そしてその動脈硬化の原因をさらにたどると、高血圧に行き着く、といえばわかりやすいでしょう。そこで、最近では『メタボリックシンドローム』ならぬ『メタボリックドミノ』と表現されることも増えています。これは動脈硬化のような大本の病気が、ドミノ倒しのように次々とほかの病気を引き起こすということ。しかし、冷えを改善し体温を上げることで、このドミノが倒れる前の『ついたて』の役割を果たしてくれるのです」
しかし、「体温」は長いあいだ西洋医学の世界ではその存在が見落とされてきた。
「明確な診断基準やガイドラインも存在しないため、冷えるのはその人の性質、つまり『冷え“性”』といわれていました。しかし、がんですら85%が治るような時代になり、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の薬も登場してきたことで、だんだんと『冷えも手当てするべき症状なのでは』と認識されるようになってきたのです。多くの病院でも漢方を取り入れるようになり、それに合わせるかのように『冷え“症”』という呼び方が広まってきました」
その漢方の世界では、昔から「冷えは病気」とされてきたという。
「漢方と聞くと中国の医学のようですが、実は江戸時代には日本独自の伝統医学として成立しており、中国の漢方においては古くから『冷え』は根本的な診断基準のひとつでした。