気分が落ち込む、ぼんやりする……マスク酸欠が原因?“みぞおち揉み”で深い呼吸を取り戻す
「体力が落ちて、寝ても疲れが取れない」「集中力が続かない」「ちょっとしたことでも気分が落ち込む」。長引くマスク生活の影響で、顔まわりだけでなく心身にもダメージを受ける人が急増中!
「最近、寒暖差の疲れもあるのか、肩こりや腰の張りのほかにも、寝ても疲れが取れない、だるいといった自律神経の不調や、やる気が起きない、不安だといったメンタルの不調を訴える人が増えています。マスク生活や巣ごもりの時間が長くなったことで、胸やおなかをつぶすような前かがみの姿勢で過ごすことが多くなりました。猫背の影響で“隠れ酸欠”になってしまっているのです」
そう指摘するのは、『しんどい心によく効く1日1分みぞおちもみ』(大和書房)の著者で、楽ゆる整体・スクール代表の永井峻さん。
永井さんは、整体師として10万件超もの「病院でも治らない不調」の改善に努め、メンタルの不調から立ち直るためのアドバイスをしている。そんななか欠かせないのが“隠れ酸欠”の解消だという。
「心の不調を訴える人たちに共通するのは顔色の悪さですが、呼吸が浅く、酸素が足りていない人は、不安ややる気がないといったメンタルの不調も抱えています。自律神経のスイッチを切り替えるために、呼吸を深くする腹式呼吸が大事になってきます。
腹式呼吸で酸素の量を取り込むためにも、ガチガチになった横隔膜を『みぞおちもみ』でほぐして、肺活量を増やしていきます」(永井さん・以下同)
1日1分「みぞおちもみ」をやると、その後、過呼吸気味で浅かった呼吸が深くなってくる。
長引くコロナ禍で動悸や息切れ、パニック症状に見舞われるという40代の女性は、「みぞおちもみ」の後、肺活量が250ミリリットル増の2500ミリリットルにもなり、過呼吸が治ったという。体調面でも動悸・息切れが治まってきて、肩から胸の部分が軽くなったと感想を語った。
「体内に取り込む酸素量が増えきますので、血流がアップして代謝が促進されます。眠りが深くなり、睡眠不足が解消されるので、1日気分よく過ごせるようになってきます。やっているうちに心が軽くなるのが実感できます」
■横隔膜をほぐして血流も肺活量もUP
その「みぞおちもみ」は3つのステップがあり、所要時間はトータルで1分。さっそくトライしてみよう。【ステップ1】おなか太鼓で神経と筋肉をリラックスさせる
(1)へそから上に指で数えて8歩目あたりの位置を確認する。
(2)手を「おわん」の形にして(1)のポイントに当て、息を吸えるだけ吸う。
(3)息を「フォ、フォ、フォ」と小刻みに吐きながら、フォの音のときにおなかをポンポンと20回たたく。
「硬くなっている横隔膜と腹筋全体がゆるんできます。ポイントはおなかをたたくときに腹筋に力を入れないこと。リラックスして行いましょう」
横隔膜をやわらかくして、神経の疲れを取ると、内臓全体が活性化してくる。
【ステップ2】リセットツボ刺激で神経疲労をほどく
(1)へそから指6歩目を確認して、両手の中指を重ねて当てる。人さし指と薬指は支えとして中指の両側につける。そのツボの位置で、硬さや抵抗感を感じ始める深さまで両手の中指を押し込む。
(2)(1)の深さを保ったまま、両手を上下に10回揺らしながら、「フォ、フォ、フォ」と息を吐く。
(3)指1本分上、7歩目の位置でも、ツボを10回縦に揺らしながら息を10回吐く。
「ツボへの力加減が重要で、あまり強く押しすぎないこと。上下に手を10回揺らすだけでも十分効果があります。縦の動きは筋膜同士の癒着をはがすことができるので、手を奥に押し込まないで縦にこするように行いましょう」
【ステップ3】のチョップ・インで横隔膜に手を当てて温める
(1)座った状態で、おなかの両側の肋骨の下の部分に「チョップ」するように、両手の小指側を密着させて、息を吸えるだけ吸う。
(2)息を細く吐きながら、上体をゆっくり倒していく。苦しすぎない程度の深さまで手が入ったら上体を止めて、そのまま息を吐き切るまで待つ。
(3)息を吸いながら上体を起こす。
ポイントは息を出し切ること。
「体にとって負担となるガスの残りを宿息と呼び、呼吸の効率を下げて、新鮮な空気を濁らせてしまいます。肺の中の空気をリセットすることで、呼吸力がつくだけでなく呼吸効率が高まってきます。毎日『みぞおちもみ』を続けることで体幹が強くなり、体温が安定して免疫力がアップしてきます。みぞおちが張っている状態からゆるんで下腹がしっかりする『腹がすわった状態』になるので、気力が充実してきて、やる気も出てきますよ」
“隠れ酸欠”の原因は姿勢にもある。猫背を解消すると、横隔膜がさらにやわらかくなり、動きもよくなって、深い呼吸ができるようになるという。
スキマ時間にトライして、心と体の健康をキープしよう!