療機関の指示に従って服用してください。
(1)医療機関の診察と処方を受けること
(2)1日1錠を一定の時刻に毎日服用すること
(3)休薬期間は4日間を超えないこと
(4)休薬期間の後は出血の有無にかかわらず再開すること
(5)初めて薬を飲み始めるときも、休薬期間のあとも、出血の有無にかかわらず24日間は服用を継続すること
(6)服用25日目~120日目の間で、3日連続しての出血があった場合は、その翌日から休薬期間を4日間設けること。その後、新しい周期として薬を飲み始めること。
処方は健康保険の適用範囲となるため、医療機関にもよりますが初診料と薬代で3000円程度と、月当たりの出費は従来のピルと同様となる場合が多いです。
1シートあたりの値段はヤーズフレックスのほうが高くなりますが、「偽薬」を含むタイプの従来型ピルと比べると、1錠あたりの金額はほぼ同額といえます。
(関連記事)緊急避妊薬を知っていますか?妊娠・中絶を望まない女性が選択できる手段
見てきたように、従来のピルとは異なる服用ルールがありますが、副作用には異なる点はあるのでしょうか。
「超低用量ピルのヤーズフレックスも従来のピルと同様、血栓症やマイナートラブル(頭痛や吐き気など)といった副作用のリスクは存在します。
しかし、だからといって、ヤーズフレックスが危険だということも、また反対に安全度が高いということもありません。超低用量ピルのヤーズフレックスは、生理に伴う痛みをなくしたい、かつ、生理はなるべく少ない回数で済ませたいと考えている患者さんに向いた薬です」
ヤーズフレックスを服用した場合、生理は年に約3回しか来ない状態になります。妊娠を望まない期間に生理があることにはどんな意味があるのでしょうか?
「妊娠を望まないのであれば排卵は不要ですが、子宮内にできた子宮内膜は交換するほうが健康上は良いはずです。
ヤーズフレックスは年3回の消退出血・生理を引き起こしますが、この薬が現在日本で承認されているもののなかで、最も生理の回数を減らせるものです。
年に3回の生理は、今のところ“体に安全を確保できる最低限の生理の回数”と医学の世界で判断されているといえます」
さらに山中医師は、ピルあるいは避妊のための低用量ピルを数年続けて飲んでいると、子宮内にできる内膜が薄くなり出血量が減ってきます。こういった場合に、出血が少量になったことを心配する必要はない、とも補足しました。
今回、ピル、超低用量ピルのヤーズフレックスについてお話を伺いました。
ピルにも複数種類があることは理解していましたが、月経困難症のためのものは「LEP」、避妊のためのものは「低用量ピル」という分類が明確になされている点も初めて理解しました。
日本以外では避妊目的の処方もあるというヤーズフレックス、この国内外での扱いの差はどこに起因するのか?今回その理由を探ることはできませんでした。
月経困難症に対処する薬は、自分の体の働きに大きく作用するもので、「生理の回数を減らしていいのだろうか」「自然と起きている子宮内膜を薬によって減らすことはいいことなのか」といった抵抗感のある人も少なくないのではないかと想像します。
その効能、リスク、保険の適用不適用は医療機関に聞くのが一番正確ではありますが、足を運ばねばならないこと、対面で医師と会話することにハードルの高さを覚える人もいるかもしれません。
情報の正確さはさることながら、自分の生活をより快適にするための知識を得るために、本記事が読者のお役に立つことがあれば幸いです。
Text/山浦雅香
取材協力/山中智哉(オリーブレディースクリニック麻布十番 院長)
画像/Shutterstock
2018年11月16日公開
2019年5月8日更新
ヤーズフレックスは、これまで月経困難症の治療に用いられるLEP配剤(※1)として、これまで医療機関で処方されてきた「ヤーズ」(24錠の実薬+4錠の偽薬)や「ルナベル」(21錠の実薬+7錠の偽薬)と比べ、連続服用可能な期間が長い、つまり出血しない期間が長いというメリットのある薬として注目されています。
※1low dose estrogen progestin/低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤、本文ではピルと表記
2018年9月には『アラサーちゃん』などの代表作で知られる峰なゆかさんも、自身のツイッターでヤーズフレックスについて言及し、反響を呼んでいました。
このヤーズフレックスについて、オリーブレディースクリニック麻布十番の山中智哉先生にお話を伺いました。
https://twitter.com/minenayuka/status/1043023752252907520
■ヤーズフレックスを飲むと、生理は1年に約3回しか来ない
従来のピルでは、21日間服用+7日間休薬というサイクルで服用し、休薬の期間に出血が起こります。
薬に含まれるホルモンによって排卵は起きませんが、子宮内にできた子宮内膜がはがれ落ちるため、休薬期間に生理が来ます。
ピルを服用することで子宮内膜の量が減るため、生理の出血時に強い痛みを伴う月経困難症に対し、ピルは有効な薬といえます。排卵は起こらないため、服用しておけば基本的に妊娠しません。
昨年新しく発売されたヤーズフレックスも月経困難症に有効で、加えて子宮内膜症にも適用される薬です。
「超低用量ピル」とも呼ばれ、従来のピルよりも長い最長120日間の連続服用が可能です。120日間服用したあとは4日間休薬します。
服用している期間は、基本的に出血は起こりません。休薬期間のみ生理が来るので、従来のピルであれば年に12回の生理が起こりますが、超低用量ピルのヤーズフレックスの場合は、年に3回程度しか生理が来ないことになります。
ちなみに休薬期間は、服用開始から120日間、服用開始から25日間を除くどこで設けてもOKなため(※2)、出張や旅行のタイミングで服薬していれば、その期間に生理に煩わされることがありません。休薬をしたタイミングで、生理(あるいはもっと少ない出血)があり、そのあとに生理が来るのを避けることができます。
※2ただし例外あり。
下の「ヤーズフレックス服用の方法と注意」を参照してください。
1サイクルが21日である従来のピルよりも選択肢が広がったといえます。
■ヤーズフレックス服用の方法と注意
以下は公式ウェブサイトの情報を元に、山中医師に監修してもらった情報ですが、実際に処方を受ける医療機関の指示に従って服用してください。
(1)医療機関の診察と処方を受けること
(2)1日1錠を一定の時刻に毎日服用すること
(3)休薬期間は4日間を超えないこと
(4)休薬期間の後は出血の有無にかかわらず再開すること
(5)初めて薬を飲み始めるときも、休薬期間のあとも、出血の有無にかかわらず24日間は服用を継続すること
(6)服用25日目~120日目の間で、3日連続しての出血があった場合は、その翌日から休薬期間を4日間設けること。その後、新しい周期として薬を飲み始めること。
処方は健康保険の適用範囲となるため、医療機関にもよりますが初診料と薬代で3000円程度と、月当たりの出費は従来のピルと同様となる場合が多いです。
1シートあたりの値段はヤーズフレックスのほうが高くなりますが、「偽薬」を含むタイプの従来型ピルと比べると、1錠あたりの金額はほぼ同額といえます。
(関連記事)緊急避妊薬を知っていますか?妊娠・中絶を望まない女性が選択できる手段
■ヤーズフレックスは従来のピルと副作用に違いはないの?
見てきたように、従来のピルとは異なる服用ルールがありますが、副作用には異なる点はあるのでしょうか。
「超低用量ピルのヤーズフレックスも従来のピルと同様、血栓症やマイナートラブル(頭痛や吐き気など)といった副作用のリスクは存在します。
しかし、だからといって、ヤーズフレックスが危険だということも、また反対に安全度が高いということもありません。超低用量ピルのヤーズフレックスは、生理に伴う痛みをなくしたい、かつ、生理はなるべく少ない回数で済ませたいと考えている患者さんに向いた薬です」
■ヤーズフレックスで生理が年3回しか来ないのは、体に悪くない?
ヤーズフレックスを服用した場合、生理は年に約3回しか来ない状態になります。妊娠を望まない期間に生理があることにはどんな意味があるのでしょうか?
「妊娠を望まないのであれば排卵は不要ですが、子宮内にできた子宮内膜は交換するほうが健康上は良いはずです。
ヤーズフレックスは年3回の消退出血・生理を引き起こしますが、この薬が現在日本で承認されているもののなかで、最も生理の回数を減らせるものです。
年に3回の生理は、今のところ“体に安全を確保できる最低限の生理の回数”と医学の世界で判断されているといえます」
さらに山中医師は、ピルあるいは避妊のための低用量ピルを数年続けて飲んでいると、子宮内にできる内膜が薄くなり出血量が減ってきます。こういった場合に、出血が少量になったことを心配する必要はない、とも補足しました。
■ヤーズフレックスは、より快適な生活を送る選択肢のひとつ(まとめと取材後雑感)
今回、ピル、超低用量ピルのヤーズフレックスについてお話を伺いました。
意外だったのは、今回焦点を当てた超低用量ピルのヤーズフレックスには避妊のための自費の処方はないということ。
ピルにも複数種類があることは理解していましたが、月経困難症のためのものは「LEP」、避妊のためのものは「低用量ピル」という分類が明確になされている点も初めて理解しました。
日本以外では避妊目的の処方もあるというヤーズフレックス、この国内外での扱いの差はどこに起因するのか?今回その理由を探ることはできませんでした。
月経困難症に対処する薬は、自分の体の働きに大きく作用するもので、「生理の回数を減らしていいのだろうか」「自然と起きている子宮内膜を薬によって減らすことはいいことなのか」といった抵抗感のある人も少なくないのではないかと想像します。
その効能、リスク、保険の適用不適用は医療機関に聞くのが一番正確ではありますが、足を運ばねばならないこと、対面で医師と会話することにハードルの高さを覚える人もいるかもしれません。
情報の正確さはさることながら、自分の生活をより快適にするための知識を得るために、本記事が読者のお役に立つことがあれば幸いです。
Text/山浦雅香
取材協力/山中智哉(オリーブレディースクリニック麻布十番 院長)
画像/Shutterstock
2018年11月16日公開
2019年5月8日更新
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