多くの栄養素含む大豆の摂取ルール、食事の一口目に
ダイエットに病気の予防と、女性にうれしい健康効果が注目されている大豆。豊富な栄養素を効率よく取るためのカギは、“最初のひと口”を大豆のメニューにすることにあった!
納豆、豆腐などに加え、豆乳を使った飲料や手軽に食べられるバーなど、大豆を使った製品の品数はますます増えている。最近では大豆缶や大豆のパックも数種類がスーパーの棚に並んでいて、簡単に手に入るようになった。ところが意外にも、私たちが実際に1日あたりに摂取している豆類の量は、健康上の目標にまだまだ足りていないようだ。
厚生労働省が推奨している1日の豆類摂取量の目標値は100g。しかし、「平成27年国民健康・栄養調査」によると、40代、50代の女性の摂取量は約40g足りていないのだ。
「若い世代ほど、“大豆離れ”が進んでいるようなのです」
そう指摘するのは、栗原クリニック東京・日本橋の栗原毅院長。
「大豆には、タンパク質、脂質、炭水化物の『三大栄養素』のほか、カルシウム、カリウム、鉄といったミネラル、さらにビタミンE、葉酸、食物繊維、イソフラボンなど、実に多くの栄養素がバランスよく含まれていて、ズバ抜けて優秀な食品と言えます。
健康寿命をのばすためにも、私たちは毎日の食事で、もっと積極的に大豆を食べるべきです」(栗原先生・以下同)
これらの栄養素を取りこぼさないためにも大切なのが、大豆を使ったものから食事を始めること、すなわち「大豆ファースト」だ。自身も実践しているという栗原先生に「大豆ファースト」の基本を教えてもらった。
まずはその名のとおり、食事の際に、大豆製品を最初に口にすること。
「タンパク質を効率よく吸収するために、蒸し大豆であれば大さじ2杯分の量を食べます。納豆や豆腐でも、大豆を取り入れたメニューであればOKです。大豆に含まれるイソフラボンは、1日に必要な量を一度に取っても、体内に取り込まれてから8時間すると半分に減ってしまいます。ですから、三食で大豆を食べることが大切です」
食後の血糖値の上昇を緩やかにするためにまず野菜から食べ始める「ベジファースト」も有名だが、大豆ファーストでも同等の効果を得ることができる。サラダに蒸し大豆をトッピングすれば、一挙両得だ。
また、大豆の食物繊維は腹持ちがよいため、空腹になりにくく、食べすぎを抑えてくれる効果もあるそうだ。栗原先生によれば、大豆ファーストが習慣化することは、ダイエットにもつながるという。
次によくかんで食べること。
「どれだけ栄養価の高い食品でも、よくかまずに飲み込んでいては栄養の吸収率が半減してしまいます。よくかんで食べることで、タンパク質を分解・吸収するトリプシンという消化酵素がすい臓から分泌されて、消化吸収率を上げることができます」
ひと口30回を目安に、しっかりとかむことで味を楽しむこともできる。これがひいては胃腸にも優しく、大豆の栄養を十分に吸収することにつながる。豆腐や納豆といった軟らかい食品であっても、しっかりよくかむことが栄養吸収のためにも大切だ。
最後に、大豆の後には、βカロテンやビタミンCを含む野菜を食べること。
「栄養価の高い大豆ですが、βカロテンやビタミンCは含まれていません。そこで、大豆にはない栄養素が含まれる食べ物を補完することで、栄養価が完全になります」
1日に必要な大豆の量は100g。市販の蒸し大豆のパック1袋分、豆腐にすると1丁(300g)、納豆なら3パック程度。最近では大豆を使った加工食品も豊富にあるので、食べやすいものからぜひ始めてみよう!
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