辛い花粉症への即効対処法6 目のかゆみには「冷やし目薬」
(写真:アフロ)
鼻はグジュグジュ、目はショボショボ、止まらないくしゃみ。花粉症のいや~な季節がやってきた。
「全国的に3月に入って気温が大幅に上昇。風も強く吹いて、一気にスギ花粉が飛散しはじめました。患者さんも急増しています」
こう語るのは、たかしま耳鼻咽喉科院長の高島雅之先生。
今がピークのスギ花粉飛散。3月の3週目からはぐんぐん気温が上がり、厄介な花粉がしばらく飛び続けることになる。
「花粉症対策の基本は、花粉を体内にとどまらせないことと、症状を抑える抗ヒスタミン薬などを効果的に使用すること。
そのうえで、つらい症状をやわらげる最終手段となる対処法を知っておくのも重要です」(高島先生)
そこで、花粉症のつらい症状を「即効」で軽減するレスキュー法を教えてもらった。
【1】「ペットボトル脇挟み」で鼻づまりを解消
花粉症といえば、ダラダラと出る鼻水、そして鼻づまりだ。
「鼻がつまっている人におすすめしているのが、ペットボトルや化粧品のビンなど筒状のものを脇の下に挟むこと。つまっている鼻と反対側の脇に挟むことで通りがよくなります」(高島先生)
鼻の粘膜にはたくさんの毛細血管が通っており、その血管が拡張することで腫れが発生する。これが鼻づまりの原因だ。
「腋下周辺の皮膚を圧迫することで、血管の拡縮をコントロールする自律神経が刺激され、鼻の血管が収縮して腫れが引くのです。鼻の穴が通った隙に、点鼻薬をさすとより効果的です」(高島先生)
【2】鼻をスッキリさせる3つの「即効ツボ」
手でツボを刺激することでも鼻づまりが改善するという。
教えてくれたのはフィギュアスケートの羽生結弦選手の元専属トレーナーで寺岡接骨院きくち院長の菊地晃さん。
「私が羽生選手をはじめ、多くの選手の痛みを取るために行ってきた施術は、体のバランスを調整するために神経に働きかける刺激療法です」
菊地さんが教えてくれた「花粉症に効くツボ」は次の3カ所。
・手の甲の中指と薬指の骨が交わる点
・額の中心
・みぞおちの上の硬い部分
「これらのツボを、親指か人さし指の腹で、痛気持ちいい程度に1~2分押すことで、鼻の粘膜の腫れがおさまる効果があります。これまで多くの選手に、このツボを刺激していますが、瞬く間に鼻がスッキリしたと不思議そうに帰って行きます」
【3】花粉症の原因を丸ごと洗い流す「鼻うがい」
花粉症は、鼻の粘膜に花粉が付着することで起こるアレルギー反応。鼻にとどまってしまった花粉を洗い流せば、症状もやわらぐ。
「鼻うがいで、症状が軽減したという患者さんは少なくありません。花粉症の患者さんには、朝と外から帰ってきたときに鼻うがいをおすすめしています。症状がつらいときに行うのでもよいでしょう。鼻の奥まで洗浄することで、鼻粘膜に付着した花粉をスッキリ洗い流すことができます。
人間の体液と同じ塩分濃度0.9%の生理食塩水を人肌ぐらいに温めて鼻うがいをすれば、痛みもなく楽に洗浄することができます。ただし、やりすぎはよくないので1日3回を上限に」(高島先生)
【4】外出先では「鼻スプレー」で鼻の中の花粉を取り除く
外出先や職場など「鼻うがい」ができないときはどうすればいいのだろう?
「鼻の保湿用スプレーを使用するのも有効な手。花粉を吸い込んで鼻がむずむずしたときに、保湿用スプレーを多めに鼻に噴霧してから鼻をかむことで、鼻うがいと同じように花粉が洗い出され、症状が楽になるのです。外回りの営業マンや屋外で部活動をしている子どもたちなどが実践していますが、薬を増やすことなく症状がやわらいでいるという声があります」(高島先生)
【5】香りの力で炎症を抑える「ユーカリマスク」
やっかいな花粉には、植物の葉や花から抽出した精油の芳香成分で闘う方法もあるという。高島先生が続ける。
「マスクの外側に鼻やのどの炎症を鎮める効果があるユーカリ・ラディアタのアロマオイルをごく少量、つけることでも症状の悪化を防ぐ効果があると考えられます」
朝にひどい症状が起こる“モーニングアタック”にも、香りを使って対処可能だ。
「モーニングアタックの原因は、朝の自律神経の乱れ。アロマスプレーを吹きかけた蒸しタオルを鼻に当てると、自律神経が整って、つらい症状が緩和されるのです。
当院では、花粉症の患者さんには、ユーカリのほかペパーミント、ティートリーなどのスプレータイプのアロマオイルをすすめています」
【6】目のかゆみを抑える「冷やし目薬」
目のかゆみや充血も花粉症のやっかいな症状。大宮はまだ眼科西口分院院長の福岡詩麻先生がアドバイスをしてくれた。「目の表面でアレルギー性結膜炎という炎症が起きているのが原因。アレルギーを抑える目薬が有効ですが、目を冷やすことでも症状の軽減が期待できます。タオルでくるんだ保冷剤や冷たいペットボトルをまぶたに当てたり、冷やした目薬を使うのがよいでしょう」
常温保存の目薬ならば冷蔵庫に入れて問題ないが、凍らせないように注意しよう。また、アレルギーの目薬は1日の点眼回数を守って使用すること。
「たまに花粉を洗い流そうと水道水で目を洗う人がいますが、塩素が目の粘膜にダメージを与えるので、冷やした人工涙液点眼薬を使って流すのがおすすめです。ただし、点眼は治療薬とあわせて1日6回までに。
まぶたの縁やまつ毛の根元に溜まった花粉を目元専用の洗浄液で落とすのも効果的です」
まだまだ続く花粉症シーズン。6つの最終手段で乗り越えよう。