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コロナ禍で乳がん検診受診者が激減!「発見時ステージ4の例も」

女性自身
コロナ禍で乳がん検診受診者が激減!「発見時ステージ4の例も」


「昨年、私のクリニックでは乳がん検診の受診者が、一昨年に比べ1,000人以上も減ったんです」

そう語るのは、乳腺外科「ベルーガクリニック」(東京・板橋)の富永祐司院長。

日本人女性の9人に1人が生涯でかかるといわれている「乳がん」。日本では女性がもっともなりやすいがんで、’21年には9万4,400人がなると予測されている。

罹患数が多い乳がんだが、検診による早期発見がしやすいことでも知られている。検診を受ければ、自覚症状のない初期段階の乳がんでも見つけることができるのだ。また、早期に治療を受けることができれば、完治する可能性が高い病気でもある。

ところが、その早期発見につながる乳がん検診の受診者が、コロナ禍以降、激減しているのだ。

日本対がん協会の統計によると、自治体が行っている乳がん検診の’19年の受診者は、81万5,468人だった。
しかし、新型コロナウイルスの感染が拡大した’20年には、57万3,484人と、前年に比べ約30%も減少した。

そもそも、日本の乳がん検診の受診率は高くない。厚生労働省「国民生活基礎調査」によると、’19年の乳がん検診受診率(40〜69歳)は、47.4%。対象者の半数にも達していないのだ。それがコロナ禍によって、さらに減少。この状況に、専門医たちは危機感を募らせている。

■コロナ禍の受診控えで、がんが進行する患者も

受診を控えることで、最も懸念されるのはがんが進行してしまうことだと富永院長。

「定期的な乳がん検診を受けていない場合、多くの人は何かしらの症状が出て初めて病院に行くでしょう。
そのため、乳がんが早期の状態ではなく、ある程度進行した状態で発見されるケースが増えるのです」

さらに、これまで3,000件以上の乳がん手術に携わってきた、昭和大学医学部外科学講座乳腺外科学部門・明石定子教授も、コロナ禍の受診控えに警鐘を鳴らす。

「昨年は、例年なら定期的に検診を受けているのに受けなかった、という人も多かったようです。そればかりでなく、しこりなどの症状に気づいていても、病院に行くのが怖くて受診を先延ばしにしたという方が何人もいました。その結果、ステージ1で発見できたはずなのに2に、2から3にと進行してしまった患者さんもいます。コロナ禍でなければ、しこりなどに気づいた段階ですぐ受診したり、検診によってがんを見つけられていた方が、もっと多かったはずです」

さらに、ときわ会常磐病院・乳腺外科の尾崎章彦医師は、受診の遅れによって、がんがほかの臓器に転移した患者もいると語る。

「乳がんの進行度合いはステージ0〜4に分けられ、数字が大きくなるほど進行していることを表しています。今年の4月に受診した50代の女性は、ステージ4と診断されました。ほかの臓器への転移がある状態です。
彼女は’19年の終わりごろから胸のしこりが気になっていました。けれど、コロナ禍になり、親の介護もしていたので外出を控えた結果、受診するのを1年半も先延ばしにしてしまったんです」

受診を控えているあなたは、ぜひこの機会に検診へ。がんはコロナ収束を待ってくれないのだ。

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