お餅を食べる前に10回! バタカラ体操でお餅による窒息や誤嚥性肺炎を防ぐ
お正月はお餅による窒息事故が目立ちます
お雑煮にお汁粉、いそべ餅など、お餅を使った食事がおいしい時季ですが、お正月はお餅による窒息事故が目立ちます。高齢になると噛む力や飲み込む力が弱くなるため、お餅による窒息には注意が必要です。また、飲み込む力の低下は、誤嚥性肺炎を引き起こす場合もあります。
年末年始に発生するお餅の事故や誤嚥性肺炎を防ぐために、誰でも無理なくできる体操を、介護予防トレーナーで健康づくりトレーナーの久野秀隆先生に教えてもらいました。高齢の方はもちろん、先を見据えて若い世代の方もぜひ実践してみてください。
■食前10回の「パタカラ体操」でごはんもおいしく、誤嚥性肺炎も防ぐ
このパタカラ体操のコツは、パ・タ・カ・ラの4文字を発音しながら行うこと。食事の前にそれぞれ10回程度行います。
・「パ」は唇を鍛える
「パ」と唇をしっかり閉じて発音することで、唇の筋肉を鍛えることができます。
口をしっかり閉じることができるようになり、口から食べ物がこぼれにくくなります。
・「タ」は舌を鍛える
舌を上あごにくっつけて発音する「タ」。食べ物を押しつぶしたり飲み込んだりするときの筋肉を鍛えることができます。
・「カ」は喉を鍛えて飲み込む力をつける
「カ」はのどの奥を意識して発音します。食べ物を飲み込むときに、食べ物が気管に入らないように気管の入り口が閉まります。「カ」の動きは、のどの奥を閉じるために働く筋肉を使うため、誤嚥を防ぐことにつながります。
・「ラ」は巻き舌で食べ物をまとめる力を鍛える
「ラ」は舌を丸めるように発声するのがポイント。舌を丸める動きは、口に入れた食べ物を飲み込むときに必要です。
舌を丸める筋肉を鍛えることで、舌を使って食べ物をのどの奥までスムーズに移動させることができます。
■舌や喉を鍛えることで滑舌が良くなり声も若々しく
今回紹介した「パタカラ体操」は、誰でもどこでも手軽に行うことができます。お餅を食べる前こそぜひ、試してもらいたい体操です。
「マスクをした状態で口の中で完結する体操なので、外出先でも実践できます。お餅を食べるときは、食べやすいように小さく切り、体操をしてからゆっくりとよく噛んでいただきましょう」
これらの口腔機能を鍛える体操は、お餅の窒息予防や誤嚥性肺炎の予防だけではなく、「声帯」を鍛えることにもつながるといいます。
「年齢を重ねると、声にも衰えが出るものです。口や舌、のどの筋肉を日頃から鍛えておくと、声を若々しく保つことにつながります。40代や50代の方にとっては、お餅の窒息や誤嚥性肺炎は親世代に起こることで、ご自身にとってはまだまだ先のことだと思いがちです。
しかし、早めに口腔機能を鍛えはじめることは、将来の事故やトラブルの予防になるうえ、若々しい声を作ることにもなります。無理なく、口腔機能を鍛える体操を始めていきましょう」
【お話を伺ったのは】
久野秀隆さん
介護予防トレーナー、健康づくりトレーナー。スポーツクラブでのパーソナルトレーナーから2012年に介護予防分野に転身。現在は72市区町村にて講演会や市民向けの体操指導、病院・介護事業所の研修や機能訓練などの指導を担当。各地域の課題を分析、仲間作りを中心とした教室運営を得意とし、地域財産(通いの場・行き場)を増やすことを意識している。