認知症薬「アデュカヌマブ」既存薬との“画期的な”違い
「アデュカヌマブ」は、“これまでの認知症薬とは全く違う”画期的な薬品であるという。
認知症患者や予備群の治療にあたっているアルツクリニック東京院長・新井平伊さんに解説してもらった。
「まずアルツハイマー型は、遺伝的要素、ストレスや睡眠不足、そして生活習慣病などの要因が重なって、脳の神経細胞内外に『アミロイドβ』というタンパク質が沈着することから始まります。アミロイドβがたまると神経細胞の働きが阻害され、細胞自体が減少していく。これが20年近く進行し、やがて脳が萎縮して認知症の症状が出てくるのです」
つまり、症状が現れる20年も前から脳には変化が起きており、加齢によって進行していく。既存の認知症薬では、この進行を止めることはできないと新井さん。
「現在のところ、認知症薬は4種類あります。そのうち『ドネペジル(商品名アリセプト)』など3種類は、『アセチルコリン』という記憶をつかさどる脳内ホルモンを補充するもの。
残る1つは、神経細胞へのダメージを防ぐものです。いずれも神経細胞がダメージを受けて生じた変化に対する治療薬なので、あくまで進行を“遅らせる”対症療法的なもの。効果は1年ほどで、これらの薬でその後の進行を“止める”のは困難です」