最新論文が警鐘「砂糖とりすぎで精神疾患リスクが高まる可能性」
平井さんは研究結果について、こう解説する。
「思春期のマウスのエサに多量の砂糖を混ぜて与えたところ、認知機能が低下したり、すみかを整理できなかったり、毛繕いが異常に増えたりと、精神疾患と近い症状が現れました。もともと遺伝的に精神疾患になりやすい素質をもっているマウスに、砂糖を過剰に与えたときの脳を調べると、毛細血管に炎症が起きていました。炎症によって脳のエネルギー源である“ブドウ糖”という物質がスムーズに脳内に取り込まれなくなっていたのです。そのために脳の元気がなくなって、精神疾患につながっていたと考えられます」
■砂糖の過剰摂取で認知症リスクが
統合失調症や双極性障害は、思春期の過剰な砂糖の摂取が一因という仮説だが、「中年以降になっても砂糖の取りすぎには注意が必要」と平井さん。
「今回、精神疾患の患者さんの脳を解剖したところ、マウスと同様に毛細血管の炎症が見られました。一方、うつ病や認知症は成人に多い疾患ですが、脳内血管の炎症が影響しているという論文が近年数多く発表されているので、どの年代の方でも砂糖の取りすぎは注意が必要と思われます」
海外でも認知症と砂糖の関係については研究が進んでいる。