「アデュカヌマブ」で救えるか、医師語る「認知症治療の展望」
「米国の製薬大手・バイオジェン社が、7月8日、早期のアルツハイマー病治療薬『アデュカヌマブ』のFDA(米食品医薬品局)への承認申請を完了した、と発表しました。もし承認となれば、認知症薬としては約10年ぶりの新薬。日本でも治療薬として承認されるのでは、という見方が強まっています」
こう語るのは、老化や疫学研究に従事したハーバード大学元研究員で、ボストン在住の内科医・大西睦子さん。現在、認知症はがんと並ぶほどの“国民病”だ。あと5年もすれば、高齢者の5人に1人にあたる700万人が認知症患者になると言われている。
「がんの場合、新たな検査法や抗がん剤がどんどん開発されています。しかし、認知症薬の研究は困難を極めており、米国の名だたる製薬メーカーが撤退していったという歴史があるのです。今回『アデュカヌマブ』を開発したバイオジェン社は、ノーベル賞受賞者2人を含めた著名な生物学者らによって設立された、神経疾患治療に特化した企業。
同薬は認知症の7割を占めるとされる『アルツハイマー型認知症』に効果があると言われています」
認知症患者や予備群の治療にあたっているアルツクリニック東京院長・新井平伊さんに、アルツハイマー型認知症について解説してもらった。