検診専門クリニックでも…がん検診「見落とし」は多発している
「乳がん検診で受けた超音波(エコー)検査は5分で終わりました。その後『異常なし』の診断でしたが、本当に大丈夫でしょうか?」
国立がん研究センター検診研究部部長・中山富雄氏のもとに、ある40代女性からこんな相談が寄せられた。中山氏は、「検査結果に信頼性はありません」と即答したという。検査結果が信頼できないとは!その真意を中山氏が語る。
「超音波を懸命に実施しているのはアジアくらいで、欧米諸国の乳がん検診では採用されていません。超音波検査(エコー)は、検査技師の腕に委ねられていますが、超音波検査は、資格を持つ技師でも、機器を扱う指先のほんの1度の角度のぶれで、がんが映るか映らないかが決まってくるもので、職人芸の領域なんです。現状ではこの検査は、見落としのリスクが高すぎるとされ、実施は推奨されていません」(中山氏・以下同)
乳房の超音波検査の認定試験は、2015年から始まっているという。そこで資格を得た医師や技師が、今後増えることを待つしかないのが現状だそうだ。
「乳がんに限らず、がんというものは、毎年がん検診を受けていても発見されず、かなり進行してからようやく見つかることは珍しいことではありません。