かゆみ、フケ……頭皮環境の改善は「減シャン」で叶う!
抜け毛やフケ、かゆみなど頭髪の悩みを抱える読者世代は多い。
特に夏場は、汗でベタつくので朝と夜など1日に何回も洗いたくなるが、「頭皮にトラブルを抱えている人は洗いすぎに気をつけましょう」と注意を促すのは、皮膚再生医療の専門医でセルバンク代表取締役の北條元治先生だ。
皮膚の表面は、層のように重なった角質細胞に覆われている。肌には新陳代謝の機能があり、汚れとあかは自然に落ちる。
「市販のシャンプー剤には、強力な洗浄力を持つ界面活性剤が入っていて、汚れやあかを落とすだけでなく、肌のバリア機能を担うセラミドを含む表面の角質も一緒に落としてしまいます。以前『フケが多くて困る』と受診に来た患者さんがいました。フケが出ないように1日3回髪を洗っていたというので、『とりあえずシャンプーをやめましょう』と伝えたらフケが出なくなったという話がありました。夏場、よく汗をかく時期はシャンプー剤を一切使わないというのではなく、使う量を少しずつ減らす“減シャン”をしてみましょう」(北條先生・以下同)
特に、中高年は角質層が薄くなって皮膚のバリア機能が低下してくるので、「夏場は朝と夜2回洗う」など、若いときと同じ習慣がついている人は見直してみよう。
■「減シャン」して頭皮トラブルを減らす
北條先生がオススメする“減シャン”の方法は次のとおり。
【1】軽めにブラッシングをする
入浴前にやわらかい材質のブラシで軽く髪をとかす。頭皮や髪の毛についたホコリなどを取ることで、シャワーで洗い流すときに、汚れやあかが落ちやすくなる。
「ただし、過剰なブラッシングはNGです。力を入れすぎたり、長い時間髪をとかしたりすると、逆に頭皮にダメージを与えてしまうことがあります。ブラシの毛はやわらかい材質のものを選ぶといいでしょう」
【2】シャンプーの量を減らす
泡立てて洗うためにシャンプー剤をたくさん使う人も多いだろうが、まずは、ふだんの半分の量からトライしてみよう。
「頭皮の皮脂がなくなると、角質層がはがれ落ちやすくなりますが、これは爪を切るときの深爪と同じで、何らかの刺激で出血しやすくなります。頭皮に置き換えますと、シャンプー剤を過度に使うことは、皮脂を過剰に洗い落とし、刺激に弱くなってしまいます。
実は私も皮膚が弱いので、髪を洗うときは、かなり少なめの量にしています。頭の1カ所につけると髪全体に行き渡らないので、まずは手のひら全体にシャンプー剤を広げてから、髪にまんべんなくなじませるようにしています。シャンプー剤は少なくても、汚れとあかは落とせますよ」
最初は、洗い足りないなと思うかもしれないが、続けているうちに慣れてくるという。
■2日に1回はお湯だけで洗う“湯シャン”を
【3】髪をお湯で洗う
38~40度程度のお湯で、3~5分ぐらい丁寧に流せば、汚れやあかは落ちて、なおかつ皮脂は落ちずに残る。
「夏は水を浴びると気持ちいいので、つい水洗いしたくなりますが、水洗いよりお湯のほうが汚れやあかは落とせます。指の腹を使って頭皮をマッサージしながら洗い流すと、気持ちいいですよ。シャンプー剤を一切やめるのではなく、シャンプー剤を使って洗うのを2日に1回にして、シャンプーを使った翌日はお湯だけで髪を洗う“湯シャン”にするのもいいでしょう」
それでも頭皮トラブルが改善しない場合は、皮膚科を受診しよう。
また、湯シャンをしたときは、トリートメントやコンディショナーなどは使わなくても髪はしっとりする。
どうしても使いたいときは、少なめの量にしておくと髪がベタつかないという。
【4】タオルで水分を十分に拭き取ってから乾かす
乾かすときにも注意が必要。髪の毛をこすらないようにタオルで軽く押さえる、または包み込むようにしてできるだけ水分を拭き取ってから、ドライヤーで乾かそう。
「乾かすときに、ドライヤーの温風を当てすぎると頭皮の乾燥の原因になるので、1カ所に当てすぎないで、ドライヤーと髪とは十分に距離を取って乾かしましょう。冷風と温風を交互に併用するのもコツです」
根元を乾かす場合は、髪を持ち上げて下から風を当てると乾きが早くなる。また、毛先が少し湿っていても、地肌が完全に乾いていれば、ドライヤーはやめていいそう。
“減シャン”で頭皮のコンディションを整えると、フケやかゆみ、抜け毛などのトラブルが改善され、髪の調子が元に戻るという。
まだ汗でベタつく日が続くので、髪をまとめる人も多いだろうが、頭皮のケアは怠りなく。
髪を下ろしたときのサラサラヘアを目指して、今から“減シャン”にトライしよう!