「ショウガ緑茶」で眼活!カテキンとショウガオールがポイント
目に嬉しい効果が
「ショウガは血行を促進して体を温める働きが有名ですが、それ以外にもさまざまな健康効果を発揮してくれます。ただ、単体で食べる食材ではないため、常に組み合わせるのに適した食品を探していたところ、緑茶との相性が抜群によいことがわかりました」
こう話すのは、20年以上ショウガの健康効果について研究をしている食品医学研究所所長で医学博士の平柳要先生だ。
長年、緑茶にはさまざまな健康効果があるといわれてきたが、近年、世界中の研究機関からこれに関する学術論文が次々と発表されるようになり、改めて緑茶を見直してみたところ、ショウガとの相乗効果が期待できることがわかったのだという。
「緑茶にはカテキンというポリフェノールが豊富に含まれていますが、カテキンの中にはエピガロカテキンガレート(EGCG)という非常に優秀な成分が約4割を占めています。このEGCGの働きで私が特に注目したのが目への影響です」(平柳先生・以下同)
緑茶には高めの血圧、血糖値、LDLコレステロールを抑えたり、骨密度を高めたりするほか、動脈硬化予防、抗酸化作用、抗菌作用、抗アレルギー作用などがあり、関節リウマチや変形性関節症などへの抗炎症作用、がん予防、肝臓疾患予防、認知症予防(脳の炎症予防)、アンチエイジング効果などが期待されている。国立がん研究センターも1日に数杯の緑茶が死亡リスクを有意に下げると緑茶を推奨している。
さらに、緑茶にはリラックス効果や記憶力改善といった脳への作用もあり、すでに多方面にわたって優秀な食材なのだが、今回、平柳先生が注目したのが、前述した目への働きだ。
「中国のある大学による研究で、1日に緑茶を2杯以上飲む人は、飲まない人に比べて加齢性白内障の発症リスクが約半分に減るという結果が発表されています。
緑茶のカテキンが活性酸素による水晶体の酸化を防ぐと考えられます」
白内障には加齢性白内障と糖尿病性白内障の2種類があるが、緑茶が効果を示したのは加齢性白内障のほうだった。
「また、アメリカの研究では、緑茶を飲む人は飲まない人に比べて『緑内障のリスクが約7割減』という報告もあります。そのほかにも、緑茶抽出物であるカテキンの抗酸化作用や抗炎症作用によって、目の炎症、ドライアイ、加齢黄斑変性、涙が出なくなるシェーグレン症候群など、さまざまな目の疾患に効果があるという論文が発表されています」
■EGCGを増やすため緑茶は80度でいれる
一方のショウガも目によい働きがあることがわかっている。
「ショウガには、AGE(終末糖化産物)の発生を抑制する働きがあり、高めの血糖値を下げてくれますから、糖尿病が心配な人に大変おすすめしたい食材です。糖尿病予備軍くらいの数値だとショウガで元に戻すことも可能ではないかと思われます。ショウガも糖尿病の合併症である白内障に効果があることがわかっています」
緑茶は加齢性白内障に効果を示してはいても、糖尿病性白内障に対してまではエビデンス(科学的な根拠)がない。一方、ショウガは糖尿病性白内障に効くというエビデンスがある。つまり、緑茶とショウガの組み合わせは白内障全般にとってよいというわけだ。
さらに、ショウガに含まれるショウガオールの血行促進、抗炎症作用も、緑内障のリスクを下げる働きをするのだそう。
「眼底の血流が滞ることで視神経に栄養が行き渡らなくなり、緑内障のリスクが高まります。ですから、緑内障が気になる人にも積極的にとってほしい食材です」
ショウガオールもカテキンの中のEGCGも加熱することで増える成分。特に緑茶のEGCGは80度という適切な温度が必須なのだ。沸騰させたお湯を1分ほどおくと80度くらいになる。
では、この2つの食材の働きを最大限に引き出す「ショウガ緑茶」の作り方を紹介しよう。
【1】ショウガを水で洗い、皮ごとおろし器ですりおろす。
【2】急須に茶葉(3g)を入れ、80度くらいに冷ましたお湯を150mlそそぐ。
【3】お湯を入れたあと1分ほどたったら、緑茶を湯のみにそそぐ。
【4】茶こしを使って、おろしショウガ(小さじ1)を緑茶に混ぜる。
※ティーバッグでいれた緑茶でも構わない。
ショウガのピリリとした辛味と緑茶のさっぱりとした風味の組み合わせは後味がよく、食事中の飲み物としても相性がいい。
「1日6杯くらい飲むのがおすすめですが、なかには『緑茶のカフェインが強くて胃を痛めやすい』と気にする人がいます。ショウガ緑茶はショウガに抗炎症作用があるので胃にも優しい。気になるなら食前は避けて、食事中や食後に飲まれてはいかがでしょうか」
早ければ数週間~数カ月程度飲み続けることで、効果を実感できるようになるそう。今日から早速、飲んでみよう。